京太郎「頼むよ。新しくできたスイーツ店、女の子と一緒じゃないと男は入れないんだよ」
咲「そんなこと言って、どうせバイトの子目当てでしょ京ちゃんは……」
京太郎「うっ……。お、おごるからさ。な?」
咲「しょうがないなあ」
京太郎「やったぜ」
優希「あの犬!最近部活終わったら咲ちゃん連れてすぐ帰ると思ったらそういうことだったのか!」
久「へぇ、須賀君ったらスイーツ店の子に入れあげてるんだぁ」ニヤニヤ
染谷「あんた、また良からぬこと企んどる顔しよってからに」
久「やぁねぇ、そんなんじゃないわよ。私も新しくできたスイーツ店に興味あったし、せっかくだし私たちも行かない?」
優希「もちろんだじぇ!あの犬が熱をあげる奴がどれほどのものか確かめてやるじぇ!」
染谷「はぁ……。京太郎も災難じゃのう……」
ハギヨシ「いらっしゃいませお嬢様、それに須賀様」
京太郎「は、はい」
咲「こんにちは、ハギヨシさん」
染谷「ここがそうなんか」
優希「ここ、龍門渕の系列のお店だじぇ」
久「なるほどなるほど」
一「いらっしゃませ……って、清澄の!?」
久「はろ~♪三名でよろしくね」
一「はっ、はい。ただいま席に案内させていただきます」
優希「ふーん、龍門渕の麻雀部も働いてるのかー」
一「まあね。衣がアルバイトしてみたいっていうけど、透華が許さなくってさ。それでも衣が諦めないから、じゃあ店を出すからそこでならっていうことでね」
染谷「なんちゅう過保護じゃ……」
透華「あら、宮永さんいらっしゃい。同席いいかしら?」
咲「アッハイ」
透華「いつも来てくれてありがとうね。それに彼氏さんも」
京太郎「なっ……」
咲・京太郎「「そういうんじゃないんで」」
透華「フフッ、仲の良いことで結構ですわ」
京太郎「でもいいんですか?今勤務中なんじゃ……」
透華「問題ありませんわ。スタッフは優秀な人材をこれでもかというほど揃えていますもの」
カシャーン
純『あ、カップ割っちまった……』
透華「ゆ、優秀な……」
咲「あ、あはは……」
京太郎「そ、それにしてもここのケーキは最高ですね」
久「それにしても龍門渕メンバー全員に、他の麻雀部の人まで働きに来てるとはね」
優希「京太郎がどの子を狙ってるのかわからないじぇ」
染谷「お、注文したんが来たぞ」
文堂「お待たせしました。こちら、ご注文の……」
久「あら?貴女は……」
染谷「風越の……」
文堂「そういう貴女たちは清澄の……。どうも、文堂です」
優希「ちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?」
文堂「ええ、何なりと申しつけ下さい」
久「あはは、客として来てるからってそんなかしこまらなくてもいいわよ」
染谷「ほぉ、それじゃあプロ麻雀煎餅カードの購入資金を稼ぐ為に働いとるんか」
文堂「恥ずかしながら……」
久「それで、咲や須賀君はいつ頃からここに通ってるの?」
文堂「そうですね……。ここ、まだ開店して二ヶ月弱なんですけど、開店当初からよく来てますね」
優希「ふんふむ……」
久「ここ、次回からは店員さんを指名できるんでしょ?あの子たちが誰を指名してるかってわかる?仕切りが高くて向こうの席の様子がわかんなくって」
文堂「えっと……」
染谷「わかっとる。他の客の事じゃし守秘義務みたいなんがあるんじゃろ?」
文堂「申し訳ありません……」
優希「部長、たしか今日の部活のおやつに食べたお菓子のおまきえのカード、あれレアだったんじゃないか?」
久「ああ、そういえばあったわね」
文堂「そ、それははやりんのホログラム仕様のスペシャルカード!?すごい……、初めて見ました……」
久「ねぇ、これあげるから教えてくれないかしら?」
染谷「おい、よさんか。文堂さんに迷惑が……」
文堂「そうですね、宮永さんたちが指名するのは……」
染谷「って、躊躇いもないんかい!」
咲「そういえば今日は指名したのになかなか席に来ませんね」
透華「人気だからね仕方ありませんわ。ですからこうして私が来るまでの繋ぎに」
京太郎「すみません、一番偉い龍門渕さんに」
透華「まあ、スイーツ店だし客層を考えますとね……」
ハギヨシ「お待たせしました」
透華「遅いですわよ、ハギヨシ」
ハギヨシ「申し訳ありませんオーナー」
咲「すごい!透華さん、ここのオーナーだったんだ!?」
透華「あら?結構通ってらっしゃるから知っているのかと……」
京太郎「てっきり店長なのかと思ってました」
透華「フフフ、オーナーは店長より偉いんでしてよ。そう、わたくしがこのお店のトップなんですの♪それじゃハギヨシ、お客様に失礼にないようにね」
ハギヨシ「はい、勿論。それではお隣いいですか?須賀君」
京太郎「はっ、はい……///」
久「へぇ、それじゃあ天江さんとハギヨシさんを交互に指名してるの?」
染谷「咲の指名がハギヨシさんじゃとして、まさかあの天江衣を指名しとるとはのう……」
優希「ロリコンだじぇ!部長、これは犯罪じみてきたんじゃないか!?」
久「あ、あはは……。一応天江さんは須賀君より年上なんだけど」
優希「そんなの関係ないじょ!」
文堂「それじゃあこのカード……」
染谷「ああ、持ってくとええ。すまんのう、無理言って」
文堂「いえ、私の方こそなんだかすみません。こんなレアなカードを」
染谷「いやいや、無理言うたんはこっちじゃし気にせんでくれ」
文堂「そんな、頭を下げないで下さい」
久「はぁ、あなたたちいつまでやってんのよ……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
久「というわけで、今日は須賀君の指名してる子がわかったことが収穫ね」
優希「カード一枚で買収されるとは、あの店員ちょろいじぇ」
染谷「じゃがあのカード、ショップじゃと一枚数万はするらしい」
優希「えっ……」
久「そ、それ、本気と書いてマジなの……?」
染谷「ああ。そうゆっとった」
優希「…………」
久「……………………」
染谷「なんて顔しとるんじゃお前さんら。むしろそれだけで喋ってもらえたんじゃからありがたいと思わんかばかたれが」
久「そ、そうよね……(あちゃー、しくったわー)」
優希「くっそー、タコス何色分になったんだあのカードー!」
染谷「京太郎ら、席でどんなことしとるんかのう」
久「文堂さんもそこまでは知らなかったのよね。まあ、指名されてないから仕方ないんだけど」
優希「文堂、指名されないから新規の客が来たときの最初のときしか……」
染谷「ま、まあ、その話は置いてじゃな。そんなに気になるなら本人に聞いたらええじゃろ」
久「えぇ?それだと何の楽しみもないじゃない。やっぱりこういうのはこっそり暴かないと♪」
優希「あの犬が素直に言うとは思えないじぇ。咲ちゃんとそこに通ってたってのも偶然耳に入らなければ、私たちが知るところじゃなかったんだからな」
染谷「いや、京太郎じゃのうて天江衣の方じゃ」
久「なるほど」
優希「それはいい考えだじょ」
染谷「それじゃ天江衣に連絡をしたらどうじゃ、久」
久「あー……、そうね……」
優希「どうしたんだ部長?」
久「いや、合宿のときに各校の人たちと携帯の連絡先交換しあったんだけど、あの子携帯持ってないのよ」
染谷「あー、過保護にされてそうじゃしのう……」
優希「じゃあ龍門渕透華に連絡して天江衣を呼び出せばいいんだじぇ」
久「そうしますか」
和「はぁ……」
まこ「どうしたんじゃ?」
和「何だか最近咲さんが私を避けているような気がして……」
まこ「そうか?」
和「そうです!咲さんは最近須賀君と一緒にいつも早く帰るし、もしかして二人は付き合って……」
まこ「そうかのう?確かに二人は最近よく一緒に帰っとるようじゃが、付き合っとるっちゅう風には見えんが……」
和「でも、咲さんが須賀君と何をしてるか私に教えてくれないんですよ!?私、どうしたら……」
まこ「はぁ……。和は咲にべったりじゃからのぅ……」
和「べ、別に咲さんに特別な感情を抱いているとかじゃ……///」
まこ「じゃったら二人の後を尾行したらどうじゃ?」
和「えっ?で、でも、咲さんに悪いですし……」
まこ「じゃあ和には咲たちが毎日二人で帰ってくんを黙って見ることしかできんのう」
和「尾行……します……」
まこ「やれやれ……。ま、見つからんようにな」
和「ええ。二人に何かからではいけませんからね。私がちゃんと見定めなければ……」
衣「清澄の部長、久しいな」
久「こんにちは天江さん。悪いわね、休日なのに呼び出したりなんかしたりして」
衣「なに、今日はバイトも午前だけのシフトだったから暇を持て余すはずだったので大丈夫ぶだ。それより衣に話というのは一体なんだ?」
染谷「実はの、最近お前さんとこに入り浸っとる咲たちのことなんじゃが……」
衣「お前たちもその事を聞くのか」
優希「えっ?ってことは誰か他にも同じ事を聞いた人がいるのか?」
衣「ののかだが、何でそんなことを知りたがるんだ?」
染谷「こいつらの興味本位じゃ」
久「にしても和が?さすが咲の親友。いち早く異変に気付いたってわけね。大したもんだわ」
衣「じゃあののかに説明したことをまた説明すればいいわけなんだな?」
染谷「おう、そうじゃ」
衣「咲たちはよく衣のバイト先に来てくれて衣を指名してくれるんだ」
優希「そんなのは知ってるじぇ。それで、指名されたらどんなことをしてるんだ?」
衣「別に変わったことはしていないぞ?店内メニューにあるサービスとかはしないで、普通に話したりしてる」
久「あー、なるほどね」
染谷「確かに、一介の高校生が喫茶店で店員指名して肩揉んでもろうたりなんやらしとったら小遣いがいくらあっても足りんじゃろうしな」
優希「ん・・・?でも、普通に毎日のように通うだけでも相当かかるんじゃないか?咲ちゃんたちはどこからその資金を調達しているんだ?」
久「優希、着眼点が素晴らしいわ。確かに、一体どこからお金を工面しているのかしら?」
衣「支払いなら男の方がいつもしているぞ」
染谷「そういえば……」
久「どうしたの、まこ?」
染谷「以前京太郎がカピバラを家で飼っているという話を聞いたことがあるんじゃ」
優希「それがどうかしたのか?」
染谷「カピバラっちゅうんは一匹数十万はするんじゃぞ?」
久「わぉ。じゃあ須賀君ってお金持ちの家の子だったわけね」
優希「資金面での疑問は解消されたな」
衣「ののかは衣が咲とどういう会話をしたかとかも聞いてきたが、説明が必要か?」
久「ううん。それより、一緒にいた男の方、須賀君とはどういったお話をしてるの?」
優希「そうそう、そっちがメインだじぇ」
衣「そうはいうが、基本あの者は衣が来てもあまり話はしないからなあ」
久「あら、しょっちゅう指名する割にはウブなのね、須賀君ったら」
優希「ま、あいつはDTだろうからそんなことだろうと思いましたけどね」
染谷「これでもう気は済んだじゃろ、二人とも」
久「そうね。今日はわざわざ時間を割いてもらって悪かったわね、天江さん」
衣「何だ、もういいのか」
優希「じゃあまたなー」
衣「うん。今度は咲やののかも一緒だと衣は嬉しい。ではな」
染谷「さて、ここまでのおさらいじゃ。まず、京太郎は家が金持ちで、女の子連れじゃないと入店できない龍門渕系列のスイーツの店に通っとる」
優希「うんうん」
染谷「おそらく咲と一緒に行ってもらうかわりにハギヨシさんを指名して欲しいとでも言われたんじゃろ。京太郎たちは天江衣とハギヨシさんを交互に指名しとる」
久「でしょうね」
染谷「そして京太郎はウブじゃからせっかく天江衣を指名しても上手くお喋りできず、天江衣は咲とお話をしていて京太郎はそれを見て満足しておる、と。そんな感じか?」
久「多分それで合ってると思うわ」
優希「あの様子じゃ京太郎は天江衣に意識すらされてないみたいだし、この件はこれで終わりだな」
染谷「そうじゃな。京太郎も、スイーツ店に入り浸ってるだなんてわしらに知られとうないじゃろうし、この事はあえて京太郎や咲たちに言う必要もないじゃろ」
久「そうね。須賀君も見込みの無い恋をしてるんだろうし、進展の見込みがないなら面白くももなんともないわ。それじゃ本日は解散にしましょうか」
優希「お疲れだじぇー」
染谷「やれやれ。じゃあまたの」
和「咲さんと須賀君の後をつけてきたら、こんなお店に入っていきました……」
和「確かこのお店はクラスでチラッと聞いたこともある、龍門渕傘下のスイーツ店……」
和「でも女の子しか入れないはず。という事は須賀君が咲さんを誘ってここに来たというのではなく、咲さんが須賀君を誘ってここへ来たということになるのでしょうか……?」
和「店内で顔を合わせたら気まずいですし、今日はこのくらいにしておきましょう」
和「あれから一週間が過ぎましたが、咲さんと須賀君はこのお店に通い詰めているみたいです……。咲さん……」
和「店内で二人はどんな会話をしているのでしょうか……」
和「私、気になります!」
和「この一週間のリサーチで店内やサービス形態もわかっています。席ごとの仕切りは高く、他の客の視線を気にすることなくリラックスしてスイーツを楽しめるお店」
和「……入ってみるとしましょう」
智紀「いらっしゃいませお嬢様。お一人ですか?」
和「ええ」
智紀「会員カードはお作りしますか?」
和(後々の為に作っておいた方がきっと便利でしょうね)
和「ええ、お願いします」
智紀「それでは席へとご案内させて頂きます」
和「はい」
和(咲さんたちのいない時間帯なので席はどこでもいいですね)
智紀「こちらです、お嬢様。それではしばらくお待ち下さい。当店では会員様限定で店員を指名できるサービスがございますが、最初の方はお試しということで時間の空いている店員が対応させて頂く形となっております」
智紀「今回はまだ経験の浅い新人がお嬢様のお相手をさせていただくことになります。何か不注意がありましたらお申し付け下さい。それではごゆっくり」
和「ええ、ありがとう」
和(事前に調べておいてはみたのだけれど、指名できる店員の顔はまだ開店間もないせいか、個人情報を守りたいのか、ホームページにも掲載されていないんですよね)
和(咲さんや須賀君がここで仮にデートをしているのだとしたら店員を指名したりはしないはず……)
和(えっと……。なるほど、人気の高い店員さんは予約制だったり時間当たりの指名料も高くなるんですね。龍門渕の傘下のお店だと聞いてはいましたが、まさか龍門渕麻雀部のメンバーがみんな働いているとは…)
和(これを見る限り他にも、他校の麻雀部の知ってる顔が結構いるみたいですね)
和(私のところへ来る新人さんはどなたなんでしょう?……閃きました。次に知っている麻雀部の方を指名し、咲さんたちの情報を聞き出す。うん、我ながら名案です)
???「お待たせしました、お嬢様」
和「いえ、全然待ってなんかいま……」
和「貴女は……!?」
その時、和の頭に衝撃走る
店内を流れる、癒される店内とは不釣合いな大橋歩夕の明るい曲も和の耳からは消え、和は目を見開き絶句した
和「あ、ああ……」
言葉を発せようとはするものの、予期せぬ邂逅に心治まらず上手く言葉を発することさえできなかった
和「すぅ~ッ……」
和「はぁ~~~~~っ……」
和は息を吸い込み、深く、ゆっくりと吐き出し気持ちを落ち着かせようとした
これはカラテでいうところの息吹であろう
和は本能的に気を静めようと、意図せずにその行為を行っていた
徐々に心拍数も呼吸も落ち着き、和は店員に向かってこう発した
和「とりあえずこのメニューにあるコーヒーをお願いします」
深堀「うす」
和の元へ来た新人店員は風越麻雀部のレギュラーメンバー、不動の副将深堀純代であった
言葉遣いはまだ慣れていないのかなっていなかった
和は彼女が注文を聞き席を離れると、担当を替えてもらうようコールした
慈悲はない
透華「この度はうちの新人が失礼を……、って、貴女は原村和!?」
和「そういう貴女は龍門渕の……。その、担当を替えてもらったのは彼女が粗相をしたとかではないので彼女を怒らないであげて下さい」
透華「え、ええ……。あの、今日はお一人なんですの?」
和「ええ、そうですね」
透華「その、今は忙しいんですけれど、新人の替わりに今日だけ特別にこの私が貴女の担当になってあげてもいいんですのよ?」
和(何故龍門渕さんは少し上からの発言なのでしょうか……。ですが、ここで一番偉い方でしょうし、麻雀を通しての顔見知りでもある)
和(ここは龍門渕さんに担当してもらうのがベストかもしれませんね)
和「はい。それでは私の担当をよろしくお願いします」
透華「え、ええ。こちらこそよろしくお願いしますわ」
和(さて、とりあえずは当たり障りのない話題から振っていきましょうか……。いきなり本題にきりかかるのも考え物ですしね)
和「そういえば先ほどの新人さんも着ていましたが、そのコスチューム可愛いですね。龍門渕さんもとてもお似合いですよ」
透華「そ、そう?実はうちの井上がデザインした物からハギヨシが作りましたのよ」
和「そうなんですか。フリルがとても愛らしいと思います」
透華「ふふ、純が聞いたらきっと照れるでしょうね」
和(店内のサービスなどの説明も受けましたし、当たり障りのない会話でとりあえず掴みはできた。さて、そろそろ本題に……)
透華「原村さん、失礼。初回の指名体験は30分なんですの。私としてももう少しお話したかったんですけれど、私にも指名が入っていますので……」
和(時間を失念していました……。確かに龍門渕さんならこの店員の面子の中では人気が高いのは確実……。仕方ありません、質問は次回へ繰越しするとしましょう)
和「わかりました。次来る時はまた龍門渕さんでお願いしようと思います」
透華「ッ……///」
透華「わ、わかりましたわ。それではまた」
和「ええ。また日を改めて……」
スレタイからエロだと思ったのに、死ね
京太郎「いいから早くしろよ」グイッ
咲「うぅ…臭いよお…」グスグス
れ
ず
\ヽ, ,、
`''|/ノ
\`ヽ、|
\, V
`L,,_
|ヽ、) ,、
/ ヽYノ
/ r''ヽ、|
| `ー-ヽ|ヮ
| `|
ヽ、 |
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|:::八:: | ∨〉--、/ / /::::::/\ : | rー、 ├ レ |
/: :.ヾ{ / ‘,/ 厶 イ}: : :.\ (ノ _ノ ⊂ヽ __ノ
和(龍門渕さんが戻った後、コーヒーを飲んで帰ったわけですが、私があの店に行ったという事を口止めしておくのを失念していました)
和(万一店側がなんらかの拍子に咲さんたちとの会話で私が来たと言ってしまった場合、私にデメリットはあるでしょうか?)
和(一応あそこは田舎で暇を持て余した少女たちがよく行くお店となっていますし、美形の執事さんがいるとのことで女性客が圧倒的に多い……)
和(私が行ったとしても不自然ではない)
和(不都合があるとすれば、咲さんと須賀君はあのお店に二人で通っていることを部内では誰にも言っていない)
和(私がもし行ったことが知られれば、二人が私と店内でデート中に遭遇する事を恐れ、あの店に来るのをやめるかもしれない……)
和(いえ、まだ二人がデートしていると決め付けるのは早計ですね。龍門渕さんの連絡先は合宿中に教えてもらってますし、一応口止めを徹底してもらうよう連絡しておきましょう)
和(部内のみんなに秘密にしてまであの二人があの店に通い、そこで何をしているのか……)
和(私、気になります!)
透華「本来であれば私の指名は数週間待ちじゃないと取れないんでしてよ?」
和「すみません、無理を言って指名させてもらって……」
透華「ところで、昨日のメールの内容はどういうことなんですの?宮永さんとお連れの方には原村さんが来店したことを秘密にしておいて欲しいだなんて……」
和「えっと……」
透華「喧嘩でもしたんですの?」
和「まあそんなところです」
透華「まあ……そうなんでしたの……」
透華は手元のグラスに視線を落とした
和(まさか咲さんたちがこの店でどんな会話をしているのか、二人の関係は今どうなっているのかを探りにきている……なんて言えませんしね)
和(龍門渕さんは心配してくださっているようで申し訳ないのですが、ここは私たちが喧嘩しているのだと誤解させておくとしましょう)
和「最近咲さんがこのお店によく来ているというので私も来たのですけれど、悪くないですね。長野の田舎には似つかわしくないくらいお洒落です」
透華「ええ、そうでしょうとも。うちの衣がバイトをしたいだなんて言うものだからわざわざ作らせましたの」
和「えっ……?でも、この規模のお店がそんな簡単にできるものなんですか?」
透華「ハギヨシが一週間でやってくれましたわ」
和「すごい……としか言いようがありませんね……。ところで先ほどの会話の流れからすると天江さんはこのお店でバイトをしているんですか?」
透華「ええ。レジや掃除なんかはさせていませんが、指名があって、そのお客が衣を出して良さそうと判断した時に衣を指名先の席に出していますわ」
和「その、言ってはなんですけど少し過保護なんじゃ……」
透華「……そうかもしれませんわね」
透華「たかがバイト。しかも、バイトさせる場所をわざわざ一から作る。そしてそのバイトでもこちらで許す範囲のことしかさせていない」
和「……」
透華「私の家は両親を失った衣を、それこそ大事に扱ってきましたわ。部屋には離れを与え、専属でメイドも雇い、どこへも出さずに、大事に、大事に……」
透華「でも、衣も成長して大人になりますわ。それもあと数年で……。今まで純粋培養されていたお嬢様の衣など、世間に出ればそれこそいいように弄ばれましょう」
透華「もちろんそうはならないよう私の家にずっと居てもらっても構いません。今の衣にはないかもしれませんが衣にも大きくなったらしてみたいこと、夢、将来設計……」
透華「そんなものができるかもしれない。そして私の元から羽ばたいていく時が来るかもしれない。そんな時の為に人生経験というものも必要となってくるでしょう」
和「その為にこのお店を作ったんですか……。衣さんが社会に出てもやっていけるよう、経験を積ませる為に……」
透華「ええ……。まあ、半分は趣味ですけれど」
和「ところで話は変わりますが、このお店に来る咲さんは誰かを指名したりはしていますか?私は龍門渕さんを指名していますから安心ですけれど……」
透華「確かに私がこのお店で一番だというのは否定しませんわ♪それと、宮永さんなら安心ですわ」
和「それはまたどうしてですか?」
透華「衣と私が信頼を置く執事であるハギヨシを交互に指名しているからですわ。まあ、心配といえば衣が失礼を働かないかということくらいなのでしょうけれど……」
和「!?」
和(咲さんが指名をしていた……!?須賀君とデートをしているというのならそれはあまりに不自然。別な男が来れば須賀君とていい顔はしないでしょう)
和(となると咲さんと須賀君はデートをしていなかった……。咲さんは龍門渕さんの執事目当て、須賀君は天江衣さん目当てで来店していた可能性が……)
和(まさか……そんな……)
透華「どうかしまして?急に顔が青ざめて……。気分でも悪いんでしたら……」
和「いえ、大丈夫です……」
和(結論を出すには……まだ、早いです……。咲さんが男に入れあげてこのお店に通っているだなんてことあるわけが……)
和(ここはカマをかけて情報を引き出してみましょう……)
和「でも、だとすれば衣さんが心配じゃないんじゃないですか?咲さんは須賀君と連れ立ってここに来るみたいですし、男性が相手だと龍門渕さんも気が気ではないんじゃないですか?」
透華「大丈夫ですわ。何せ衣は宮永さんと話してばかりで男性の方とはまともに会話すらしていませんもの。智紀が備えてくれたカメラでリアルタイム監視もされていますし問題無し、ですわ♪」
和「え……」
和(ということは咲さんが天江さん狙い……?)
和「では、執事さんを指名なさる場合の咲さんはどのように……?」
透華「その逆ですわね。飲み物とスイーツを楽しみながら読書などをなさっていますわ」
和「なるほど……」
和(咲さんは天江さん狙いであることを隠蔽する為に執事さんを指名していたというわけですね……。監視カメラでモニターされているのだから意味はなかったわけですが。しかしまだ疑問が……)
和「でも、ここって指名するとなると料金そこそこしますし、通常の高校生のお小遣いではまかないきれないのでは?咲さんたち、それこそ頻繁に来ていますよね?」
透華「そうですわね。でも、支払いはお連れの男性がしているのですから問題はないでしょう」
和「須賀君が……?」
透華「須賀といえば龍門渕には劣るものの、この辺りでは有数の名家。お小遣いも十分に与えられていると思いますわね」
和(咲さんが天江さんに会う為にこの店に来ているのだとすれば、須賀君はただの財布扱いということに……。でも、それでは須賀君に何のメリットもない……)
和(一体これは……。咲さんが須賀君の弱みを握っている?いえ、部活内ではそんな素振りは一切なかった。それに咲さんは嘘ができるような人ではない……)
和(……わかりません。一体これはどういう……)
透華「そろそろ時間ですわ」
和「もうそんな時間でしたか……。時間が過ぎるのがとても早く感じられました」
透華「そ、そう……///」
和「また明日も来ます」
透華「ええ、お待ちしていますわ。それで次回の指名はどうなさるんですの?」
和「そうですね……」
和(執事さんに咲さんが関心を払っていないというのは先ほどの会話でわかりました。なので執事さんから得られる情報は皆無でしょう。となれば……)
和「では天江さんを指名できますか?」
透華「衣を……?私ではなく?」
和「ええ。先ほど龍門渕さんが言っていました。天江さんには社会に出たときの為に経験を積ませたいと」
透華「ええ、その通りですわ」
和「なので、私も及ばずながらそのお手伝いを、と」
透華「まあ……!衣もきっと喜びますわ。それではそのように」
和(天江さんが咲さんとどんな会話をして、どんな関係なのか……。聞きたいことは山ほどありますしね)
京太郎の隣に座ったハギヨシは早速その膝へと手を這わせてきた
京太郎「だ、だめですっていきなりそんな……。咲がまだ……」
ハギヨシ「フフ、宮永さんならもう自分の世界に入っているようですよ?」
蠱惑的な魔性の笑みを浮かべ、視線を咲へと向ける
咲は既に本の世界へどっぷりつかり込んでいた
こうなれば外のことなど無関心だ
本を読み終わるまで何も頭に入ってこない
京太郎「で、でも……」
ハギヨシ「大丈夫です。ここはお得意様専用のスペシャルルーム。防音対策完備の個室ですので、多少声を出したところで心配ご無用です」
京太郎「んあっ……///」
熱く息を吐く京太郎
ハギヨシ「須賀君も初めてじゃないんですからもういい加減慣れて下さい。まあ、そこが須賀君らしくて私としても好ましくさえ思うのですが……」
膝に這わせていたハギヨシの手はいつしか股間へと移り、彼の息は京太郎の耳を優しく撫でていた
京太郎「お、幼馴染の前でこんな……///」
京太郎の股間はもう熱を帯び、大きく盛り上がっていた
ハギヨシ「確かに、自分の世界に入って外界のことなど我関せずとはいえ、幼馴染の前での情事というのは背徳的な欲情を禁じ得ませんね」
そう言いながらハギヨシはゆっくりと京太郎の股間のファスナーを下ろし始めた
京太郎「ッ……」
されるがままとなる京太郎
頬は紅潮し、息も荒くなっている
田舎の少し不良ぶった少年には刺激が強すぎる体験をハギヨシは京太郎に与えてくれる
それは麻薬にも似た中毒性を持ち、彼をここへと幾度も足を運ばせる理由となっていた
ハギヨシ「たった30分しかないのです。ですから須賀君ももっと貪欲になって下さい」
京太郎のいきり立つアソコを前に、執事はそう囁くように言った
衣「ののか!ののかではないか!今日は衣と遊びにきてくれたのか!?」
和「ええ。ですので衣さんを指名させていただきました。透華さんには昨日話していたんですけれど、何も聞かされていなかったんですか?」
衣「うむ。だが、妙ににこにこしていたな。そうか、ののかが衣に遊びに来てくれたからか……。衣へのさぷらいずというわけだったか」
和「ふふっ、透華さんは少しお茶目なところがありますからね」
和(一回の指名で使える時間は30分……。咲さんとの関係など聞きたいことは山ほどあります。有効に時間を使わなくては……)
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