幼女「くっ……!殺せ!」
幼女「くっ……!殺せ!」 - SSまとめ速報
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酒場だよ
女騎士「いや、なんかな、最近幼女が冷たいんだよ」
オーク「はあ……」
女騎士「最近、なんだか幼女の機嫌が悪い気がしないか?」
オーク「うーん、俺には普通に見えますけど」
女騎士「もしかして反抗期か!?」
オーク「反抗期にはまだ少し早いでしょう……」
女騎士「じゃあ、いったい何が原因なんだ……」
オーク「女騎士さんの気のせいなんじゃないんですか?」
女騎士「そんなはずはない。だって明らかに近づくなオーラを出しているんだぞ?私が気付かない訳がねえよ」
オーク「俺にはそんなことないと思いますけどねぇ」
女騎士「そうなるとやっぱり……」
オーク「やっぱり?」
女騎士「私が幼女に嫌われてしまった……ということか……」
オーク「……かもしれませんね」
女騎士「……」
オーク「……」
女騎士「……グスッ……」
オーク「ちょちょちょ!泣かないでくださいよ!」
オーク「なんだか俺が泣かせてるみたいじゃないですか!」
村長「どうした?オークのエクスカリバーに女騎士が泣かされたのか?」
オーク「違います」
村長「えっ」
オーク「違いますから」
オーク「実は斯く斯く然々で……」
村長「なるほど、女騎士が幼女に虫けらみたいな視線を送られていると」
女騎士「……!」
オーク「村長さん!言葉を選んでくださいよ!今の彼女、かなり繊細なんですから!」
村長「え?敏感?」
オーク「違います!ああ、もう、話が進まない!」
女騎士「……はぁ……」
村長「冗談冗談。すまんな」
オーク「まったく……」
女騎士「いったい何故なんだ……」
村長「幼女になんかした記憶はないのか?たとえば淫猥な行……」
オーク「村長さん?」
ギロリ
村長「ふえぇ……」
オーク「村長さんは置いておいて」
村長「置いてかれちゃった……」
オーク「ここ最近の記憶を辿ってみましょうよ。幼女関係で」
女騎士「そ、そうだな……そうしてみるか」
村長「楽しみですな……あ、ブドウ酒くれ!」
アイヨ!!
女騎士「いや、しかし……いたって普通に接してしたとは思うんだがな……」
オーク「いいから、いいから」
~回想~
幼女「女騎士さん女騎士さん!」
女騎士「おっ、幼女か。どした?」
幼女「どーしたんでしょう?」
女騎士「ん?」
幼女「……」
ワクワク
女騎士「んー」
女騎士「あー……」
女騎士「……髪形?」
幼女「正解!!」
幼女「どう?どう?」
幼女「これ、女騎士さんとおそろ」
女騎士「うーん、幼女はこっちのおさげの方が似合うんじゃないか?」
幼女「えっ」
女騎士「ほら」
チョイチョイ
女騎士「どうだ。可愛くなった」
幼女「あっ、うん。ありがとう……」
女騎士「うーん、流石は幼女だな。よく似合ってる」
幼女「そ、そうかな……?」
女騎士「そうだぞー」
幼女「え、えへへ……」
~回想終了~
村長「あかんでしょ」
女騎士「えっ」
オーク「これはちょっと……」
女騎士「えっ」
女騎士「な、なんでだよ!?私は幼女の一番似合っている髪形にしてやっただけだぞ?」
オーク「うーん」
村長「お前って男だっけ?」
女騎士「違いますよ!」
オーク「なるほど……おさげの幼女を誉めたときに無言で蹴りいれられたのはそれが原因か……」
村長「俺なんかハゲって言われたぞ」
オーク「それはいつものことでしょう」
村長「あぁん?」
女騎士「つ、つまり、どういうことだ?」
村長「幼女は女騎士と同じ髪形にしたかったってことだろ」
女騎士「……よくわからんな」
オーク「なんと……」
女騎士「だって、髪型を一緒にしたところでだろ?私にあわせて一番似合っている髪形にしないのはもったないじゃないか」
村長「子供はヒーローの真似したがるもんよ」
女騎士「ううむ……」
女騎士「ということはアレもかな……」
~回想~
幼女「女騎士さんこんにちは!」
女騎士「はい、こんにちは」
幼女「ねーねー」
女騎士「ん?」
幼女「タバコ吸いたい」
女騎士「駄目だ」
幼女「えー」
女騎士「えーじゃない」
幼女「じゃあなんで女騎士さんは吸ってるの?」
女騎士「ん、そりゃあ……なんだ。……疲れてるから、かな?」
幼女「なんで疑問系?」
女騎士「まあ、とにかくだ!大人はいいの。子供にはまだ早い」
幼女「大人になったら吸っていいの?」
女騎士「うーん、できたらしない方がいいかな」
幼女「どうして?」
女騎士「タバコの匂いはな、エルフや妖精が嫌うんだ」
幼女「ふーん……」
女騎士「新たな出合いのため、我慢しとけ」
幼女「うん……」
女騎士(それに、私の影響で幼女がタバコ吸い始めたら幼女の親に顔向けできん)
~回想終了~
オーク「それは……まあ、セーフじゃないですかね」
村長「ま、そうだな」
女騎士「これはいいのか」
オーク「いくらなんでも幼女にタバコ吸わせるわけにはいかないですしね」
村長「これはむしろファインプレーだな。そういや俺も幼女にタバコ吸いたいって言われたな」
女騎士「それで、どうしたんです?」
村長「『既に腹が黒いのに肺まで黒くなってどうすんだ。闇属性にでもなりたいの?』って言った」
オーク「なんと……」
村長「そしたら『お前は頭が光属性だもんな。安心だよな』って言われた」
オーク「村長の頭が光属性なのはいつものことでしょう」
村長「んだとこら」
女騎士「人に勧められるものではないからな。タバコ」
オーク「そうですね……」
村長「他はどうなの?」
女騎士「うーん」
女騎士「結構前に幼女が剣の修業をしたいって言ってたこと、覚えているか?」
オーク「ええ」
ごめんね。
そこらへんはまだ初心者でわからないんだ。
~回想~
女騎士「剣を教えてほしい?」
幼女「うん!私強くなりたい」
女騎士「うーん、その気持ちは良いことだし、分かるんだが……」
幼女「?」
女騎士「いや、ちょっと体格が小さすぎると思ってな」
幼女「失礼な!これでも大きくなってますよ!」
女騎士「ほんの数センチじゃないか……。そんなんじゃ剣に振り回されるぞ」
幼女「ぐぬぬ……」
女騎士「それに幼女、お前少し成長遅くないか?」
幼女「なっ!?」
女騎士「周りの皆はもう結構大きくなったりしてるぞ?」
幼女「け、結構気にしてるのに!」
女騎士「あはは、すまんすまん」
幼女「ぶー」
女騎士「まー、そうだな。剣はまだ荷が重いから……短剣の使い方なら少しやってみるか?」
幼女「うん!やる!」
女騎士「じゃあ、教えるが……武器が多少使えるようになるからといって、無謀なことはするなよ?」
幼女「大丈夫!こっちにはこの魔法もあるから!」
幼女「むにゃ!」
ボウッ
女騎士「あの魔法か……なんだか一段と火が強くなってないか?」
幼女「あれから大分勉強したからね」フフン
幼女「こんなこともできるようになったよ!」
幼女「むーにゃ!」
女騎士「お」
シャキーン
女騎士「なんだこれ。……盾か?」
幼女「そうとも言う」
幼女「これはお盆です!」
幼女「この上に色々乗せて運べるんだよ!」
女騎士「ほー……すげぇ」
幼女「でしょー」
女騎士「ところでお前、普通の勉強は?」
幼女「げっ」
女騎士「問題」
幼女「ぐっ」
女騎士「猫に」
幼女「地図」
女騎士「旅でもさせるつもりか?」
女騎士「ぬかに」
幼女「味噌」
女騎士「まんまじゃねぇか」
女騎士「猿も木から」
幼女「ナイフ」
女騎士「猿はアサシンかなんかか?」
女騎士「弘法も」
幼女「筆に夢中」
女騎士「おしい!たしかに夢中ではありそうだが違う!」
女騎士「石橋を叩いて」
幼女「壊す」
女騎士「だからまんまじゃねぇか」
幼女「……」
女騎士「……」
女騎士「21×3は?」
幼女「……」
幼女「ろくじゅう……さん」
女騎士「おっ、正解」
幼女「しゃあ!」
女騎士「河童の」
幼女「遭難」
女騎士「スケールでかいな」
女騎士「……」
幼女「……」
女騎士「頭は悪い方じゃないとは思うんだが……」
幼女「私はまだ本気を出していないだけ」
女騎士「早く出しなさい」
幼女「ぐぬ……」
幼女「魔法ばっかりやってたから……」
女騎士「紫の不思議なやつか?」
幼女「うん……」
女騎士「とは言ったって騎士にはある程度の教養も必要だぞ?そんな特別勉強できなくちゃいけないってことはないが」
幼女「前向きに検討させていただきます……」
女騎士「幼女は運動神経もあんまり良くないからな……」
幼女「……」
女騎士「そうだ!むしろ魔導師として頂点を極めるってのはどうだ!?幼女ならいいとこまでいけると思うぞ!魔法特化ならこれが天職じゃないか?」
幼女「……!」
女騎士「幼女は算数はそこそこできるんだよな?」
幼女「ま、まあ……パズルみたいなものだし」
女騎士「私は魔法が使えないからよくわからないけど、それってかなり強みだろ」
幼女「かなぁ」
女騎士「そうだよ。……なるほど、幼女は魔導師が向いてるかもしれないな」
幼女「で、でも私は女騎士と一緒に」
女騎士「騎士と魔導師だって一緒に戦えるぞ?」
女騎士「そうだ。魔法使いがいいじゃないか。魔法使い」
幼女「……」
~回想終了~
村長「それだな」
オーク「それですね」
女騎士「えっ」
オーク「小さい娘の夢を早々に摘むのはいかんでしょう」
女騎士「だ、だが、そっちの方が有意義に」
村長「子供にそんなこと言ったってわからんよ」
女騎士「ぐっ」
オーク「女騎士さん、子育て失敗するタイプですね」
女騎士「……」
村長「いざ子育てすることになったら俺に任せろ」
オーク「それは一番やっちゃいけない選択肢でしょう」
女騎士「だ、だってあいつ変なところ鋭いだろ?」
村長「言葉遣いとか?」
オーク「ま、まあそれもそうでしょうけど……」
村長「そうだなぁ、たしか教師から幼女の話を聞いたときも結構興味深かったな」
女騎士「?」
村長「いや、最初は幼女をどうしたらいいですかーみたいな感じで相談されたんだけどな」
オーク「なんでまた村長に?」
村長「さあ?たまに幼女と遊んでるからじゃね」
~回想~
教師「はい。じゃあ今日は『どうしたら戦争はなくなるのか』です。皆さんいろいろ考えてみてください」
ガヤガヤガヤ
子供1「はーい!皆が優しい心を持てばいいと思います」
教師「なるほど、そうですね。皆が優しい心を持てば悲しい争いは減るでしょうね。素晴らしい答えです」
子供2「はい!お互いがお互い、譲歩しあえばいいと思います」
教師「そうですね。どちらか一方の要求を押し通すのではなく、平和的に協力するという方法もありますね。素晴らしい」
子供3「あい!むしろお互い会わないようにすればいいと思います!」
教師「ふーむ、出会わなければ争うこともない……少し難しいですが、面白い答えですね」
子供4「うい!バナナはおやつに入れていいと思います!」
教師「そうですね。バナナの処遇をはっきりさせていれば無駄な争いは減るでしょうね。子供4君は授業が終わったあと先生のところに来るように」
幼女「……」
教師「?」
教師「幼女さん?幼女はどう思いますか?」
幼女「戦争は……争いはなくらないと思います」
教師「え?」
ガヤガヤガヤガヤ
教師「静かに!幼女さん?どうしてそう思ったのですか?」
幼女「人は向上心があるから進化していくって聞きました」
幼女「進化していくには向上心が必要なんです。そして、向上心は様々な争いを産む。それが、どんな形でも」
幼女「って女騎士さんが言ってました」
幼女「だから、争いは無くならないと思います」
ガヤガヤガヤガヤ
教師「じゃ、じゃあ戦争は止められないということですか?」
幼女「いいえ」
教師「それではどうするんですか?」
幼女「争いを一つの大会にまとめたらいいと思います」
教師「一つの……大会?」
幼女「はい。争いでも人や動物が傷付かないものにして、それを各国共通の大会にするんです」
教師「それは、どういうものですか?」
幼女「かけっことか、泳ぎとか、ボール投げとかです。これだってお互いを競えるはずです」
教師「ふむ……」
幼女「それで、勝った国がある程度要求できるという」
ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ
子供1「幼女って何言ってるのかよくわかんねーな」
子供2「なんだか生意気だよな。大人ぶってさ」
子供3「ちょっと話しかけにくいよな」
子供4「バナナうめぇ」
ガヤガヤガヤガヤ
教師「静かに!静かに!」
教師「今日はこれでおしまいです。また明日、勉強しましょうね。子供4君はどこからバナナ出したんですか!」
幼女「……」
~回想終了~
村長「とまあ、それで子供たちが幼女に対して距離を取ってるような気がして心配した教師が相談してきたってわけだ」
オーク「子供なりに考えてるんですねぇ……」
村長「脳の何処の部分からそんな考えが絞り出されたのかはわからんがな」
女騎士「……結果的に私が余計なこと言ったからそうなってしまったのだろうか……」
村長「そこら辺は気にしなくても大丈夫だろ。多分」
女騎士「な、なんだかんだでちょっと嬉しいな……はは」
オーク「それはそれとして!幼女のことどうすんですか」
女騎士「あ」
オーク「あ、じゃないでしょーが」
女騎士「やっぱり……謝りに言った方が良いのかな?」
村長「とりあえず自分の無神経さを謝っとけって」
オーク「貴方に無神経って言われたらおしまいですよ……」
村長「んだと、このポーク!」
オーク「オークですよ!そういうところがですよ!」
女騎士「よ、よし!謝りいこう!」
村長「お、がんばー」
オーク「明日の警備俺一人でやっときましょうか?」
女騎士「いや、仕事はこなす。謝るのはその後だ。もしかしたら幼女が遊びに来るかもしれないしな」
オーク「わかりました」
村長「そんじゃま、気付けに今日は酒沢山飲みましょか」
女騎士「がってん!」
オーク「飲み過ぎてグロッキーにならないでくださいよ……」
翌朝だよ
村の入口前だよ
女騎士「さー、こい。幼女こい」
オーク「きますかねぇ……?」
女騎士「来ると信じて待つしかないな……」
オーク「……」
女騎士「こねぇな……」
夜だよ
オーク「今日はもう上がってください」
女騎士「しかし……」
オーク「俺ももう少ししたら上がるんで」
女騎士「分かった」
オーク「幼女、来ませんでしたね」
女騎士「ああ……」
オーク「もしかしたら宿題が忙しいのかもですよ!」
女騎士「そうだったらいいんだが……」
女騎士「村の中を巡回しながら幼女探してみることにするよ」
オーク「分かりました。お気を付けて」
翌日だよ
女騎士「見付からなかった……」
オーク「ま、まあ、夜でしたし、親が厳しかったりするんじゃないですか?」
女騎士「うーん、たしかに幼女の母親は少し厳しいが、父親は旅商人をやっていたせいか中々奔放な人でな」
女騎士「夜になると、たまに幼女が来るんだよ、私の家に。」
女騎士「そういうときは大抵、父親が手引きしているらしい」
オーク「幼女の父親さんは旅商人だったんですね」
女騎士「今はここに根をはっているがな」
女騎士「さて、今日はくるかな?」
オーク「きっと来ますよ」
女騎士「よっしゃ、気合い入れて仕事すんぞー!」
オーク「その調子ですよ!」
女騎士「今なら盗賊でもなんでも倒せる気がする」
オーク「あはは……」
女騎士「こないな」
夜だよ
女騎士「……」
オーク「……」
女騎士「村の巡回いってきまふ……」
オーク「あ、はい」
女騎士「それじゃ」
オーク「お疲れさまです」
オーク(どうすんだこれ……)
翌日だよ
女騎士「これはもう確実に避けられているな」
オーク「たまたまですよ。たまたま」
女騎士「たまたまがこんな続いてたまるか!」
女騎士「これは今度の休日になんとか会わなきゃダメだな……」
村長「おっはー」
オーク「おはようございます」
村長「ちょっと壁建設について相談したいことがあるからオーク借りてくわ」
女騎士「あっ、はい」
オーク「壁建設?」
村長「そそ、村の周りにもうちょっと柵やら壁やらほしいじゃん?だから力仕事してもらおうと思ってな」
オーク「ああ、なるほど」
オーク「それでは少し行ってきます」
女騎士「おう、行ってきな」
女騎士「……」
女騎士「はぁ……」
女騎士「嫌われたのかな……」
女騎士「いやいや、今は余計なことを考えるな」
女騎士「いっそ魔物の一匹や二匹でも出てきてくれたら気がまぐれるっつーのに」
女騎士「ああもう!」
女騎士「はぁ、タバコ吸おう……」
夜だよ
女騎士「ふぅー」
女騎士「オークはまだ帰ってこないのか」
女騎士「というか、私だって力仕事できるのになんであいつだけ……」
女騎士「どっちかが警備してなきゃいけないのはわかってるけどさ」
女騎士「……」
女騎士「ダメだ。もう一本タバコ吸おう」
女騎士「えーっと、あれ、どこやったっけ」
幼女「こんばんは、女騎士さん」
女騎士「よ、よ、幼女!」
幼女「今日も良い夜だねー」
女騎士「あの、あのな、幼女!ちょっとお前に言いたいことが」
幼女「それにしても、まだ仕事中?」
女騎士「えっ、いや、もう終わるところだが……」
幼女「そっか、よかった」
女騎士「?」
幼女「ついてきて」
女騎士「??」
女騎士「い、いや、その前に伝えたいことが」
幼女「いいからいいから」
女騎士「いったいなんだってんだ……」
幼女「ほらいくよー」
女騎士「あ……」
女騎士(自然に手を繋いでくれた……だと……)
村長の家の前だよ
女騎士「……村長の家じゃないか」
幼女「そうだよ」
女騎士「なんでまた?」
幼女「それは入ったら分かるよー」
女騎士「?まさか建設のことについてなのかな」
幼女「さあねー」
幼女「ほらほら、入って入って」
女騎士「お、おう……」
ガチャリ
村長「お誕生日」
オーク「おめでとう」
幼女「ございまーっす!!」
女騎士「……」
女騎士「は?え?お誕生日?」
幼女「お誕生日」
女騎士「誰の?」
幼女「女騎士さんの」
女騎士「私の?」
幼女「うん」
幼女「たしか桜の匂いがする季節だって言ってたよね?」
女騎士「あ、ああ……言ってた気がするな」
幼女「だから、いつも頑張ってる女騎士さんにお誕生日会を開こうと思って」
女騎士「なるほど……」
女騎士「というか」
女騎士「村長!オーク!知ってたのか!?」
村長「いぇーい」
オーク「俺は今日村長に呼び出されたとき初めて知りましたよ」
村長「どうせやるならサプライズにしようと思ってな」
幼女「オークさんは女騎士さんと仕事で一緒にいることが多いからね。口が滑っちゃったら台無しだし」
オーク「なるほど……」
村長「んで、オーク呼んで仕事の話をしたあとに教えたってわけ」
女騎士「それで今の今まで仕事に戻って来なかったということか……」
オーク「そういうことですね」
幼女「えへへ~」
女騎士「?」
幼女「お誕生日といえば!」
女騎士「いえば?」
幼女「やっぱりこれでしょー」
女騎士「お、お、お……」
幼女「プレゼントです!」
女騎士「おおー!!」
女騎士「誕生日プレゼントなんていつぶりだろう……」
幼女「はいどーぞ」
女騎士「あ、ありがとう……!」
幼女「開けてみて?」
女騎士「お、おう」
村長「何がでるかな♪何がでるかな♪」
オーク「実際俺も中身知りませんし、気になりますね」
女騎士「こっ、これは!」
女騎士「木彫りの……人形?」
オーク「渋いな……」
村長「ただの人形じゃないぞー。良く見てみろ」
女騎士「あ……!もしかして、これ、私か!?」
幼女「正解!」
女騎士「ということは、まさか……」
幼女「私の手作りなのです」
オーク「すげぇ……」
女騎士「……」
幼女「あれ?どうしたの、女騎士さん?」
幼女「……あんまり、良くなかった……かな」
女騎士「そんなことない!!」
幼女「!?」
女騎士「そんなことないぞ!!」
女騎士「私は今とっても嬉しい!!」
女騎士「幼女!!」
ダキッ
幼女「わぷっ」
女騎士「ありがとうな!」
女騎士「ありがとうな!!!」
女騎士「手見せてみろ!」
幼女「え、いや、ちょっと……」
女騎士「隠すな、ほらっ」
幼女「あっ」
女騎士「傷だらけじゃないか!よくこんなにもなって作ってくれたよ!」
女騎士「私は幸せもんだ!」
オーク「女騎士さん、キャラぶれてません?」
村長「そんぐらい嬉しいってことだろ」
幼女「ちなみに私の姿の木彫り人形も作ってみたよ」
女騎士「おお!こりゃまた可愛い!」
幼女「えへへ……結構練習したしね」
女騎士「ありがとう、大事にするぞ!」
女騎士「あれ、もしかして、最近私に会いに来なかったり、避けてたのは……」
幼女「うん。木彫りの練習と制作をしてたの。あとは女騎士さんに手の傷見付かったら追求されそうだったし、ぽろっとサプライズのことバレちゃうの嫌だったし」
女騎士「そ、そうだったのか……」
村長「おーい、謝るなら今のうちだぞー」
幼女「?」
女騎士「そうだった……幼女!」
幼女「な、なんでしょう?」
女騎士「すまなかった!この通りだ!」
幼女「えっ」
女騎士「私が無神経過ぎた!ごめんな!」
幼女「あー……」
幼女「いいよ。気にしてないよ」
女騎士「そ、そうか?」
幼女「うん。私の髪の色が女騎士さんみたいな綺麗な金髪じゃないからせめて髪形だけでも真似しようとしたけど、気づ気付いて貰えなかったこととか」
女騎士「ぐっ」
幼女「私の体があんまり成長してないという痛いところを躊躇なく突いてきたこととか」
女騎士「あうっ」
村長「でもあいつ俺の頭皮のことバカにしてない?」
オーク「しっ、余計なこと言ったらまた幼女にどやされますよ。」
幼女「私は騎士を目指したいのに、女騎士さんはしきりに魔導師を推してくることも」
女騎士「うぅ……」
幼女「だいいち、私はまだこの紫呪文しかできないし」
女騎士「そ、そうなのか?」
幼女「うん。なんだか他の魔法とは仕組みが違うみたい」
女騎士「知らなかった……」
幼女「女騎士さんは魔法できないもんね」
女騎士「くっ……」
幼女「まったく……」
女騎士「……」
幼女「ゆるしましょう」
女騎士「えっ」
幼女「私はあなたをゆるしましょう」
女騎士「お……おお……後光が、後光が見える……!」
幼女「私が女騎士さんを嫌いになるわけないじゃない」
女騎士「神よ……!」
村長「あの幼女テクニシャンだな」
オーク「底まで落としておいて一気に上げる……なんて高等テクなんだ……」
村長「あいつの将来いろんな意味で心配だわ俺は」
幼女「ということでこの話はおしまい!」
女騎士「あ、ああ」
幼女「今日は楽しくパーティしよ?」
女騎士「パーティもしてくれるのか?」
村長「といっても、居酒屋でいつも通り飲むだけだけどなー」
オーク「もちろん幼女は酒飲んだらだめだからな」
幼女「わかってるよー。お盆魔法で手伝いもするんだもんね」
幼女「それじゃ、しゅっぱーつ」
女騎士「よしきた」
幼女「あ、そうそう」
女騎士「ん?」
幼女「短剣の使い方でもいいから、また教えてよね」
女騎士「ああ、任せておけ。今度はちゃんと教えるさ」
幼女「やった♪」
女騎士「それにしても、かなり熱心だな。今のうちから練習したいだなんて」
幼女「まあね」
女騎士「そこまで焦らなくても騎士への道は逃げないぞ?」
幼女「んーっとね……」
女騎士「?」
幼女「私」
幼女「旅に出てみたいの」
~幼女反抗期?編end~
おまけだよ
村長「なあ、ポーク……」
オーク「オークです。どうしました?」
村長「なんか、薄くなってると思わねぇか?」
オーク「村長の髪がですか?」
村長「違うわ!もう薄くなるほど残ってないわ!」
オーク「Oh...」
村長「そうじゃなくて、幼女の髪だよ」
オーク「……?少なくはなっていないでしょう」
村長「色のことだよ色の」
オーク「色素?」
村長「前はもうちっと綺麗な茶髪だったじゃねぇか。それが段々赤毛っぽくなってる気がするんだ」
オーク「そうですかね?」
村長「まぁ、ほんの少しだからな」
村長「でだ、俺はあれの原因はあの魔法だと考えている」
オーク「あの紫魔法ですか?」
村長「おう。まだ確証は掴めていないからただの推測だがな」
オーク「……」
幼女「おーい!早く来なよー!ハゲどもー!」
村長「うーい、今いく」
オーク「俺はハゲじゃないからな!」
おまけend
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