モバP「うちのありす」(146)

P「お~い、ありす~」

橘ありす「名前で呼ばないで下さい」パタ
http://i.imgur.com/lUklAOu.jpg

P「本読んでたのか。邪魔して悪いな」

ありす「いえ。それで、なにか用ですか?」

P「仕事が入ったから打ち合わせしよう」

ありす「わかりました」

渋谷凛「……」
http://i.imgur.com/SzRC9Ts.jpg

島村卯月「どうしたの、凛ちゃん?」
http://i.imgur.com/58kVmUS.jpg

凛「ありすちゃんって大人っぽいよね」

木場真奈美「そうかね? 私には背伸びしているようにも見えるよ」
http://i.imgur.com/0NF7hEm.jpg

片桐早苗「かわいーもんよねー。まー、12歳の落ち着きじゃないって言うのは凛ちゃんに同意かな?」
http://i.imgur.com/sBdNyOz.jpg

卯月「ありすちゃんって、事務所に入ったばっかりの頃の凛ちゃんに似てる気がするなー」

凛「え……そうかな?」

早苗「そう言われると、凛ちゃんも歳不相応の落ち着き方してるよねー?」

凛「私は―― 一応、事務所が出来た頃から所属してるから、それだけだよ」

真奈美「そう言えば、私は彼女のことを『ありす』と呼んでも怒られたことはないな」

早苗(真奈美さんを怒れる人はそうそう居ないと思う)

凛(気迫というか、オーラが、ね)

卯月「私も怒られたことないですよっ!」

凛「て言うか、怒られてるのってプロデューサーだけ?」

早苗「嫌われてるのかなー? はっ、もしかしてセクハラしたとか!?」

真奈美「それは想像で語るものではないと思うが……」

P「あれ、珍しいメンツがお揃いで」

凛「プロデューサー、早かったね」

P「ま、小さい仕事だし、確認事だけだからな」

凛「ふーん……」

卯月「プロデューサーさんはセクハラしてるんですか?」

凛・早苗「ブッ」

P「……は?」

真奈美「ククッ」

P「いやいやいやいや待て待て待て待て」

卯月「?」

P「何言ってるんですか卯月さん、俺そんなことしたことないよな? な?」

卯月「うーん?」

P「悩まないで! お願い!」

P「真奈美さんも笑ってないで、なにか言ってください!」

真奈美「い、いや、ふふっ、悪い悪い。君がありすに嫌われてるんじゃないかって話になってね」

真奈美「それで、ありすに――という流れでね」

P「やめてくださいよ。俺だって傷付くんですから」

早苗「しかーし、やってない証拠はないよねー?」

P「早苗さんまで!? 無茶言わないでくださいよ!?」

凛「ロリコン」ボソッ

P「えぇー……」

早苗「あたしの前の職場のお友達呼んどく?」

P「やめてください事務所が無くなりかねません」

真奈美「私は君を信じるが、この信頼を裏切ったら――命の保証は出来ないなぁ?」

P「ひぃっ!?」

真奈美「ハハ、冗談だけどね」

P「心臓に悪いですよ……」

卯月「私はプロデューサーさんなら良いですよっ!」

 ガタタッ

P「――卯月、今後それ言うの禁止」

卯月「えーっ、なんでですかーっ?」

P「はぁ、もうしょうがないな」

P「おーい、ありすー?」


ありす「……」ペラ


凛「ちょっと、また怒られるよ?」

P「ありすさんやー?」


ありす「……」ペラ


凛「もう知らないからね」

P「ありすってばー」


ありす「もうっ!! ここじゃ名前で呼ばないでって言ってるじゃないですか! 兄さん!」

P「お、やっと反応したな」

早苗「ん?」

凛「へっ?」

真奈美「ほぅ」

卯月「?」ニッコニコ

ありす「――あっ」

 ガシッ

早苗「これはどういう事かな~? プロデューサーくーん?」ギリギリッ

P「痛い痛い痛いっ!」

早苗「兄妹プレイ? 高レベルの変態だねぇ君」ギリギリギリギリッ

P「あああ頭潰れるっ!?」

真奈美「どうどう、早苗さん落ち着いて」

早苗「ハァッ、ハァッ」

真奈美「まず話を聞かなくては何が真実か分からない。違うかな?」

早苗「――そーね」

P「いてて……」

ありす「にい――プロデューサー、大丈夫ですか……?」

P「もういつも通り呼んで良いぞ」

ありす「じゃあ、兄さん……」

凛「ホントに兄妹なの?」

ありす「……はい」

真奈美「うん? だが、君たちの姓は――」

ありす「それはっ――」

P「待った、ありす。それは俺から説明するよ」

P「俺たちは一回りほど歳の離れた兄妹なんです」

早苗「まぁ、それはない話でもない、か」

P「姓の件ですが、実は数年前に両親が離婚しましてね」

P「俺はそれまで通り親父の方のまま、まだ幼いありすは親権が母親側になったので、母の旧姓の橘になりました」

ありす「っ……」グッ

P「ま、親の離婚は親の勝手なんで、俺は時間があればお袋の家に行ってましたけどね」ナデナデ

真奈美「ふむ、なるほどね」

凛「つまり、プロデューサーは実の妹をスカウトしてきたんだ」

P「そう言われると身も蓋もないな」

P「だって可愛いじゃん、こいつ」

ありす「っ!?」カァッ

卯月「ホント、可愛いもんねっ」

ありす「……」ペシペシペシ

P「痛い痛いありす痛い」

凛「シスコン」ボソッ

P「ファッ!?」

真奈美「しかし、兄妹仲は悪く無さそうだな……」

P「ええ、そりゃもう」

P「小さい頃から割と俺が面倒見てたんで」

早苗「へぇ~、小さい頃からねぇ~?」

P「オムツも替えてましたからねっ」

ありす「兄さんっ!?」ペシペシペシペシペシペシ

P「いたたたたたっ照れ隠しに叩くのやめて!?」

凛「今のはプロデューサーが悪いよ……」

卯月「いいなぁ……」

凛「卯月!?」

真奈美「アハハ……それで、どうして名前で呼ばれるのが嫌なんだい?」

P「あ、それは俺も常々思ってた」

ありす「それは……ケジメ、です。私なりの」

凛「ケジメ?」

ありす「兄さんに名前で呼ばれると、その、仕事場でも甘えてしまいそうなので……」モジモジ

ありす「なので、私もここでは、兄さんのことはプロデューサーと呼んでいました」

早苗「くぁーわいーぃっ!」ギューッ ワシャワシャ

ありす「ひあぁぁぁぁぁ!?」

P「早苗さん、ありすをイジめないでください」

早苗「人聞き悪いこと言うなー、君は。イジめてないよ?」

P「じゃあイジらないでください」

早苗「ちぇーっ」パッ

ありす「っはぁ、はぁ」プルプル

P「別に少しくらいなら甘えていいんだぞ?」

ありす「そ、そんな訳にはいきませんっ」

P「家じゃべったりなのになー」

凛「えっ」

真奈美「ほほぅ」

早苗「これは逮捕されても文句ないよねぇ」

P「ただの兄妹のスキンシップですって」

ありす「……」ペシペシペシペシペシペシペシペシペシ

P「うははははははっ」

卯月「プロデューサーさん、私もべったりしたいですっ!」

早苗「ほぁっ!?」

凛「卯月、2アウト」

真奈美「……そうか、君たちは同居してるのか」

 ガタタッ

P「ええまぁ、お袋の家は兵庫なので」

P「ホントは寮に入れようかと思ったんですが、お袋から俺の家でいいだろと言われちゃいまして」

P「おかげで引っ越しせざるを得ませんでしたよ」

P「良い具合に前のアパートから近い場所に借りられたんで楽でしたけどね」

凛「あ、引っ越したんだ……」

P「妹とは言え、1Rに同居は色々と不味いだろ」

P「寮の方が誰かしら居るから心配ないんだけどなぁ」

早苗「あたしと真奈美さんもいるしね♪」

P「真奈美さんの料理なんて寮生の連中には評判ですしね。俺も一度食ってみたいなぁ」

真奈美「そうかい? なんだったら夕飯くらい二人で食べに来ればいいじゃないか。確か君の家は、寮からそれほど遠くもないだろう?」

P「良いんですか?」

真奈美「ああ、皆も喜ぶだろうしな。もちろん、規定のお代は頂くことになるが、下手な外食よりは安いのは確かだよ」

真奈美「君が帰ってくるまで、ありすを寮で預かっても良いし、もし相当に遅くなるなら誰かの部屋に泊めることだって出来るぞ」

P「いいですね。正直、夜にありすを独りにしておくのが心配ではあったんですよ」

P「ありすもそれでいいか?」

ありす「っ――兄さんが、それで良いなら……」

真奈美(……うん?)

P「早めに上がれそうな時は、ここでありすに待って貰ってましたけど、予想以上に遅くなる時もありましたから、助かります」

凛「わ、私も! 寮に遊びに行っても良い?」

卯月「あ、私も行きたいですっ!」

早苗「いいよいいよ~、おねーさん達が可愛がってあげるよぉ♪」

P「早苗さんアウトー」

早苗「えぇーっ!?」

P「行くのは良いけど、あまり迷惑かけるなよ。あと、あまり帰りが遅くならないように」

凛「分かってるよ」

数日後、夜

P「こんばんはー」

佐久間まゆ「プロデューサーさぁん、まゆに会いに来てくれたんですかぁ?」
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P「違うぞ?」

まゆ「うふふぅ、つれないですねぇ。でも、そんなところも――」ポッ

P「上がっても良いかな、まゆ?」

まゆ「あら、ごめんなさぁい。上がってくださぁい」

P「……どこに案内する気だ、まゆ?」

まゆ「まゆの部屋ですよぉ?」

P「そっか、じゃ、お疲れ」

まゆ「冗談ですよぉ、皆さん食堂にいますから、どうぞぉ」

P「ん、悪いな」

真奈美「今日は遅かったね、プロデューサー君」

P「すいません、思いの外遅くなっちゃいました」

真奈美「それじゃ適当に座っていておくれ。今、食事の準備するから」

P「適当で良いですよ?」

真奈美「そうも行かないさ。君に倒れられても困るからね」

ありす「にっ、兄さ、たす、けっ」

早苗「んっふっふー、もっふもっふ~」

姫川友紀「早苗さーん、次あたし~」
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P「ガンバレありす。酔っぱらいなんてぶっ飛ばして良いぞ」

ありす「に゛ぁ~っ!!」ジタバタ

早苗「酷いお兄ちゃんだねー。うちの子になっちゃう? なっちゃう?」ギューッ

ありす「っ……早苗さんはっ、いやっ、ですっ」ジタバタ

早苗「うぇーんっ、兄妹揃って嫌われたよーっ」

友紀「プロデューサーも飲もうよっ!」

P「えー、どうしよっかな」

友紀「いいじゃんいいじゃん! 後は帰るだけでしょ?」

P「じゃあ、缶で1本だけくれ」

まゆ「お酌しますよぉ?」

P「イヤ良いよ。洗い物増やすのも悪いし」

真奈美「コップの一つくらい、増えても構わないよ」コト

真奈美「はい、お待たせ」

P「お、ハンバーグですか」

真奈美「ああ、ありすも食べてしまいな」

P「ん? なんだ、まだ食べてなかったのか」

真奈美「君を待ってたのさ。ほら、早苗さん、ありすを解放してあげてくれ」

早苗「じゃー、真奈美ちゃん、ギューッ!」

真奈美「まったく、酒癖の悪い……」

友紀(うわっ、早苗さんのあれ、全力だよね!?)

まゆ(あれを受けて平然としていられる真奈美さんは、敵に回したくありませんねぇ……)

早苗「んっふふー、あたしの全力の愛を受け止められるのは、やっぱり真奈美ちゃんだけだねー♪」

真奈美「はいはい――さ、ありす、今のうちに」

ありす「は、はい。ありがとうございます」

P「じゃ、いただきまーす」

ありす「いただきます」

友紀「あれっ!? なんでこれ目玉焼き付いてるの? あたしたちの無かったよ!?」

真奈美「ああ、それはありすが焼いたんだ」

P「お、そうなのか。ありがとう、ありす」

ありす「い、いえ……」カァッ

まゆ「うふふ、プロデューサーさん、明日はまゆが夕飯当番ですから、期待しててくださいねぇ?」

P「お、おう……」

P「あ、そっか、明日は真奈美さん、夜まで仕事でしたね」

真奈美「ああ。こんな時はみんなに頼ってるよ」

真奈美「……頼りにならない大人も、たまに居るけどね」

P「はは……」

早苗「そんなダメな大人はー、逮捕しちゃうぞーっ!? あっははーっ♪」

ありす(早苗さん……)

まゆ(自首するんですかぁ?)

P「ごちそうさまでした。美味しかったです」

真奈美「そう言って貰えると、作った甲斐があるってものだ」

友紀「じゃ、のもーっ!」

早苗「プロデューサー君、かもーんっ♪」

P「まだ飲んでるの、お前ら……」

ありす「程々でお願いしますよ?」

P「分かってるよ。お前と一緒に帰るんだからな」ポンポン

ありす「っ……」ワタワタ

まゆ「いじましいですねぇ」

真奈美「さて、片付けも終わったし、私も付き合おうかな」

早苗「あらめずらしー」

真奈美「ま、たまには、ね」

P「お疲れ様です。片付け早かったですね」

真奈美「まゆとありすも手伝ってくれたからね」

P「そっかそっか、二人ともお疲れさん」

まゆ「いえいえぇ、これも花嫁修業の一つですよぉ。ねぇ、ありすちゃん?」

ありす「わわわ私は別にそんなつもりはっ――」

P「ありすは日頃、家のことも色々してくれるしなー」

真奈美「ありすに押しつけてるんじゃないだろうね?」

P「そ、そんなつもりはないですょ?」

真奈美「ふぅん?」

ありす「それじゃ兄さん、今度のお休みはお部屋の掃除お願いしますね?」

P「えぇ!? て、手伝ってくれるんだろ……?」

ありす「知りませーん」プイッ

真奈美「ほぉう?」

まゆ「真奈美さんまで飲み始めちゃったんじゃ、まゆ達で遊びましょうかぁ、ありすちゃん?」

ありす「――そうですね、ここは危険な気がします」

真奈美「ハハッ、そうかもしれないね」

まゆ「たぶん、紗南ちゃんの部屋にいると思いますからぁ」

P「ん、悪いな、まゆ。頼んだ」

 コンコン
 ハーイ!

まゆ「お邪魔しますねぇ、紗南ちゃん」

ありす「お邪魔します」

三好紗南「どうぞどうぞー」
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佐城雪美「……ありす……ごはん、食べられ……た……?」
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ありす「はい、おかげさまで」ニコッ

雪美「……良かっ……た……」ニコ

紗南「で、どうしたの?」

まゆ「大人組がみんなお酒飲み始めちゃったから、避難してきたんですよぉ」

まゆ「二人もしばらくは食堂に近づかない方が良いかもぉ?」

紗南「え、って言うことは、真奈美さんも?」

雪美「……P……も……?」

まゆ「そうですよぉ」

紗南「あちゃ、そっかぁ。流石の真奈美さんもお酒入ると残り二人のブレーキが甘くなるもんね~」

紗南「じゃあゲームやってよっか。なにやる?」

まゆ「対戦だと、誰かはストレスになっちゃいますよねぇ」

紗南「そ、そうだね……」

紗南(何気にまゆさんゲーム上手いんだよね……)

紗南(そうなると、ゆきみんが大体ドベになっちゃうから、しょうがないか)

ありす「じゃあ、これなんてどうでしょう?」

紗南「あ! 良いね、協力プレイでがんばろうっ」

雪美「がん……ばる……」グッ

紗南「あっ、ゆきみん、危ないっ」

雪美「……ぁ………」

画面【pero 死亡】

ありす「ごめんなさい、フォローが間に合いませんでした」

紗南「さっきのタイミングはしょうがないよ」

雪美「……ごめん、なさい………」

紗南「しっかり準備しなおして戻れば大丈夫だから」

まゆ「うふふぅ、雪美ちゃんを苛める悪い子(モンスター)には――」

まゆ「お仕置きしなと――ですよねぇ?」ニコォ

ありす・紗南・雪美「っ!?」ゾワッ

一方、食堂

真奈美「色々聞いたよ、ありすから」

P「何をですか?」

真奈美「家事について、とか」

P「」

真奈美「料理くらい、やらせてあげたらどうだい?」

P「ああ、そっちですか……いや、結構やって貰ってますよ?」

真奈美「君が居ない間の話だよ」

P「それはまぁ……流石に独りの時に火や刃物を使わせるのは、まだ少し不安なんですよ」

P「ちょっと過保護なのかも知れませんけど、何かあってからじゃ遅いですし」

真奈美「ふふ……君はアレだな」

P「へ?」

真奈美「あの子が嫁に行く時には号泣しそうだ」

P「――そうかも知れません」

P「でも、泣く前にやっておきたいことがあるんですよね」

真奈美「なんだい?」

P「ありすが欲しくば俺を倒せ! なんて――」

早苗「ほほーん、君を倒せばありすちゃんはあたしのものなんだね?」

P「うわ絡まれた……」

早苗「エントリーナンバー1! 片桐早苗! いざ、じんじょーにしょーぶ!!」ガシッ

P「うぇっ!?」

早苗「とぅっ!」グイッ

真奈美「あ、こらっ」

 グルンッ

P「っ!?」

P(あれ、俺飛んでる?)

真奈美「おっと――」

 パシッ スッ スタンッ

P「――」

真奈美「大丈夫かい?」

P「おかげさまで――?」

P(何が起きたんだ、今……)

真奈美「早苗さん、素人に本気で技をかけない」

友紀「いつ本気を出す~?」

早苗「今でしょっ!」

友紀・早苗「きゃっはははははははっ!!」

真奈美「はいはい、本気過ぎだから失格」

早苗「えーっ!? おーぼーだーっ!」

友紀「エントリーナンバー2! 姫川友紀!」スラッ

P「凶器を持ち出すなっ!?」

真奈美「バットは反則。はい失格」パシッ

友紀「あぁ~、あたしのバットー」

真奈美「バットは人を殴るものじゃないからね?」

友紀「わかってるよっ、ちょっとからかっただけだからっ!」

真奈美「まったく、ほら」

友紀「あぁ、良かったよー」スリスリ

友紀「キャッツはー、えいえんにー、ふめつデースッ!! きゃははははっ」

早苗「ほらっ、プロデューサー君! わんもあちゃんす、ぷりーずっ!!」

P「なんだこれ……」

真奈美「はぁ、これはもうダメだな」

 トストスッ

早苗「ふにゃぁ」

友紀「はうっ」

真奈美「今日はこんな所だろう」

P(首筋を手刀で叩いて人を倒すの、リアルで初めて見たわ……)

P「――そんなことも出来るんですねぇ、真奈美さん」

真奈美「ん? あぁ、ここじゃしょっちゅうやってるからね、そんなに特別なことをしてる気がしなくなってしまっているな」

真奈美「ふふ、君に恥ずかしい所を見せてしまったなぁ」

P「いえ、助かりましたよ」

真奈美「そろそろお開きにしようか」

P「そうですね」

紗南「……すご」

ありす「ほとんどまゆさんだけで倒してしまいました……」

雪美「……まゆ、ありがと……う………」

まゆ「うふふ、良いんですよぉ?」

 コンコン

紗南「はーい?」

真奈美「紗南、ありすは居るかい?」

紗南「いるよー」

真奈美「うん、ありがとう。そろそろ帰る時間だぞ、ありす」

ありす「わかりました」

雪美「ありす……帰る………?」

まゆ「お見送りしましょうねぇ、雪美ちゃん」

雪美「………うん……」

 ガチャ

脇山珠美「あれ? 皆さんどこへ行かれるのですか?」
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ありす「あ、珠美さん。今日もお邪魔しました」

真奈美「ありすの見送りだよ」

珠美「なんと、もうそんな時間でしたか!」

珠美「と言うことは、プロデューサーもいらしていたのですね?」

珠美「珠美もご挨拶せねば!」

まゆ「それじゃ、珠美ちゃんも一緒に行きましょう?」

珠美「はいっ!」

P「お、やっと来たか、ありす」

ありす「お待たせしました、兄さん」

紗南「プロデューサー、お疲れー」

P「おう、紗南、ありすと遊んでくれてありがとうな」ガシガシ

紗南「あはは、友達だもん、当然だよ。ね、ゆきみん?」

雪美「……ありすも、紗南も……まゆも……お友達…………」

P「そうか、サンキューな、雪美」ナデナデ

珠美「プロデューサー、お疲れ様でした!」

P「ああ、珠美……そうだ、珠美に仕事の話があるんだ」

珠美「本当ですか!?」

P「ああ、明日打ち合わせしよう」

珠美「はいっ!」

P「それじゃ真奈美さん、今日は失礼します」

真奈美「ああ、気を付けてね」

まゆ「明日、お待ちしてますからねぇ?」

P「はは、その前に事務所で会うだろ?」

まゆ「うふふぅ、そうでしたぁ」

ありす「それでは皆さん、おやすみなさい」

「おやすみー(なさいー)」

P宅

P「ただいまー」

ありす「……ただいま」

P「うん、おかえり、ありす」

ありす「兄さんも、おかえりなさい」

P「さて、もう良い時間だし、とっとと風呂入って寝るか」

ありす「ダメです」

P「ん? なにが?」

ありす「今日はお酒を飲んだのだから、お風呂はダメです」

P「えー」

ありす「明日早めに起こしますから、朝シャワーを浴びてください」

P「どうしてもダメ?」

ありす「どうしても、です」

P「んじゃ、しゃーないな」

P「……どうせ入れないなら、もう一本くらい飲んじゃおうかな?」チラッ

ありす「……はぁ……飲んだらすぐ寝てくださいね?」

P「分かったよ」ナデナデ

ありす「ん……」

ありす「――私も、お茶飲みます」

P「お前ももう遅いんだから、早く寝るんだぞ?」

ありす「分かってます。一杯だけです」

P「そっか」

ありす「今日は――」

P「ん?」

ありす「あまり一緒に居られませんでしたから、もう少しだけ――」ギュッ

P「あぁ、ごめんな」

P「もうあそこじゃ飲まないよ。自分の身のためにも」

ありす「何かあったんですか?」

P「ああ、多分……何があったのか、俺の脳みそじゃ把握しきれてないんだが」

P「真奈美さんが居なかったら、あそこでのびてたかもしれない」

ありす「真奈美さん、ですか……」スッ

ありす「そろそろ、寝ます。おやすみなさい」

P「ん、おやすみ」

数日後 事務所

 カタカタカタ タン

P「ふぅ、なんとかバレンタイン企画がまとまった」

ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」コトッ

P「あ、コーヒーありがとうございます」

ちひろ「バレンタイン企画と言えば、プロデューサーさんのバレンタインどうしましょう?」

P「……と言うと?」

ちひろ「いえ、アイドルのみんながプロデューサーさんにチョコを渡そうとすると、結構大変なことになりそうかな、と」

P「……あまり考えないようにしてたんですが、やっぱりそう思いますか?」

ちひろ「ええ」

P「うーん、じゃあこういうのはどうでしょう」

ちひろ「本気ですか?」

P「まぁ良いんじゃないですか?」

ちひろ「プロデューサーさんがそれで良いなら、それで通達しちゃいますけど」


――――――

From:千川ちひろ

To:モバプロメーリングリスト

Subject:【通達】バレンタインデーについて

 事務所よりバレンタインデーについての通達です。

 当日、個人的なチョコレート他、お菓子類の事務所及び現場への持ち込みを禁止とします。

 尚、共演者、スタッフへ配るチョコレートは事務所にて用意しますので、前日もしくは当日に必要量を事務所へ取りに来てください。

――――――


ちひろ「ホントに大丈夫なんですかねぇ……」

女子寮に軟禁される気がするのだが

ピロリン

凛「あれ、ちひろさんからメールだ」

本田未央「あ、私もだ」
http://i.imgur.com/ncnScpV.jpg

卯月「私にも来たよー」

凛「……え」

未央「えーっ!?、そんなのってないよー!」

卯月「困ったねー」

未央「ねー、せっかく練習してるのにー」

凛「……ふーん、練習してるんだ」

未央「そりゃね! だって不味いのは渡したくないじゃん?」

凛「それはそうだね」

卯月「……でも」

凛「渡せそうにないね」

同日夜 寮

未央「こんばんわーっ!」

珠美「未央殿! それに凛殿に卯月殿も、どうされたのですか?」

凛「ありすちゃんを送りに来たんだ。丁度事務所からの帰りが一緒になったから」

珠美「そうでしたか! ありす殿、いらっしゃい!」

ありす「珠美さん、こんばんは」

珠美「皆さんも上がっていってください」

卯月「はーい、おじゃましまーす!」

真奈美「おや、珍しいのが来たね」

早苗「おー、ニュージェネお揃いで!」

友紀「いらっしゃーい」

未央「真奈美さーん! 御飯食べさせてっ!」

凛「……未央?」

真奈美「君ね……突然なにを」

未央「えへへ、ここ来たら食べられるかもー?って思ってたんだー」

卯月「私も食べてみたいです!」

真奈美「はぁ、もうほとんど仕込みをしてしまったんだが、なんとか増やしてみるか」

真奈美「凛、君も食べていくかい?」

凛「でも、迷惑じゃ」

真奈美「どうせ増やすんだ、構わないよ」

凛「じゃあ、お願いします」

真奈美「うん、わかった」

ありす「それでは、お手伝いします」

真奈美「ふふ、じゃあお願いしようかな」

ありす「はい」

まゆ「お茶入りましたよぉ」

珠美「お茶菓子お持ちしました!」

紗南「ただいまーって、あれー!? なんで未央さん達がいるの!?」

雪美「……こん、ばんわ…………」

卯月「紗奈ちゃん、雪美ちゃん、こんばんはー!」

凛「これで寮の人勢揃いだよね」

早苗「そっだねー、ここまで人が増えると流石の食堂も狭く感じてくるねぇ」

真奈美「はいはい、出来たからみんな運んでー」

まゆ「凛ちゃん達はごはんの量どうしますかぁ?」

卯月「普通で良いですよー」

凛「少なめで」

未央「山盛りで!」

真奈美「こら」

未央「え、ダメ?」

真奈美「流石にごはんまで追加で炊く時間も炊飯器もなかったから、せめて普通盛りで勘弁してくれ」

未央「はぁ~い」

凛「あれ? ありすちゃんは食べないの?」

ありす「私は、兄さんと一緒に食べるので」

紗南「あ! ごめん、ありす。プロデューサーから伝言があったんだ」

ありす「なんですか?」

雪美「……P……今日……遅くなる……」

紗南「って言うか、もしかしたら帰れないかもしれないから、ここに泊まれって」

ありす「……そう、ですか」

真奈美「ふむ、なら、食べてしまおうか、ありす」

ありす「はい、すいません」

真奈美「気にしなくて良いから、ね?」ナデナデ

ありす「っ――はい」

卯月「そっか、ありすちゃんお泊まりなんだー」

未央「いいね良いね! 私も!」

凛「流石にそれはダメでしょ……」

まゆ「まゆと一緒に寝るので良ければいいですよぉ?」

未央「……あ、あはは、遠慮、しとこう、かな、うん」

まゆ「あらぁ、まゆ、フられちゃいましたぁ?」

未央「そんなこと無いけどさっ! めめ迷惑かけちゃダメだよねっ!」

まゆ「残念ですねぇ……ライバル減らすチャンスだったんですけどねぇ」ニヤリ

未央「ヒッ!!」

凛「まゆ、怖いよ……」

まゆ「うふ、冗談ですよぉ?」

凛「どうだか……」

まゆ「試してみますかぁ?」

凛「……いいよ、やろうじゃない」

未央「しぶりん落ち着いて!」

珠美「ありす殿、誰の部屋に泊まりますか? 選り取り見取りですよ!」

ありす「えっと……」

雪美「……ありす……一緒に……寝よ……?」

ありす「そうですね、お願いします、雪美さん」

珠美「むぅ、残念です……」

凛「どうして?」

珠美「二人きりの時にプロデューサーのチョコの好みを聞こうかと……」

凛「ふーん?」

珠美「――はっ!?」

卯月「でも、当日はチョコ持って行けないんでしょ? 聞いてもしょうがないんじゃないかなー?」

珠美「そそそそうでしたね! うっかりしておりました!」

未央「……閃いた!」

凛「なに?」

未央「プロデューサーはほぼ確実に、ありすちゃんを迎えにここに来るんだよ!」

未央「ここは事務所でも現場でもないプライベート空間なんだから、チョコ持ってきても問題ないよ!!」

卯月「おー、未央ちゃん凄ーい!」

凛「なるほど、未央にしては良いアイデアだね」

未央「にしてはって何!?」

まゆ「……気付いちゃったんですねぇ?」

未央「えっ?」

まゆ「そしてテンション上がってペラペラ喋っちゃったんですねぇ?」

未央「」ガタガタ

凛「まゆ、気付いてたんだ」

まゆ「当然ですよぉ? 地の利はこちらにあるんですからぁ」

まゆ「珠美さんだって、気付いてたんですよねぇ?」

珠美「……はい」

まゆ「それなのに黙ってたのはどうしてだと思いますかぁ?」

卯月「えーっと、えーっと……」

凛「言いたいことは分かるよ。ライバルが増えないようにするため、でしょ?」

未央「あっ!?――みんな、さっきのは忘れて!」

早苗「あはは、無茶言うねぇ、未央ちゃん。この場にいる全員の耳に入ってたよー?」

未央「ですよねー……あはは……」

凛「未央、私は感謝してるよ」

卯月「私も! ありがとう未央ちゃん!」

未央「うぅ……しぶりん、しまむー……ありがどぉ!」ブワッ

まゆ「――分かってるとは思いますけどぉ」

凛「この場に居る人以外には他言無用、だね」

真奈美「……ここに他のアイドル達に押し掛けられても困るし、しょうがないか」

友紀「と言うことで、ありすちゃん、プロデューサーの好み教えて?」

ありす「」

雪美「……あり、す……?

ありす「――ぁ、すみません。少し意識が飛んでました……」

真奈美「まぁ――仕方ないね」

ありす「好みと言われましても……兄さん、結構甘いモノ好きなので、特別コレというのはないと思いますよ」

紗南「へぇー、意外だなー」

ありす「たまにお休みの日に喫茶店に連れて行かれて、私をダシにパフェを頼んでるんですから」

早苗「あはは、男の人ってそう言うの気にする人多いみたいだしねぇ」

真奈美「ふふ、可愛いところもあるんだな」

凛(プロデューサーの、好み……でも、ストレートにそう聞くのも、ね)

凛(――こう聞けば、いける、かな?)

凛「ねぇ、ありすちゃん」

ありす「はい、まだ何か質問ですか?」

凛「例えば、例えばなんだけど――」

凛「ここにいる人で、ありすちゃんのお義姉さんになっても良いって人は居る?」

ありす「はいっ!?」

 ガタタッ

未央「おおっとぉ!? しぶりんが思いの外ストレートな質問行ったーっ!!」

凛「え……これでも変化球にしたつもりだったんだけど……」

友紀「それ言っちゃったら、まぁ言わなくてもだけど、バレバレだよねー?」

凛「うぅ……」

ありす「えっ、と――えーと……」

真奈美「無理して答えなくても良いからね」

早苗「またまたー、真奈美さんも気になってるんじゃないのー?」

真奈美「興味深い話ではあるけど、ありすに無理強いしてまでとは思わないよ」

ありす「あくまで私の意見、と言うことでしたら、答えなくもないですが……」

凛「うん、十分だよ」

ありす「消去法で行きますね」

卯月「うんうん」


ありす「年齢差的に、15歳以下はないですね」

凛「」

未央「うーん、残念っ!」

紗南「やっぱりねー」

雪美「……しょっく………」

ありす「あと、兄さんは家では非常にだらしないので、しっかりした人が良いです」

ありす「少なくとも、お尻をひっぱたいてでも兄さんに片づけをさせられるくらいの人じゃないと」

早苗「えっと、それはどんな判断基準なのかなっ!?」

友紀「かなかなっ!?」

ありす「お二人のお部屋は拝見させて頂きました」ニッコリ

早苗・友紀「」

凛「卯月もないね」

未央「ないねぇ」

卯月「えーっ!?」

未央「だって、強要するとか無理でしょ」

卯月「うーん……」ポヤポヤ

――――――
―――

卯月「Pさん! 部屋の掃除くらいしてください!」

P「えー、だるいよぉ」

卯月「だーめーでーすー!」

P「卯月ぃ……」グイッ

卯月「きゃっ!?」

P「一緒に寝ようぜぇ」ギューッ

卯月「も、もうっ、しょうがないですねーっ」

―――
――――――

卯月「……えへ……えへへ……」

凛「ダメだね」

未央「ダメっぽいね」

真奈美「プロデューサー君は、そんなにだらしないのかい?」

ありす「酷いなんてものじゃないです……」

ありす「仕事してる兄さんを見て、自分の目を疑いましたから」

凛「そんなに……」

真奈美「それはそれは、鍛え甲斐がありそうだね」

未央「えっと、そうすると残ってるのは、真奈美さん、まゆちゃん、珠ちゃんの3人だけ?」

ありす「あ、まゆさんは――」

まゆ「まゆですかぁ? ご指名ですかぁ?」

ありす「ちょっと、その、怖くて……ごめんなさい」ペコリ

まゆ「」

凛「ぷっ」

ありす「私からは以上です」

凛「そうすると候補は――」

紗南「珠美さんと真奈美さんの2人だけかー」

珠美「たたたたた珠美もですかっ!?」

ありす「あくまで私の意見ですし、それで何が決まるという話でもないですけど」

早苗「いやぁ、実の妹の意見って言うのは、なかなか、ねぇ。はぅ」

友紀「早苗さん……ビール、飲も?」

早苗「そうしよっか?」

真奈美「控えめでお願いしますよ」

早苗「はぁーい」

凛「はぁ……私たちも帰ろっか」

未央「そうだね! 帰ってチョコ作りの練習しなくちゃ!」

凛「……え?」

未央「おうおう、渋谷凛ともあろう者が、こーんな事でへこたれるのかーい!?」

未央「あくまでありすちゃんの意見なんだから、まだまだ希望はあるのだーっ! ってねっ」

凛「ぁ……そっか、そうだね、うん。ホント、ありがとう、未央」

未央「おしっ、じゃ、張り切って帰ろーっ!」

卯月「あ、待ってー!」

まゆ「気を付けて帰ってくださいねぇ」ニッコリ

未央「ヒッ」

凛「まゆ……」

まゆ「未央ちゃんの言葉に、まゆも元気を貰いましたからぁ、大丈夫ですよぉ」

未央「そ、そっか、そっかそっか……それじゃ、お邪魔しましたーっ!」

凛・卯月「お邪魔しましたー」

バレンタインデー前日

P「今日も夕飯ごちそうさまでした、美味しかったですよ」

真奈美「そうかい、良かったよ」

雪美「……ありす……また、明日………」

ありす「はい、また明日、です」

珠美「プロデューサー、ありす殿、お気を付けて!」

紗南「まったねー!」ブンブン

まゆ「お疲れ様でしたぁ」

 テクテク

ありす「兄さん」

P「んー、どうした?」

ありす「兄さんは、事務所で気になってる方は居るのですか?」

P「っ――どうしたんだいきなり」

ありす「確認ですよ、ただの」

P「何のだ?」

ありす「さて、何でしょうか」

P「はぁ……居ないよ」

ありす「うそばっかり……」

P「何を根拠に――」

ありす「私が兄さんの好みを把握してないと思ってるんですか?」

P「――え」

ありす「タンスの上から2段目の左奥に鍵」

P「」

ありす「押入上段の奥の箱の鍵穴に差し込むと……」

P「ごめんなさいっ!」

ありす「人にばかり掃除を任せてるからそんなことになるんです」

P「兄貴の秘密を探って嬉しいのかい、マイシスター」

ありす「兄さんは、もっと素直になっても良いと思います」

P「え」

ありす「急がないと婚期を逃しちゃいます」

ありす「あるいは……お目当ての人が、誰かにさらわれちゃいますよ?」

P「……」

バレンタインデー 寮

P「お邪魔しまーす」

未央「プロデューサー! おっつかれー!」

凛「プロデューサー、お疲れ」

卯月「お疲れ様でした、プロデューサーさん!」

P「ん!? 何やってんだお前ら!」

凛「今日はバレンタインデーでしょ?」

P「なっ!? チョコの持ち込みは禁止しただろ?」

未央「ここは仕事場じゃないよー?」

P「ぐっ……だが、ここに持ってきたって事は――」

卯月「事務所に行く前に来て、真奈美さんに預けたんですよー?」

P「……そこまでやるかぁ」

凛「まいった?」

P「まいったまいった、お手上げだ」

未央「いぇーいっ!」

P「――と言うことは」

友紀「ふっふー、もちろんあたしたちも用意してるよーん?」

P「デスヨネー」

ありす「あの、兄さん……」

P「ん?」

ありす「私も、用意しました」

P「いつの間に……」

真奈美「ここで、作ったんだよ」

P「あぁ、そうでしたか。お世話になりました」

真奈美「気にしなくて良いよ。必死な子は応援したいんだ」

凛「それじゃ、プロデュ――」

早苗「ちょっと待った!」

凛「っ――何、早苗さん?」

早苗「ただ渡すのもつまらなくない?」

まゆ「どうするんですかぁ?」

早苗「プロデューサー君に、最初に貰いたい人を選んで貰うってのはどうかなー、ん?」

P「えっ」

珠美「良い考えです!」

紗南「ゲームみたいだね! 面白そう!」

P「良い考えでも面白くもないわ! こんなの火種蒔くようなもんじゃないですか!!」

早苗「ニヤリ」

P「うっわ、口で言ったぞこの人……」

未央「それじゃー、恨みっこ無しって事でー」

卯月「選んでください、プロデューサーさんっ!」

P「むむっ……」

真奈美「こう言うのは、下手に悩むと選べなくなるぞ」

P「そう言われましてもね――」


 ありす『兄さんは、もっと素直になっても良いと思います』


P(あ……)


 ありす『お目当ての人が、誰かにさらわれちゃいますよ?』


P「……」

P「ありす、ありすのチョコをくれないか?」

ありす「っ!? に、兄さん、何を……」

P「まだまだ、お前を手放してなるものか!」

凛「やっぱり、ロリコンで、シスコンなんだ……」ボソッ

P「凛ー? 違うからなー?」

早苗「やっぱ逮捕しておくー?」

P「えー……」

雪美「……ロリコン、なら……まだ……チャンス………」グッ

P「ガッツポーズやめなさい、雪美。ね、やめて?」

まゆ「やっぱり、敵わなかったですねぇ……」

P「まゆは何と戦ってたんだ……」

未央「うーん、まだロリ枠で行けると思ったんだけどなー?」

P「……」

未央「何か言ってよ!?」

P「もう疲れたよ……」

真奈美「ふふふ、思った通り、と言うか、君をひっぱたくことにならなくて良かったよ」

P「どういう事ですか……」

真奈美「さぁ、どういう事だろうね?」

P「ところで――」

真奈美「ん?」

P「真奈美さんのチョコも食べてみたいんですよね」

真奈美「あー……すまない」

P「あれ、もしかして真奈美さんからはありませんでしたか……」

P「やっべ、俺、自意識過剰? カッコわるっ」

未央「どこか抜けてるところがプロデューサーらしいねーっ」

P「」グサッ

真奈美「いや! そうじゃないんだ!」

P「――へ?」

真奈美「食後のデザートとして出そうと思っていたんで、今すぐに渡すことが出来ないんでね」

P「やった!」


早苗「あーぁ、喜んじゃってまー」

紗南「結局、ありすの勝ちかー」

まゆ「違いますよぉ」

珠美「どういう事ですか?」

まゆ「うふふぅ……」

早苗(2番目に真奈美さんのチョコを求めた、ってことは、つまりそう言うことだよねー)

凛「じゃ、これ」パシ

P「味気ない渡し方だなぁ」

凛「だって、もう……どうでもいいじゃない」

まゆ「プロデューサーさぁん、まゆのチョコも受け取ってくださぁい」

まゆ「まゆの、プロデューサーさんへの溢れる愛情を込めましたからぁ」

P「お、おぅ……」

真奈美「一応、作ってるところは監視しておいた。異物は入ってないはずだから」コソッ

P「ありがとうございます」

卯月「私のも貰ってください!」

未央「あっ! 出遅れたーっ!」

紗南「あたしのも食べてね!」

珠美「珠美のもお願いします!」

雪美「P……私の、も……」

友紀「あたしが作ったチョコバットとチョコボールも食べてよー?」

早苗「はい、これはあたしから」

食事後

真奈美「はい、これは私から、だ」コトッ

P「これは……チョコパフェ!?」

未央「うわぁっ! その手があった!!」

真奈美「パフェが好きらしいと聞いたんでね。スイーツ作りはそこまで得意ではなかったんだが、頑張ってみたよ」

P「――ありす?」

ありす「……」プイッ

真奈美「まぁまぁ、食べてみてくれ」

P「そうですね……」

早苗「真奈美さーん?」

真奈美「はい?」

早苗「……」コソコソ

真奈美「え……いやしかしそれは……」

P(ん、なんだ? 真奈美さんが狼狽えるなんて珍しい)

真奈美「……くっ」パシッ

P「ぅわっ!? 真奈美さん、なんでスプーンを取り上げ――」

真奈美「はい……あーん」プルプル

P「!?」

 ザワッ

真奈美「は、はやく、してくれ……」

真奈美「――流石にこれは、恥ずかしい……」

凛「あれは……」

未央「伝説の、あーんですなぁ……」

卯月「」アーン

凛「卯月……」

まゆ「うらやましいですねぇ。まゆもプロデューサーさんにしてあげたいですよぉ」

紗南「って言うか、プロデューサー固まってない?」

未央「真奈美さんも……だね」

ありす「あぁもうっ、見てられません!」

雪美「……早く、しないと……溶ける………」

友紀「プロデューサー、がんばれー!」

珠美「あ、プロデューサーが動きましたっ!」

P「」パクッ

真奈美「その、どう、だろう、か……」

P「真奈美さんっ!」ガバッ

真奈美「えっ」

P「……」ギューッ

真奈美「」

早苗「~♪」

P「凄く美味しいです」

真奈美「そ、そうか……」

P「それに、恥ずかしがってる真奈美さんが、凄く、可愛いです」

真奈美「っ、な、何を言ってるんだ君はっ!?」

未央「あ~ぁ、あれは敵わないや」

まゆ「そうですねぇ」

凛「流石に、もう、ね」

卯月「?」

珠美「卯月殿は――分かってなさそうですね」

雪美「……P……嬉し、そう……」


ありす「ふぅ、何とかなりましたね」

早苗「ふぅん、始めから知ってたのねー?」

ありす「はっ!?」

早苗「あはは、んまー、おねーさんも背中押したようなもんだから、良いけどねー」

ありす「兄さんは、かっこいい女性が好き見たいなんです」

早苗「ほほー」

ありす「だから、タイプ的には真奈美さんがピッタリかと思ってたんです」

ありす「たまに兄さんから真奈美さんの話も聞いてましたし……」

早苗「あっれ、カッコイイだったらあたしも候補に挙がらない?」

ありす「早苗さんは、ちょっと――違うかなーって思います」

早苗「あれー、おっかしいなぁ」ポリポリ

ありす(本気で言ってるっぽいですね……)


真奈美「いい加減離してくれないか!?」

P「イヤです!」

真奈美「っ!?」

P「一生離しませんからね!!」


おわり

以上です

最初は名前ネタから発想して、ありすとPが兄妹だったらで書き始めたんですが、俺が木場さんスキー過ぎてこんな結果に……
Pとありすはごく普通の兄妹ですよ(小声)

あとヤンデレが書けない俺にはままゆの調整が難しかった!

全く関係ない話ですが

モバP「失望しました。みくにゃんのファンやめます」 みく「にゃっ!?」
と言うスレタイが思い浮かびましたが、話が全く広がりませんでした
みくにゃんのファンやめます



誰か書いてくれ

P「みくにゃんのファンやめます」

みく「にゃっ!?」

P「その代わり恋人になっちゃうぞー!」

みく「Pチャン大好きだにゃ!」


こうですかわかりません

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