【ダンガンロンパ】希望ヶ峰神話大系【四畳半】 (114)
このSSは……
・ダンガンロンパ×四畳半神話大系(アニメver)のクロスSS
・四畳半神話大系を知らない人でも分かる
・ダンガンロンパを知らない人は分からない
・舞台は殺し合い学園生活
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あらゆる分野の超一流高校生を集め、育て上げる事を目的とした、政府公認の超特権的な学園……都会の一等地にそびえたつ、希望ヶ峰学園。
僕はその学園に、入学する。
勿論、下調べも済ませた。
希望ヶ峰学園には『超高校級のギャル』『超高校級の野球選手』そして『超高校級の暴走族』なんていう人達も入学するらしい。
皆、あらゆる才能を秘めた者たちなのだろうが、僕はその中でも少し特殊なように思う。
僕は『超高校級の風紀委員』としてスカウトされたのだ。
ちなみに、僕には特異な才能などない。
では何故、希望ヶ峰学園にスカウトされたのか。
それは努力の賜物であると自負している。
全国模試で一位へとの仕上がり、規則を守り、風紀を全力で正してきた。
その功績が認められたようで、僕はこの通知が来た時は、泣いて喜んだものだ。
さぁ、学園への第一歩だ!
と、深呼吸をし、目をカッと見開いた。
僕の心中は、より教育の制度が整えられたこの希望ヶ峰学園での学業のことで頭がいっぱいだった。
僕はこの希望ヶ峰学園という舞台で、新たな努力の場を与えられたのだ!
ゆくゆくは天才を努力で追い越し、国の頂点を勤め、そして努力が報われる国へと変えるのだ!!
――そう意気揚々と門をくぐった僕は、どうやら手の施しようのない馬鹿だった。
――――――
――――
――
そう……手の施しようのない馬鹿だったのだ。
クラスメイトを三人も失い、そしてあまつさえ唯一無二の親友に殺人を許してしまった。
そうして合計五人もの理不尽な死を、僕はのうのうと見届けることしかできなかったのだ。
何が優等生だ。何が超高校級の風紀委員だ。
風紀なんてものを、何一つ守ることが出来ず、おかしなこの学園を何一つ正すことができなかった。
死に際になって思い知る。
僕はただ法と規則に守られていただけのちっぽけな存在にすぎなかったのだということ。
無法へと化したこの場においては、ただの無力なだけの子どもにすぎなかったのだということ。
毎日毎日膨大な時間を使ったお勉強は、死んでしまえば無意味になるということ。
そして、気が付くのがいよいよ遅すぎたのだ、ということも。
ただの無駄な労力。
一日の大半を費やしたと言ってもいい、全ての努力が、死へ向かい行く今となっては全て無駄に終わったのだ。
では努力しか知らない僕の人生とは一体なんだったのだろう。
友を無くし、風紀を守れず、信じた努力は無駄に終わった。
そんな僕の人生は一体なんだったのだろう。
これを人生の無駄遣いというのか、と虚しく悟ったころにはもう、僕の全ての感覚は閉ざされていた。
こんなことになるのなら、もっと人生を豊かに過ごすべきだった。
例えば……そうだな、恋愛なんて、僕はしたことがなかったから。
そんなことが、もう働かないはずの脳みそをよぎって、何故だか僕の壊れているはずの腕時計がギュイギュイギュイと異様な音を立てている気がした。
あらゆる分野の超一流高校生を集め、育て上げる事を目的とした、政府公認の超特権的な学園……都会の一等地にそびえたつ、希望ヶ峰学園。
僕はその学園に、入学する……はずなのだが、何故か門をくぐった後、眠ってしまっていたらしい。
さぁ、よく分からないが、ここから学園への第一歩だ!
と、深呼吸をし、目をカッと見開いた。
希望ヶ峰学園は、僕が今まで通っていた高校よりも数段、教育の制度が整えられている。
しかし僕の心中は、恋愛のことで頭がいっぱいだった。
もちろん、勉学を怠る気などさらさらない!
だが、せっかく与えられた青春という機会。これを逃せばもうこの時間は帰ってこないのだ。
僕はこの学園で恋愛というものを経験し、そしてより豊かな人生を手に入れるのだ!!
――そう意気揚々と玄関ホールへと向かった僕は、どうやら手の施しようのない馬鹿だった。
玄関ホールに集まったのは、僕も含めて15人の高校生。
どうやら、新入生全員で15人らしかった。
僕はのっけから女子をジロジロと見ていたように思う。
さながら不審者のようだったであろう。
しかし僕は恋愛に対して誠実でありたいという考えをもっているため、それは致し方ないことなのであった。
江ノ島「ちょ、何ィ?ジロジロ見ないでくんない?マジキモいんですけど」
石丸「不快な思いをさせてすまない」
しかし指摘されたとなると、素直にそう謝る他ない。
僕はどうやらキモいらしい。幸先が悪いな。
その後体育館に集められた僕達は、モノクマを名乗る自称学園長からとんでもない話を聞くこととなった。
僕達はこの学園に閉じ込められていて、正攻法で脱出するためには、殺人を犯さなければならないようだ。
理不尽だ!横暴だ!非道徳的だ!
それらを総合してこの条件を一言で表すなら、無茶なのであった。
しかし諦めることは僕の主義に反する。だから、不安を押しつぶすように声高々に言い放った。
石丸「諸君!希望を捨てちゃ駄目だ!きっとどこかに脱出できる糸口があるはずだ!」
正直もう恋愛したいだとか、お花畑なことを考えている場合ではないのだが、この発言によって女子のポイントを稼げたのではないかという気持ちがよぎってしまったことは許していただきたい。
僕達はその日も、次の日も、そしてまた次の日も、結局は何の手がかりも掴むことができなかった。
モノクマ「おまえら、ゆとり世代の割りにはガッツあるんだね~」
などど煽られ、咄嗟にゆとり教育の長所と短所について熱弁を振るいたくなってしまったのだが、どうやらそういう雰囲気ではないようだった。
モノクマ「視聴覚室にいいものをご用意しました~」
うぷぷぷ~、などと笑い声なのか鳴き声なのかもよく分からない声をあげてモノクマは何処かへ去って行った。
(しかし使い所を分析するに、どうやらうぷぷぷ~とは笑い声らしい)
視聴覚室には個々にDVDが用意されており、どうやらそれは僕達に関係する外の様子を写したものらしい。
皆、一抹の不安と期待を胸に秘めてそのDVDをそれぞれ手に取った。
……内容は伏せたい。
言葉で表したくないからだ。
しかし、その内容は最悪なものだった。
一刻も早くここから脱出し、そして確認しなければならないと、そう思わずにはいられなかった。
舞園「出なきゃ……早くここから出なきゃ!!」
苗木「舞園さん!!」
石丸「舞園くん!待ちたまえ!!」
勢いよく視聴覚室を出た舞園くんを思わず追いかけた。
実は舞園くんのことが気になっていた。
勿論異性として。
変わり者の多いこの学園で、舞園くんは服装も生活態度も模範的であった。
そして何より、誰にでも優しく可愛らしい。
これほど完璧な女性がいようか。
舞園くんと恋愛ができたなら、僕はきっと幸せだろうと、そう思ってしまってからは早かった。
だから必死に舞園くんを追いかける。
自慢じゃないが、僕はそこそこ足が速い。
苗木くんを追い越し、やすやすと舞園くんに追いつき、そして腕を掴んだ。
石丸「舞園くん!落ち着きたまえ!!」
舞園「離して!ここから出なきゃ……何をしても、ここから早く出なきゃ……」
石丸「大丈夫だ!みんなで力を合わせて助け合って生活していれば、きっとそのうち助けが」
舞園「助けなんて来ないじゃない!!」
まさしくそれは、鬼の形相であった。
彼女は可愛らしい顔を般若のように歪め、僕を睨みつけて親の仇のように怒鳴りつけた。
どうやら彼女は本気らしい。
それほどまでに思い詰めている彼女をこのまま放っておけるわけもなく、僕は持ち前の大声で彼女に怒鳴り返したのだった。
石丸「僕が君をこの学園から必ず出して見せる!!何をしても、絶対に!絶対にだ!!」
舞園「う、ぁ……うわああああああああああああああああん!!」
舞園くんは僕の胸に顔を埋めて号泣していた。
抱きつかれたからといって、流石に劣情を催すことができる精神状態ではない。
僕はホッと胸を撫で下ろし、決意を固めるのだった。
舞園くんを守る!
そして彼女を絶対にこの学園から脱出させるのだ!!
とりあえずこの辺で。
需要がなくても続ける。
その後僕は舞園くんを部屋へと送り届け、自室へと戻った。
なんだかこんな感覚は始めてだが、あのDVDの不安を塗り替えるようなふわふわとした感情が僕の心を埋め尽くしていく。
否定するには白々しいほどに、ニヤニヤが止まらないという事態に陥っていた。
不謹慎だろうと思う。
いや、断言しよう。不謹慎だ。
しかし彼女へと向けた言葉は本心であり、あの時点では下心なんて微塵もなかったのだ。本当だ。
そもそも僕の彼女への気持ちは下心ではない。純愛なのだ、そうなのだ。
大切な女性に思いを馳せながら笑顔になるだなんて、まさに青春ではないか!
その笑顔が爽やかなものではなく、だらしなく表情筋を弛緩したいやらしいものだということは、この際、目をつぶろう。
そしてあのDVDを忘れるための現実逃避のような気もしたが、ついでにそのことにも目をつぶろう。
シャワーを浴びたあと、さて本日分の自習を行おうじゃないかと机に向かったとき、不意にチャイムが鳴らされた。
ピンポーン
石丸「ん?確か……」
もう夜時間になっていたはずだ。そして夜時間は出歩きが禁止になったはずだ。
では僕の部屋の前にいる、チャイムを鳴らした犯人とは一体誰なのか。
その答えはすぐに分かった。
ドアの隙間からメモ用紙が入れられていたのだ。
そしてそれは逢引の手紙のような文面だった。
この手紙を見て五分後に部屋へと来て欲しい、という内容のものであった。
最後はこう締めくくられている。
『舞園さやかより』
結果として僕は舞園くんの部屋から命からがら逃げ出した。
比喩でもなんでもなく命を懸けて逃げ出した。
むしろ逃げた時点で僕は死にかけていた。
目はチカチカしていたし、意識は朦朧としていた。
そして呼吸すらうまくできない状態で、しかし火事場の馬鹿力というやつだろう、自分の個室へとなんとか逃げ切ることに成功したのだった。
しかしこのままでは僕はきっと死んでしまうだろうという予感めいたものがあった。
何しろ僕は、舞園くんに脇腹を刺されたのだ。包丁で、ザックリとだ。
そのときの光景がチカチカしているはずの目に、鮮明に浮かぶ。
あれほど迷いのない目で人は人を刺せるものなのだ。
僕が浮ついてふわふわとピンク色の想いに馳せている間、彼女はどのように僕を殺すかということに真剣に想いを馳せていたようだった。
その結果がこの惨状だ。
脇腹から血が止まらない。
体から血がどんどんと奪われ、全身に回っていない感覚に、死が迫っている感覚に、とにかく焦った。
僕は死にたくなかった。
そして何より悔しかった。
僕の初恋を奪い、僕の決意を数時間で放り投げた彼女に殺されてしまうというこの状況がただただ情けなく、そして悔しかった。
数十分前までこの部屋でニヤニヤとしていた自分をぶん殴りたい気分だ。
いや、兎にも角にもまずはこの状況をどうにかすべきだろう。
このままこの部屋に留まっていても、僕はきっと出血多量で死ぬのだから。
今にも瞼が閉じてしまいそうだったが、恐らく瞼を閉じた時、死へのカウントダウンが始まってしまう気がした。
そんな状況では、まばたきすらはばかられた。
もちろん部屋から出るのは物凄い恐怖が伴う。
部屋の前に舞園くんが包丁を持って待ち構えているかもしれない。
……かもしれないというよりも、その可能性が非常に高い。
確実に僕を殺すためにはそうするのはむしろ自然だ。
しかし僕は出なくてはならない。
助けを求めなければならない。
治療してくれる人物を尋ねなければならない。
どうせ動かなくても死ぬのならば、外へ出て、生き残れる可能性に懸けてみようではないか。
しかしやはり怖いものは怖いので、僕はかねてから支給されていた工具セットを手に廊下を出た。
石丸「はぁっ……はっ、ふぁっ……」
舞園くんはいなかった。
しかし興奮のためか、無理に動いているためか、どんどんと貧血になっていくのを自覚した。
まずい、ドアから出たはいいが、歩けない。
理想としては大神くんの部屋へと行きたかった。
超高校級の格闘家である大神くんならば、きっと怪我の治療に対しての知識も充分に持っているに違いないからだ。
しかし、僕は全員の部屋の位置を覚えてはいなかったし、電子生徒手帳を見る余裕もない。
今にも倒れてしまいそうで、もう録に目も見えていなかった。
もう誰でもいい。
誰の部屋でもいいからとにかく助けを求めることが一番重要なのだ。
僕は最後の力を振り絞って、隣の部屋のインターホンを連打した。
何度も何度もそのボタンを押した。
もうその動きで失血死してしまうのではないかと思うほど押した。
どうせ死ぬのであれば最期まで足掻くべきだろう。
何分間そのボタンを連打しただろうか。
実際には十秒ほどだったかもしれないが、僕には途方もない時間のように感じた。
時間感覚すらもう危ういようだ。
そして唐突に、その部屋の扉が開き、そこからトウモロコシがニョキリと生えた光景を見たのを最後に僕の意識は途切れた。
貧血のせいで、なんともシュールな幻覚を見てしまった。
目を覚ますと、僕の目の前にはやはりトウモロコシがあった。
これは走馬灯なのだろうか。
僕はそれほどトウモロコシが好きな人間であっただろうか。
確かに好きだが、走馬灯がトウモロコシというのは人の一生としてかなり虚しい気がする。
僕の人生にはトウモロコシ以上の楽しい思い出がなかったということだろうか。
だとしたら僕はトウモロコシのために生きたということになるのだろうか。
酷い、あんまりだ。
石丸「もろこし……」
大和田「おおぉぉお!!やっと起きたか……」
トウモロコシだと思ったそれは、実際には大和田くんの髪の毛のリーゼント部分であった。
大いに安心した。よかった。
僕はここでトウモロコシ以上の人生を過ごすことを密かに、そして強く決意することとなった。
大和田「はぁ、よかったぜ」
石丸「僕、は……」
大和田「おう、覚えてっか?お前舞園に刺されたんだとよ」
石丸「うぐ、ぁ」
鮮明に覚えていた。
あんなショッキングなことはそうそう忘れられないだろう。
むしろこれはPTSD、そうだ、トラウマだ。忘れたくても忘れられない。
甘酸っぱさや、ほろ苦さなんかとは程遠い、ただただ恐怖しか感じない僕の初恋の思い出として一生付きまとうことだろう。
(こんなはずではなかった)
こんな効果音が聞こえた。『ガックリ』
しかし僕は生き残れたのだ。
そのことに今はひたすら安堵するとしよう。
けれど気になるものは気になるので、目の前にいるトウモロk大和田くんに素直に聞くことにした。
石丸「彼女は……?」
大和田「あぁ……全部吐いたぜ」
石丸「……」
どうやら舞園くんは、僕を殺してその罪を苗木くんに被せるという殺人計画を立てていたようだった。
あの部屋は舞園くんの部屋ではなく、苗木くんの部屋だったのだ。
彼女を部屋まで送り届けたというのに、彼女の部屋の位置を正確に覚えていなかった僕は自分の脳みそを呪った。
いや、しかし言い訳をしておこう。
好意を寄せている女子からのお誘いの手紙に気分が高揚し、注意散漫になっていたのだ!
ネームプレートにすっかり騙されてしまった。
結局、僕が逃げ出したことによってその殺人計画は失敗に終わり、どう誤魔化しても誤魔化しきれないことを察した彼女は自白を選んだらしい。
そしてその自白が行われたのが今朝の出来事で、今はもう夕方を回っているらしかった。
どうにも腹が減っているわけだ。
……というよりも、血が圧倒的に足りないのだろう、少し喋るだけでもくらくらとした。
しかし何故だかトウモロコシを食べる気分にはなれなかった。
その日から僕は怪我人の扱いをされるようになった。
何故なら僕が正真正銘の怪我人だからだ。
しかも結構な重傷だ。
食事は誰かしらが運んできてくれたし、洗濯も誰かしらがしてくれた。
ちなみに、ここでの誰かしらというのはほぼ女子達のことを指す。
どうにも男子達は自分本位の者たちがほとんどのようで、僕の部屋に来てくれる男子は苗木くんと大和田くんだけだった。
そして、世話を焼いてもらえるのは嬉しくもあるが、同時に男としてやりきれない気持ちになることも多かった。
特に女子に洗濯をしてもらったあとは形容し難い感慨を覚えてしまう。
勿論決していい意味ではない。
ちなみに僕は下着としてブリーフを愛用しており、一着一着全てに自分のフルネームを記入している。
それを女子に洗われ、乾かされ、畳まれているのだ。
端的に言うと消えてしまいたかった。
とりあえずここまでです。
文体とかとても真似できないと思うけどクロスと言い張る!
ちょっと続けます。
医療に関して、あまり詳しくないので多めに見てください……
朝日奈「石丸ぅー、おはよー」
今日の当番は朝日奈くんのようだ。
最近気が付いたのだが、どうやら僕の世話はローテーション制になっているらしい。
順番を決めることによって、その日僕の部屋に入れる人物を限定し、殺人を防ごうという措置らしかった。
つまり今、僕の部屋の鍵は僕自身が所有しているわけではないのだ。ローテーションで回されている状態なのである。
致し方ないとはいえ、自身の部屋の鍵を他人に、しかも複数人に、しかも女子達(と苗木くんと大和田くん)に管理されているというのはやはり落ち着かない心地であった。
朝日奈「だいぶ血も戻ってきたかな?」
石丸「あぁ……おかげさまで。本当にすまない、迷惑をかけて」
傷はまだ完全には塞がっていない。
それもそのはずだ。
輸血や点滴ができないだけでなく、包帯も用意されていないのだ。
保健室らしき部屋はあり、そこにはそれらのものが置いてありそうなのだが、閉ざされていて、入ることができない。
故に、刺された脇腹には包帯の代わりにとやぶいたシーツが巻かれていた。
朝日奈「ねぇねぇ石丸ぅ!元気になったら一緒にバスケしよーよぉ!」
唐突だが、朝日奈くんは明るく活発で素直な女性である。
笑うだけで場が明るくなるような天性のオーラ、健康的な褐色肌、嫌味のない素直な言動、そして何よりスタイル。
スタイル。
おっp……スタイル。
僕は何もおっpスタイルだけをとりあげて彼女を見ている訳ではない。
しかしおっぱいも彼女の良さの一つであることは紛れもない事実であり、絶対に外せない要素なのだ!
男性なら誰でも理解できることであろう。
口に出すことは大いに風紀が乱れるため憚られるが、人知れずその部位を見てしまうことは仕方が無いことなのだ!
ともかく彼女は、褐色巨乳スポーツ少女というわけだ。
朝日奈「石丸は運動好き?」
石丸「うむ、体はそこそこ鍛えているぞ」
朝日奈「そうだよねぇ!そうだと思ってたんだぁ!体育館なんだけどさ、普通に遊べそうなんだよ!」
石丸「そうか、こんな場所でも運動ができるのはいいことだな」
朝日奈「だから早く体治してね!早く石丸と遊びたいなぁー!えへへっ!」
えへへっ
うむ。
うむ。
天 使 か
朝日奈くんは素晴らしい女性だ。
しかし僕は初恋をそう安安と忘れられなかった。
守ると決めた女性に刺し殺されそうになった事実は確実に僕のメンタルを抉っていた。
失恋する間も与えられず黄昏るような思い出すら許されず、粉々にブレイクされた初恋の傷を癒してくれるのは――
不二咲「石丸くん、何か困ったことがあったら言ってね。なんでも力になるよぉ」
小動物の如き庇護欲をそそる容姿に、虫も殺せぬ優しい心、そして他者の心を汲み取ることができる感受性を神的に兼ね備えた彼女であった。
不二咲「どうしたのぉ……?元気ないけどぉ」
クリクリとした大きな目が僕を上目遣いに覗き込む。
ぷにぷにとした、子どもを連想させる頬っぺたは、ちょっとしたことで林檎のように赤くなる。
奥手で弱気な印象を与える言動をしつつ、時に大胆なボディタッチを挟んでくる。
これをきっと世間一般では小悪魔というのだろう。
『悪魔』だなんて形容される女性の何に惹かれるのだ、と思っていた今までの自分はなんて愚かだったのであろうか。
小悪魔。最高ではないか。
不二咲「あのねぇ、舞園さんのこと、ショック……だよねぇ」
石丸「うむ。ただの失恋とも言い難いからな。どのように心の整理をすればいいのか……」
不二咲「えっとねぇ、辛いときは、言ってねぇ……力になりたいんだぁ」
石丸「ありがとう」
不二咲「あとねぇ、忘れられない悲しいことがあったら、それ以上の楽しい思い出を作れば、いいかなって……だから早く元気になってね?」
不二咲くんは瞳をウルウルと揺らしながら僕を見つめ、可愛らしい手で僕の左手をキュウと握った。
首をコテン、と傾げて、頬を微かに染めてニッコリと微笑んでいる。
悟った。
これを魔性というのだ。
不二咲くんは本当に可愛らしい。
『可愛い』を己の全てを使って体現しているような女性である。
しかし僕には大人の魅力というものに対して漠然とした欲望があった。
そもそも僕が恋愛をしたいだなどと思い始めたのは、子どもから大人へと進むための『思春期』という道を健全に歩んでいる証拠なのだ。
大人の恋。大人の関係。大人の女。
――大人の魅力。
セレス「うふ、またわたくしの勝ちですわね」
演技がかった口調に、素を決して見せない佇まい、人の全てを見透かすような視線を携えたその女性。
ミステリアスに微笑む彼女は、僕と同学年だというのに何故かそんな大人の雰囲気を醸し出していた。
セレス「石丸くんは本当に駆け引きができないのですわね。絶好の鴨ですわ」
石丸「やめたまえ。僕は賭け事をする気はないぞ」
セレス「分かっていますわ。ノーレート。ただのお遊戯です。もう一度なさいますか?」
石丸「……受けて立とうではないか!」
セレス「ウフ」
諸君、ご存知だろうか。
口元に手を当て、『ウフ』と笑う高校生を。
目を細め、意地悪く、そして艶っぽく。
『ウフ』だぞ!『ウフ』!
彼女は確実に僕の知る由もない世界を理解している。
そう思わせるほどの圧倒的な余裕がいつもある、そんな女性なのだ。
それは無知の僕にとっては未知の世界。
知りたい、という知識欲と単純な色欲がせめぎ合って僕は彼女といると混乱してばかりだ。
そんな僕の心地もお見通しとばかりに彼女は終始微笑んでいる。
嗚呼、その笑顔には一体ナニが隠されているのだ!
結局のところ僕の心は、朝日奈くん、不二咲くん、セレスくんのトライアングルをふらふらと漂っていた。
このままではいけない、不純だ、不誠実だ、と僕のなけなしの理性が叫んでいるのだが、しかしまだ僕は自分の恋心をしっかりと固定することができずにいた。
石丸「はぁ」
大和田「どうしたんだ?溜息なんざ、兄弟らしくねーじゃねぇか」
今更だがこの男は大和田紋土という。
風紀の乱れた髪型に、風紀の乱れた服装、風紀の乱れた言葉遣い、風紀の乱れた生活態度、極めつけに風紀の乱れた才能を持った男である。
そんな男が僕の初めてできた友人であり、今では義兄弟の契りを交わし、兄弟だなんて呼び合っているというのだから、世の中何が起こるか分からない。
大和田くんと仲を深めたきっかけは、言わずもがな死にかけた僕を彼が助けてくれたことに他ならない。
そうなのだ、彼は僕の友人である前に命の恩人であるのだ。
大和田くんは僕の命を救ったその後も、僕の部屋へと頻繁に足を運び僕の身の周りの世話を積極的に行ってくれたのだ。
例えば僕は今、風呂に入ることができない。
そんな僕の体を甲斐甲斐しく濡れたタオルで拭いてくれたりした。
さすがにこの作業を女子にさせるわけにもいかず、申し訳ないながらも大和田くんと苗木くんの二人に頭を下げる他なかった。
そして意外や意外、大和田くんはその厳つい見た目に反して心優しい男であったのだ。
なんと文句の一つも言わず、僕の体を毎日毎日拭き続けてくれた。
ちなみに苗木くんにはやんわりと断られ、僕は心の傷を一つ増やすこととなったのだが、その話は置いておこう。
毎日毎日裸の付き合い(一方的に僕が裸なのだが)をそれなりの時間こなしていると、自然と身の上話もするようになっていった。
彼は日本最大の暴走族の団体をまとめ上げているだけあって、かなり面倒見の良い男のようで、日常会話が苦手な僕でも気楽に会話を楽しむことができたし、悩みをぶつけても嫌な顔一つせずに励ましてくれた。
そうして僕と彼は徐々に徐々に互いのことを知っていき、最終的には兄弟と呼び合うほどの仲になったというわけだ。
大和田「なんか悩みでもあんのかよ?」
石丸「兄弟……君は恋愛をしたことがあるだろうか」
大和田「……」
石丸「ん?」
大和田「10連敗中だ……クソがぁ……」
石丸「すまない」
僕は三人の女性の誰を選ぶべきかを決めかねていることが悩みなのだが、最近恋愛に興味を持ち始めた僕と10連敗中の彼とがこの悩みについて話し合ったところで、結論が出ないことは必然であろう。
いやそもそも僕は、この悩みを兄弟に打ち明けることなんてできないのだ。
兄弟は『男らしさ』というものを何よりも大切にしているようで、『根性』だとか『男の友情』だとか『男の約束』といった男臭い言葉を好んで使っていた。
うむ、僕もそういう類の言葉は大好きだから彼の気持ちは大いに分かる。
そして彼は男として『女は守るもの』だという思考をどうやら強くもっている紳士的な不良らしかった。
とても言えない。
三人の女性の間でふらふらと漂っているだなんて、女々しく不誠実な気持ちをとても彼には言えそうにない。
大和田「なんだ?気になる奴でもいるのかよ」
石丸「い、いない!!決していないぞ!!」
大和田「……そぉかよ」
石丸「はぁ、それにしても兄弟はかっこいいな」
大和田「……は?」
僕は自身の女々しさが嫌になり、男らしい彼をただそのまま正直に褒めただけなのだが、何故か大和田くんは顔を真っ青にして口元を引きつらせていた。
一体どうしたというのだ。
何かおかしなことを言っただろうか。
石丸「どうかしたのかね?」
大和田「お前……オレにテメェの体を拭かせることに、変な気起こしてねぇよな?」
石丸「ん?」
一瞬、彼が何を言いたいのかが理解できずに眉根をよせる。
しかし数秒後、彼の真意に思い至った。
『それにしても兄弟はかっこいいな』
恋愛の話題の後、唐突にこの言葉を出してしまったことは非常にマズイ誤解を生む可能性があると思い至ったのだ。
許してほしい。
僕は友達がいなくてコミュニケーションをとりなれていないのだ。
この言葉に他意はなくて、ただそのままの本当にただの褒め言葉なのだ。
石丸「えっ、あ、違うんだ!!あの、僕は君に憧れて、あっ、これは男としてという意味で!
あっ、違う!いや、そうなのだが違うんだ!!」
それを伝えようと思えば思うほど誤解を加速させるような言葉しか出てこない。
全力で明確に否定したい。
否定しなければ僕らの友情すら危ういというのに、僕の口はアワアワと意味をなさない音を出し続けることしかできずにいる。
大和田「お、おう、落ち着け!悪かった!分かってる、分かってっから!」
やはり流石は大和田くん。流石は兄弟。
滑稽に慌てる僕を華麗に宥めてみせる。
やはりかっこいい。
かっこいい男だ。
こんなかっこいい男に毎晩体を清めてもらえるだなんて光栄だ。
……ん?
うむ、もう考えることをやめよう。
なんだかこの思考の先には危ないものが潜んでいる気がする。
三人の女性の間をふらふらと漂いに漂って、漂流の末に辿り着いた先が『大和田くん』というアブノーマルなルートだけはなんとしても食い止めなければならなかった。
なんとしても。なんとしてもだ!
大和田「お、おい。大丈夫か?傷口開いてねーよな?」
石丸「うむ、すまない兄弟。問題ないぞ」
僕の脇腹のザックリとした傷口は、嬉しいことに徐々に塞がりつつある。
そもそもこの傷口は僕が考えていたほど深いものではなかったようだ。
しかし傷口が治癒されつつあるということは、この生活が終わりへ向かっていることと同意なのである。
朝日奈くん、不二咲くん、セレスくんの三人がそれぞれ僕の部屋へと出入りすることも勿論なくなるだろう。
……いや、そんなことを考えてしまうのは流石に人間としてまずい。
最低すぎる。
人として底辺だ。
(チーン)
僕の心に虚しくチープな鐘の音が響いた。
大和田「おい、どうしたんだマジで」
石丸「兄弟、僕を殴ってくれ」
大和田「お前馬鹿だろ。傷口開かせてどうすんだ」
僕は人生初、不良に論破された。
とりあえずここまでです。
そろそろ書き溜めが尽きてきたので、更新が徐々に遅くなっていくと思います。
色々崩壊させてごめんなさい。
大和田「お前が何悩んでんのか知らねーけどよ、どうせお前の考えすぎだ」
石丸「どういう意味だね」
大和田「お前は頭のいい馬鹿ってこった」
酷い言い草である。
大和田「頭いいから考えすぎちまって、訳わかんなくなってんじゃねーか?人間なんつーのはシンプルで適当にできてんだ。もっと単純に感じてみろや」
石丸「う、うむむ……」
大和田くんが何を言いたいのかは何となくは理解できたが、その言葉は後先考えずに手が出る彼の悪い癖を象徴しているかのようであまり良いアドバイスには聞こえなかった。
しかし実際僕が陥っている現象を捉えているのは確かな気がした。
本来、恋愛とは感覚的なものであって頭で考えるものではない……ような気がする。
大和田「んなことよりよぉ、お前そろそろ歩き回っても大丈夫なんじゃねーか?」
僕の悩みは『んなことより』で片付けられた。
……まぁいいだろう。
このまま不毛な話し合いをしていても何も解決しないことは自明の理だ。
そして彼の言葉はその通りなのである。
最近では一人でトイレまで歩くことも出来るようになっていたし、そろそろ廊下を出歩いてもいい頃だろうと思っていた。
石丸「うむ、そのような気がするぞ。一時は本当に生死の境を彷徨ったような感覚だったが」
大和田「いや大袈裟だっつーの。実際には失血死するってほどは血出てなかったろ」
石丸「し、仕方が無いではないか!本気で怖かったのだ!恐怖と痛みとショックで頭が麻痺していたのだ!!」
大和田「分かった分かった」
大和田くんはニヤニヤとしている。
僕は察した。彼は反省していない。
大和田「んな怒んなよ。……それより、約束、守ってくれんだろ?」
石丸「約束?」
はて、何か約束をしていただろうか、と唐突に出てきた話題に対してクエスチョンマークを頭に浮かべた瞬間に、
モノクマ『ピンポンパンポーン、ええーっ、校内放送、校内放送』
軽々しいダミ声が響いた。
出来れば一生、いや生まれ変わったとしても聞きたくはないのだが、ここに幽閉されているかぎりはそうもいかないらしい。
モノクマ『おまえら、至急体育館にお集まりください。エマージェンシーエマージェンシー』
ようやく歩けるようになったというのに、その行き先がモノクマに指定された場所というのはどうにも足取りが重かった……が、行くしかない。
大和田「背中、乗るか?」
石丸「いいや、歩けるぞ」
とは言うものの、ほとんど体を動かしていなかった僕は筋肉の使い方を忘れかけているようで、大和田くんに支えられながらヨチヨチとなんとか体育館へと辿り着いたのだった。
モノクマ「フェアにするために、石丸くんが快復するまで待ってあげたんだから、感謝してよね」
そこではDVD視聴に続いての、新たな動機の提示が行われた。
何の動機か。勿論殺人の動機だ。忌々しい。
とは言うものの、その内容は拍子抜けであった。
動機は『24時間以内に殺人が起きなければ世間に僕達の秘密をバラす』というものであったのだが、僕の紙に書かれている秘密は確かに知られれば恥ずかしいと思うが、到底殺人の動機となりえるほどのものではありえなかった。
他の者達も同じなようで、皆『緊張して損した』等と口にし、むしろその動機となり得ない秘密の軽さに困惑さえしているようだった。
舞園「……」
安堵の溜息を吐き出していたとき、ふと背中に緊張が走り戦慄した。
分かる。僕には分かる。見られている。
ものすごい視線を感じる。
舞園くんが僕を食い入るように見ているに違いなかった。
それは第六感的な感覚だったようで、恐々としながら振り返るとやはり舞園くんとバチリと目が合った。
瞬間、逸らした。何故なら怖いからだ。
彼女は何か言いたげに数秒僕をそのまま見つめていたようだが、結局は深々と頭を下げただけだった。
どうかしたのだろうか。
大和田「おい、行こうぜ」
石丸「あ、あぁ」
彼女は僕に何を伝えようとしたのだろう。
謝罪か恨み言か。
後者ではないと信じたいが、包丁を構えていた彼女の覚悟を据えた目を思い出すと、そちらの可能性の方が高い気がする。
しかしあの事件以来初めて彼女を見たが、思っていたよりも元気そうで安心しt
……安心した?
まさか僕はまだ舞園くんへの恋心を捨てきれずにいるのだろうか。
利用され、刺されても尚。
そうであるのならば正に愚の骨頂である。
また悩み事を増やしてしまった僕は、大和田くんに部屋へと送り届けてもらった後、何故だか捨てる気になれずに残しておいた手紙を取り出した。
あの日、舞園くんに呼び出されたときの手紙だ。
僕は何故こんなものを手元に残しているのだろう。
もういよいよと自分の気持ちに整理がつかず、訳が分からない。
その後も僕は外に出る気になれずに、かといって勉強も頭に入ってこず、学生としてあるまじきことにベッドでゴロゴロと無駄な時間を過ごしてしまった。
舞園くんの手紙を見つめ、ときに朝日奈くん、不二咲くん、セレスくんを思い出し、耽り、けれど結局その行動によって得られるものは何もなかった。悶々。
ピンポーン
何の前触れもなく部屋のチャイムが鳴らされた。
はて、お見舞いだろうか。
今日の僕のお世話当番は兄弟だ。
しかし、もう今日の分の洗濯物は渡してあるし、夕飯の時間にしては早すぎる。
では誰か。まさか舞園くんだろうか。
先ほどの僕に向かって頭を下げる彼女が脳裏によぎった。
ガチャリ
葉隠「よっ、石丸っち!」
石丸「あぁ……なんだ、君かね。どうしたんだ?」
葉隠「その反応何気に酷くねーか?」
葉隠「お見舞いに来たんだべ!」
石丸「そうか、嬉しいぞ!」
今まで一度たりとも見舞いに来てくれなかったクラスメイトがこのタイミングで急に見舞いにきたことに若干の違和感を感じたが、しかし嬉しいものは嬉しい。
心からの歓迎をした。
石丸「しかし、すまない。何ももてなす術がなくて」
葉隠「いやいや、怪我人にもてなしてもらおうとかちょっとしか思ってねーべ」
ちょっとは思っているようだ。
そしてパッと見、葉隠くんは手ぶらだった。
見舞いに来たといったが、見舞い品のようなものは見当たらない。
いや、しかし閉鎖されたこの空間において、見舞い品も何もないのだから仕方が無いことなのだ。
では一体、葉隠くんは本当に何をしに来たのだろう。
僕は決して邪魔だから帰って欲しいなどと思っている訳ではない。
葉隠「石丸っちー、ちょっくら占ってやんべ?」
石丸「本当かね?常々君の占いにかかってみたいと思っていたのだ!」
なるほど、これは良い見舞い品だ。
何より悩み事という需要を抱えた今の僕にとっては思ってもみない供給である。
そして久方ぶりにワクワクとした気持ちになりながら葉隠くんに占いをせがんだ。
実のところ、彼の占いの的中確率は三割弱らしく、決して高確率とは言えない。
けれど、彼の凄いところは、当たったときには『ぴったりと的中』するところなのだ。
そこらへんの占い師と違い、抽象的な言葉を使わず、具体的にピシャリと言い当てる。
それが彼が占い師としての超高校級たる所以であった。
葉隠「ん……?」
石丸「さぁ、僕はどうするべきか教えてくれ!」
葉隠「石丸っちはもう手に入れてるらしいぞ。こっから道を開く方法は、信じることだべ」
石丸「ん?」
葉隠「ってことで十万円の振り込みを頼むぞ!」
石丸「……いやいや待ちたまえ!意味が分からないし、お金をとるのかね!?」
葉隠「当たり前だべ!俺はビジネスでやってんだぞぉ!」
詐欺である。紛れもない詐欺である。
本当に占ったのかも怪しいほどに抽象的で短すぎる結果であった。
圧倒的に修飾語が足りないのは口からでまかせだからなのか、わざとなのか、彼の語彙力の問題か。
いずれにせよ納得のしようがなかった。
まだ何も解決していない。
これではそこらへんの占い師よりもむしろ酷いではないか。
超高校級の名が聞いて飽きれる。
しかし葉隠くんはぷんぷんと怒っているような仕草で、振り込まねーと訴えるなどと騒ぎたて、一方的に金を要求し終えると風のように去って行った。
彼は何のためにこの部屋に来たのか。
答えは簡潔だ。金のためだ。
この事実は恋愛に悩んでいる僕の繊細な心にはあまりにもこたえた。
雪をともなう暴風がふきあれる。寒い。
>>1は原作四畳半は読んでないのかな
僕はよく人から『信じることしか脳がない愚か者』だと言われる。
しかし、彼のせいで初めて何も信じられなくなりそうな気分を味わっていた。
これは成長なのだろうか。
しかしもしこれを成長というのならば僕は成長をしたくなかった。
葉隠くんに感謝をしたくもなかった。というか断言しよう。感謝しない。
そして金も振り込まない。
その後、大和田くんが僕に夕食を持ってきてくれたが、まるで食欲が湧かなかったため、少しばかり口にして放置した。
明日の朝にでも食べよう。
そういえば、夕食を持ってきた大和田くんの様子がなんとなく気がかりで、
石丸「何かあったのかね?」
と声をかけてみたりした。
僕は他人の心を読み取れるような器用な人間ではないため、一々このように言葉に出して聞く必要がある。
問いに対して大和田くんは、何もないとあっさり言ってのけた。
そうか何もないのか、と僕は安心し、同時に少し羨む。
僕のように女々しく悩むようなことは、きっと彼にはないのだろう。
やはり大和田くんは男らしくてかっこいい奴だ。
いつか僕もこのような精神を持ちたいものだな。
夜時間が始まる少し前、僕は四枚のメモ用紙を前にしてまた悶々とすることとなる。
それらは全て女性からの手紙であり、全て似たような内容のものだった。
お誘いの文言が書かれているのだ。
それらのうちの一枚は、言わずもがな舞園くんのもので、あのトラウマの手紙である。
しかし残りの三枚は、いつの間にかドアの隙間から入れられていたようで、今しがたその存在に気がついたものだ。
それぞれ、『朝日奈より』『不二咲より』『セレスより』と書かれている。
なんということだ。なんということだ!
腹の中で『風紀』と書かれた腕章を放り投げた小人達が小躍りしている。
叫ばずにはいられない。
石丸「ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
見よ、我ながら見事な海老反りである。
どうやら僕が大和田くんのような男らしさを手に入れる日は、ひたすらに遠いようなのだが、しかし今はそれでも構わなかった。
とりあえずここまで。
>>68
実はないです。ごめんなさい。
小説は買ったので近々読む予定です。
しかし腐ってもSSなので、テンポよくいきたいのもあって、アニメverとのクロスってことにしてますが、あんま意味ない気がしてきました……
小説ではパラレルっぽいですね。
アニメは時間が巻き戻るような描写があるので、時間遡行だと思います、多分。
ちょっと続き書きます。
朝日奈くんの手紙は、夜時間になったら体育館に来てほしい、という旨が書かれてあった。
僕は漫画やアニメ、ゲームといった娯楽に疎いのだが、そんな僕ですら知っている王道というジャンル。
『男子と女子』『呼び出しの手紙』『体育館』これらの要素から推測される事実はとてもシンプルなものだ。
そうだろうそうだろう。
ずばり、愛の告白に他ならない。
きっと朝日奈くんの手紙に応え、体育館へ行こうものなら甘酸っぱい恋物語が始まることだろう。
目線が合わさるだけで顔を赤らめ、手を握ることにも四苦八苦、勉強会では互いに得意分野を教え合い、隣にいるだけで心臓が高鳴り、幸福な気持ちになる。
きっとそんな恋愛が待っているのだ。
願ったり叶ったりである。
不二咲くんの手紙は、夜時間になったら部屋に来てほしい、という旨が書かれてあった。
この手紙は舞園くんとのあの惨状、トラウマを彷彿とさせつつも、途轍もなく僕をドキドキとさせた。
何しろ僕は女性の部屋へ入ったことなど、今までの人生、生きてきて一度もないのだ。
きっと甘い匂いがするに違いない。
整理されていて可愛らしいインテリアで飾られているに違いない。
いや、彼女のふわふわとした見た目に反して質素で知的な部屋なのかもしれない。
結論としては何でも構わなかった。
一番の問題は、彼女は自室に僕を呼んで何をしようというのか、というところにあるのだ。
女性が男性を部屋へと招く理由、一体全体なんなのだろう。
舞園くんに呼ばれたときはタイミングがタイミングなだけに、相談事かと思ったものだが、しかしこのタイミングで相談事も何も無いだろう。
一体彼女は僕とナニをしようというのか。
もちろん僕は風紀委員であり、不純な行為は取り締まらねばならないが、しかし彼女が僕と何をしたいのか、ということを知りたくて知りたくて仕方が無い。
セレスくんの手紙は、夜時間になったら行くから部屋で待っていてくれ、という旨の内容であった。
そもそも何故この手紙を僕の部屋へと入れたときにチャイムを押さなかったのか。
僕の部屋へとただ単純に入りたいのであれば、手紙など出す必要なんてそもそもなく、ただチャイムを鳴らせばいいだけなのだ。
では彼女がわざわざ手紙を使って、夜時間のアポイントメントをとった理由とは何か。
僕は考えた。考えに考えた結果『夜時間』ということが大切なのではないかという結論へと至ったのだ。
『夜時間』に僕の部屋へと入ることが、彼女にとっては重要なのだ。
僕を呼び出す形でなく、自ら赴いてくれるところを察するに、何か自ら発信したいものがあるのだろう。
つまるところ、僕に何かを教えたいのだ。
『夜時間』に教えるべきことを僕に教えにやってくるのだ。
僕を受け入れるのではなく、僕を染めるつもりなのだ。
風紀が乱れる!
風紀が乱れる!!
風紀が乱れるぅぅううううううううううう!!!
モノクマ『ただいまより、夜時間になりました』
僕は早急に決断をせねばならなかった。
体育館で待つ朝日奈くんの元へか、不二咲くんの部屋か、ここでセレスくんを待つか。
しかも断る時間すら与えられておらず、選ばなかった二人の手紙は無視をするという形になってしまうことが、既に必然であった。
しかしこれは仕方が無いだろう。
明日にでも謝罪をしよう。
今は三人の誰を選ぶのか、というところを真剣に考える必要がある。
僕の恋心とは一体どこにあるのか。
どうするべきなのか。
そのときふと、僕の弱りきってしまった心を暖かく照らすような、明るい彼女の笑顔が浮かんだ。
朝日奈『早く石丸と遊びたいなぁー!えへへっ!』
……よし、決めた!
僕は体育館へ行く!
朝日奈くんを選ぶ!!
待っていてくれ、待っていてくれ朝日奈くん!!
そして僕は四つの手紙を丁寧に机の引き出しに仕舞い、体育館へと急いだ。
体育館の明かりは既に付いており、勿論それは先客がいることを意味していた。
そしてその先客が、あの手紙の主であることは十中八九間違いがないので、僕はカチコチカチコチと体を必死に動かして体育館へと入ることになった。
動悸が止まらない。
僕は見惚れる。
バスケットボールをだむだむとつく彼女、その軽いステップは生まれ持った運動神経が一目で分かる華麗さである。美しい。
爽やかな汗が彼女の顎を伝っているのが不覚にも扇情的だ。
しかし残念ながら胸元までジャージのファスナーが閉められていた。……いや、誤解しないでいただきたい。
別に僕はおっpスタイルだけで彼女を選んだわけではない!
彼女の素朴さ、ハツラツさ、学生らしさ、そして何よりも純粋さ。
まさに僕と恋愛をするべく生まれてきたような女性ではないか。
二人で一から恋愛について学んでいくことができる気がする。
いや、むしろ彼女とでしかそれは叶わない気がするのだ。
さぁ、来い、朝日奈くん。
君の気持ちを僕は一身に受け止めようじゃないか。
朝日奈「待ってたよ、石丸ぅ!えーっと、まだバスケは厳しいかな?」
……ん?
朝日奈「あ、ソフトボールもあったんだよね!キャッチボールでもする?」
石丸「いや、あの……」
朝日奈「やっぱりまだ安静にしなきゃ駄目かぁー……」
石丸「い、いや、少しくらいなら動いても大丈夫なのだが、」
その言葉に朝日奈くんは目をキラキラと輝かせて、体育倉庫へと駆け出していった。可愛い。
ソフトボールを取りに行ったのだろう。
……まさか、まさかとは思うが、このまま一緒に運動して終了というわけではなかろうか。
いやいや、彼女はきっと緊張しているだけなのだ。
きっとそうだ。照れ隠しなのだ。
ならば、僕から言ってやろうではないか。
そもそも女性から愛の告白をさせようなどと、虫のいい話だ。
男らしくないぞ、石丸清多夏。
男なら男らしく、男の方から告白をするべきなのだ!
そう自分を叱咤して、僕は覚悟を決めた。
息を大きく吸い込む。
言う、言うのだ。
彼女に!大きな声で!ハッキリと!
伝えるのだ!!
石丸「ぁぁああああ朝日奈ぎゅん!!」
朝日奈「どしたの?」
石丸「ゴホン、朝日奈くん」
朝日奈「なに?やっぱりバスケの方がよかった?」
石丸「あの、だな……君に伝えたいことがあるのだ」
――――――
――――
――
結果?
お察しの通りだ。
もう聞かないでくれ。
掘り下げないでくれ。
今でももう僕は目にいっぱい涙を溜めて、それを零れさせないようにすることへ必死なのだ。
『そんなつもりじゃなかった』
『一緒に遊びたくて』
『友達だから』
『そんなふうに見たことないから』
『ごめんね、ごめんね、ごめんね』
『ぐすっ、ごめんねぇ……』
うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
僕は玉砕し、むしろ気を使われ、謝罪され、しかも泣かせてしまった。
落胆と後悔と羞恥の波が一度にフルパワーで僕を襲ったので、逃れることなどできなかった。海のもずくである。
そして僕は文字通り膝から崩れ落ちた。
アーメン。
彼女の全ての言葉は本当に全て言葉通りの意味だったらしく、『早く石丸と遊びたい』といった類の発言に何の裏もなく、ただただ友人と遊びたい彼女の素直な気持ちであったのだ。
歩けるようになった僕を早速体育館へと誘って、球技に勤しむ予定であったらしい。
甲斐甲斐しく僕の世話を焼いてくれたのも、『友達だから』の一言ですまされるようなことじゃないか。
当たり前だ。当たり前じゃないですか。
例え異性であろうと、友人であれば看病をして笑顔で励ますだなんて当たり前じゃないですか。
誰でもすることじゃないか。
嘘です。
誰でもすることなのですか?
ちょっと僕はもう女の子が分かりません。
とにかく結論としては僕は自意識過剰も甚だしいということなのであった。
赤面を通り越して顔面蒼白だ。
短いけど以上です。
もちろん、その後、体育館で何事もなかったかのように朝日奈くんとキャッチボールなんてできるはずもなく、僕は朝日奈くんにありったけの謝罪をした後、部屋へと帰ることにした。
こんなとき、こんなときに傷心を癒してくれる心優しい不二咲くんが側にいてくれれば……。
きっと手を取って励ましてくれるだろう。ふんわりとした笑顔で癒してくれるだろう。何もかも受け止めてくれるだろう。
そんな都合のいいことが頭をよぎる。
不二咲『えっとねぇ、辛いときは、言ってねぇ……力になりたいんだぁ』
頬を林檎のように染めて、小首を傾げる彼女が思い浮かんだ。
凄いぞ、想像しただけで可愛い。
咄嗟に腕時計を確認した。
まだ夜時間になって十五分程しか経過していない。まだ間に合うかもしれない。彼女はまだ自室で僕のことを待っているかもしれない。
いや、彼女のことだ!絶対に待っている!
虫がよすぎるとは少しばかり思ったが、人間切り替えが大事なのだ。いつまでも古いことを引きずっていては前に進むに進めないだろう。
過去を引きずりながらも前に進むことができる超人のような人がもしいるのなら、是非とも教えを請いたいものだ。
――ピンポーン
チャイムを鳴らすと部屋の主はすぐに現れた。慌ててドアを開けたのだろう、少しつんのめってこけそうになっていた。
何故か僕を見るなり、今にも泣きそうに顔を歪めて、僕の服の裾をキュッと掴む。完璧である。
その完璧な可愛さコンボの最終技として上目遣い、そしてこう言った。
不二咲「来て、くれたんだねぇ……。よかったぁ、無視されちゃったのかなって、思って……ぐすん、ありがとぉ……」
心から思う。本当に来てよかった。
不二咲くんは僕を部屋へと招き入れ、そして我慢の限界だったのだろう、さめざめと泣いた。
僕はあろうことか、彼女に渡すハンカチを持ちあわせていなかった。というのも、僕は女性が泣く場面に出くわしたのがこれで本日二回目なのだ。
僕のハンカチは既に朝日奈くんに渡してしまっていた。
石丸「不二咲くん、遅れてしまって本当にすまない……。どうか泣かないでくれ」
だから仕方が無い。これは仕方が無いことなのだが、彼女の涙を僕の手で拭ってしまった。
途端、ものすごく恥ずかしいことをしてしまったことに気が付いた。我ながらキザなことをした。
幻滅されただろうか、とも思ったが、彼女は嬉しそうにえへへっ、と笑った。結果オーライ。
なんだかいい雰囲気な気がする。
女性の顔をこんな風に触ったのは初めてのことだった。僕はこういうことに疎いから分からないが、今僕達は物凄く恋人っぽいことをしているように思う。
このまま唇と唇がくっついても誰も文句が言えないくらいには甘い空気が僕達を包んでいるように思う。
不二咲「石丸くんはやっぱり優しいねぇ」
石丸「いや、すまない。ハンカチを持っていなかったから咄嗟に……」
不二咲「ううん!手で拭うなんて男らしいよねぇ!やっぱり石丸くんを呼んでよかったぁ」
不二咲「あのねぇ……石丸くんに、聞いてほしい話があって」
石丸「うむ、なんでも言ってくれ」
僕はドキドキと鼓動を聞きながら、不二咲くんの唇を見つめるのに一生懸命になっていた。
小さくて可愛くて薄いピンク色、厚すぎず薄すぎず、ふにふにと言葉を紡ぐ唇。きっと柔らかくて甘いのだろう。
その中から赤くてテロテロとした舌が時折覗く。
普段、小学生と見紛うような彼女が、今は酷く扇情的に見えた。
彼女の言葉を一音たりとも聞き逃すまいと唇を見つめていたはずが、段々と違う意味へと変わっていき、結果目が離せないという事態に陥っていた。
もしかしなくともただの変態である。
思えば、彼女の言動は小さな仕草一つをとっても、どこもかしこも完璧に可愛らしかった。どこまでも計算しつくされていた。
つまり、彼女は僕にその気になってほしかったのだ。
そうでしかありえない。そうとしか思えない。素のままでこんなに可愛い女性がいたら危険すぎるだろう!!
不二咲「僕……男、なんだぁ」
……ん?
石丸「ハッハッハッ、不二咲くんは面白いことを言うなぁ」
不二咲「ふぇ?」
石丸「え?」
不二咲「あ、あの……そっか、信じられない、よね。でも本当なんだぁ……ほら、これ、僕の電子生徒手帳」
――『僕』男なんだぁ
――『僕』の電子生徒手帳
そういえば、不二咲くんが自身のことを呼んでいるのを初めて聞いた気がした。いや、気がしたではなく、初めて聞いたのだ。
しかし何故だか、僕は、彼女の使う『僕』という一人称に違和感を感じられずにいた。
まるで使い慣れているような……そうかなるほど、女性でも男性の一人称を使う場合があると聞いたことがあるが、不二咲くんは男性の一人称を普段から好んで使っているのだろう。
不二咲「あ、あのぉ、石丸くん……僕の電子生徒手帳……見てよぉ。お願い」
……嘘だろう?それを見たら不二咲くんが女性であることが証明されるといった、所謂ドッキリというやつなのだろう?
何故そんな真剣な目をしている。
何故そんな悲痛な声を出す。
何故、何故何故何故何故、自分のことを『僕』などと呼ぶ――
嗚呼そうさ、現実逃避というのは無駄な足掻きに他ならないさ。
しかし信じたくなかったのだ。
不二咲「あのねっ、僕……強くなりたいんだ!石丸くんみたいに、弱い自分を壊してさ!」
不二咲くんは、包丁で刺されても尚、死なず、気力で助けを求め、そこそこ筋肉がついている僕を男の象徴として好いてくれていたらしい。
なんということだ……男として好かれたのは初めてのことだし、しかもこんなに可愛らしい人に『憧れてる』だなんて嬉しい限りだし実際に嬉しいのだ!!
しかし、だ!!
嬉しいと 感じる僕は 異常かな
清多夏 心の一句
分かっている。分かっているさ、不二咲くんは色恋的な意味で僕を好いているわけではないし、……いやいや当たり前ではないか!!
目を覚ませ!!
目を覚まして帰ってこい石丸清多夏ああああああ!!
血の涙を流す心地で己の色欲を封じ込めた。
そして僕は文字通り膝から崩れ落ちた。アーメン。
遅くなってすみません、今回は以上です。
このSSまとめへのコメント
四畳半のモノローグで脳内再生され過ぎて石丸の声忘れた