雪ノ下「そ、そうなの…なんで私に言うのかしら?」
小町「ん~?特に理由はないですよ」
雪ノ下「…なぜ小町さんはそのことを知っているのかしら?」
小町「それはお兄ちゃんに撫でてもらってるからですよ!」
小町(小さい頃の話だけどね)
小町「それに、お兄ちゃん人の頭撫でるの好きみたいですね」
雪ノ下「そう…私が比企谷君にそんなこと頼むことはないと思うけど、一応頭に入れておくわ」
小町「え~是非お試しを」
雪ノ下「考えとくわ…」
小町(計算通り)ニヤッ
部室
八幡「…」ペラッ
雪ノ下「…」ペラッ
八幡「…」ペラッ
雪ノ下「…」チラッ
八幡「…」ペラッ
雪ノ下「…」チラチラッ
八幡「…どうかしたのか?」
雪ノ下「!」
雪ノ下「なんのことかしら?」
八幡「いや、チラチラ見てたろ」
雪ノ下「見てないわよ…勝手なこと言わないで頂戴。妄想を垂れ流さないで、気持ち悪いわ」
八幡「あぁそう…俺の勘違いみたいで悪かったな」
雪ノ下「えぇ…」
八幡「…」
雪ノ下「…」チラッ
八幡「…」
雪ノ下「…」ジー
八幡「…やっぱり見てんだろ。何だよ」
雪ノ下「…なんでもないわ」
八幡「…はぁ」
雪ノ下「…ねぇ」
八幡「なんなんだよ…」
雪ノ下「あなたはその…私の頭見て何か思ったりしないのかしら?」
八幡「藪から棒だな…頭って何だよ、髪のことか?」
雪ノ下「それでも良いわ」
八幡「…まぁ綺麗な黒髪だな」
雪ノ下「…そう」
八幡「…ああ」
雪ノ下「…ねぇ」
八幡「…」
雪ノ下「聞こえないの?」
八幡「何だよ…お前なんかおかしいぞ…」
雪ノ下「あなたにだけは言われたくないわ。自分がどの程度の存在かもわかっていないみたいね」
八幡「はいはい悪うございました、んで何よ?」
雪ノ下「…撫でたくならない?」
八幡「は?」
雪ノ下「…頭」
八幡「…ん?」
八幡(さて…何を言っているんだこいつは…)
八幡(つまり、俺に頭を撫でろって言ってるのか雪ノ下は?)
八幡(…なんのトラップだ…何考えてんのか普段から分からんのに一段と何を考えてんのか分からん…)
八幡「…すまん意味が分からん」
雪ノ下「…あなたは頭を撫でるのが好きなのでしょ?だから、その…機会を提供してるのだけど」
八幡(…?なんのこっちゃ分からんぞ)
八幡「あー…そんなこと言った覚えないんだが…誰から聞いたんだ?」
雪ノ下「小町さんが…言っていたわよ」
八幡(やばい…一段と分からんぞ…)
八幡「…小町がどうしたって?」
雪ノ下「…ちょっと待ちなさい。あなたは頭撫でるのが好きなのではないの?」
八幡「いや、そんな覚えないんだが」
雪ノ下「…」
八幡「…」
雪ノ下「っ!忘れなさい」
八幡「お、おう…」
雪ノ下「あなたは何も聞いていないわね?」
八幡「は、はい…」
八幡(こいつ頭おかしいのか?)
雪ノ下「…もしかして小町さんが嘘を?いや、でもそんなこと言うような子じゃ…」ブツブツ
八幡「…」
雪ノ下「一生の恥よ…はぁ…」ブツブツ
八幡(俺が悪いのか?)
八幡「なぁ雪ノ下」
雪ノ下「っ!」ビクン
雪ノ下「…何かしら?」
八幡「あー…そのだな、その良かったらな頭撫でるか?」
雪ノ下「!?」
雪ノ下「な、何を…」
八幡「…いや、嫌なら良いんだけどさ。その、何だ…なぁ?」
雪ノ下「何よ…気持ち悪い…」スッ
八幡「…いや、忘れてくれ」
雪ノ下「一度言ったことは取り消すなんて小さい男ね…」スタスタ
雪ノ下「…はい」
八幡「え?まじ?」
雪ノ下「…あなたみたいな男…一生触れることもないでしょうから…その…丁寧に扱いなさい」
八幡「お、おう…え?本当に良いのか?」
雪ノ下「良いわよ…早く…」
八幡「…えっと、こうか?」ナデナデ
雪ノ下「ひゃう!」
八幡「お!?大丈夫か?」
雪ノ下「だ、大丈夫だから…その…続けなさい」
八幡「おう…」ナデナデ
雪ノ下「ん…」
八幡「…」ナデナデ
雪ノ下「あ…」
八幡(何だこれ…エロい!)
雪ノ下「その…髪を…」
八幡「…ん?」ナデナデ
雪ノ下「手櫛…」
八幡「あぁ…」スー
雪ノ下「ん…」
八幡「…綺麗な髪だな」スー
雪ノ下「…手入れしてるから」
八幡「…なぁ」
雪ノ下「何かしら」
八幡「ちょっとこの体勢やり辛いんだけど」
雪ノ下「…仕方ないわね」スッ
八幡「は?」
雪ノ下「ここならいいでしょ?」
八幡「いや…膝の上は色々と…」
雪ノ下「それぐらい我慢しなさい…はやく…」
八幡「あぁ…」ナデナデ
雪ノ下「ん…」スリスリ
八幡「ちょ!」
雪ノ下「撫で続けなさい!」
八幡「…なんだこれ」ナデナデ
雪ノ下「…」スリスリ
八幡(そういや…女が髪を触らせるのは体重ねることよりも抵抗感があるって何かで聞いたな…)
八幡(なんか色々と柔らかい…)
八幡(これ色々とマズイな)
八幡「なぁこれいつまで続けんだ?」ナデナデ
雪ノ下「…」
八幡「おい…」ナデナデ
雪ノ下「…すー」
八幡「…」ナデナデ
雪ノ下「…ん…すーすー」
八幡「寝てらっしゃる…」
八幡「…やっぱり可愛いな」ナデナデ
雪ノ下「…」ピクッ
八幡「やべ…って起きてない?」ナデナデ
雪ノ下「…ん」
八幡「危ね…」ナデナデ
雪ノ下「…すー」
八幡「…なんかイタズラしたいな」
八幡「さて、何をするか…やりすぎたら後で殺されそうだし…」
八幡「とりあえず…>>40でもするか」
飽きたから誰か頼むわ
そっと抱きしめ撫で続ける
てか由比ヶ浜はどうした
八幡「さっきスリスリしてきたくらいだし少し抱きしめるくらいなら……」
雪ノ下「……」
八幡「どの道支えないと安定しないし」
雪ノ下「すー……」
八幡(そう!あくまでこれは支えてあげるだけだから問題ないはず……)ギュッ
八幡(柔らかい……)ナデナデ
雪ノ下「……」
八幡(なんか髪とかめっちゃ良い匂いするんですけど)ナデナデ
誰かはよ
八幡(しかし改めてこうして見ると、流石に学年一と言われるだけあるというか)ナデナデ
雪ノ下「……」
八幡(寝てても様になるというか……)ナデナデ
八幡(睫毛とか長いし……)ナデナデ
雪ノ下「すー……」
八幡(肌もキレイだし……)ナデナデ
八幡(こんなこと自分がしてしまってていいのか……?)ナデナデ
ドアの窓の外
由比ヶ浜(な、何してるのヒッキー……?)
由比ヶ浜(ヒッキーがゆきのんの頭を撫でてる……?)
由比ヶ浜(ここからじゃよく見えないけど抱きあってるみたいにも……)
由比ヶ浜(気になるけどこの空気じゃ入れないし……)
由比ヶ浜(と、とりあえずゆきのんに電話して遅れるって連絡することにして出直そう!)クルリ
ガタッ
八幡「!」
雪ノ下「……!?」
由比ヶ浜(ヤッバ!勢いよく振りかえったらリュックがドアに……!)
誰か
八幡(!……由比ヶ浜か?とりあえず立って……この体勢はまずい)
雪ノ下(……もしかして見られた?)
テクテク ガララッ
由比ヶ浜「や、やっはろー」
八幡「おう……」
雪ノ下「こんにちは、由比ヶ浜さん」
由比ヶ浜「あ、あの今のは……」
雪ノ下「あなたにはお礼を言うわ、由比ヶ浜さん」
由比ヶ浜「?」
八幡(嫌な予感しかしない……)
由比ヶ浜「え?」
雪ノ下「今この男に寝込みを襲われそうになってたところで」
八幡「コラコラ……いくら冗談でも言って良いことと悪いことがあるだろ!」
雪ノ下「あら?本当のことではなくて?」
由比ヶ浜「え?……ヒッキー……?」
八幡「ちょっ……由比ヶ浜までそんな目で俺を見るな!」
由比ヶ浜「や、やだなー……さすがにそれは本気にしないよ」
八幡「そうか……」ホッ
由比ヶ浜「ヒッキーにそんな度胸あるわけないし」
八幡「あれ?今ビミョーにワタクシのことdisられませんでした?」
雪ノ下「そんなことないわ。ビミョーではなく本気、それに今だけでなくいつものことじゃない」
八幡「何であなたが追い討ちかけてんですか……」
由比ヶ浜(む……なんかこっちが話ごまかされてるような気がする)
由比ヶ浜「そ、それよりさっきのは……」
八幡「あ?ええと……つまりだな」
雪ノ下「比企谷君、ちょっと」
八幡「(なんだよ耳打ちなんかして)」ヒソヒソ
雪ノ下「(ここは私に話を合わせてくれないかしら、あなたの悪いようにはしないから)」ヒソヒソ
八幡「(?まあいい……わかった)」
雪ノ下「(ありがとう)」
雪ノ下「私から説明するわ、由比ヶ浜さん」
由比ヶ浜「え?うん……(今の内緒話は一体……?)」
雪ノ下「えっと……まず不必要な誤解を避けるためにも由比ヶ浜さんが見た光景を話してもらえるかしら」
八幡(なるほど……由比ヶ浜の話に合わせて適当に誤魔化す算段か、こいつ)
由比ヶ浜「えっとドアの窓から見えただけだから全部見た訳じゃないけど……」
由比ヶ浜「その……ヒッキーとゆきのんが座ったまま抱きあってて……」
由比ヶ浜「ヒッキーがゆきのんの頭撫でてるように見えたけど……」
雪ノ下「なるほど、由比ヶ浜さんからはそう見えたのね」
由比ヶ浜「う、うん」
雪ノ下「……特に見間違いというわけではないけれど……一応理由を説明するわ」
雪ノ下「そんな大した話じゃないのよ……その……比企谷君が私の頭を撫でてたのは……」
雪ノ下「さっき私が机の下に本を落として拾うときに頭をぶつけてしまって……」
由比ヶ浜「……」
雪ノ下「立ち上がった時に大丈夫かって言われてその……撫でられたのよ」
雪ノ下「もちろん私は驚いたわ……」
雪ノ下「ただ……その……比企谷君も思わずしてしまったみたいで彼の言い訳を聞いて怒る気はなくしたわ」
雪ノ下「ええと……小町さんのことを思い浮かべたそうよ……それで……」
八幡(なるほど、そういう使い方をしてきたか)
由比ヶ浜「わかったよ……じゃあ抱きあってるみたいに見えたのは?」
雪ノ下「その直後にちょっと立ちくらみをしてしまって彼に支えてもらってそのまま椅子に……」
由比ヶ浜「そうなの?ヒッキー」
八幡「え?ああ、そうだ」
由比ヶ浜「ふ~ん……そっか。なら仕方ないね」
雪ノ下「そ、そうなのよ、不可抗力でなければこんな男に……」
八幡「こんな男で悪うござんした」
由比ヶ浜「……そういうことなら……あたしもゆきのんの頭……撫でていい?」
八幡「は?」
雪ノ下「え?」
ご飯の時間です。書きたい人いたらご自由にどうぞ
みんな遠慮しなくてもいいのに……
わかった……書ききるように努める
由比ヶ浜「え?だって頭ぶつけたって言ったから大丈夫かなって……」
雪ノ下「い、いえそんな大したことではないわ……その比企谷君が大袈裟だっただけで」
八幡「別にいいんじゃないか?撫でてもらえば」
雪ノ下「でも……」
由比ヶ浜「そ、そうだよ!……ゆきのんあたしに頭撫でられるの……イヤ?」
雪ノ下「そういうわけではないけれど……本当に何ともないし。ほら、別に見た目も」
八幡(そりゃそもそもぶつけてないもんな)
由比ヶ浜「あ……なんかあたしワガママ言っちゃったかな……」
由比ヶ浜「ゆきのんのこと心配してるんじゃなくてただ頭撫でたかっただけなのかも……ごめん」
雪ノ下「由比ヶ浜さんが気にすることではないわ。別に撫でたいだけならそれはそれで……」
雪ノ下「比企谷君には許して由比ヶ浜さんを拒否するのは人としてどうかと思うし」
八幡「それを言うお前も人としてどうなんだ」
雪ノ下「……いいわよ。撫でてちょうだい」
由比ヶ浜「ゆきのん!」ダキッ
ほ
由比ヶ浜「可愛いなあ、ゆきのんは」スリスリ
八幡(てか由比ヶ浜普段からもっと激しいスキンシップ取ってたな、そういや……)
雪ノ下「ゆ、由比ヶ浜さん、恥ずかしい……」
由比ヶ浜「え~……いいじゃん、ヒッキー以外誰もいないんだし」
雪ノ下「……それもそうね」
八幡(納得すんなよ……仕方ないからいつもより少し椅子離して本読んでよう)ガタッ
由比ヶ浜「あたしたちも座ろう?」
雪ノ下「は、はい……」
ほお
八幡(まぁあんなに椅子密着させちゃってまあ……)チラ
由比ヶ浜「じゃあ……撫でるよ?」
雪ノ下 コクリ
由比ヶ浜(おでこの方から撫でればいいのかな……?)ナデナデ
雪ノ下「……」
由比ヶ浜(すごくスベスベしてる……ゆきのんの肌触るの気持ちいいかも)ナデナデ
雪ノ下「……」
八幡(傍目に見てわかったがさっき俺凄いことしてたんだな……由比ヶ浜の反応も無理ないか)
由比ヶ浜(ゆきのんが目つぶってると無防備というか守ってあげたくなる感じする……)ナデナデ
由比ヶ浜「か、髪も触って……いい?」
雪ノ下「そのまま続けてちょうだい」
由比ヶ浜「じゃあ……」サラサラ
由比ヶ浜(前からサラサラヘアーだと見てはいたけど……ヤバイ……感触も)
雪ノ下(さっきとは感触が違うけど……これはこれで……!)
由比ヶ浜(あれ?なんか……顔赤い?)ナデナデ
ヒッキーに襲われてたんじゃないんですかね
雪ノ下(な、なんでさっきの感触をいちいち覚えてるのよ、私は……)
由比ヶ浜 ピタ
雪ノ下「?……どうかしたかしら、由比ヶ浜さん。急にやめたりして」
由比ヶ浜「え!?あ、なんかゆきのんの顔赤いからどうかしたのかなって……」
雪ノ下「別になんでもないわ……気にしなくても。それより……」
由比ヶ浜「あれ、ゆきのんも乗り気になってきたね」
雪ノ下「!……そういうわけでは」カァァ
由比ヶ浜「ふぅん?……まぁいっか」ナデナデ
雪ノ下「……」
由比ヶ浜「……ねぇ……ゆきのん?」ナデナデ
雪ノ下「……何かしら」
由比ヶ浜「あ、あたしに頭撫でられて……気持ち良い?」ナデナデ
雪ノ下「……こういうのも悪くはないわね」
由比ヶ浜「……そっか。とりあえず今日はこのくらいにしておくね」
ほ
雪ノ下「あ、いえ……別に嫌だったわけでは……」
由比ヶ浜「あ、うん……そうだとは思うんだけどね」
八幡(オイオイ……まさか由比ヶ浜の奴……)
雪ノ下「まああなたが満足したのならそれでいいわ。……時間も時間だし今日は終わりにしましょう」
八幡「……じゃあ帰りますか」ガタッ
由比ヶ浜「そうだね……」
雪ノ下「……じゃあまた来週部室で」
・
・
・
次の週の朝 下駄箱にて
八幡(あ~あ、今日からまた学校か……ん?)バタン
雪ノ下「おはよう、比企谷君」
八幡「え、あ………………おはよう」
八幡(ぼっちに不意打ちで話しかけんなよ……とっさに反応できん)
八幡「珍しいな、お前がこんなところで」
雪ノ下「今日、由比ヶ浜さんは日直で来るのが遅くなるそうだけど、あなたはいつも通りの時間に部室に来なさい」
クルッ スタスタ
八幡「え?あっ、おい……」
八幡(行っちまった……わざわざあんなこと言わんでも俺は時間通り行くんだが……)
八幡(由比ヶ浜がいると都合が悪いことでもあるのか……?)
八幡(まあ放課後になれば分かることだ……今考えても仕方ない)
・
・
・
放課後の部室
ガラッ
八幡「…うっす」
雪ノ下「こんにちは……とりあえず時間通りには来たみたいね」
八幡「まあお前にそう言われてわざわざ逆らう理由もないしな」
雪ノ下「世の中の理に逆らい続けているあなたらしくないわよ」
八幡「世界ごと変えるとか言ってるお前に言われたかねぇよ……」
八幡「それよりこんなことで時間潰してる場合なのか……何か用があるんだろ?」
雪ノ下「そうね……あ、あの…………」
八幡「?」
雪ノ下「…………その……あなたに…………先週と同じことを…………してほしい」
八幡「……先週と同じこと?」
雪ノ下「ま、まだわからないの?あなたの思考回路には残念過ぎて罵倒の言葉すら」
ナデナデ
雪ノ下「!……」
八幡「……これでいいのか?」
雪ノ下 コクリ
八幡(雪ノ下の顔が赤い…………可愛い)
八幡(てかこんな照れられるとこっちも反応に困るんだが……)ナデナデ
八幡「あ、あの……」
雪ノ下「何?」ジロリ
八幡「何で睨むんだよ」
雪ノ下「あ、あなたにこんなこと頼むだけでも恥なのに、その上こんな至近距離で話せだなんてあなた」
八幡「恥ってオイ……あ~…ちょっと落ち着け雪ノ下」
もしもしの分際で書いててすいません
雪ノ下「……別に私は落ち着いてなくなんか……」
八幡「はい……まあそれは別にどちらでもいいので……ひとつ訊いていいか?」
雪ノ下「何?」ジロリ
八幡「だから何故睨む」
雪ノ下「あなたがここで訊きそうなことくらい想像できるわ……だから」
八幡「別に答えたくないならそれでもいいけどよ……」
雪ノ下「…………気持ち、良かったから」
八幡「!」
雪ノ下「……それだけよ…………もうこの話はこれで終わり」
八幡「……雪ノ下」
雪ノ下「……何かしら」
八幡「なんか……その……悪かったな」
雪ノ下「いえ、別にあなたが悪いわけでは」
八幡「雪ノ下がそこまで人肌に飢えていたとは知らずにすまなかった」
雪ノ下「…………はい?」
八幡(あ、あれ?……なんかまずったか?なんかまた睨まれてるような……)
雪ノ下「ハァ……」ヤレヤレ
八幡(あの外人がよくやるジェスチャー……雪ノ下がやるとますますムカつくな)
雪ノ下「いえ……あなたが自虐的なのは知っていたつもりだけれど……まさかここまでとは」
八幡「やめろ!俺を憐れみの目で見るのは!」
雪ノ下「……いくら私が一人でそういうこと頼む人がいないからといって……誰でも良いわけないじゃない」
八幡「え……それって……」
雪ノ下「……誤解され続けるのもイヤだから……ちゃんと全部言うわ」
雪ノ下「わ、私は……あなたに頭を撫でられて……き、気持ち良かったから……」
雪ノ下「……だからあなたにこんなこと頼んだのよ。比企谷君でないと……ダメなの」
八幡「!」
雪ノ下「……あなたのことが好きというわけではないけれど」
八幡「……オイ」
八幡「何だそれは……お前は好きでもない男に頭を撫でられて嬉しいのか……ビッチか」
雪ノ下「嬉しいわけじゃない……ただ気持ち良かっただけって言っているでしょ」
八幡「……というと何だ?アレか?生理的に受け付けない、の逆みたいな」
雪ノ下「……そんなところね」
八幡「とりあえず雪ノ下……お前の考えは理解した。したんだが……」
八幡「お前こんなこと他の男に言ったら絶対に勘違いするぞ」
雪ノ下「わかっているわよ……それくらい」
雪ノ下「だから……そういう意味もあってあなたに頼んだのよ」
八幡「そうですか……え~……つまりお前の考えを整理すると……」
八幡「俺に頭を撫でて欲しいのはあくまでそれが気持ち良いからであってそれ以上でもそれ以外でもない、と」
雪ノ下「そういうことね」
八幡「わかった……まあ俺としても他の感情が絡むと色々厄介だしな、お前が相手なら承諾するよ」
雪ノ下「ありがとう」
ちょっと風呂入る
八幡「それと……金曜日の時は結果的にあんなことして悪かったな」
雪ノ下「……構わないわよ。あれは途中で寝てしまった私に過失があるのだし」
八幡「そ、そうか……(抱き止めたこと怒られるかと思ったぜ……)」
雪ノ下(言えるわけないじゃない……目が覚めたとき匂いと感触に心地よさを感じたなんて……)
雪ノ下「……じゃあさっきの続きを……すぐ横に座っていいから」ガタッ
八幡「おう……」
八幡(……といってもすぐ慣れるもんでもなく緊張するな……)ナデナデ
雪ノ下「……」
八幡(……ただそうするのが気持ち良いからそうする……単純な理屈だ、それ以上何も考えるな)ナデナデ
雪ノ下「……髪の後ろもお願い……」
八幡「ああ……(手櫛しても全く引っ掛からないな……)」サラサラ
雪ノ下「……(もしまた寝たら抱き止めてくれるのかしら)」
雪ノ下(もしかしたらそうなるかもしれないけれど……でもそれはフェアではない気がする……)
八幡「……」ナデナデ
雪ノ下(やはりちゃんとお願いしよう……あまり彼の優しさに甘える訳にもいかない……)
雪ノ下「ひ、比企谷君」
八幡「どうした?」ナデナデ
雪ノ下「や、やっぱり今日も支えて欲しい……なんて」
八幡「そ、それはつまり……」
雪ノ下 コクリ
八幡「!……わかった」
八幡(き、雪ノ下が気持ち良くなるためにやるだけだ、他意はない!)ギュッ
雪ノ下(……この匂いと感触……何故か落ち着く……)ギュ
八幡(!……今日は雪ノ下の腕が俺の体に回されて……たまらん)
雪ノ下(生理的には好き、と言ってもウソじゃないか)
雪ノ下(絶対に口に出せないけど、こんなこと……)
八幡「……」
雪ノ下「……」
・
・
・
八幡「……そろそろいいか?」
雪ノ下「ええ」パッ
八幡(ヤバイ……まだ心臓バクバクいってる……)
雪ノ下(まさか鼓動まで感じるなんて)
八幡「そろそろ由比ヶ浜も来るだろうし……」
雪ノ下「……そうね」
佐天「完結しててもつまんない奴も多いんだね……」
初春「本文がよくても、後書きや合いの手で興醒めするのもですね」
初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」
初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねえ」
初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」
初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」
佐天「初春?」
八幡「てかどうするつもりだ?今日はまあ、これでいいにしても明日からは……」
雪ノ下「そのことについてだけれど……私、彼女にウソついたこと……謝るわ」
八幡「それはつまり……」
雪ノ下「全部説明して理解してもらうしか……」
扉
由比ヶ浜(え?ゆきのんがあたしにウソ?……説明?理解?……え?)
雪ノ下「金曜日のことはあなたにも謝るわ……ごめんなさい、結果的に共犯みたいなことをさせて」
八幡「い、いや……俺のことは別にいいんだけどよ……」
雪ノ下「いえ……先週からあなたにお願いばかりで……」
八幡(こっちとしても得になるようなことしかやってない気がするが……まぁいい)
八幡「……それより由比ヶ浜、流石に遅くないか?」
雪ノ下「……もうこんな時間、確かに日直の仕事だけでこんなに遅くは……」
八幡「……ちょっと教室にいないか見てくるわ」
雪ノ下「そうしてくれると助かるのだけれど」
八幡「それじゃあ……」ガタッ
由比ヶ浜(えっ?こっち来る流れ?逃げた方がいいの?でも足音で……隠れるところもないし)アタフタ
テクテク
ガラッ
八幡「!」
由比ヶ浜「や、やっはろ……」
雪ノ下「由比ヶ浜さん……」
由比ヶ浜「あ、なんかあたしお邪魔みたいだって……だから」
雪ノ下「それは違うわね。由比ヶ浜さんには少し話があるのだけれど」
雪ノ下「あと謝らなければならないことも」
由比ヶ浜「……」
八幡「……とりあえず話、聴いてやってくれないか?」
由比ヶ浜 コクリ
ちょっと煽られただけで拗ねやがったwwwwwwwww
雪ノ下「まず、先週の金曜日……私がただ恥ずかしいという理由だけであなたにウソをついてしまった」
雪ノ下「本当にごめんなさい」
由比ヶ浜「い、いや、いいよそんなに深々と頭を下げなくても」
由比ヶ浜「それで……そのウソって?」
八幡(目が笑ってない……)
雪ノ下「……私が机に頭をぶつけたなんてことはなくて、本当はその……」
雪ノ下「私が頭を撫でてもらっていたのは……比企谷君にお願いしたから」
由比ヶ浜「そうなの、ヒッキー?」
八幡「まあ、な」
由比ヶ浜「ゆきのんがヒッキーに頭を撫でてもらうようにお願いねぇ……ふぅん?」
由比ヶ浜「……まだ、あるんでしょ?」
八幡(怖い……)
3Pはよ
雪ノ下「……私が彼と抱きあってるように見えたのは……立ちくらみをして支えてもらったのではなくて……」
雪ノ下「私が頭を撫でられるうちにウトウトしてしまって……それで私が倒れないように彼が支えていてくれた」
由比ヶ浜「なるほど……他は?」
雪ノ下「私がウソをついたのはその2つよ」
由比ヶ浜「え?……ん?」
由比ヶ浜「ホ、ホントに?」
雪ノ下「そう……だけれど」
由比ヶ浜「じゃあヒッキーはホントにゆきのんの頭を撫でてただけなんだね!?」
八幡「だからさっきからそう言ってるだろう」
由比ヶ浜「な、なぁんだ……」ホッ
由比ヶ浜「……でも、そもそも何でゆきのんがそんなお願いをヒッキーに?」
八幡「俺も詳しくは知らんが……なんか小町の奴が雪ノ下に変なこと吹き込んだらしい」
由比ヶ浜「あ~……小町ちゃんね」
八幡(それで納得されるのもそれはそれでどうなんだ、という気もするが……まあいい)
由比ヶ浜「えっと……じゃあゆきのんとヒッキーは別に……その……」
八幡「……俺と雪ノ下の関係は何も変わっていない……そうだよな?雪ノ下」
雪ノ下「……そうね。良かれ悪しかれこの男との関係は何も変わっていない」
八幡「その……何だ?頭を撫でてたのは単にそれで気分が良くなるってだけの話だ」
八幡「それ以上でもそれ以外でもない」
雪ノ下「……そうね」
由比ヶ浜(ひょっとしてこの二人……無自覚?まあそれならそれで……)
雪ノ下「それで……その由比ヶ浜さん、私は」
由比ヶ浜「いいよ、別に。もうゆきのんがウソついたことは気にしてないから」
雪ノ下「……あ、ありがとう由比ヶ浜さん」
由比ヶ浜「でも……その代わりに一つお願いしてもいいかな?」
雪ノ下「何かしら」
由比ヶ浜「これからはゆきのんだけじゃなくてあたしの頭も撫でるようにヒッキーにお願いして?」
雪ノ下「……ということのようよ?比企谷君」
八幡「いや、オカシイだろ!なんで雪ノ下経由でお願いされてんだ」
由比ヶ浜「だってヒッキーあたしと二人だけだと何かにつけて逃げようとするし」
八幡「チッ……(バレてたか)」
八幡(それに雪ノ下の頼みを了承した以上、こっちも断れないって寸法か)
八幡「……由比ヶ浜ってアホのくせにこういうことには頭回るのな。つくづく感心するわ」
由比ヶ浜「ア、アホじゃないし!そ、そりゃ成績はちょっと……アレだけど」
八幡「今のは褒めたつもりだったんだけどな」
由比ヶ浜「もういいよ……ヒッキーの捻デレ!ばーかばーか!」
雪ノ下「やれやれ……」
マダー?(・∀・ )っ/凵 ⌒☆チンチン
由比ヶ浜「もう……ゆきのんもあんまり他人のこと言えないんだからね!」
雪ノ下「そう……かしら」
由比ヶ浜「そうだよ、ゆきのんもヒッキーも……」
雪ノ下「?」
八幡「?」
由比ヶ浜(もっと素直に……って言おうとしたけど……やめた)
由比ヶ浜(ゆきのんもヒッキーもちょっとづつ変わってる気がするし、今はまだ……)
由比ヶ浜「そ、それよりも今は……ヒッキーにちゃんと返事をさせなきゃ」
雪ノ下「……イエスでいいのよね?」
八幡「は……はい」
由比ヶ浜「じゃあ早速……さっきみたいにすぐ隣に座って……」ガタッ
由比ヶ浜「……お願い」
八幡(……その上目遣いは反則だろ)
八幡「じゃあ失礼して……」ナデナデ
由比ヶ浜「……」
八幡「……(触り心地は違うけどこれはこれで)」ナデナデ
由比ヶ浜「……ねぇ、ヒッキー?」
八幡「あ?」ナデナデ
由比ヶ浜「……いい子いい子って言ってみてくんない?」
八幡「ハァ?ガキじゃあるまいし……」ナデナデ
雪ノ下「……別にいいじゃない、それくらい言ってあげても」
八幡「分かったよ……」ナデナデ
八幡「……結衣は心優しくてとても良い子ですね」ナデナデ
由比ヶ浜(!……今結衣って、結衣って呼んでくれた!)カァァ
由比ヶ浜「も……今のもう一度」
八幡「やだ」ナデナデ
由比ヶ浜「……ヒッキーのケチ」
八幡「そうだよ、俺はケチな人間なんだ。ここぞという時にしか喋らないしな」ナデナデ
由比ヶ浜「え……あ、そっか」
八幡「……」ナデナデ
由比ヶ浜「と、とりあえず今日はこれくらいでいいよ」
八幡「……おう」
ごめん、寝落ちしてた
雪ノ下「……由比ヶ浜さんも満足した様だし、今日のところは部活もそこの辺りで……」
八幡「ん?……ちょっと待て」
雪ノ下「?」
由比ヶ浜「?」
八幡「『今日のところ』ってどういう意味だよ」
雪ノ下「どうって言われても……言葉通りの意味、としか」
由比ヶ浜「だよね~」
八幡「そ、それじゃあ……」
デレデレなゆきのんも(・∀・)イイ!!
雪ノ下「明日も明後日も明明後日も……私達の頭を撫でてちょうだい」
由比ヶ浜「撫でるだけじゃなくて抱きしめちゃってもイイよ!」
八幡「あ……いや、でもこんなことさせてたら雪ノ下はともかく由比ヶ浜に対して誤解してしまう」
由比ヶ浜「……別にいいと思うし……誤解しても」
八幡「それは俺が困るっていうか……」
雪ノ下「……その時は、また問い直せばいいじゃない?」
八幡(畜生!こいつ……ここでそんな殺し文句使いやがって)
由比ヶ浜「それに多分それは誤解にはならないから……だから安心して?ヒッキー」
八幡「そ、そうかよ……」
由比ヶ浜「うん、そうだ(……ヒッキー顔赤くしちゃって……カワイイ)」
八幡「あ~……もう!分かったよ、やればいいんだろ?」
雪ノ下「理解してもらえて助かるわ」
雪ノ下「それに……あなたがそうすることによってあなたにも具体的なメリットがないとはいえない」
八幡「どういう意味だ?」
八幡「あ……わかったぞ、どうせ『私みたいな可愛い女の子の頭を撫でられてあなたも幸せね』とか言うんだろ?」
八幡(……否定はしないけど)
雪ノ下「そういうことも言えなくはないけれど……もっとハッキリしたことよ」
八幡「いや、そこは謙遜するなり否定しろよ」
雪ノ下「なら訊くけど……私の頭を撫でている時あなたは」
八幡「あ~ハイハイ、私の降参です。嬉しかったです、幸せだったです」
八幡「で……それ以外のメリットって」
雪ノ下「先生があの約束を反故にしていない限りは、私達の勝負は続いている」
雪ノ下「そして今のあなたの状態は私達に『奉仕している』ということになる」
雪ノ下「それが蓄積すれば……」
八幡「俺が勝負に勝つことになり、俺がお前に何でも命令できるようになる……そういうことだな?」
雪ノ下「その通りよ」
由比ヶ浜「あ、あの……何でも命令できる、というのは?」
八幡「そういやあの時はまだ由比ヶ浜は部員じゃなかったから……」
雪ノ下「元々比企谷君がここに来たのは平塚先生の『彼の孤独体質を更生する』という依頼を私が受けたからよ」
雪ノ下「それなのにこの男ときたら『変わることも逃げだ』などと屁理屈をこねて拒否するものだから……」
八幡「屁理屈も理屈のうちだ……それで雪ノ下と勝負することになったんだよ」
八幡「どちらがより人に奉仕できるか?ってね」
由比ヶ浜「あ……それで勝負がついたら勝った方が何でも命令できるってこと?」
八幡&雪ノ下「そういうこと」
由比ヶ浜「なるほどね……でも、ゆきのんはそれでいいの?」
雪ノ下「まさか……だからこちらはこちらで『彼に奉仕してあげればいい』のよ」
八幡「!」
由比ヶ浜「!……まあこっちばかりしてもらう方じゃ不公平だしね」
雪ノ下「まあ、そういうことだから……これからもよろしくね、比企谷君?」
八幡「お、おう……」
そんなこんなでその後の奉仕部では頭を撫でたり抱き締めたりが日課となりました、とさ
おしまい
平塚(私も比企谷に頭撫でられたい…………)
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