バルクホルン「宮藤が落ちていたので拾っただけだ」 (81)

501基地 格納庫

美緒「ここにあったか。……よし、まだ使えるな」

芳佳「坂本さん、その人形なんですか?」

美緒「今日の訓練に使うものだ」

リーネ「今日の訓練は確か、応急処置でしたよね」

美緒「そうだ。傷ついた仲間を助ける時、必要になる技能だからな。まぁ、二人とも基礎的なことは十分熟知しているだろうが一応な」

芳佳「それでこの人形を使うんですか?」

美緒「別にリーネを相手に人工呼吸をしても構わんぞ?」

芳佳「え!?」

リーネ「そ、それは……あのぉ……」

美緒「私でも、いいがな」

芳佳「えぇぇ!?」

リーネ「それなら!! それなら私が!!」

芳佳「えぇぇぇ!?」

美緒「はっはっはっは。冗談だ。さぁ、訓練を始めるぞ。二人ともついてこい」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1402336190

芳佳「宮藤芳佳! やります!」

リーネ「がんばって、芳佳ちゃん!」

美緒「では、開始」

芳佳「大丈夫ですかー? ……意識なし! 呼吸なし! 脈……なし!」

美緒「脈はあったほうがいいな」

芳佳「あ、そうですね。リーネちゃん、救護班を呼んできて!!」

リーネ「う、うん!」テテテッ

美緒「……」

芳佳「心臓マッサージを始めます!! いちっ! にっ! さんっ!」グッグッ

美緒「流石は宮藤だ。様になっているな」

芳佳「気道確保! 人工呼吸始めます! ふぅー!! ふぅー!!」

リーネ「芳佳ちゃーん!! 連れてきたよー!!」

ルッキーニ「にゃはー。なにしてるのー?」

芳佳「ありがとう!!」

美緒「おい、ルッキーニは連れてこなくていい」

リーネ「で、でも、より本番に近いほうがいいかなって思って……ごめんなさい……」

美緒「まぁ、いい。ルッキーニもやるか?」

ルッキーニ「やるぅ」

美緒「遊びではないぞ?」

ルッキーニ「はぁーい」

芳佳「それじゃあ、次はリーネちゃんがする?」

リーネ「え!? い、いいの!?」

芳佳「はい、リーネちゃん。どうぞ」

リーネ「リネット・ビショップ!! 応急処置を開始します!!」

美緒「やってくれ」

リーネ「気道確保!」

美緒「飛ばしすぎだ、リーネ。真面目にやれ」

リーネ「ご、ごめんなさい……芳佳ちゃんが人工呼吸したあとだったので……」

ルッキーニ「そーいえばこの人形、ずっと使ってるよね。あたしとシャーリーもこれ使って練習したよー」

美緒「そういえばそうだったな。この人形もかなりの年期か。そろそろ新しいものと交換しなければならないかもしれないな」

リーネ「ふぅー……!! ふぅー……!! ふぅー……!!!」

芳佳「リーネちゃん!! そんなに息を吹き込まなくてもいいんだよ!!」

リーネ「ふぅー……!! ふぅー……!! ぶふぅー……!!! ぶちゅ……ぢゅる……じゅるる……!!!」

芳佳「リーネちゃん!! もういいから!! リーネちゃん!!」

ルッキーニ「あたしが人形役になってもいいけど?」

美緒「そういうわけにはいかんだろう。いつでも訓練できる人形のほうが使い勝手もいい」

ルッキーニ「そっかぁ」

美緒「新たな人形は取り寄せるしかないな。ミーナに頼んでおくか」

ルッキーニ「少佐ぁ。こんなふつーの人形じゃ面白くないし、次に頼むのはもっと面白いのにしよー」

美緒「訓練用の人形だぞ。面白いもなにもないだろう」

ルッキーニ「たとえばぁ、シャーリーそっくりの人形にするとか!」

美緒「何の意味がある?」

ルッキーニ「そっくりだと助けなきゃ!ってみんな思うでしょ? だから」

美緒「確かに訓練にそういった緊迫感を出すのは悪いことではないが」

ルッキーニ「だったら、そうしよ! そっちのほうが絶対に訓練になるもんっ」

リーネ「ぷはぁ!! ふぅ……」

芳佳「リーネちゃん、それだと応急処置にならないよ?」

リーネ「え!? ごめん。加減が分からなくて……。芳佳ちゃん、教えてくれる? この人形を使って」

芳佳「うん。いいよ」

リーネ「ありがとう」

芳佳「えっと。ふぅー……ふぅー……。これぐらい」

リーネ「そうなんだ。次、やってみるね」

ルッキーニ「シャーリーそっくりにするなら、胸とかおっきくしないと」

美緒「意味があるのか?」

ルッキーニ「あるってー」

美緒「しかし、そのような人形は自作でもしなければ存在はしないぞ」

ルッキーニ「だったら作ればいいじゃん」

美緒「簡単に言うな。誰が作れるんだ。全く」

ルッキーニ「材料さえ揃えばできるって! シャーリーに聞いてくる!!」テテテッ

美緒「おい。ルッキーニ。……全く。落ち着きのない奴だ。ところでリーネ、いつまで人工呼吸をするつもりだ? いい加減にしないと唇がふやけるぞ」

リーネ「いちっ! にっ! さんっ!」グッグッグッ

芳佳「そうそう。そんな感じ」

美緒「やはり二人とも知識としては十分だな。あとは本番でもそれが出来ればいい」

リーネ「はい、がんばります」

芳佳「私は魔法でがんばります」

美緒「うむ。では、今日はここまでとする。2時間の休憩をとったあとは飛行訓練だ。いいな」

芳佳・リーネ「「了解!」」

美緒「よし、解散」

芳佳「リーネちゃん、おやつ食べにいこ」

リーネ「うんっ」

美緒「そういえばあの二人、人形の口を一度も消毒していなかったな」

美緒「……まぁ、いいか」

ルッキーニ「こっち、こっち」

シャーリー「はいはい。少佐、ルッキーニから人形のことを聞いたんですけど、ほんとに作るんですか?」

美緒「作ることができるならな。シャーリーならば出来るのか?」

シャーリー「専門外ですよ」

ルッキーニ「えー? むりなのー?」

シャーリー「人形は流石になぁ。そっちのセンスないし」

美緒「ふむ。では、やはり取り寄せることにするか」

ルッキーニ「シャーリー人形欲しいのにぃ」

美緒「欲しいとはなんだ」

ルッキーニ「あ、あははは……。なんでもないです」

シャーリー「この人形かぁ。もう古いですよね。新しいのにするのは賛成ですよ」

美緒「消毒をしているとはいえ、いつまでも同じのでは不衛生でもあるしな」

シャーリー「それもありますね。まぁ、ルッキーニが言うように仲間に似せるのは悪くないと思いますけど」

美緒「ふむ……」

ルッキーニ「この人形を改造しちゃっていうのはどう?」

シャーリー「改造って?」

ルッキーニ「これに色々つけてシャーリーっぽくするの」

美緒「ほう……。それは面白そうだな」

>>7
ルッキーニ「この人形を改造しちゃっていうのはどう?」

ルッキーニ「この人形を改造しちゃうっていうのはどう?」

シャーリー「うーん。これ自体を私に似せるのか」

ルッキーニ「そーそー。それならできそうな気がしない?」

美緒「服とズボンを着せ、カツラを被せればなんとかなりそうだな」

シャーリー「まぁ、確かに……」

ルッキーニ「早速やってみよー!!」

美緒「よし。ルッキーニとシャーリーは使えそうなのを集め、改造しておいてくれ」

シャーリー「分かりました」

ルッキーニ「了解」

美緒「私はこれからミーナとミーティングがあるので協力はできないが、いいか?」

シャーリー「はい。完成したら少佐に見せますよ」

美緒「頼んだぞ」

シャーリー「了解」

ルッキーニ「にゃはぁー。シャーリー人形にしよーっと」

シャーリー「まずは何がいるかな、これ……」

ルッキーニ「とにかく柔らかいの! それ絶対にいるからぁ!!」

食堂

ペリーヌ「応急処置の練習ですか」

リーネ「はい。ちょっと気合が入りすぎて芳佳ちゃんには恥ずかしいところを見せちゃったけど」

芳佳「そんなことないよ。あれぐらい真剣じゃないと訓練にならないよ」

リーネ「ありがとう」

ペリーヌ「たまには宮藤さんもまともなことを言うではありませんか」

芳佳「たまにはってなに!?」

ペリーヌ「しかし、あの訓練用の人形はその……少し古いですからね……」

リーネ「坂本さんが言っていたんですけど、そろそろ新しいのするみたいですよ」

ペリーヌ「まぁ? そうなのですか? それなら良かったですわ」

芳佳「え? なんでですか?」

ペリーヌ「なんでって、消毒していても長年使っていれば、その、少し気持ち悪いでしょう?」

芳佳「そうなの、リーネちゃん? 私は誰のあとでも気にしないけど」

リーネ「私は芳佳ちゃんのあとなら別に」

ペリーヌ「あなたたち……」

格納庫

エイラ「あぁー。訓練、メンドくせー」

サーニャ「眠い……」

シャーリー「やっぱりダメだな。サイズが全然、合わない」

ルッキーニ「えー!?」

エイラ「シャーリー、なにしてんだ?」

サーニャ「おはようございます」

シャーリー「よっ、二人とも。これの改造をね」

エイラ「これって応急処置訓練の人形か」

ルッキーニ「これをね、シャーリーっぽくしようと思って」

サーニャ「そんなことできるの?」

ルッキーニ「ムリみたい」

シャーリー「私より体が小さいからな。どうしたって似ないなぁ」

ルッキーニ「うじゅぅ」

サーニャ「この人形、ルッキーニちゃんよりも少し大きいから……私や芳佳ちゃんの体型に似てるかも……」

シャーリー「そっちでやるか」

エイラ「おい!!! シャーリー!!!」

シャーリー「な、なんだよ?」

エイラ「サーニャにだけは似せるなよ。似せたら怒るからなぁ」

シャーリー「もう半分怒ってるだろ」

エイラ「いいか!! 絶対だぞ!! 似せたら私が貰うからな!!」

シャーリー「分かった、分かった。落ち着けよ」

サーニャ「エイラ、私じゃ嫌なの?」

エイラ「いくら人形でもサーニャに似てるのは嫌だ。考えても見ろ。サーニャに似た人形が色んなやつに嘗め回されるんだぞ? 想像しただけで鳥肌が……」

シャーリー「嘗め回したりはしないだろ」

ルッキーニ「じゃあ、芳佳っぽくする?」

シャーリー「改造するならそれしかないな」

ルッキーニ「シャーリーがよかったのにぃ」

エイラ「あ、リーネじゃダメか?」

サーニャ「エイラ……?」

ミーティングルーム

ミーナ「あの人形を新調するのね。分かったわ」

美緒「それも改造できればいいんだがな」

ミーナ「私はいいと思うけれど、誰かに似せて似せられた本人が嫌な思いをしないか心配ね」

美緒「訓練に使われるだけだ。何も問題はあるまい」

ミーナ「でも……その……人工呼吸をするわけだし……色々とね……」

美緒「それがどうした?」

ミーナ「……」

バルクホルン「――ミーナ。任務は無事終了した」

エーリカ「つかれたぁ」

美緒「任務、ご苦労。報告書はいつもの場所に置いていてくれ」

バルクホルン「了解」

エーリカ「トゥルーデ、もう休んでいい?」

バルクホルン「2時間だけだぞ。そのあとは訓練だ」

エーリカ「えー? 2時間じゃ休憩した気にならないんだけど」

食堂

ペリーヌ「そろそろ行きましょうか」

芳佳「私たちもいかないと。訓練の時間だ」

リーネ「そうだね。いこっか」

シャーリー「お、宮藤。ここにいたのか」

芳佳「どうしたんですか?」

シャーリー「宮藤の服、一着だけ貸してくれないか?」

芳佳「何に使うんですか?」

シャーリー「あの人形の改造のために必要なんだよ」

リーネ「それって……」

ペリーヌ「シャーリーさん? あれは訓練用のものですのよ? あまりおかしなことはしないようにお願いします」

シャーリー「少佐からの命令だ。妥協はできない」

ペリーヌ「少佐の? なら、仕方ありませんわね」

芳佳「あのぉ……。改造って……?」

シャーリー「あの人形を宮藤っぽくしようと思ってさ。体型も似てるし」

芳佳「わ、私っぽくしちゃうんですか!?」

リーネ「シャーリーさん!! やめてください!!」

シャーリー「嫌か?」

芳佳「嫌というか、恥ずかしいというか……」

リーネ「あ、あの。どうせ似せるなら私とか……」

シャーリー「それも考えたけど、リーネでは若干大きいんだよ。宮藤かサーニャでないとしっくりこなくて」

リーネ「そ、そうですか」

ペリーヌ「いいではありませんか。仲間を模した人形なら普段と違った雰囲気で訓練もできるでしょうし」

シャーリー「ああ、私もそう思う。だから、協力してくれよ」

芳佳「うーん……。坂本さんの命令なら、仕方ないですね」

シャーリー「ありがとう、宮藤。助かる」

芳佳「あの。服と言っても予備の扶桑の服しかないんですけど」

シャーリー「それでいいよ。より一層扶桑の宮藤って感じがでるからね」

芳佳「わかりました。すぐに持ってきますね」

リーネ「芳佳ちゃん……」

格納庫

エイラ「この髪をはねさせれば宮藤になるな」

サーニャ「耳と尻尾はこの辺りでいいかしら?」

ルッキーニ「芳佳の胸はこれぐらいだよね」

エイラ「それぐらいダナ」

シャーリー「おーい。服、借りてきたぞー」

ルッキーニ「おぉー。扶桑のボディースーツだぁ」

シャーリー「着せるの手伝ってくれ」

ルッキーニ「あいっ」

ペリーヌ「こ、これは……!?」

エイラ「どうだ? 結構似てるだろ?」

芳佳「なにこれ、すごい!! 私だ!!」

リーネ「ぱっと見ただけだと芳佳ちゃんにしか見えない……」

シャーリー「ふーん……!!」ググッ

ルッキーニ「やた! 着せられた!! かん、せいっ!! 訓練用等身大芳佳人形ー!!」

エイラ「宮藤、ちょっと人形の隣に寝てみろって」

芳佳「こうですか?」

リーネ「わぁ……」

芳佳「どうなの?」

サーニャ「そっくり。肌の色だけは人形のほうが白いけど」

シャーリー「まぁ、常に耳と尻尾が出ている状態だし、肌の色も違うからすぐに偽者だって分かるだろうけど」

芳佳「なんだか不思議な気分ですね」

ペリーヌ「もともと応急処置訓練の人形ですから感触も柔らかく、人間のそれっぽいですわね」プニプニッ

ルッキーニ「胸もちゃんと芳佳そっくりしておいたよー。このザンネン感」モミモミ

芳佳「ザンネン感ってなに!?」

リーネ「今度からこの人形で訓練をするんですね……」

ペリーヌ「ちょっと躊躇ってしまいそう」

シャーリー「何いってるんだ。宮藤を助けると思えば訓練に身が入るだろ?」

ルッキーニ「うーん……。ザンネン……」モミモミ

芳佳「ルッキーニちゃん!! 悲しそうに人形を触らないで!!」

リーネ「見ているだけでいけない気分になってきますね」

エイラ「これがサーニャ似だったら、即部屋にもって帰ってるな」

サーニャ「エイラ……。私に似た人形で何をするの?」

エイラ「え? そんなの決まってるだろ? 訓練だ。人工呼吸の」

サーニャ「そう。なら、いいけど」

美緒「楽しそうだな。何をしている?」

シャーリー「少佐。見てください。出来上がりましたよ」

美緒「なに? 見せてくれ」

ルッキーニ「じゃじゃぁーん!! 等身大芳佳人形ー!!」

美緒「な……。ここまで似せたのか……」

シャーリー「触ってみます?」

美緒「どれ……」ギュッ

美緒「ふむ。宮藤を抱いている気分になるな」

芳佳「えぇぇ!? そうなんですか!? あぁ、急に恥ずかしくなってきちゃった……」

ペリーヌ(わたくしに似せてもらえばよかったですわ……!!)

美緒「扶桑の制服も着せてみるか。宮藤」

芳佳「でも、これしかなくて」

美緒「はっはっはっは。気にするな。今だけだ」

芳佳「わかりました……」スルッ

芳佳「よいしょっと」

美緒「おぉ。まるで宮藤が二人いるようだな」

ルッキーニ「これ遠くからみたらわかんないよね」

エイラ「いい出来だな。大尉とか驚くんじゃないか?」

サーニャ「悪戯に使っちゃダメよ」

エイラ「わ、わかってるって」

シャーリー「とりあえず、これでいいですよね、少佐?」

美緒「ああ。文句はない。この出来ならば訓練での気分もかなり違ってくるな」

リーネ「あ、あの! さっそく訓練しませんか!?」

美緒「ん? そうだな。やるか」

リーネ「は、はい!! がんばります!!」

美緒「では、宮藤とリーネはユニットを装着してこい」

芳佳「はいっ!!」

リーネ「え!?」

美緒「どうした?」

リーネ「い、いえ……」

芳佳「いこ!! リーネちゃん!!」

リーネ「う、うん」

美緒「さー! 訓練だ、訓練!! はっはっはっは!!!」

シャーリー「私もユニットの調整するかな」

ルッキーニ「あたしもいくー!!」

シャーリー「おー。じゃあ、ちょっと手伝ってくれよ」

ルッキーニ「あいっ!!」

サーニャ「エイラ、私たちも訓練始めないと」

エイラ「うぇ、そうだった。それじゃ、ランニングからやるか」

サーニャ「ええ、行きましょう」

エーリカ「もっと寝かせてよぉ」

バルクホルン「そんなわけに行くか。訓練も任務のうちだ。さっさと準備をしろ」

エーリカ「はぁい……」

バルクホルン「ハルトマンだけはいつまでたっても……」

バルクホルン「ん? あれは宮藤か? ハンガーで寝るとは何を考えているんだ」

バルクホルン「おい!! 宮藤!! 起きろ!!! おい!!」

バルクホルン「聞こえないのか!!!」

バルクホルン(ピクリともしない……。まさか、何かの発作か!?)

バルクホルン「宮藤!!! どうした!? 何か体に異変で――」ギュッ

バルクホルン「こ、これは……!? 宮藤ではない……!! 人形……!?」

バルクホルン「……」プニプニッ

バルクホルン「等身大の宮藤の人形が何故、こんなところに。誰かが落としていったのか?」

バルクホルン「……」ギュッ

バルクホルン「この感触、抱き心地……。う……うぅ……」

バルクホルン「……」スリスリ

シャーリー「あ。宮藤人形、誰か片付けたか?」

ルッキーニ「さぁ?」

シャーリー「置きっぱなしはまずいだろ。宮藤が寝てるようにしか見えないんだし」

ルッキーニ「そだね。回収しないと」

シャーリー「戻るか」

ルッキーニ「はぁーい」

エーリカ「おーい、トゥルーデー。どこー?」

シャーリー「ハルトマン、なにしてるんだ?」

エーリカ「トゥルーデ、見なかった? 今から訓練なのにいなくなちゃって」

シャーリー「いや、見てないぞ?」

エーリカ「おかしいなぁ……」

ルッキーニ「あれ!?」

シャーリー「どうした?」

ルッキーニ「芳佳人形なくなってる!!」

シャーリー「なんだって?」

ルッキーニ「エイラかペリーヌが片付けてくれたのかなぁ?」

シャーリー「それならいいんだけど」

エーリカ「なんのこと?」

シャーリー「ああ。少佐の命令でさ応急処置訓練用の人形を宮藤そっくりに改造したんだよ。そのほうが気分がでるからって」

エーリカ「へぇー。で、その人形がないの?」

シャーリー「まぁ、一緒にいたエイラかサーニャかペリーヌが片付けてるとは思うけど」

エーリカ「どんな出来なの?」

ルッキーニ「もうね芳佳がもう1人いるみたいな感じ」

エーリカ「すごいじゃん。見せてよ」

シャーリー「どこに片付けたのか分からないからな」

ルッキーニ「あっちの倉庫じゃないの?」

シャーリー「そうだな。そこぐらいしかないよな」

ルッキーニ「ちょっと見てくるー」

エーリカ「私そっくりにはできなかったの?」

シャーリー「言われてみれば、ハルトマンでもいけたかもしれないな」

エーリカ「それでみんなして可愛い私の唇を奪いあうんだろ? エーリカ、困る」

シャーリー「何言ってんだよ」

ルッキーニ「シャーリー!! なかったー!!」

シャーリー「えぇ? おいおい。どこにやったんだ?」

ルッキーニ「エイラとサーニャに聞いてこよっか?」

シャーリー「そうしてくれ。もし紛失なんてしてたら大変だ」

エーリカ「ミーナとトゥルーデはそういうのに厳しいからね」

ルッキーニ「ひぃぃ……!! ミーナ中佐のお仕置きはやだぁ……!!」

シャーリー「私はペリーヌを捜して訊いて来る」

ルッキーニ「わかったー」

シャーリー「そういうわけだ、ハルトマン。ちょっと待っててくれ」

エーリカ「うん。楽しみにしてる」

シャーリー「じゃ、行って来る」

ルッキーニ「エイラー!! サーニャー!!」テテテッ

エーリカ「私もトゥルーデさがそーっと」

通路

ミーナ「はぁ……。やっと書類整理が終わったわ。お風呂にでも入りましょうか」

バルクホルン「ふぅ……」

ミーナ「トゥルーデ」

バルクホルン「なっ……!?」ビクッ

ミーナ「貴方、訓練の時間じゃなかったかしら?」

バルクホルン「あ、ああ!! 今から行くつもりだったんだ!! 部屋に忘れ物をしていたことを思い出してな!! 取りに戻ってきた!! それだけだ!!」

ミーナ「そう。何を忘れたの?」

バルクホルン「あ……そ、それは……あの……ズ、ズボンだ」

ミーナ「え?」

バルクホルン「ズボンを穿きわすれていたんだ!!」

ミーナ「トゥルーデ!!! 何してるの!? この基地には男性もいるのよ!?」

バルクホルン「わ、わかっている!! 少しぼんやりしていただけだ!!!」

ミーナ「ぼんやりにもほどがあるでしょう!! これからは気をつけなさい!!」

バルクホルン「りょ、了解!!!」

エーリカ「トゥルーデー」

バルクホルン「ハルトマン!?」

エーリカ「もー。急にいなくなるからびっくりするじゃん」

バルクホルン「わ、悪い」

ミーナ「全く……」

エーリカ「ミーナだ。何か話してたの?」

ミーナ「ハルトマン中尉? バルクホルン大尉の忘れ物に気が付かなかったの?」

エーリカ「忘れ物?」

バルクホルン「も、もういいだろう!! ミーナ!! 私とハルトマンは今から訓練だ!! 既に数分の遅延が発生している!! 急がなくては!!」

ミーナ「でも……」

バルクホルン「行くぞ、ハルトマン!!」グイッ

エーリカ「わわっ。ちょっと、ひっぱらないでよぉ。脱臼しちゃうから」

バルクホルン「するわけないだろう!! お前は私をなんだと思っているんだ!!!」

エーリカ「するってー」

ミーナ「……」

滑走路

ペリーヌ「いえ、わたくしは片付けていませんわ」

シャーリー「そうか……」

ペリーヌ「エイラさんかサーニャさんではなくて?」

シャーリー「だといいんだけどな」

ルッキーニ「シャーリー!!」

シャーリー「どうだった?」

ルッキーニ「エイラもサーニャも片付けてないって」

シャーリー「マジか……。ヤバいなぁ……」

ペリーヌ「誰かが持って行ってしまったのでしょう。ゴミ捨て場とかに」

シャーリー「いや。自分の部屋かもしれないぞ」

ペリーヌ「なんのために? あれは訓練用の人形ですわよ?」

シャーリー「見た目は宮藤だろ」

ペリーヌ「そうですけど、あんなもの何に使用するというのです?」

シャーリー「そうだな……。抱き枕とかじゃないか、やっぱり」

ペリーヌ「クッションとして使用するには硬すぎると思いますけど」

シャーリー「なら、デッサンとか?」

ペリーヌ「それならありえなくはないですわね。モデルにする人形を間違っているという点に目をつぶればですが」

シャーリー「ともかく早く返してもらわないとな」

ペリーヌ「ですが、誰が持っていったのかなんて分かりますか?」

ルッキーニ「芳佳人形、結構重いし持ちにくいし、絶対誰かに運んでるところ見られてるんじゃない?」

シャーリー「その可能性は高いよな。よし、ペリーヌ。手伝ってくれ」

ペリーヌ「なぜ?」

シャーリー「私とペリーヌの仲だろ?」ギュッ

ペリーヌ「別にシャーリーさんと特別仲良くしてきた覚えはありませんけど」

シャーリー「ありがとう、ペリーヌ。それじゃ手分けして捜すぞ」

ルッキーニ「おー!!」

ペリーヌ「あ、ちょっと!! まだわたくしは協力するなんて一言も……!!」

シャーリー「ペリーヌ!! 頼むなー!!」タタタッ

ペリーヌ「はぁ……。仕方ありませんわね」

美緒「そこまで!」

芳佳「どうでしたか、坂本さん!!」

美緒「上達してきたな。このまま努力を怠るなよ」

芳佳「はい!」

リーネ「あのぉ……」

美緒「なんだ、リーネ? リーネの場合は実践で本領を発揮できるようになれば問題は……」

リーネ「い、いえ。そうじゃなくて、応急処置の訓練を自主的にしたいんですけど……」

美緒「なに?」

芳佳「どうして?」

リーネ「え? あ、えっと……ほら、私、人工呼吸が上手くできてなかったから……」

芳佳「そんなことないと思うけど」

美緒「周囲からは合格点をもらえても自身が納得できないこともある。リーネはもっと技量を高めたいのだな?」

リーネ「は、はい! そんな感じです!!」

芳佳「リーネちゃん、すごい。坂本さん!! 私も訓練します!! させてください!!」

美緒「うむ。その姿勢には感服するぞ。よし、訓練を許可する。私としてもあの改造された人形の効果も知っておきたいしな」

芳佳「よーし! リーネちゃん、一緒に人工呼吸しよう!!」

リーネ「うんっ! がんばる!」

美緒「はっはっはっは。そうやって二人で高めあうことは素晴らしいものだな。私も昔は……」

エイラ「訓練はできないぞ」

芳佳「え?」

リーネ「ど、どうしてですか!?」

エイラ「人形がなくなったらしいんだ」

リーネ「どうしてですか!?」

エイラ「そんな迫ってくるなよぉ。私もルッキーニから聞いただけなんだ」

美緒「あのような大きな人形が消えたのか?」

サーニャ「誰かが片付けたと思うのですが、近くの倉庫にはなかったみたいで」

芳佳「誰かが持って行っちゃったのかな?」

美緒「あんなものを何に使うんだ?」

エイラ「それは……まぁ……イロイロ、あるよなぁ……?」

リーネ「え!? さ、さぁ……よくわかりません……」

芳佳「きっと訓練ですよ!! 応急処置の訓練をしたいって思う人は私たちだけじゃないはずですし!!」

美緒「それもそうだな」

サーニャ「でも、あの人形は芳佳ちゃんそっくりに改造したから一見するだけじゃ訓練用とは思えないかも……」

美緒「では、宮藤に似た人形だから持ち去ったということか?」

リーネ「急いで探さなくちゃ!! 何かいけないことに使われてたら……!!」

芳佳「いけないことってなに?」

リーネ「え? ほら……あの……犯罪的な……」

芳佳「人形を使って犯罪? 場所取りとか?」

美緒「何にしてもあれは我々の所有物だ。盗難されたとあっては黙っているわけにもいくまい」

リーネ「その通りです!!」

芳佳「そっか!! 盗むのはよくないよね!!」

美緒「エイラとサーニャも協力してくれるな?」

サーニャ「はい」

エイラ「放置した私にも責任あるしな」

美緒「手分けして探すぞ。あれだけ大きなものだ。すぐに見つかるだろう」

バルクホルン「すぅー……はぁー……」

エーリカ「飛ばないの?」

バルクホルン「準備体操は大事だろう」

エーリカ「準備体操というより心を落ち着かせてるように見えるのは気のせい?」

バルクホルン「気のせいだ」

ペリーヌ「バルクホルン大尉、ハルトマン中尉。少しよろしいですか?」

エーリカ「どうかした?」

ペリーヌ「あの、宮藤さんそっくりの等身大人形を持ち運んでいる人は見ませんでしたか?」

バルクホルン「……」

エーリカ「見てないよ。トゥルーデは?」

バルクホルン「知らんな」

エーリカ「だってさ」

ペリーヌ「そうですか……」

エーリカ「人形がどうかしたの?」

ペリーヌ「どうやら何者かがどこかに持っていってしまったらしく、探しているのです」

エーリカ「シャーリーが言ってたやつか」

ペリーヌ「等身大ですからそれなりに重量もありますし、運んでいれば相当目立つはずなのですが」

エーリカ「だろうね。人型ってだけでも持ちにくいし」

ペリーヌ「すぐに見つかると思っていたのですが、目撃情報がありませんの」

エーリカ「力になれなくてごめん。ほかをあたってよ」

ペリーヌ「そうしますわ。失礼します」

エーリカ「がんばってー」

バルクホルン「……ハルトマン。訓練を開始するぞ」

エーリカ「はぁーい」

バルクホルン「すぅー……はぁー……」

エーリカ「……」

バルクホルン「なんだ?」

エーリカ「なんか隠してない?」

バルクホルン「隠していない」

エーリカ「あ、そう」

食堂

シャーリー「ここにあるわけないよな」

エイラ「シャーリー、手がかりは?」

シャーリー「お、エイラも探してくれてるのか?」

エイラ「一応な」

シャーリー「残念ながら手がかりはなしだよ。色んな奴に聞いたんだけどな」

エイラ「誰かが隠したか?」

シャーリー「隠す意味が分からないけどな」

エイラ「えぇ……」

シャーリー「エイラには分かるのか?」

エイラ「い、いや……ヨクワカラナインダナ……」

シャーリー「私はあの人形をモデルに絵を描いていると思うんだ」

エイラ「そうか」

シャーリー「それぐらいなら言ってくれれば貸すのに、黙って持っていくことないよな」

エイラ「ソウダナ。黙ってもっていくのはいけないな」

>>10
リーネ「坂本さんが言っていたんですけど、そろそろ新しいのするみたいですよ」

リーネ「坂本少佐が言っていたんですけど、そろそろ新しいのするみたいですよ」

大浴場

リーネ「ここじゃない……」

芳佳「人形をこんなとこに持ってくるかな?」

リーネ「え? あ、うん。そうだね……。もってこないよね……」

芳佳「やっぱり誰かの部屋なんじゃないかなぁ」

リーネ「それなら坂本少佐かミーナ中佐に頼んで部屋の中を調べてもらうしかないね。私たちじゃ勝手なことできないし」

芳佳「そうだね。頼みに行こう!」

リーネ「うん」

ルッキーニ「とぉー!! ここかぁー!?」

芳佳「あ、ルッキーニちゃん」

ルッキーニ「あ、芳佳、リーネ。見つかったぁ?」

芳佳「ううん。ここには無かったよ」

ルッキーニ「そっかぁ。ここじゃないんだ」

芳佳「ルッキーニちゃん、今から坂本さんに頼んでみんなの部屋を調べようと思うんだけど、いいかな?」

ルッキーニ「問題なーし。いこいこ」

通路

ミーナ「そういうこと……」

美緒「ここまで探してもないんだ。誰のか部屋にしかない」

ミーナ「そうね。調べてみましょうか」

サーニャ「お願いします」

芳佳「坂本さーん!!」

美緒「見つかったか?」

芳佳「いえ。誰かの部屋にあるんじゃないかって思って」

美緒「考えることは同じか」

リーネ「それじゃあ……」

ミーナ「丁度、私たちもそうしようと思っていたところよ」

ルッキーニ「なぁーんだ。そうなんだー」

美緒「まずは我々の部屋から調べるか。頼むぞ、お前たち」

芳佳「はい!」

リーネ「了解!!」

バルクホルンの部屋

芳佳「失礼します!!」

ミーナ「さて……。どこかしら」

芳佳「ベッドの下は……ないですね」

ミーナ「ないわね」

芳佳「やっぱり私たちの部屋を探しても意味がないですね。そもそも持って行く理由がないですし」

ミーナ「……」

芳佳「ミーナ中佐?」

ミーナ「え? どうしかしたかしら?」

芳佳「いえ、何か気にしてるみたいだったので」

ミーナ「そんなことないわ。さぁ、次の部屋を探してみましょうか」

芳佳「はい!」

ミーナ「……思い過ごしだったのかしら」

芳佳「あのぉ」

ミーナ「ごめんなさい。行きましょう」

食堂

シャーリー「結局、どこにもなかったのか?」

サーニャ「はい。虱潰しに部屋を探してみましたけど、見つけることができませんでした」

エイラ「捨てられたのかもなぁ」

リーネ「そ、そんな……」

美緒「まぁ、新しい人形はすぐに届くからな。無くなったとしてもさほど問題ではないが」

芳佳「でも、折角シャーリーさんたちが作ってくれたのに」

ルッキーニ「そだよー。あれ、結構大変だったんだからぁ」

シャーリー「捨てるにしても確認ぐらいしてほしかったな」

ミーナ「そうね。あれだって軍のものだったし」

ペリーヌ「あら、みなさん。ここでなにを」

シャーリー「ペリーヌ、人形は?」

ペリーヌ「申し訳ありません」

シャーリー「うーん……。今ごろ焼却されてるのかもしれないな」

リーネ「よ、芳佳ちゃんが燃やされた……!?」

通路

エーリカ「あぁー……つかれたぁ……おなかすいたぁ……」

バルクホルン「だらしないぞ、ハルトマン。あれぐらいで音をあげるやつがあるか」

エーリカ「だって、今日は5時間しか寝てないし」

バルクホルン「十分だろう。ではな」

エーリカ「あれ、食堂いかないの?」

バルクホルン「ああ。少し休んでから行く」

エーリカ「トゥルーデ、疲れたの?」

バルクホルン「私はお前の所為でいつも疲れている」

エーリカ「ふぅーん。なんか、ごめん」

バルクホルン「謝る必要はない」

エーリカ「それじゃ、先に食堂行ってるよ」

バルクホルン「そうしてくれ」

エーリカ「わーい、ごはんだー」

バルクホルン「……さて」

バルクホルンの部屋

バルクホルン「ふんっ」ガコンッ

バルクホルン(天井裏にでも隠しておかないと、他のものが部屋に入ってきたときに困るからな……)

バルクホルン「ふむ」ギュッ

バルクルン「……」プニップニッ

バルクホルン「素晴らしいな……」

バルクホルン「ずっと抱いていたくなるな」

バルクホルン(しかし、どうしてこんなものがあのような場所に放置されていたんだ)

バルクホルン(何かしらの意図はあるはずだが……)

バルクホルン「だが、あのままにしておけば不貞の輩がこの宮藤人形を持っていく可能性もあった」

バルクホルン「私の行動は正しいはずだ」

バルクホルン「これがおかしなことに使われでもしたら大事だからな」

バルクホルン「……」スリスリ

バルクホルン「ん? そういえば、この服……扶桑のものだな……」

バルクホルン「まさか宮藤の? そんなわけないか」ギュゥゥ

食堂

芳佳「あー!?」

エイラ「なんだよ。びっくりするだろ」

芳佳「あの人形に私の服、着せたままですよぉ」

リーネ「……!?」ガタッ

美緒「そういえばそうか」

シャーリー「今頃は灰にでもなってるな」

芳佳「えー!? あぁ……」

ルッキーニ「ごめんね、芳佳ぁ」

芳佳「ううん。いいの。気にしないで」

ミーナ「ちょっと待って。扶桑の服を着用している人形を誰の断りもなく捨てるかしら?」

ペリーヌ「そうですわね。坂本少佐の私物であることが真っ先に思い浮かぶはず」

美緒「それは私にとって好ましい推測ではないな」

サーニャ「では、誰かがどこかに隠して……」

エーリカ「ごっはんーごっはんー。あれ? なにしてるの?」

シャーリー「例の人形だよ。まだ見つかってなくてさ」

エーリカ「そうなんだ」

芳佳「今、ごはん持ってきますね」

エーリカ「サンキュー、宮藤ぃ」

美緒「ハルトマン、何か心当たりはないか?」

エーリカ「私、その人形自体みてないからわかんない」

美緒「ふむ……。困ったな。宮藤の服も一緒となると」

芳佳「どうぞ」

エーリカ「ありがと。宮藤の服も人形に着せてたの?」

芳佳「はい。そうなんです」

エーリカ「それは大変だね」

リーネ「あの!! もう一度基地の中を探しましょう!! 一刻も早く見つけないと!!」

ルッキーニ「えぇー? どこを探すのぉー?」

エイラ「闇雲に探しても疲れるだけだしな」

リーネ「でもこのままじゃ芳佳ちゃんの服が……なにかいけないことに……!!」

芳佳「いけないことって?」

リーネ「え!? そ、それは……白いズボンと一緒に洗われちゃったり、白い服と一緒に洗われちゃったり……」

芳佳「色落ちして白い服が染まっちゃう!?」

ミーナ「そういえばバルクホルン大尉はどうしたの?」

エーリカ「さぁ、疲れたって言って部屋に戻ったけど」

ミーナ「いつもなら訓練後はそのまま食事をとるトゥルーデが……」

美緒「あいつにもそろそろ休暇を与えてやったほうがいいかもしれんな」

シャーリー「……ハルトマン」

エーリカ「なに?」

シャーリー「お前が格納庫に来たとき、バルクホルンも一緒だったんだよな?」

エーリカ「そうだけど?」

シャーリー「で、何時の間にか消えたんだよな?」

エーリカ「うん」

シャーリー「行ってみるか……」

ルッキーニ「どこに?」

バルクホルンの部屋

バルクホルン「ぢゅるるる……」

シャーリー『バルクホルン』

バルクホルン「な!? なんだ!?」

シャーリー『入るぞ』

バルクホルン「ま、待て!!」

シャーリー『なんで?』

バルクホルン「いいから少し待て!!」ガコンッ

シャーリー『……なにかしてるのか?』

バルクホルン「裸なんだ!!」

シャーリー『なんでだよ』

バルクホルン「仮眠していた!! だからだ!!」

シャーリー『入るぞー?』

バルクホルン「……ああ。構わない」

シャーリー「よっ。メシはいいのか?」

バルクホルン「そうだな。そろそろ食事にするか」

シャーリー「……」

バルクホルン「どうした?」

シャーリー「等身大宮藤人形をみんなで探してるんだけど、知らないか?」

バルクホルン「知らんな」

シャーリー「そうか……。参ったな」

バルクホルン「重要なものなのか?」

シャーリー「重要というか宮藤の服を着せたままにしてあるからな」

バルクホルン「……!?」

シャーリー「それにあれ、応急処置訓練用の人形だから無いと宮藤やリーネが困るんだ」

バルクホルン「そうだったのか!?」

シャーリー「え?」

バルクホルン「いや、なんでもない」

シャーリー「ま、見かけたら知らせてくれ。じゃあな」

バルクホルン「あ、ああ……」

通路

美緒「どうだった?」

シャーリー「部屋にはなかったよ」

ミーナ「バルクホルン大尉ではないのかしら……」

シャーリー「そうだと思ったんだけどなぁ」

美緒「仲間を疑うのはあまり気分のいいものではない。無かったのならバルクホルンが持ち去ったのではないのだろう」

シャーリー「それもそうですね」

ミーナ「坂本少佐の言うとおりね。もうやめましょう」

美緒「行くぞ」

シャーリー「りょうかぁい」


バルクホルン「……」

バルクホルン(訓練用の人形だったのか……。だから格納庫に……)

バルクホルン(私はなんてことを……。どうする。このまま正直に話すか……? いや、そんなことをして何故持ち去ったのか理由を訊ねられたら……)

バルクホルン(今更私が自主的な訓練をするのも不自然極まりない……理由にはならない……)

バルクホルン(元の場所に戻すしか、ない!)

格納庫

バルクホルン「確かこの辺りだったな」

バルクホルン「ふぅ……。これであとは……」

サーニャ「……」

バルクホルン「……!?」

サーニャ「あの……」

バルクホルン「サ、サーニャ……!? ど、どうした……!?」

サーニャ「夜間哨戒の時間ですから……」

バルクホルン「そ、そうか……き、きをつけてな……」

サーニャ「はい」

バルクホルン「……」

バルクホルン(バレていないか……)

サーニャ「バルクホルンさん、その人形……」

バルクホルン「今見つけたところだ!! すぐに少佐に報告する!!」

サーニャ「そうですか。よかった。バルホルンさんが持って行っていたんじゃないんですね」

>>56
サーニャ「そうですか。よかった。バルホルンさんが持って行っていたんじゃないんですね」

サーニャ「そうですか。よかった。バルクホルンさんが持って行っていたんじゃないんですね」

バルクホルン「あ、あたりまえだろう……!!」

エイラ「サーニャ、準備できたのか?」

サーニャ「ええ。それより、エイラ。バルクホルンさんが見つけてくれたの」

エイラ「なに? あ、ホントだ。どこにあったんだ?」

バルクホルン「そ、そこに」

エイラ「えー? そんなところに隠れてたのか?」

サーニャ「灯台下暗し」

エイラ「だな」

バルクホルン「よ、よくさがさないからだ……まったく……」

エイラ「ちょっと待っていてくれ。少佐に知らせてくるから」

バルクホルン「あ、おい!!」

サーニャ「本当によかったです。芳佳ちゃんの服が戻ってきて」

バルクホルン「あ、あぁ……」

サーニャ「見れば見るほど芳佳ちゃんにそっくり」

バルクホルン「……」

美緒「おぉ!! お手柄だな、バルクホルン!!」

バルクホルン「あ、ありがとう……」

シャーリー「なんだ、結局格納庫内にあったのか」

ルッキーニ「なんで気が付かなかったんだろー?」

エーリカ「探しものなんて案外そんなもんじゃない?」

芳佳「でもよかったぁ。これで訓練ができるね、リーネちゃん」

リーネ「うん、そうだね」

バルクホルン「よ、よかったな……」

ミーナ「……」

バルクホルン「なんだ、ミーナ?」

ミーナ「いえ、本当に宮藤さんにそっくりな人形だと思って」

エイラ「特にこの胸な」

ルッキーニ「にゃはっ。1番芳佳っぽいよね」

エイラ「触っていてもつまんねーところとかな」モミモミ

芳佳「恥ずかしいからやめてください!! エイラさん!!」

サーニャ「……」

エイラ「あ!? 違うぞ!! サーニャの胸はつまんなくないからな!!」

サーニャ「何も言ってないけど」

エイラ「が……!?」

ペリーヌ「ともかく、これで解決ですわね」

シャーリー「悪かったな、ペリーヌ」

ペリーヌ「全くですわ。こんなことでわたくしを使わないように」

美緒「宮藤、リーネ。ここで訓練をやってみたらどうだ?」

芳佳「いいんですか?」

美緒「構わないぞ。したかったのだろう?」

リーネ「えっと……でもぉ……」

芳佳「やろうよ、リーネちゃん!!」

リーネ「芳佳ちゃんがそういうなら……」

バルクホルン「今から使うのか?」

芳佳「はい。ダメですか?」

バルクホルン「そうか、では、消毒をしたほうがいい」

芳佳「え、でも、消毒液ないですし、このままでも」

バルクホルン「気持ち悪いだろう!?」

芳佳「いえ、別に」

バルクホルン「な……!? リーネは!? リーネは気持ち悪く感じるだろう!?」

リーネ「芳佳ちゃんの後なら気になりません」

バルクホルン「……!?」

エーリカ「いーじゃん、トゥルーデ。気にしないって言ってるんだし、やらせてあげなよ」

バルクホルン「いや、しかし……!!」

ミーナ「まぁまぁ、バルクホルン大尉?」

バルクホルン「ミ、ミーナ……!?」

ミーナ「絶対に消毒しなければいけないことでもあるのかしら?」

バルクホルン「そ、れは……」

芳佳「リーネちゃんからする?」

リーネ「まずは芳佳ちゃんからお手本を見せてほしいな」

芳佳「そんな私なんて普通なのに」

リーネ「お願い」

芳佳「うん。分かったよ。見てて」

リーネ「わーい」

芳佳「宮藤芳佳、いきます!!」

リーネ「がんばって、芳佳ちゃん」

芳佳「大丈夫ですかー? 意識なし! 呼吸なし! 脈……なし!!」

シャーリー「宮藤が宮藤を助けてるみたいだな」

ルッキーニ「おもしろーい」

ペリーヌ「まるでドッペルゲンガーですわね」

サーニャ「幽霊……」

ペリーヌ「は?」

エイラ「おい、ツンツン眼鏡。どういうことだ、こらぁ」

ペリーヌ「なんのことですの!?」

芳佳「いちっ! にっ! さんっ!!」グッグッグッ

エーリカ「へぇー。宮藤、上手いな」

美緒「魔法だけに頼っているわけではないようだな」

ミーナ「本当ね」

バルクホルン「……」

芳佳「気道確保!!」グイッ

バルクホルン「あっ……」

芳佳「人工呼吸、始めます!!」

リーネ「うん!!」

芳佳「……」

芳佳(自分に人工呼吸するって変な気分……。でも、やらなきゃ!! リーネちゃんの期待に応えなきゃ……!!)

バルクホルン「――やめろ!! 宮藤!!!」

芳佳「え?」

バルクホルン「この人形に口をつけるな!!」

芳佳「え? ど、どうしてですか?」

バルクホルン「消毒しなければ!! 消毒だ!! だれか!! 消毒液を持ってきてくれ!!」

エーリカ「トゥルーデ……」

ミーナ「どうしてそんなに必死なのかしら?」

バルクホルン「……」

芳佳「バルクホルンさん。人形返してください」

美緒「何をやっとるか。バルクホルンらしくもない」

バルクホルン「た、たのむ……このまま宮藤が口をつけるなんて……私は我慢できない……」

シャーリー「理由を言えよ」

バルクホルン「それは……」

ペリーヌ「大尉、何かこの人形にしたのですか?」

エイラ「え……」

サーニャ「何かって……?」

リーネ「バルクホルンさん、まさか……」

バルクホルン「ここまでか……」

バルクホルン「白状する!! この人形を持ち去ったのは私だ!! 宮藤が落ちていたので拾っただけだ!!!」

バルクホルン「だが、その……見ているうちに……い、色々……と……してしまって……だな……」

シャーリー「何したんだよ?」

バルクホルン「……」

ルッキーニ「ねえねえ、どんなことー?」

バルクホルン「人形の……唇を……かさねた……」

エイラ「やるやる」

サーニャ「……」

エイラ「ウソウソ」

リーネ「そ、そんな……バルクホルンさんが……」

バルクホルン「長時間してしまった……だから……」

芳佳「バルクホルンさんも訓練していたんですか?」

バルクホルン「え?」

ペリーヌ「大尉なら応急処置の訓練なんて必要ないと思いますけど」

美緒「待て待て。私からみてもバルクホルンに訓練の必要などないと思うが、本人は必要だと感じたのだろう」

芳佳「坂本さん言ってましたもんね。本人が納得できないこともあるって」

美緒「その通りだ。バルクホルンも真面目だからな。定期的に訓練をしたくなるのだろう」

>>65
バルクホルン「人形の……唇を……かさねた……」

バルクホルン「人形と……唇を……かさねた……」

バルクホルン「そうじゃない!!」

芳佳「違うんですか?」

エーリカ「そういうことにしておけばいいのに」

バルクホルン「宮藤!! 私は……この人形を見て……この宮藤に似た人形を見て……!!」

芳佳「はい?」

バルクホルン「可愛がりたくなったんだ……」

芳佳「はぁ……」

バルクホルン(くっ……。終わった……。もう宮藤とは会話することもないだろう……)

芳佳「なんだか照れちゃいますね。えへへ」

バルクホルン「なに?」

芳佳「でも、今は私とリーネちゃんの訓練なので人形を返してください」

バルクホルン「しかし……」

芳佳「お願いします」

バルクホルン「……気持ち悪くないのか?」

芳佳「何が気持ち悪いんですか?」

エイラ「でた。何もわかってない宮藤」

サーニャ「私もよくわからないけど」

バルクホルン「宮藤……」

芳佳「いいですか?」

バルクホルン「あ、ああ……」

芳佳「では、改めて気道確保!! いきます!! ふぅー!! ふぅー!!」

バルクホルン「……」

ペリーヌ「宮藤さんのくせに手際がいいですわね」

美緒「こういうことは宮藤の得意分野だからな」

芳佳「ふぅ……。こんな感じだよ。はい、リーネちゃん」

リーネ「うん!! 気道確保!!」グイッ

芳佳「え!? そこからやるの!?」

リーネ「私、人工呼吸が苦手だから」

芳佳「あ、そっか。ごめん。それじゃやってみて」

リーネ「うん!! ふぅー!! ふぅー……!! ぶふぅー……!! ぢゅる……じゅるる……ぶぢゅぅ……」

ルッキーニ「リーネぇ、それ人工呼吸なのかぁ?」

シャーリー「なんか、吸ってるような音もするぞ」

バルクホルン「リーネまで何のためらいもなく……。こんな最低なことをした私を許してくれるのか……」

ミーナ「状況を理解できていないだけの気もするけれど」

エーリカ「良かったじゃん、トゥルーデ。とりあえず嫌われてはないよ」

バルクホルン「だが……」

エーリカ「ならもう一度確認してみたら?」

バルクホルン「……宮藤?」

芳佳「なんですか?」

バルクホルン「本当に気持ち悪くなかったのか?」

芳佳「何も気持ち悪くないですよ」

バルクホルン「リーネもか?」

リーネ「ぷはぁ……。はい。とっても幸せです」

バルクホルン「私は……私は……こんなにも……好かれて……いたのか……」

エイラ「まぁ、好かれてはいるな」

バルクホルン「私が間違っていた……。あんな人形に目がくらんでしまうなどあってはならなかった……」

バルクホルン「カールスラントの軍人として恥ずかしい……」

ミーナ「それ以前に人として恥じなさい」

ペリーヌ「随分と唾液が……。これはちょっと消毒しただけだとわたくしは口をつけたくないですわね」

美緒「実際人工呼吸をするときにこの程度で臆していると、助けられるものも助けることができないぞ」

ペリーヌ「うっ……確かに……」

芳佳「ペリーヌさんもやってみますか?」

ペリーヌ「で、でも……」

リーネ「あ、ふ、ふきますね……ごめんなさい……」

ペリーヌ「いいですわよ。やります。このままでいいですわ」

リーネ「ペリーヌさん、でも……」

ペリーヌ「宮藤さんの後よりかはマシですわ」

芳佳「ひどーい!!」

ペリーヌ「納豆臭いでしょう、あなた」

リーネ「それがいいのに」

ペリーヌ「ふぅー……!! ふぅー……!!」

芳佳「そうそう! そんな感じだよ、ペリーヌさん!!」

ペリーヌ「じゅる……ぢゅるる……!!」

リーネ「それはしなくていいです!!」

バルクホルン「……あれを作ったのはシャーリーか?」

シャーリー「そうだけど?」

バルクホルン「似せるなら宮藤以外にしてくれないか」

シャーリー「……」

バルクホルン「また、同じ過ちを繰り返してしまうかもしれないからな」

シャーリー「どうします、中佐?」

ミーナ「それがトゥルーデのためになるなら、そうしてあげて」

シャーリー「なら……」

エーリカ「にひぃ」

シャーリー「ハルトマンに似せるか」

エーリカ「あぁ、みんなが私の唇を奪い合うんだ……エーリカ、穢される……」

エイラ「いいのか、少佐。大尉のあれ、結構問題だと思うんだけど」

美緒「何が問題なんだ? 特に問題ある行動はしていないと思うが」

エイラ「……そうだな」

ペリーヌ「ふぅ……。次、ルッキーニさんがやってみますか?」

ルッキーニ「えぇ……なんか、ベトベトしててやだぁ……」

ペリーヌ「だったら、サーニャさんが……」

サーニャ「今から夜間哨戒があるので、すみません」

ペリーヌ「関係ないでしょう」

シャーリー「中佐、なるべく早く新しいのお願いします」

ミーナ「ええ。そうしたほうが良さそうね」

ルッキーニ「次の人形は誰に似せるー?」

シャーリー「人形次第だな」

ミーナ「もう改造はやめて」

バルクホルン「私はここに誓う。これからも宮藤たちの好意に応えるためにも、規範となるウィッチで居続ける……!!」

ペリーヌ「大尉……あの、人工呼吸の訓練を……」

バルクホルン「いや、私はその人形ではもう訓練はしない」

ペリーヌ「そんな……。わたくしのあとでは嫌なのですか……」

数日後 格納庫

エイラ「サーニャ、大丈夫か?」

サーニャ「ええ。少し眠いだけ」

ルッキーニ「シャーリー!! あそぼー!!」

シャーリー「もうちょっと待ってくれ」

ペリーヌ「そろそろ休憩にしましょうか。さきほどの訓練は中々ハードでしたし」

芳佳「ペリーヌさん、待ってください。坂本さんから頼まれていることがあって」

リーネ「新しい人形が届いたのでケースから出しておいてほしいと言われて……」

ペリーヌ「はいはい。手伝います」

バルクホルン「ミーナ、少佐。次の訓練だが……」

ミーナ「ええ、予定通りに行うわ」

美緒「新しい人形も届いたからな」

エーリカ「等身大エーリカ人形つかえよー」

バルクホルン「必要ない」

エーリカ「あれから誰も使ってないじゃん。こんなに可愛いのに……おかしいなぁ……」

リーネ「このケースの中ですね」

ペリーヌ「かなり大きいですわね」

芳佳「ホントだー」

ルッキーニ「何がはいってんのー?」

芳佳「新しい人形だよ。ほら、訓練用の」

ルッキーニ「おぉー。早く、みよー」

ペリーヌ「これですわね……。重いですわね」

リーネ「私が足のほうを持ちます」

ルッキーニ「この箱おっきー!! 芳佳とあたしぐらいなら余裕で入れちゃうかもー!!」

芳佳「そうだねー」

ルッキーニ「芳佳、はいろ!」

芳佳「え? でも」

ルッキーニ「いーから、いーから」

芳佳「あぁ、ちょっとルッキーニちゃん」

ルッキーニ「にゃはー。ひろーい」

芳佳「あ、なんかこの丁度いい狭さが落ち着くね」

ペリーヌ「はぁ……。ここに置いておけばいいの?」

リーネ「はい。ありがとうございます」

ペリーヌ「雑用ばっかりですわ」

リーネ「芳佳ちゃーん。そろそろ休憩に――」

ルッキーニ「あ、リーネ。しーっ」

リーネ「え?」

芳佳「すぅ……すぅ……」

ペリーヌ「ちょっと、箱の中で寝るなんて……」

リーネ「きっと疲れていたんだと思います。だからこのまま寝かせておいてください。すぐに訓練も始まりますし」

ペリーヌ「もう……」

芳佳「うぅん……すぅ……」

リーネ「かわいい……芳佳ちゃん……」

ペリーヌ「行きますわよ」

リーネ「はい」

ルッキーニ「おやすみ、よしかぁ」

エーリカ「等身大エーリカ人形つかおー」

バルクホルン「使う必要はない。新しい人形もこうしてある」

エーリカ「これよりエーリカ人形が可愛いって」

バルクホルン「しつこいぞ、ハルトマン。ん? この箱は……?」

エーリカ「作った意味ないじゃーん。みんなで私の唇奪いあってよ」

バルクホルン「……よし」

エーリカ「トゥルーデ、そんな大きな箱どうするのさ?」

バルクホルン「邪魔だから私の部屋に……」

エーリカ「……」

芳佳「ふわぁぁ……。ん? あれ、バルクホルンさん? どうしたんですか?」

エーリカ「トゥルーデ……。私も箱の中で寝れば拾ってくれるの?」

バルクホルン「何をいっているんだ!?」

芳佳「バルクホルンさん、私をどこに運ぼうとしているんですか?」

バルクホルン「誤解だ!! 私は宮藤が捨てられていたから拾っただけだ!!」

芳佳「えぇぇ!? 私、いつ捨てられちゃったんですか!?」


おしまい。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom