男「胸がでかい!」(24)
女「いきなり何言ってんだお前」
男「今までもずっと言いたくて言いたくて仕方がなかったんだ! でももう我慢の限界だ!」
男「お前胸でかすぎ!!」
女「はぁ」
男「なんで? お前幼稚園ぐらいのころはあんなにぺったんこだったじゃん」
女「私に限らずみんなそうだよ」
男「あのころは一緒にお風呂に入ってたりしてたのに……今はもう無理だよ! お前の胸がでかくなりすぎたから!」
女「私は別にお前とならかまわねえけどな」
男「マジで!? いやでもお前はよくても俺は無理なの! 理性を保っていられる自信がない!」
女「そりゃ残念だ」
男「ホントに残念だよ!」
男「ガキのころは髪も短くて肌も焼けてて、俺と一緒に男子がするような遊びばっかしてたじゃん」
女「懐かしいなー。よく公園にセミとか採りに行ってたよな」
男「あそこにあったあのグルングルンするやつ、危険だからって最近使用禁止になったんだぜ」
女「知ってる。この前近くを通ったからな」
男「時代の流れなんだろうけど、ちょっと切ないよなー……」
女「そうか?」
男「ってグルングルンはどうでもいいんだよ! 今はお前の胸の話!」
女「今日も元気だなお前」
男「お前、あのころはまるで男の子みたいだってみんなに言われてただろ」
女「まあお前とばっか遊んでたし、女の子向けのアニメよりも戦隊モノとかの方が好きだったからな」
男「髪は今よりも短かったし肌も焼けてたし、スカートとかも絶対はかなかったし」
女「スカートは今でも苦手だ。すーすーする」
男「それなのに今は、学校では当たり前のようにスカートはきやがって!」
女「制服だから当たり前だろ」
男「お前が女の子っぽい格好してると、時々ドキッとしちまうんだよ!」
女「んじゃ今度お前んちに遊びに行くときは頑張ってオシャレしてみるか」
男「み、見たい! でもしなくていい!」
女「なんでだよ」
男「ナンパとかされたらどうするんだよ!」
女「家隣だろうが」
男「そ、そうだけどさ……」
女「まあでも中身はあの頃とあんま変わってないけどな」
男「容姿は見違えたよ! すっごく可愛くなりやがって!」
女「照れるな」
男「髪が短いのは変わらないけど、肌は白くなったし、腰もくびれてきたし、なんかいい匂いもするようになった」
女「その発言はさすがに私もアウトだぞ」
男「そしてなにより胸がでかい!」
女「結局それかよ」
男「結局もなにも俺は最初から胸の話しかしてねえよ!」
女「そうだったのか」
男「お前さ、自分のキャラって考えたことあるか?」
女「私のキャラ? 大食いとか?」
男「違う! けど、お前昔からよく食べるよな。作りがいがあるって母さんよく言ってるよ」
女「おばさんの料理ってめちゃくちゃうまいよな。あんな料理を毎日食べられるなんてお前が羨ましいぜ」
男「ありゃお前が食べに来るときだけ気合入れて作ってるだけだ」
女「でも弁当のおかずもすごいうまいじゃん」
男「あぁ! そういやお前今日俺が楽しみにとっといたロールキャベツ食いやがっただろ!」
女「お礼に私のブロッコリー炒めあげただろうが」
男「ブロッコリー如きがロールキャベツと同等だと思ってんのか! 身の程を知れ!」
女「あれ私がつくってみたやつなんだけどどうだった?」
男「すげぇうまかったよ!」
女「よかった。今度はロールキャベツにも挑戦してみる」
男「楽しみにしてるぜ!」
男「あれ、何の話してたんだっけ」
女「私のキャラがどうのこうのって話」
男「ああそうそう! お前ってさ、本来は男勝りなキャラだろ」
女「私が? そうかなぁ」
男「いやまあ、お前にも案外乙女っぽいところがあるってのは知ってるけど」
女「例えば?」
男「俺が昔誕生日プレゼントにあげたうさぎのぬいぐるみ今でも枕元においてるだろ」
女「あれがあるといい夢見れる気がするんだよ」
男「でも、誕生日にぬいぐるみってどうなんだろうって自分でも思ってたから、お前が大切にしてくれててすげぇ嬉しいよ」
女「お前にもらったんだぞ、大切にするに決まってんだろ」
男「あ、ありがと……」
女「で? 私が男勝りだからなんだって?」
男「いや、お前は口調とか性格とか、なんか全体的に男勝りっぽい雰囲気をまとってるべきなんだよ」
女「ふむふむ」
男「それなのにその胸はなんだ! でかすぎだろ! どういうことだよ!」
女「どうと言われても」
男「そりゃ、男勝りな感じの女の子が巨乳ってのも悪くないとは思うよ。ギャップ萌えってやつ? 中にはグッとくるやつもいるだろうさ」
女「お前は違うのか?」
男「ドストライクだよ!」
女「じゃあ別にいいじゃねえか」
男「でもお前は胸大きくちゃダメだろ!」
女「意味が分からん」
男「つうか、そんなデカいといろいろと困るじゃん」
女「は? まあ確かに運動するときとかは邪魔だけどよ」
男「あ、そうそう! この前の体育祭のクラス対抗リレー、お前アンカーだっただろ!」
女「うちのクラスの女子の中じゃ私が一番足速いしな」
男「もうね、ぶるんぶるん。ぶるんっぶるんだった」
女「言いすぎだろ」
男「いや、あれはぶるんぶるんと言っても差し支えなかったね」
女「運動するときは専用のブラつけてるから、そこまで揺れないはずなんだがなぁ」
男「……」
女「そんなに揺れてた?」
男「いや、ぶるんぶるんは言いすぎだったかもしれない」
女「ほらみろ」
男「でも俺の目が釘付けになるぐらいには揺れてた!」
女「釘付けになってたのか」
男「っ……! 誘導尋問だ!」
女「勝手に白状したんだろ」
男「それもこれもお前の胸がでかすぎるのが悪い!」
女「いちゃもんつけんな」
男「言っとくけど、見てたの俺だけじゃないからな」
女「え?」
男「あの場にいた男子生徒は全員お前の胸を見ていた!」
女「そんなバカな」
男「男はみんなバカなんだよ!」
女「いやいや」
男「あの時走ってた女子の中ではお前の胸がぶっちぎりでかかったからな。ていうか一番可愛いのもお前だった!」
女「そんなことねえだろ」
男「そんなことある!」
女「まあお前にはそう見えてたってんなら嬉しいぜ」
男「嬉しがってどうする! 他の男にも見られてたんだぞ! 胸を!」
女「それは嫌だけど、でも仕方ねえだろ」
男「胸がでかいからか?」
女「ああ」
男「やっぱ胸でかいんじゃん!」
女「べつにでかいのは否定してねえだろ」
男「うう、あんなに慎ましかったのに、なんでこんな自己主張激しい子になっちまったんだ……」
女「ていうかお前って貧乳の方が好きなの?」
男「嫌いじゃないけどやっぱりでかい方がいい!」
女「じゃあいいじゃねえか。何が不満なんだよ」
男「だ、だって……」
女「だってじゃ分からねえよ」
男「……」
男「……お前、昨日告白されたんだろ? 隣のクラスのやつに」
女「なんで知ってんだよ」
男「もうすでにすげぇ噂になってるぞ。お前に告白したやつ、結構女子に人気高かったらしいし」
女「ああ、確かにかっこよかったな」
男「っ……!」
女「で?」
男「いや、お前……最近、なんかすげぇモテてるらしいな」
女「んー、まあ否定はしない」
男「……昔は男に間違われるぐらいで、お前を女として見てるやつなんて一人もいなかったのにな」
女「一人だけいただろ」
男「……そうだよ。お前のことそういう目で見てるの……俺だけだった」
女「……」
男「俺だけが、お前の可愛いところとか、女の子っぽいところとか知ってるんだと思ってた。それが、なんだか誇らしかった」
男「でも、小学生の高学年になって、中学生になって、高校生になって……」
男「歳を重ねるたびに、お前はどんどん女らしくなっていった」
男「どんどん、俺の知らないお前に変わっていった」
女「……」
男「昔はお前のこと男女だとか言ってからかってたやつも、急にお前のこと可愛いとか言い出して」
男「みんな、お前のこと女としてみてるんだ……異性として意識してるんだよ」
男「俺だけじゃ、ないんだよ」
女「……」
男「俺がそんなこと言える立場じゃないなんてのは分かってる、でも、やっぱり嫌なものは嫌なんだよ!」
男「俺は、お前が他のやつに女として見られるのが嫌だ!」
女「で?」
男「でって……」
女「で?」
男「え、なに、なんか怖い……」
女「それで、私にどうしろって?」
女「胸小さくしろとか言われても無理だからな」
男「そ、それは……そうだけど……」
女「そんなことが言いたくて、私にこんな話したんじゃないんだろ?」
男「……お、俺は……」
男「俺は……!」
男「俺はお前が好きだ! ずっと昔から、あの頃からずっと、お前は誰よりも可愛かった!」
男「誰にも渡したくない! 好きだ! 俺だけの女になってくれ!」
女「いいぞ」
男「軽っ!?」
女「私もお前のこと好きだしな」
男「お、おおぉぉ!?」
女「こっち来て」
男「え、な、なんっ……!」
ムギュッ
女「ふふ、どうだ?」
男「でかいの最高です!」
おわり
短いですがありがとうございました
>>2の一行目
× 男「ガキのころは髪も短くて肌も焼けてて、俺と一緒に男子がするような遊びばっかしてたじゃん」
○ 男「ガキのころは俺と一緒に男の子がするような遊びばっかしてたじゃん」
に修正します
俺は童貞なので胸のこととか全然分かりません、すみません
読んでくださった方は本当にありがとうございました
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