左翔太郎「米花町に来た」 (75)

「コナンくーん!哀ちゃーん!また明日ねー!」

歩美がいつまでも手を振っている。
明日また学校で会うというのに、何を名残惜しむことがあるのか。

俺が少し歩いて、また後ろを振り向くとまだ笑顔で立っていた。

はは、子供だよなぁ。

灰原が隣で目を細めている。

小学一年生なんだから、仕方ねえか。

最近はあまり事件も無く、平穏な日々が続いている。

「推理オタクの工藤君には、少し退屈かしら?」

悪戯な笑みで俺を見つめる灰原。

「バーロー、んなわけねーだろ。平和が1番だろ?」

「そうね。でも、いつまでも続くとは限らないわ」

まただ。こいつはすぐこういう事を言い出す。

「あのな、そうやってマイナスな事ばっかり考えてっと、気分も沈んだままだぜ?」

「…そうね」

「…灰原、俺との約束、忘れたわけじゃねーんだろ?」

「…」

約束。
過去にした事。

灰原は、俺が守ると。

「…でも、完全とは言えないわ」

それは、黒の組織の事を指しているのだろう。

彼女が子供になる前、宮野志保の時だ。

黒の組織のメンバーで、シェリーとして暗躍していた。

だからこそ、彼女にしかわからない事があるからこそ、それだけ恐ろしいと思えるのだろう。

今でこそ、まだジン達には俺達の事はバレてはいない。

しかし、今この瞬間、バレたとしても、何もおかしくはない。

そして、それは俺達だけではなく、俺達の周りにまで危害が及ぶ。

「貴方や私だけならいいのよ。でも、彼女はどう?」

「…蘭…」

「…いざという時は、見捨てて。貴方は、彼女を守ってあげるのよ」

「………」

全く。こいつは。
デコピンで済ましてやろう。

「いたっ…何よ」

「バーロー。…お前だって守ってやるよ」

「…バカね」

バカだからな。お前も知ってんだろ?

「…ほんと、バカよ」

「そうね、その小さな体でどう守ってくれるのかは知らないけれど、ま、話半分で聞いたげるわ」

相変わらず素直じゃないやつだな。

それに痛いところもついてきやがる。

確かに、こんな体じゃ自分の命すら守れないかもしれないな。

「別に、いじめてるわけじゃないのよ。でも実際問題、今の私達には戦う武器が無さすぎるわ」

悔しいが、それが現実なのだろう。

「俺に、もっと力があればな…」

自分の手を見る。
小学一年生の、小さな手だ。

こんなんじゃ、掴めるものは少ないだろう。

蘭の手でも包められるような、小さな手。

すると、灰原が俺の手を握った。

「灰原…?」

「貴方の手は、人を傷つけるものじゃないわ」

そう言った灰原の顔は、とても優しい顔だった。

「…それに私達は、相棒でしょ?」

「…そうだったな。悪い」

全く、小学一年生が帰り道に話す内容じゃねえな。

さて、蘭が晩飯作ってくれてるし、帰るとすっか。

「じゃな!灰原!」

「ええ。また明日」


「…っと、ここが米花町か。かの有名な眠りの小五郎がいるって所…」

俺の名は左 翔太郎。

風都で数多くのガイアメモリに関する難事件を解決してきた探偵だ。

今回俺が一見なんの関係も無いこの町に来た理由。

全ては一週間前に、照井から呼び出された事から始まった。

「ガイアメモリの裏取引?」

「ああ。過去にガイアメモリを購入した者達の中には、それを使用せずに、他の地域の一般人に倍以上の値段で売りつける者もいたそうだ」

照井はそう言う。
確かに、風都の者でなければ、ガイアメモリを簡単に手にするのは難しいだろう。

それどころか、裏取引されるようなものだ。
ガイアメモリを知らないものの方が多い。

「…そして今回舞台になったのが、その米花町ってことか」

照井は無言で頷いた。

いまだに燻っているガイアメモリの事件。

一体、いつになったら終わるんだろうな。

「安心しな照井。俺が行ってやるよ」

「…すまない」

照井は警察官。
地域外の事には管轄外なので、行く事は出来ないのだ。

そこで、足のきく私立探偵の俺を選んだってことか。

ま、間違いじゃあねえな。

「しかし、目撃情報だけってのは、頼りねえな」

「それに、フィリップもいない。もし何かあれば、俺に連絡をくれ。出来る限りの事はする」

「ああ。任せるぜ」

仕方ない。対策なんてのは、動いてからたてればいいんだ。

「じゃ、行ってくるぜ!」

「…とは言うものの、手がかりが無いんじゃ、な」

しかし、ここにはかの名探偵、毛利小五郎がいる。
ガイアメモリの事は伏せて、助力を求めるのもひとつの手だろう。

「…ん?」

何やら商店街の周りが慌ただしい。

見ると、ああ、成る程。

「近づくんじゃねえ!一歩でも来たらこのガキの命はねえぞ!」

小太りの男が小学一年生くらいの眼鏡の子供を人質にとっている。

大方、盗人かその辺だろう。

その男は、目の前にいる女子高生に向かって吠えていた。

「全く、物騒な町だぜ…『バット』」

よろしく頼むぜ、とバットショットを放る。

すぐさま男のナイフを持った手に激突し、少年が開放された。

「おらっ!」

後は、俺の蹴りで…!?

男を取り押さえようとした時、先の女子高生が思いっきり男の顔面を蹴り飛ばしたのだ。

それもただの蹴りじゃない。

空手のそれだ。

たまらず吹き飛ぶ男。

これじゃ、取り押さえる必要もなさそうだな。

「ほんとにありがとうございました…」

先ほどの空手女子高生は、毛利蘭というらしい。

何かの偶然か、運命のイタズラか。

毛利小五郎の愛娘だというのだ。

そして、さっきのガキンチョはというと。

「ありがとー!おじちゃん!」

「このっ!俺はおじちゃんじゃねえ!お兄さんと呼べ!!」

江戸川コナンというらしい。
変わった名前だな。

ったく礼儀を知らねえガキだぜ。

ま、小学生なら仕方ないか。

「あの、もしよろしければ…」

晩飯をご馳走してくれるようだ。

毛利小五郎に会う口実も出来たんだし、ガキンチョは大目に見てやるか。

「私立探偵、左翔太郎ねぇ…」

…。
俺の目の前にいるのは、本当に数々の難事件を解き明かした眠りの小五郎なのだろうか。

ビール片手に、アイドルが映るテレビに釘付け。

どう見てもただのおっさんだ。

「あんたが眠りの小五郎さんか。一度会ってみたかったぜ」

それに、この名刺。
金ピカで、どれだけ自己顕示欲が強いんだ?

まあ、あえて黙っておこう。

「ほう…この米花町で、怪しい人物ねぇ…」

しかし、本来の目的を伏せて助力を依頼するのも難しいな。

「ああ。確証はねえが、違法な薬物を裏取引してるって噂だ」

それを聞いた時か。
あのガキンチョが一瞬、強張った気がした。

「ね、ねえ!おじちゃん!」

「あー!!だから!俺はお兄さんだっつってんだろ!?」

「お兄さん!!その怪しい人物ってどんな感じの人なの!?」

「しらねぇよ!何の手がかりも無いんだ!それに、あったとしてもお前には教えてやんねーよ!」

しかし、やけに食いついてきやがるな。

何かあんのか?

その日の夜。
米花町のビジネスホテルに泊まっていた俺は、照井からの連絡を受けた。

目撃情報によると、どうやらそいつらは黒づくめの格好で、顔までは分からなかったらしい。

「黒づくめ、ねぇ…何かの組織か?」

何やら大きな事件の予感がしてきたな。

こりゃあ、調べないといけないな。

「へえ…全部話しちゃったのね」

「わ、悪かったって…」

灰原という女の子が工藤に静かに詰め寄っている。

この子にとって素性がバレるというのは、それほどまずい事なのだろう。

「安心しな嬢ちゃん。誰にも話さねえよ。約束する」

嬢ちゃん、と呼んだ瞬間、灰原とやらの顔が変わった。

「子供扱いしないでくれる?」

「あん?」

どう見ても子供なんだけどな。

プライドが高そうな嬢ちゃんだ。

「女の扱いに慣れてないのね。大人の癖に」

「んだとガキゃあ!!」

「あら、図星かしら?」

「この…言わせておけば…」

「まぁまぁ二人ともそこまでじゃよ」

部屋の奥から、恰幅の良い老人が現れる。

あ、もしかしたら。

「あんたが阿笠博士か?」

すると、一つ咳払いをして。

「いかにも!ワシがかの有名な発明家。阿笠博士じゃよ!」

自分で言うか。

しかし中々の発明家というのは間違いないようだ。

「このキック力増強シューズ、だったか?これなんて相当なメカだぜ?」

「君のこのカメラに携帯電話に、そしてこのカエルとカタツムリ。これらには凄まじい技術が詰め込まれているようじゃ。是非とも詳しくしらべさせてほしいのう」






「はは…いつになったら本題に入るんだよ…」

「仕方ないんじゃない?博士もああなったら止まらないわ」

眠い寝る

「拘置所内で不審な死を遂げた須田さん…」

「俺は、ガイアメモリの使用者の犯行だと考えている」

「けど、外傷も無し、毒薬を飲まされた形跡も無し、一体どうやって殺したと言うのかしら?」

「ああ…そこが問題なんだ…フィリップさえいれば、何とかなるんだがな…」

「フィリップ?」

「翔太郎さんの相棒だった人だとさ。今は、…この世にいない」

「…そう」

そうだな。あれからフィリップは俺の前に姿を現していない。

だが、俺だってフィリップに頼りっぱなしではいつまで経っても成長しない。

この事件だけは、何としても俺の力で解決するんだ。

「でも、手がかりなんてあるのかしら?」

灰原が聞いてくる。

はっきり言って、無いな。

「話にならないじゃない」

「分かってるさ。だから、動かなきゃな」

「動くって…」

「捜査は足からだ。また何かあったら報告するぜ」

工藤の顔が苦笑を浮かべているようだが、どうしたのか。

まあ、気にしなくてもいいだろう。

須田の身辺を探ってるうちに、とある廃工場に現れていたとの目撃情報が出てきた。

もしかしたら、ここでガイアメモリの受け渡しが行われていたのか?

そしてそのガイアメモリで須田を殺害したのか?

全く、ひでぇ奴もいたもんだな。

「しかし、問題はどういったガイアメモリなのか…だな」

俺もそれなりにガイアメモリに関しては知識はあるつもりだ。

だが、何の形跡も無しに殺人ができるガイアメモリなんてのは聞いたことが無い。

「こいつぁ…マズイかもな」

これまでに無い強大な敵に、少しだけ身震いしてしまった。

その時だった。

後ろから聞き覚えのある声。

「…随分弱気だな。翔太郎よ」

「…おやっさん…!?」

「せっかく帽子が似合ってきたんだ。そんな弱気な顔するんじゃねえよ」

「…だけどよ、フィリップもいねぇ今、俺一人でどうにかできる相手なのか…」

「…翔太郎。お前は一人じゃねえ。たとえ離れていても、心と心は繋がっているさ。
…持ってけ」

「…これは、スカルメモリと、ダブルドライバー…!?」

「…必ず、役に立つさ」

そう言って、スカル…おやっさんは消えていった。

「おやっさん…ありがとよ…」

それから俺は風都の鳴海探偵事務所に戻り、フィリップが書き殴っていたホワイトボードを見ていた。

フィリップだったら、どうしただろうか。

フィリップだったら、どうやってガイアメモリを調べただろうか。

…いや、そんな事を考えても仕方ねえか。

俺は俺だ。俺にやれる事をやるしかない。

思いつく限りの手がかりをホワイトボードに書いてみた。

「密室、心臓発作、残ったガイアメモリ…」

「もしかしたら、幽霊かも!」

「亜樹子…」

いや、意外と馬鹿にできないかもしれない。

照井に連絡してみることにした。

「あれ?翔太郎くんマジ?」

「ガイアメモリの種類が分かるか…か。一応、財団Xから押収、記録された物の一覧はあるから、見てみてくれ」

「ああ。悪いな」

警察署に行き、照井に頼んだ所、地下室の資料室に案内された。

そこには今まで押収されたガイアメモリが記録されており、これまでにない程の手がかりが掴めることが望めた。

「照井、心臓発作の原因ってのはどういうのがあるか分かるか?」

「専門的な知識は無いが、血液内の酸素が減る事が原因のひとつでもあるようだ」

「…それでいて、密室殺人が可能でかつ誰にも目撃されない方法…」

…はは。どうやら幽霊の仕業じゃねえみたいだな。

「分かったぜ照井。この事件に使用されたガイアメモリの正体が」

さて、後は犯人探しだな。

名探偵君はどうなっているのかな。

「工藤君、妙だと思わない?」

「何でだ?」

灰原がパソコンをいじりながら聞いてくる。

「ジン達がそんな強大な物を手に入れたとしても、彼がそれを使うとは考えられないわ」

「?」

「ガイアメモリは強大な力を手にする事は出来ても、麻薬以上に危険な物なのでしょう?彼らはそんなリスクを負ってまで力を手にするバカじゃないわ」

だとしたら、今回の事件に、奴らは関わっていない、ということか?

「絶対とは言い切れないわ。けれど、別の人間の犯行と考えてもいいかもしれないわね」

「…でも、目撃談もあることだしな」

「そうね。だから、参考程度にしておいてちょうだい」

あくまで、自分達は安全圏で、か。

だとしたら、黒の組織の裏切りか、はたまた黒の組織の名を騙った犯行か。

いや、後者は無いだろう。

黒の組織の存在を知った瞬間殺される筈だ。

俺のように。

いや、俺は奇跡的に助かったけどな。

「きっと今、ジン達も血眼になって犯人を探してると思うわ。だとしたら…」

「奴らを一斉に捕まえられるチャンスってことか!」

すると、いきなり灰原からのデコピンをくらった。

「ってぇ!何すんだよ!」

「バカね。ということは、今この町に彼らがいるかもしれないのよ?あまり大仰な行動はとらないで」

「…でもよ」

「あのね、貴方が捕まれば…」

また説教だ。
あ~あ。長くなりそうだな…。

「アニキ、あの野郎本当にこの町にまだいるんですかい?」

「ああ。それは間違いねぇ。奴は今、あのガイアメモリとかいう物を使ってやがるからな。俺らに会ってもどうとでもなると踏んでやがるんだろう」

「ってことは、随分デカイ面して歩いてるってことですかい?」

「だろうな。いざとなりゃあ、怪人になっちまえばいいんだ。随分強気でいるんだろうよ」

「全く、馬鹿な奴ですぜ。麻薬よりタチの悪いモン持っちまうなんて」

「俺達に力は必要ねえ。いるのはあくまでココだ」

「最低限の武器がありゃあいいってことですかい。間違いありませんぜ」

「しかし、サツより先に奴を始末しとかねえと、ヤバイことになりますぜ」

「分かってるさ。スミノフの野郎、せいぜい首洗って待ってればいい。すぐに始末してやるさ」

pipipi

「…俺だ。…ほう。そうか」

「…誰からですかい?」




「……ご本人からだ」

「!?…なるほど、じゃあ、行くとしますかい…」

「「ヤイバーパンチで敵をくだっけー!」」

「…ん?おい光彦、あのおっさんどうしたんだろうな?」

「え?あ、何だか怪しいですね…」

「凄いキョロキョロして廃工場に入っていったよ?どうしたんだろう…」

「よし!俺たち少年探偵団の出番だな!」

「はい!行きますよ歩美さん!」

「うん!」

「…?どうした光彦?」

『コナン君!今怪しい人物が廃工場に入っていったんです!追跡します!』

「は!?おい!馬鹿!俺が行くまで待ってろ!!」

『あー!そう言ってまた独断専行するつもりでしょ!コナン君ズルいです!今日こそ僕らの力だけで捕まえますからね!』

「おい!光彦!光彦!!…あのバカ!ちょっと行ってくる!!」

「ちょっと待ちなさい」

「何だよ!」

こんな時に何を引き止める必要があるのか。

「…何だか胸騒ぎがするわ。警察に連絡しておくから、貴方はここにいなさい」

「バーロー!間に合わねえだろ!」

「ちょっと工藤君!!…もう!博士!警察に連絡を!それと、あの探偵さんにも!」

「お、おう任せておけ!」

「…!?危ねえ!!…あのクソボウズ!!」

「…おいウォッカ。あんなガキに構ってる暇はねぇ。とにかくスミノフの所に向かえ」

「…へ、へえ」

「…?いや、あのガキ…もしや廃工場に…?」

「あ、コナン!」

「ええ!?もう!?」

「バーロー!お前ら子供の癖に何やろうとしてんだ!!」

「「…自分だって子供の癖に…」」

「うぐっ…だから、警察に任せるとかだな!」

「で、でもぉ…」

「でももクソもねぇよ!もしあいつがやべぇ奴だったらどうすんだ!?人質にとられて終わりだぞ!」

「「…」」

「…!?あ、あれは…!!?」

あれはポルシェ356A。
まさか、黒づくめの組織が…?

「あ、コナン君!!」

「行っちゃ駄目って言ったの、コナンだろ!?」

「あの人達、どう見てもヤバそうだよ!」

三人が俺を取り押さえる。
畜生、確かにこんな体じゃ…!

いや、だけど何とかしなきゃ…!

「あ、コナン君!」

阿笠博士から連絡を受け、急いで廃工場まで向かう。

灰原の予想では、黒づくめの組織とやらに深く関わっている事件である可能性が高いらしい。

だとすると、子供達が危ない。

急いで行かなきゃならねえな。

それに、恐らく犯人もそこにいるはずだ。

「待ってやがれ!俺がとっ捕まえてやるからな!!」

廃工場に着くと、工藤の同級生である子供達三人が震えながら座っていた。

「おい、くど…コナンの奴はどうした!?」

すると、歩美とやらがおそるおそる一つの方向を指差した。

そこには、最悪の結末があった。



「…あのバカ!!」


工藤が、ドーパントに捕まえられていたのだ。

反対方向には、警察。

間違いなく、最悪の事態だった。

「どうしてこうなっちまったんだ!」

話を聞くと、ポルシェに乗ってきた2人組を追おうとした時、丁度警察が来たらしく、その2人組は逃げてしまい、先の不審な男が工藤を人質にとったらしいのだ。

ドーパントになって。

依然、警察の佐藤と高木が拳銃を構え、ドーパント側は工藤を人質に。

現場は完全に緊迫、拮抗していた。

「その子供を離しなさい!でなければ撃つわよ!」

「ほぅ?ならば撃ってみろ!ほれ、ガキにも当たらんようにしてやる!」

「…!!」パァン!!



「…そんな!?」

「ハハハハ!そんな豆鉄砲が効くか!お前らも須藤のようにしてやるさ!」







「…なるほどな、これで説明がついたぜ!」

「お前は!?」

「翔太郎君!?君もここに!?」

「ああ…それよりも、こいつは俺に任せてくれ。それに、こいつがどうやって須藤を殺害したのか、ようやくまとまったよ」

「!?」

「小型の微生物を人間の体内に送ることによって、血液中の酸素を分解、やがて心臓発作を引き起こす。それが出来るガイアメモリ、それは、バクテリアメモリだ!」

「バクテリア、メモリ?」

そういえばこの二人にはガイアメモリの存在はふせていたな。

まあこうなっちまったら仕方ねえ。

「後で詳しく話してやる。バクテリアドーパント、俺がぶっ飛ばしてやるよ…!『ジョーカー!!』」

「…!?お前もガイアメモリを!?」

「…翔太郎くん、君は…?」

「俺は、人々を守る、仮面ライダーさ。…変身!!」

「仮面、ライダー?」

「「わあっ!仮面ヤイバーみたい!!」」

「おい!出てくんなって!!それと俺は仮面ライダーだっての!!…おい、あんたら!あのガキンチョ達頼んだぜ!!」

「!…ええ、分かったわ!その代わり、キチンと話してもらうわよ!?」

「おお、任せとけ!…さぁ、お前の罪を、数えろ!」

「ハッ!しかし、どうするつもりだ?このガキは俺の腕の中だ!生かすも殺すも、俺次第だぜ?」

っと、そうだったな…!あのバカ、今の自分が小学一年生って忘れてんじゃねえのか?

「分かったら、大人しく死んでしまえ!!」

「うわぁっ!!」

「ああっ!翔太郎さんが!!」

「高木君駄目よ!行っては駄目!」

「でもこのままじゃ!」

「いいから、ここは彼に任せなさい!!」

「……ん」

あれ、俺なんで寝てたんだ?

確か、ジンを追って…それから…?

そういえば、いつもより視線が高いな。

というか、誰かに抱えられてるような…。

「!?」

「ん?おおどうやら気がついたようだな!」

「こ、こりゃ何なんだよ!」

「ハハハハ!見ろ!お前のせいであの探偵はボロボロだ!」

「…翔太郎、さん?」

「…お、おおガキンチョ、やっと目が覚めたみたいだな!」

「な、なにがどうなってんだ…?」

「おいく、コナン!何もいわずに俺に付き合え!」

そういえば、何だか右手に違和感があるな…。

「!…これって…!」

「…分かるよな探偵!!」

寝起きの頭をフル稼働させて、右手のガイアメモリを構える。

「今は、俺たちがコンビだ!!『ジョーカー!!』」

「…おお!『スカル!!』」

「「変身!!」」

『スカル!!ジョーカー!!』

「…!?な、何だそれは!!」

「ッハ!てめぇが気にすることじゃねえ、よ!!」ズキュンズキュン!

「ぐわっ!!」

「おい!佐藤、高木!今だ!!」

「「了解!!」」

「しまった!!」

「…これで、ようやく暴れられるぜ」

「…気絶させられた分、きっちりお返ししてやるよ」


「ぐ…!」




「「さあ、お前の罪を数えろ!!」」

「や、やらせるか!!」

「へっ!遅えんだよ!!」

「ぐはぁっ!!」

「おぉガキンチョ!お前やるじゃねえか!」

「だからガキンチョじゃねえっての…」

「高1なんだろ?だったらまだまだガキンチョだよ」

「…う、うっせーよ」

「ま、そろそろ決めにかかるとしようぜ、メモリブレイクだ!」

「メモリブレイク?」

「ああ。二人の呼吸を合わせて必殺技を叩き込むんだ!…あー、そうだな、必殺技は、スカル、んーエクストリームでいいか!」

「何でもいいよそんなん…じゃ、行くぜ!『スカル!!マキシマムドライブ!!』」


「「スカルエクストリーム!!」」

「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!」ドガァァァァン!!

「う…ぐぅっ…」パリィン

「へっ!大したことねえ奴だな…さ、警察へ…!?」

男を連れていこうとした時、かすかに銃弾を発砲する音がした。

手を伸ばそうと思った時には、すでに弾丸は男の頭を撃ち抜いていた。

「!?…くっ!誰だコンチキショー!!」

「ねえ、他の奴らも撃って良いの?」

「…いや、いいさ」

「ですがアニキ、残しちまったら、不味いんじゃないですかい?」

「…所詮見られたのはガキ一人だ。それに気絶したんだし、覚えてねえだろうよ。…後は、俺達なりの礼ってやつさ」

「アニキ…」

「ずらかるぞ、恐らくすぐに嗅ぎつけられる」

「へ、へい!」

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