P「アイドルたちがいきなり目の前から消えた……」 (64)






これは765プロがまだまだアイドル界最底辺にいたころの話……






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【残り7日】

春香「今日ね、事務所に来る前にね」

春香「変な紙きれ、いっぱいもらったんだ。ほらっ!」バサーッ

亜美「んー? すごいカラフルですなー」スッ

響「何か書いてあるぞ。何だこれ?」スッ

貴音「面妖な…」スッ

やよい「でも、かわいいデザインしてますねー」スッ

真「ほんとほんと」スッ

伊織「たくガキねあんたたち」スッ

あずさ「春香ちゃん、宗教か自己啓発セミナーの勧誘なんじゃないのこれ」スッ

あずさ「でも場所が書かれてないわね…どっちにしろ怪しいわね」

P「みんなー? 何見てるんだ?

春香「あっプロデューサーさん見てくださいよ、こr」

ピカアアアアアアアア!

P「うわっ!」

律子「えっ? ちょっと…何?」

小鳥「どうしたんd…きゃっ!」

ピカアアアアアアア!

P「なんだ? なんで急に光が!?」

オォォォォォン…

小鳥「おさまった?」

P「おいおい、脅かさないでくれよ…」

律子「コラ!あんたたち一体何やt…」

律子「あ…れ?」

小鳥「嘘…こんなことって…」

律子「ちょっと…みんな!?」

P「いましたよね? さっきまで。なんでだ?」





P「なんで皆消えたんだ?」

小鳥「と、とりあえず彼女たちを探しましょうか」

小鳥「律子さんは他の階を。プロデューサーさんは事務所周辺を捜してください」

小鳥「私は社長に報告してきます」

P「え…ええ」

律子「あーもうなんなのよっ! 初ライブまで一週間しかないっていうのに…」

P「もしこれすっぽかしたら…」

律子「まずいですよ! 合同ライブですから他の事務所にもよく思われないですし」

P(ほんとに何がどうなったんだ!)

P(確かに消えたよな…)タッタッタッ

P(何かのマジックか…?)キョロキョロ

P(いや考えられないな。あいつらの誰かがマジックに詳しいなんて聞いたことない…)

P(しかし消えたってことはどこかに現れるはずだ…)

P(テレポートした…? ふん、ばかばかしい…)

ガチャ

P「戻りました、あっ社長!」

社長「ふむ、キミ、一体何があったんだね?」

P「あれ? お二人から聞かれてないんですか?」

社長「いいから答えてくれ。何があったんだね?」

P「えっとですね」カクカクジカジカ

社長「…三人とも同じことを言っているな。どうやら私に対するドッキリという可能性は低そうだ…」

小鳥「どうします社長? やはり警察に」

社長「あー待ちたまえ。 消えたということはどこかに現れてるはずだ。その可能性を考えてみよう」

社長「それに警察に言っても信じてもらえると思うかね?」

律子「…」

社長「とりあえず親御さんたちには…そうだね…急遽合宿に行くことになったと伝えよう」

小鳥「それで信じてもらえるのでしょうか…?」

社長「こちらの連絡不足ということにしておこう…まぁ大丈夫だろう。ライブも近いし」

律子「夏休み中で幸いしたわね…」

ピリリリリリ

P「あぁちょっとすいません…」

P「…えっ?…」

社長「どうしたんだね?」

P「響です…」

律子「えぇ?」

小鳥「よかったぁ!無事だったんですねぇ!」

律子「まったく!戻ってきたら思いっきり叱ってやらないと!」

P「まぁまぁ」

ガチャ

ガチャ

<ああ、もしもし? プロデューサー?>

P「響か?」

<うん。我那覇響だぞー>

P「お前一人か? 皆は?」

<いるぞ。皆無事さー>

P「そうか、良かった」

P「で、今どこにいるんだ? すぐ迎えに行こう」

響<……>

P「響? どうした?」

響<なんて言ったらいいのか…その>

響<…いまちょっと手が離せないから…また明日電話するぞ>

P「お、おいっ」

響<明日の昼にはかけるから。じゃあ>ピッ

P「あっ、ちょ…」ツーツー

社長「うーむ」

律子「どういうことですか?」

P「それが全然要領を得なくて」

P「また明日電話する、とは言ってました」

律子「あーもうっどうするのよっ! 必死で頼み込んで入れてもらったライブなのにっ!」

P「たった30分ですけど、今の僕らには貴重な出番ですもんね」

社長「まぁ無事が確認されて良かった。しかたがない。明日を待とうか」

【残り6日】

律子「皆から連絡は?」

P「もうすぐ来るはずですが…」

小鳥「それにしてもどこに消えたんでしょうかね」

P「歯切れの悪かったところをみると…あいつらの知らない場所ってこともありえますけど」

律子「いずれにしても、ライブまでには戻ってこないと」

P「そうですね。なにせ」

ピリリリリリリ

「「!?」」

P「きましたっ!」

小鳥「プロデューサー、スピーカーモードに」

P「はい」カチリ

ピッ

P「もしもし?」

春香<もしもしプロデューサーさん?>

P「春香か。おまえたち、一体どこにいるんだ?」

春香「ん~っと、そうですね、あっ」

春香「私が言うより見たほうが早いですよっ!」

P「何言ってるんだお前。見れないからこうしてるんだろ」

春香「あと一人だけ、こっちに来てもいいそうなんですよ」

P「来てもいいって…ああもうっ!頭がこんがらがってきたな」

春香「ええっと簡単な話、よかったら私たちのいる場所に来ませんかってことです。ただし一人だけ」

P「ちょっと切らずに待ってくれ」





P「どうしますか?」

律子「…」

社長「こっちにいても何もできないし、行こうじゃないか」

P「ええ?いいんですかそんな簡単に?」

小鳥「向こうに行けば帰る方法が分かるかもしれない。こっちで私たちが指をくわえて眺めているわけにもいかないだろう」

律子「あの子たちだけだと心配だしね」

小鳥「決まりですね」

律子「問題は誰がいくかだけど」

P「ここは俺が行きましょう」

小鳥「大丈夫、なんですか?」

P「幸い通信はできるようですし、何かあれば連絡しますよ」

社長「私もキミがいいと思う。彼らはキミによくなついているようだからね」

P(プロデューサーがなつかれるってどうなんだ…?)

P「わかりました。伝えましょう」

P「もしもし春香?」



春香「じゃあもうすぐなので、待っててください」

P「もうすぐって…あっおい」ブツン

小鳥「プロデューサー、これどうぞ。食べ物や飲み物が入っています」

P「ああ、ありがとうございます音無さん」

ピカアアアアアアアアアアア

小鳥「きゃあ!」

律子「何かあったらすぐに連絡をー!」

社長「わかっているだろうね。初ライブ、なんとしても成功させるんだぞー!」

オオォォォン…

小鳥「消えました…」





「あ! 出てきたぞ!」

「私たちもこのように見えていたのですね」

「うっわーこれすごいっしょー」





P「…お…ここは?」

真美「兄ちゃん、ようこそー、っつても真美たちの場所じゃないかー」

P「みんな…全員いるか?」

春香「はい。全員そろってますよ」

響「電話でも無事だって言ったぞ。心配しすぎじゃないか?」

P「まぁ…良かった」ホッ

春香「じゃあプロデューサー、早速案内しますね」グイッ

P「おいおい」

P「見たところ列車の中だが…一体なんなんだ」

春香「私たちもそれしかわかりません。でもすごいですよほら」

P「豪華だな。客席…いや広すぎ」

春香「でしょう? で、つぎの車両には」タタッ

P「寝台車両か…」

春香「それだけじゃないんです! お風呂だってあるんですよ」

P「風呂ぉ? 列車に風呂ってどういう仕組みだおい」

貴音「面妖ですね…」

春香「さてお次は~」

P「良いにおいするな」

春香「そうですっ!食堂車ですよ!食堂車!」

P「どういう列車なんだ…いろいろとおかしくないか…」

春香「この列車にいる限りはどれも使い放題だそうです」

P「電話でちょっぴりテンション高かったのはそれか」

P「で、もう一人呼べる、って言ったのはどういうことなんだ」

春香「あ、あれはですね…」

春香「私たち、紙きれを持っていましたよね?」

P「ああ」

春香「それはこの列車の乗車券だったらしいんです」

P「乗車券?」

春香「はい、あの時間にチケットを手にしているとこの列車に転送されるそうなんですよ」

P「そんなばかなことあるか…って…実際来てるんだよな…」

P「しかしおまえたち、落ち着いてるな」

真美「一日たてばちょっとはねー」

亜美「兄ちゃんもすぐ慣れるっしょー」

P「だといいが…それと春香」

春香「はい?」

P「おまえ、らしい、とか されるそうなんですよ、とか伝聞口調なのはなんでだ?」

春香「ああ、それはですね」

「ようこそ、あなたが13人目のお客さんですか」

P「だれだあんたは」

響「車掌さんだぞ」

貴音「そう警戒しなくても大丈夫です」

P「車掌さん? あなたが呼んだんですか?」

車掌「正確にいえばそうじゃないんですが…まぁ堅苦しい話は今はやめましょう」

車掌「あっ、その荷物お預かりしますよ」グイッ

P「あっ、ちょっと!」

春香「プロデューサー、大丈夫ですよ」

P「……」

P「なぁおまえたち、ここから戻る方法はあるのか?」

春香「ありますよ」

P「ほんとか! よかったじゃないか!」

P「どうやるんだ? すぐに元の場所に戻ろう!」









P「おい?」






春香「わたしたち……しばらくここにいてもいいかなって……」







P「は?」

P「春香、何言ってるんだおまえ?」

春香「わたし、戻りたくありません」

P「えぇ!?」

P「なぁおい皆はどうなんだ?戻らないとまずいだろ?」

真美「ショージキ言うと」

亜美「こっちのほうが楽しいかなって」

P「な……」

P「真、雪歩、おまえらは?」

雪歩「」ビクッ

真「プロデューサー、僕と雪歩も同じ意見です」

美希「美希もおんなじなの」

P「おまえたち…」

P(これじゃ来た意味が…)

P(今はひとまず…)

P「わかった。とりあえず今は状況が確認したい。この話はまたあとでしよう」

P(音無さんにたちに連絡して相談しよう)

ツーツー ツーツー

P「かからない?」

P「バッテリー…はあるよな…」

千早「無理ですよプロデューサー」

P「千早…無理ってどういうことだ?」

千早「私たちも来てからわかったんですけど、普通の携帯はこっちでは使えないみたいです」

P「しかし…電話を俺にかけてきたじゃないか」

千早「あれは車掌さんが持ってる電話でかけたんです。唯一あの電話からなら通信ができるようです」

千早「どういう原理なんでしょうね…」

P「わかった。ちょっと行ってくる」

P「使えない?」

車掌「はい、もう定員一杯乗車しているので」

P「そこをなんとかお願いします」

車掌「外部と連絡を取り合ってよからぬことをされることがありましてね」

車掌「そういったことを防止するためにも、連絡手段を制限させてもらっているんです」

車掌「申し訳ございませんが…」

P「くっそ…」

P(しかし良からぬことってなんだ?)

P(いやいや…とりあえずこれからのことを考えよう)

P(まぁ戻りたくないって気もわかる気がする)

P(おいしい食べ物、仲の良い友人、眠り心地の良いベット、冷暖房完備)

P(だれもがうらやむ素晴らしい環境じゃないか)

P(しかし、戻らなきゃいけない。俺たちは…あいつらは)

P(アイドルなんだ)

千早「プロデューサー」

P「千早?と、あずささんも?」

あずさ「どうも」

P「どうしたんですか?」

千早「あの、プロデューサーわたしたち実は」





P「何だ?」

千早「戻りたいんです。元の世界に」

P「!?」

P「戻りたいか。わかってくれたのか」

千早「プロデューサーに動かされたわけじゃありません」

P「そ、そうか…」

千早「確かにこっちは何不自由ありません。事務所にあるくたびれたソファーや映りの悪いテレビよりも格段に良いですよ」

千早「でもここには」

千早「歌が…音楽が足りません」

P「……千早は…歌が好きなんだな」

P「あずささんも戻りたい、と?」

あずさ「この世界には…結婚相手がいないですし~」

P(ずいぶん落ち着いた人だな)

あずさ「私は貧乏でもよいから普通に暮らしたいなって…」

P「そんなこと言わないでくださいよ。きっと売れますって」

千早「そこでプロデューサー、相談があるんです」

P「どうした?」

千早「プロデューサーもあっちに戻りたいんですよね?」

P「ああ」

千早「わたしたち三人だけで戻りませんか?」

P「えっ」

千早「春香たちはしばらく戻る気がないようですし、もう私たちだけでも」

P「ダメだ」

P「もうすぐ初ライブがあるのは知っているだろう」

P「あれに成功しなければほんとのほんとに765プロは終わりだぞ」

千早「私たち二人で出ます」

P「ダメだ。社長や律子とも約束している。必ず全員を連れもどす、と」

あずさ「そうだったんですか…」

P「とりあえずそういう方向でいこうと思ってる。明日あいつらともう一度話をしよう」

【残り5日】

食堂車

P「千早、昨日聞きそびれたが戻る方法はどうすればいいんだ?」

千早「車掌さんから降車券というチケットをもらってそれにサインすればよいそうです」

P「なるほど。だから三人だけで戻ろうと言ったのか」

P「じゃあ始めようか」

千早「はい」





P「みんな聞いてくれ」

真美「なになににーちゃん」

P「こっちは…どうだ? 楽しいか?」

春香「楽しいですよもちろん」

P「そうか。でもそろそろ向こうに戻らないか」

春香「どうしてですか?」

P「どうしてって…」

美希「戻ってもお仕事ないの」

亜美「にーちゃんもこっちにいようぜー」

P「おまえらアイドルなんだろ!」





真「だって……売れてないじゃないですか…」ホロリ

P「…真…」

P「今はそうかもしれない。でも頑張ればきっと」

春香「保証ないじゃないですか…」

亜美「亜美たち聞いたよう。ライブって言っても他の事務所と合同で持ち時間はたったの30分なんでしょ?」

真「他にも仕事はありましたけど……近所のスーパーのにぎやかしだったり…」

貴音「誰もいない客席を前にして歌って踊るのは正直つらいものです…」

P「それは…おまえらの実力じゃない。うまくお前らを宣伝できない俺のせいだ。すまない…」

P「けど、おまえらのアイドルに対する志はそんなものじゃないだろう」

P「春香、おまえは小さいころからずっと夢だったんだろ?」

P「雪歩、おまえは臆病な自分を変えたいんだよな?」

P「やよい、おまえは家が貧乏だから助けたいんだろ?」

P「他のみんなもだ。それぞれの思いがあるはずだろ?」

P「ちょっとつらいからって、楽な場所を見つけたからってにげるのか?」

千早「戻りましょう皆。今回のライブだってプロデューサーたちが必死でとってきたのよ」

P「最初は誰も知らないのがあたりまえなんだ…」

P「でもきっといい歌、いいダンスをしていれば見てくれる人がいるさ…」





春香「ごめんなさい…プロデューサーさん…」

P「春香…」

亜美「亜美たち、ちょっと勝手すぎちゃったね…」

響「ここで遊んでいてもトップアイドルにはなれないもんな」

伊織「まあそうよね」





P「皆…」

春香「プロデューサーさん、期待にこたえられるようにします」

貴音「決まり、でよろしいですか…」

P「頼むぞ、もどったら早速練習だ」

美希「えー…そ、それはちょっと…」

P「なーに言ってるんだ。いままだ遊んでたぶんを取り返さないと」

雪歩「わ、わたし降車券もらってきますぅ…」トテトテ

P「はい、全員分です」

車掌「全員、降りるんですか…そうですか」

P「最後にちょっとばかし質問あるんですけど…」

車掌「ええ、どうぞ」

P「列車ということはどこかに終着駅がある、ということですよね?」

車掌「それは行ってからのお楽しみ、ということなので、お答えできません」

P「どうして彼女たちは選ばれたんですか?」

車掌「選ばれたというか…運がよかっただけです…」

車掌「それにしてもあなたたちは強い人たちだ。この葛藤に勝ったんですから」



P「律子がカンカンに怒ってたぞ。戻ったら覚悟しとけよ」

亜美「え~」

ピカアアアアアアアアア!





オオオオオォォォン……

律子「みんな!?」

小鳥「プロデューサー!?」

真美「りっちゃーん!」

P「ただいま戻りました」

社長「ずいぶん遅いんじゃないかキミ」

P「はい? あと五日ほどあるんでは?」

律子「何言ってるんですか! 今日ですよ今日!」

春香「えぇ?」

貴音「おそらく向こうとこちらでは時間の流れも違うのでないかと…」

P「…な、なるほど…しかし貴音…おまえSFに強いんだな…すこし意外…」

律子「ちょっと!そんなことしてる場合じゃないわよ!もう移動するわよ移動。帰ったら説教!」

ガヤガヤ

ガヤガヤ

律子「まさか前座扱いとはね…」

P「遅刻してよかったですね。お客さんそこそこ入っていますよ」

律子「そうですね…プロデューサー、怒られるの付き合ってくれますか?…」

P「いいとも」

P「あっ、始めるようですよ…」





春香「みなさん、私たちは……アイドルですよっ!アイドルっ!」



お わ り

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