幼女「おじさんだれー....?」死神「んー、死神」 (22)

幼女「なんでわたしふたりいるのー?」

死神「あれはね、君の抜け殻。魂のない、肉の塊なんだよ」

幼女「パパとママなんでないてるの?わたしここにいるよー?」

死神「君はもう普通の人には、見えないんだ」

幼女「.....わたししんじゃったのー.....?」

死神「そう。君は死んだんだ」

幼女「でもいまいきてるよー?」

死神「うん、生きてるね。でも死んでいるんだ」

幼女「よくわかんなーい」

死神「皆いつも言うんだよね。さ、行こっか」

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幼女「どこー?」

死神「....君の、おばあちゃんのいるとこへだよ」

幼女「じゃー、おはかー?」

死神「あー.....おばあちゃんの新しい家って言えばいいかな」

幼女「でも、ママがしらないひとについってっちゃだめって」

死神「大丈夫、おっちゃんおばあちゃんの友達だから」

幼女「じゃーいっかー」

死神「その抜けてる性格のせいで死んだんだろうね君」

幼女「パパとママもいっしょー?」

死神「パパとママはね、後からすぐ来るよ」

幼女「そっかー」

幼女「どこー?」

死神「....君の、おばあちゃんのいるとこへだよ」

幼女「じゃー、おはかー?」

死神「あー.....おばあちゃんの新しい家って言えばいいかな」

幼女「でも、ママがしらないひとについってっちゃだめって」

死神「大丈夫、おっちゃんおばあちゃんの友達だから」

幼女「じゃーいっかー」

死神「そのすぐ信じる性格のせいで死んだんだろうね君」

幼女「パパとママもいっしょー?」

死神「パパとママはね、後からすぐ来るよ」

幼女「そっかー」

幼女「わー、おふねだー」

死神「はい、気をつけて乗ってね」

幼女「他にもいっぱい乗ってるー」

死神「うん、いつも満席なんだ」

幼女「わー、あのおじさんすっごいがりがりだー」

死神「その人はね、身内も友人も消えてお金もなくて人ぼっちだったんだよ」

幼女「このおにいさんなんでくびにあざがあるのー?」

死神「その人はね、苦しくなった生活から逃げたんだよ」

幼女「このおねーさん、なんでケガだらけなのー....?」

死神「その人はね、知らない人に付け回された挙句最後まですごく怖い思いをしたんだよ」

幼女「いっぱいしんじゃったのー?」

死神「そう、いっぱい.....さ、行こっか」ギィー.....

幼女「わー、すすんだー」

死神「ひぃー、いいかげんエンジンでも積んでほしいなぁこれ」

幼女「わー、みてみておみずがくろからまっかっかになったー」

死神「血の池だよ、落ちちゃうからあんまり乗り出さないでね」


幼女「おちるとどうなっちゃうのー?」

死神「んー、じゃぁこっち来て見てみなさい。気を付けてね」

幼女「うんしょ、うんしょ.....わー、いっぱいひとがおよいでるー」

死神「泳いでるんじゃなくて溺れてるんだよ、もう死んでるからずーっと溺れてるんだよ」

幼女「なんでおぼれてるのー?」

死神「皆「帰ろう」として船を飛び降りるんだよ。でもどうやっても辿りつかなくて、沈むんだ」

幼女「およいでかえれるのー?」

死神「無理」

幼女「おばあちゃんもかえろうとしたー?」

死神「んーん、あのおばあちゃんは受け入れてむしろ渡ってる間ずっと唄ってくれたよ。......多分」

幼女「おばあちゃんおうたがじょうずだもんねー」

死神「ねー」

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おばあちゃん「~~~♪」

死神「婆ちゃんご機嫌だね。死んだ人は大抵死んだ目で死人みたいに黙っちゃうもんだよ」

おばあちゃん「そらなぁ、孫がおーきくなるの見れないけれど、先に逝ったお爺さんに会えると思えば、案外楽なもんだよぉ」

死神「ふぅーん」

おばあちゃん「それに死んだ後まで落ち込んだって、なーんもいい事ないからねぇ。どんな時でも、笑ってるのが一番さねぇ」

死神「へー」

おばあちゃん「しかしまぁ、綺麗な赤色だねぇこの川は」

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幼女「わー!みてみておっきいおふねー!」

死神「あれは地獄側の船だよ。悪い事して死んだ人はあっちに乗せられるんだよ」

幼女「わー、みんななかよくこいでるねー」

死神「そうだねー、仲良くには見えないけどね。地獄に連れてかれる悪い人はあぁして死んだ後もずーーっと働かされるんだ」

幼女「わるいひとがじごくにいくのー?じゃぁわたしいーこ?」

死神「そうだね、いい子だね」

幼女「わーい。あれー?あそこでだれかたってるよー?」

死神「あ。ヒトラーのおっさんまーた船の上で演説してやがる」

幼女「ネトラー?」

死神「ヒトラー」

幼女「わー、ちっちゃなおふねがいっぱいきたよー?」

死神「あれは来世にいく人達だよ」

幼女「らいせってなーに?」

死神「んーと、次の人生.....つまり死んだチョウチョが来世はカブトムシになったり、卑弥呼の家来が来世で芸人になったり......」

幼女「うまれかわるのー?」

死神「ん、ま、まぁそうだね」

幼女「じゃーおはなやさんにうまれかわりたーい!」

死神「あー....それは来世次第だね。あ、織田信長がまた明智光秀追いかけてる」

死神「はい岸に到着~」

幼女「おつかれさまでしたー」

死神「はーい、皆さん降りて一列に並んで私に着いてきて下さいねー」

幼女「あるくのー?」

死神「ちょっとね。これから天国と地獄の入り口にいくんだよ」

幼女「あ!おっきなふねからもいっぱいおりてきたー!」

死神「ほら、手ェつなぐ?」

幼女「うん!......おじさんのおててつめたいね」

死神「いちお、おじさん魂だけの存在だから。あ、ライト兄弟がアドルフ・ペグーとまた飛んでら」

幼女「いっぱいいるねー」

死神「ほとんどは今日死んだ人達だよ。病死事故死自殺他殺、色とりどり」

幼女「あそこはなにしてるのー?」

死神「あそこで来世に生まれ変わるお願いをしにいくんだよ。ほら、いーっぱい人が並んでるでしょ?皆生まれ変わりたいです、って並んでるんだよ」

幼女「そっかー」

死神「お嬢ちゃんも生まれ変わりたい?」

幼女「んーん!おばあちゃんにあいにいくー!」

死神「そっか。おばあちゃんきっと喜ぶよ」

幼女「ねーね、あれはなにー?」

死神「あれは.....あー......ジョブズとアインシュタインが何か作ってるんだよ......何かを」

幼女「ねーねー、こどももいっぱいいるねー?」

死神「そうだよ」

幼女「こどももしんじゃうのー?」

死神「子供だからって病気にならないわけじゃないし、事故に巻き込まれないわけでも殺されないわけでもないかたね。生き物はみんな、例外なく死ぬ。必ずね」

幼女「ぜったいしんじゃうのー?」

死神「そ。「死」は避けれない運命、人生で誰もが払うべき代償なんだ.....お嬢ちゃんにはちょっと早かったね」

幼女「??????」

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