にこ「にっこにっこにー！ なんだ、あんただけ？」

希「酷いなーにこっち」

にこ「うーんあんたと話しても……ねぇ」

希「ウチの全てを知ってるなんて……にこっち……」ﾎﾟｯ

にこ「顔赤らめてんじゃないわよ全く」

希「いけずー！」

にこ「はいはい、そーですね」

希「にこっちが冷たいー」

にこ「私は冷たいですよー」

希「ウチ一人やったら嫌やった……？」

にこ「別に、嫌じゃないわよ」

希「じゃあなんでー！」

にこ「うーん……気分？」

希「にこっちが気分でいじめるー！」

にこ「あんたといると結構楽よ、私」

希「えー？」

にこ「気を使わなくて済むからね、あんたには」

希「なんか……照れるやん？」

にこ「そう？　ふつうのことじゃない？」

希「にこっちが余裕なのはちょっと……」

にこ「なによ、私が余裕だったらダメ？」

希「それはウチの役目やん？」

にこ「だから、あんたといると楽なのよ」

にこ「キャラ作らなくてもいいじゃない」

希「あれ、ウチ信用されてる？」

にこ「まぁね」

希「にこっち……」

にこ「希の性格を好きか嫌いかで言ったら」

希「うんうん」

にこ「嫌い」

希「え！　ウチにこっちになんかした！？」

にこ「皆の前で余裕ぶって」

希「うぐっ」

にこ「女神様とか言われて」

希「ぐっ」

にこ「本音を隠すところが嫌い」

希「にこっち手厳しいやん……」

にこ「でも」

にこ「私の初めての友達だから希は好きよ」

希「なんやろ……」

にこ「どうしたの？」

希「喜んでいいか、悩んでいいかわからへん」

にこ「喜べばいいんじゃない？」

希「でも性格嫌われてるからなー」

にこ「じゃあ悲しめば？」

希「にこっち冷たいー！　わしわしするよ！」

にこ「すれば？」

希「今日は手強さが増してる……」

にこ「じゃあ私がわしわしする？」

希「それも一興かも……」

にこ「……マジで！？」

希「お、いつもっぽくなった」

にこ「しまった……」

にこ「でも割りと本音よー？」

希「じゃあ嬉しいかなぁ」

にこ「希がいないと私はこの三年間つまんなかったと思うわ」

希「そう言ってもらえると……」

にこ「あんたとアイドルやるなんて思ってなかってけどね」

希「ウチはずーっと待ってたから……」

にこ「あーあ、もう少し早くあんたを誘えばよかったかな」

希「でもそうだと……」

にこ「あんたは絵里にべったりだったから無理そうね」

希「いや、その絵里ちは……」

にこ「あんたの初めては絵里だから……にこのこと気にすること無いわよ」

希「にこっち」

にこ「ん」

希「今嘘ついたやろ？」

にこ「やっぱりバレるのね」

希「ウチがどれだけにこっちのこと見てたと思うん？」

にこ「……知らない」

希「ふふん」

にこ「でも、あんたは視野は広いけど視野は狭いわ」

希「んー人よりは見てるつもりやけど」

にこ「私たちのことはね」

希「？」

にこ「興味持ったら広いけど、それ以外は狭いってことよ」

希「あぁ……そうやね」

にこ「だから……うーんこれはやめとくわ」

希「言いたいことなんとなくわかったんやけど……」

にこ「じゃあ察しておいて、できるでしょ？」

希「ウチ試されてるん？」

にこ「理解してると思ってるのよ」

にこ「あ、後カードに頼るはやめたら？」

希「結構アイデンティティ奪うこと言ってくるなぁ」

にこ「だってあんたのカード全部ブラフでしょ？」

希「いや、スピリチュアルパワーやで？」

にこ「そういうのいいから」

希「なんでそう思うん？」

にこ「だいたいね、三人でライブ行きたいからってSUNのカードはないでしょ」

希「カードが本当に告げたんやで？」

にこ「SUNと三を掛けるなんてあんただけよ」

希「ウチの精一杯のギャグを……」

にこ「ほら」

希「あっ」

にこ「今のμ’ｓのメンバーなら、あんたの意見通るわよ」

希「でも、ほら」

にこ「んー？」

希「ウチの声が大き過ぎたら……困るやん？」

にこ「なんで？」

希「……ウチは裏方ポジションというか……」ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ

にこ「あんたの嫌いなとこ今出たわよ」

希「尋問やんー！」

にこ「今はにこしか居ないんだから正直に答えなさいよ」

希「私だって怖いものくらいあるよ……？　にこ……」

にこ「ぷぷぷ」

希「なっ！？　ウチが勇気を振り絞ったのに酷いやん！」

にこ「もう少し、私たちを信頼しなさい希」ﾎﾟﾝ

希「……うん」

希「……にこっち質問」

にこ「なに？」

希「これにこっち仕向けたやろ？」

にこ「……」

希「無言ってことは肯定でいいんやな？」

にこ「まー部室なのに誰も来ないのは変に思うわね」

希「なんでこんなことしたん？」

にこ「あんた結構抱えてそうだったからかな」

希「そんなつもりはないんやけどなぁ……」

にこ「μ’ｓメンバーのことに限り、あんたは見えてることが多すぎるのよ」

希「そうかもね」

にこ「私が言うから間違いないわ」

にこ「解決策を授けないところもまどろっこしいかな」

希「ウチは……」

にこ「正解がわかっているなら答えるけど」

にこ「５０：５０の時は答えを言わないで皆に任せるのがその証拠よ」

希「よく見てるなぁにこっち……」

にこ「簡単よ」

希「そう？」

にこ「あんた達が何も考えないなら、そうね」

にこ「絵里の美貌とダンスを使えばすぐに廃校くらい免れたんじゃない？」

希「でもそれはなぁ……」

にこ「絵里が嫌がることも恐らくわかってるだろうし……」

にこ「ま、それがあんたの優しさでもあるんじゃない」

希「ウチがもし提案してたら……絵里ちはやってくれたかな？」

にこ「絵里ならやってくれるわよ、希のこときっと好きだし」

希「ウチもにこっちは好きよ？」

にこ「……ありがと」

にこ「結論から言うけど、もっと素直になれば？」

希「にこっちがそれ言っちゃうかー」

にこ「あーあと……」

希「うん？」

にこ「少しくらい甘えなさい？」

希「えっ」

にこ「希は悩みを言う相手も、心を預けれる相手も少なすぎるのよ」

にこ「多ければいいってもんじゃないけどね」

希「なんかお姉ちゃんみたいやん、にこっち」

にこ「本当にお姉ちゃんだし、一人っ子の希よりは心は広いわよ？」

希「ウチの方が広い！」

にこ「私よ！」

希「私！」

にこ「私！」

「「あははは」」

希「こんなん子どもの争いやん」ﾌﾌ

にこ「そうね、そうかもね」ﾌﾌﾌ

希「にこっち……」

にこ「ん、いいわよ」

希「ありがと……にこ……」ｷﾞｭｯ

にこ「にこの胸はいつでも空いてるから、寂しくなったら来なさい」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

希「無い胸なのに？」ｷｮﾄﾝ

にこ「あんったねー！　そういう雰囲気じゃないでしょ！」ﾑｷｰ

希「にこっち何か期待してたん？」

にこ「にこはなんも期待なんてしてないわよ！」

希「あ」

にこ「そろそろ時間ね、行くわよ希」

希「練習やね！」


にこ「いやー屋上に皆待たせちゃったわ」

希「ウチらひょっとして遅刻やん？」

にこ「ひょっとしてじゃないわ、確定よ」

希「にこっちー」

にこ「にこのせいじゃないでーす！　希が悪いでーす！」

希「あー！　にこっちがウチのせいにしようとしてる！」

ﾊﾞｧﾝ

にこ「にっこにっこにー！　待たせたわね皆！」

希「さぁ、練習始めよかー！」

希（……ありがとね、にこ）



FIN