冬馬「カナ、女子力って結局なんだ?」夏奈「女子力っていうのは…」(120)

夏奈「なんですかね、マキ先生」

マキ「女子力っていうのはね、女子のレベルのことを言うんだよ」

冬馬「そのレベルが高いとどうなるんだ?」

マキ「男にモテる。これに尽きるね」

冬馬「なーんだ。なら、オレには必要ないな」

千秋「そーだな。私も特に必要だとは思わない」

夏奈「まぁ、お前たちは女子力よりも男子力のほうが勝ってるからね」

冬馬「オレは女だ、この野郎!!」ゴンッ

千秋「とにかく、バカ野郎!!」ゴンッ

夏奈「そーいうところが男子力なんだよぉ!!」

春香「アツコ、お茶のおかわりは?」

アツコ「うん。貰おうかな」

冬馬「そういうカナも男子力のほうが高いんじゃないのか?」

夏奈「女子力がストップ高の私に何たる言い草だ」

千秋「お前の女子力は生まれたときから大暴落だろう」

夏奈「なら、訊くがお前たちはラヴレターをもらったことがあるのか?」

冬馬「あるぞ」

夏奈「なに!?」

冬馬「それがどうした?」

夏奈「お、お前、誰からもらったんだよ!! 私はそんなこと聞いてないぞ!! ノーカンだ!!」

冬馬「なんで、カナに言わないとカウントされないんだよ」

春香「トウマ、誰に貰ったの? そこ子とは今、どうなってるの?」

アツコ「ハルカ、目が輝いてるね」

マキ「ふーん……」

アツコ「マキ、目が霞んでるね……」

冬馬「いや、普通に友達だぞ?」

夏奈「友達だと!? 相手は現状を嘆いているんじゃないの!?」

冬馬「そんな感じはしないけどなぁ……」

千秋「誰から貰ったんだよ?」

冬馬「同じクラスの奴だ。チアキは知らないと思うけど」

千秋「ふぅん……。何て書いてあったんだ?」

冬馬「なんだったかなぁ。まぁ、要約すると好きですって書いてあったと思う」

千秋「まぁ、ラヴレターだしね」

夏奈「で、トウマ。どうして友達でいられるんだ。常識的に考えておかしーでしょー」

冬馬「あぁ? 友達以外どう付き合えっていうんだよ。相手は女だぞ」

春香「え!?」

冬馬「どうした?」

アツコ「ハルカ? どうして驚いてるの? トウマくんならそれであってるんじゃ……」

マキ「モテる男は女を道具として扱う……」

アツコ「マ、マキ……!!」

マキ「ふざけんなー!!」

アツコ「マキ、落ち着いて。トウマくんは小学生だから……」

マキ「関係あるかぁー!!」

アツコ「マキ、ちょっと……」

冬馬「なんだよ。そんなに大変なことなのか?」

春香「だ、だって……ねぇ?」

夏奈「そーだね。その女はトウマのことをどう思っているのか」

アツコ「好きなんじゃ……」

夏奈「アツコ。トウマはね、女なんだよ? なら相手の女がどう思っているのか、よくわからないでしょう」

アツコ「え?」

千秋「だからって友達でいられるのか?」

冬馬「だって、向こうから友達でいましょうって」

千秋「お前、中々肝が据わってるなぁ」

冬馬「そうか? ありがと」

アツコ「……」

春香「アツコ? どうかしたの?」

アツコ「トウマくんって女の子なの?」

春香「えーと……」

冬馬「ああ。アツコ、それはあまり気にしなくていいから」

アツコ「ど、どういうこと?」

冬馬「オレ、色々な設定があってさ、もうここでは女なのか男なのか分からなくなってるから」

アツコ「ど、どういうこと?」

冬馬「チアキの弟で、サッカー少年なんだよ」

アツコ(つまり、男の子なの……? それとも女の子なの……?)

冬馬「アツコが好きなほうで扱ってくれていいから」

アツコ「……」

夏奈「じゃあ、私はトウマのことは弟として扱うぜ。ほら、肩を揉め、トウマ」

冬馬「オレを召使い扱いにするんじゃねー!!」ゴンッ

千秋「今日も立派に男の子だもの」

アツコ「……あ、あの……ハルカ……?」

春香「ああ、うん。あまりに気にしなくていいわよ」

アツコ「えぇ……」

マキ「まぁ、でもここまで男子力が高いと女子って感じはしないよね」

夏奈「ですよね、マキ先生」

冬馬「なんだとぉ……」

アツコ(あ、怒ってる。やっぱり、女の子なのかな?)

冬馬「そこまでいうなら、オレは男だ!!」

アツコ(どっちなんだろう……?)

千秋「トウマ。まぁ、落ち着け。折角だし、女子力を上げてみればいいんじゃないか?」

冬馬「え?」

千秋「そうすれば、お前も男子からラヴレターをもらえるだろう」

冬馬「別に欲しくねえよ」

アツコ(欲しくないんだ。やっぱり、男の子なのかな)

千秋「で、どうやれば女子力とやらは高められるなんだ?」

夏奈「マキ先生、どうですか?」

マキ「……」

夏奈「先生!? 知らないんですか!?」

マキ「いやいや。何を言っているのですか。私は女子力の塊。女子力が服を着て歩いているといっても過言ではないわけです」

冬馬「つまり、マキは男子にモテモテなのか?」

千秋「歩く女子力となるとラヴレターは月に何通ほど貰えるんだ?」

マキ「……」

夏奈「先生!! 言えないんですか!? 先生!!」

マキ「いや、私ぐらいになると、もうモテているのかモテていないのか分からなくなってくるのよ」

冬馬「どういうことだ?」

マキ「ほら、効果が高すぎると逆効果になっちゃうでしょ? それと一緒なのよ」

千秋「つまり、先生は女子力を高めすぎた結果、全くモテないということか」

マキ「……ああ、はい」

夏奈「先生!! 認めましたか!? 先生!?」

マキ「こっちだって色々努力してるのに男が見向きもしないのが悪いんでしょうがぁー!!!」

夏奈「おい、チアキ!! 先生がご乱心だぞ!! どーしてくれる!!」

千秋「知るか」

マキ「髪型変えたことに気がつくのはいつもアツコだけ!! 世の中は間違ってる!!!」

マキ「うっ……うぅ……」

アツコ「マキ……。ごめんね、私だけしか気がつかなくて……」

春香「アツコ、そのフォローは違うと思う……」

アツコ「ご、ごめん」

冬馬「何の参考にもならないじゃん」

千秋「そうだな。これではトウマの男子力ばかりがうなぎ上りだ」

冬馬「いや、別に上がりはしないだろ」

夏奈「えー、マキ先生が諸事情により、席を外してしまいましたので、急遽別の先生に来ていただきました。――ハルカ先生です」

春香「え!? わ、私!?」

千秋「なるほど。ハルカ姉さまの場合、女子力というよりは神通力の類ですが」

春香「じ、神通力……」

冬馬「ハルカはモテそうだもんな」

春香「あー、えーと……」

夏奈「さあ、ハルカ先生。女子力とはどのようにして上げられるのですか?」

春香「えーと……それは……それはね……」

千秋「ハルカ姉さまはそういうことを意識したりしないので、教えることが不可能なのではないだろうか」

冬馬「無意識でしていることは誰かに伝えるってことはできないもんな」

夏奈「つまり、ハルカ先生の背中を見て学べということか」

春香「そ、そうかな……」

アツコ(トウマくんはやっぱり男の子にしか見えないけど……。女子力を気にしているから、女の子なのかな。まぁ、可愛いし……)

夏奈「しかし、チアキ。その場合、色々な問題が発生する」

千秋「どんな問題だよ。ハルカ姉さまの背中に問題なんてないよ、バカ野郎」

夏奈「ハルカの背中を見るということはだ、ハルカと同じ道を進むということになるんだよ?」

千秋「夢のような道だな」

夏奈「では、チアキさん。貴方は数学教師に花瓶の水をかけることができますか?」

千秋「え?」

春香「カ、カナ!! その話はもういいでしょぉー!!」

夏奈「何を言っている!? 生きる伝説の背中を追うということはそういうことだろ!?」

春香「全然違うでしょー!!」

冬馬「何の話だ?」

夏奈「学校の窓ガラスを全部ピカピカにするとか」

春香「やめなさぁーい」グニッ

夏奈「ふぁるふぁ! ごふぇんひょー!!」

アツコ「ハルカ、それはなんのことなの?」

春香「な、なんでもないの!! なんでも!!」

夏奈「しかしあれだね、数々の伝説を打ち立ててきたハルカに女子力があるとは思えないね」

春香「なっ……」

夏奈「ハルカが私たちより勝っているとすれば……。経験値ぐらいでしょう」

冬馬「経験値って?」

夏奈「トウマ。お前はキスしたことあるか?」

冬馬「そ、そんなのねーよ!!」

夏奈「女ともか?」

冬馬「あるわけねーだろ!!」

アツコ(照れてる……。やっぱり、男の子……?)

夏奈「ならば、現時点でトウマの女子力は私たちの中で最も劣っていることになるね」

冬馬「どういうことだよ」

夏奈「ここにいる面子でキスしたことがないのはトウマだけだからね!!」

冬馬「なに? そうなのか?」

千秋「いや、私の場合はあれをカウントしていいのかどうか……。個人的にはしたくないけど」

春香「……」

アツコ「……」

マキ「……」

夏奈「小学生でキスはまぁ、早いかもしれないけどね……」

冬馬「マキまであるのか?」

マキ「なんで私をピンポイントに責めるかね!?」

冬馬「いや、ハルカとアツコはむしろそういうことの一つや二つ経験しているだろうけど、マキはな……」

マキ「なんだとぉー!!! ああ!! そうだよぉ!! ないよ!! キスしたことはおろか、手だって繋いだことないよぉ!!!」

夏奈「トウマ!! これ以上、元先生を苛めるな!!」

マキ「元っていうなぁー!!!」

冬馬「わ、悪い……」

マキ「ひっく……うっ……」

アツコ「マキ……」

春香「……」

マキ「二人は……あるの……?」

アツコ「え……?」

ハルカ「あ……その……」

マキ「あるのぉ……? キスしたこと……あるのぉ……?」

春香「えーと……」

アツコ「……」

マキ「二人ともいつも私を鼻で笑ってたんでしょー!! うわぁぁん!!!」

春香「マ、マキ!! 無いから!! 私もそんな経験ないから!!」

アツコ「わ、わたしもっ!」

マキ「おぉ!!」

冬馬「ハルカもアツコも女子力ゼロなのか」

春香「……」

アツコ「マキ……もう一人じゃないよ……」

春香「私たちは親友だからね」

マキ「うん……うん……」

夏奈「おい、トウマ!! 元先生たちの友情が深まったぞ!! どーしてくれる!!」

冬馬「それは別に問題じゃないだろ?」

夏奈「まぁ、そうか」

冬馬「それより、チアキとカナはキスしたことあるのか?」

夏奈「あるよ。な、チアキ?」

千秋「私の中では思い出したくない記憶の上位だ」

冬馬「誰としたんだ?」

夏奈「してみるか?」

千秋「い、イヤだよ……」

冬馬「もしかして、チアキとカナでか? それはノーカンだろ。それだったら、オレもアニキと何度もしてるぞ」

夏奈「なんだとぉ!?」

春香「トウマ、その話、本当? 本当なら今からナツキくんに電話するけど」

冬馬「いや、昔の話な。ハルオがとくにしつこかったのは何となく覚えてる。今はそんなこと絶対にしないけど」

夏奈「つまり、現状では最もキスの回数が多いのはトウマということになるわけか……」

千秋「兄の力によって女子力を高めたわけか」

夏奈「素晴らしい兄妹愛」

冬馬「やめろよ!! マジで気持ち悪い!!」

夏奈「しかし、結果的にトウマの女子力が最も高いってことは……。トウマ先生、女子力について一言」

冬馬「そんな物はない!! オレは男だ!!」

アツコ(男の子なんだ!)

夏奈「兄と育んだ女子力を否定するために男であることを選んだか」

冬馬「オレはもう男子力の塊だ」

アツコ(そっか。やっぱり、トウマくんは男の子なんだ……)

千秋「認めるのかよ」

夏奈「ということは、ここには女子力がある者が皆無ということになるね。全くもって不毛な時間だったね」

マキ「なにやってるのよ、ハルカ」

春香「どうして私なの?」

別の日

夏奈「この前の話なんだけど。女子力についてのことね」

内田「そんな話したっけ?」

吉野「覚えてないね」

春香「カナ、その話はいいでしょ?」

夏奈「でも、今日はメンバーが違うからね。何かわかるかもしれない」

千秋「わかるのか?」

ヒトミ「女子力?」

夏奈「……失格!!」

ヒトミ「なんで?!」

夏奈「女子力のなんたるかすら知らない輩はこの場には必要ないんだよ」

ヒトミ「なんだよぉ! 女子力ぐらい知ってるぞ!!」

夏奈「ほう? では、ヒトミ先生。解説をお願いします」

ヒトミ「あ、あれだろ? ほら、料理が上手い女子のことだろ?」

千秋「新説が出てきたな」

夏奈「料理が上手い……だと……?」

ヒトミ「料理だけじゃないぞ。洗濯や掃除が上手いのも女子力に大きく関わってるからな。あと、大人っぽさも」

内田「へぇ、ならハルカちゃんが女子力高いんじゃないかな?」

吉野「そうなるね」

春香「あ、いや……」

ヒトミ「そうっすね。ハルカ先輩の女子力は天井を突き抜けてると思います。それに比べてカナはどうしてそんなに女子力が低いんだ?」

夏奈「な……なんだとぉ……!! おい、ヒトミ先生!! なら、聞こうか!!」

ヒトミ「な、なんだよ」

夏奈「ラヴレターを貰ったことがあるのかぁ!!」

ヒトミ「ラ、ラヴレター!?」

千秋「この前も言っていたが、ラヴレターは何かの基準なのか?」

夏奈「ええ、どうなんだ?」

ヒトミ「書いたことはある。でも、出したことはない」

夏奈「そんなこときてねーよぉ!! 貰ったかどうかを聞いてるんだぁ!!」

ヒトミ「そんなのあるわけねーだろ!! ふざけんなぁ!!」

夏奈「なら、先生を語るんじゃないよ!! 全く!!」

ヒトミ「先生になった覚えはない!!」

内田「でも、吉野はラヴレター貰ったことあるよね?」

吉野「え? うん」

夏奈「なんだと!?」

千秋「吉野は以外と人気があるからな」

春香「へえ、そうなんだ。そのときはどうしてるの?」

吉野「いえ、特になにもしていません」

ヒトミ「なんでだ? 返事をしないと相手も困るだろ」

春香「好きな人がいるとか?」

吉野「えっと……」

内田「よ、吉野!! そうなの!?」

千秋「吉野、そうだったのか」

吉野「違うよ。ただ、興味がないだけだから」

夏奈「興味がない? 男に興味がないってこと?」

吉野「そういう言い方をされると、少し違うけど……。やっぱり興味もないのに男の子と仲良くしたら、それこそ相手に失礼だと思うから」

ヒトミ「……」

千秋「なるほどな」

内田「よ、吉野……」

吉野「一緒に居て、楽しくないとね。やっぱり」

春香「最近の小学生ってしっかりしてるのね……」

ヒトミ「女子力たけぇ……」

夏奈「これは女子力というか?」

千秋「吉野、では興味が沸く男子が現れたらいいのか?」

吉野「そうだね。中々、いないけど」

内田「吉野の興味を惹くような男の子ってどんなの?」

吉野「うーん……。そうだね、マコトくんとかかな?」

千秋「え?」

内田「吉野?! なんでぇ?!」

吉野「マコトくん、面白いから。でも、好きとかそういうのじゃないよ?」

千秋「意外だなぁ。まさか、吉野からマコトの名前が出るとは」

春香「マコトくんってあの元気な子よね。確かに可愛いわよね」

吉野「はい。とっても可愛いです」

千秋「私には理解できないな。ただのバカな子供じゃないか」

内田「カナちゃん……」

夏奈「いつものことだろ」

ヒトミ「やっぱり、女子力に大事なのはこういう大人っぽさが大事なんだよな。モテるのはこういう女の子だ」

吉野「そんなことないよ」

夏奈「内田、見習えよ!!」

内田「カナちゃんだってぇ!!」

夏奈「吉野の女子力は正直言って、天性のものだからな。真似はできないな」

千秋「そうだな。これは女子力というよりは吉野の才能だ」

吉野「ありがとー」

ヒトミ「どうしたら、お前みたいになれるんだ? 教えてください、吉野先生」

吉野「え……」

夏奈「結局、女子力を高める方法は見つからない……。なんてことだ」

内田「カナちゃん。でも、さっきヒトミさんが言ったように、お料理ができるのは大事じゃないかな?」

千秋「というより家事全般だな」

夏奈「それは女子力になるのかい?」

千秋「考えてもみろ。何もせずにただ家の中でゴロゴロしているだけのカナと、何でもこなすハルカ姉さま。どちらに軍配が上がるのかを」

内田「ハルカちゃんです!!」

千秋「その通りだ」

春香「いや……そんな……」

夏奈「ハルカはもう教壇に立つことはできないんだよ。前回でそれはわかったはず」

千秋「前回なんてなかった」

夏奈「闇に葬ろうとするんじゃない!! いいか!! ハルカは男と手も繋いだことがないんだぞ!!! そんな奴がいくら家事力を磨こうとも女子力は上がらん!!」

内田「そうなの!?」

春香「ちょっと!! カナぁ!!」

ヒトミ「ハルカ先輩、マジっすか!? 私も何も経験したことないっすけど」

春香「あぁ……ぅ……」

夏奈「女子力とはすなわち、女の経験値だ。家事ができるからなんてなんの意味もない」

千秋「なんだと……」

夏奈「ラヴレターすら貰ったことがないのでは女子力の土俵にすら上がることができないんだよ、内田ぁ!!」

内田「なんで私にだけ言うの!!」

吉野「カナちゃんはラヴレター貰ったことがあるの?」

夏奈「まぁ、ね」

千秋「あれは果たし状だろ」

夏奈「ラヴレターの一種だろ。何を言っている」

千秋「お前……事実を都合のいいように捻じ曲げる気か……」

内田「そーなんだ! もしかして藤岡くんから?」

夏奈「その通りだ。その点で言えば、私はお前たちよりも女子力は高い」

吉野「……」

夏奈「いや、吉野よりは低いけど」

吉野「でも、私は男の子を自宅にあげたことはないから、カナちゃんのほうが上だと思うな」

夏奈「え? そうなるの?」

内田「あ、そっか。カナちゃんはよく藤岡くんを家に呼んでるもんね」

吉野「マコトくんもね」

夏奈「そうだな……」

千秋「おい、カナ。マコトをよく呼んでいるってどういうことだ?」

夏奈「え?」

内田「あ」

吉野「ん?」

夏奈「いや、マコトじゃない。マコちゃんだ。マコちゃんな」

千秋「益々、おい。マコちゃんを男にカウントしてどうする」

春香「そうよね。私の知る限りじゃ、マコちゃんぐらい女子力に溢れている子はいないかも」

ヒトミ「へー、そんな子がいるんすか。是非とも私の専属教師になってほしいっすね」

春香「すっごく可愛いのよ」

ヒトミ「マジッスか。歩く女子力っすか」

春香「もうそんな感じ」

内田(マコちゃん……。もう男の子には戻れないね……)

別の日

マコ「おじゃましまーす!!!」

千秋「いらっしゃい、マコちゃん」

マコ「呼ばれたからきたけど、どうかしたのか?」

夏奈「マコちゃんにね、女子力のなんたるかを教えてもらおうと思って」

マコ「女子力?」

冬馬「マコちゃんが知ってるのかよ」

夏奈「バカだな、トウマ。この中で最も女子に近づこうとしている奴が女子力を知らないはずが無いだろう?」

冬馬「日頃から努力している奴に訊くってことか!!」

夏奈「その通りだ」

マコ「女子力ってなんだ? 筋力と関係あるのか?」

夏奈「先生!! 本気で言っているんですか!! 先生!!!」

マコ「いや、だって……」

春香「ごめんね、マコちゃん。とにかく座って。お茶淹れるから」

マコ「手伝います!!」

夏奈「みたか、トウマ? あれが女子力だ」

冬馬「どういうことだ?」

夏奈「中々、居ないでしょう。即座に手伝おうとするお客さんなんて」

冬馬「ああ。なるほどな」

千秋「家事力にも繋がるわけか」

夏奈「ああ。家事力を振るうために即座に反応する。これが女子力だ」

冬馬「つまり、ハルカの手伝いをすればいいのか?」

夏奈「そうじゃない。ようするに魅せ方なんだよ」

春香「いつもごめんね、マコちゃん」

マコ「いえ! いつもお世話になってますから!!」

夏奈「ああやって、できる女アピールを嫌味なく見せることができるかがポイントだ」

冬馬「そういうものなのか」

夏奈「ああいうところに男はぐっとくるんだよ」

千秋「男の気持ちをお前が理解しているとは思えないが」

夏奈「女子力ゼロのチアキには言われたくないね」

千秋「だまれよぉー!!」ドガッ

夏奈「なにすんだぁー!!」

春香「こら、やめなさいよ」

マコ「そうだぞ」

夏奈「誰の所為でこうなったと思ってるんだ!!」

マコ「オレの所為なのか!?」

春香「もう、カナ?」

冬馬「まぁ、確かにマコちゃんはこっちではハルカの手伝いを良くしてるしなぁ……」

春香「マコちゃんは手際がいいからね」

マコ「そんなことありません!!」

千秋「料理はできるしな。マコちゃんの女子力はハルカ姉さまの次ぐらいに高い」

夏奈「いい加減にしろ、チアキ。ハルカに女子力がないことは前々回で証明されている」

千秋「前々回などなかった」

マコ「で、結局女子力ってなんだ?」

冬馬「それを調べてるんだよ」

千秋「今わかっている女子力は、家事力とイコールしているってことぐらいだな」

夏奈「お前はハルカを一位にしたいだけだな?」

春香「まぁ、モテるかどうかも重要よね。あと経験かな……」

マコ「経験ってなんですか!!」

春香「え? あ、え……それは……」

マコ「あ……。そういうことですか……」

千秋「マコちゃん、何がわかったんだ?」

マコ「え? いや……」

夏奈「女子力とは察しがいいことも含まれるんだね」

冬馬「マコちゃんは何を察したんだよ」

マコ「いや、それは知識の問題だろ。経験したかどうかとは関係ない」

夏奈「知識があるからこそ察することができるんだよ。知識もないのに女子力は語れない」

千秋「知識ってなんだ?」

冬馬「おい、なんのことだよ。経験ってなんだよ」

夏奈「男子力ばかりが高い連中には教えられないね」

千秋「知識なら少なくともカナよりはあるはずだ」

夏奈「お前は所詮、学校で教えられことしか知らない子どもだからな」

千秋「な、なにぃ……!!」

冬馬「なぁ、ハルカぁ。経験ってなんだよぉー」

春香「だ、だから……えっと……色々、あるのよ。長生きすればわかるわ」

冬馬「今知りたいんだけど」

マコ「やめろ、トウマ!! ハルカさんを困らせるなぁ!!」

冬馬「なら、お前が教えてくれよ!!」

マコ「それは!! できない!!」

冬馬「なんだと? 言えよ!!」

マコ「ハルカさんの前では言えない!!」

冬馬「言えよー!! 隠すんじゃねえよ!!」

夏奈「ふっ。この惨劇。女子力がないからこそ起こったんだ」

千秋「お前が原因だろ、バカ野郎」

春香「はぁ……」

別の日

内田「で、女子力についてはどうなったの?」

夏奈「え? ああ、マコちゃんが最も女子ってことでケリがついたよ」

内田「そうなの?」

夏奈「外見の可愛さ、内面の可愛さ、そして家事力。どれをとっても女子だからね。ただ、欠点としては経験をしたことがない点だけど」

千秋「聞けばマコちゃんは男と手を繋いだことはあるそうだが、キスはないそうだ」

内田「な、なにそれ……」

冬馬「マコちゃんが男と手を繋ぐってノーカンじゃないか?」

千秋「何を言っている。マコちゃんと手を繋げるなんて一度に五回カウントしてもいいぐらいの価値があるだろう」

夏奈「ハルカなら何回分あるの?」

千秋「ハルカ姉さまは男と手など繋がない」

夏奈「女子力が無いことを認めるんだね?」

千秋「違うな。ハルカ姉さまはそのような低次元に生きていないってことだ」

アツコ(チアキちゃんの中ではハルカがすごいことになってるんだ)

マキ「最近の中学生はすすんでるのね……はぁーぁ……」

内田「でも、経験したことがないなら、マコちゃんもそこまで女子力は高くないよね」

冬馬「その経験ってさ、どこで経験できるんだ? アツコ」

アツコ「え?」

冬馬「オレも経験したい」

アツコ「そ、それは……あの……」

冬馬「アツコもいえねーのか!!」ギュッ

アツコ「わぁ?!」

マキ「そのままアツコに抱きついていれば、経験できるかもね」

冬馬「マジか!? よーし!!」

アツコ「マ、マキぃ! なんてこというの!!」

内田「アツコさんの恥じらいも女子力なのかなぁ?」

夏奈「そうだね。今のアツコちゃんは、かなり女子だね」

千秋「ふぅーん」

冬馬「あつこぉ……」スリスリ

アツコ「あぁ……あぁの……」

春香「トウマ、アツコが困ってるから」

冬馬「え? 困ってるのか?」

アツコ「え……っと……」

冬馬「アツコ……イヤだったのか……。悪かった」

アツコ「い、嫌じゃないよ。大丈夫」

冬馬「ホントか!?」

アツコ「うん」

冬馬「アツコー!!」ギュゥゥ

アツコ「あはは……」

夏奈「チアキ、見たかい? あの包容力も女子力の一つだけからね」

千秋「そうなのか」

夏奈「まぁ、チアキの狭い胸では包容力もへったくれもないけど」

千秋「何をいう。私の心はこーんなにも広い」

夏奈「……昨日、お前のアイス食べたけど許してくれるかい?」

千秋「バカ野郎!! 許すわけないだろぉー!!!」

マキ「ハルカ、速水先輩は来るって?」

春香「ああ、うん。今、連絡したらもうすぐ着くって」

夏奈「え? 今日は速水もくるの?」

マキ「言ってなかったっけ? 久しぶりに遊びに行きたいって行ってたんだよ。だから、こうして私とアツコもいるわけ」

夏奈「なるほど……」

アツコ「学校で女子力の話もしたら、私が教えてあげるとかも言ってたけど……」

春香「速水先輩、変なこと言わなきゃいいけど」

マキ「まぁ、速水先輩はしっかりしているほうだし。大丈夫だと思うよ」

千秋「ああ。あの人ならバカ野郎たちと違って、まともそうだもんなぁ」

内田「そうなんだ」

夏奈「私は全くそうは思わないけど」

千秋「なんだ嫉妬か?」

夏奈「違うって。危険人物と言ったほうがいいかもしれないけど……」

春香「危険なの?」

冬馬「まぁ、いいんじゃないか。女子力について教えてくれるならなんでも」

速水「いやー少し遅れちゃったね。ごめん」

夏奈「どうも。いらっしゃい」

速水「みんなで何の話してたのー?」

内田「女子力について話してました」

速水「ふーん……」

夏奈(なんか企んでる!?)

速水「まぁ、それについては私が教えてあげよう」

冬馬「おう! 頼む!!」

速水「その前に、カナちゃん。これをみんなに」

夏奈「これは……。またですか」

速水「女子力の話を素面でするなんて、無理でしょう?」

夏奈「……」

アツコ「どうしたんですか?」

速水「なんでもないよ。えーと、女子力でしょ。女子力って言っても色々あるからねー」

マキ「速水先輩は様々な経験をしてきたように思いますが、その辺どうですか?」

速水「様々って?」

冬馬「経験とかしたことあるのか?」

春香「ト、トウマ!」

千秋「聞きたいな」

内田「お、お願いします」

アツコ「みんな……あの……」

冬馬「経験することで女子力は磨かれるんだろ?」

速水「そーなの?」

内田「違うんですか!?」

速水「確かに経験することは最も手っ取り早い方法だけどね……」

春香「速水先輩! あまりおかしなことは控えてくださいね!!」

速水「大丈夫。私だって何でも喋るほどはしたない女じゃないからね」

春香「はぁ……」

夏奈「どうぞ。用意できました」

速水「ありがとう。みんなにも炭酸のレモンのやつとか、白いやつをお願いねー」

夏奈「はい、チアキ。炭酸のレモンだから」

千秋「うん」

夏奈「ハルカも。これ、炭酸のカルピスだから」

春香「わざわざすいません、速水先輩」

速水「いいから、いいから。話をするのに飲み物がないとね」

マキ「そうですか?」

夏奈「アツコとトウマもどうぞ」

アツコ「あ、ありがとう」

冬馬「いただきまぁーす」ゴクッ

千秋「……かっ!」

マキ「うっ……。速水先輩……このジュース……」

速水「なにか問題でもあったぁ?」

アツコ「マキ? どうしたの?」

マキ「いや……別に……」

夏奈「おかわりもあるからね。ドンドン飲んでくれ」

内田「これ、不思議な味がするね」

春香「うん。体も熱くなってきちゃった……」

速水「ふふっ。で、話を戻すけど。女子力っていうのは、経験しなくても知識量でも賄えるものなの」

冬馬「へぇ、そうなのか?」ゴクッ

アツコ「知識量って……」

速水「知っていれば知っているほど、女子力は上がっていく。その代わり、失うものもあるけどね」

夏奈「失うもの?」

速水「純粋な乙女心……かな?」

夏奈(何いってんだ、この人……)

速水「私としても女子と乙女は対の存在だと思うの。何も知らない純粋無垢な乙女には女子力なんてないからね」

冬馬「なら、オレも乙女なのか?」

アツコ(あれ? トウマくんって女の子なの……?)

速水「そうね。君はまだ女になれていない。すなわち、女子力もない」

夏奈「でも、女子力が高いとモテるんでしょ? 純粋無垢な乙女もモテそうだけど」

速水「純粋無垢な乙女はね、自分がどれだけモテているかなんて気がついてないものなのよ」

内田「そうなんですか?」

速水「そうよ。女子力が無い女子ほどモテるけど、その女子にモテているという自覚はないわけ」

マキ「と、いうことは! 私も自覚がないだけで、モテているということですか!!」

速水「それはどうか知らないけど」

内田「も、もしかして!! 私も知らないだけで、モテてるのかなぁ!? ねえ、そうなのかなぁ!? チアキ!!」

千秋「知るか」

春香「でも、みんな可愛いし、もしかしたらすごくモテてるのかもね」

内田「えー!? 誰だろうー!? あの子かなぁ? それとも、あの子かなぁ……。あぁ、私って人気あったんだぁ。どーしよぉ」

速水「でも、自覚したが最後、純粋無垢な乙女ではいられない。その瞬間に女子力が中途半端に上がってしまい、モテなくなる」

夏奈「結局、自分がモテたという実感がないまま終わるわけですか?」

速水「そうなるねー」

内田「えー!? そんなぁー!!」

千秋「お前、うるさいぞ」

内田「だってぇ!!」

速水「でも、そこから女子力をあげればいいわけだからね。気にすることはないわ」

春香「つまり、そこから、どうやってあげればいいわけ?」

速水「方法としては家事全般を極めることが一つの手段ね」

冬馬「家事力ってやつか」

アツコ(トウマくん、女子力に興味深々だけど……。やっぱり、男の子……?)

速水「そうね。台所に立つ姿に多くの男はイチコロだからね」

千秋「あはは。なら、ハルカ姉さまはかんぺきぃ」

春香「まぁね」

夏奈「でも、経験も大事なんでしょ?」

速水「だから、それは知識で補えるのよ。知識でね」

冬馬「その知識をオレは知りたいんだ。教えてくれ」

内田「私も詳しくなりたいです」

速水「じゃあ、昼の知識と夜の知識、どっちがいい?」

春香「夜の知識でしょ、普通は」

マキ「そうだね。夜の知識だね!」

夏奈(ハルカはもうアウトだな……)

速水「夜の知識と言われて、何を連想する?」

アツコ「え? それは……えーと……」

春香「なに、アツコ。そんなことも知らないの?」

アツコ「え? ハルカは知ってるの?」

春香「知ってるにきまってるでしょー!! したことがないだけなの!! 私はぁー!!!」

内田「ハルカちゃん、したことないのー?」

春香「ないわよぉ……。なによ!! みんなばっかり!! ずるいわ!!」

マキ「私もしたことないですけど……」

春香「私はいつも、いつもね、恥ずかしい姿を男の子に見られるのぉー!! そんなのって違うでしょー!?」

冬馬「はるかぁ、はずかしいってなんだよぉ?」

春香「トウマ!! トウマのナツキくんね! もう、上も下も私は見られちゃってるのぉ!」

千秋「あははは、ハルカ姉さま、女子力たかーい」

春香「聞いて!! ナツキくんにね!! 全部みられちゃったのぉー!!」

夏奈「おいおい、ハルカ。それは本当なのか?」

春香「そうなの……もう……お嫁にいけないわ……」

冬馬「安心しろよ、ハルカ」

春香「なにぃ?」

冬馬「オレが責任もって、ハルカを嫁に貰ってやるから」

春香「ほんとに? トウマ、こんな私をお嫁にもろってくれるの? 嬉しい……」

冬馬「まかせろ。バカのナツキの所為なんだろ。オレが責任もつから」

春香「ありがとう、トウマ。約束よ?」

冬馬「おう」

夏奈(完全に出来上がってるな……)

アツコ「だめー!!!」

夏奈「おぉ!?」

マキ「アツコ、どうしたの?」

アツコ「トウマくんは、私と結婚するの!!」ギュゥゥ

冬馬「おぉ?」

春香「えぇー? どうしてぇー?」

千秋「あははは、トウマ、女子力たかーい」

内田「ねーねー、アツコさん。トウマは女の子だよー? それでもいいのー?」

アツコ「そんなの関係ない!! 私はトウマくんのお嫁さんになるの!!」

冬馬「アツコまで……。わかった。いいぜ。嫁にこいよ」

アツコ「トウマくぅーん」スリスリ

マキ「アツコ……わたしはぁ……? 私は誰のお嫁さんになればいいのぉ……?」

春香「さっそく、ふられちゃった……。そうよね、アツコのほうがかわいいもんね……」

内田「じゃあ、私もトウマのお嫁さんになろうかなー」

冬馬「オレ、弾力がないと嫁にはしないから」

内田「だんりょく!?」

千秋「おい、内田」

内田「なぁに?」

千秋「腹の弾力ならあるでしょー?」

内田「ひどい!? ないよぉ!!」

千秋「あと、下の名前なんだっけ?」

内田「ユカです!!」

速水「いやー、女子力の差がはっきりでたねぇ」

夏奈「出たんですか?」

速水「だって、トウマくんが嫁にするかしないかでしょー?」

夏奈「いや……え?」

速水「結局、女子力なんてものは、女の自己満足とエゴでしかないのよ」

夏奈「今まであんたが言ってきたことはどうなるんですか?」

速水「女はねぇ、素敵な男に選ばれたら勝ちなのよ。女子力が高いのどうのは選ばれて初めて分かるものよ。それまでの家事だのなんだのは、補助的なものでしかないわけ」

夏奈「そうか」

速水「その点、トウマくんに選ばれるなら相当女子力高いって証明になるわねー」

夏奈「そうなのか……」

春香「とうまぁー。私をおよめさんにしてよぉー」

冬馬「いいぞ、ハルカならいいぞー」

アツコ「だめ! トウマくんは私だけを見てほしいのっ!!」

冬馬「おう。アツコもいいぞー」

千秋「あははは、女子力ってなんだっけー?」

内田「カナちゃぁん、私をお嫁さんにしてくれるぅ?」

夏奈「何を言ってるんだ、内田」

内田「カナちゃん、愛してるよぉ、うふふ」

夏奈「こら、離れろ」

千秋「こらぁー!! ユカぁー!!!」

内田「なによぉー!!」

千秋「私のカナに勝手にふれるなぁー!!」

夏奈「チアキ!?」

千秋「カナは私のものだぁ、誰にもやらないからなぁ!!」

内田「私だってカナちゃんのことだいすきなのにぃ」

千秋「私もだいすきだ、バカ野郎ー!」

夏奈「やめろ、チアキ! 私が恥ずかしいだろ!!」

千秋「カナぁー!! 私の傍から離れるなぁー!! ずっと傍にいろぉー!!」

夏奈「おいおい……」

速水「なるほど……カナちゃんに選ばれても、相当な女子力があるのね……」

マキ「カナちゃん、売れ残りの私を拾ってください……」

夏奈「いやいや!! もうマキちゃんは寝ろ!!」

マキ「寝るの? いいよ。ねよっか」スルッ

夏奈「脱がなくていいから!!」

千秋「脱ぐのか? 脱げばいいのか?」

内田「脱ぐんだよ。脱げばいいんだよ」

夏奈「やめろって!」

春香「トウマも脱いじゃう?」

冬馬「そうだなぁ、暑いしなぁ」

アツコ「みんなで脱いじゃおうかぁ」

春香「そうね、そうしましょうか」

夏奈「だめだろー!!」

速水「今日は一段と面白い感じになったわね、カナちゃん」

夏奈「あんたが来るといつもこうだね!」

速水「まぁまぁ。包容力も男子力に含まれてるんだし、いいじゃない」

夏奈「私に男子力を求められても困るんだけど?」

速水「何言ってるの? 未来の旦那様」

夏奈「は?」

速水「今日、ここで……未来を見ようか?」

夏奈「あ、いや……あの……」

速水「愛してるぜ、カナ」

夏奈「ちょっと待って!! やめろぉー!!」

速水「気持ちよくしてあげるから……ふふふ……」ギュッ

夏奈「あーっ!!」

内田「あははは、チアキぃ、じゃあ、わたしはチアキのおよめさんねー」

千秋「ばかやろー、ユカなんてねがいさげだぁー」

春香「とうまぁ……ふふっ……すぅ……すぅ……」

冬馬「うぅん……すぅ……すぅ……」

アツコ「トウマくん……大好きだよぉ……」

マキ「だれか……わたしを……もらってよぉ……うぅぅ……」

翌日

春香「うーん……。気分が悪い……」

千秋「おはようございます、ハルカ姉さま……」

春香「おはよう、チアキ。昨日、何があったんだっけ?」

千秋「よく覚えていません」

夏奈「二人とも、起きたか。トウマたちはさっき帰ったよ」

春香「あら? 泊まったの?」

夏奈「帰るなんて不可能だったからな。各家庭への電話は私がしておいたから」

春香「そう。ありがとう、カナ」

夏奈「まぁ、ハルカが電話をしていたらまた一つ伝説が増えたからね」

春香「そう、なの?」

千秋「なぁ、カナ。昨日は何があったんだ?」

夏奈「女子力とは何かについて結論がでたんだよ」

千秋「そうなのか? 全く覚えてないや」

夏奈「寝てたからね」

冬馬「あー……気持ち悪いなぁ……」

マキ「はぁ……やっちゃったよ……」

アツコ「なにしてたか、想い出せない……」

内田「頭がいたいよぉ……どうして……」

速水「昨日は楽しかったねー」

マキ「何があったのか教えてください、速水先輩……」

速水「え? 女子力談義に花が咲いただけだって」

マキ「そうなんですか?」

冬馬「オレ、ずっと柔らかいなにかに挟まれていたような気がするんだけど……」

アツコ「私、誰かに告白されたような気がするんだけどなぁ……」

速水「アツコは自分から告白してたよー」

アツコ「えぇ!? だ、誰にですか!?」

マキ「私かな?」

アツコ「どうして……マキ……なの……」

内田「私はふられたような気がするけど、誰にふられたんだろう……。しかも、下の名前で呼ばれていたような……うーん……」

別の日

冬馬「で、カナ。あの日に女子力について結論が出たって聞いたけど?」

夏奈「ああ、出たね。もうばっちりだ」

吉野「それを聞きに来ました」

内田「あの日のこと、全然想い出せないし、カナちゃん、教えて」

千秋「折角だし、聞いておいてやろう」

マコ「カナ!! お願いします!!」

夏奈「一人、非常に上から目線の奴がいるけど、まぁいいでしょう。カナ先生が教えてあげます」

内田「わー」パチパチ

春香「カナ、変なことだけは言わないでよ?」

夏奈「あの日に出た結論を述べるだけだ。問題はない」

春香「本当に?」

夏奈「私を信じろ」

春香「……」

夏奈「なんだよぉ! その疑いの眼差しはぁ!!」

冬馬「カナ、女子力って結局なんだ?」

夏奈「女子力っていうのは……。トウマで測ることができる!!」

冬馬「は?」

夏奈「トウマには女を見る目があるからね!! トウマは女子力計測器でもあるんだよ」

内田「そーなの!?」

夏奈「そうだ。トウマに気に入られれば、それだけ女子力が高いってことだ」

冬馬「おい! カナ!! あの日に何があったんだよぉ!!」

夏奈「女子力なんて女のエゴなんだよ、トウマ」

冬馬「意味わかんねーよぉ!!」

内田「ねね! トウマ!! 私は!? 私は女子力高い!? ねーねー!!」

冬馬「えぇ……? そんなのわかんねぇよぉ」

千秋「おい、トウマ。私の目を見ろ」

冬馬「チアキも気になってんのかよ!?」

吉野「マコちゃん、私は女子力高いかな?」

マコ「いや、オレに決まれても……」

>>109
マコ「いや、オレに決まれても……」

マコ「いや、オレに聞かれても……」

春香「ねえ、カナ。何があったの?」

夏奈「だって、トウマが好きな女はみんな女子力が高いからね」

春香「そうなの?」

夏奈「ああ。ハルカとアツコだからね……」

春香「私は別に……」

夏奈「謙遜しなくていいよ……。ハルカは全部見られてるんだろ……」

春香「な、なにを!?」

夏奈「もうね、ハルカの女子力に勝てる奴は私たちの周りにはいないんだよ」

春香「ねぇ!! カナ!! なにがあったのかいいなさい!! 私は何を口走ったの?!」

夏奈「家事力が高いと女子力も上がるんだねぇ……。で、それを本能で計測できるトウマ……。ふっ、すごいね……」

春香「カナぁー!! いいなさい!! おねがいだからぁー!!」

冬馬「オレは女子力なんてわかんねーよぉ!!」

内田「いいからトウマ!! 私はぁー!?」

千秋「こら、トウマ!! 逃げるなぁー!!」


おしまい。

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