P「バレンタインくらい知っているよ」(169)
P「はぁ。今日はバレンタインか~」
P「昨日はみんなが結構浮かれてはしゃいでたからなぁ」
P「とはいえ、俺みたいな奴がもらえる訳がないんだよ」
P「まぁ、もらえる訳ないんだからさ。普通にしていよう」
P「今日は平日なんだよ」
P「今日は平日」
P「そうなんだよ。今日は平日なんだよ」
P「まぁでももしかしたら、なんてことあるかもしれないしな」
P「たぶん、余ったのとかきっとくれるだろうし」
P「義理でもいいんだよ、義理でも」
P「別に本命が欲しいとは言わないけれどな」
P「あ~、いや、まぁ、言ってしまうと本命があればいいとは思ってるよ」
P「でもなぁ~。俺に限ってそんなことあるわけないし」
P「とか考えてるうちに事務所に着いてしまったな」
P「まずは音無さんか」
P「おはようございます」
小鳥「おはようございます、プロデューサーさん」
P「ふぅ……。何もない、か」
小鳥「? 今何か言いました?」
P「いや、何も」
小鳥「それよりプロデューサーさん! 今日はバレンタインデーですよ!」
P(お、ま、まさか……音無さん! 俺にチョコをくれるのか!?)
P(い、いや、待て待て……音無さんだぞ!? 相手はどんなチョコを食わされるかわからん)
P(きっと小鳥さんのことだ。度が過ぎた愛情のために陰毛を突っ込んだチョコとか)
P(はたまた、酒が入ったチョコとか寄越して俺がべろべろになった所で
俺のチョコバットをパックンチョという作戦なのか……)
P(しかし、問題はそこだけではない。音無さんがもし手作りなんてしてきた時には
多分俺はこの世のものではなさそうなチョコレートを見るハメにはるかもしれない)
P(彼女の申告な女子力の低下)
P(もはや板チョコダイレクトも免れない)
P(だが、仮にだ。彼女がすごい家庭的な一面を持っているとしてすごい料理のできる人だったら)
P(うん……ありだな)
小鳥「みんなどんなチョコ持ってくるのか楽しみですね!」
P「え、えぇ、そうですね」
P(なん……だと?)
P(この感じ、今、俺はオーラで分かってしまった……)
P(さてはこの女……! はたからチョコなんぞ持っていないィ!)
P(ま、まさか……こいつ、もらう専門に回るというのか!?)
P(最近、鬱陶しい友チョコだと言う女性から女性へ送るもの)
P(いつもお世話になっている小鳥さんにアイドル達が持っていくと
彼女自身がわかっていて自分は何も持っていないというのか)
小鳥「楽しみだなぁ~」
P「ははは、楽しそうですねぇ」
P(楽しみだなぁ、だとォォ!?)
P(くっ、この女、俺がどうせもらえないということを知っていてそんな風に言ってるのか?)
P(あくまでも私とプロデューサーさんは二人同時にもらって
一緒にアイドルの持ってきたチョコを二人で食べて
感想を語り合おうと言うつもりなのだろうか……)
P(だが、心配はない……彼女達は俺に持ってくることはない)
P(まぁ、いい。まずはもう仕事を始めないといけない時間だ)
P(仕事をこなしつつ、次の子を待つとするか……)
P(次は……律子か)
P(義理堅い彼女ならば……!)
P(あるっ! あるぞ!)
P(多分、はい、これあげますよ。どうせ誰からももらってないんでしょうから、とか言ってな!)
P(ありがたいことだ。実に有難い。やっぱ時代は律子だよな)
P(む、ヒールで階段をカツカツ上がってくる音が聞こえる……! 来たか!)
律子「おはようございます~」
小鳥「おはようございます~」
P「あぁ、おはよう」
P(む、しまった。今のはクールすぎたか?)
P(期待に胸が高まりすぎてるのを隠そうとついクールに対応したつもりが)
P(俺としたことが……やりすぎてしまったようだな)
律子「今日も寒いですねぇ~」
P(カバンをデスクに置いた。そして中を探っているぞ……来る! 来るゥ!)
律子「はい、小鳥さん。バレンタインのチョコですよ」
P(……俺のは?)
P(落ち着け。順番があるはずだ。次だ次)
律子「あ、プロデューサー?」
P(キタァァァッァアア!)
律子「一昨日のライブの報告書まだなんですか?」
P「え? あ、あぁ、すまん。今、刷ってくるよ」
P(あ、あれ?)
P(あれ? あれあれ? そこは、はい、チョコですよって渡すんじゃ……)
P(あっれ~~? おかしいなぁ~?)
P(て、照れてるのかな?)
P(そして、このあと三人は黙々と己の仕事をこなしていった……)
P(チョコの話題すら一切なく)
P(ちなみに音無さんは律子のチョコをもらってその場であけて食べて朝食代わりにしてた)
P(……俺もおんなじことしようと思ってた)
P(朝から何も食べてないから助かったよ~! おお、うまいな!)
P(とかこんなやり取りしたかった)
P(そうこうしてるうちにアイドル達がくる午後がやってきた)
P(気を取り直そう……ここからが本番だ)
P(まずは誰だ……家が近い奴から順に来るかもしれないな……)
響「はいさーい!」
P(来たか。優しく家庭的な響ならば……あり得る)
律子「あら、響。今日は早いじゃない」
響「あれ? 自分が一番乗り?」
響「そっか。じゃあまずは律子とピヨコに」
P(おい、律子とピヨコのあとにもう一人来てないぞ)
響「はいこれ! ねえねえ食べてみて!」
律子「もう、あとにしなさい。みんな来たらみんなで食べればいいでしょう」
小鳥「いただきま~……あ、あとにしましょう。ね!」
P(別で渡すのか。一緒じゃないんですよと。あそこの人達にあげるのとは別物なのか)
P(つまり本命ですか)
響「じゃあみんなのこと待ってるよ」
P(そう言ってソファに座って編み物を始める響……)
P(その編み物こそが……俺への!? もし俺のならば有難いのだが、完成させとけよ)
P(だが、俺はもうこの時には気がついていた)
P(中学生くらいの時か、周りで女子は交換してるのを男子たちはそれを見てるだけだった)
P(あの頃の淡い気持ちを今思い出している)
千早「おはようございます」
響「おはよう千早!」
千早「おはよう我那覇さん」
響「はい、千早!」
千早「ありがとう。すごい、手作りなの?」
響「うん、そうだぞ!」
千早「私のは市販の奴なんだけど……」
響「おお~! いいの!? ありがとう!」
P(……もらえないのはもらえないでもうどうでも良くなってきた!)
P(いや、嘘です欲しいですください)
P(それにしても微笑ましい二人だな)
やよい「おはようございまーすっ!」
千早「た、高槻さん! こ、これ……!」
やよい「どうしたんですか? あ、バレンタインのですか!?」
千早「よ、よかったら……一生懸命作ったの……」
響「…………………………」
やよい「うっうー! ありがとうございますー!」
やよい「それじゃあ私からも! はい! 響さんもどーぞ!」
響「あ、ありがとうだぞ~!」
響「ねえ千早。やよいのチョコ嬉しそうに抱きしめてる所悪いんだけどやよいのは手作りなの?」
千早「高槻さんのだけよ」
響「そ、そっか……自分だけじゃなくてよかった……」
やよい「はい、律子さん! 小鳥さんもどーぞ!」
律子「ありがとうやよい」
小鳥「ありがとうやよいちゃん」
P(みんなに配るやよいは偉いなぁ……うんうん)
P(やよいィィィィイイイイーーーッッ!)
P(お・れ・の・は!?)
P(O・RE・NO・HA!?)
P(みんな照れてるんだよ!! 恥ずかしいんだろ!? そう言えって)
真「お、おはようございます……」
響「うぎゃー! どうしたんだその両手のいっぱいの袋……ま、まさか」
真「うん、全部チョコなんだ……」
やよい「す、すごいですねー! これならうちは1年間暮らせそうです!」
千早「さすがにチョコだけ食べて生活するのはどうかと思うわよ」
響「でも真にも自分からあげるぞ! はい!」
やよい「私からもありますよ! はい!」
真「あ、ありがとう……もうチョコは当分いいかな」
律子「小鳥さん……何欲しそうに見てるんですか!」
真「小鳥さん、よかったら一つくらい一緒に消化してくれませんか?」
P(あれだけ見ると……気の毒……)
P(んな訳ねえーだろ! ボケ! 俺もあんな風にチョコに埋もれてよろよろ歩きたいわ!)
P(なんだよチョコの袋持ちすぎて前が見えない状態って!)
P(だが、気がついたことがある……千早だ。千早のやつ。貰った奴には返してるぞ)
P(真も律子もそうっぽいが、ということは必然的に彼女らは余るんじゃないか?)
P(こ、これは……勝機が見えてきた!)
亜美「おっはろー!」
真美「おはー!」
亜美「あー! やっぱりまこちん大量に持ってるよ!」
真美「でしょでしょ!? それじゃあさっそく~……」
律子「こら、あんた達、それは真のなんだから勝手に食べようとしないの」
真「い、いいよ。二人共。でも食べ過ぎたりしたらだめだよ」
真美「困ったまこちんは助けてあげるなんて、真美達もしかして養命酒じゃない?」
響「救世主のことか? 養命酒で救えるのはピヨコだけだぞ」
小鳥「えぇ!? ちょっと響ちゃんどういうこと~!?」
律子「あ、小鳥さんどこ行くんですかって何一緒になってチョコ食べてるんですか!」
真美「でも真美達からもあるんだよ~、はいやよいっち、ひびきん、それにりっちゃんも」
やよい「じゃあ、こっちもおかえしだよ!」
亜美「それから千早お姉ちゃんにまこちんのもあるんだよー!」
P(ワイワイガヤガヤと真の大量のチョコを囲みながらチョコ交換会が始まった)
P(一方俺は蚊帳の外……むしろこの状況を弄られもしないのが辛いわ)
真美「おやおや~? 兄ちゃん兄ちゃん?」
P(キタァァァァーーーッッ!)
真美「もしかしてもしかしてまだもらえてないの?」
P「え? あぁ、まあね~。ははは」
真美「そっかー。うんうん。そういう時もあるよ。ドンマイドンマイ」
真美「あー! 亜美ずるいそのおっきいの真美も食べようと思ってたのに!」
P(え? それだけ?)
P(真美さんや。双子のお姉さんや。それだけなのかい?)
P(みんないるソファのまわりと俺のいるデスク……妙に距離が有る気がするわ)
雪歩「おはようございます~。ま、真ちゃん!? これ全部真ちゃんの!?」
響「置いてあっただけなのによくわかったな」
真美「そりゃわかるっしょ~」
雪歩「私からも真ちゃんに」
真「ありがとう雪歩。雪歩もこれ、食べるの手伝ってくれない?」
雪歩「う、うん。分かった」
P(この机の位置からなら分かるが雪歩の奴、真のチョコをカバンにしまってるぞ)
P(……あいつ、絶対捨てる気だ。少しでも真がチョコもらわないようにしてるつもりだ)
P(でもさ、雪歩。それを俺に寄越すって手もあるんだぜ?)
P(そこになぜ気が付かないんだい……)
やよい「雪歩さんもどうぞ!」
響「自分からもあるぞ!」
雪歩「ありがとうやよいちゃん。これ、私からも」
P(雪歩を囲んで交換会してるぞ。普段おとなしい雪歩が一生懸命みんなに配ってる)
P(うんうん、雪歩も雪歩なりに成長して
みんなと上手くコミュニケーションをとれるようになってるのか)
P(そんな中、俺とチョコの関係は一行にバッドコミュニケーションなんだがな)
あずさ「おはようございます」
真美「あずさお姉ちゃんー!」
あずさ「あら、どうしたの?」
やよい「あずささん、これ私からバレンタインのチョコです!」
響「自分も!」
亜美「亜美も~!」
雪歩「あ、あの、私からも」
あずさ「みんなありがとう。私もみんなにあるのよ。市販のだけど、貰っていって」
P(あ、あれは……市販の奴……! 一つの箱に何個も入っていて一人一個ずつ取ってる。
ということはあの人数個分、余れば俺のが来るぅぅぅ~~!!)
P(…………余りませんでした)
P(いや、具体的には余ってたんだけど、みんなが一つずつ取ったあとの
あのあずささんの衝撃の一言が)
あずさ「さて、じゃあとはひいふうみい、うん、来てない子の分ぴったりね」
P(そう言って蓋をしてしまったんだ)
P(希望の光が……途絶えてしまったんだ)
P(来てない子じゃなくて来てる子もいるんですけど……)
P(わざとなのか!? わざと見せつけてるのか!?)
P(残りは大本命天海春香&美希、それから伊織、貴音)
貴音「おはようございます」
真美「ハッピーバレンタイ~! お姫ちん~!」
貴音「なんと……本日はそのような日でしたか」
響「貴音~~! はい、自分からもあげるぞ!」
雪歩「私からも」
やよい「私からもあります!」
P(あっという間に貴音の両手がいっぱいになってしまった)
P(それにしても両手にいっぱいのチョコをもった貴音の奴……)
P(嬉しそうだなぁ~~)
P(なぁ、こっち見ろよ貴音。おい。こっちをよ。俺の机を見ろよ)
P(お前の両手とは裏腹で仕事のものしかないんだぞ?)
貴音「実に……もぐもぐ……美味ですね……もぐもぐもぐもぐ」
律子「貴音、あんたそれくらいにしときなさいよ?」
貴音「ふふ、貰った時のこの嬉しい気持ちを実感するためにもすぐに食べなくてはいけません」
P(それの正反対の俺はこの貰ってない寂しい気持ちを噛み締めるために
君等を尻目に只今絶賛お仕事中なんですけどねぇぇぇぇ!)
響「ほら、貴音、口ついてるぞ」
貴音「ありがとうございます、響」
響「……まったくもう」
P(なんだそのやり取りはよおおお! 俺もやらせろよ! 全身にチョコ塗って
もう、ついてるぞ、ってフキフキ拭かれたいわ! まぁでも塗るチョコがないんですけどね!)
伊織「ちょっと……なによこれ……」
やよい「あ、伊織ちゃん! うっうー! はいチョコレート!」
真美「真美達からもあるよいおりん!」
亜美「そうそう、で、今年のいおりんはどんな高級なの!?」
伊織「別にいつもと変わらないわよ。はい、みんな」
伊織「みんなの好みがわからないからとりあえず適当に買ってみたんだけど」
伊織「好きなの取っていいわよ」
P(まじで!? それ、俺も入ってるのかなぁ!? ねぇえ!)
P(それ、俺も入ってるんだよねぇぇ)
P(席を立つぞ……立って取りに行くぞぉぉ~~)
ガタッ
伊織「ちゃんと人数分あるはずよ。あれ? 春香と美希が来てないの?」
P(に、人数分だとぉぉぉ?)
P(この立ち上がった感じ……どうするんだよ……)
P(トイレに行って誤魔化そう)
P「全く、お前らも食うのはいいが程々にしろよ~?」
「「「 は~~い 」」」
P(そういう返事だけはいいのな!? 君たち!)
P(そこでついでに、はい、どうぞってなるだろうが!!)
P(待てよ、この俺が席に立っている隙に……机の中に忍び込ませる奴が誰かしらいるはず)
P(さあ、トイレが楽しくなってきたぜ……! ふふふふ)
P(いや、むしろこのトイレ前で待ちぶせなんてあるかもしれないな)
P(俺の一人を狙って……! さあ来い! いつでもくるんだ!)
P(トイレに行くのにゆっくり行って机に入れる時間を稼いであげるか)
P(途中で立ち止まって携帯なんか見ちゃったりして)
P(うん、今日も仕事のメールしかないや)
P(さて、トイレに入るぞ! 今入るぞ!? 入っちゃうからなぁ~?)
P(あぁ~、手がドアノブ掴んでますよ? あー、入っちゃったー)
P(惜しかったねぇ、アイドル諸君。俺の一人のチャンス今のがしたんだよ?)
P(でも大丈夫、外で待ってれば出てきますからねぇ~?)
P(普通に用を足して……さて、出るよ? 出てきますよ?)
P(はい、プロデューサーさんがトイレから出て来ましたよ? ここで声をかけて~?)
P「………………」
P(誰も来ないか)
P(いや、わかってたよ? だってトイレにいても向こうでワイワイやってるの聞こえるもん)
P(そんな中誰も来ないよ普通)
P(机の中にきっと入れてるんだよ今。うん、絶対そうだわ。靴紐結び直すか)
P(ネクタイ締め直すか)
P(あっれ~~、なんか爪の間気になるなぁ~? ん~?)
P(あ、そういえばメールが来てるかも……来てなかったわ)
P(なんか肩凝ったなぁ~。肩ぐるぐる回して……)
P(なんで誰も来ないんだよ!! 今チャンスだよ!? 俺廊下に一人でいるよ!?)
P(オンリーだよ!? そんでもってロンリーだよ!? 今チョコくれたらグローリーだよ!?)
P(でも貰えないからグロッキーだよ!?)
P(戻ろう。机の中見ようっと)
P(落ち着け。これでもし入ってたらどう反応する……?)
P(顔に出やすいからな。ニヤニヤしちゃうよきっと)
P(くれるとしたら誰だろうなぁ~、最初に事務所にいた音無さんも可能性としては……)
P(開けるぞ……開けるぞ~!?)
P「…………」
P(うん、なんもないわ)
P(よく考えたら机の中すげえ汚いわ)
P(あんなチョコの袋とか箱とか入らないもんこの中)
P(そうだね、それが原因だわ多分)
春香「おはようございますー!」
律子「あら、今日は遅かったじゃない」
春香「そうなんですよ~、はい律子さん、チョコレートですよチョコレート!」
やよい「はい、春香さん!」
真美「はるるん真美のチョコとトレードしようぜー!」
春香「ありがとう~! はい、千早ちゃん!」
千早「ありがとう春香。はい、これ、私からも」
P(ついに来たか……!! この時が!)
P(春香がチョコを配っている……)
P(チョコを、というかあれはなんだ? クッキーみたいなのだな)
P(美味そうだ。実にうまそうだ)
P(いかんいかん、今のうちにもらった時の言葉を考えないとな)
P(どうする……どうする……。素直にありがとうでいいか?)
P(シンプルすぎるなぁ……。だが、何か凝ったことをすれば気持ち悪がられるし)
P(その場で食べて感想を述べてあげればいいかもしれんな)
P(きっとさくさくで美味しいんだろうなぁ~)
P(貴音の奴なんかさっそく開けて食べてるよ……幸せそうな顔しやがって)
P(こっち見ながら食っても同じ顔できんの?)
P(さぁ来い! 来い!)
春香「あ、あれ!? 真の分がない!? えぇぇ!?
そんなぁ~。学校で配りすぎたのかなぁ?」
P(…………はい?)
P(いや、落ち着け、真の分がないんだよ。手持ちはまだあるはずだ)
春香「ごめんね、真。数間違えてもう全部ないよ……」
真「い、いいよ春香。ボクはこんなにあるし。春香も食べるの手伝ってよ」
P(きっとあれだ。本当はあと真の分と俺の分があったんだが、真の所からなくなったんだな)
P(多分そうだよ。俺の分もないや、なんて話は一度もしてないけれど……)
P(春香に限ってそんなことないよねぇ? 春香さん!)
P(あ、あの位置に置いてある春香のカバン……立ってまたお茶でも組みに行けば
カバンの中身が見えるぞ! そこで確認するんだ……!)
P(俺の戦いはまだ終わっちゃいない!)
P(行くぜっ!)
ガタッ
P(春香にも優しく声をかけてやろう)
P「まぁそういう時もあるさ。春香。気にするなって」
P(次に春香は
はい、そうですよね。本当はプロデューサーさんのもあったんですけど
という!)
春香「はい、そうですよね」
P(あっれぇぇぇ~~? 待てカバンの中身は……!?)
P(な、ない……!! 教科書とかノートとか台本とかしかない!!)
P(チョコレートのチョの字もねえぜ!)
P(だが、これだけではない。
このお茶をいれる時間、またしても俺はチャンスタイムを作ってしまったようだな)
P(お茶、セット……! お茶入りまーす!)
P(この間に机の中にもチョコが入りまーす!)
P(春香がもしカバンの中に持っていなくて懐にずっと入れてて……)
春香「殿、温めて起きました」
P「ぬぅッ!? 溶けてるゥ!?」
P(こんなやり取りもあるかもしれないな)
P(とか考えてるうちにお茶を無事に入れ終わってしまったな)
P(さて、戻るか。相変わらずワイワイキャッキャウフフしやがって!)
P(いや、音無さんはそろそろ仕事に戻ろうか。マジで)
P(よし、机の引き出しあけるぞ……開けるぞォ!)
P(オープン! あ、しまった忘れてた! 机の中汚いからなんも入らないんだった!)
P(馬鹿! 俺の馬鹿!!)
P(チャンスはなくなった……あとは……奴だけだ……!!)
P(そう……星井美希……!)
P(あいつならきっとハニーハニーチョコじゃなくてミキを食べて~?とか言ってくる!)
P(そうに違いないんだ……!)
美希「おはようなの」
P(キタアアアアアアア!!)
春香「おはよう美希! はいチョコレート!」
やよい「美希さん私からもありますよ!」
P(なんだ? 美希の様子がおかしいぞ)
P(美希にみんなひと通りチョコを渡し終えてる……)
美希「みんなありがとうなの。これはあとで美味しくいただくの。でもね)
美希「今はミキ、こんなことしてる場合じゃないと思うの。
他のアイドル達に負けないようにもっとレッスンしてもっともっと
成長しないといけないと思うんだ! だからミキ、もうここで遊んでばかりいられないの!」
P(おいいいい! なんつータイミングで覚醒してんだお前!!)
美希「律子さん、今日のレッスンは何時から?」
律子「え? まだ時間あるけど……」
美希「真くん、ミキのランニング付き合ってくれない?」
P(いや、髪色は変わってないけど、覚醒しぎだろおおおお!!)
美希「ハニー、ごめん。今はミキ、トップアイドルになることしか考えられないの」
美希「だから……ごめんなさい」
P(なに? なんか勝手に振られたみたいになってるんだけど!?)
P(なんだよこれ! なんだよこれ!!)
P「いや、美希がその気になってくれて嬉しいよ……頑張れ」
美希「ありがとうなの!」
P(行ってしまったぞ……)
春香「よーし、私達も美希に負けてられないね!」
響「うん! 自分たちももうスタジオ向かうぞ!」
春香「765プロー! ファイトー!」
「「「 オーーーッ!! 」」」
P(こうして、みんな事務所からスタジオに向かったり各々の現場に行きました)
P(……事務所に残されたのはまたしても俺と律子と音無さん)
P(山のように置いてある真のチョコがすごく眩しいです)
P(こうして……夜になってそろそろみんなはレッスン場からそのまま帰宅しました)
P(俺もそろそろ帰らなくては行けない時間だが……チョコ……)
P(俺のチョコはどこだよ!! どこにあるんだよ!)
P(引き出しを何度も引いてもチョコが出て来ません!)
P(中学生のいたずらみたいに背中に貼り付けてないかも確認しました)
P(机の上に置いてある真のチョコの中に、プロデューサーへ、ってのがないのかも
さりげなく確認しましたよ!)
律子「それじゃあ私達帰りますね」
P「おう、お疲れ様」
小鳥「お疲れ様です」
P(律子の奴、結局何も置いて行かなかったな)
P「俺ももうそろそろ帰りますね」
P(ならば律子を追うべし!!)
P(まずいな、うだうだ考えたから律子が事務所を出てから5分は経過してるぞ……)
小鳥「はい、お疲れ様でした」
P(待ってろ律子! 今、恥ずかしがり屋のお前のためにチョコを受け取りに行くぞ!)
P「うおおお!! 律子おおお!」
P(クソ……どこいった!? 歩くの早いな……律子の奴!)
P(事務所を出たら事務所の外で待ってた……なんてのも考えたが……いない!)
P(あ、あれは律子じゃないのか!?)
P(よしよし、今行くぞおおおお!!)
P「ハァ、ハァ、律子……!」
女「え? きゃぁぁぁああ! 痴漢よ!」
P「げっ、誰だこいつ!! にげろ!!」
P「……完全に律子を見失った……」
P「あー、事務所に忘れ物したな~」
P「取りに戻ろうかな~」
P「あ、靴紐結び直すか」
P「きっと今ごろアイドル達が俺が一人なのをいいことに後ろから追いかけてくるぜ」
P「あ~、なんか足が痒いなぁ~、立ち止まらないとかけないぞ~」
P「あの、信号走ったら渡れそうだが、渡らないでいようっと」
P「きっと信号待ちしてる時にも後ろから誰かが来て」
P「視線を感じるなぁ~。うんうん。後ろ向いちゃおうかな? ちらっと」
P「げっ、さっきの女がお巡りさん連れてやがる!」
P「だ、だがまだこちらには気がついていないようだな」
P「よし、今のうちに逃げよう……」
P「はぁ、とかなんとかやってるうちにあっという間に駅に着いてしまったなぁ」
P「改札通っちゃうよ? いいの? 誰も止めないの?」
P「今日は切符買おうかなぁ?」
P「あれ? 小銭はどこだ~? ん~?」
P「さあ、今のうちに来るといいぞ~」
P「切符買っちゃうよ? あぁ~買っちゃった~」
P「改札通っちゃうよ? いいの? 今がチャンスだよ?」
P「あーあ、最後のチャンスが~。でも大丈夫まだ電車来てないからね?」
P「まだホームにいるからね?」
P「あ、電車来るアナウンス流れたよ?」
P「誰も来ないの? 電車は来るのに?」
P「もう一本だけ待っちゃおうかな? 電車」
P「あー、なんかこの電車すごい乗っちゃいけない気がするわ」
P「うん、乗らないでおこうかな? でも乗ってもいいんだよ?」
P「あ、ドアしまっちゃったね。これはまたチャンスできちゃったねぇ~」
P「さあ、今のうちだよ~?」
P「あ、この電車には乗らないとね~」
P「ドア閉まるよ? 誰も来ないよ?」
P「携帯見るよ? あぁ、メール一通も来てないわ」
P「まぁ待て、まだ終わりじゃない」
P「俺の最寄りくらいならみんな知ってるはずだ」
P「そこの駅で……または家の前なんかってのもな」
P「駅ついたな」
P「駅員さんしかいないな」
P「普段いかないコンビニに寄ろうかな」
P「何も買わないけれど」
P「もうすぐ家見えて来ちゃうんだけど」
P「誰かいるかな? あれ? 誰かいるよ?」
P「暗くて誰かわからないなぁ~」
警察「君、ここに住んでる人だよね? ちょっといいかな?」
警察「痴漢の被害者が見つけたっていうこの保険証ってこれあなたのですよね?」
P「……………………」
P「はい」
P(このあと俺は無実を晴らすために署まで行き、
話し合ったあと誤解が溶けてようやく帰ってきた)
P「今、何時だ……? もう1時か……
バレンタインは過ぎてしまったな。
おお、ベッドが心地いいぞ」
P「風呂は明日の朝でいいや」
P(しかし、765プロは美希の覚醒により良い方向に動き出したのでいいとしよう)
P(だけどやっぱりチョコは欲しかった)
P「今年もゼロだったなぁ~……」
P(俺はどうしてチョコを貰えなかったのか、
なぜバレンタインデーというものがあるのか、
たくさんの疑問が頭の中でぐるぐるとまわったが)
P(チョコを貰いたいと思っても貰えないので考えるのをやめた)
P「……寝るか」
END
チョコ欲しいわ
ごめんね、オチ適当で
_、)ヘヘ)》`)`ミヽヽ、
_ィ、ルヘ》^`、,-‐ニ三ヽ-_=_-`ヽ、
_ノ^(()) ) (ヘルリヘ))ヘリリミ、彡/ノノヽ
(ルヘ((彡ミ《((〈))))ノソンン彡彡/ノ//)
((ヘ(、戈))ミ)ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;彡シ彡/ノ
\弋ミ彡='゙;;;;;;;-‐─ァ::;;;;;;;彡≪ノシf/
〃´ 弋::::::::::::::::;;;;;;;ミ
〃ヘ、 ィ==- `ヽ:::::::::シ-、ミミ
/ l⌒ヽ `‐=-、 |!:::/⌒)戈、
l / __ `ー / (ノ/ヘミ
i {ヽ r-' ヽ, ・/ノ、。_ノ;;ミミ、
|、 rェェェェ、_ヽ / /)リ;;ミ<
ハ弋二ノ_/ / |!;;!:::::f、
(_ \__/^ ヘ_ノ/ ノ}:::}|ミリ
\...:::::........、シノ 〃リミ\
_, -‐‐´⌒{ }‐---‐'´ ミ /\
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_/_ ヽ / 、 / _/_ 〃_/_ ヽ  ̄フ ─|/ヽ _/_ ヽヽ
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