貴音「今夜は潮の満ち引きで言えば、長潮というのです」

響「ふーん。月は、ちょうど半月くらいだね」

貴音「はい。ゆえにわたくし、つき、という漢字を
　　　口にしようとすると、半分になってしまうのです」

響「なげやりにも程があるぞ」

貴音「それにしても響、今宵はまことよい腋ですね」

響「ちょっ…　いきなり何言い出すんだ貴音！
　　そもそも自分、今日は長袖を…　…って、ああ、そういう」

貴音「どうかしましたか、響」

響「うん、めんどくさいなぁ、と思って」

貴音「学生時代、上履き、というものがありましたね」

響「ああ、あったね。自分の学校は学年別に色が分けられてたさー」

貴音「わたくしのところでは腥しゅーずを買うよう指定されておりました」

響「なんとなくそう来るんじゃないかと思ってた」

響「ちなみに現在はその社名使われてないぞ」

貴音「なんと」

響「今では『ムーンスター』って言うんだ」

貴音「なんでも横文字にすればよいという風潮は感心致しませんね」

響「まったくだぞ。二言目にはグローバルグローバルって」

貴音「そういえば、腥、というと、太陽が含まれておりませんね」

響「そうだけど、それが？」

貴音「ぱーふぇくとさん（）などと言いつつ、ぼっち、というものなのかと」




響「今度からラーメン一緒に食べに行ってあげないぞ」

貴音「ごめんなさい響出来心です、お許しを」

貴音「そろそろ引越しをしたいと思っているのです」

響「貴音の今の部屋、あんまり広くないからね」

貴音「朋4万円の家賃というのは助かるのですが」

響「とってつけたような話題からとってつけたような漢字が来た」

響「というか貴音、月4万円はちょっとなんか裏がありそうな金額だぞ」

貴音「不動産会社の方が仰るには"じこぶっけん"である、と」

響「意外だなぁ…　貴音は絶対そういうの無理だと思ってた」

貴音「幽霊の類は響の部屋でもう見慣れておりますので」

響「ちょっと待って自分の部屋事故物件だったとか初耳なんだけど」

貴音「こうして胱を浴びていると心が洗われるような気持ちが致します」

響「貴音には月が似合うよね。"銀色の王女"の二つ名は伊達じゃないさー」

貴音「ちなみに先ほどの文字は膀胱と書く際の後ろの文字で」

響「ぶち壊しにもほどがあるぞ貴音」

貴音「これは深刻な肋不足ですね。我ながら面妖な」

響「月力？　なにそれ、戦闘力みたいな？」

貴音「そんなところ、でしょうか。不足を補うためにらぁめんを所望します」

響「はいはい、ちょっと待ってて。いつもの二十郎でいいの？」

貴音「ええ。さっそく参りましょう」

おしまい。




STAP細胞関係の報道で大朏某というジャーナリストが出てるの見て思いついた。
ちなみに朏はみかづきと読むそうです。人名としては大朏で「おおつき」さんらしいです。