貴音「なぽりたんを振る舞います」 (42)
本SSは、
貴音「なぽりたんを所望します」
貴音「なぽりたんを所望します」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1403279661/)
貴音「更になぽりたんを所望します」
貴音「更になぽりたんを所望します」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1403607838/)
を読んでいないとわからない内容になってます。
上記SSを読んだ後に読んでください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1404407160
貴音「…………と言う訳なのです」
春香「なるほど、そう言った経緯で響ちゃんと小鳥さんがナポリタンを作ってくれなくなったと」
貴音「はい」
春香「その原因が知りたいと」
貴音「はい、その通りです」
春香「あの……今の話を聞いた限りだと九割以上……と言うかほぼ貴音さんが原因だと思うんですけど」
貴音「…………えっ?」
春香「貴音さんが原因だと」
貴音「わたくしが……原因……其れはどう言う事ですか!」
春香「は、はい……えっとそうですね。じゃあ響ちゃんの方からですけど……
あの……料理を作ってもらっているのに口を挟んだり、手を出したりしたらダメ……ですよね?」
貴音「…………はぁ」
春香「う、う~ん分かりませんか……え~と……そう!貴音さんがラーメンを食べている時に邪魔されたら……」
貴音「怒ります」
春香「…………」
貴音「当然怒ります」
春香「……で、ですよね。当然怒りますよね!えと、要は其れなんですよ」
貴音「だから響も怒ってしまったと?」
春香「そうです。手伝いもせずに後ろからあーだこーだ言われるのって、
作ってる人からするととてもムカ……嫌なことなんです。じゃあ自分が作ればいいじゃないか、ってなるんです」
貴音「なるほど。そう言う物なのですね…………では小鳥嬢も……」
春香「あっ、小鳥さんの場合は口を挟んだことより……その……オバタリアンです」
貴音「おばたりあんが原因?……ああ、確かにわたくしがおばたりあんと言った後、機嫌が悪く……」
春香「……あの貴音さん、オバタリアンって何のことだか分かります?」
貴音「?……すみません。存じ上げません。てっきりわたくしの造語かと思っていましたが……
元があるのですか春香?」
春香「元……まぁ大本は1985年の『バタリアン』っていうゾンビ映画ですね。ホラーとコメディのバランスが絶妙で、
その上最後のオチが……っと映画の内容はまぁいいや。要はバタリアンってゾンビ映画があったんです。
それでバタリアンの意味が大群って意味なんですけど、そのバタリアンにオバサンを付けて、
オバタリアンって漫画が描かれたんです。オバタリアン……つまりオバサンの大群の事ですね。
内容は確か……中年女性の生態を描いた4コマ漫画だったかな?」
貴音「おばさんの大群……では小鳥嬢がわたくしと料理を共に作らないと言ったのは……」
春香「自分の料理をオバサン扱いされたから、若しくは作った自分自身を……ですかね」
貴音「そうでしたか。わたくしは何と酷い言葉を……」
春香「口は災いの元ですよ。特に手作り料理においては」
貴音「そうなの……ですか」
春香「そうなんです!……じゃあ、貴音さん。手作り料理を食べた時の感想ってどう言えばイイか分かりますか?」
貴音「其れは……美味しい所を述べ……駄目な所を指摘し、その上でより美味しくなるように……」
春香「ブブー、違います」
貴音「違う?……では、一体どのような感想を……」
春香「貴音さん。手作り料理の感想は、『美味しかった』の一つだけです」
貴音「なっ……ですがそれでは料理が下手であった場合上達しないのではありませんか?
其れではその人の為にならないのでは……」
春香「じゃあ貴音さんは……人の思いに点数が付けられますか?」
貴音「えっ……」
春香「誰かのために作る料理。それには作る人の思いがこもっています。
例えば響ちゃんは、貴音さんのためになるべく美味しいナポリタンを振る舞おうとした。
だから6時間もかけてナポリタンを作った」
貴音「!」
春香「そして小鳥さんはナポリタンが食べたいという貴音さんに、なるべく早くナポリタンを食べさせようとした。
だから冷凍ナポリタンや時間のかからないナポリタンを作った」
貴音「あぁ……」
春香「二人ともナポリタンを食べたいという貴音さんの事を思って作っていたんです
片や美味しい物を食べてもらおうと……片や早く食べさせてあげようと……そう思ってナポリタンを作った。
時間を掛け過ぎたり、省きすぎたりしていますが、結局のところは貴音さんを思ってのことです。
貴音さんはその思いに点数が付けられますか?」
貴音「それは……」
春香「お金を出してお店でご飯を食べる場合はいくらでも批評していいんです。勿論お店を出てからですけど。
でも、手作りの料理は批評したらダメなんです。よほど親しい間柄であってもオブラートが必要なんです。
だから味なんて寧ろどうだっていい。
作る人は心を込めて調理し、食べる人は料理にこもったその心を感じること……それが重要なんです。
手作り料理は心を味わうものなんです」
貴音「心を……味わう」
春香「貴音さん。響ちゃんのナポリタンは……心がこもったナポリタンはどうでした?」
貴音「其れは……その……少量のかれぇ粉が味を引き締めて……いえ、違うのですね。そうではないのですね」
春香「はい」
貴音「……響の心がこもっていて大変……美味でした」
春香「じゃあ、小鳥さんのナポリタンはどうですか?」
貴音「小鳥嬢のナポリタンからも小鳥嬢の心が感じられました。こちらも大変……美味でした」
春香「そうですか。でも、貴音さんはその思いを、違う、そういう作り方じゃない。こんなのナポリタンじゃないと言った。
やれパキスタンだ、やれズボラタンだ、挙句の果てにはオバタリアン。これじゃもう作ってあげたくなくなりますよね」
貴音「はい……その通りだと……思います。わたくしは愚かです。愚か者です。
二人共、わたくしのことを思って作ってくれた。わたくしは只、食べればよかったのですね。何も言わず、
只、美味かったと言えば良かった。其れなのに……わたくしは……わたくしは……」
春香「貴音さん。そこまで分かっているならどうすればイイか……分かりますよね?」
貴音「…………はい……二人に……謝罪します」
春香「じゃあ、それから……どうします?」
貴音「其れから……ですか?」
春香「はい。それからです。謝ってそれから……」
貴音「其れから……わたくしは……」
…………
………
……
…
小鳥「ふふふ ふんふんふんふん ふんふんふんふん」
響「…………あの」
小鳥「あたぁ~っく おぶざきらぁとめ~ぃとぉ~」
響「準備してるとこ悪いんだけど………」
小鳥「あたぁ~っく おぶざきらぁとめ~ぃとぉ~」
響「ねえ……」
小鳥「ぜぇる び~てゅ ばしゅ すくいしゅ ましゅ ちゅ~ゆ あっぷ ふぉ ぶらんち!
あんど ふぃにしゅ おふ ふぉ……」
響「ねえってば!」
小鳥「きゃっ!?……ちょ、ちょっと響ちゃん!今いいところだったのに!」
響「知るか!そんな事より何で自分がぴよ子のナポリタン作りの先生をしないといけないんだ!」
小鳥「それは私が6時間も掛かるナポリタンを作ったことがないからよ!」
響「レシピ見ればいいだろ!自分を巻き込むな!」
小鳥「だ、だって仕方がないじゃない!レシピ見ながら作るの面倒なんだもの!」
響「喋るこっちが面倒だぞ!それに自分に一つも得が……」
小鳥「得ねぇ……ふ~ん……最後には……食べられるわよ?」
響「何が」
小鳥「私特製ナポリタン」
響「だから、そんなのどうでも……」
小鳥「甘酸っぱぁ~いケチャップ」
響「…………」
小鳥「薄切り~のソーセージ」
響「ぐっ…………」
小鳥「そしてピーマンの……ほ・ろ・苦・さ」
響「…………」
小鳥「もうすぐお昼よ……お腹空いてない?」
響「…………」
小鳥「…………」
響「…………」
小鳥「…………」
響「…………くそっ、ズルいぞ……ほんとズルいぞ、全く!」
小鳥「ふふふ……誰もナポリタンの魔力からは逃れられないわ!」
響「うぅ……あーもー!……じゃあ、まず鍋に水入れて!」
小鳥「了解です!水をたっぷり……っと……これくらいかしら?」
響「もっとだぞ。それから塩も大量に!」
小鳥「分かりました教官!……でも、その……もったいないわ、この塩の量」
響「もったいない? ああ、だからぴよ子のナポリタンは茹でるとき塩入れないのか?」
小鳥「ええ、そうよ。だって後で味付けの時に塩を入れたって同じじゃない。そっちのほうが少なくて済むし」
響「いや、中まで塩味つかないから。それに麺だって細い早茹で麺だし、時間短縮に水から茹でてるし。
全く……そんな手抜きするから、貴音にオバタリアンとか言われるんだぞ」
小鳥「ウグッ……そうかもしれない」
響「いや絶対そうだぞ。……そもそも何でぴよ子はそんなに時間が掛からない作り方でナポリタンを作ったんだ?」
小鳥「そんなの貴音ちゃんに早くナポリタンを食べさせてあげたかったからよ!
もう、お昼だったしお腹を空かせて可愛そうだと思ったの!」
響「お腹を空かせて可愛そうって……考え方が田舎のおば……ナンデモナイデス」
小鳥「ふん……じゃあ、そういう響ちゃんは何で貴音ちゃんに6時間も掛かる作り方でナポリタンを作ったの?」
響「えっ、それは……」
小鳥「それは?」
響「……ったから」
小鳥「えっ、何? 聞こえないわ」
響「だ、だから、なるべく美味しいナポリタンを食べさせたかったんだ!何回も言わせるな!」
小鳥「なるほど、なるほど、なるべく美味しい物を……ね。……ふふっ」
響「な、何がおかしいんだ!」
小鳥「いや……私達、お互い貴音ちゃんのために張り切り過ぎたんだな~っと思って」
響「張り切りすぎた……か。……そうだな確かにお互い貴音を満足させようと……」
小鳥「何だか私達……似たもの同士ね」
響「まぁ、そうかもな。あ、でも、ぴよ子のナポリタンはもっと手間を掛けるべきだけどな!」
小鳥「そう言う響ちゃんのナポリタンはもっと手間を省くべきだと思うわ!」
響「…………」
小鳥「…………」
響「…………」
小鳥「…………」
響「…………へへっ」
小鳥「…………ふふふっ」
響「あーあ……なんかナポリタンごときで怒ってるのが馬鹿らしくなってきたぞ」
小鳥「ええ、私もなんだか怒るのに疲れたわ。貴音ちゃんに会ったら……」
響「うん、仲な…………あっ」
小鳥「?…………響ちゃんどうし……」
貴音「…………」
響「…………貴音」
小鳥「…………貴音ちゃん」
響「あの、えと…………た、貴音。何しに来たんだ。ナポリタンならもう作らないぞ!」
小鳥「ちょ、響ちゃん!仲直りするんじゃ……」
響「そ、それはその……自分のタイミングで……」
貴音「響」
響「わっ!?……な、なんだ」
貴音「……響、わたくしはなぽりたんを作ってくれと頼みに来たのではありません」
響「えっ?……じゃ、じゃあ何のようなんだ!」
貴音「……わたくしは二人に……謝りに来たのです」
小鳥「謝りに?」
響「貴音が……自分達に?」
貴音「はい。響、小鳥嬢。わたくし自身がなぽりたんを食べたいと依頼しておきながら、
失礼な行いの数々。本当に申し訳ありませんでした」
小鳥「!……あ、頭なんか下げなくても」
響「そ、そうだぞ!あの、だから……」
貴音「……響」
響「うぇ!?は、はい!」
貴音「響はわたくしに美味しいなぽりたんを味あわせたかったのですね。だから6時間も掛けてなぽりたんを。
其れなのにわたくしは変だ変だと口を挟み、挙句の果てにぱきすたんなどと……本当に申し訳ありませんでした。
響のなぽりたん……大変美味でした」
響「あっ……」
貴音「小鳥嬢」
小鳥「は、はい!」
貴音「小鳥嬢はわたくしに早くなぽりたんを味あわせたかったのですね。だから時間の掛からないなぽりたんを。
なのに、わたくしはずぼらたん、おばたりあんなど、とても酷い言葉を……本当に申し訳ありませんでした。
小鳥嬢のなぽりたんも……大変美味でした」
小鳥「……貴音ちゃん」
響「貴音……」
貴音「許していただけるとは思いません。ですが、二人のなぽりたんは大変美味でした!美味しかった!
この言葉に嘘偽りはありません。これがわたくしの気持ちです!」
響「…………」
小鳥「…………」
響「……すぞ」
貴音「!」
響「許すぞ貴音! だから……もう頭上げてくれ!」
小鳥「私も!私も貴音ちゃんを許します!」
貴音「響……小鳥嬢……いいのですか?」
響「いいもなにも、食べ物で喧嘩するなんて馬鹿らしいじゃないか」
小鳥「そうよ貴音ちゃん!ちゃんと謝ってくれたし、美味しいって言ってくれた。
だから今回の事はお互い水に流す。それでいいでしょう?」
貴音「そう……ですか。ですがわたくしはまだ、しなければいけないことが有ります」
小鳥「しなければいけないこと?」
貴音「……わたくしは二人に…………なぽりたんを振る舞いたいのです。
わたくしの作った、わたくしのなぽりたんを」
響「自分達に……」
小鳥「ナポリタンを……」
貴音「春香から教えられました。手作りの料理は心を食すものだと。
わたくしは二人の心を食しました。大変美味でした。言葉で表せぬほどに……二人の思いを感じました。
虫がいいのは分かっています。断ってもらっても構いません。
ですが二人に食べてもらいたいのです……なぽりたんを……わたくしの心を……」
小鳥「心……」
響「……いいのか?」
貴音「響?」
響「自分、食べたら……ボロカス言うかもしれないぞ。それでも、それでもいいのか」
貴音「ええ……構いません。構いませんとも。不味ければ不味いと、
可怪しければ可怪しいと指摘してください。わたくしがしたように……」
響「……分かったぞ。でもその代わりこっちからも条件がある」
貴音「条件……ですか?」
響「貴音のナポリタンを食べ終わったら……今度はみんなで……ナポリタンを作る!それが条件だ!」
貴音「!……皆でなぽりたんを……」
小鳥「イイ!!いいわ、それ!!ねっ、貴音ちゃんそうしましょう!全部終わったら今度はみんなでナポリタン!!」
貴音「はい……それはとても……良い条件です。いえ、良すぎます。最高です!
響……小鳥嬢……ありがとう……ありがとうございます!」
響「へへっ…………さてと、そうと決まればまずは、食べさせてもらわないとな」
小鳥「そうね。まずは……」
貴音「えっ……ああ、そうでした。まずはわたくしのなぽりたんを作らねばなりませんね。
わたくしの……心を込めたなぽりたんを」
小鳥「ふっふっふっ、こんな事もあろうかと準備は既に整っているわ!」
響「嘘つけ!…………って、まあ、ナイスタイミングなのはホントだな。うん……じゃあ、期待してるぞ。貴音!」
貴音「はい!では……いざ!!」
…………
………
……
…
千早「ただ今戻りました。……あら、春香?……寝てますね。四条さんに……我那覇さん、音無さんも。
わっ、みんなお腹がパンパン……それに大量のお皿……これはナポリタン? 一体、何なんでしょうかプロデューサー」
P「さあ、何だろうか。見た感じ4人でナポリタンを作って食べたんだろうけど……」
千早「ナポリタンを…………ふふっ、それにしてもみんな幸せそうな顔してますね」
P「そんなの当たり前じゃないか千早。ナポリタンを食べて幸せにならない奴はいないよ」
千早「……そういう物なんですか?」
P「ああ、懐かしの味ってのかな。昔のことを思い出すんだよ。喫茶店で初めて食べた時の思い出や、
家族で食べた思い出とかさ……だから、食べるとなんか懐かしい気持ちになるんだ。そんでこんなふうに幸せな顔になる」
千早「家族と食べた思い出の味…………何となく分かります」
P「そっか。……ああ、ところで千早。ナポリタンについてもう一ついいことを教えてやろう」
千早「いいこと……ですか?」
P「ああ、いいことだ。……実はな、ナポリタンにカレー粉を加えると……」
(了)
終わり!
やっとナポリタンから開放された!
ようやくミステリーがかける!
~おまけ~
春香「あっ、貴音さん……えへへっ、その様子だと仲直りしたんですね」
春香「…………えっ? 私も一緒にナポリタンを?」
春香「そんなことないです!勿論いいですよ!作りましょう一緒にナポリタン!」
春香「…………」
春香「……すごい量の材料」
春香「…………」
春香「よし!じゃあ作りましょうか……みんなで!」
ジャー…………キュッ!
カチッ……チッチッチッチ……ボッ!
…………
…………
トントントントントン……
…………ゴポ
ゴポ…………ゴポゴポ
……ゴポゴポ♪……ゴポポポポッ♪
ゴポポポポポポポポポ……グツッ……
グツグツグツグツグツ……ゴポポポ
グツグツグツ…………
ゴポポ…………
…………
………
……
ジャー…………ボン!
カチッ……チッチッチッチ……ボッ!
…………
ジュゥゥゥ…ジャッ!ジャッ!
ジャッ!ジャッ!ジャッ!……ジュゥゥゥ…
タン……
……
…
春香「…………フゥ」
春香「出来た……出来ましたね!」
春香「これが……私達4人の……えへへ」
春香「…………えっ?」
春香「な、何ですかいきなり……」
春香「私のおかげで……仲直り出来た?……いや、でも……」
春香「う~…………もう!それはもういいですから、早く食べましょうよ!」
春香「もう、みんなして……ふぅ」
春香「え~と、じゃあ……いいですか?」
春香「……はい!それでは……せ~の」
「「「「いただきます!!!!」」」」
(了)
これでほんとに終わり。
この前、ピーナッツバターを入れたナポリタン作ったらマズかったわ
インスタントコーヒーはおいしかったけど、ピーナッツバターはやばかった
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