幼女「くっ……!殺せ!」 (202)

女騎士「……」

女騎士「そんなん何処で覚えた」

幼女「友達が言ってたの。一人前の騎士はこの台詞を言うって」

女騎士「お前の友達何歳だよ……」

幼女「女騎士さんも言うんだよね?」

女騎士「言わんよ」

幼女「えっ」

女騎士「言わんよ」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403271699

幼女「じゃあさ、じゃあさ」

女騎士「あん?」

幼女「んほおおおぉ!」

女騎士「!?」

幼女「とかは?」

女騎士「おいそれ教えた友達連れてこい。絶対オッサンだろ」

幼女「言うの?」

女騎士「言わんよ」

幼女「えっ」

女騎士「言わんよ」

女騎士「誰だか知らんが小さい子に変なこと吹き込むのやめろよ……」

幼女「たしか刺されたときに言うって……」

女騎士「いや、どっちかってーと挿され……なんでもない」

幼女「?」

女騎士「とにかくだ。騎士は少しやられただけで無様な声などは出さん。」

幼女「そうなの?」

女騎士「そうだ。あれは誇張表現と言うやつだ」

幼女「ならね、ならね」

女騎士「おう。」

幼女「一人でオークの森とかいってオーク狩りしようとして捕まるのは?」

女騎士「あのな」

女騎士「オークが大漁にいるであろう住処にわざわざ単身で行くバカがいるか。普通は旅団編成して討伐だ。罠とか嫌だろ?」

幼女「うん。嫌」

女騎士「そういうのは勇者に任せとけ」

幼女「勇者さんはいいの?」

女騎士「あいつは規格外だからな。神の御加護も受けてるし」

幼女「女騎士さんは御加護受けてないの?」

女騎士「私は……まあ、形だけだし」

幼女「なんで?」

女騎士「神様も暇じゃないの。こんな片田舎でのんびりやってる一兵卒なんか相手にしないよ」

幼女「でも女騎士さん村のために頑張ってる」

女騎士「仕事だ。仕事」

女騎士「素行不良でこんな所に飛ばされた騎士なんて神様の趣味じゃないのさ」

幼女「へー」

幼女「女騎士さん強いのにね」

女騎士「最近は力が全てじゃないからな。上にもうまいことアピールしなきゃいけないし、気に入られなければ出世できない。」

幼女「ほへー」

女騎士「そのために身を売るやつも……あ、いや、この話はなしだ」

幼女「?」

同じ人ですよ。移動してきました

女騎士「なんにせよだ」

幼女「うん」

女騎士「騎士は言葉じゃない。振る舞いで表さなきゃダメだ」

幼女「例えばタバコ吸うとか?」

女騎士「……お前いつ見てた」

幼女「結構前かな?」

女騎士「私のようになってはダメだ」

幼女「えー」

女騎士「えー、じゃない」

幼女「だって、女騎士さん皆から尊敬されてるよ?」

女騎士「誰だって少し秀でたところがあれば尊敬されるさ。私はたまたまこれだっただけ」

幼女「剣?」

女騎士「剣術は得意だぞー」

幼女「魔法は?」

女騎士「からっきし」

幼女「あー」

女騎士「でっ、でもな、弱い回復呪文と炎魔法なら使えるぞ!」

幼女「タバコに火つけるときに使うやつ?」

女騎士「そうそう、火種要らず……って見てたのか」

幼女「うん」

女騎士「あれぐらいの大きさしか無理なんだ……」

幼女「あらー」

女騎士「そのかわり剣の腕なら自信ある」

幼女「村で一番だもんね」

女騎士「村の奴らは相手にならないよ。全員素人だし」

幼女「そうなの?」

女騎士「そうだよ。辺境の村には騎士一人くらいしか派遣されないしな。もう一人ぐらいいたらもう少し楽できるんだけどなー」

幼女「女騎士さん一人で十分強いよ?」

女騎士「労働基準法って知ってるか?」

幼女「?」

翌日だよ

幼女「ねえねえ」

女騎士「おう」

幼女「おちん○んほしいのほおぉ!」

女騎士「!?!?」

幼女「って言

女騎士「馬鹿!何言ってんだ、お前!」

幼女「!?」

女騎士「女の子がそんなこと言うんじゃありません!」

幼女「ふぇぇ……女騎士さんお母さんみたい……」

女騎士「ふぅ……ふぅ。また例の奴か?」

幼女「うん。教えてもらった」

女騎士「今度本当に連れてこい。ちょっと説教が必要だこれは」

幼女「なんで?」

女騎士「どうしても!」

幼女「えー」

女騎士「えー、じゃない!」

幼女「じゃあ、どう言えばいいの?」

女騎士「は?」

幼女「おちん

女騎士「こら!」

幼女「……ちんが欲しいとき」

女騎士「お前意味分かって言ってる?」

幼女「?」

女騎士「あのな、それは大きな間違いだ」

幼女「間違い?」

女騎士「ああ、正確にはそれは、『おちんぎんが欲しいです』と言うんだ」

幼女「へー」

女騎士「一文字間違えて覚えてたんだな」

幼女「女騎士さんも言うの?」

女騎士「生活苦しいときあるしな……」

幼女「厳しい世の中だねー」

女騎士「おっともうこんな時間か」

幼女「?」

女騎士「ちょっくら哨戒行ってくるわ」

幼女「商会?」

女騎士「警備の仕事だ、仕事」

幼女「えー」

女騎士「えー、じゃない」

幼女「そうなると私が暇だよ?」

女騎士「しったこっちゃありませんがな……」

女騎士「お前友達いないの?」

幼女「女騎士さんと話してる方が楽しいもん」

女騎士「Oh...」

幼女「いないわけじゃないよ!」

女騎士「わかったわかった。まあそう言うと思ってこれ持ってきた」

幼女「何これ」

女騎士「所謂古文書だ。騎士のなんたるかが書いてあるぞ……多分」

幼女「読んでないの?」

女騎士「昔から家にあったんだよ。暇潰しに持ってきたけど私にはさっぱりだ」

幼女「へー」

女騎士「勘違いするなよ。それは古い文字で書かれてるから解読がめんどくさいだけだ。お前ぐらいの歳の奴の方がパズル間隔で読めるだろ」

幼女「へー」

女騎士「……バカにしてる?」

幼女「そんなことないよ」

女騎士「つーわけで行ってくる」

幼女「いってらっしゃーい」

女騎士「あ、ちゃんと家に帰ってから読めよ。外で読んで夜になったら危ないからな」

幼女「そうなの?」

女騎士「そうだよ。ここら辺は若干平和とはいえまだ魔物だって出るしな。下手すりゃ野盗だって出てくる」

幼女「へー」

女騎士「真面目に聞いてる?」

幼女「うん」

女騎士「とりあえず、むやみに一人で外にいないこと。知らない人にはついていかない。帰ったら手を洗う。寝る前は歯磨きをする。夜更かししない」

幼女「女騎士さんお母さんみたい」

女騎士「う、うるさいな」

一週間後だよ

幼女「こんにちは」

女騎士「はいこんにちは」

幼女「久しぶりー」

女騎士「そうだな久しぶりだな。何してたんだ?」

幼女「これ読んでた」

女騎士「なにそれ」

幼女「女騎士さんが貸してくれた本」

女騎士「……あー、あれね。うん」

幼女「忘れてたの?」

女騎士「そんなことないよ?」

女騎士「ってか読んだのか。すげぇな」

幼女「面白かったよー」

女騎士「んでなんて書いてあった?」

幼女「よくわかんない」

女騎士「は?」

幼女「よくわかんないのが書いてあったよ」

女騎士「どういうこっちゃ」

幼女「言葉で説明するのは難しいんだよ」

女騎士「子供特有の感覚って奴か……」

幼女「でもね、見てて?」

女騎士「ん?」

幼女「むにゃむにゃ」

ボッ

女騎士「おわっ!なんだこれ!?紫色の炎か!?」

幼女「こんなん出せました」

女騎士「子供すげぇ……」

幼女「これでタバコ吸ってみて」

女騎士「これで火つけろってか?……子供の前では吸いなくないんだけどな」

幼女「いいから!私が許可する!」

女騎士「お前随分偉くなったな……」

幼女「はやく!はやく!」

女騎士「ったく、もう……ほれ」

ジュッ

女騎士「おい、タバコの前半分跡形も無くなったぞ」

幼女「あれ?」

女騎士「おい」

女騎士「あっぶね。顔まで無くなるところだったじゃないか」

幼女「おっかしいなー」

女騎士「随分のんきだね君?」

幼女「そんなことないよ?」

女騎士「まあいいや。そんなことより、危な過ぎるだろそれ」

幼女「えっとねー……次はねー」

女騎士「人の話を……聞けっ」

バサッ

幼女「あっ!返してー!」

女騎士「これは没収だ。危険すぎる」

幼女「やだー!返してー!」

女騎士「言うことをきけ。幼いお前には過ぎた力だこれは」

幼女「むー!」

女騎士「はずみでこんなん出して周りに被害が出たら洒落にならんぞ」

幼女「女騎士さんがおちん○ん欲しいですって言ってたこと言いふらしてやる!」

女騎士「んおかしいな一文字違うぞ?」

幼女「本返さないならこの村出てってやる!」

女騎士「言いふらすって言ってたのに出ていくんかい」

幼女「バカー!」

ダッ

女騎士「あっ、おい!急に走ると危ないぞ」

ズテーン

幼女「ふえ……」

女騎士「いわんこっちゃない……」

幼女「ふええぇえぇええぇぇん!」

女騎士「おーおー擦りむいて。ほら傷みせろ」

幼女「……ん」

女騎士「よしいい子だ」

パアァ

幼女「治った……」

女騎士「これくらいしかできないけどな。立てるか?」

幼女「んしょ……いたっ」

女騎士「なんだ足も挫いたのか?これは私の回復呪文じゃ治せるレベルじゃないし……しょうがねぇ」

幼女「あっ」

女騎士「家までおぶってってやるから、大人しくしてろよ?」

帰り道だよ

幼女「……」

女騎士「……」

幼女「女騎士さん」

女騎士「んー?」

幼女「……ありがとぅ……」

女騎士「おう」





翌日

女騎士「あいつちゃっかり本持っていきやがった……」

vipに書いたのを誤字修正して再掲してます。
三章の区切りがついたので新章書くのにおいてこっちに持ってきました。

幼女「女騎士さんこんにちは」

女騎士「おうこんにちは」

幼女「なんだか忙しそうだね」

女騎士「まーな。どうやら今日辺りに勇者がくるらしい」

幼女「あの勇者様が!?」

女騎士「そーだ。あの勇者さまだ。いい子にしてたらお菓子もらえるかもな」

幼女「なるほどー、だから少しおめかししてるんだね」

女騎士「違うし。これは相手に対する最低限の敬意だから。勘違いすんな」

幼女「勇者様の前でおちん」

女騎士「言わんよ」

幼女「えっ」

女騎士「言わんよ」

勇者さまがきたよ


勇者「どうもこんにちは」

女騎士「これは勇者様!わざわざこんな辺境までご足労いただき、感謝の極みでございます!」

勇者「あはは、そんな大したものじゃないさ。そんな固くならないで」

女騎士「はっ!恐縮です!」

勇者「それじゃあ、村長さんの所に挨拶に行きたいんだけど、案内頼める?」

女騎士「はっ、承りました!こちらへどうぞ」







幼女「……」

勇者「……」

女騎士「……」

勇者「あの」

女騎士「はっ、なんでしょう?」

勇者「なんか女の子がついてきてるよ?」

女騎士「……」

女騎士「村の娘です。勇者様ご到着の噂を聞きつけてやってきたのでしょう」

勇者「そうなんだ。あはは、可愛い」

幼女「……」

女騎士(早くどっかいけ……!)

幼女「おち……」

女騎士「!?」

勇者「ん?」

幼女「葉を拾ったの!綺麗でしょ!あげる!」

勇者「わあ、ありがとう。流石は自然が豊かな土地だね。様々な色の落ち葉が綺麗だ」

女騎士「勇者様……」

勇者「いいのいいの。こんなの可愛いじゃない」

女騎士「勇者様がそう言うのでしたら……」

幼女「……」

幼女「おち……」

女騎士「!?」

勇者「ん?」

幼女「込んだら手を叩こ♪」

パンパン

勇者「あはは、歌なんか歌っちゃって、無邪気だなぁ」

女騎士「え、ええ……そうですね……」

勇者「あれ、女騎士さんどうかした?」

女騎士「なっ、何でもありません。何でも」

勇者「そう?」

女騎士(まさかこいつ……)


幼女「……」ニヤ

幼女「おち」

女騎士「さあ、到着しました!ここが村長の家になります!」

勇者「うわっ、びっくりした。そんな大声出さなくても」

女騎士「も、申し訳ありません……」

勇者「いやいや、ここまで案内ありがとう。」

女騎士「恐縮です!では私は村の警護に戻りますので!」

勇者「うん。気を付けてね」

女騎士「はっ、ありがとうございます!」


勇者「村長さんですか?勇者ですけど」

コンコン

村長「おお、勇者様。よく来てくれました!ささ、どうぞどうぞ」

勇者「お邪魔いたします。」

ガチャ
パタン

女騎士「……」

幼女「……」

女騎士「おい」

幼女「~♪~~♪」

女騎士「器用に口笛鳴らしてんな!こっちこい!」

幼女「うわあーひとさらいー」

女騎士「やかましい!」

女騎士「仕事の邪魔すんな」

グリグリ

幼女「痛たたた……暴力反対ー!」

女騎士「ああ見えて結構焦ってたんだからな!」

幼女「私はただ遊んでただけだもん!」

女騎士「私をおもちゃにしてか?お?」

幼女「……」

女騎士「こっちを見ろこっちを」

女騎士「いいか?今度邪魔したら怒るからな」

幼女「もう怒ってる」

女騎士「これは警告だ。私の怒りはまだあと三段階残っている。この意味がわかるか?」

幼女「なん……だと……」

女騎士「わかったらほら、解散!解散!」

幼女「ぶー」

女騎士「ぶー、じゃない。勇者様帰ったら遊んでやるから」

幼女「よかろう」

女騎士「誰だお前」

リメイクのようなものですよ。

村長の家だよ

勇者「……ということでして」

村長「なるほど……慰安のためにここまではるばる」

勇者「慰安といっても、各観光地をまわってるだけですけどね」

村長「いえいえ、観光だけでも我が村に訪れて来てくれたのはとてもありがたいことです」

勇者「あはは……それに、もう一つの目的もありますしね」

村長「もう一つ?」

勇者「仲間探しですよ」

続きものにする予定のSSの一番初めのものです。
こちらに移動する際に誤字を修正して再掲しようかと思ったしだいです。

村長「仲間探し……?」

勇者「ええ、この先戦いが困難になるかもしれませんからね。一人でも協力者が欲しい」

村長「なるほど」

勇者「ですから何人か仲間を募っているんです。でもなかなか立候補してくれる人がいなくて……」

村長「ほうほう」

勇者「やっぱり皆、職や家族持ちが多くて土地を離れて旅をしてくれる人がいないんですよ」

村長「なるほど」

勇者「せっかく入っても長続きしなかったり……この前なんかゲイですよゲイ。」

勇者「戦闘中敵の殺意に混じってなんか不純な視線が背後から感じるんですよ。あれは怖かった」

村長「前門の虎肛門の棒ってことですね」

勇者「うまいこと言ってないですから」

村長「ということはまさか……」

勇者「ええ、この村の女騎士さんも誘ってみようかと考えているんですが」

村長「なんと……」

勇者「ああ、いえ、まだ決まったわけじゃありませんよ。彼女の実力も見ていないですし。ただ、比較的平和なここなら彼女の代わりの警備がくるまで彼女がいなくても安心そうですし」

村長「しかし……いいのですか?」

勇者「はい?」

村長「女騎士はことあるごとに殺せとせがんでくるという逸話が……」

勇者「どんな逸話ですかそれ」

村長「いわゆる『くっ殺現象』だとか」

勇者「ないですよそんな全身緑色になりそうな現象」

村長「そんな……バカな……」

勇者「膝から崩れ落ちるほどショック受けることですかそれ」

村長「ま、まあ、二、三日といわず、気がすむまでここいて下さい。」

勇者「え、ええ、そのつもりです」

村長「そこで彼女の素質を見てやってください」

勇者「はい。……それでは今日はここらへんで」

村長「まともなおもてなしもできませんで申し訳ない」

勇者「いえいえ、お構い無く。それでは」

ガチャ
バタン

勇者「ふぅ……」

勇者「あのじーさんなんかぶっ飛んでんなー」

勇者「しかもかなりショック受けてたし」

勇者「なー、ホント、家入ったときと出るときとで村長の顔二、三年分老けたんじゃないか?」

勇者「大体くっ殺ってなんだよ」

勇者「ふふふ」

勇者「……」

勇者「はぁ……一人旅拗らせて独り言が多くなってるな」

勇者「だよなぁ」

勇者「はぁ……」

勇者「タバコでも吸うか……」

幼女「こんにちは」

勇者「はいこんにちは」

勇者「……ここじゃ人の目もあるし、ちょっと村の外に出るか」

勇者「それにしても本当に空気の良い村だなぁ」

勇者「秋の匂いってのかな、なんだか風が美味しい」

村人1「おーい焼き芋焼けたぞー」

村人2「ウィー」

勇者「……」

村の外だよ

勇者「ふぃ~火打ち石火打ち石っと」

「よかったらどうぞ」

勇者「あっどうもどうも……ってあれ」

女騎士「ゆ、勇者様!?」

勇者「女騎士さんもタバコ、吸われるんですか?」

女騎士「えっ、いやっ、あのっ!違います違います何のことでしょう!?」

勇者「否定してからとぼけてどうするんですか……それ、手に持ってるのタバコですよね」

女騎士「あっ、あっ、違うんです違うんです」

女騎士(やべええぇえぇえ!!影かかってて誰か分からんかったけどよりによって勇者かよ!)

女騎士「あの、あの、あの」

(なんだこれ口が回らねえ私の舌縮こまってる場合じゃねぇぞおい)

勇者「だ、大丈夫ですか?」

女騎士「し、失礼しまふっ!」

ダッ

勇者「あ、行っちゃった……」

勇者「慌てて駆け出してったけど、ちゃんと携帯灰皿にタバコ入れてからだから流石だな……」

勇者「それにしてもしまふって」

勇者「ふふふ」

勇者「面白い人だなあの人」

村の中だよ

女騎士「~~!」

女騎士(ヤバイヤバイヤバイ私のイメージがアカンことになってるよこれ)

幼女「あ、女騎士さん。どうしたの急いで?」

女騎士「どうするどうするどうする……」

幼女「え?胴?剣道でもするの?」

女騎士「……」

女騎士(やっちゃう?頭ガツンとやっちゃう?それで記憶飛んでくれる?)

スタスタスタ

幼女「いっちゃった……」

幼女「……」

村の外だよ

勇者「あータバコうめぇ」

勇者「全く誰だよタバコに悪いイメージ付けたの。いや確実に悪いんだろうけどさ」

勇者「できればもうちょっと堂々と吸いたいもんだよこれ」

勇者「酒場とかなら許されるかな、普通の服着てさ」

幼女「おいオッサン」

勇者「はいこんにちは」


勇者「……ん?」

勇者「あれ、君はさっきの……」

幼女「お前女騎士さんに何したんだよ!」

勇者「えっ?はっ?……えっ?」

幼女「なんか凄い顔真っ赤だったし……多分泣いてた!よく見えなかったけど」

勇者「ちょっ、ちょっ、ちょっ。ちょっーと待って。一旦落ち着いて。最初から話そ?まず俺はオッサンじゃないってとこから話そ?」

幼女「うっさいハゲ!」

勇者「待って。俺はハゲじゃないよ?俺がハゲだったら村長どうなっちゃうの?」

幼女「あのハゲのことはいいんだよ!」

勇者「あ、村長がハゲってのは認識してるのね」

幼女「うるさい!とにかく、何したんだ!?」

勇者「ナニもしてないよ!ただ火くれただけで」

幼女「日が暮れたなんて見ればわかるよ!」

勇者「ん?」

幼女「ん?」

勇者「大体、女騎士さんは本当に泣いてたのかい?」

幼女「確かに見た!」

勇者「さっきよく見えなかったって言ってたよね?」

幼女「揚げ足をとるな!」

勇者「え~」

幼女「えー、じゃない!」

勇者「どうすりゃいいのさ……」

幼女「どうせおちん○ん欲しいのほぉとか言わせてたんだろ!」

勇者「女の子がそんなこと言っちゃいけません!」

勇者「どこで覚えるんだよそんなん……」

幼女「あくまでもしらを切るつもりのようね」

勇者「だから本当に何も知らないって!」

幼女「よーくわかった。お前はこのお試し魔法の餌食になることがな!」

ズゴゴゴゴ……

勇者「何この子ラスボスの風格ヤバイ」

幼女「むにゃ、むーにゃ!」


ボン!

勇者「おっと」

勇者(まあ、どうせこどもが覚える弱い魔法だし、適当に避けつつくらってやられたふりしたら満足するだろ)

幼女「むにゃー!」

ボホン!!

勇者(あ、でもあんま見たことな)

勇者「いってえぇぇえええ!」

幼女「おっ」

勇者「ちょっ、タンマ!タンマ!ハーフタイム入れよ!ハーフタイム!」

幼女「慈悲は無し……」

勇者「君ホントにこども!?溢れでる雰囲気凄い怖いんですけど!」

勇者(なんでだ?俺魔法防御結構高いはずなのに、何この内側からビリビリくる感じ)

幼女「タマぁ……取ったるでぇ……」

勇者「紫色の炎が……!あれ何属性だよ……!?」

幼女「往生せぇやこのタコ」

勇者「あれもしかしてアッチの職業の方ですか?」

幼女「弾けて混ざれ」

勇者「やばい、ちょっとこっちも応戦しないと命が危ない」

勇者「……あれ」

勇者「……装備村長の家に忘れてたわ」

幼女「むにゃ!むむーにゃ!」

勇者「ひええええ!」

幼女「死ね」

女騎士「こぉら!!!」

ゴン

幼女「あひん」

勇者「おぉ……紫色の炎が消えていく……って女騎士さん?」

女騎士「申し訳ありません!幼女が村からいなくなったと聞き捜索していまして、大きな音があったのでもしやと思い駆けつけました!」

勇者「あ、あぁなるほど」

女騎士「お怪我は御座いませんでしたか?」

勇者「へ?あ、(結構痛いけど)大丈夫です大丈夫です。」

幼女「げんこつでたんこぶが……」

女騎士「お前には聞いていない」

幼女「ふえぇ……」

女騎士「この非礼……どうお詫びしたよいか……!」

勇者「いいですよ。大した怪我もありませんでしたし」

女騎士「申し訳ありません!申し訳ありません!」

勇者「大丈夫ですって、それより、その子を村に連れていってあげてください。村の皆さんも心配していることでしょう」

女騎士「あ、ありがとうございます!」

勇者「ところで……」

女騎士「はっ、なんでしょうか!」

勇者「その大鎚……どうしたんです?」

女騎士「これは……その……餅をつこうと思いまして……」

勇者「……」

女騎士「そ、それでは私達はこれでっ!ほら行くぞ!」

幼女「ふえぇ……」



勇者「あ、危なかった……」

勇者「この歳で幼女に殺されると思った」

勇者「死因幼女とか情けなさすぎるだろ」

勇者「でもあの魔法はいったい……」

勇者「そしてあの大鎚で何するつもりだったんだあの人……」

勇者「あ、パンツ濡れてないよな?」

勇者「……」

勇者「セーフ」

村の中だよ

女騎士「ったく、どこをうろついているかと思ったら!」

幼女「ごめんなさーい」

女騎士「あのなぁ、私は結構怒ってるんだぞ?」

幼女「何段階目?」

女騎士「七段階目」

幼女「カンストしとるやないですか……」

女騎士「あれほど無断で外に出るなと言われていたってのに!」

幼女「そ、それは」

女騎士「しかも使うなといった謎魔法も使ってるし!しかも勇者に!」

幼女「そ、その」

女騎士「あとな、簡単に死ねとか言っちゃいけないぞ!そんなこと言うやつは人間が小さいやつだ!」

幼女「私は女騎士さんを思っ」

ダキッ

女騎士「心配したんだからな!バカ野郎!バカ野郎!」

幼女「……」

幼女「ごめん……なさい」

女騎士「ふーっ、ふーっ……すぅ、はぁ」

幼女「あのね、私は女騎士さんが泣いてたから……」

女騎士「は?泣いてた?え?」

幼女「女騎士さん、勇者さんに泣かされたんじゃないの?」

女騎士「え?」

幼女「え?」

女騎士「いや、全然?」

幼女「Oh...」

女騎士「ま、まあ、恥ずかしいところは見られたけどな……あはは」

幼女「!?」ビキビキ

女騎士「でも……そっか」

ギュッ

幼女「!?」

女騎士「最初は、何を興奮していたのか分からなかったが」

女騎士「お前は、私のために怒ってくれてたのか……えへへ……」

女騎士「ありがとうな」

幼女「……うん」

女騎士「さて、いこうか」

幼女「ふえ?」

女騎士「お仕置き部屋だ」

幼女「はい?」

女騎士「といってもお前の家だがな。親にたっぷりと絞られろ」

幼女「な、え、ちょま」

幼女「さっき感謝とかしてくれはりましたやん!」

女騎士「それはそれ、これはこれだ」

幼女「ひどい裏切りをみた」

勇者「あ」

女騎士「あ、勇者様!先程は……!」

勇者「いいですって。それよりそちらに怪我はありませんでしたか?」

女騎士「お陰様でこの子はなんとも」

勇者「そうですか。よかった」

幼女「勇者様、勇者様」

勇者「な、なんだい?」

幼女「しゃがんで、しゃがんで」

勇者「んー?」

幼女「あのねー」

幼女「……オノレ調子ぶっこいてたらマジでぶち転がすからな覚悟しとけよ……」

勇者「」

女騎士「?」

幼女「あのね、勇者様にごめんなさいって言って、これからも頑張ってって言ったの!」

女騎士「そうかそうか。ちゃんと謝れて偉いぞー」

勇者「」

女騎士「それでは勇者様!この子を送らなければならない故、また後日正式に謝罪をさせていただきます!それでは!」

勇者「え、ええ……」

幼女「ばいばーい!」

勇者「ば、ばいばい……」




勇者「漏れたわ」

夜だよ
酒場だよ

女騎士「親父、ぶどう酒」

親父「あいよ!」

女騎士「はあぁ……今日はなんだか散々だったなぁ……」

女騎士「ちょっと幼女に怒りすぎちゃったかな……」

女騎士「たんこぶ大丈夫かな……」

女騎士「ああもう!私らしくない!」

親父「おっまたーぶどう酒だよー☆」

女騎士「年頃の乙女かお前は!」

「あはは、お元気そうでなにより」

女騎士「あっ」

勇者「先刻はどうも」

女騎士「えっと、あの」

ガタタ

勇者「ああ、立たなくても大丈夫ですよ。それより、相席よろしいですか?」

女騎士「は、はい!」

勇者「親父さん、俺にも一つ彼女と同じものを」

親父「あいよ!」

女騎士「あ、あの、すぐ帰りますんで!私なんかと相席で申し訳ありません!」

勇者「いえいえ、今日は貴女を探してここにきたんです」

女騎士「えっ」

勇者「今日の件、覚えてますよね?」

女騎士「はい……。しかしあれは私のミスで!」

勇者「女騎士さんならそういうと思ってましたよ」

女騎士「?」

勇者「今晩は責任をとってもらいます」

女騎士「責任……ですか」ギュッ

勇者「なーんて、そんな大したもんじゃありませんよ。今晩飲みに付き合ってくれたらそれでチャラです」

女騎士「えっ」

勇者「ねっ」

女騎士「いいん……ですか?」

勇者「はい」

女騎士「うそじゃないですよね?」

勇者「もちろん」

親父「あいよっ!苦汁!」

勇者「うそだろ……」

親父「冗談だよ!」

勇者「びっくりした……」

親父「でもあんまり女騎士ちゃんをからかうなよぉ?その子見掛けによらず初心だから」

女騎士「ちょっと!何言ってんだハゲ!」

親父「ハゲじゃないですー村長よりありますー」

勇者「あはは……」

女騎士「あ、す、すみません!騒いじゃって!」

勇者「いえ、お気になさらず……というか、もう少し砕けた感じでいきましょうよ」

女騎士「えっ、そんな、恐れ多い……」

勇者「俺はもう勇者の衣から着替えて私服です。貴女も今は私服でしょう?」

女騎士「まあ……今日の夜は自警団が警備していますから」

勇者「ね?俺達は今日出逢った知らないもの同士。ただたまたま気が合った二人ってな感じでいきましょう」

女騎士「ううーん?」

勇者「慣れなかったらまだ敬語のままでいいですから。ただ、堅苦しい反応を止めてもらうだけでいいので」

女騎士「そ、そこまで勇者様がおっしゃるのでしたら……」

勇者「そうこなくっちゃ!」

女騎士「あはは……」

勇者「あ、そういえば……」

キョロキョロ

女騎士「どうしました?」

勇者「いえ、幼女ちゃんはいるかなーと」

女騎士「?彼女は先の一件で今は自宅で謹慎中です」

勇者「そ、そうですか……」ホッ

女騎士「?」

勇者「まあまあ、気にしないで気にしないで!」

女騎士「え、ええ……」

ソワソワ

勇者「どうしました?」

女騎士「あ、いや、その」

勇者「あー…なるほど」

勇者「これでしょ?」

女騎士「あ……タバコ……」

女騎士「いえ!そのようなことは!」

勇者「ふふ、別に変なことじゃありませんよタバコなんて。女騎士さんが吸っててもいいじゃないですか」

女騎士「うう」

勇者「目が泳いでますよー?」

女騎士「……」

勇者「素直になっちゃいましょうよ。ここだけの秘密ってことで」

女騎士「……」

勇者「一本どうぞ?」

女騎士「いただきます……」

勇者「えっと、火打石火打石」

女騎士「どうぞ」

勇者「あっ、どうも。ってさっきは気付かなかったけど、魔法なんですねそれ」

女騎士「はい」

勇者「器用ですねー」

女騎士「これで最大火力なんです……」

勇者「あー……」

勇者「ま、ものは使いようっていいますし、これはこれで最大限活用されてますよ!」

女騎士「ありがとうございます……」カアア

勇者「ささ、乾杯しましょう乾杯」

女騎士「はい。乾杯」

勇者「かんぱーい!」

グビッグビッグビッ
グビッグビッグビッ

女騎士「ぷはぁー!」

勇者「ぷはぁー!」

女騎士「あ」

勇者「え」

女騎士「ふふ」

勇者「あはは」

深夜だよ

勇者「なーにもってんの?なーんでもってんの?飲み足りないからもってんの!」

女騎士「それイッキイッキイッキ!」

親父「ゴッゴッゴッ」

親父「おらぁ!」ドンッ

勇者「いぇーい!」

女騎士「プぅァーフェクト!!」

もっと深夜だよ

女騎士「あの子はなぁ!まだこの村に馴染めなかった私に最初になついてくれた子なんだ!」

勇者「うんうん」

女騎士「皆最初は騎士だからって怖がってた……私も皆に歩み寄れなくて塞ぎ込んでた!」

勇者「わかるわかる」

女騎士「幼女が架け橋になってくれたんだ!」

親父「せやなぁ」

凄く深夜だよ

女騎士「私がなんでこんなとこに左遷されたと思う?」

勇者「さあ?」

女騎士「中央でも剣技の腕を買われてた私がどうしてだと思う!?」

親父「おっぱいあんまり大きくないから?」

女騎士「普通にあるわじゃがいもが!」

親父「ふえぇ……」

勇者「ど、どうしてなの?」

女騎士「こっちが聞きたいわ!生まれてからきまってんだよ身体的特長は!」

勇者「いや、そっちじゃなくて」

女騎士「ああ、そっちね」

勇者「う、うん」

女騎士「上官に情事を持ちかけられたんだよ」

勇者「!?」

親父「おほっ」

女騎士「まー、ちょっとした色情魔でなソイツ。悪い噂はかねがね聞いてはいたんだよ」

女騎士「そんである日私に白羽の矢がたったわけ」

勇者「……それで?」

女騎士「丁重にお断りしたよ。あんなんに抱かれて取った地位には何の価値もない」

女騎士「ま、その結果、お怒りに触れて、いろいろ根回しされて、いろいろあって、左遷ってわけ」

勇者「それは……なんというか」

女騎士「クズさ。でも、私じゃもうどうしようもなかった。周りは上官の話を信じて私に冷めた目線を送る」

女騎士「私のもともとの性格はいわゆる『騎士様』とはかけ離れてたしな。それを知ってる人からはさらに嘲笑されたさ」

女騎士「運命の分かれ道からこっちにくる数日間、地獄だったよ」

勇者「……」

女騎士「それも含めて、私はここに到着当初落ち込んでたってわけ」

勇者「そんなことが……」

女騎士「ま、今となってはこっちにきて清々してるがな!」

女騎士「さあ、飲もうぜ飲もうぜ!」

勇者「お、おう!」

随分深夜だよ

女騎士「おーい、起きろー!」

勇者「うえぇ、女騎士さん酒強すぎでしょ……」

女騎士「お前が弱いんだよ」

女騎士「ほら立て」

勇者「……立てない」

女騎士「おーい!勇者様情けなさすぎるだろー!」

親父「女騎士ちゃん、もうこいつ宿屋まで運んでやって」

女騎士「しょーがねぇなもう。ほら肩貸してやるから立て」

親父「代金また今度でいいから」

女騎士「おっ、さーんきゅ♪」

女騎士「そいじゃごちそーさーん」

親父「またこいよなー」

外だよ

勇者「うぃ~」

女騎士「ーったく軟弱なんだから」

勇者「……女騎士さん」

女騎士「ん?」

勇者「今日で、少しは仲良くなれたかな?」

女騎士「ん、まあ……な」

勇者「……」

女騎士「……」

勇者「ここまででいいよ」

女騎士「大丈夫?歩けるか?部屋までいけるか?」

勇者「宿屋も目と鼻の先だし、もう大分落ち着いた。ありがとう」

女騎士「……ああ、わかった」

勇者「おやすみ」

女騎士「おやすみ。いい夢見ろよ」

次の日

親父「頭いてぇ……」

村長「おう、昨日は随分楽しかったらしいじゃないか」

親父「まぁな、途中から女騎士のよいどれ一人語りさ」

村長「そこまで打ち解けたか」

親父「おう、最初勇者が相席したときの女騎士ちゃんの反応っていったら」

村長「ふひひ」

親父「そんでタバコ一緒に吸ってそこから流れるように……って感じだな」

村長「なるへそ」

数刻後だよ

幼女「こんにちは」

村長「お、こんにちは。もう許しが出たのか」

幼女「そうだよー」

村長「そういやあのあと面白いことがあってな」

幼女「んー?」

村長(……詳しくは知らんが)

村長「勇者様と女騎士が酒場で出逢って、勇者様が棒をちらつかせて女騎士に咥えさせたあげくハッスルして情事問題になって二人で宿屋に行ったんだってよ」

幼女「まことか」

村長「左様にござる」

村長(よー知らんけど)

宿屋だよ

勇者「……いてて。まだ酒残ってるな」

勇者「記憶も何だか曖昧だし、女騎士さんと仲良くなったのは覚えてるんだけどなー」

勇者「可愛かったよな……女騎士さん……」

コンコン

勇者「ん?はーい」

「朝食でございます」

勇者「あ、どうぞ、入ってください」

ガチャ
キィ……

勇者「お、お前は……」

「当店自慢のBreakfastになります」

勇者「あ……あ……」

「どうしました?寒くて身体が震えていますね?私が食べさせてあげましょうか?」

勇者「け、結構です!」

「承知致しました。私がお口に運ばせていただきますね」

勇者「聞いちゃいねぇ」

「まずお口に運ばせていただきますのは……」

幼女「この銀色のフォークだああぁぃああ!!」

勇者「うわああああ!きたあああ!」

コンコン

女騎士「勇者さん、起きてらっしゃいますか?」

幼女「!?」

勇者「ど、どうぞっ!!!」

女騎士「失礼します」

女騎士「あれ、幼女、お前どうしてここに?」

幼女「宿屋の手伝いをしてたんだよ」

女騎士「ほー、そりゃ感心だ。朝食運んでたのか」

幼女「うん。さて、他の人にも配ってくるねー」

女騎士「気を付けろよ」

幼女「あい」

勇者(あっぶね……あの子、日に日にアクティブになってないか?)

女騎士「調子はいかがですか?」

勇者「少し、頭が痛いですね……」

女騎士「そうですか……今、宿屋に言って大量の水と胃腸薬を用意してもらいますね」

勇者「あの」

女騎士「はい?」

勇者「女騎士さん、元気ですね」

女騎士「私は、二日酔いしない体質なもので……」

勇者「へーそうなんだ」

女騎士「そうなんです」

勇者「あはは」

女騎士「ふふふ」

幼女「……これはどーいうことなんです?」

幼女「昨日の間にいったい何が……」

幼女「だいたいハッスルってなに?祭?」

幼女「まずい……まずいよ」

幼女「これ以上あの二人が仲良くなっちゃったら……」

幼女「女騎士さんがこの村から出て行っちゃう……」

幼女「やだよぉ……」

幼女「どうしたらいいんだろ」

幼女「ああは言ってるけど、勇者さんきっと本気出してないし」

幼女「どうにかして二人を引き剥がさないと……」

幼女「あ、そうだ」

幼女「村長に相談しよー」

村長「ほう、そこで俺に相談か」

幼女「うん」

村長「ベストな判断だ」

幼女「何か男の人の地位を落とす方法ない?」

村長「お前さりげなく恐ろしいこと口走ってんな」


村長「ふむ……、これはかなり禁忌な暗黒魔法なんだか……」

幼女「……」ゴクリ

村長「ターゲットの近くに行き、こう叫ぶんだ」

幼女「?」

村長「うわー!誘拐されるー!助けてー!ってな」

幼女「ほほう」

幼女「じゃー、行ってくる」

村長「御武運を」

ガチャ
バタン

村長「あいつら愉快すぎだろ」

ガチャ!
バターン!

村長「おわっ!聞かれてたか!?」

村人「村長!大変です!」

村長「どうした!?ケツでも割れたか!?」

村人「もともと割れてます!」

幼女「失敗した……」

幼女「勇者と女騎士さんが一緒にいるところで発動しちゃ駄目だよね……」

幼女「しかも、二人に走って近づいたから息も上がってて……まるで犯人から逃げてる感じになっちゃったし」

幼女「女騎士さんが血相変えて『どんな奴だった!?』って聞くから咄嗟にハゲって答えちゃったし……」

幼女「二人で走って何処か行っちゃったし……」

幼女「でも女騎士さんに心配されるのはちょっと嬉しかったかも」

幼女「なんちて」

村長の家だよ

勇者「村長!ハゲを見ませんでしたか!」

村長「なに?わざわざ俺ん家に喧嘩売りにきたんです?」

勇者「あ、いや……さっき幼女ちゃんが誘拐犯に襲われたらしくて……女騎士さんは別のところを捜索中です」

村長(失敗したか……)

勇者「?」

村長「ああ、いや。それよりも聞いてくれ」

勇者「それよりって……」

村長「どうやら野盗の集団がここらをうろつき始めているらしい」

勇者「なんですって!?」

村長「どこからか流れ着いてきたようで。規模はそう大きくはないらしいが魔物を飼っているという噂まで流れてる」

勇者「……」

村長「奴等の活動範囲は恐らく……」

勇者「ここも含まれる……」

村長「そういうことになるな」

勇者「くそっ……!」

村長「勇者様、もう少しこの村にいては下さらぬか」

勇者「もちろん……もちろんですとも!」

村長「ありがたい」

勇者「女騎士さんに知らせなきゃ!」

村長「頼んだよ」

勇者「はい!」

ガチャ!!
バタン!!

村長「……」

村長「勇者君は若いね~」

村長「とっとと、野盗の件はガチだからいろいろ準備せんと……」

村長「自警団も強化せな」

村の入口だよ

女騎士「誘拐犯探してきてみたら……」

女騎士「なんだこいつら」

野盗1「ちっ……騎士がいんのかよ」

野盗2「お、こいつなかなかべっぴんさんだぜ」

野盗3「あんま騒ぐなよ。俺らはあくまで斥候だ」

女騎士「お前ら、いかにもってツラしてんな」

野盗2「あ?」

女騎士「幼女を誘拐しようとしただろ!」

野盗1「は?」

女騎士「お前らハゲてるし」

野盗1「これは剃ってんの!ファッション!」

野盗2「いきなり失礼だね君!」

女騎士「それはそれとして何の用だ」

野盗1(流したよこいつ……)

野盗3「俺らは只の通りすがりでさぁ。仲良し三人組ってね」

女騎士「ほう……」

勇者「女騎士さーん!」

野盗ら「!?」

野盗1(あいつは……!)

女騎士「どうしました?勇者さん」

勇者「野盗が!最近になって野盗がこの辺に……ってお前らは!?」

野盗2「げっ」

女騎士「やはり野盗だったか。てめぇらうちの村の子誘拐しようとした罪は重いぞ……」

スラリ

勇者「こんなに早く来るなんて……情報が遅かったのか……?」

スッ

野盗3「やべぇなこれ」

野盗3「しょうがねぇ、おい野盗1お前一番足速いんだから逃げろ」

野盗2「えっ」

野盗1「よっしゃまかせろ!」

バビュン

野盗2「マジかよ……」

野盗3「戦闘準備だ。奴ら、素直に返してくれるとは思わん」

カチャ

野盗2「幸先わりぃなぁ……」

カチャ

女騎士「安心しろ殺しはしない……」

女騎士「お前らの住処を吐いてもらう為にもなぁ!」

~~~~~

女騎士「弱すぎだろ」

野盗2「あんたらが強いんだよ……」

勇者(女騎士さん強いな)

女騎士「さ、詳しい話は村で聞こうか」

野盗2「おい野盗3!お前さっき格好よく野盗1送り出したんだからもうちょっと頑張れよ!」

野盗3「うーむ」

野盗2「一番強そうなオーラ出してただろ!瞬殺されてどうすんだよ!」

野盗3「相手が悪すぎだ……勇者たちいるんだぞ……」

勇者「さあ、こっちにこい」

一方では
村の中だよ

盗賊(あいつら三人が正面から、俺は裏からってね)

盗賊(だいたい村の地形は把握したかな)

盗賊(あとは適当に金目のもんでも取って帰るか)

盗賊(おっ)

幼女「~♪」

盗賊(いいもんみっけ)

盗賊(眠り粉はっと……)

盗賊(うし)

盗賊(周りに人はいないな……)

盗賊(おっけ)

幼女(女騎士さん最近勇者といること多いから寂しいな……)

盗賊「そい」バッ

幼女「!?」

幼女「な、なひぃ!?ゆ、ゆうぱっ!うぱっ!……zzz」

盗賊(楽勝)

盗賊(この子は袋に入れてと)

盗賊(さて、帰りますかね)

幼女「zzz」

盗賊(案外軽いもんだな)

スタタ

村人「ん?あれは……?」

数刻後だよ
村長の家だよ

勇者「野盗を捕らえました」

村長「マジかよ早いな」

勇者「情報が遅かったようで、既にこいつらはこの村まできていました。」

村長(ふーむ、幼女の嘘が結果的にいい方向に転んだな)

勇者「女騎士さんは野盗らを仮設牢に連れて行っています」

村長「そっか」

村長「ま、とりあえず今日はゆっくり休みなさい」

勇者「はい」

夜だよ
宿屋だよ

勇者「zzz」

ドンドンドン!!

勇者「zz」

ドンドンドン!!

勇者「……なんだよもう。はーい!」

女騎士「勇者さん!勇者さん!」

勇者「女騎士さん?今開けます」

ガチャ

女騎士「幼女が!幼女が!」

勇者「えっ?」

女騎士「いなくなりました!」

女騎士「夜に幼女の親御さんから連絡がきて、そっちに幼女は行っていないかって……こっちにも来ていないので村を探したんです。でも見付かりませんでした……」

勇者「なんだって……!?」

女騎士「村の外も探して……でもいなくて……」

女騎士「私は!私はどうしたら!」

勇者「落ち着いて、女騎士さん。あとは俺が引き受ける。女騎士は帰って身体を休めて。かなり疲労してるじゃないか」

女騎士「そんな!こんなときに休んでなんか」

勇者「こんなときだからこそだよ」

女騎士「……」

女騎士「分かりました……」

勇者「それじゃ、いってくる!」

野盗の住処だよ

野盗1「頭領!頭領ー!」

頭領「どうした」

野盗1「あの村の連中、もう俺らに気付いていました!しかも何故か勇者までいます!」

頭領「そうか……あいつらは捕まったんだな」

野盗1「へ、へい……」

頭領「どうすっかな……勇者が厄介すぎるな」

野盗1「剣技も魔法も一級でした」

頭領「諦めよっかな」

野盗1「えっ、あいつらは」

頭領「捨て置くしかないだろ」

野盗1「なんと……」

盗賊「ウィース」

頭領「おっ、帰ってきたな。実はあそこの村諦め」

盗賊「いいもん持ってきましたぜ」

幼女「zzz」

頭領「ほう」

幼女「zzz……うーん」

野盗1「あ、起きた」

幼女「……えっ」

幼女「ここどこ?やだ、なに?」

頭領「ここはねー。僕たちのお家だよー」

盗賊「大人しくしてたら何もしないよー」

幼女「やっ!いやっ!」

幼女「むにゃむにゃー!」

ボンッ

盗賊「おわっ!痛てぇ!なんだこれ!」

頭領「紫色の炎?」

幼女「むにゃー!むにゃー!」

ボン
ボン

野盗1「いてっ!いてて!シャレにならないっすよこれ!」

頭領「口押さえろ口!」

幼女「むにもごっ!?」

盗賊「危ねー」

頭領「喋れないと発動できんのかやっぱ」

頭領「猿轡でも咥えさて縛っとけ」

盗賊「あいさ」

幼女「むぐぐー!」

頭領「そんで『あそこ』に放り込んどけ」

野盗1「『あそこ』ですかい?」

頭領「ああ、だが大事な人質だ。壊すなよ」

盗賊「それは奴次第って感じですねぇ」

牢屋

盗賊「ほれ、こん中入っとけ」

ドンッ

幼女「むがっ!」

ガチャン
ガチャリ

野盗1「それじゃ、同居人とごゆっくり~」

盗賊「おーい、こいつ、適当にどうにかしちまってもいいからなー。」

「左様で……」

幼女「!?」

盗賊「じゃーな」

野盗1「そろそろ飯作らねぇと」

盗賊「俺は少し寝るわ」

スタスタ
ガチャ
バタン

幼女「……」

「おい」

幼女「!?」

「そう怖がるな……何もしないさ」

幼女(暗くてよく見えない……)

「不便だろう、静かにすると約束するならその猿轡を外してやろう」

幼女「うむー」コクコク

「よし。じゃあ外すからな。」

ノシノシ

幼女「!?」

カチャリ

オーク「ほら外れた」

幼女「あ……あ……あ……!」フルフル

オーク「おい落ち着け」

幼女「むにゃ!」

ボン!

オーク「あいた!待て!何もしない!落ち着け!」

幼女「……」

オーク「どー、どー」

幼女「ほ、ほんと?」

オーク「本当だ」

オーク「それにしても驚いた……それは太古の呪文じゃないか」

幼女「知ってるの?」

オーク「話で聞いただけだがな……はるか東に存在していた土地の呪文らしい。なんでも魔法防御の類を無視するらしいが……」

幼女「へー。女騎士さんにもらった本を読んだらできたんだよ」

オーク「文献があるのか……!?」

幼女「多分」

幼女「それにしても」

オーク「?」

幼女「襲わないの?」

オーク「ブッ」

幼女「ぐへへ、痛いのは最初だけだ……すぐに気持ち良すぎて自分からねだるようになるさ……ふひひ」

幼女「って言」

オーク「言わんよ」

幼女「えっ」

オーク「言わんよ」

オーク「第一体格差考えてみろ」

幼女「うん」

オーク「俺のエクスカリバー挿したら裂けちゃうよ?」

幼女「んほおおおぉ!!!」

オーク「!?」

幼女「とかなる?」

オーク「ならんよ」

幼女「えっ」

オーク「なる前に裂けるよ」

牢屋の外

「んほおおお!!」

野盗1「おっ、やってるやってる」

盗賊「大丈夫かよ。裂けても知らねぇぞ」

野盗1「大丈夫だろ。最近の子は丈夫だ」

盗賊「それで説明がつくのか……?」

野盗1「中入る?」

盗賊「やだよ絶対グロいじゃん」

野盗1「グロいとか言うなよ!」

牢屋の中だよ

オーク「お前結構冷静だな」

幼女「女騎士さんが助けに来てくれるもん!」

オーク「そうか。それなら安心だな」

幼女「え?」

オーク「……このままここが壊滅してしまえばいい」

幼女「オークさん……」


幼女「自分のものをエクスカリバーって言うのはどうかと思うよ?」

オーク「いまさらそれを掘り返すのもどうかと思うぞ」

オーク「俺はここの連中に買われた奴隷だった」

オーク「最初は力仕事や戦闘だったりしたさ」

オーク「でもな、ある日噂を鵜呑みにした頭領が女を連れてきてな……」

幼女「どんな噂?」

オーク「さっきお前が言ってたようなやつだ。やれ性欲は強いだ見境ないだそれのことしか考えてないだ……」

オーク「これも神の試練なのか」

幼女「ほへー」

オーク「とはいえ、その頃の俺は雇い主に逆らうこともできなかった」

幼女「まさか……」

オーク「そのまさかさ。良心がキリキリと痛んだよ」

オーク「そこから俺は女の人質を可愛がる係になってしまったということだ。奴隷の方がまだマシさ」

幼女「……」

オーク「安心しろ。お前は襲わない。こっちでなんとか誤魔化すさ」

幼女「でも、ばれたらオークさんが……」

オーク「こどもが余計な心配をするな」

幼女「もし……もし解雇されたら!」

オーク「?」

幼女「もしそうなったらうちの村で匿うから!」

オーク「やめとけ」

幼女「なんで!?」

オーク「こんな醜いけだものを歓迎してくれる人間の村なんてないさ。お前の頭がおかしくなったと思われてしまうぞ」

幼女「でも!」

オーク「気にするな……お前の気持ちはとても嬉しい。ありがとう」

幼女「……」

オーク(下手すれば解雇どころか殺される可能性もあるしな)

野盗の住処だよ

頭領「よし、脅迫文書き終わった」

野盗1「ふへへ、楽しみですなぁ」

盗賊「あそこの女騎士、随分可愛いんだろ?はやくお目にかかりたいもんだ」

野盗1「オークにやる前に俺たちが楽しまないとな。あいつの後だとゆるゆるでしょうがねぇ」

盗賊「たしかに」

頭領「これを鳥の足につけて……よし」

頭領「いってこーい」

バサバサバサ

朝だよ
村だよ

勇者「結局見つからなかった……」

勇者「どうしよう。女騎士さん、さらに心配しちゃうじゃないか」

村人「おーい、勇者様ー!」

勇者「どうしました?」

村人「村長が呼んでるってよ。どうやら賊から手紙が届いたらしい」

勇者「!?分かりました!すぐ行きます!」

村長の家だよ

勇者「村長さん!」

村長「来たか……」

勇者「手紙って……!」

村長「ああ、脅迫文だ。村の娘を預かっているそうだ。恐らく幼女のことだろう」

勇者「くっそ!」

ドンッ!

村長「落ち着いてくれ。それに内容はまだある」

勇者「?」

村長「仲間を返せということ、金品を用意しろということ」

勇者「……」

村長「そして……」

村長「武器を持たせずにこの村の女騎士を一人よこせと」

勇者「そんな……!」

村長「やるしかないな」

勇者「この条件を飲むんですか!?」

村長「……」

勇者「もっと他の方法を……!」

村長「……」

勇者「……分かりました。女騎士さんに伝えてきます……」

村長「……」

ガチャ
バタン

村長「……」

村長(嘘から出た真……)

村長(俺預言者になれるんじゃね?)

勇者「女騎士さん!」

女騎士「ゆ、勇者さん……!幼女は!?幼女はどうなりましたか!?」

勇者「実は……斯く斯く然々で」

女騎士「……」

勇者「あの……大丈夫ですか?」

女騎士「……はい。大丈夫です。その話、受けましょう」

勇者「……分かりました。俺の力不足で、申し訳ないです」

女騎士「いえ、これは私の責任でもありますから」

女騎士「村長のところに行きましょう」

数刻後だよ
野盗の住処だよ

頭領「そろそろこねぇかな」

野盗1「めっちゃ楽しみっすねぇ」

盗賊「そういや幼女どうなった?」

野盗1「さあ。ヤられすぎて失神でもしてんじゃねえ?」

盗賊「昨夜はお楽しみでしたねってか」

野盗1「ぶはは」

牢屋の中だよ

幼女「もごご……」

オーク「今外してやるから待ってろ」

カチャ

幼女「ふはぁ!」

オーク「すまん。一応猿轡つけとかないとあいつらに怪しまれてしまうからな」

幼女「ううん、わかってるから大丈夫」

オーク「……お前は強いな」

幼女「将来騎士になるんだもん!これくらいは平気だよ!」

オーク「そうか……」

幼女「それにしても……ちょっと臭いね……」

オーク「すまん……」

オーク「出すもん出しとかないとあいつらに怪しまれてしまうからな……」

幼女「大丈夫だよ!オークさんは私の為にやってくれたんだもん」

オーク「……目はちゃんと瞑っていてくれたか」

幼女「うん!あ、でもなんかブヒイイィイィって言」

オーク「言ってないよ」

幼女「えっ」

オーク「言ってないよ」

数刻後
野盗の住処

野盗2「ただいま帰りました!」

野盗3「迷惑かけてすんませんした!お詫びと言っちゃあなんですが、丸腰の女騎士と金品持ってきましたぜ」

女騎士「……」

頭領「ご苦労だったな。お、中々でかい袋に入れてきたな」

野盗3「へえ、入れられるだけ金品つめたんで中々重たくて……」

野盗1「すげぇな」

盗賊「ほー、女騎士も極上だな」

女騎士「……」キッ

盗賊「おー怖い怖い」

野盗2「あ、あんま刺激しないでやってくだせぇ」

野盗2「縛ってるからいいものの、下手したら暴れますんで……」

女騎士「幼女は……」

頭領「ん?」

女騎士「幼女はどうなった!?無事なのか!?」

野盗1「ああ、生きてはいるよ。生きてはな」

盗賊「昨日は腹一杯タンパク質食ってただろうしな。ふひひ」

盗賊3「なにそれめっちゃ気になる」

女騎士「……!!」

女騎士「お前ら……絶対に許さねぇからな……」

頭領「丸腰で言われても迫力ねぇな。ただの可愛いお嬢ちゃんだ」

女騎士「ボコボコにしてやる……!指の一本や二本で済むと思うなよゲロども……!」

野盗1「ひぃ」

頭領「やっぱちょっと怖いわ」

盗賊「まあまあ、相手は無力だしこっちは優雅に行きましょうや」

女騎士「早く幼女を開放しろ!」

野盗1「まずはお前を楽しんでからだよお嬢ちゃん」

野盗1「そしたら考えてやる」

頭領「おら脱がせ。野盗2」

野盗2「お、俺がやるんですか!?」

頭領「何びびってんだよ。童貞か?」

頭領「女騎士も抵抗したら……わかるよな?」

女騎士「……ゲスが……」

野盗3「ひゃっほい!」

野盗2「……」ゴソゴソ

女騎士「……」

頭領「早くしろよ野盗2。ゆっくり脱がせるのも味はあるが今はそんな趣向を凝らしてる暇はねぇ」

野盗1「綺麗な肌がみえちゃうよ~?」

盗賊「いい乳持ってんじゃねぇか」

野盗2「もう我慢できない……!」

野盗3「おらおら!命乞いしたいなら大人しくしとけ!」

野盗3「それともあれか!?くっ……!殺せ!とかいうのか!?」

女騎士「言わんぞ……」

頭領「お?」

女騎士「絶対に言わんぞおおおおぉぉおおお!!!!」

女騎士「うおおおおぉぉおおお!!」

ブチブチブチ

野盗1「ちょ!縄が!」

頭領「おい野盗2!押さえつけろ!」

野盗2「……」

野盗2「女騎士さん!剣です!」

女騎士「ありがとう!」

盗賊「は!?」

ボワン

勇者「かかったな!」

盗賊「そのためのでかい袋か!」

野盗1「じゃ、じゃあまさか!?」

野盗3「はっはっはっ、いやそんなまさかー」


野盗3「……」

野盗3「レッツパーリィーじゃタコどもー!!」

ボワン

村長「そのまさかだよ!!ハーゲ!!」

村長「縄は脆いから緩く縛ってんの気付かないでやがる!ハゲだと頭悪くなんのかおい!」

野盗1「お前にハゲ言われたないわ!」

頭領「……」

ダッ!

野盗1「あっ!頭領!」

盗賊「ふっ、ここで正体をばらすとは馬鹿な奴らだ。頭領が向かった先はお前らがご執心していた幼女のところさ」

女騎士「!?」

勇者「女騎士さん!追って下さい!こっちは二人で何とかします!」

野盗1「そうはさせるかよ!」

村長「遅くなれー」ズビビ

野盗1「おっ!?」

盗賊「か、体が重く……」

勇者「女騎士さん!」

女騎士「応!」

タッタッタッタッ

勇者「さて、どうしてやろうか……」

村長「ボッコボコじゃボッコボコ」

盗賊「まだ負けたわけじゃねぇよ……!」

野盗1「かかってこいやおらぁ!」

勇者「村長さん!やりましょう!貴方の魔法で援護してください!」

村長「……」

村長「ときに勇者様よ。『魔女の一撃』というものを知っているかね?」

勇者「え?」

勇者「……ぎっくり腰?」

村長「左様」

村長「……なっちゃった……」

勇者「えええぇえ!?」

村長「一歩も動けないんでここで魔法使うわ……」

勇者「あ、はい……」

野盗1「くっそ体が自由に動けば……!」

盗賊「実質二対一みたいなもんだ。やっちまうぞ!」

勇者「そうはいかないさ!」

野盗1「うおおお!!」

盗賊「おらあああ!」

勇者「せりゃあああ!」

村長「うわ腰メッチャ痛い」

牢屋だよ

頭領「おい!」

ガシャン

幼女「!?」

オーク「と、頭領!?いかがいたしやした?」

頭領「今すぐそいつを殺せ!」

オーク「え……!?」

頭領「できるだけ無惨にだ!潰せ!」

幼女「ひっ……!」

頭領「早くしろ!」

オーク「あ、あっしは……」

頭領「命令に従えないのか!このクズ!」

オーク「……」

頭領「怖じ気付きやがって……でかいのは身体だけかよ!豚!」

頭領「もういい俺がやる!」

頭領「鍵開けるまでの間が今からお前の寿命だクソガキ!」

幼女「お、女騎士さん……助けて……」フルフル

バァン!!

女騎士「追い付いたぞ!!」

頭領「ちっ、あいつらは何やってんだ!」

女騎士「幼女!今助けるからな!待ってろ!」

幼女「女騎士さん!」

女騎士「あのクズと怪物、まとめて無力化してやる!」

幼女「あっ……」

オーク「……」

ガチャン

頭領「もう遅いわ、アバズレ!」

女騎士「あっ、牢の中に……!」

幼女「ひゃあ!」

頭領「この剣でガキがぶっ刺されるところを眺めているこった!」

ダッ!

幼女「いやぁあ!!」

女騎士「幼女!!」



ドスッ

幼女「……」フルフル

幼女「?」

幼女「!!」

オーク「……」

頭領「てめぇ!この豚!」

オーク「旦那……諦めませんか。こんなこどもを傷付けちゃあいけない」

頭領「裏切りか貴様ぁ!てめぇも殺してやるぞ!」

オーク「……」

女騎士「お前は袋の鼠ってことだな」

頭領「ぐっ……!」

女騎士「オーク、さっきは怪物なんて言って悪かった!幼女を連れて下がっていてくれ!」

幼女「オークさん、怪我大丈夫?」

オーク「問題ない、ちょっと手に穴が空きかけただけだ。オークは丈夫だからな」

頭領「くそがぁ……!」

女騎士「さあ、決死でかかってこい。今私を殺せばまだ逃げられる可能性はあるぞ?」

頭領「言われなくたって……そうしてやるよ!」

ガキィン!

女騎士「そりゃあ!」

カキィン!




幼女「私にも何か手伝えることないかな……?」

オーク「大人しくしてろ」

女騎士「ちっ、服の中に鎖かたびらかよ」

頭領「鎧も着てないお前とじゃどっちが不利か明白だなぁおい」

女騎士「くそが……!」

頭領「次で決めたる!」

女騎士「かかってこいやオルァ!」





幼女「むにゃ、むにゃーにゃー」

オーク「ん?」

オーク「なんだ?女騎士の剣が紫色に光って……」

女騎士「おらああああああ!」

頭領「ぜやああああああ!!」

ズバァン!!!!



女騎士「……」

頭領「な、何故だ……何故鎖かたびらがこんなに……あっさりと……」

頭領「ぐ……」

バタ

オーク「頭領……」

幼女「やったぁ!成功したぁ!」

女騎士「幼女!」

幼女「女騎士さん!」

ダキッ!!

女騎士「よかった……無事で、本当によかった……。変なことされてないよな?怪我はないか?お腹はすいてないか?痒いところはないか?」

幼女「だ、大丈夫だよぉ……」

女騎士「ん、でもなんか臭いな……」

オーク(やべ。この部屋消臭剤ないんだもんな……)

幼女「そ、そんなことないよ!そんなことより、女騎士さん!本当にありがとう!怖かったよぉ!」

女騎士「ん、そうかそうか。もう大丈夫だ。私が側にいるし、敵もいない」


勇者「女騎士さん!大丈夫ですか!」

勇者「ってうわなんか臭いな……」

幼女「……」

女騎士「勇者さん!こっちは大丈夫、そっちはどうでしたか?」

勇者「こっちも無事です。村長が連中を見張ってます」

勇者(動けないだけだけど……)

女騎士「そうか、よかった……」

頭領「……」

オーク「あの、この人、村で治療してやってくれませんか」

勇者「オーク!?」

チャキ

女騎士「待ってください、このオークは恩人です。敵意はありません」

勇者「そ、そうですか……」

女騎士「しかしどうして?」

オーク「こんな人でも、俺を買ってくれた人なんでね……」

女騎士「ま、もともとそのつもりだけどな」

オーク「?」

女騎士「こいつらには人としてちゃんと裁きを受けてもらう。それが最善だ。」

勇者「うん」

オーク「そうか……」

女騎士「さて、それじゃあ帰るとしますか」

幼女「待って!」

幼女「オークさんはどうするの!?」

勇者「え?」

オーク「どうせ解雇だろうし、俺は……何処か遠いところにでも行こうかな」

幼女「そんな!」

女騎士「……」

女騎士「そういえば、オークはこいつら野盗の片棒を担いでいたことがあったんだよな」

オーク「……ええ」

女騎士「お前も村に連行する」

幼女「!?」

オーク「……」

勇者「倒れた三人と動けない一人も運んでもらおうかな。僕たちだけじゃ運べないし」

オーク「……よろこんで」

幼女「え、え、オークさんに酷いことしないよね?ね?」

女騎士「それは……彼の働きしだいかな」

幼女「……」

女騎士「例えば……村の警備にキチンと従事して反省の色が見えたなら、彼が奴隷で逆らえなかったということで罪は軽くなるだろうな」

オーク「!」

幼女「それって……!」

女騎士「……まあ、幼女の恩人だしな……」

女騎士「私も一人で警備はしんどいんだ」

幼女「女騎士さん!」

女騎士「帰ろう、私たちの村に」

幼女「うん!」





オーク「この人も運ぶんですか?」

勇者「お願い」

女騎士「どうして村長は動けないんだ?」

勇者「魔女の一撃だってさ」

女騎士「??」

村長「ふえぇ……」

幼女「それから村に帰った私たちは村人全員の安堵と喝采の声に迎えられました」

幼女「オークさんを見た人の驚きの声もありました。でも、女騎士さんたちが何とか説明してオークさんをこの村に受け入れてもらえるよう説得してくれたおかげで、オークさんはこの村の警備をするという名目でこの村に住むことになりました。よかったです」

幼女「野盗の人たちも無事捕まり、今は本国からの迎えがくるのを牢屋の中で待っています」

幼女「村長のぎっくり腰はある程度治ったようですが、少し安静にしていた方が良いと言われていました。」

幼女「そして、肝心の女騎士さんと勇者ですが……」

翌日だよ
村の外だよ

勇者「女騎士さん」

女騎士「はい」

勇者「俺と、来てくれませんか?」

女騎士「……」

勇者「貴方程の実力なら、これからの戦い、本当に頼もしいです」

勇者「貴方にならこの背中を預けられる」

勇者「貴方がいれば心強い!」

勇者「そ、それに俺は……」

女騎士「勇者さん」

勇者「はいっ!」

女騎士「そこまで言ってもらえるなんて、本当に嬉しいです」

勇者「そ、それなら……!」

女騎士「それでも……ごめんなさい」

勇者「……」

女騎士「私は……ここを守りたいのです。この素敵な村を。」

女騎士「そして、あの子を」

女騎士「……あの草むらで隠れてるあの子を」



幼女(げっ!バレた!)

村長(何故だ!)

幼女(おめーの光る頭のせいだボケ!)

オーク(こんなこと止めましょうよ……野暮ですよ……)

村長(お前はもうちょっと隠れるとこ選べよ!身体出てんぞ!アイタタ)

勇者「……」

勇者「ぷっ」

勇者「あはは!」

女騎士「?」

勇者「何となくわかっていましたよ。貴方はここを離れるつもりはないってね」

勇者「それに、もし貴方を連れ出したりしたら、いつ奇妙な呪文で呪い殺されるかもわからない」

幼女(……)

勇者「これは、俺なりのケジメです。ここを出ていくためのね」

勇者「あー、スッキリした!」

勇者「……また、ここにきてもいいですか?」

女騎士「もちろん。お待ちしていますよ」

勇者「さて、それじゃあ俺はこれにて。また旅に出ます」

女騎士「……ご武運を」

幼女(大きい荷物……行っちゃうんだ……)

村長(そういや、俺んとこにも挨拶きたな)

オーク(そういうことは早く言ってくださいよ)

勇者「では!」

女騎士「お達者で……!」




幼女「……」

幼女「おい!クソ勇者!」

女騎士「!?」

勇者「な、なんだ!?」

幼女「私がある程度成長してもまだチンタラ世界救ってたらなぁ!」

幼女「しょーがねーから私が手伝ってやんよ!女騎士さんの代わりに!」

女騎士「なっ!?」

勇者「……!」

勇者「はは……」

勇者「おう!!!」

…………

オーク「行ってしまいましたね」

女騎士「そうだな……」

幼女「……」

村長「ねえ誰か腰に湿布貼ってくれない?」

オーク「……」

オーク「もう!しょうがないですね。こっち来てください!」

村長「できれば女の子に貼ってもらいたいなー」

オーク「贅沢言わないでくださいよ」

村長「誰が悲しくてこんなむさい奴に……」

オーク「あんただって頭さむいでしょう!」

村長「あっ、てめっ、今遠回しにハゲって言ったな!?」

女騎士「ふふ、村長は相変わらず面白い人だな」

幼女「……」

女騎士「ん、どうした幼女?」

幼女「あのね、私ね……女騎士さん、行っちゃうと思ってた」

女騎士「なんで?」

幼女「だって、仲良かったし……いつも楽しそうにしてたし……女騎士さん強いし」

女騎士「……」

幼女「だから!女騎士さん、勇者の誘いにはいって言うと思ってた!でも、それもしょうがないかもって思ってた……!」

女騎士「……」

女騎士「あはは、そんなことでお前は悩んでたのか?」

幼女「……」


女騎士「言わんよ」

幼女「えっ」

女騎士「お前が立派になって世界が平和になるまで」

女騎士「言わんよ」

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    ̄ ̄ ̄二二ニ=-
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                           (~)
                         γ´⌒`ヽ
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