貴音「プロデューサーを釣り上げたい」(72)

P「お疲れ様、今日のフェスも大盛り上がりだったな」

真美「でしょー! 褒めて褒めて!」

P「ああ、真美は偉いなー」

響「ま、真美ばっかりずるいぞ!」

貴音「あなた様、いけずです」

P「も、もちろんお前らだって偉いぞ!」

P(……どうなってんのこれ?)

響「プロデューサー、えっとさ、この後って自由にしてていいだよね?」

P「ああ、帰りの電車まで3時間くらいあるから、適当にふらついててもいいぞ」

P「ただし、事故と集合時間には気をつけてな」

真美「やった! 自由行動だー!」

響「うん! それで……あの、も、もしプロデューサーがよければ…」

真美「兄ちゃんも一緒に行こうよ!」グイグイ

貴音「なんと……」

P「わ、分かったから引っ張るな」

真美「ホント!?」

P「俺も特にすることはないからな」

真美「えへへ!」

響「むぅ~……」

貴音「……」

真美「それじゃあさ、手繋ごうよ」

貴音「それはいけません」

響「そ、そうだぞ!」

真美「えー」

P「さすがにアイドルと手を繋いで歩くのはな……」

真美「兄ちゃんのケチ」

P「ケチとかそういう問題じゃないの」

響「真美、あんまりプロデューサーを困らせちゃ…」

真美「なら、ひびきんは兄ちゃんと手、繋ぎたくないの?」

響「そ、それは……」

P「ほら、行かないなら置いてくぞ」

真美「あ! 待ってよー!」

響「貴音、なんでちゃっかりとプロデューサーの隣キープしてるんだー!!」

貴音「早い者勝ちです」

真美「じゃあ真美は右側もらい!」

響「あーっ!」

響「2人ともずるいぞ…」

P「それで、どこか行きたい場所でもあるのか?」

真美「えっとねー、特に考えてないかな」

P「おいおい」

貴音「私はらぁめんなど……」

P「却下」

貴音「いけずです」

P「響はなにかあるか?」

響「じ、自分か!? えっと、その……」

真美「あ! 兄ちゃん、あのお店可愛いよ!」ギュ

P「だ、だから引っ張るな!」

響「あ……」

貴音「……」

真美「わぁ、このキーホルダー可愛い!」

P「アクセサリーショップみたいだな」

響「このままじゃ貴音だけじゃなくて、真美にまでプロデューサーを……」ボソボソ

響「あ、あの! プロデュー……」

貴音「あなた様」クイクイ

P「ん? どうした貴音?」

貴音「その、このような店は慣れていないので……」

P「そうか、まぁ貴音が来そうなとこじゃないな」

P「一緒に見て回ろうか?」

貴音「は、はい。是非に」

響「あぅ……」

真美「ねぇねぇ兄ちゃん、コレとコレ、どっちがいいかな!?」

真美「……あれ? 兄ちゃんは?」

響「貴音と奥の方に行ったぞ……」

真美「えーっ! ひびきん、兄ちゃんが取られるの黙って見てたの?」

響「と、取られるって…プロデューサーは誰のものでもないし…」

真美「とにかく、ほら、兄ちゃん達のとこ行くよ」

響「う、うん……」

貴音「あなた様、これなどいかがでしょう」

P「可愛いじゃないか」

真美「兄ちゃん! 真美のこと置いてくなんて酷いよ!」

P「ごめんごめん」

真美「兄ちゃんは、この2つだとどっちがいい?」

P「う~ん…俺はこっちの方が好きだな」

真美「そっか、ならこっちにするよ」

真美「もう1つは亜美のお土産にしよっと! レジ行ってくるね-!」

P「響はなにか買わないのか?」

響「自分は……別に…」

P「そうか……響に似合うと思うんだけどな」

P「こういう感じのリボン」

響「ほ、本当か!?」

P「本当だって。ほら、こういうのなんかぴったりじゃないか?」

響「えへへ//じ、自分これ買ってくるぞ!」

貴音「あなた様……」ジーッ

P「あ、すまん貴音」

貴音「私にはなにか選んでくださらないのですか?」

P「貴音に!? そ、そうだな……」

P「このカチューシャなんかどうだ? 今の雰囲気も崩れないし、すごく似合うと思うぞ」

貴音「ふふ、ならば私もこれを……少しお待ちくださいな」

P「さて、まだ時間あるし喫茶店でも寄ろうか」

真美「賛成ー!」

貴音「でしたら、あの店などどうでしょう?」

響「い、いいんじゃないか?」

P「そうだな、駅も近いしちょうどいいだろう」

「いらっしゃいませ」

P「よいしょっと」

響「ていっ!」

真美「させるかっ!」

響「うぎゃー! また真美に取られた!」

真美「兄ちゃんの隣ゲットだぜ」

貴音「いいではありませんか、響」

響「う……そう、だな」

P「あんまり店の中で騒ぐなよー」

真美「はーい」

響「ごめんなさい」

P「さて、ここは俺がおごってやろう」

真美「兄ちゃん太っ腹ー! えっと真美はね、このチョコレートパフェがいい!」

P「おう、いいぞ。響は何がいい?」

響「えっと、さん…ジャスミンティーで」

P「それだけでいいのか?」

響「うん」

貴音「では、私はアイスコーヒーとこのちぃずけぇきを」

P「はいよ」

P「すみません、チョコパフェとチーズケーキ、ジャスミンティー」

P「あとアイスコーヒー2つで」

「かしこまりました」

真美「あむ……このパフェ美味しい!」

真美「はい、兄ちゃんもあ~ん」

P「こ、こら真美、やめなさい」

真美「えー! 他にお客さん居ないし大丈夫だって」

P「そういう問題じゃないの」

真美「じゃあ兄ちゃんが真美にあ~んして!」

P「だからな……」

真美「ほら、お店のおじいちゃんもテレビに夢中だしさ……」

P「はぁ、1回だけだぞ」

真美「やった! あ~ん」

P「あーん」

真美「ん…美味しい!」

貴音「あ、あなた様、私も……」

P「た、貴音もか!?」

貴音「あ~ん……」

P「っ…仕方ないな」

貴音「ん……ふふ、真、美味です」

P「まったく、もう少しアイドルって自覚を持ちなさい」

響「うぅ…」

響(遠慮なんかしないで、何か頼めばよかったぞ…)

「間もなく、終点、東京です……」

P「さあみんな、着いたぞ」

P「車を駐めてある場所まで少し歩くけど」

P「ああそれと、今日は直帰でもいいが、みんなはどうする?」

真美「うーん、真美はまっすぐ帰りたいかな。亜美にお土産渡さなきゃだし」

響「自分もいぬ美達を散歩に連れて行かないと…」

貴音「では、私もそうさせていただきます」

P「了解、ならまず真美の家だな」

亜美「お帰りぃ→!」

真美「ただいま→!」

P「ほら、荷物はこれで全部か?」

真美「うん、ありがと兄ちゃん!」

P「それじゃ、ゆっくり休めよ」

真美「じゃーねー!」

亜美「それで、兄ちゃんとはどうなったのかな?」

真美「ど、どうって、なにもないよーだ!」

真美「それより、ほい! お土産」

亜美「わーっ! ありがと真美!」

亜美「あ、そうだそうだ」

真美「どったの?」

亜美「なんかねー炊飯器が壊れたとかで、今日は外食にしようって」

真美「ホント!? やったね」

亜美「真美が疲れてるならお弁当でもって言ってたけど」

真美「真美も外食がいい!」

亜美「ですよねー」

真美「ねー」


P「さて、着いたぞ響」

響「うん、ありがとうプロデューサー」

響「お疲れさまー!」

P「おう、お疲れ!」

P「あとは、貴音だな」

貴音「……」

貴音「あの、あなた様」

P「どうした?」

貴音「その、もし宜しければ、これから食事など…」

P「え? 今からか?」

貴音「いけませんでしょうか?」モジモジ

P「う~ん、俺は帰って仕事しなきゃならんし……」

貴音「……」シュン

P「で、でもちょうど夕飯時だし、駅前の店おごるって約束してから行ってないからな」

貴音「では!」パァ

P「ラーメン、食べに行くか」

貴音「はいっ!」

真美「外食だー!」

亜美「食うぞー! …およ?」

真美「どしたの亜美?」

亜美「あれって兄ちゃんじゃない?」

真美「ホントだ、お姫ちんもいる」

P「ここ、ここ。この間開店してから結構人気でさ」

貴音「入れるでしょうか?」

P「いつも混んでるんだけど……今日はちょっと待てば入れそうだな」

貴音「よかった……」ホッ

P「あはは、そんなにラーメンが食いたかったのか?」

貴音「ち、違います! 私のわがままで、あなた様に余計な時間を取らせていますから…」

P「気にするな。さすがに俺だって晩飯は食うし、それが貴音と一緒なんてこの後の仕事もやる気が出るよ」

貴音「あ、あなた様、そのような冗談は……勘違いしてしまいます」

真美「何話してるんだろ…」

亜美「遠くて聞こえないよー」

真美(今日はまっすぐ帰るって言ってたのに……)

真美(みんなに嘘ついて会ってるなんて……もしかしてデート!?)

亜美「せっかくだしちょっとからかって来よーか」

真美「だ、ダメだよ亜美!」

亜美「え? なんで?」

真美「とにかくダメなの!」

真美(これでホントにデートだったら真美……)

亜美「ちぇーつまんないの」

真美「それよりも、ほら、今日は真美達の好きなとこ行っていいって!」

亜美「ホントに!? えーとねー、それじゃあ……」

響「ここ2,3日ちゃんと散歩させられなかったからって」

響「ちょっと遠くまで来すぎたかな」

いぬ美「ワンッ」

響「え? このリボン? いいだろー!」

響「今日の帰り、プロデューサーが選んでくれたんだ」

響「えへへ///」

いぬ美「バウッ」

響「どうしたんだいぬ美?」

貴音「ふふ、ごちそうさまでした。あなた様」

P「美味しかったな、また来ようか」

貴音「是非、ご一緒致します」

響「あれって、プロデューサーと……貴音?」

響(今日はまっすぐ帰るんじゃ……)

響(あんなに仲よさそうに歩いてるなんて)

響(これって、デート……?)

いぬ美「クゥン?」

響「……」

響「いぬ美、帰るぞ」

響(そっか……プロデューサーは貴音のことが)

響(自分のことなんか……全然、そういう風には…)

響(それなのに、貴音には負けないなんて……自分が馬鹿みたいだぞ)

響「うぅっ……ぐすっ…」

真美「おっはよー兄ちゃん!」

P「おはよう」

貴音「おはようございます」

響「はいさい……」

P「おはよう、貴音、響」

真美「んっふっふー! 今日は兄ちゃん、真美とずっと一緒だよね?」ギュ

P「まぁ、大体はそうだな。あと仕事の邪魔だから離れような」

真美「えー兄ちゃんのケチ」

P「そういう問題じゃないの」

P「さて、今日はみんな都内だが、場所はバラバラだ」

P「さすがに中学生を1人で仕事に出せないから、俺は真美について行く」

P「響は電車に乗るまでは律子がついてくれるはずだ」

P「貴音は悪いが、1人で行ってくれ」

貴音「あなた様……」ウルウル

P「今日は我慢してくれ、な?」

貴音「……致し方ありません」

P「響も大丈夫だよな?」

響「な、なんくるないさー!」

響「自分、プロデューサーなんか居なくたって平気だぞ!」

P「そうか、安心したよ。律子もよろしくな」

律子「任せてください」

真美「ね、そろそろ出発する時間だよね?」

P「そうだな。それじゃ、今日はみんなしっかりな」

真美「行ってきまーす!」

P「真美、シートベルトはちゃんとしろよ」

真美「アイサー!」

P「今日はいつにも増して元気いいな」

真美「だってそりゃ……///」

P「ん?」

真美「なんでもない!」

P「おいおい……まぁ、とにかくだ。今日は雑誌の取材だから、その元気さで色々話してくれ」

真美「ラジャー!」

「ではまず、皆さんとても仲がいいことで有名ですが……」

真美「えっとね、真美はユニットのみんなとはいつも……」

「なるほど、つまり……」

P(よし、真美の方は順調だな)

P(この時間だと響は休憩かな、電話で様子を確認するか)

響『プロデューサー! 何か用なのか?』

P『いや、ただ響は順調にやってるかなって』

響『こっちは問題ないぞ! だから様子なんて見なくてもいいさー!』

P『そ、そうか……えっと、響、どうかしたのか?』

響『どうかしたって? 自分はいつも通りだぞ』

P『ならいいけど、悩み事があるなら俺に相談するんだぞ』

響『そ、そんなの自分の勝手だぞ!』

P『あ! ちょっと、響?』

P「……何か怒らせたかな?」

P「ま、後で確かめるとして、次は貴音だな」

真美「兄ちゃーん!」

P「お疲れ、休憩か?」

真美「うん。ちょっと休んで1時間くらい大胆だってさ」

P「対談な、いっぱい記事にして貰えるように頑張らないとな」

真美「うん!」

真美「兄ちゃんは何してたの?」

P「俺は響に電話して様子を聞いて、今から貴音にも様子を……」

真美「あ、あのね! タイダンの時は兄ちゃんも一緒に居て欲しいなーって」

P「俺が?」

真美「ダメ?」

P「いや、ダメじゃないけど……」

真美「なら決定ー! ほら、もう休憩終わるよ!」グイ

P「引っ張るなって」

P「お疲れ様でした」

「ありがとうございました」

P「いえ、こちらこそ。お気を付けて」

真美「お仕事終わりー! 兄ちゃん、どこかお昼行こうよ!」

P「ああ、いいぞ」

真美「やった→!」ギュウ

P「だ、だから抱きつくのはやめなさい」

真美「どうせ誰も見てないっしょ」

P「そう思って、もしどこかの記者にパパラッチされたらどうするんだ?」

真美「ま、真美的にはそれはそれで」

P「まてまて」

真美「だって、真美と兄ちゃんが付き合ってるって思われるんでしょ?」

P「そうだ。そんなことになったら、ユニットのイメージも落ちるし」

P「事務所にだって迷惑が掛かる」

真美「でも……」

P「それに、俺みたいなおっさんがなんて、真美も嫌だろ?」

真美「そ、そんなことない!!」

P「えっ? ど、どうしたんだ真美」

真美「そんなことないもん!」

P「あ、ありがとう、真美」

P「でもな、アイドルっていうのは……」

真美「そんなの関係ない! 真美は兄ちゃんが好きなの!」

P「お、おい……それって、あれだよな、プロデューサーとして慕って…」

真美「兄ちゃんのバカ!! そうじゃないの! 真美は、本気で兄ちゃんのこと……」

P「真美……」

真美「うぐっ……ひっく……」

P「と、とにかくここじゃマズい。車で話そう」

真美「ううっ……っ……」

P「あのな真美、アイドルは恋愛にシビアで、恋愛禁止ってところも多い」

P「もちろん、俺としては絶対にダメってことはないが……同級生とかならともかく」

P「プロデューサーなんて世間から何を言われるか分からない」

P「だから真美……」

真美「そんなのが聞きたいんじゃないもん!」

真美「アイドルが恋しちゃいけないなんて、真美だって知ってるよ」

真美「真美は、兄ちゃんのホントの気持ちが知りたいの!!」

P「……分かった」

真美「兄ちゃん!?」ドキ

P「…すまない真美。俺は、おまえの気持ちには応えられない」

真美「っ……」

P「……」

真美「他に……好きな人がいるの…?」

P「……ああ」

真美「それってひびきん? お姫ちん?」

P「そ、それは……」

真美「お姫ちんなの?」

P「うっ……」

真美「そっか……」

真美「ぅっ……うわぁああああん!」

俺は泣き続ける真美を事務所へ送った後、逃げるように響の元へ向かった。

P「はぁ……悪いことしちまったな」

P「これからどうすれば……」

響「あ、プロ……」

響「なにしに来たんだ、プロデューサー?」

P(う…こっちもこっちで大変そうだ……)

P「なにって、響の様子を見に来たに決まってるだろ」

響「今日は真美と一緒じゃなかったの?」

P「もう終わったよ。元々半日だったし、その後は響と貴音の様子を見に行くつもりだった」

響「こっちはもう終わりだから、プロデューサーはもう帰っていいぞ」

P「はぁ……なぁ響、俺なにか悪いことしたか?」

響「べ、別に……プロデューサーには関係ないぞ」

P「なら何でそんなに機嫌が悪いんだ?」

響「だから、悪くないし、悪かったとしてもどうでもいいでしょ!」

P「どうでもいいわけないだろ!」

響「どうでもいい! 自分のことなんて放っといて、貴音のところに行けばいいだろ!」

P「そんなこと出来るわけないだろ! 響は俺にとって大事なアイドルなんだ」

P「困ってるなら力になりたい。だから、怒ってる理由くらい教えてくれ」

響「そ、それは……」

響「……」

響「自分、見たんだぞ……昨日帰った後、プロデューサーと貴音がデートしてるとこ」

P「えええ!?」

響「じ、自分だってプロデューサーのこと好きなのに!!」

響「貴音達に負けないようにしようって思ったのに……」

響「プロデューサーは貴音のことが好きで……自分なんて最初から…」

響「そう思ったら悲しくなって、自分が惨めで……わけわかんなくて」

響「いっそのことプロデューサーに冷たくして、嫌われた方が諦められるって……それで…」

響「なのに、なんでそんなに優しくするんだ!」

響「これじゃ、諦められないぞ……」

P「ひ、響? えっとだな、まず、あれはただ晩飯を食いに行っただけで」

響「え……?」

P「別に俺と貴音が付き合ってるとか、そういうのは全くないから」

響「……」

P「……」

響「うぎゃー! 自分、なんかすごい恥ずかしいこと言った気がするぞ!!」

響「ぷ、ぷぷプロデューサーが好き…なんて//」

P「あ、あのな響」

響「も、もう言っちゃったなら、返事が聞きたいさー!////」

P「そ、それは……」

響「プロデューサーはプロデューサーだし、付き合えないのは分かってるさー」

響「でも、その、そういうのはなしで、純粋なプロデューサーの気持ちを……」

P「……」

響「……」ドキドキ

P「ごめん……」

響「ぷろ……でゅーさー…?」

P「響のことは好きだ、でも、響が望んでるような好きじゃない」

響「……」

P「ごめんな」

響「……そっか、ざ、残念だぞ。で、でも嫌われてはないなら…」

響「……やっぱり、貴音が好きなのか?」

P「……」

響「違うって、突っ込んで欲しかったぞ……」

その後、一言の会話もないまま事務所の前で別れ、俺は貴音を迎えに行った。

P「お疲れさま」

貴音「あなた様!!」ウルウル

P「た、貴音、どうしたんだ?」

貴音「それは私の台詞です。今日は様子を見に来れぬほど距離はございませんでしたのに……」

貴音「来てくださらないばかりか、電話すら…」

P「すまない、少し立て込んでて……」

P「仕事の方は?」

貴音「上手くいきました」

P「そうか、えらいぞ」

貴音「あなた様、そのような子供扱いは……」

P「ごめんごめん」

貴音「……あなた様、浮かない顔をしていますが、何かあったのですか?」

P「え? いや、別に……」

貴音「私にも言えぬようなこと、なのですか?」

P「そう、だな……」

貴音「私はあなた様のお力になりたいのです」ギュ

貴音「どうか、話してはくださいませんか?」

P「……車で話そう」

貴音「はい」

貴音「それで、あなた様……」

P(あいつらだって勇気を出して告白してきたんだ)

P(俺が貴音との関係をうやむやにしてたら、あいつらに合わせる顔がない)

P「貴音」

貴音「えっあ、あの///そのように見つめられては」カァ

P「貴音、好きだ」

貴音「あなた、様……このようなときに冗談など…」ドキドキ

P「冗談なんかじゃない! 俺は貴音が好きだ」

貴音「わ、私も……同じ気持ちです」

P「そ、それじゃあ…」

貴音「あなた様、お慕い申しております…うっ…っ…」

貴音「これは……っぅぅ…嬉しいはずなのに、涙が…」

P「貴音、俺も嬉しい……ただ、ひとつだけ聞いてくれ」

貴音「っ…なんでしょう?」

P「……」

P「俺たちはアイドルとプロデューサーだ」

P「ユニットもこれからというときに、俺たちが付き合っていては、スキャンダルの種を自ら蒔くことになる」

貴音「そ、それは……どういう」

P「俺は貴音が好きだ。でも、付き合うことは出来ない……」

貴音「っ! そんな、好き同士が共にあってはならぬ道理など……」

P「それはそうだが、他の2人も俺にとっては大切な存在だ」

P「俺たちの勝手であいつらをこれ以上傷つけたくない」

貴音「これ以上……?」

P「実は今日、真美と響に告白されたんだ」

貴音「え……」

P「もちろん断った。貴音が好きだからだ」

貴音「……」

P「しかし、そのせいであいつらを傷つけてしまった」

P「その上、このユニットやアイドル生命まで危険にさらすなんて、俺には出来ない」

貴音「ですが……私はもう、あなた様の気持ちを知ってしまいました」

貴音「この感情を押し殺すなど、私には出来ません」

P「俺だってそうだ……だ、だから、こうしないか」

P「何年後か分からないけど、貴音達がアイドルを無事に引退したとき」

P「その、俺と、結婚してくれ」

貴音「っ!!?」

貴音「ま、真、いけずです」

貴音「こんな……どうして断ることができましょう」

P「貴音?」

貴音「その、よろしくお願いいたします////あなた様」

P「あ、ああ///」

貴音「ですが、少しはいちゃいちゃしても……」

P「そ、そうだな。バレない程度には」

貴音「では、このくらいは問題ありませんね」ギュ

P「さ、さすがに腕組みは……ていうかほら、これから運転するし」

貴音「いけずです……」

P「えっと、ホントに人目がないときな」

貴音「はいっ!」

P「た、ただいま戻りましたー」ソーッ

律子「プロデューサー殿!!」

P「は、はい!!」ビク

律子「真美と響、帰ってからずっと泣きっぱなしなんですけど、どういうことですか!?」

P「そ、それはですね……」

律子「事情を聞いても話してくれないし、プロデューサー、プロデューサーってうわごとみたいに…」

小鳥「それってなんか失恋したみたいですねぇ」

P「……」

律子「……」

小鳥「ぴよ……?」

律子「プロデューサー!!! ま、まさかアイドルに手を出して……」

小鳥「ってことは本命は貴音ちゃん!?」

P「ちょ、ちょっと落ち着いて……」

律子「言い訳は無用ですよ!」

貴音「律子、小鳥嬢、私達はそのような関係ではないですよ」

律子「え!?」

小鳥「ピっ!?」

真美「っ!」ピク

響「!」ドキ

律子「で、でも!」

P「ほら、貴音もこう言ってるし……」

真美「ねぇねぇ、これって真美達にもまだチャンスあるのかな」ヒソヒソ

響「自分、もう自信ないぞ……」ヒソヒソ

真美「へぇ~なら、真美だけでお姫ちんから兄ちゃんを奪っちゃおうかな」

響「そ、そんなのずるいぞ」

真美「んっふっふ→早い者勝ちだもんね!」

真美「兄ちゃんー!!」ギュ

響「あ! 真美! ぷ、プロデューサー!!」ダキ

貴音「……」ギュウゥ

P「え!? あ、あの皆さん…?」

律子「……」ゴゴゴゴ

P「ひぃっ!」

おわり

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