モバP「亜威怒流マスターヤンデレラガールズ邂逅篇」 (63)



――とあるオーディション会場付近



P「心の準備はできているか拓海?」

向井拓海(18)「ああ、問題ない」
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P「随分と落ち着いているんだな。今日は大勢のアイドルが集結する、とても大規模なオーディションの当日だっていうのに」

拓海「……アタシは様々な修羅場をくぐり抜けてきた特攻隊長だぞ?」

拓海「別に他の奴らを甘く見るつもりじゃねぇけど、今さら芋を引くような真似はしねーって」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1404476717


P「そうか……いや、拓海が落ち着いてオーディションに臨めるならそれでいいんだ」

拓海「ま、アタシと同じくらいの修羅場をくぐり抜けてきた奴でもいれば存分に楽しめそうだとは思うけどよ」

P「同じくらいの修羅場を、ねぇ」

拓海「ははっ、まぁそう都合よく行くわけ」



『それじゃあ、今日は私と一緒に楽しんじゃいましょうっ!』



P「ん? 君は?」

拓海「なっ……テ、テメェはっ!」

P「知っているのか拓海!?」


拓海「恵まれた体から繰り出される強烈なアタックや締め付け技を得意として」


拓海「着ている服を脱げば脱ぐほどに力が増していくという謎の力を持ち」


拓海「噂によるとタイマンで負けた敵対チームの頭が、そのデカすぎるカリスマ性に惚れ込んで自分の服を全て脱ぎ捨てた姿をさらけ出し忠誠を誓ったとかいう……」



拓海「秋田最大勢力『†十時天使†(クロスエンジェル)』のヘッド……『裸の姫君(ストリープリンセス)』十時愛梨……っ!!」

十時愛梨(18)「向井さんとは一度会ってみたかったんです! よろしくお願いしますねっ♪」
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拓海「……まさかアンタもアイドルになっていたなんてな」

愛梨「私、欲張りなんです。こっちの世界でも頂点(テッペン)を目指したいって思っちゃいました!」

拓海「……アタシは強ぇぞ?」

愛梨「望むところです! あなたのことも丸裸にしてあげちゃいますから……それでは!」



P「……彼女、強いのか?」

拓海「あぁ、間違いなく」

P「そうか……」

拓海「心配すんな。それでもアタシは負けない……そうだろ?」


P「……ああ! 我がプロダクション自慢のアイドル向井拓海は誰よりも強い女の子だからな!」

拓海「へへっ……とはいえ十時愛梨には十分注意が必要だな」



『注意しなければいけないのは彼女だけとは限らないかもなァ?』



P「ん? 君は?」

拓海「なっ……テ、テメェはっ!」

P「知っているのか拓海!?」


拓海「バスケで鍛えられた守備力と尽きない体力を活かした持久戦を得意として」


拓海「相手の使う戦法を真似する器用さもあう上に目で捉えることができない謎の技を使う……」


拓海「情に熱く仲間を傷つけた奴は地の果てまで追いかけてでも敗北を叩きつけることから付けられたあだ名は『荒廃に堕とす者(スラムダンク)』とかいう……」



拓海「愛知の強豪チーム『狼究武』キャプテン……愛野渚……っ!!」

愛野渚(18)「そこまで知っててもらえるなんてなんだか照れるねッ!」
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拓海「へっ……東から来たかと思えば今度は中央からもお出ましか」

渚「一度会ってみたかったんだ! 『神奈川の特攻隊長』向井拓海といえば全国でも有名だからねッ!」

拓海「そう焦らなくても、これから嫌ってほどアタシの姿を見せてやるよ……!」

渚「そっちこそ焦らない焦らない! まだ『戦争(オーディション)』は始まっていないんだから……さッ! それじゃ!」



P「……また1人、強敵が現れたみたいだな」

拓海「なーに、それでこそ挑み甲斐があるってもんだろ」


P「しかし今来た二人とも拓海と同じくらいの年齢かな」

拓海「わからねぇけど、もしアタシより年上でもっと場数を踏んだ奴でもいたら経験の差でちょっとキツいかもしれないな」

P「年上の人、ねぇ」

拓海「ははっ、まぁそう都合よく行くわけ」



『ならばその力…………見せてあげましょう』



P「ん? 貴女は?」

拓海「なっ……テ、テメェはっ!」

P「知っているのか拓海!?」


拓海「常に冷静沈着で狙った相手は必ず仕留める孤高のスナイパー」


拓海「その細腕から繰り出される強烈なエルボーは相手を一撃で沈めちまう」


拓海「倒したチームの数だけ自分たちの旗に星のマークを刻み、それを眺めるのが趣味とかいう……」



拓海「奈良の古豪チーム『NOA』に君臨する『冥土の女王』……高峯のあ……っ!!」


高峯のあ(24)「相手を知り己を知ることが戦いには肝要……貴女には強者たる資格があるようね」
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拓海「奈良の重鎮まで来やがったか。そういや道明寺のヤツはどうしたんだ?」

のあ「歌鈴……彼女も貴女の前に立ちはだかる大きな壁となるはずよ…………向井拓海」

拓海「そういうことかよ……そいつは楽しみじゃねぇか!」

のあ「これ以上語ることはない……失礼するわ」



P「……拓海のいた世界には色々な人がいるんだなぁ」

拓海「まぁな。でも、あっちの世界で名を馳せたアイツらとアイドルの世界でも競い合えるなんて腕の振るい甲斐があるってもんだ」


P「しかし年長者がいるってことはもしかして年少者もいたりするのか?」

拓海「何人か知ってるヤツもいるけど、流石にあいつらまでアイドルになってるなんてありえねぇと思」



「『ありえない』という固定観念にとらわれるのは、あまり賢い選択とは言えませんね」



P「ん? 君は?」

拓海「なっ……テ、テメェはっ!」

P「知っているのか拓海!?」


拓海「たった12歳にして兵庫の強豪チームの頂点に立った小学生」


拓海「データを駆使した軍師としての役割に定評があるが、本人の実力自体もなかなかの折り紙つきだ」


拓海「噂によると敗北させた相手の口の中に勝利の証としてイチゴを詰めていくとかいう……」



拓海「『or Guilty』史上初の小学生リーダー……『鮮血の苺姫』橘ありす……っ!!」


橘ありす(12)「貴女の情報も私のデータの中にしっかりと登録されていますよ……向井拓海さん」
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拓海「神戸の『薔薇姫』櫻井桃華といい、その歳でここまで登りつめるとは兵庫は末恐ろしい嬢ちゃんばかりだな」

ありす「私一人の力じゃ向井さん単独の力には到底敵いませんが、『情報』と『仲間』の力を借りれば引けをとらない戦いができると思いますよ」

拓海「……どうやらただの頭でっかちって訳でもなさそうだ」

ありす「情報は確かに大切な物ですけど、過信しすぎると敗北に繋がりますからね……それでは失礼します」



P「……本当にあんなちっちゃい子までいるんだな」

拓海「ちっこいからって油断はダメだ。見えない腹の中にデカい牙を隠してるだろうからな」


P「いや、油断というか色々と衝撃的というか……」

拓海「そういやプロデューサー、さっきから他の奴らのことあまり知らないよな?」

P「……知ってる人の方があんまりいないと思うぞ?」

拓海「そういうもんか? 結構色々なヤツがいるんだけどな……例えば近場だと埼玉なんかには」



「それってもしかして、アタシらのことかな★」


「ぜーったいそうだってお姉ちゃん! なんたってアタシたち有名人だもんね☆」


「わかんないよぉ? 埼玉勢の一角としてこっちだって負けてないんだからぁ♪」



P「ん? 君たちは?」

拓海「なっ……テ、テメェらはっ!」

P「そろそろ疲れてきたけど知っているのか拓海!?」


拓海「あぁ……こっちの派手なのは姉妹でヤンチャしてる奴らだ」


拓海「ピンク髪の方が姉。未だに誰にも突破されたことのねぇ強固な守りに徹した戦いを得意とする『アイアンメイデン』こと城ヶ崎美嘉」


拓海「金髪の方が妹。天性のセンスから繰り出される野性的な攻撃を得意とする『ヘラクレス』こと城ヶ崎莉嘉」



拓海「人呼んで『地獄姉妹』の城ヶ崎姉妹……この二人がトップに立つのが埼玉四勢力の一角『ファミリアツイン』ってワケだ」


城ヶ崎美嘉(17)「よろしくねお兄さん★」
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城ヶ崎莉嘉(12)「なんだったら莉嘉たちのサインあげてもいーよ☆」
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P「よろしく二人とも。ということはこちらの女性も?」

拓海「そういうこった。こっちの派手なヤツも同じく埼玉四勢力の一人」


拓海「得意のネイルアートを磨き上げて、ついには全身アートの域にまでしやがった変装の達人」


拓海「その技術で敵チームへの潜入活動や、戦闘時の撹乱を得意とするトリッキーな女さ」



拓海「それがチーム『カメレオン』のナンバーワン……『黒アゲハ』岸部彩華さ」


岸部彩華(19)「今日はあやかのことしっかりと覚えていってくださいねぇ~♪ このオーディションの優勝者として明日の朝刊に載りますからぁ♪」
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P「そういえば拓海、今回はとかいうって言わないんだな」

拓海「他のヤツらは遠方だから知らないこともあるからな。その点こいつらは近場で何度もやりあった間柄だし」

莉嘉「甘いよ拓海お姉ちゃん! 油断してたら拓海お姉ちゃんの知らない秘密の牙でがおーっ!って襲いかかっちゃうかも!」

彩華「あやかにも、拓海ちゃんや美嘉ちゃん莉嘉ちゃんに見せてない顔がまだまだあるかもしれないよぉ?」

拓海「元よりそう思ってるさ。舞台がアイドルの世界になったってやることは変わらねぇよ」

美嘉「それにしてもアイドルの世界でも拓海や彩華達と戦えるなんて嬉しいよ。それに唯や柚とも、ね」

拓海「お前らだけじゃなくてあの二人もアイドルになったのか!?」

美嘉「フフフ……後は自分で確かめなよ★ さ、行くよ莉嘉!」

莉嘉「あっ、ちょっとお姉ちゃん待ってよ~! あ、彩華お姉ちゃんも行こっ!」

彩華「わわっ……またねぇ拓海ちゃ~ん~!」


P「……埼玉の子たちって元気なんだな」

拓海「埼玉だけじゃない。全国にはもっと大勢の好敵手達がいる」



「うふ……私もその『好敵手』の一人に私も含まれていると思ってもいいんですか?」



P「ん? 君は?」

拓海「なっ……テ、テメェはっ!」

P「知っているのか拓海!?」


拓海「宮城は仙台に拠点を構える『スカーレットハート』の現トップ」


拓海「得物の紅いリボンで相手を搦め捕る攻撃を得意とする」


拓海「新興勢力ながらあの十時愛梨と互角に張り合ったとかいう実力者……」



拓海「『特紅天女』佐久間まゆ……その名前、含まれてないわけねェだろ……っ!」


佐久間まゆ(16)「まゆの名前って結構有名なんですねぇ……あの人も喜んでくれるかな♪」
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拓海「……あの人ってのはアンタのプロデューサーのことか?」

まゆ「そうですよ。あの人はまゆを新たな世界へ連れ出して王子様なんです」

拓海「……」

まゆ「舞台が変わってもまゆのやることはいつもと変わりません……大切な人の為に、ただ戦うだけです」

拓海「……誰かの為に戦う力ならアタシも負けていないさ。後ろのコイツのために、な」

まゆ「それじゃあどちらの愛の力が上回るかまゆと勝負ですよぉ……それでは失礼しますね、向井さん♪」



P「……愛の力だなんて照れるな」

拓海「あ、あいっ……!? ア、アタシはそんなんじゃねーよ! か、感謝はしてっけどな!」


P「しかし拓海さんや」

拓海「あン? なんだよ?」

P「なんというかこう、もうちょっと協力関係にある人なんてのはいないのか?」

拓海「どうしてそんなこと聞くんだ?」

P「どの人達とも険悪な関係というよりは好敵手って感じなのは良いと思うが、何だか友達がいない子みたいで俺は心配だよ」

拓海「人を寂しいヤツみたいに言うんじゃねぇよ……今日会った奴らがそうだっただけで、協定関係を結んでた相手くらいいるっての」

P「本当か!? 是非紹介して安心させてくれ!」

拓海「ア、アンタはアタシの親父か! それにそんな都合よくこの場にいるわけ」



『おー! 久しぶりやなー拓海はん!』



拓海「お、お前はっ!」

P「なんだ友達か拓海!!」


拓海「まさか本当に会うとは思わなかったな……久しぶりだな笑美」

難波笑美(17)「会うとは思わなかったって……なになに? ウチの話でもしてたん?」
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P「……拓海!」

拓海「そわそわした顔すんじゃねぇよ!」

笑美「何の話かようわからんけど、そっちの兄さんは初対面やから自己紹介させてもらうわ!」

拓海「悪い、頼む」

笑美「ウチは大阪の『デッドエンド』大将、人呼んで『戦う漫才師』こと難波笑美っちゅーもんです! で、今は拓海はんと同じでアイドル! よろしゅうっ!」


拓海「というか今さらだけどお前もアイドルになったんだな……」

P「どうも拓海の担当プロデューサーです! ところで、お二人の馴れ初めというのは……?」

笑美「そう、拓海はんと出会ったのはとある雨の日のことだった……ってお見合いかーい!!」バシィッ

P「ぐはぁっ!?」

拓海「あ、言い忘れてたけど笑美ももちろん武闘派だからツッコミすげぇ痛いからな?」

P「も、もうちょっと早く言ってほしかった……ぐふっ」

拓海「しかし笑美がアイドルになったってことは、相方のみくのヤツももしかして……?」

笑美「もちろんみくにゃんも一緒にアイドルや!」

P「拓海は大阪の人達とは随分仲が良いんだな。どういうきっかけで仲良くなったんだ?」

拓海「あぁ……アタシ、腕試しとして神奈川から大阪に殴りこみ遠征をかけたことがあったんだ」

笑美「そん時に対峙したのがウチらのチームなんやけど、拓海はんら来るだけで体力つかいはたして倒れこんでしもてな……」

笑美「流石に気の毒に思たウチらがそれを介抱して、今に至るってワケや」


拓海「あの時は本当に世話をかけた。川島さん、法子、恵磨、櫂、愛結奈……皆元気にしてるか?」

笑美「元気元気……ま、多分すぐまた会えると思うけどな」

拓海「??」

P「その人達も全員難波さんのチームメンバーなのか?」

笑美「チームとしては別やけど、大阪は周りが強敵ばかりやから皆で手を結んどるんよ」

笑美「『アンダスタン』っちゅーチームの川島瑞樹はんって人を中心にしてな」

拓海「プロデューサーがさっき会った奈良の高峯や兵庫の橘もそうだけど、京都の『金閣』小早川紗枝に『銀閣』塩見周子……」

拓海「ま、そんな面子が周りにいたら内側での戦争は後回しになるだろうな」

P「なるほどなー」

笑美「……でも、今日は初めて拓海はんとガチでやらせてもらうで?」

拓海「……アタシも今日は、ダチだからって遠慮なしで行くから覚悟しろよ?」

笑美「フフ……ほなまた! 里奈はんにもよろしゅう伝えといてなー!」


拓海「笑美との勝負か……ゾクゾクしてくるな」

P「なぁ拓海。難波さんが去り際に言ってた里奈はんって誰だ?」

拓海「ん? あぁ……里奈ってのはさっき言ってた大阪遠征にも一緒に着いてきた、神奈川の同盟チームのヤツで」


『たーくみん♪ 誰ぽよ~?』


拓海「うわっ! 前が見え……っ!?」


『ねーね誰ぽよ~?』


拓海「誰ぽよって、そんなことするヤツとそんな喋り方のヤツはお前しかいないだろ……里奈!」

P「里奈……ということはこの子が?」

拓海「そうだ……コイツがさっき笑美が言ってた里奈はんだよ」


藤本里奈(18)「ちょりーっす☆ 神奈川『湘南風天組』リーダーの藤本里奈だよ♪ 皆からはふじりなとかちょりなとか『ピンクのぽよぽよ小悪魔』って呼ばれてるからよろー☆」
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拓海「……いい加減手ぇ話せ里奈!」

里奈「やだやだー! たくみんもっと構ってちょ~かまちょかまちょ~」


拓海「……ちょっと待て里奈。お前がここにいるってことはもしかして!?」

里奈「ん? いやアタシはただ面白そうだから見に来ただけ☆」

拓海「なんだそりゃ……」

P「しかしスカウトされてアイドルになった元ヤンどんだけいるんだよって話だよな」

拓海「アタシをスカウトしたアンタが言う台詞じゃねェけどな」

P「ごもっともです」

里奈「まーまー、アイドルになったアタシとたくみんが最強コンビなことには変わらないし!」

拓海「里奈はアイドルになっていないだろ」

里奈「あ、そだった……じゃあアタシもアイドルになる! いいよねたくみんプロデューサーのお兄さん♪」

P「いいよ」

拓海「軽いなお前ら!?」

里奈「やったー! それじゃあこれからよろーん☆」

P(自由で面白いなぁこの子)




『フフフ……最強コンビ、か。君達の様な勇ましく若い世代が台頭してくるなら私ももっと楽しめそうだ』



                          !  ?


P「……貴女は?」


里奈「た、たくみん……あの人!!」


拓海「なっ……テ、テメェはっ!」


P「知っているのか拓海と藤本さん!?」


拓海「その圧倒的な実力で多くの伝説を残し、全国に語り継がれる長崎最強の女……」


里奈「熊本『Rapsodia』の『悪姫羅刹(ブリュンヒルデ)』神崎蘭子と並んで九州最強の座をあらそってるらしいぽよ……!」


拓海「その金属みてぇに硬い防御力と狼みてぇに荒々しい戦いぶりからこう呼ばれているとかいう……」



拓海「『牙』頭領……『メタリックレディウルフ』の木場真奈美……っ!!!」


木場真奈美(25)「フッ……その名前とも随分長い付き合いになったものだ」
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拓海「なんでアンタがこの場所に……ッ!」

真奈美「この場所にいる理由なんて一つしかないだろう――『亜威怒流』になったのさ、私もな」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



拓海「……ッッ!!」

拓海(この圧倒的な威圧感……なんて『覇鬼血(はっきち)』なんだこの女……ッ!!)


ガタガタ


拓海「……!」

里奈「た、たくみん……?」

拓海(くそっ……脚がブルっちまってる……)




里奈「――たくみん!!」





ギュッ


拓海「ハッ!? り、里奈……?」ピタッ

里奈「大丈夫……たくみんは強い! アタシがほしょーする!」

拓海「里奈……」

真奈美「……」

拓海「へっ……情けねぇところ見せてしまったな……もう大丈夫だ!!」

里奈「……うん!」



真奈美(成程――良い目だ)




「なんだか面白そうな場面に遭遇したみたいだね」



            !  ?



里奈「あっ……!?」


拓海「テ、テメェはっ……」


真奈美「ほう……まさか君までアイドルになっていたとは思わなかったな」


P「知って……いるのか…………拓海?」


拓海「あぁ……」


拓海「今年、信じられねぇスピードであの激戦区東京の頂点に君臨した15歳の高校生……」


拓海「ヤツと対峙した相手はそのあまりの強さに皆、口を揃えてこう言ったとかいう……」


拓海「『彼女には私達と同じ赤色の血ではなく蒼色の血が流れているのではないか』……ってな」



拓海「なァ……東京覇者……『灰被姫』渋谷、凛……っ!!」


渋谷凛(15)「ふーん――アンタらの血は何色かな?」
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拓海「気になるなら確かめてみるか……今ここで!」

凛「冗談……蒼色の血が流れている人間なんているわけないって」

拓海「……」

凛「私もアンタたちも……ただの人なんだから」

真奈美「だが……強者と手合わせしたいと思う気持もまた、人である故の性だよ」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



P(ふ、藤本さん……これ大丈夫なの!?)ヒソヒソ

里奈(だ、だいじょばない! けどなんとかしてお兄さんとアタシで止めないと……!)ヒソヒソ



拓海「いや――勝負なら、あの舞台で着けようぜ」スッ


凛「あれは……今日のオーディション会場」

拓海「興奮して一瞬忘れちまったけど、アタシらはアイドルになったんだ……アイドルならステージの上で勝負しようじゃねぇか」

真奈美「……至極当然の言葉だな。私もつい興奮してしまった、すまないね」

凛「ごめん……私も挑発するような言い方をしちゃった。お詫びに少しだけ情報を教えてあげる」

P「ど、どうやら落ち着いたみたいだな」

里奈「ところで情報って?」

凛「私が知ってる限りの、今日このオーディションに来る予定のアイドルになった人たちの情報だよ……これがその写真」


―――
――


拓海「……マジかよ」

里奈「うーわー……」


真奈美「なるほど――福岡の『戦艦』大和亜季に……」
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真奈美「広島『村上組』の『二代目』村上巴……こちらもまた随分な大物じゃないか」
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凛「甲信・東海地方からはこんな感じで集まっているみたい」

真奈美「ふむ……」


凛「静岡『花の飛鳥組』からは二宮飛鳥」
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拓海「なっ!? 今年の【全国乱女王(ランクイン)】第三位……三重『クローバー』の『四羽の天使』緒方智絵里までいるのかよ!」
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P「全国ランクなんてあったのか……全然知らなかった」


凛「外国からも来てるみたい」

P「外国!?」


里奈「あっ! この子って香港『青龍会』の楊菲菲じゃん!」
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凛「他には、どこかは分からないけど海の向こうから来るこの人も注意が必要だね」


真奈美「これは……謎の世界的チーム『ワールド・イズ・マイン』のヘレンだな」
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凛「私も全部の情報を把握している訳じゃないけど、他にも全国から続々と集結しているみたいだね」

凛「……その数およそ200人近いとか」

真奈美「そして、数多の豪傑俊傑が今日この場で一堂に会するという訳か……」


凛「そう――亜威怒流の高みを目指すために!」


里奈「……!」ゴクリ

凛「……ちなみに私は、他の誰にも負けるつもりはないよ」

真奈美「皆同じ気持ちだろう。それが戦いに身を置く者の挟持というものだ」

里奈「アタシも! ねっ、たくみん!」

拓海「……あぁ! 当たり前だ!」


凛「ふふっ……それじゃ」

拓海「……なんだもう行っちまうのか?」

凛「言葉(こぶし)ならもう交わしたから。続きはまた後で逢った時で十分」


凛「――きらめく戦場(ステージ)で、また逢えるから」


里奈「……行っちゃたぽよ」

真奈美「それでは私もお暇させてもらおうか」


真奈美「君達の牙と私の牙――果たしてどちらが相手を打ち砕くことになるかな?」


P「二人とも行ってしまったな……」

拓海「……アタシらも踏みだそうぜ。亜威怒流の頂点への第一歩をよ!」

里奈「うん!」

P「ああ!」

拓海「どんだけ強い亜威怒流たちがいようと絶対に負けねぇ!」

里奈「そーそー! アタシら三人に勝てるわけないし☆」




拓海「アタシたちの戦いはこれからだ……さぁ゛出発(デッパツ)゛すっぞ! ビッと気合い入れてけよコラぁ!!」



                               完

次回、「亜威怒流マスターヤンデレラガールズ全国篇 向井拓海の野望」に続かない
アイドルマスターシンデレラガールズはトップアイドルを目指す女の子達の素敵な物語です

こんなSSだけど読んでくれた人ありがとう

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