安部「いやさあ、ほら、自分で言うのもアレだけど僕達って偉い立場にあるからみんな近寄りがたくなってりでしょ？」

安部「だからこれをきっかけに国民との距離が縮まればなーって思ってさ」

記者「……ちょっとバカらしいですが……まあ増税は嘘だと聞いて安心しましたよ」

安部「あれ？　笑わないの？　僕すべっちゃった？」

記者「では、速報でテレビに流させてもらいますね」

安部「うん、いいよいいよ」

TV<先程なんと、増税は嘘だったということが発表されました


菓子屋「おいふざけんなよ！　俺はもう新しい看板受注して届いてんだぞ！」

菓子屋「くそぅ……身を切る覚悟で値上げ決めて看板も買い直したってのにこれかよぅ……」

――――――

――――

――

子供客「値上げするならもう来ねえよ！」

菓子屋「済まんなあ……こちらも商売でなあ……」

――

――――

――――――

菓子屋「……既に客には逃げられてんだぞ……畜生め……」

看板屋さん

電話<ジリリリリリリン...ガチャ

看板屋「……はいもしもし」

電話<看板のキャンセル頼むよ。それじゃ...ガチャ

看板屋「……これで7件目」

子供「落ち込まないでお父さん！　きっとこれで最後だから！」

看板屋「ははは……そうだといいんだけどねえ……」

電話<ジリジリリリリリン

看板屋「……」

子供「き、きっと注文依頼だよ！」

看板屋「……もういいんだ。帰ってきたみたいだからね」

...トコトコトコトコ....

妻「あなた……炭買ってきたわよ」

お菓子工場

工場長「な……増税は嘘だった……？」

社員A「そうみたいですね」

工場長「新しい値段表記用にいろいろと作り直す必要があったてのにこの仕打ちですか……」

工場長「とんだ無駄使い……でしたね。ははは……」

社員B「僕らだってなんやかんや忙しくなってて毎日残業だったのに……」

社員A「その行為も無駄になっちゃいましたね……」

工場長「完全に国の中枢は腐ってしまっていたようですね……」

安部「うーん、あまり面白くなかったのかなあ……」

秘書「いえいえ、私なんかばくわらにございますよ」

安部「そうだよね！　きっとみんな盛り上がってるよね！」

秘書「はい勿論でございます」

安部「ようしそれじゃ盛り上がってる間にオチを付けにいこうかな」

秘書「おや、早いですな」

安部「いやいや、もう夜だからね。発表したのは朝だしオチは今日中に付けないと」

秘書「左様でございますか」

安部「よし、それじゃ緊急会見の手配を頼むよ」

秘書「承知いたしました」

緊急会見

安部「どうも」

秘書「では質問をそちらからどうぞ」

記者A「増税が嘘だったというのは本当ですか？」

安部「はっはっは、朝君達が聞いている通りだよ！」

記者A「何故そんな事を？」

安部「はっはっは、それも朝言った通りだよ！」

記者A「そうですか。国民の声が耳に痛かったので急遽変更したという訳では無いんですね？」

安部「そんなわけないだろう。今日は何の日だい？　エイプリルフールだよ？」

記者A「……質問を終わります」

記者B「では次は私が」

安部「おうけい、かもんベイビー」

記者B「……では簡潔にいかせてもらいます」

安部「お、なんだい？」

記者B「―――何故こんなふざけた真似を？」

安部「え？」

記者「こ、こら君……」

記者B「多大な人達に迷惑をかけた自覚はお有りなんですか？」

安部「え……あ、いやその……」

記者B「ただでさえ皆大変だったのに今回の事でさらに被害を受けた人達は多いんです。どうするおつもりですか？」

安部「えと……」

秘書「ちょっと君……」

記者B「以上です」

記者C「ようやく私の番ですね」

安部「あ、うん。君は何が聞きたいの」

記者C「単刀直入にお伺いします」

安部「うん」

記者C「緊急会見を開いた理由は？」

安部「……ほう」

記者C「先程からの様子から察するに今回会見を開いたのは朝の件と関係はあるが、別の話のためと推測出来ます」

記者C「一体何が理由です？」

安部「やるね、君」

安部「そうだね、僕が会見を開いた理由は言いたい事があったんだ」

ざわ……ざわ……

記者C「それは？」

安部「今日は何の日か……僕がさっき言ったよね。言ってごらん」

記者C「エイプリルフール…………まさか！？」

安部「そう、増税は嘘だったということが嘘でしたー！！」

シーーーーーン



その日、安部総理は辞職する事となった。



安部「うーん……つまらなかったのかなあ？　面白いと思ったんだけど」