主人公の性別 >>2
主人公の名前(日本名はNG) >>4
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男
ガラダブラ
明朝。それは城中に響いた。
──「民の一部が国家転覆を企てているだとッ!?」
大層な髭を鼻下に拵えて、大男が小柄な男を睨み怒鳴り付けた。
──「さ、左様で」
──「嘆かわしい。ああ、嘆かわしい」
──「まあ、落ち着きなされよ、兵隊長」
そんな半狂乱状態の大男を一声で黙らせたのは、立派な装束に身を包み、金が映える色彩の王冠を頭に乗せた初老の男だ。
──「こ、これは失礼」
──「よい」
──「して、国家転覆などと物騒なものが聞こえたな。その方、詳しくわしに申せ」
初老の男に尋ねられ、小柄な男はビクッと体を震わせたが、すぐにそれに応えた。
──「はっ」
──「某が聴いた『ツテ』──《情報》──に寄れば、城下にて不穏な集団を見聞きし、密偵を潜らせた所、そのような筋の話が出てきたという次第にございます」
──「ほう」
少々難儀な顔で伏せる初老の男。
──「それはまた、国民は元気だ」
その言葉に、ついに今まで黙っていた大男が狼狽える。
──「何を暢気なッ! 今ぞ、国王はお命を狙われているのですよ」
──「そうか、それはいやはや危ない」
──「国王」
呆れ果てた顔で、大男は諭すように、
──「何か手を打たねば、明日、私が喪服で玉座の間に参上する事になりかねます」
その言葉に初老の男はニヤッと笑って、
──「ふむ、実は十日前に手は打ってあるぞ」
──「な、何ですと」
大男はそのような話を聴いたことがない。自分は城内の動きには明るいつもりだったが、どうも自惚れにすぎなかったらしい。そう大男は思った。
──「まあ、後はその者に任すだけでよい。果報は寝て待て、うむ、東方の国の者はよい言葉を語る」
──「わ、私はその者を存じ上げません。名はなんと申されるか」
──「ふむ、たしかぁ」
「『ガラダブラ』…だったか」
ここで言われた『ガラダブラ』の過去に触れよう。
彼は、今から二十年前に生を受け、今日まで文武を鍛えてきた。
今、国民の不満が募り、国家転覆を企てられている国…『鷺幸の国』。
そこの国では、男は25歳迄に兵役につき、国の剣として城内の鞘に収まるのが義務付けられた。
無論、ガラダブラも例に漏れない。
今年、晴れて20歳を迎えた彼は、威風堂々、城の門を叩いた。
彼には天武の才がある。
幼き頃より、才能が見え隠れし、出身の村を賑やかせた。
そんな彼が得意武器であり、今も愛用している >>9 の修練に入ったのは、彼が6つの時である。
トランプ
──『十四年前 辺境の村』
少年「んっんー!」
ガラダブラ少年は幼き頃より、咳癖があった。
それは、生涯を終えるまで、ずっと彼に寄り添っていた女房とも言えよう。
父「ガラダブラ、いつまでも紙弄りなぞせずに、外へ行って日と戯れるがいい」
少年「父さん。僕は、ただ紙を弄っているだけじゃないです」
父「では、何と」
少年「んっん…『紙に慣れて』るんです」
父「……妙な男だ」
この言葉の意味が分かるならば、それはガラダブラと同じ舞台に立てるような人間でなくてはならないだろう。
確かに奇妙な言い回しだが、今の彼の愛用武器『トランプ』の訓練は既にこの時、始まっていたのやもしれない。
トントン
と、不意に戸が叩かれる。これに、先月兵役を終えたばかりの父が反応する。
父「友達じゃないのか」
少年「そうやもしれません」
父「行ってこい」
少年「ん、こほっ…はい」
この時、戸を叩いたのは、ガラダブラより二つ上の8つの少女であった。
彼女はガラダブラの良い遊び相手であり、幼少の頃は殆どをガラダブラと過ごしたであろう。
名は >>14 と言う。
ゲドラーバ
少年「やあ、ゲドラ」
少女「こんにちは、ガラダブラ。いや、ダブとでも呼びましょうか」
少年「そうしたら僕は、君をゲドと呼ぼうか」
少女「ふふっ それは勘弁願いたいものね」
二人は仲良さそうな雰囲気でガラダブラ宅の、玄関を出た。
彼らが向かった先は、空き地。村の子供たちの遊び場であるが、彼らはそこを語らいの場としていた。
少女「ねえ、ガラダブラ。聞いてくれない?」
少年「いいよ、言ってごらん」
少女「お父様が、また私にシスターの話をしてきたの」
少年「それは、この間ぶりだね」
少女「ええ、私はその時にはっきりと断ったわ、でも聞いてくれなくて…」
少年「ごほっ それで、今度は何て応えたんだい?」
少女「勿論、今度も『NO』よ」
少年「そうしたら?」
少女「お父様は、耳なんてついてないかのように、教会への書状を書き綴り始めたわ」
ゲドラーバは、金髪の艶やかな、髪を後ろに結った物を揺らして落胆する。
彼女の容姿は吸い込まれる程麗しい。農村の子供とは思えない。
それもそのはず、彼女の家は俗に言う『貴族』。高貴な家柄なのである。
彼女の父親はプライドの高い、血に拘る典型的な貴族で、女は神に遣えて、男は国を立てていくという考えの持ち主だ。
彼女がシスターになるよう言われるのは、当然であろう。嫁がせる時のための修行なんかも、教会で可能だからだ。
少年「それは気の毒だね」
少女「あら、ダブは私が居なくなるかもしれない事態に、冷静ね」
少年「僕はいついかなる時も冷静を装うさ。でも、中身は寂しさに覆われているかもしれないよ」
少年「ごほんっ」
少女「そう、それなら嬉しいわ」
少年「それで、何で僕にそれを?」
少女「……そうね」
少女「 >>18 」
父が母以外のシスターを妊娠させたから
ま た A O か
再安価待った無しですね ↓直下
少女「貴方は、私がシスターになったらどう思う?」
ゲドラーバは、その美しい金色細工の髪を揺らして尋ねる。
少年「僕かい」
少女「ええ。正直な気持ちが、知りたいわ」
少年「そうだね…」
ガラダブラは既に言うべき言葉を決めている。
だが、敢えて考え込むふりをして、
少年「僕は正直、君を好いていた節があるから…その……」
少女「……ぷっ!」
少年「な、なんだい」
少女「いえ、やっぱり貴方って面白いから…ふふっ」
少年「酷いなぁ」
少女「ええ、ええ! ごめんなさいね」
ゲドラーバは尚も笑みを崩さず、ガラダブラに一言詫びる言葉を掛ける。
少年「まったく…」
少年「それで、僕にそれを聞いてどうしたかったのさ」
少女「……」
少年「?」
一瞬、二人の間には要やく沈黙が訪れて、気まずい空気を造り出す。
周りの子供の声が先程よりも耳に届き、やけに落ち着かない。
少女「……実はね、ガラダブラ」
少年「改まって、どうしたの」
少女「私…」
その言葉は鈍重で、冷たく、ゲドラーバの口から中々出てこない。
耐えかねたガラダブラは催促しようとしたが、彼は精神年齢で言えば、大人だ。改まってここは、ジッと次の言葉を待った。
少年「……」
少女「私、シスターになろうと、思ったの」
少年「……答えは『NO』じゃなかったのかい?」
少女「ええ『最初』はそう、応えたわ」
少年「最初は…というと」
少女「……」
ゲドラーバはまた言葉を詰まらせるが、今度の言葉は先程よりかは速く出た。
少女「その日の夜…私は見たの。お父様が悲しげに、夜空を見上げて、苦しそうに咳をするのを……」
少年「……」
少女「きっと、お父様は病に掛かってる、そう確信すてしまったわ。でなければ、私を教会に送るなんて、考えないもの」
少年「それはつまり…」
少女「ええ。お父様は長くない、そんなの、嫌でも理解したわ」
少女「だから、シスターの件…それが、私にとって最良の手だろうから、受けようと思ったの」
少年「……」
少年ガラダブラは酷く落胆した。
彼が神童であるが故の悩み。それは、自分とありのまま向き合ってくれる存在。
つまるところ、ゲドラーバは彼の支えであった。
村の大人からは武術、算術を強いられて、子供からはどこか畏れられている。
そんな中で出会ったゲドラーバは、彼にとっては聖書の天使よりも輝いていて、神より後光が差していたのだ。
少年「それは、本当かい」
少女「そうよ…だから……」
少年「……」
少女「『お別れ』──《さようなら》──かしら」
別れ。
それは、いくらガラダブラが秀才だろうが、耐え難いものであった。
彼はすぐにでも引き留めて、またいつもの日常を送りたかった。このまま、二人で大人になりたかった。
少年「……」
だが、それをしない。してしまったら、彼女の困った顔を見てしまう。それは嫌だと思った。
思ったから、
少年「さようなら…」
その言葉が言えた。
少女「あら、泣きじゃくったりしないの?」
少年「しないよ。僕は、もう大人のようなものさ」
少女「大人でも泣くわ」
少年「泣かない大人もいるのさ」
少女「そう、何だか寂しいわね……」
少年「いや、心の中では泣いているんだ。大人は、心で泣く」
少女「……」
少女「それじゃあ…貴方は……」
少女「心で泣いていないから、まだ『子供』ね」
少年「…っ!」ポロポロ
いつの間にかガラダブラから流れていた、本心。
いくら強がっても、やはり彼の中には『6歳のガラダブラ』が居るのだ。
彼は、その限り大人にはなれない。
急いで涙を手で拭うガラダブラを見て、ゲドラーバまでも別れを惜しむ気持ちを前面に出した。
少女「そ、そんなに貴方が泣くから、涙が移ってしまったじゃない、もう…っ!」ポロポロ
少年「ひぐっ…」
少女「私、泣いてさよならは嫌だわ。村を出るのも少し経って、迎えが来るまでだもの。それまでは、一緒よ?」
少年「う、うん」
少女「さ、今日涙を出し尽くして、枯らせてきなさい」
少年「…っ」ポロポロ
──それから数日、迎えの日まで。
ガラダブラは、涙を流さなかった。
──村の豪邸にて
神父「さあ、ゲドラーバ。いや、さっそくシスターとしての名前で呼びましょうか」
少女「あら、もう神父様は決めておいでで?」
神父「そうですよ」
少女「今、聞かせてくれると嬉しいのですが」
神父「ええ、ええ、呼びましょうとも」
神父「──
ゲドラーバのシスターとしての名前(ヨーロッパ風)
>>28
カテジナ
神父「カテジナ、村の人には挨拶をしましたか?」
少女「カテジナ…! いい名前ですね。はい、挨拶は、父と隣の家の人と…」
少女「……以上です」
少女 (ガラダブラには…黙って行こうかしら。今生の別れでも無いし、昨日はあんなに笑って別れたもの……泣かれたら困るわ)
神父「そうですか。では、馬車を村の門に止めています。急ぎましょう」
少女「はい」
やや小柄な神父とその年にしては大きめのゲドラーバ。
二人は村の出入り口である門に、真っ直ぐ止まることなく、歩を進める。
少女「……」
神父「おお、やっと馬車に辿り着きました。さすが、山上の村です。酸素が薄いですね」ゼーゼー
少女「そうでしょうか」
神父「ええ。さあ、こちらから馬車の中に、どうぞ」
少女「…」
ゲドラーバがゆっくり、馬車の中に右足を入れてから、勢いをつけて、中に入ろうとしたとき──
《コンマ判定直下↓》
00-31 ゲドラーバの父親が見送りにきた
32-89 ガラダブラが駆けてきた(その後、ゲドラーバと再会する確率が上がります)
90-99 特に何も起きませんでした
ゾロ目の場合は何か特殊な事を起こします。
すみません、一旦抜けます。
夕方から夜に再開となりますので、ご了承下さいませ。
高貴な男「ゲドラーバっ!」
少女「お父様…」
慌ただしくこちらへやって来る、彼女の唯一無二の親族。
彼は後に呆気なく病死し、歴史の底に埋もれる事となるが、彼は『金』の天才であった。
彼は、幼き日をこの農村で経験。
偶然立ち寄ってきた商人に憧れ、国の中心、城下を目指す。
そこからの『運の流れ』は正に異様。
ここに書き記せば、それこそ一冊の英雄譚となりうるので、割愛する。
要するに、彼の血を受け継いだゲドラーバには、如何なる不運も跳ね返す、『天運』が備わっているやもしれない。
それこそ、彼女に数奇な運命を送らせることになったのやも、しれない。
高貴な男「神父様、お見送りが遅れました」
神父「いえ、とんでもない! 卿こそ、お体の具合は…」
高貴な男「な、何のこれしき!」
高貴な男「ゲホッ…」
少女「お父様…無理は……」
高貴な男「分かっておる。分かっておるが…」
高貴な男「これが娘との最期やもしれぬと思うと、気が気でいれない」
少女「……」
高貴な男「ゲドラーバ、今から旅立つお前に、この言葉を送ろう」
高貴な男「…『人の専門家になれ』」
少女「……」
少女「はい、お父様」
高貴な男「おお。俺の娘にしておくには、勿体無いぐらいの聡明な娘だ」
少女「では、お父様。行って参ります」
そう言いつつ、名残惜しげに村を眺める。
寂れた、どこか温かみのある、村。
高貴な男「忘れ物は、無いか」
少女「ええ、ええ。きっと無いです」
高貴な男「そうか。立派になって帰ってくるんだぞ」
神父「さあ、卿よ。時間は金なりです」
高貴な男「そうですな。道中、おきをつけて」
少女「……」
少女 (人の専門家……ね)
農作物の凶作に相次いだこの年。
ゲドラーバ、僧名カテジナは、馬車に揺られて、農村を出た。
その後の残されたガラダブラに関しては、諸説あり、真実はわからない。
確かなことは、そのいずれも、彼の悲しみが伝わるような内容であり、苦労を感じさせた事である。
──『お選び下さい』──
1. それから7年後、少年、噂が国内に広まる
2. それから9年後、少年、村を出る
1.2.のどちらかでお願いします
>>37
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