P「さて、ついたぞ桃華」
桃華「ええ。わたくしたちの家に、ですね」
P「それじゃ俺の家でもあるみたいじゃないか。まぁ今日だけだが……」
桃華「うふふ、お父様が無理を言って申し訳ありませんの」
P「いやいや、全然大丈夫さ」
P「まぁ、こうなるとは思わなかったけどなぁ……」
――――――
―――――
――――
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-数日前-
P「――――と、桃華さんのご活躍と近況としましては以上ですね」
桃華父「うむ、娘の人気も高く私も鼻が高いよ。これからも宜しく頼む」
P「はい、どうぞお任せください! きっとトップアイドルにしてみせますから」
桃華父「所で、少し相談があるのだが」
P「はい? 何でしょうか」
桃華父「キミ、休みはいつかね?」
P「え? 休み……ですか」
桃華父「キミの休みの時に仕事ではないのだが、娘の事で少々頼みがあってね」
P「でしたら……この日に休みの予定ですが」
桃華父「おお、丁度よい日にちだな。頼みというのは……」
桃華父「キミに娘を任せたいのだ」
P「!?」
P「えぇぇぇぇっ!?」
―――――
――――――
―――――――
P「いきなり桃華の事を頼むと言われた時は驚いたよ」
桃華「お父様ったら、言い方がいけませんわね」
桃華「ちゃんと『所用で家を空ける』って言って下さらないと」
P「その後で桃華と使用人ひとり残して家の人間全員空けちゃうから」
P「一晩頼むって説明してくれたけどね……俺でいいのかと」
桃華「あら? Pちゃまにはわたくしもお父様も全幅の信頼を寄せておりますのよ?」
桃華「そのことを十分おわかりになってくださいまし」
P「はは……信頼してくれるのはありがたいけどさ」
P「俺はこういったお屋敷で誰かのお世話をするー、なんて事やったことないからさ」
桃華「大丈夫ですわ、わたくしも一人前の淑女を自負しておりますの」
桃華「Pちゃまのお手を煩わせるような事はございませんわ」
P「おっ、じゃあ帰っちゃっても大丈夫そうかな」
桃華「! ま、待って! 今日は一晩お願い致します!」ギュッ
P「はははっ、ごめんごめん冗談さ」
P「何にせよこんな大きなお屋敷にほぼ一人じゃあ心配だからな」
P「俺にできることなら遠慮なく言ってくれ」
桃華「もうPちゃまったら……いじわるしないで下さいまし」
P「あ、今こっちにきてる人が使用人さんかな」
使用人「お待ちしておりましたお嬢様、それとプロデューサー様でございますね」
使用人「本日は宜しくお願い致します」
P「そんな深々と……こちらこそご迷惑かけてしまうかもしれませんが」
P「宜しくお願い致します」
使用人「では早速お屋敷へ……」
桃華「さ、参りましょうPちゃま」
P「ああ、屋敷に入ったら今日のやること話そうか」
-来賓室-
P「いつ来ても凄いなぁ……そんな広い所に二人だけなのは確かに心細いよな」
P「ところで、まずは何をすればいいんだ?」
使用人「はい、特にございません」
P「え、いいんですか?」
使用人「家の者が屋敷を出る前に全て、必要な事は済ましておりますので」
使用人「掃除なども全て終えております。本日一晩なら問題ございません」
P「じゃあ自分は桃華さんと一緒に居てあげるだけで……」
使用人「そのように整えてあります。ご自由に寛いで下さって構いません」
桃華「そういう事ですの。今日は夕食と湯浴みくらいですから」
桃華「あとはたっぷりとPちゃまとお話できますわ♪」
桃華(そう……たっぷりとですわよ、Pちゃま)
桃華(今晩の為にお仕事の合間、少しずつ仮眠もとって)
桃華(昼食も少なめにして起きていられるよう頑張りましたもの!)
桃華(数少ない機会、Pちゃまと少しでも長くいられるよう……!)
桃華(うふふふ……)
くぅ~
桃華「!」
P「ん、お腹すいてるのか?」
桃華「い、いえっ! これはその!」
P「昼間ちゃんとご飯食べなかっただろ? まだ育ち盛りなんだからよくないぞー」
P「使用人さん、晩御飯はどうすればいいですか?」
使用人「本日、外へ店の予約をつけておりますが」
使用人「もしもお屋敷で、との事であれば食材も用意はしております」
P「おおう、本当に全部整ってるんだ……予約は時間とか……?」
使用人「少し遅めにとっておりまして……まだ時間が」
P「うーん……桃華はもうお腹を空かせてるようだし、屋敷で何とかなりませんか」
桃華「わっ、わたくしの事でしたら大丈夫ですわ!」
くぅ~~
桃華「………………」
P「うん、すぐにでもご飯にした方がいいな」
P「自分もできる事があればお手伝いしますから。使用人さん、すぐご飯にしましょう」
桃華「!」
桃華「Pちゃまが作って下さいますの!?」ガタッ!
P「え? 俺が作るなんて大したものはできないけど……」
P「屋敷の人とかが作るほうがよっぽど上手にできるんじゃないかな」
桃華「いいえ! いいえ!! Pちゃまの手作り、おいしくない筈はありません!」
P「も、桃華ちょっと落ち着くんだ。それでよければすぐに作るから」
桃華「あぁ……Pちゃまのお料理を味わえる事に比べれば五つ星の料理店なんて霞んでしまいますわ……」
P「そんなオーバーな……」
P「よし、それじゃあ厨房借りて……食材もしっかり揃ってる」
P「まぁ、見た事も無い食材だらけで使いこなせないけどな」
P「米……卵にその他……うん、人に出せるのといえばこれだな」
P「使用人さん、桃華さんは普段中華とかも食べられてますか?」
使用人「はい、和洋中どれもお好みになられますよ」
P「よっし、心配ないな。……それとここに桃華さんを呼んできてもらえますか?」
使用人「お嬢様を……ですか? 少しお待ち下さいませ」
P「ええ、お願いします」
桃華「もう出来上がりましたの!?」
P「いやいや、準備が整った所さ。ここに二人いたら桃華は一人で待ちぼうけだろ?」
P「少しだけ一緒にやってみないか?」
桃華「わたくしがPちゃまと一緒に……!」
P「火や包丁は俺がやるから、桃華はここの卵を割って溶いてくれるか」
使用人「あの、そのような事でしたら私が……」
桃華「いいえ! これは共同作業ですの! わたくしがやりますから使用人は食器の準備をなさいっ」
使用人「は……」
桃華「これぐらい、学校での授業でもやりますの」
こんこんっ ぱきっ ぽとっ
桃華「あっ……うぅ、少し殻が」
P「お、上手上手。少しくらいの殻なら取れば大丈夫さ、ほい」
P「そのまま次も割ってごらん」
桃華「次こそは……!」
こんこんっ ぱきっ
桃華「綺麗に割れましたわ! 殻も混ざってませんの!」
P「さすが桃華、次は溶いてごらん。その間に他の準備っと……」
ジャッ ジャッ ジュゥゥ……
桃華「Pちゃまのお料理する姿を見られるのも役得かしら」
桃華「それにこの良い匂い……とてもお腹をくすぐられますわ」
P「おー、もうすぐできるからなー」
P「自分も手伝ってできた料理の味は格別だぞー」
P「こうやって出来上がりを見ていくのも味わいの一つ!」
ジャッ! ジャッ!
P(もう待ちきれないって風に落ち着かないな、桃華も)
P(さっきからずっとこっちを眺めてそわそわしてる……)
P(……よし、あとは仕上げて皿に盛れば……!)
P「ということでP特製『普通のチャーハン』出来上がり!」
桃華「わぁぁぁ…………って、特製なのに普通なんですの?」
P「だから大したものはできないって、これが精々なのさ」
桃華「ご謙遜なさらずにいいんですのよ、早速食堂へ参りましょう!」
――――――
―――――
――――
P「いただきます」
桃華「いただきますわ」
P「むぐっ……うん、食材が基本いいものばかりだから美味しくできたな」
P「桃華はどうだ……?」
桃華「はむっ………」
桃華「………………とても、素晴らしいお味ですわ!」
P「おぉ、口に合わなかったらどうしようかと」
P「おかわりもあるぞ、たんとお食べ」
桃華「はむっ、ひゃんっ! あつつ……」
P「あわてなくてもいいぞー」
桃華「もう! からかわないで下さいまし!」
桃華「Pちゃまが作って頂いた素敵なお料理、手が止まりませんもの」プイッ
P「熱々だからな、どれ……」
P「ふぅーっ。ふぅーっ…………ほい、あーん」スッ
桃華「まあ! そんな小さな子供のような扱いなんていけません!」
P「ん? あーん」
桃華「そのような……子供のような……」チラ チラ
P「ん~?」ニコニコ
桃華「………………」
桃華「ぁ……あーん……はむっ」
P「少しくらい冷めても美味しいだろ?」
桃華「……………」コクッ
桃華(あぁぁぁPちゃまにあーんして頂けるだなんて!)
桃華(今日はなんて素晴らしい日なのでしょう!)
桃華(わたくし、このような最高の晩餐味わった事はありません)
桃華(お料理もおいしくてPちゃまもお隣にいらして……あぁぁぁ……)
P「お、手が進んでるな。気に入ってくれて何よりだなぁ、ははは」
―――――――
――――――
―――――
P「ごちそうさまっと」
桃華「ごちそうさまですわ」
桃華「ぁぁ……お腹いっぱいに……はっ!?」
桃華(なんて事! 折角お昼を少なめにしましたのにPちゃまのご飯でつい……)
桃華(けれど食後のお茶をあれにすれば……まだいけますわ!)
使用人「食器は私が片付け致します。食後のお茶は如何なさいますか?」
桃華「コーヒー! とびっきりの濃いぶらっく? で!」
P「ん? 桃華は紅茶じゃないのか」
桃華「わ、わたくしたるもの色々なものを嗜むのですわ。お、おほほほ!」
P「そういうものか、じゃあ使用人さん。私も同じものでミルクと砂糖もお願いします」
使用人「畏まりました。すぐお持ち致しますね」
使用人「どうぞお召し上がりください」コトッ
ずずっ……
桃華「!? ~~~~~~っ!」
桃華(苦いとは聞いておりましたがここまでなんて……あぅぅぅ)
P「~~♪」
桃華(いくら砂糖とミルク入りとはいえPちゃまは美味しそうに……うぅ)
ずずっ……
P「桃華はブラック飲めるなんてなぁ。大人の味ってやつだな」
P(俺は苦手だけど)
桃華「…………」ジワッ
桃華「う、うふふ。Pちゃまもわたくしを一人前の淑女として扱って下さいまし」
桃華(これもPちゃまと夜を過ごす為……そのための試練と思えばこれくらいは!)
桃華「…………ぁぅぅ…にがぃ」
桃華「ふぅ……ふぅ……ごちそうさまですわ」
P「コーヒーも熱かったのか……」
桃華(結局砂糖とミルクを足してしまいました……)
使用人「それではお風呂の準備もして参ります」
使用人「プロデューサー様にもご用意致しますのでそのままお寛ぎ下さい」
P「自分も? いいんでしょうか」
桃華「今日はわたくしとPちゃまのおうちですのよ? 何か問題でも?」
P「いや、そういう訳ではないが……では使用人さんお願いします」
使用人「少々お待ちを……」スッ
P「じゃあ準備できるまで少し話しでもしてようか」
桃華「ええ、その後もたっぷりお時間はありましてよ」
P「お風呂上がって暫くしたら寝る時間になるだろうさ」
桃華「ご心配には及びませんわ、明日のスケジュールもご存知でしょう?」
P「まぁ、俺も桃華もゆっくりはできるが……夜更かしなんてだめだぞ」
桃華「いつもしているわけではありませんもの、たまにはよいでしょう?」
P「いいや、桃華のお父さんから預かっているんだ。きちんと責任を持って過ごさせるからな」
桃華「もう……Pちゃまったらお父様よりもお厳しいですわ」
P「…………少しだけだからな?」
桃華「うふふ、そういうお優しい所もお父様とそっくり」
桃華「Pちゃまともっと一緒に居られたらいいですのに……」
P「そればっかりは、まあ……できるだけ仕事の時は一緒に居るようにするからさ」
桃華「お仕事だけでは御座いませんわ、それ以外の時も」
P「そういうのはもっと大人になってから、な」
桃華「子供扱いしないでくださいまし! もう一人前の淑女で……はっ!」
P「ふふふ」
桃華「……また帰られるなんてご冗談言われませんよね?」
P「冗談だったらいいかもな?」
桃華「…………うぅ、Pちゃまには敵いませんわ」
P「ごめんごめん、そろそろお風呂の準備ができたんじゃあないかな」
P「使用人さん戻ってきたぞ」
使用人「お待たせ致しましたお嬢様。お風呂の準備が整いましたのでどうぞ」
P「ほら、行っておいで」
桃華「でしたら、ひとまず席を外させて頂きますわ」
P「うん、ゆっくり温まっておいで」
P(さて、暫く経ったようだが二人でお風呂に入っているんだろうな)
P(する事は特に……無いな、まぁ上がってくるまでのんびりしてるか)
――――――
―――――
――――
使用人「お嬢様、どこか洗って頂きたい所は御座いますか?」
桃華「いいえ、大丈夫よ」
桃華(お風呂のお時間も少しばかり惜しいですわ……Pちゃまとのお時間が……)
そわそわ そわそわ
使用人「……………」
使用人「お嬢様。あとは御髪を洗い湯船につかるのみですが……」
桃華「早くして下さる?」
使用人「ではこちらにお着替え下さい」
桃華「水着……ですの? これは。お風呂でこんな……」ゴソゴソ
使用人「少々お待ち下さいませ……」
桃華「あ、ちょっと!? もう、何なのかしらまったく……」
ぽいっ べちっ!
P「んがっ!?」
桃華「!?」
桃華「Pちゃま!? どうしてこちらに!?」
P「も、桃華!? うわぁ! すぐ出るから!」
桃華「お待ちになって! わたくしは水着をつけておりますから大丈夫ですの!」
P「も、桃華も? ううむこれは……」
桃華「けれど一体何が……」
P「その、使用人さんに『お風呂の準備が整いました』って半分引っ張られて……」
P「ついでに水着も渡されたんだが、このお屋敷ではそういうものかなーって着てたら」
P「そのまま押し込まれて……」
桃華「そういう事でしたの……」
P「どうしようか、一旦桃華があがるまで待ってるよ」
桃華「ええと、構いませんわ、お互い着ておりますしこのままでも」
桃華「ちょうど、髪を洗う所でしたの。洗って下さいまし」
P「ん、俺でいいのか?」
桃華「Pちゃまにできることは遠慮なく言ってよいのでしょう?」
P「む……確かにそう言ったな……わかった、じゃあ失礼して」
P「それじゃあ目をつぶってー」
ざばぁっ ばしゃぁーっ
桃華「……ぷはっ!」
P「じゃあシャンプーを泡立てて……」
わし わし きゅっ きゅっ
P「うん、丁寧に丁寧に……」
桃華「うふふ、Pちゃまの手。とてもお優しくてよ」
P「痛かったりしてないか?」
桃華「ええ、とても心地よいですわ……ふわぁ……」
P「よし、全体を撫でるように……どこか痒い所はないかー?」
桃華「大丈夫ですわ、このままで……………」
P「うん、じゃあ洗えたから流すぞー」
ざばぁっ ざぁぁぁぁ
桃華「あ……もう終わってしまいましたの」
P「ん、次はトリートメントかな?」
桃華「……はい!」
――――――
―――――
――――
P「ふぅ……極楽極楽、お風呂すっごい広いな」
桃華「うふふ、お気に入りでしたらいつでもいらしてよいのですよ?」
P「はは、考えておくよ。所ですごく楽しそうだがお風呂は好きなのか?」
桃華「えっ!? ええそうですわ、この身も心も綺麗にするのはとても心地よいものですから、おほほ!」
桃華(Pちゃまとご一緒に入れたからなんて言えませんわ……!)
桃華(はしたない子だと思われてしまいますの)
P「よっ」ビシュッ!
桃華「あら、何ですのそれは」
P「手をこうやって閉じるように組んで……水鉄砲なんてね」ビシュッ!
桃華「ふむふむ……こう、ですの?」チャプン
P「あはは、うまくいかなかったな。こんな感じだ」ビシュッ!
桃華「むむむ……えいっ!」バシャッ!
P「ぶっ!?」
P「ぼ、暴発食らった……」
桃華「あ、あらあら、わたくしとした事が……」
P「うぬぬ……とうっ!」ビシュッ!
桃華「きゃんっ! もう! Pちゃまったら!」
ばしゃっ! ばしゃっ! きゃっ きゃっ
使用人(うふふ……まるでご兄妹のよう……お連れしたのは正解ですね!)
――――――
―――――
――――
P「ふぅ、あがったあがった」
桃華「Pちゃま、その、髪を……」
P「ん? ああいいぞ、ドライヤーと櫛もっておいで」
使用人「どうぞこちらをお使い下さい」
P「お、ありがとうございます」
かちっ ぶぉぉぉ~~
桃華「わぷっ」
P「それじゃあじっとしててなー」
P「桃華の髪はウェーブかかってて綺麗だな」
桃華「ええ、お手入れは欠かせませんもの」
P「櫛の通りもサラサラだし……今度トリートメントのCMでも取ってこようかな」
桃華「もう、お仕事のお話は今はなしですのよ」
P「おっとすまない、つい癖が」
使用人「終わりましたら寝室へご案内致します」
P「はい、桃華さんは髪が短いですからすぐに済むと思いますよ」
桃華「乾いてない所がないように、じっくりお願い致しますわ」
P「ん、風邪ひいたりしたら大変だもんな」
ぶぉぉぉぉ…………
――――
―――――
――――――
http://i.imgur.com/XRK28Eq.jpg
桃華「うふふ、それでは残りのお時間。たっぷりお話しましょう?」
P「そうしたらあとは寝るだけだぞー」
桃華(やっと……やっとこの時が!)
桃華(今日は色々な事がありましたの。それも全てこの後の為……!)
桃華(抜かりは…… うぅ、少しあったかもしれませんけれど)
P「今日は寂しくなかったか?」
桃華「ええ、とても楽しく過ごせましたわ」
P「うん、それならよかった」
桃華「いつもとは違いPちゃまが一緒に居られましたもの、楽しくない筈がありませんわ」
桃華「でも、まだ今日は終わりでは御座いませんよ?」
P「もう寝巻きに着替えてベッドの上で、あとは寝るだけじゃあないか」
桃華「うふふ、12時を過ぎたシンデレラは魔法が解けてしまいますが」
桃華「Pちゃまにかけて頂いた魔法は解けませんもの」
桃華「夜はこれからですのよ?」
P「桃華は元々お姫様みたいなものだから、魔法がかかってないかもしれないぞ?」
桃華「いいえ、そのような事はありませんのよ」
桃華「わたくしはしかとPちゃまから魔法をかけられております」
P「お姫様になったシンデレラに魔法がかかったままなのも、きっと素敵だろうな」
桃華(綺麗な姿になれる魔法ではなく、もっと素敵なもの……ですけれどね)
桃華「……くしゅっ!」
P「む、いけない。少し湯冷めしたのかな?」
桃華「い、いいえそのような事は」
P「まだこの季節は夜寒いからな、ベッドの中にお入りなさい」
桃華「ですがまだお話は……」
P「ベッドで横になったままでもお話しできるさ、ほら」
桃華「Pちゃまがそう仰られるなら……失礼致しますわ」
P「うん、ベッドは暖かいか?」
桃華「大丈夫ですのよ、ですから……お話しを……して……」
桃華(え、うそ……瞼が重く……嫌ですわ! そんな)
P「ああ、今日はお疲れだったんだな、もう眠くなってる顔に」
桃華「そんな、事……あり、ませんの……」
P「ははは、ゆっくり休むといいさ」
桃華「でも……そうしたら、またお仕事のプロデューサーちゃまに……もど、られて……」
P「ちょっと頭失礼して……」
なで なで さらさら
桃華(あっ、Pちゃま、そのように心地よく、されると……)
桃華(あぁぁぁぁぁ………………)
桃華「……………………すぅ……」
P(はしゃいで疲れてたのかな? すごい寝つきの良さだ……)
桃華「……すぅ……すぅ……」
P(もう大丈夫そうだな、じゃあ俺も寝るとしようか)
すっ ぱたん
P「ふぅ……」
使用人「お嬢様はお眠りになられましたか?」
P「うぉぅびっくりした! ええ、とても良さそうな心地で眠られましたよ」
使用人「ではプロデューサー様の寝室もご用意しておりますので、こちらへ……」
P「すみません、何から何まで」
使用人「いえいえ、お嬢様のお傍に居て頂く為でしたら如何様な事でも」
P「……たまには、また伺っても?」
使用人「是非。お嬢様も大変お喜びになられると思います」
使用人「隣の部屋になりますが、どうぞお使い下さい」
P「ありがとうございます……このベッドも豪華だ……」
使用人「何かありましたらお時間構いませんのでお呼び下さい」
P「いえいえ、自分もすぐに眠ると思いますので大丈夫です」
使用人「では、おやすみなさいませ」
がちゃっ ぱたん
P「ふぅ、まぁ何だかんだで楽しかったかな」
P「まぁ俺も寝るとしよう……このベッドふかふかだ、すげぇ」
P「これは桃華もすぐ寝れるワケだ……」
P「俺もすぐ寝つけそうだ……」
―――――
――――
―――
すっ かちゃり
P「Zzzzz………」
使用人(プロデューサー様もお休みになられたようですね)
使用人(お嬢様は夜にずっとご一緒されると息巻いておいででしたが……)
使用人(不詳私めがそのお望みの手助け致します……!)
ぱたん
使用人「……お嬢様、お嬢様」
ゆさゆさ ゆさゆさ
桃華「……ぅ……んぅ……」
使用人「お嬢様、お部屋をお間違えでおいでですよ」
桃華「…………んー……」
もそもそ
使用人「さ、お部屋に参りましょう。お手をどうぞ」
桃華「……うん……」
かちゃり すっ
使用人「ささ、こちらのベッドへ……」
桃華「ん…………あったかい……」
使用人「ベッドを整えておりましたので……では改めてお休みなさいませ」
桃華「……………すぅ……」ギュウッ
使用人(うふふ、成功ですね! お館様の信頼を寄せるプロデューサー様なら)
使用人(安心してお預けできますものね)
使用人(どうぞお二人ともごゆっくりお休みください……)
P「Zzzzzz…………」
桃華「……すぅ……すぅ……」
――――――
―――――
――――
-翌日-
桃華「……ん…………んぅ……ふぁ……」
桃華「朝……ですの……?」
桃華(……そういえば夕べはすぐに寝てしまって……あぁ……残念なこと……)
桃華(でも、とても心地よい夢を見れ……)
P「Zzzz…………」
桃華「!?」
桃華(なんでPちゃまが!? ここわたくしの部屋じゃないですわ!?)
桃華(Pちゃまと一つのベッドで夜を……!?)
桃華(……そういえば夜に使用人から起こされたような……あの時!)
桃華(あわわわわどうしましょうPちゃまに気づかれたらわたくし!)
P「ん……」
桃華(きゃああああPちゃまが起きてしまわれますわ!)
桃華(こ、こうなったらもうやけですの!)
ぽすっ
P「ん……あれ、もうあs……」
桃華「す、すぅ……すぅ……」
P「!?」
P「ぅゎっ……! っと声を抑えて……」
P(なんで桃華が!? 寝る前は確かに一人だった筈……!)
P(夜中に起きて部屋を間違えたのか!?)
P(これは静かに抜け出して気づかれないようにしなければ……!)
すっ もそ もそ
桃華(あっ、Pちゃまが抜け出されて……それはさせませんの!)
桃華「ん……す、すぅ……すぅ……」ギュゥ
P「!」
P(寝たまま桃華が袖を掴んできて……これじゃ抜けられない……うぐぐ)
P(いいか、何もしない。何もしないんだ俺は)
P(もう一度ベッドで寝なおすだけだ、何もなかったし何もしない)
桃華(思わずPちゃまを引き止めてしまいましたが、このあと)
P(ううむ……もう朝だし桃華を起こして引き剥がしてもよかったんじゃないか、でもこれ)
桃華・P(どうしよう…………)
P「Z、Zzzzz」
桃華「す、すぅすぅ……」
がちゃっ
桃華「!」
P「!」
給仕「お二人はまだ……お休みのままですね」
給仕「朝食のご用意はまだよいでしょう……それにしても」
給仕「お嬢様を連れてよかったみたい、とても仲良さそうに眠ってらっしゃいますね」
P(お前かぁぁぁ!)
桃華(やはり貴女でしたの!)
ぱたん
P(本当どうしよう……動けない)
桃華(先に起きるわけにもいきませんし……)
P「しょうがない……もう一眠りしても大丈夫かな……」
すっ なで なで
P「ごめんな、もう少しこのまま寝させてもらうよ……」
桃華(あっ……また髪を……心地よくて……)
ZZzzz…… すぅ……すぅ……
――――――
―――――
――――
桃華父「今戻ったよ、使用人はいるかね?」
使用人「はい、こちらに」
桃華父「昨日は特に問題はなかったかな」
使用人「大丈夫でございます」
桃華父「それで、二人は?」
使用人「それが…………ボソボソ」
桃華父「ほう、ほう……ふむ、おお!」
かちゃっ
桃華父「……うむ、仲睦まじいようだね」
桃華父「やはり私の見込みも間違いではないな……うむ!」
ぱたん
桃華父「さてこれから忙しくなるかね、先生方にお願いをしなければ」
桃華父「それに祝いも支度しないとな」
桃華父「こうも早く改めて彼にうちの娘を任せる事になるとは、はっはっは!」
この後財界からの働きかけで結婚年齢の引き下げをする法案が提出されたり
櫻井家では盛大なパーティが開かれるものの当の二人は何事かわからぬまま祝われたり
それはまた別のお話
-おしまい-
今回のちゃまは劇場も含めハイパー可愛い、スレタイは劇場のタイトルから
短いけれどこれで、読んでくれてありがとう
それとロリコンのお帰りはこちら
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このSSまとめへのコメント
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