あらすじ
春
「魔法」によって文明を築いている世界で、
大学に入学した主人公が、キャンパスライフを満喫。
夏
秋の合成魔法コンクールに向けて、合宿。
友人の輪が広がり、9人の若者たちの恋が唐草模様。
秋
合成魔法コンクールの前後で、強姦未遂や失踪事件が発生。
それぞれの胸の内にしこりを残し、冬休みを迎える。
冬
大学に伝わる魔法の儀式「秘法」の存在を知った主人公達。
事件の解決に向けて動き出す。今ここ。
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端的な人物紹介
水男:主人公。
地女:ヒロイン。
風男:友達。
光女:友達。
水女:主人公になってきた。巨乳。美人。
水大:水女の取り巻き① でかい。
水嬢:水女の取り巻き② 金持ち。失踪
火男:友達。
闇男:友達。
水教:教授。女。ばあさん。
光教:助教授。女。巨乳。
ほかにも色々。
~掲示板前~
学長「学生の皆さん、あけましておめでとうございます。」
学長「感応石に導かれた自分の専攻属性を、さらに磨く1年としてください。」
学長「世界の発展は魔法の発展と同義です。たゆまぬ努力を期待します。」
風男「だとさ……で、誰が1月1日付けのこの紙を、当日見たっつーんだかな。」
光女「水男だったら見ていそうじゃない?」
水女「彼なら、実家の弓の里に帰省してるわ。地女さんも一緒。」
風男「水女。」
光女「時間ぴったり。さっすが、才女は違うわね。」
風男「髪型変えたんだな~。」
光女「長~いストレートもよかったけど、ボブも似合うわね。美人は得だわ。」
水大「水女は毎年髪型を変えてるのよさ。おしゃれさんだわさ。」
水女「なんとなく、気分転換になるじゃない。」
光女「さ、なにはともあれ役者は揃ったわね。」
水女「あ、待って、もう一人……」
闇男「やぁ、あけましておめでとう。」
風男「闇男。お前なぁ、来るなら俺にも一言……」
闇男「僕は水女さんの熱いラブコールがあったから来ただけだよ。」
光女「!」
水大「!」
水女「ないない。さ、図書館に行きましょ。」
1です。
冬編の本格的な投下は今しばらくお待ち下さい。
前スレ1000の方、希望する番外編の内容を書いてもらいたかったw
999の書き方がまずかったですね、その内、また何か番外編は投下します。
では、また。
~図書館~
水女「さぁ、手分けして探すとしましょうか。」
風男「んじゃ、俺はあっちの方に……」
水女「あっちは学習スペースしかないじゃない。」
水大「ま、まさか、入学して1年近くになるのに、図書館に来たことないわさ?」
風男「……いや、ないわけじゃないんだけどな。」
光女「大方、時間が余った時に寝に来てるんでしょ。」
風男「おぅ。」
闇男「それじゃ、早速4人で手分けしよう。」
風男「さらっと俺を省くんじゃねぇ!」
水女「そうよ、猫の手でもあったほうがいいわ。」
風男「お前も十分ひどいわ……」
水大「あれ、でも、それなら火男はどうしたわさ?」
闇男「まだ体調が完全じゃないからね。僕が止めたんだ。」
水女「4……5人でもなんとかなるわよ。丸一日使えば、たぶん。」
風男「図書館ってそんなに広いのか?」
水大「2階建てだけど広くはないわさ。大型書店よりもちょっと小さいくらいよのさ。」
風男「そんなら、一日もかからないんじゃね?」
光女「う~ん、確かに広さ自体はそうでもないわ。ただ、1階の旧書庫が問題なのよ。」
闇男「1冊ごとに、施錠がなされているんだ。」
風男「おいおい、そんなんどうやって見るんだよ。」
水女「学生の身分を受付で証明して、鍵を借りるのよ。ほら。」
風男「鍵っつーより、石だな。」
水女「これに魔力を込めて背表紙をなでると、本を開くことが出来るというわけ。」
風男「随分面倒だな。」
闇男「大学の書庫というのは、危険なものも、法に触れるものもあるそうだからね。」
水大「誰にでも見せていいわけじゃないってことだわさ。」
水女「図書館の造りも、入ってすぐ階段があって、1階にはまっすぐ行けないでしょ?」
風男「確かに。そんだけ気を使わなきゃならない内容の本が多いってことか。」
光女「むしろ、今回私たちが探すのは、そっち側の本よね。」
水女「そうね、おそらく古い文献を見ていく必要があるわ。骨が折れるわね。」
風男「あ、分かった。本の危険度に応じて、鍵に込める魔力も変わる?」
闇男「ご名答。よくわかったね。すごいじゃないか。」
風男「ふっふっふ、まぁ俺だってその気になりゃあ……」
光女「その気になれば、入学当時の説明会の内容くらいは思い出せるみたいね。」
風男「……説明、されたっけ?」
光女「このくだり、全部ね。」
風男「闇男、お前……」
闇男「だから、ちゃんと棒読みでほめたじゃないか。」
~昼~
光女「もしもし~、水女?」
水女「はいはい、聞こえてるわ。」
光女「そろそろお昼にしない?」
水女「……って、彼氏さんがごねてるのね。」
光女「あはは、分かった?」
水女「闇男くん、2階班が、お昼にしないか、って。」
闇男「風男が?」
水女「通信魔法は光女から。内容は、君の言う通り。」
闇男「言われてみれば、お腹も空いてきたし、彼にのろうか。」
水女「もしもし、光女? 学食で合流しましょう。」
~学食~
水女「それで2階はどんな感じ?」
水大「それっぽい本は一通り見たけど、内容がないわさ。」
水女「例えば?」
水大「そうくると思って、一冊持ってきたわさ。」
水女「……『各地の祭に隠された儀式の謎を追え』……そのままじゃない。」
水大「……」
水女「このページがどうかした?……『今となっては知る由もない』。」
水大「そんなのばっかりだわさ。核心の部分にはまったく触れてないのよさ。」
光女「やっぱり一般開放されてる2階には、めぼしい本は望めないわね~。」
水大「1階はどうだったわさ?」
水女「思った通り、中々作業が進まないわ。」
闇男「背表紙がつぶれて、表題が分からない物も多くてね。」
風男「んじゃ、本当にひとつひとつ開いていってんのかよ。」
水女「ええ。」
風男「くぁ~、午後からは俺達もそれに参戦か。」
光女「午前いっぱいかけて収穫なしっていうのも、幸先悪いわよね。」
闇男「2階に期待がないというのが分かったって言うのも、立派な収穫だよ。」
風男「闇属性なのにポジティヴな奴め。」
闇男「人と違う見方をする変わり者、っていうことだね。」
風男「にしても、もっと効率のいい方法はないもんかね。」
水大「検索魔法とか?」
水女「封印されている本の内容を検索するなんて、無理よ。」
風男「合成魔法でみんなの力を合わせれば!?」
闇男「厳しいだろうねぇ。仮に水男や地女さんがいても、難しいと思うよ。」
光女「それこそ秘法でもあれば別だけどね。」
風男「その、秘法を探すために本を見つけなきゃならないんだろうが……」
水女「地道にやるしかないわ。頑張りましょ。」
風男「ラーメン食って魔力も回復したし、行きますか。」
~図書館1階~
風男「それじゃ、始めますかぁ。」
水女「入ったことがある人は?」
光女「はーい。」
闇男「はい。」
水大「ちょっとだけだわさ。」
風男「ほい。」
光女「ほんとに?」
風男「今。」
光女「稲妻生成……」
風男「待て待てっ!!」
水女「それじゃあ……私があっちの奥から。闇男くんは……水大は……」
水女「それでいいかしら。」
光女「水女が一番詳しいだろうし、あんたに任せるわ。」
闇男「それじゃ、始めよう。」
風男「え~と、こう……で、こう……か。よっしゃ、わかった。」
闇男「飲み込みは早いよね。」
水大「要領のいい男だわさ。」
風男「んじゃ、みんなで頑張ろうや。」
1です。
年末年始は忙しく、キャラクター達も頭で動かなかったのですが、
最近またいきいきと勝手に動くようになってきました。
現在書きため中ですが、少しだけ投下しました。
レス頂けると活力になります。プリーズ。
次の投下は、2月中旬くらいになると思います。
では、また。
~夕方~
水大「……」
光女「何してんの、水大ちゃん。」
水大「魔翌力を込めてるんだけど、中々開かないのよさ。」
光女「あ~、もしかして、魔翌力の操作、苦手な人?」
水大「恥ずかしながら、そうだわさ……イメージ出来ないのよさ。」
光女「こればっかりは慣れだからね~。」
風男「そうそう、何事も経験ってのが大切だよな。精進したまえ。」
光女「ほい。」
風男「……すみません、開きません。」
光女「ったく、もう。」
水大「困った時の水女様だわさ~。」
水女「なに?」
水大「これを開けて欲しいのよさっ。」
水女「……あれ?……だめ、開けられないわ。」
水大「ちょっとちょっと、水女で無理なら、誰なら出来るのよさ。」
光女「ありゃ、本当に開きにくい本だったってこと?」
闇男「……」
水大「ちょっと、自分が水女より魔翌力があるって言いたいわさ?」
闇男「……開いた。」
水大「うそだわさ……」
闇男「水女さん、ちょっといいかな。」
水女「な、なに?」
闇男「何がいいかな……え~と……【睡眠魔法】」
光女「え?」
水女「ちょ、ちょっと……zzz」
風男「お、おいおい、いきなり何してんだお前!」
水大「何考えてるのよさ!」
闇男「あ、いや、ちゃんと説明するから。」
光女「……あれ? なんで闇男は眠らないわけ?」
風男「そういや、そうだな。反動はないのか?」
闇男「反動はあったけど、耐えられるくらいの眠気だからね。」
光女「どゆこと?」
闇男「ふーっ……つまり、彼女はもともと眠くなってたってことさ。」
風男「なんでだよ。」
闇男「推測でしかなかったんだけど、たぶん……あ、ほら、やっぱり。」
風男「……この本棚が、どうかしたのか?」
闇男「僕も知らなかったんだけど、どうも、本の並びには意図があるようだね。」
光女「わかった。封印の強さが、違うんだわ。」
闇男「そういうこと。水女さんは、封印が強い本棚から作業していたんだよ。」
水大「自ら大変な作業を買って出るなんて、さすがは水女だわさっ。」
風男「秘法のことなんていかにも秘密だしな。封印が強い方が、確率が高いのか。」
闇男「でも、僕は気に入らないな。」
風男「なんだよ、珍しいな。そんな風に言うなんてよ。」
光女「でも、彼女なりの適材適所でしょ?」
闇男「見て。」
水大「……奥から、ってことは、こんなに調べてきたってことわさ?」
闇男「明らかに急いで調べてる感じだろう?」
風男「なんか考えがあるんだろうさ。」
光女「でも、無理するほどじゃ困るわね。今日は中断しましょ。」
水大「水女はどうするわさ。」
光女「そんなの、決まってるじゃないの。」
風男「なんだよ。」
光女「おしおき&尋問すんのよ。」
~講義室・小~
水女「んぅ……」
光女「おはよ。」
水女「あれ、私……」
水女「! な、なんで私、魔法縄で縛られて……」
光女「これからいくつかの質問をしますので、正直に答えるように。」
水女「ちょ、ちょっと、光女。なんのことなのか……」
光女「嘘だと判断した場合、こんなことになります。【操作魔法】」
水女「やだ、ちょっと、くすぐった……きゃ、あはははは!!」
風男「う~ん、大丈夫か、これ?」
闇男「まずいと思う。」
水大「何がまずいわさ?」
風男「まぁ、男の話だ。」
闇男「ん。」
水大「???」
水女「はぁ、ハァ……」
光女「分かりましたかー?」
水女「ね、ねぇ、光女?」
光女「なぁに?」
水女「き、聞きたいことがあるなら、普通に聞いたらいいんじゃないかしら?」
光女「ダメよ。」
水女「どうして?」
光女「この方が、楽しいじゃない!」
闇男「風男。」
風男「ん?」
闇男「こんな感じなのかい?」
風男「……ふわっと聞いたな。」
闇男「まぁね。」
風男「……ま、時々だ。」
闇男「なるほど。」
水大「???」
光女「はい、質問。秘法調べを焦ってる、マルか、バツか。」
水女「……ばつ。」
光女「……」
水女「きゃはははは!! まるまる、まる!!」
光女「質問の続き。理由は?」
水女「……時間が無いから。」
光女「? どういうことよ。冬の魔法祭までは、まだ一月以上あるわ。」
水大「あれ、そう言えば、冬の魔法祭っていつだわさ?」
風男「今から一ヶ月と、2週間後だな。」
闇男「もう、ある程度調べてしまってるんじゃないかな。」
光女「……そうなの?」
水女「……まる。」
風男「まだるっこしいな。なぁ、水女、正直に言えって。」
水女「……」
風男「秘法について調べて分かったこと、それに焦る理由。」
水女「……」
風男「光女は、こういうことについては歯止めが効かないぞ。」
水女「……具体的には?」
風男「……感覚操作魔法って知ってるか?」
水女「分かった、言うわ。言う。」
闇男「さぁ、遊ぶのはここまでにしよう。あまり良くない絵だからね。【解錠魔法】」
光女「あ~あ、ここからが本番だったのに。」
風男「で、秘法ってのは、なんなんだ。詳細は。」
水女「……水教先生の言っていた通りよ、大方のことは。」
水大「魔法祭で定められたことをすれば、強い魔法が使えるってやつだわさ。」
水女「えぇ。実は私、ここに来る前に、街の図書館で調べたの。」
光女「そんな情報、よく街の図書館になんてあったわね。」
水女「院生の使いで、ということで奥に通してもらったから。」
闇男「すごい行動力だな。」
光女「裏付けはとれたわけね。どうしてそれを私たちには言わなかったわけ?」
水女「……儀式には、条件があるの。3つの厳しい条件。」
闇男「1つは、時間と場所が限定されていること、だね。」
水女「そうよ。」
風男「なんで知ってんだよ。」
闇男「卒業時の秘法の話を聞いただろう。共通点がいくつかあったからね。」
風男「成績優秀な人物に、先生方が魔力を貸すってやつか。」
闇男「あれも、この大学で、卒業式の日に、という制約があった。」
水女「ええ、その通り。ふたつめの条件も、重なっているわ。」
光女「……複数人?」
水女「正解。まぁ、これも考えれば納得よね。問題は、3つ目よ。」
水大「もったいつけないで、言って欲しいわさ。」
水女「……ねぇ、みんな、約束して欲しいの。」
光女「何よ?」
水女「絶対に、後悔しないでね。」
風男「……おいおい、なんか風向きが変わってきたぞ。」
闇男「……危険な話だっていうことかい?」
水女「いいえ、危険なら……そうね、危険なだけなら、みんなにすぐに言ったと思う。」
光女「言わないんじゃなくて、言えなかった?」
水女「正しくは、言わない方がいいって、私が判断したの。でも……」
光女「でも?」
水女「ここまで来て、言わないわけにはいかないでしょう。」
光女「そうね、納得できないからね。」
水女「条件の3つ目は……」
水大「ごくり。」
水女「それが儀式であるということを、意識しないこと。」
風男「…………は?」
闇男「どういうことだい。」
水女「その儀式の中で、その行為が秘法に結び付くということを考えてはいけないの。」
光女「ちょ、ちょっと待ってよ、そんなの絶対無理じゃない!」
風男「秘法の為に、特別な動きをするんだろ? 無茶苦茶だぜ。」
闇男「だから焦っていたのか。僕たちに、儀式と意識させずに誘導させるために。」
水女「ええ……」
光女「なんで言っちゃうのよ、秘密にしときなさいよ!!」
風男「おいおい、率先して尋問したのはお前だろ。」
水女「私が先に儀式の方法を知って、知らないふりをしてみんなを動かしたかったの。」
闇男「儀式の方法を僕たちが知ってしまっては、条件を満たせなくなるから、か。」
水女「そう。だから、ここにいる5人が、他の誰かを誘導しなくちゃいけない。」
風男「しかも、複数人を、か……」
光女「何よ、そんなの簡単じゃない。」
水女「え?」
光女「いるじゃない、単純な方々が、3人も。」
いやー、最初から読み進めるのは疲れたー
水女さんには幸せになってもらいたい…
何はともあれ>>1乙乙
~水女のアパート~
風男「さぁ、儀式の流れの確認といきますかぁ。」
光女「結局、3日かけて見つけたのが1冊だけとはね~。」
闇男「冊数があれば、それだけ大変になるよ。それじゃ、始めよう。」
水女「古い字体……随分前に書かれたものだわ。」
水大「言葉そのものも、古語が多いわさ。さ、水女、頑張るわさ。」
水女「彼の地に伝わる秘法は、星の力を借りることが肝要となる。」
水女「もっとも長く太陽の光を浴びた日、もしくは浴びなかった日が該当する。」
風男「つまり、夏至と……」
闇男「冬至、ってことだね。」
水女「そう言えば、魔法祭って……」
光女「ええ。」
風男「魔法祭って情報はもう分かってるんだからよ、次に行こうぜ。」
水女「もっとも太陽の力を集めた日は……これは夏だから、飛ばすわ。」
水女「もっとも浴びなかった日は、闇の魔翌力が地表に落ちる。」
水女「えっと……」
光女「どうしたの?」
水女「ページが飛んでるわ。白紙が続いてる……」
闇男「隠蔽魔法だね。内容が読めないようにしてあるんだ。解除しよう。」
光女「【解明魔法】!」
水女「……文字が浮かび上がってきたわ。これは……詩、ね。」
闇男「長いね。」
水女「とりあえず、読むわね。」
水女「昼の長きも、夜の長きも」
水女「みなみな境につどいたまえ」
水女「かはたれ、たそかれ、その間」
水女「表も裏もあるものかかえ」
水女「表も裏もないものすてて」
水女「陽の陰追って、手を取り踊れ」
水女「踊るさなかに口にする丸いもの」
水女「火の月が溶けて、」
水女「風の兄弟が踊る。」
水女「地の叫びを聞いたのち、」
水女「水の器に飛び込んだ。」
水女「光の海をかきまぜて、」
水女「闇の粒子をばらまいた。」
水女「次の境の静けさに」
水女「うるおうのどで高らかに」
水女「歌い唄えよ、願い事」
水女「抱えたものに思いが宿る」
水女「開けば思いは遂げられる」
水女「……だそうよ。」
風男「だそうよ、ったって……なぁ?」
光女「なぁ、ったって……ねぇ?」
闇男「謎解きだね、これは。」
水大「ひょっとして、こういうの得意だわさ?」
闇男「いや、てんで駄目だね。水女さんは?」
水女「どうかしら……経験のないことだから、なんとも言えないわ。」
風男「……」
1です。
>>56 に書かれていることを作者としても考えるようになり、
なにやら水女が主人公のような様相を呈してきました。
あらためて前スレ見たら、始まったのが夏だったようで……
1周年にならないよう気をつけます。
では、また。
光女「どうしたのよ、急に黙っちゃって。」
風男「これ、そんなに難しいことじゃないんじゃないか。」
水女「どういうこと?」
風男「昼の長きも、夜の長きも、ってのは、つまり、夏至と冬至だろ?」
風男「あとは……うるおうのどで高らかに、ってのは、何かを飲んだ後ってことだ。」
風男「てこたぁ、逆に考えれば、口にするまるいものは……スープだろ。」
光女「あのね、そんな簡単に……」
闇男「……そんな簡単に、考えていいかもしれないぞ。」
風男「というと?」
闇男「地の叫びというのは、マンドラゴラのことじゃないか?」
水女「……そうね、一応、食材だしね。一応……」
光女「闇の粒子は?」
風男「そりゃお前……黒い粒ったら、胡椒しかないわな。」
水大「あまりにも短絡的すぎないわさ?」
光女「そうよね、確証がないモン……」
闇男「確証なら、あるよ。」
水大「なんだわさ。」
闇男「ほら、ここ。」
水女「……秘宝に関わるものは、歴史の中でも埋もれない?」
闇男「一見意味のないことでも、祭の中に残っているからには意味があるんだよ。」
風男「なぁ、たぶん、これ全部祭の中で出店にあるぜ。」
風男「火の月は、トマトだ。赤くて、毎年市が開かれてるからな。」
風男「そんで、風の兄弟。こりゃ……緑色だろうから、豆だろ。」
水女「地の叫びは、マンドラゴラでしょ? 水の器は?」
風男「水は透明だから……ガラス、だな。」
水大「そういえば、工芸バザーがあるわさ……」
闇男「すごいな、風男……」
風男「へっへっへ、昔からこういうのは得意なんだよな、俺。」
光女「そういえば、小さい頃からなぞなぞ好きだったっけ。」
風男「惚れ直したろ?」
光女「ばーか。」
闇男「考えてみれば、マンドラゴラを食材として使っている時点で変なんだよな。」
水女「そうよね! そうよね!! 食べなくてもいいわよね。」
闇男「え、あ、あぁ……」
光女「ぷっ……」
水大「さぁさぁ、天才くん、次はなんだわさ。」
風男「光の海……光は、たぶん、白だ。だから……」
光女「牛乳、かな?」
水女「どうして分かるの?」
光女「たぶんコレ、料理になるんだわ。トマトに豆、胡椒。味が調うもの。」
水女「なるほど、それでガラスに入れて、か……」
水大「でも、属性の部分はそれで分かるけど、最初の部分が意味不明だわさ。」
闇男「表も裏も、か。」
水女「……たぶん、魔法使いの姿に関わることだわ。」
風男「どうして言い切れる?」
水女「だって、『魔法』祭だもの。必ず意味があるんでしょう?」
闇男「確かに、名前にしてしまえば、歴史の中でも埋もれないね。」
光女「てことは、古典的な魔法使いの姿ってこと? なら……」
風男「杖、か。」
闇男「昔は杖を持っていなければ魔法が使えないという迷信があったからね。」
光女「杖は、どっち? 表も裏もあるもの? ないもの?」
水女「ないもの、でしょうね。 しかもそれは、持たなくていいんでしょう。」
水大「それなら、表も裏もあるものって、なんだわさ?」
闇男「杖は捨てても問題なかった。昔の人は、それを、知っていたんだ。」
風男「わかった。本だ。」
闇男「……表も裏も、あるね。」
水女「しかも、かかえる、というイメージにあうかも……」
光女「ちょっとちょっと、どうしちゃったのよ?」
風男「なんだろな、なんか冴えるんだよな……」
水女「よし、今の話を整理して、3人を誘導する作戦を立てましょう。」
1です。
いよいよ最終幕です。
完結させずに逃走はしませんので、気長にお待ち下さい。
では、また。
~冬の魔法祭・当日・水男のアパート~
風男「よぉ、迎えに来たぜぃ。」
水男「やあ。」
風男「……」
水男「どうした?」
風男「彼女は?」
水男「ま、まだ来てないよ……名前で呼べばいいだろう。」
風男「何を今更照れてるんだよ。休み中ずっと一緒だったんだろ。」
水男「一緒に勉強してたんだよ。」
風男「勉強ねぇ。」
水男「な、なんだよ。」
風男「怪しいぜ?」
地女「なにが怪しいって?」
水男「地女。」
風男「おぉ、地女。いや、こいつがなんか不埒なことをだな……」
水男「言ってない!!」
地女「……」
水男「言ってないってば。」
光女「なーにもめてんのよ、楽しい日の始まりに。」
風男「お、これで役者はそろったな。」
光女「それじゃ、ダブルデートとしゃれこみますか!」
地女「おーっ。」
風男「おう。」
水男「……っ。」
光女「水男、顔、真っ赤よ?」
風男「腕組まれたくらいで固まるなよな~。」
水男「う、うるさいな。」
光女「それにしても、地女ってグイグイいくタイプなのね。」
~魔法祭・本部~
水女「あら、おはよう、みんな。」
地女「おはよ、水女。」
水女「ちゃんと仲良くしてる?」
地女「う、うん。大丈夫。」
光女「なになに、何の話?」
水女「この前、ケンカしてたみたいだから。」
地女「えへへ……」
光女「かつてのライバルも、今は良き相談相手か……青春じゃのぅ。」
風男「どういうキャラだ、お前は。」
水女「あ、そうそう、コレどうぞ。」
水男「これは……本?」
水女「中を見てみて。」
水男「……白紙、だね。」
水女「今回の魔法祭の、目玉企画なの。」
水女「食べたものが自動的に書き込まれるように魔法をかけたわ。」
風男「ふむ……それで?」
水大「よりいろいろなものを食べた人を、後日表彰するってことだわさ!」
光女「水大。なんでここに?」
水大「へへーっ、水女に負けない素敵な女を目指して、学生委員の仲間入りだわさ。」
地女「頑張ってね。」
水大「もちろんだわさぁ。」
光女「にしても、いろいろなものを食べるったって、そんなにお金はないわよ。」
水女「大丈夫、たくさん食べればいいってもんじゃないわ。」
水女「ちょっとした『効果的な食べ方』ってのを、学生委員で設定してあるから。」
水男「効果的な食べ方? どういうことだ?」
水女「食べ合わせ、って知ってる?」
地女「これとそれを食べたら具合が悪くなる、っていうやつ?」
水女「そう。それで、最近の研究で、魔力を高める食べ合わせが見つかったの。」
光女「……ほんとに?」
水女「……ほんと。外国の先端の研究だから、まだこの国では知れてないだけ。」
光女「……さすが国立魔法研究所の所長の娘ね。」
水女「……ウソをつく時は、真実を混ぜなくっちゃね。」
地女「ふたりで何をこそこそ話してるの?」
光女「なーんでもないのよ~。」
水女「そうそう、なーんでも。」
地女「な~んか怪しい。」
水男「とにかく、お金をかければいいってもんでもないってことだな。」
風男「ヒントも無しか?」
水女「無し。」
風男「やれやれ……じゃあ、当てずっぽうかい。」
水女「ま、宝くじみたいなものだと思って頂戴。」
水大「ちょっとした遊び心だわさ。楽しんで頂戴だわさ。」
~広場~
闇男「あれ、奇遇だね。」
水男「闇男。それに、火男も。」
火男「よぉ、ダブルデートか。うらやましいな。」
風男「そっちもデートか?」
闇男「火男がどうしてもって言うからね。」
火男「お前も乗り気だったじゃねーか!」
地女「え……ふたりって……」
闇男「あ、違う違う。彼がナンパに付き合えっていったんだよ。」
火男「あれ、お前らの持ってる本、何?」
水男「あぁ、今日の魔法祭の企画なんだってさ。」
闇男「どんな企画なんだい?」
風男「魔法祭で食ったもん次第で、なんか表彰されるんだと。」
火男「そんなん、金持ちが優勝するに決まってるじゃん。」
水男「いや、そういうわけでもないみたいなんだ。」
火男「ん~?」
光女「あのさ、本部に行って聞いてきた方が早いわよ。」
闇男「それもそうだね。じゃ、行ってみようか。」
火男「待て待て、お前、そういうのに手を出すとナンパどころじゃなくなる……」
風男「いっちまったな。」
水男「さ、俺たちもそろそろ食べ歩いてみようか。」
地女「最初は何にする?」
1です。
少しですが投下しました。
では、また。
~昼食~
水女(調子はどう?)
光女(順調で~す。)
水女(気付かれてない?)
光女(ぜ~んぜん。課題になってる料理は、もう達成できたもん。)
水女(本当!?)
光女(たいしたもんでしょ?)
水女(すごいじゃない。)
光女(ほめてほめて。……ところで、闇男のほうは、どんな感じ?)
水女(火男君が、マンドラゴラを嫌がったみたいね。)
光女(まぁ、そうよね……じゃあ、向こうは失敗?)
水女(ううん、食べさせたみたい。)
光女(どうやって?)
水女(……聞かない方がいい、って言われた。)
光女(……うん、聞かないどこうね。)
水女(とにかく、後は夜まで計画がばれないようにね。)
光女(任せてよ!)
~少し前~
闇男「さぁ、次は何を食べようか。」
火男「……」
闇男「どうしたんだ、火男? 元気がないな。」
火男「元気もなくなるわ!! なにが、マンドラゴラには魔力がある、だ!!」
闇男「あったじゃないか。」
火男「女の子を寄せ付ける魔力とか言ってただろうが。」
闇男「そうだよ、特定の摂取の仕方でね。」
火男「ああ、お前に言われた通りに食った。」
闇男「寄せ付けただろう。」
火男「男をな。」
闇男「……」
火男「……」
闇男「そうか、分かった。」
火男「ったく……」
闇男「胡椒が足りなかったんだ。」
火男「なん……だと……?」
闇男「さぁ、いこう。」
火男「いやだっつーの!!」
闇男「やれやれ……ほら、これを読んで元気出して。」
火男「なになに……牛乳、胡椒、トマトを入れてスープにすることで……」
闇男「マンドラゴラの魔力は特定部分だけが強化され。」
火男「意中の女性を虜に出来る!?」
闇男「また、入れる材料を減らすことで、効能を弱化することも出来る。」
火男「じゃあ、さっき効果がなかったのは……?」
闇男「すまない、危険性もあるから、と思ってね。」
火男「闇男……お前ってやつは……」
闇男「すまないね、生まれつき心配性なんだ。さぁ、どうする?」
火男「食うに決まってるだろうが!!」
闇男「う~ん、単純。」
闇男(まぁ、魔法で古めかしい本を偽造したから、信じるのも仕方ないか。)
~本部~
放送「まもなく、食い倒れ選手権のしめきりです。」
放送「エントリーされる方は、本を本部までご持参下さい。」
放送「なお、ただいまの時間から予定されているイベントは……」
風男「で、俺たちは間に合ったんだよな?」
水女「ええ、確かに受領したわ。」
風男「結果は、いつ分かるんだ。」
水女「後日発表。」
地女「当日じゃないの?」
水女「実は、どういう食べ合わせに賞を与えるか、決まってないの。」
水男「随分、いきあたりばったりだな。」
水女「まぁ、飛び込み企画だからね。でも、楽しかったでしょ?」
地女「うん、楽しかった~。」
光女「でも、まぁだ騒ぎ足りないわね。」
水女「あら、これかた夜の部もいろいろあるわよ?」
風男「それもいいな……どうする?」
水男「あ、提案。」
光女「なに?」
水男「どうせなら、少人数で、ちょっと騒がないか。」
風男「せっかく祭なのにか?」
地女「あ、でもいいんじゃないか。たまには、ね?」
光女「わ、私にふらないでよね……まぁ、いい、かな?」
水男「水女も来ないか?」
水女「え、私? 私は、学生委員の仕事がまだあるから……」
水男「いつ終わる?」
水女「え? え? え~っと……今から2時間くらい、かな?」
光女「ちょ、ちょっと、なになに、どういうこと?」
地女「……」
風男「え~っと……なんだ、この空気は。」
水女「な、なにかあったら連絡してね。」
水男「それじゃ、ちょっと場所変えようか。」
~とある講義室~
水男「……ここなら、大丈夫かな。」
風男「おいおいおいおい、水男っ。」
水男「ん?」
風男「さっきの、ありゃ、なんだ!?」
水男「さっきの?」
風男「水女に対して、いつ終わる? とかなんとか……」
水男「……出来るだけ、人が欲しかったんだ。」
風男「はぁ?」
水男「二人とも、聞いて欲しい。真剣な話だ。」
光女「な、なによ、あらたまっちゃって。」
地女「秘宝、についてなの。」
風男「え……」
水男「実は、地女と二人で、ずっと調べてたんだ。」
地女「この学校について、すみずみまで。」
光女「……詳しく聞かせて。」
水男「水教先生の話によると、魔法祭と秘法は強い関連がある。」
風男「おう。」
水男「それで、思ったんだ。この校舎に、何か秘密があるんじゃないかって。」
光女「校舎に……?」
地女「結論を言うとね、校舎の下に、遺跡があるの。」
水男「そして、遺跡は、偉大な霊を鎮めるためのものらしいんだ。」
水男「それは、人間を守護するもの、だったらしいんだけど、詳細は分からない。」
地女「それでね、遺跡の入り口が開くのは、夏至と冬至の夜中だけらしいの。」
風男「おいおい……どういうことだ?」
1です。
今回はここまでです。
保守してくださった方、ありがとうございます。
では、投下します。
水男「つまり、夏至と冬至に限り、偉大な霊の力を借りることが出来て……」
地女「それが、秘法と呼ばれてるんじゃないかな、っていう仮説なの。」
風男「……なるほどな。」
光女「……どうする?」
風男「いや、どっちが当たりなのか、まだ分からないからな。」
水男「当たり?」
風男「実は、俺たちは俺たちで、別に秘法の可能性を突き止めてるんだ。」
光女「それで、今日……闇男たちが準備をしてくれてるのよ。」
水男「そうだったのか……言ってくれれば、協力できたのに。」
風男「いや、いや。いいんだ、こっちが正解かもしれないしな。」
光女「向こうの準備が計画通りに進んでいれば、深夜に何かが起こるはずなのよ。」
地女「何かって?」
光女「それは……さぁ?」
水男「それじゃあ、俺たちの調べたことは、見当はずれだったのかな。」
風男「そうとは限らないぜ。こっちのほうが、怪しい気もする。」
地女「行くだけ、行ってみない?」
風男「で、ここが入り口か。」
水男「そうらしい。ほら。」
風男「地図ね……たしかに、そうみたいだな。」
水男「立ち入り禁止の札があるけど。」
風男「そんなの、学校の中にはいくらでもあるさ。」
光女「それにしても……なんか、嫌な雰囲気ね。」
地女「危なくないかな……」
光女「保険をかけときましょーか。」
水男「保険?」
光女「水女に、通信魔法で伝言を残しておきましょうか。」
風男「なるほどな、いざというときの救助隊ってわけだ。」
地女「でも、古い魔法で、夏至と冬至にしか開かないんでしょ? ってことは……」
水男「下手したら、半年カンヅメか。」
光女「今が7時だから、2時間進んでみましょ。」
水男「帰りに2時間、1時間は念のため、か。よし、行こう。」
風男「やれやれ、とんだキャンパスライフだぜ。」
風男「ずいぶん降りた気がするが……」
光女「螺旋階段ってニガテだわぁ……」
水男「ここが底みたいだ。入り口っぽいな。」
地女「扉がぼんやり光ってる。装飾も、ピカピカだ。」
光女「随分古いはずなのに、どう見ても、さっき完成したばかりって感じね。」
水男「……合成魔法だ。」
地女「あ、私たちのチームの!」
光女「物の時間を止めるってやつね。実在してたってワケだ。」
風男「立証できたな、これで、っと……なんだ、簡単に開いたな。」
水男「あまりゆっくりもしていられないし、進もう。」
水男「結構歩いたかな?」
光女「15分くらいは歩いたかも。」
水男「……変だぞ。」
風男「何が?」
水男「校舎から、明らかにはみ出してる距離だ。」
風男「そういや、入り口自体が東の端にあったよな。」
水男「でも、俺たちはずっと東側に向かってる。」
地女「なんでそんなの分かるの?」
風男「方角なんて、大体分からないか?」
地女「え~……わかんないよ。ね?」
光女「男のほうが方向感覚は優れてるっていうけどね。」
水男「風男は感覚かもしれないけど、俺はずっと魔法で確かめながら歩いてるから。」
光女「だって。」
風男「ごほん。」
水男「……地図があてにならないっていうのが、よくわかった。」
風男「分かれ道、だな。」
地女「地図には、一本道しか書いてないね。」
光女「魔法がかかってて当然よね、重要な遺跡なんだったらさ。」
水男「逆に言えば、この遺跡が本物であることの証明にもなる。」
地女「危険な可能性も、増えたよね……」
光女「どうする? 戻る?」
風男「まぁ、まずは進むことを考えようぜ。」
水男「右は太陽、左は月、が描いてあるけど……それだけだな。」
地女「間違った方向に行ったら、どうなるんだろ?」
光女「ケガ、で済めばいいけど。」
水男「他にヒントになるようなものは……ぜんぜん、なさそうだぞ。」
風男「おいおい、これじゃただのカンで進むしかないぜ。」
水男「……よし、俺が一人で行って来るよ。」
地女「だ、だめだよ!!」
水男「でも、誰かが先に行って確かめてみないと……」
風男「だけどよ、この暗さじゃ、少し進んだだけで、誰なのか分からなくなるぜ。」
光女「!! ……誰か、分からなくなる。誰そ、彼?」
水男「たそがれの語源だったっけ。それがどうかしたのか。」
光女「かはたれ、たそかれ、その間。」
光女「まさか……」
光女「……真ん中が、正解だわ。」
風男「おいおい、真ん中はただの壁だぜ。」
光女「【開錠魔法】」
水男「道が……」
地女「すごいすごい!! どうして分かったの?」
光女「私たち、いけるかも。ヒントなら揃ってるわ。」
水男「どういうことだ?」
光女「風男、あの詩、ちゃんと覚えてる?」
風男「ん、まぁ……って、もしかして?」
光女「そうよ! あの詩は、遺跡を進むための手がかりだったのよ!!」
地女「どんな詩なの?」
光女「えっと……」
今回はここまでです。
ちょっと短いですが、では、また。
光女「>>63~ 参照」
水男「なるほど……確かに、それは大きなヒントだな。」
風男「とか言っている間に、新しいポイントだぜ。」
地女「見て、今度は石像がある。」
水男「持っているのは、杖と、本かな。」
風男「こりゃ、前に俺たちがした推理でぴったりだな。」
光女「表も裏もあるものかかえて」
風男「で、本はそのまま、と。」
光女「表も裏もなきもの捨てて」
風男「で、杖は捨てる、と。」
水男「……石像が動いて、降りる階段が。」
地女「なんか、私と水男、出番がないね。」
光女「まぁまぁ、たまには私たちに活躍させてよね。」
風男「そうそう、こいつなんか、今までほとんど出番がなぶぁっ!!」
光女「さ、いきましょ。」
水男「……付き合い長くなると、グーになるんだな……」
水男「今度は、広間か。ひどく殺風景だが。」
地女「……そうでもないみたい。なにか、いる。」
風男「おいおい、化け物じゃないだろうな!」
光女「いえ……人形だわ。踊り子の。」
水男「広間の外側を、くるくる回ってるのか。」
地女「さっきの詩、なんだったっけ。」
光女「おどる最中に口にするのはまるきもの。」
地女「踊る、っていうのは、あの人形だよね。」
水男「口にするのは丸きもの。まるいもの、あるか?」
光女「陽の陰追って、手を取り踊れ。」
風男「手を取り、ってことは、あれと踊ればいいわけだな。」
水男「陽の陰は、分かった。」
地女「なぁに?」
水男「天上に中央に、火の玉がある。あれが火で、陽だろう。」
水男「見れば、踊り子には常に影があるから、そっち側にいればいいんだ。」
風男「なるほどな。んじゃ、結局、丸きもの、だな……」
光女「他に、なにかないかしら。」
水男「うーん……」
地女「……あ。」
光女「見つけた?」
地女「あの人形、指輪してる……」
風男「なーるほど、ロマンチックな仕掛けだぜ、こりゃ。」
光女「あ、ちょっと!」
風男「まかせとけって。」
水男「……うまいなぁ。」
地女「ダンスなんて、普通出来ないよねぇ。」
光女「高校時代にさ、クラスでそういう出し物したときがあってね。」
水男「なるほど。それで、最後は指輪に……というより、手にキス、か。」
光女「私にもそのくらいかっこいいことしなさいよね~。」
風男「はは、今度な。」
地女「見て、中央に、下る階段が。」
光女「さ、進みましょう。」
水男「ずいぶん広いところに出たな。」
光女「距離と時間の感覚がおかしくなってきちゃったな。」
風男「時間は?」
光女「……あと、進んでも1時間ってとこかな。」
地女「考えてる時間が多かったから、少しくらい無理してもいいんじゃない?」
水男「いや、万が一って言うこともあるから。」
光女「帰り道にも何か魔法がかかってるかもしれないもんね。」
風男「さて、そんじゃ、考える時間を減らす努力をしようぜ。」
水男「石のテーブルが7つ。まん中のテーブルだけなにか乗ってるな。」
地女「カード……っていうよりも、石板っていうのかな。」
風男「月、海、か?……ふたりの人間? なんだこりゃ。」
光女「それはたぶん、兄弟、だと思う。」
地女「この、口を開けてる人は?」
光女「叫び、かな。」
水男「このコップは?」
光女「器、だと思う。詩に対応してるとすれば。」
光女「だから、つまり……火の月は、赤いテーブルに、月のカード。」
風男「はいよ。」
光女「風の兄弟、だから、緑のテーブル。」
風男「ほい。」
光女「地の叫びは、オレンジのテーブルだと思う。」
地女「はーい。」
光女「水の器は……」
水男「青、だろうな。」
光女「光の海が白いテーブル、闇の粒子が黒いテーブル、でしょうね。」
水男「……よし、これで終わりだ。」
風男「おいおい、サクサク進みすぎじゃねーか。」
光女「ま、ヒントが揃ってるからね~。」
水男「……おかしいぞ。」
地女「何が?」
水男「次の道があらわれない。」
地女「そういえば……」
水男「詩が間違ってるっていうことはないか?」
光女「ううん、本に書いてあった通りよ。それは大丈夫。」
風男「まだ、なにかたりないんじゃないか。」
光女「続きは、たしか……」
光女「うるおしたのどで高らかに」
光女「歌い唱えよ願い事」
光女「かかえたものに思いが宿る」
光女「開けば思いは遂げられる」
光女「……つながりが、ないと思うんだけど。」
水男「まぁ、たしかになぁ……」
地女「ここには、水なんて……」
風男「あった。」
光女「え?」
風男「つーか、やばいぜ、これ……」
水男「あの天上、水、か?」
光女「ちょ、ちょっと! 落ちてきてない!?」
風男「だから、やばいっつったろ! 水の天上が、降ってきてんだよ!」
×天上
○天井
でした。
地女「ま、間違ってたってことかな?」
風男「いったん戻って……」
水男「……だめだ、いつのまにか階段が消えてる。」
光女「ど、ど、どうする!?」
水男「【操作魔法】……で止まるわけないか。」
風男「まいったな……けっこうな速さだぜ、あれ。」
地女「水男ぉ……」
水男「なにか、なにかあるはずだ……」
光女「……」
風男「おぅ、くっついてろ。」
水男「うるおしたのどで、高らかに。」
水男「うるおす。だから、水は必要だったんだ。」
水男「待てよ、そうだよ、あの水は必要なものなんだ。」
風男「引いてダメなら押してみろ、か?」
水男「普通は逆だ。でも、これは……」
水男「あの水に飛び込んで、上に進もう。」
地女「もし、もし、それが間違いだったら……?」
水男「……そうじゃないことを、祈ろう。」
地女「……」
水男「……」
風男「俺らも、しとくか?」
光女「ん……じゃ、一応。」
風男「……さて、だいぶ近づいてきたな。」
水男「よし、いくぞっ!!」
水女「……っ!…………!!」
水男「う……?」
水女「水男くんっ!!」
水男「水女……?」
水女「よかった、気が付いたのね……」
水男「ほかのみんなは? 地女!?」
水女「あなた一人じゃないの?」
水男「違う、地女と、風男と、光女が……」
水男「そんな、まさか……」
水女「この教室に、あなた一人だけ、ずぶぬれで……」
水男「俺は、水に飛び込んで、それで……」
水男「それで……どうなったんだ?」
水女「大丈夫? すごく、顔色が悪いわ。」
水男「あ、あぁ……」
水女「【生成魔法】 はい、これ。」
水男「んぐ、ごく……あ、ありがとう。」
水女「……秘法を、探しに行ったのね。」
水男「……そうだ。」
水女「水男は、何を願うつもりだったの?」
水男「俺は……俺は、ただ、知りたかったんだ。」
水女「何を?」
水男「あの夜のことを、ちゃんと、知りたかった。」
水男「あの日から、いろいろな歯車がかみ合わなくなった気がして。」
水男「真実が分かれば、解決の糸口がわかるような気がしたんだ。」
水女「今も、変わらない?」
水男「俺は……俺は、ただ、知りたかったんだ。」
水女「何を?」
水男「あの夜のことを、ちゃんと、知りたかった。」
水男「あの日から、いろいろな歯車がかみ合わなくなった気がして。」
水男「真実が分かれば、解決の糸口がわかるような気がしたんだ。」
水女「今も、変わらない?」
水男「いや……今は、もう、どうでも……」
水女「どうして?」
水男「3人が、無事な姿で、戻ってきて欲しい。」
水男「こんなことになるなんて……」
水女「それが、汝の偽らざる答えだな。」
水男「え?……水女じゃ、ない?」
??「目を開く時が来た。汝の願いは聞き入れられた。」
水男「待っ…………!!」
水女「……あ、気がついたわ。」
地女「水男っ!!」
水男「地女……水女……本物か?」
水女「え? なに?」
水男「いや、なんでもない……」
水男「地女、なんともないのか?」
地女「うん。びしょぬれだけど。」
光女「長い昼寝だったわね。」
水男「光女。」
光女「なんて、私もさっき起きたとこだけど。ところで、夢、見た?」
水男「見た。水女が出てきたよ。」
光女「それで、願い事を言わされた?」
水男「そうだ。みんなが無事に、って。」
光女「一緒ね。私も、地女も。」
水男「……風男は?」
光女「……まだ。なにやってんだか……」
水男「でも、なんかもぞもぞ動いてるけど……」
光女「風男っ!! いい加減起きなさいよっ!!」
風男「おわぁっ!!」
光女「!!」
風男「お? おお……あ~、そういうことか。」
水女「おはよう。」
風男「水女……本物か?」
水女「それはもういいってば。」
風男「なるほどな、夢を見させられてたってことか。」
水男「偉大な霊、っていうやつかな。」
光女「命からがら助かった後なら本音が出る、ってことかぁ。」
地女「心からの願いを叶えてくれるのが、秘法だったんだね……」
水男「わかってれば、別の願いも出来たのにな。」
光女「それがさ、秘法と知っていれば、効力はないんだってさ。」
水男「そうなのか。よく出来てるもんだな。」
風男「そうか? 意地が悪いだけだろ、こんなもん……」
水女「ねぇ、ちょっと、疑問があるんだけど。」
光女「なに?」
水女「光女と地女、それに水男の願いは一緒でしょ?」
水男「みたいだな。」
風男「なんだったんだ?」
光女「みんなが無事にありますように、って。」
風男「あ~、なるほどな。」
水女「風男は、何を願ったの? 時間がかかってたみたいだけど。」
風男「俺は……ちょっと、もめてた。」
地女「何を?」
風男「いやな、おれも最初は同じ願いだったんだ。」
風男「でもな、途中で思いとどまったんだわ。」
光女「どうして?」
風男「そもそもな、こんな危ない目にあうような秘法に頼ること自体がだめだろ?」
風男「だから、ちょっと考える時間をもらってだな。」
水男「よくもあの状況の中で、そんな発想が出来るな……」
風男「まぁ、とにかく、別の願い事をしたんだ。」
風男「俺たちがこんな目にあった原因を消してほしい、ってな感じで。」
水女「なんていうか、その……」
光女「ただの逆ギレじゃない。」
地女「でも、原因って……なんだろう?」
水女「…………あ。」
光女「ん?」
水女「原因らしきものが、なくなってる。」
光女「何よ?」
水女「ノート。秘法について、びっしり書きとめておいたのに……」
水男「知識、かな?……記録とも言えるか。」
水女「確かに、秘法について調べなければ、危ない目には合わなかった?」
地女「でも、そもそも秘法を探ろうとしたのは、水嬢さんのことで……」
風男「げ。」
光女「ちょっと、これで水嬢自身が消えてたらどうすんのよ!」
水男「風男を責めても仕方ないさ、まだ何も分からないんだから。」
水女「これから少しずつ、明らかになるでしょうね。でも……」
水女「どうして、みんなの夢に現れたのが、私だったのかしら?」
光女「う~ん…・・・なんでだろ?」
地女「一番、現実的だったからじゃないかな?」
水男「確かに、ああいう場面なら、水女が助けてくれそうだな。」
光女「実際、来てくれてたわけだしね。」
水女「なんだか、偉大な霊って、不思議な存在なのね……」
風男「なんにせよ、これで秘法に関する調査はおしまいだな。」
水男「風男の願いが、どんな形で叶ったか、だな……」
~水男のアパート~
地女「おはよ。朝ごはん、準備しといたよ。」
水男「ん……ごめん、起きれなくて。」
地女「寝るの遅かったし、疲れてたしね。」
水男「……俺たちには、特に変化はなさそうだな。」
地女「そう、だね。」
水男「原因って、なんなんだろうな……」
地女「私たちが、秘法を求めたこと?」
水男「なんで秘法を求めたんだっけ。」
地女「水嬢さんがどうなったのかを知るため?」
水男「どうして知りたいと思った?」
地女「水嬢さんが突然いなくなったから。」
水男「いなくなった理由は?」
地女「えと……」
水男「これさ、キリがなくないか?」
地女「うん……原因なんて、突き詰めたら世界の誕生とかになっちゃうね。」
水男「でも、何かしら、変化はあるはずだな。」
地女「今日は休みだけど、大学、行ってみる?」
水男「……ゆっくりしてから、でいい?」
地女「えへへ、そうだね。」
~大学~
風男「考えることは一緒だな。」
水男「二人とも、来てたのか。」
地女「何か、変化はあった?」
光女「私たちが見た書籍は、あらかたなくなってたわ。」
水男「もしかしたら、俺たちが見たのも……」
光女「たぶん、なくなってるでしょうね。」
水男「でも、これだけなんだろうか?」
風男「もしもそうなら、チャチすぎるぜ、偉大な霊……」
光女「あ、ちょっと待って……水女?」
水女(もしもし、今、大丈夫?)
光女「うん、大丈夫。どうかした?」
水女(みんな一緒にいるの?)
光女「そう、4人。」
水女(水の研究棟に来て。すぐに。)
光女「あっ、ちょっと……」
風男「どうした?」
光女「水女から。すぐに水の研究棟に来て、って。」
~研究棟~
光女「私、研究棟って初めて入るわ。」
水男「普通は1年生は入らないんだっけ。」
風男「水学科が変わってるんだよ。」
水教「来たか。」
水男「先生。」
水教「いろいろあったようじゃの。」
水男「はい、まぁ……」
水女「おつかれさま。」
光女「水女。いったいぜんたい、どうしたっての?」
風男「一体全体って、ふる……いてっ!!」
水女「私、今朝一番で、水教先生に話を聞きに来たの。」
水女「秘法がだめなら、結局直接聞くしかないな、って思って。」
水女「それで、昨日の話になって、説明してたんだけど……」
水教「聞いていて、興味深いと思っての。」
水男「秘法のことですか?」
水教「ふむ、まぁ詳しくは腰を落ち着けて話そう。役者も揃ったでの。」
水嬢「…………」
水女「水嬢!? あなた……?」
水嬢「……お久しぶりですわ。」
水教「さて、お互いに話したいこともあるじゃろう。ついてきなさい。」
間が空きすぎですが、最後までは書きます。
では、また。
~研究室~
水教「そのへんに、適当にかけなさい。」
水女「適当に、と言われましても……」
風男「散らかりすぎてて、足の踏み場が、なぁ?」
水教「最近の若いもんは細かいの……ほれ、【整頓魔法】」
水男「それじゃ、失礼します。」
水教「どちらから話すかね?」
水嬢「あ、えと……」
水女「私たちから、お話します。といっても、先ほどの話でほとんとですけど。」
水男「俺たちは、水教先生にいただいたヒントをもとに、秘法をさぐってました。」
水男「俺たちが地下の遺跡を見つけ、水女達が進むための詩を見つけました。」
水男「進むうちに、おそらく偉大な霊と思しき存在に出会い、願いを叶えました。」
水男「俺、地女、光女の願いはそれぞれの無事だったんですが、風男が……」
風男「原因を取り除いてほしい、と願ってしまったんで、結果が不明っす。」
水教「ふむ……では、やはり、水嬢を救ったのは風男ということじゃな。」
水嬢「……そうなりますわ。」
水女「救った?」
光女「何から?」
水教「それについては、目で見たほうが早いじゃろうの。ほれ。」
水男「これは……?」
光女「映像を記録する魔法装置だわ。光教先生の研究しているやつ。」
水教「あの子はわしの教え子の一人での。貸してもらったんじゃよ。」
水教「心理魔法の研究に使えると思っての、今回の件も。」
水男「今回の件?」
水教「……見ようとするのは止めはせんよ。いまさらの。」
水教「ただし、見るからには覚悟が必要じゃ。」
水教「心理魔法がどのような事態を引き起こすか、これが現実じゃ。」
水教「そして……」
水嬢「大丈夫ですわ。仕方がありませんもの。」
水教「おそらく、これを見た後は、水嬢とは以前のようには接することはできん。」
水教「若い君たちにとっては、衝撃的じゃ。」
水教「見せるつもりはなかったが、事態が変わった。変えたのは、君たちじゃ。」
水教「権利がある。権利を使うかどうかは、今、君たちが決めてよい。」
水男「……いいか?」
風男「おう。」
地女「う、うん。」
光女「ここまできといて、ねぇ。」
水女「火男くんと闇男くんには?」
風男「あとで知らせてやろうぜ。今は、サークルにいってると思う。」
水男「水大は……水大も、あとにしよう。先生、お願いします。」
水教「では……」
~映像魔法装置の画面にて~
光教「水教先生、はじめてもいいですか?」
水教「うむ……はじめよう。」
光教「それでは、これから映像魔法による記録を開始します。日時は……」
光教「目的については、実験者である水教先生からお願いします。」
水教「ふむ……さて、教え子である光教先生の力を借りて行うこの実験は」
水教「公的なものではなく、極めて私的なものである。」
水教「人体に影響を及ぼし、さらには研究途中の心理魔法を使う事が」
水教「倫理にもとることであることは重々承知の上である。」
水教「しかし、今ここに、心理魔法の犠牲になった女性を救うため」
水教「保護者各位の許可のもと、心理魔法の実験を行うものとする。」
水教「万が一失敗した場合も、この映像をもとに事態が収束されることを願う。」
水教「……では、ご両親、よろしいかな?」
嬢父「はい。」
嬢母「娘を、娘を救ってください……」
水教「では、光教。わしが反動によって狂ったら、分かっておるの。」
光教「拘束、気絶、どちらがいいですか。」
水教「気絶がええの。痛くないように頼むわい。」
光教「……ご無事で。」
水教「やれやれ、緊張するわい。さて、水嬢。」
水嬢「……」
風男(おいおい、なんで裸なんだよ!)
光女(しっ!!)
水教「これからお主に、心理魔法をかける。」
水教「お前が正気を取り戻すためじゃ。」
水教「お前は人間の性欲に働き掛ける心理魔法を使い、反動を浴びた。」
水教「その結果、お前は見境なくオスをほしがるようになり……」
水教「あろうことか、グリフォンとまぐわっておった。」
水嬢「うるさいっ!! うるさいっ!!」
水嬢「なんでもいいから、はやく私にいれなさい!!この、愚民っ!!」
水教「反動を消せるかどうかは、まったくわからん。」
水教「少なくとも、今よりは常軌を取り戻すことを願うぞ。」
水教「【心理操作】……」
水嬢「あぐ……うぅ~~……」
嬢父「水嬢……」
水嬢「あぁぁ~~!!!」
嬢母「……や、やめてあげてください、もう!!」
光教「ご両親、これしか方法がないんです、これで駄目なら……」
嬢父「駄目なら……?」
光教「……服も着ていられないほどの情欲の高さです。まっとうな生活は……」
水教「くっ……」
光教「先生!!」
水嬢「ぅぐっ………………」
水教「ふっ……ここまでじゃの。」
嬢父「成功したんですか?」
水教「半分、じゃの。」
嬢母「半分?」
水教「反動を取り除くことはできんかったが、本来の欲の部分は消したわい。」
光教「……先生は、大丈夫なんですか?」
水教「この枯れたババに、性欲なんぞあるはずもなかろう!」
光教「ま、そりゃそうですね。」
水教「とにかく、反動によって上乗せされた異常性欲事態は消えておらん。」
嬢母「では、娘は……?」
水教「普通の生活が送れるかどうかは、微妙じゃの。当分様子見じゃ。」
水教「わしのほうで預からせいただいて、よろしいかの?」
両親「お願いします。」
水教「拘束は、いったん解くことにしようかの。【解除魔法】」
水嬢「はぁっ、はぁっ……お父様、お父様でいいんです、どうか私を……」
~研究室~
水教「ここまででよかろう。」
風男「……まさか、このあと?」
水教「いや、さすがに止めたわい。」
水女「でも、見たところ、今の水嬢がおかしいようには見えません。服も着てるし……」
水教「服は、このあとちゃんと着れるようになった。ただ……」
水教「この後も、性欲の異常は発作的に強くなっておったんじゃ。ところが、」
水教「昨夜、いきなりこの娘が正気になりおった。」
水教「おそらく、そこの風男くんの願いのせいじゃろうの。」
地女「風男、すごいことしたね。」
風男「お? おぉ……そうだな。」
水男「……」
水教「心理魔法の悪用がどんな事態を招くか、勉強になったの。」
水女「確かに、私たち学生に教えてもらえるような事態ではありませんが……」
水女「でも、分かったうえで、はっきりさせておきたいことがあるんです。」
水教「ふむ?」
水女「水嬢。」
水嬢「はい……?」
水女「この、バカッ!!」
水嬢「ッ!!」
光女「すごいビンタ……」
水女「……もう、私に陶酔するのはやめて。お願いだから。」
水女「どれだけ多くの人に迷惑をかけたか分かってるんでしょ?」
水女「結局、自分を一番傷つけた。」
水女「夏、みんなで合成魔法に挑戦した時、あなただって頑張ってたわ。」
水女「あなたは、私とは違う。同じになんてなれないし、その必要もないわ。」
水女「……相談にならのるし、愚痴も聞くから。」
水嬢「はい……」
水女「ふーっ……」
光女「すっきりした?」
水女「それなりに。」
水教「水嬢は一年病気による休学扱いとし、簡単には会えなくなるぞえ。」
水教「ほかに、言っておきたいことがある者は?」
光女「……お大事にね。水大が、あんたのこと待ってるからさ。」
水嬢「はい……」
光女「ま、その、なんだ……そのうち、女子会でもしましょ。」
風男「合コンでもいいんだぜ。な?」
光女「便乗するなっての!!」
風男「いって!!」
水嬢「ふふ……」
地女「水嬢……」
水嬢「地女……」
地女「あの、なんて言っていいかわからないけど……また、一緒に、何かしよう?」
水嬢「……」
地女「つらい思い出は、みんなで共有しよう? 一人だと、重くなるから。」
水嬢「私は、あなたにそんなことを言っていただく資格はありませんわ。」
地女「友達でしょ?」
水嬢「え?」
地女「友達になるのに、資格はいらないよ。ね?」
水女「そうね。」
光女「ん。」
水男「男性陣ものっかっていいかな?」
水嬢「……すぐ、戻りますから。約束しますわ。」
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