タモリ「世にも奇妙なニートの物語」(399)
タモリ「ニート」
タモリ「働き盛りの年齢であるにもかかわらず働かない人々、を指す言葉として」
タモリ「今や世の中に広く浸透しています」
タモリ「生活するにはお金がいり、お金を得るためには働かねばなりません」
タモリ「にもかかわらず、彼らはなぜ働かないのか? あるいは働けないのか?」
タモリ「もしかすると、我々が予想だにしない奇妙な背景が潜んでいるのかもしれません」
タモリ「──さて、今回は幸か不幸かそんな奇妙に巻き込まれてしまった」
タモリ「四人のニートの奇妙な物語をお送りします」
『俺だけの才能』
< 家 >
テレビ『空飛ぶ円盤が多数目撃されているこの町では』
テレビ『町おこしのために、円盤のマスコットキャラ“エンちゃん”を作り~』
ニート「アホくせぇ、どうせ町内会の自作自演だろうがよ」
ニート「もっと面白い番組ねえかな~」
コンコン
ドア越しに会話する母子。
ニート「なに?」
母「ご飯作っておいたから、あとでチンして食べてね」
ニート「あいよ~」
母「あと……」
母「ちゃんと仕事探してる?」
ニート「探してるよ! パソコンでも仕事は探せるんだよ!」
母「そう、分かったわ、ごめんね」ササッ
ニート「……ちっ」
ニート(あ~あ、このままじゃまずいよなぁ)
ニート(かといって、一度この生活に浸かっちまうと、もう働くなんて考えられねえ)
ニート(朝早く起きて、日が変わるぐらいに帰る生活とか、やってられっか)
ニート(なにか俺にしかできないような仕事でもあれば──)
ニート(それこそマイペースでできるんだがな。なんたって俺にしかできねえんだから)
ニート(だけど、んなもんあるわけねえ)
ニート(俺がこなせる仕事は、だいたいの人ができるだろうからな……)
数日後──
コンコン
ニート「なに?」
母「居間に料理用意しておいたからね~」
ニート「あ~い」
居間に行くニート。
ニート「!?」
ニート「な、なんだぁ!?」
ニート(なんかやたら料理が豪勢なんだけど……)ゴクッ
ニート「これなんか、すげぇいい肉なんじゃねえの? 多分」
ニート「盛り付けとかも手間かけすぎだろ……」
ニート「…………」モグモグ…
ニート「うん、うまい」
ニート(どうしたんだ、いったい……)
ニート(俺へのエールのつもりなのか?)
ニート(っつっても、なぁ……働く気にはなれねえや)
ニート(ごめんよ、母さん)
さらに──
ニート(朝っぱらから、部屋の外から怒鳴り声が……うっせえな)ムニャ…
ニート(ん、親父と母さんがなんか喧嘩してる)
父「会社に……会社に行かなければ!」
母「ダメよ! そんな体で! 熱が39度もあるのよ!?」
父「うるさい! 会社に行かなければぁっ!」ダダダッ
母「ああっ、もう!」
ニート(つくづく社畜してんなぁ、親父……)
ニート(ま、そのおかげで俺はこうしてニートしてられるんだが)
ニート(定年も近いだろうに、いくらなんでも会社に命捧げすぎだろ……)
ニート(あれからというもの──)
ニート(母さんの料理はますます豪勢になり)
ニート(なんかもう、近々料理の大会でも開かれるのかって勢いだ)
ニート(カリスマ主婦でも目指してるんだろうか?)
ニート(一方、親父も前にも増して帰りが遅くなってる)
ニート(残業代もつかないだろうに、なにが楽しくて残業してるんだか……)
ニート(一応子供として心配は心配だが、俺になにかをいう資格はないのは自覚してる)
ニート(ご苦労なこった、二人とも)
そんなある日のこと──
< 家 >
黒服「こんにちは」
母「失礼ですが……どなたですか?」
黒服「詳しくは話せませんが、私は政府の密命を受け、動いている者です」
母「せ、政府!?」
黒服「こちらのご子息がニートだとうかがったのですが、事実ですか?」
母「は、はい……」
黒服「彼と話がしたいのですが、よろしいでしょうか?」
母「ど、どうぞ……」
ニート「な、なんだよ……アンタ!? 突然俺の部屋に入ってきやがって!」
黒服「君はニートだね?」
ニート「だ……だったらなんだよ!?」
黒服「君は今、まったく働いていないということだね?」
黒服「働き口を探してすらいない、家のことですらまともにやっていない」
黒服「そういうことだね?」
ニート「そ、そうだよ! 悪いかよ!」
黒服「よろしい」
黒服「さっそくだが、君を今から連行する。時間がないのだ」
ニート「えっ、そんな、ちょっと待って……」
黒服に連行された先は、さまざまな装置が並ぶ施設だった。
ニート(……どこなんだ、ここは?)
白衣「やぁ、いらっしゃい」
ニート(ムリヤリ連れてきて、いらっしゃいもないだろ……)
白衣「君の基本的なデータはすでに見せてもらっているが──」
白衣「君は今まったく働いていないとのことだが、本当かね?」
ニート「ま、まぁ……そうだけど」
白衣「ほ、ん、と、う、に?」
ニート「ホントだよ! 無職ですってウソつく方が珍しいだろ!」
白衣「ほぉう、これは驚いた! 現代日本にまだ君のような人間がいるとは!」
白衣「これは急がねばならん! さっそく君の身体検査を行う!」
ニート(な、なんだってんだよ……!)
白衣「仕事は探していた?」
ニート「いいえ」
白衣「働いていないことに関して、罪悪感は?」
ニート「あんまり」
白衣「機会があれば、働きたいと思う?」
ニート「いや……全然」
白衣「自分に向いてる仕事をパッとイメージできる?」
ニート「すぐには思いつかないです……」
白衣「ふむふむ……」カリカリ…
ニート(なんだってんだよ、いったい)
全ての検査が終わった時には、すでに真夜中になっていた。
ニートは研究施設に泊まることになった。
ニート(何十だか何百だか質問に答えさせられたり)
ニート(髪の毛を切られたり、皮膚をちょっと剥がされたり、血を抜かれたり)
ニート(まるで実験動物みたいな扱いだ)
ニート(しかも、なんのためにやってるのかの説明は一切ないし……)
ニート(どうなっちまうんだ、俺は……)
ニート(助けて……だれか助けて……)
翌日、白衣がニートを呼び出す。
白衣「検査結果が出たよ」
ニート「…………」ゴクッ
白衣「ありがとう……! 君は救世主だ!」
ニート「はい?」
白衣「実は今、地球上に恐ろしい病気が蔓延している」
白衣「一度使命感にとらわれると、働かずにはいられなくなるという病気が……!」
白衣「あえて名づけるとするなら、労働中毒というやつだ」
白衣「おかげで、今世界中で過労死に向かう人間が続出している」
ニート(そういえば……心当たりはあるな。ウチの親父と母さんもそうだった)
ニート「な、なんでそんな病気が蔓延してるんです……?」
白衣「異星人の仕業だ」
ニート「へ!?」
白衣「これは一部の国の、さらにごく一部の人間にしか知らされていない情報だが」
白衣「少し前、宇宙から飛来した円盤が世界中にウイルスをばら撒いたのだ」
ニート(マジか……。そ、そういえば……円盤がどうたらテレビでやってたな)
ニート「なんのために異星人はそんなことを……!?」
白衣「理由は色々考えられるが、最終的には地球人を奴隷にでもしたいのだろう」
白衣「労働中毒になった人間に、強烈な使命感を与えれば何でもやるだろうからな」
ニート「なるほど……」
白衣「だが、君のおかげで地球人に希望が見えた!」
白衣「血液検査で判明したのだが──」
白衣「君はおそらく世界で唯一、このウイルスに耐性を持つ人間だったのだ!」
白衣「自堕落だから耐性があるのか、耐性があるから自堕落なのかは分からんが」
白衣「とにかく! 君の自堕落さが世界を救うことになる!」ガシッ
ニート「はぁ、どうも……」
ニート(褒められてるんだか、貶されてるんだか……)
ニート(なんかよく分からないけど──)
ニート(このまま上手くいけば、俺は世界の救世主になれるってことは分かった!)
ニート(まったく働かず! 世界を救う!)
ニート(これはまさしく俺の……俺だけの才能!)
ニート(これこそが世界で俺だけができる仕事だったんだ!)
ニート(見ろ! 俺をニートだとかいって見下してる世の中の野郎ども!)
ニート(俺は働かないんじゃない……働かなくても英雄になれるんだ!)
ニート(頭と体をフルに使っても、食い扶持稼ぐので精一杯なお前らとはちがうんだ!)
ニート(ハハハハハッ!)
白衣「ではさっそくワクチンを作るための血液の採取を……」チクッ
黒服「動かないで下さいね」ガシッ
ニート(へへへ、これで俺も英雄かぁ……)
白衣「血をい~っぱい採取して、ワクチンをい~っぱい作らないと」
黒服「絶対に動かないで下さいね」ギュッ…
ニート「──ん、白衣さん? いくらなんでも……血を抜きすぎじゃねえか!?」
ニート「しかも黒服さん力入れすぎだって……痛いってば! 指が食い込んでるよ!」
ニート「聞いてんのか!? 二人とも……目つきおかしいって!」
ニート(ま、まるで……こみ上げる衝動を抑えきれないみたいに……!)
白衣「ワクチン、ワクチン、ワクチン、ワクチン、ワクチン、ワクチン、ワクチン」ガクガク
黒服「絶対に……動かないで下さい……絶対に……」ギュウウ…
ニート「うっ……」
うわぁぁぁぁぁ……!
~おわり~
タモリ「益虫、害虫という言葉があります」
タモリ「文字通り、人間に利益をもたらす虫を益虫」
タモリ「人間に害を及ぼす虫を害虫、といいますが」
タモリ「あるニートの男性が出会ってしまった虫」
タモリ「はたしてそれはどちらだったのでしょうか……?」
『ゴキブリ』
< アパート >
寝そべりながら、菓子を頬張るニート。
ニート「…………」ボリボリ…
ニート「お、そういやそろそろ今月の仕送りの日だな」ガサゴソ
ニート「資格の勉強してる、なんていってるけど、な~んもしてないっての」ボリボリ
ニート「やっぱり持つべきものは優しい親だよなぁ~」ガサゴソ
ニート「親の金で好きなことをして生活する」ボリボリ
ニート「これぞ憲法のいう“健康で文化的な生活”ってやつだよなぁ~」ガサ…
ニート「ちぇっ、もうポテトチップなくなっちゃった」
ニート(何週間か前に、買い占める勢いで買い溜めしてたのになぁ~)
ニート(コンビニまで歩いて五分か、遠いなぁ、めんどくさいなぁ~)ゴロン…
ニート(いいや……買いに行くのはまた今度だ)
ガサゴソ……
ニート「ん?」
ガサゴソ……
ニート「うわぁっ! ゴキブリだぁっ!」
ゴキブリ「…………」ガサゴソ…
ニート「うわぁぁぁっ! こっち来んなっ!」
ゴキブリ「…………」ガサゴソ…
ニート「ひいぃぃぃぃぃっ!」ダダダッ
< 外 >
ニート「ハァ、ハァ、ハァ……」
ニート「つい外に飛び出してしまった……」
ニート(くそっ、引っ越してから今まで一度も出なかったのに……)
ニート(イヤだなぁ、一匹見たら30匹はいるとかいうもんなぁ……)
ニート(……それにしても、外に出るなんて何週間ぶりだろう)
ニート(せっかくだ。ゴキブリも怖いし、少し外を散歩するか……)
< アパート >
ガチャッ……
ニート「ただいまぁ……」
ニート「…………」キョロキョロ
ニート「よかった……もうゴキブリはいなくなったみたいだな」
ニート「さぁ~て、パソコンでもやろっかな」
翌朝、熟睡するニートの顔を得体の知れない感触が襲った。
ガサゴソ……
ニート「……ん?」
ニート「!? ──ゴ、ゴキブリィッ!?」
ニート「うわぁぁぁっ!」
ゴキブリ「…………」ガサゴソ…
顔を洗うニート。
ニート(く、くそぉ~……顔に……!)バシャバシャ
ニート(あ~もう、冷たいなぁ!)バシャバシャ
ニート(しかもまだ6時じゃないか! こんなに早く起きるなんて、何年ぶりだよ……)
ニート(ようし……せっかく早く起きたんだ)
ニート(なんとしてもゴキブリを退治してみせる!)
ニート「えいっ!」バンッ
ゴキブリ「…………」ガサゴソ
ニート「とりゃっ!」バシッ
ゴキブリ「…………」ガサゴソ
ニート「く、くそっ……すばしっこい! 体も反応も追いつかない!」
ゴキブリ「…………」ガサッ
ニート(しかも、ぼくが散らかしてるゴミを巧みに利用して、隠れやがる!)
ニート(ゴキブリのくせに、なんて賢いんだ!)
ニート(そうか!)
ニート(部屋が汚いから、ゴキブリに隠れる場所を与えてしまっているのか!)
ニート(そうと決まれば、さっそく部屋の掃除だ!)
ニートは部屋の掃除を始めた。
ニート「げほっ、げほっ!」
ニート「うへぇ~、引っ越してから初めて掃除するから汚いや」
ニート「こりゃ、今日一日潰れちゃうな」
ニートは一日をかけて自分の部屋を掃除した。
同時に、ニートは自己改造も必要だと悟った。
ニート「ゴキブリのあのすばやさに対抗できるよう、体力もつけなくちゃな」
ニート「あと、目が疲れてちゃゴキブリを追えないから、パソコンやゲームを控えよう」
ニート「えっほ、えっほ」タッタッタ…
ニート「えっほ、えっほ」タッタッタ…
ニートはジョギングや筋トレを始め、体力をつけた。
ニート「ふっふっふ……今日こそぶっ潰してやる!」
ニート「オラッ! オラァッ!」
バシィッ! バシィッ!
ゴキブリ「…………」ガサゴソ
しかし、ゴキブリを倒すには至らなかった。
ニート「くそぉぉぉっ!」
ニート(どうすればいい! どうすればヤツを倒せる!?)
ニート(そういえばこの間……)
ニート(一発だけ丸めたチラシを当てることができたっけ。死ななかったけど)
ニート(あのチラシ、どこやったかな……まだゴミ箱に……)ガサガサ
ニート「──あった!」
ニート「なんのチラシだ……? 経験は問いません……? なんだ、求人広告か」
ニート「──そうか!」
ニート「金稼いで、ゴキブリ撃退グッズ買ったり、業者とかに頼めばいいじゃん!」
ニート「ぼくって頭いい~!」
ニート「親の金じゃ、自分の力で勝った気になれないもんな!」
それからというもの、ニートは就職活動に没頭した。
ニート「スーツは一応あるけど……」
ニート「面接の時、靴下は白の方が明るくて印象いいよな」
ゴキブリ「…………」ガサゴソ
ニート「うわっ! ゴキブリが靴下に!? きったないなぁ!」
ニート「あ~あ、もう紺色のしかないじゃん……仕方ない、これ履いてくか」
~
ニート「今日は雨降ってるから、やめとこ──」
ゴキブリ「…………」ガサゴソ
ニート「ひぃぃぃぃっ!? 分かったよ、行くよ!」
ニート「お前に怯えて部屋にいるぐらいなら、外で就活してた方がマシだ!」ダダダッ
面接官「趣味は?」
ニート「ゴキブリ退治です!」
~
面接官「座右の銘は?」
ニート「親の金で健康で文化的な生活、です!」
~
面接官「英語は話せる?」
ニート「まったく話せませんが、ネットスラングならいけます!」
もちろんこんな調子では、何社も何十社も落ちたが、
ニート(ゴキブリを倒すためだ!)
ニート(絶対に諦めない!)
ニート(今日の失敗は明日に生かす!)
打倒ゴキブリの意志は崩れなかった。
そしてついに──
バタンッ!
ニート「ゴキブリッ! ついに内定取れたぞっ!」
ニート「初任給で、撃退グッズいっぱい買って──」
ニートの宿敵であり続けたゴキブリは──
部屋の真ん中で仰向けになって動かなくなっていた。
ニート「ゴキブリ……?」
ニート「そ、そんな……」
ニート「うわぁぁぁぁぁ~~~~~っ!!!」
一年後──
< ペット霊園 >
小さな墓石の前で手を合わせる一人の男。
老人「おやおや」
老人「ずいぶん熱心に手を合わせてますが、よほど可愛かったんでしょうな?」
リーマン「いや……可愛くはなかったですね」
リーマン「ですが、世話にはなったんで、住職さんに無理いって作ってもらいました」
リーマン「おかげで初任給は丸々なくなりましたけどね」
老人「よほど思い入れがあったのでしょうなぁ。犬? それとも猫ですかな?」
リーマン「……ゴキブリです」
~おわり~
タモリ「あなたが普段退治している虫も」
タモリ「もしかしたら、あなたの人生を大いに変えるきっかけになるかもしれませんね」
タモリ「このように、人生にはさまざまな出会いがあります」
タモリ「さて、やはり男女の出会いというものは、働かずにいるよりは」
タモリ「働いている方が多くなるものですが」
タモリ「どうやら、最近はそうとも限らないようです」
『家事手伝い』
< 家 >
母「ったく毎日ゴロゴロして……」
母「働かないなら働かないで、家のことをちょっとは手伝ったらどうなの!?」
ニート女「ん~……」ゴロゴロ
母「このままじゃ、お嫁にも行けないわよ!」
ニート女「ん~……」ゴロゴロ
母「まったくもう……!」
ニート女「ん~……」ゴロゴロ
翌日──
母「ねえ、今朝の新聞に載ってたんだけど」
母「最近、若い人の間で婚活パーティーってのが流行ってるらしいじゃない」
母「今度、ウチの近くのホールであるから行ってきなさいよ」
母「お金は出してあげるから」
ニート女「えぇ~……めんどくさ──」
母「…………」ギロッ
ニート女「わ、分かったわよ……。行けばいいんでしょ、行けば!」
パーティー当日──
< 会場 >
ニート女(結婚なんかしたくないってのに……)
ニート女(まずは男一人一人と会話するのか……めんどくさ)
イケメン「こんばんは」キラッ
ニート女(あら、ステキな男!)
ニート女「こ、こんばんは!」
イケメン「ボク、燃料関係の仕事をしておりまして」
イケメン「今も事業を拡大しております」
ニート女「すっごぉ~い」
ニート女「私は家事手伝いしてまぁ~す」
ニート女(なぁんてね、家事なんかしちゃいないけど)
男「はじめまして」
ニート女「はじめまして」
男「今日はいい天気ですね」
男「今日がいい転機になればいいな、なんちゃって」
ニート女「は、はぁ……?」
ニート女(まぁいいや、気にしない気にしない)
ニート女「え、えぇ~と私、今は実家で家事手伝いしてます」
男「ぼく、公務員やってます。得点は入りませんけどね」
ニート女「へ?」
男「そりゃホームインだろ! なんちゃって」
ニート女(なんなのこの人……)
最終的に、参加した男女は互いに感触のよかった異性を選ぶことになる。
ニート女(今日印象に残ったのは──)
ニート女(イケメンさんと男さんね)
ニート女(イケメンさんは、なんかもう全てにおいて完璧だったし)
ニート女(男さんはダジャレのセンスは壊滅的だけど、いい人ではあったわね)
ニート女(う~ん……どうしよ)
結局、ニート女はイケメンを指名し、みごと交際することになった。
< 家 >
ニート女「ねえお母さん、料理を教えて!」
母「どうしたのよ、急に」
ニート女「デートで今度手料理をごちそうするなんていっちゃって……」
母「見栄張るからそうなるのよ」
ニート女「お願い! 他にも色々手伝いするから!」
母(このめんどくさがりが、こんなこというなんて)
母(やっぱりあのパーティー参加させてよかったわねえ)
母(女は恋をすると、変わるからね)
ジュウウウ…… ボワァッ!
ニート女「うわっちちち! あっぶない!」
母「ちょっと! 料理を勉強するのはいいけど、気をつけなさいよ!」
母「空気が乾燥してるからか、最近多いらしいから」
ニート女「アハハ……恋は燃えるってね」
しかし、デート中──
< 街 >
イケメン「このレストランで食事でもしようか」
ニート女「ええ」
ニート女「…………」
ニート女(なにか視線を感じる……)
ニート女「!」
ニート女(あ、あんなところに!? なんでいるのよ!?)
イケメンとニート女を監視するように、男がたたずんでいた。
男「…………」
イケメン「ん、どうしたんだい?」
ニート女(イケメンさんは気づいてない……)
ニート女(なら、この雰囲気を壊したくないし……黙っておこう)
ニート女「いいえ、なんでもないわ」
ニート女「早くお店に入りましょ!」
イケメン「うん」
ニート女(ただの偶然かもしれないしね)
無事、デートは終わった。
イケメン「今日は楽しかったよ」
ニート女「ええ、私も」
イケメン「よかったら送ってくよ」
ニート女「いえ、まだそんなに遅くもないし」
イケメン「そうかい」
イケメン「ところで、この間作ってくれた手料理、おいしかったよ」
イケメン「また食べたいな」
ニート女「…………」ポッ
イケメン「それじゃまた」ザッ
ニート女(イケメンさんって……エリートだし、私にはもったいないくらいステキ)
ニート女「……さてと」
ニート女「さっきからずっとついてきてるけど、なんの用?」
ニート女「どうして私だけに気づかれるようにしてたの?」
男「…………」ザッ
男「悪いことはいわない、アイツはやめときな」
男「アイスの食べすぎもやめときな、なんちゃって」
ニート女「……どうして? イケメンさんってなにかあるの?」
男「確証は持てないんだが……やめといた方がいい」
ニート女「なによそれ、そんなんでやめるわけないでしょ」
ニート女「しかもアイツとアイスってムリヤリだし、バッカじゃないの!?」
ニート女「さよなら」スッ
男「あっ……」
ニート女はイケメンとのデートを繰り返した。
母親との、いわゆる女性らしさの特訓もあり、イケメンの反応も上々であった。
ニート女「──今日もありがと。楽しかったわ」
イケメン「こちらこそ」
イケメン「ところでさ……これから俺の家に来ない?」
イケメン「君には、ボクのことをもっと知ってもらいたいんだ」
ニート女「…………!」ドキッ
ニート女(つ、ついに……この時が……!)
ニート女「ええ、もちろん!」ギラッ
ニート女(しまった……つい目を輝かせちゃった)
イケメンはニート女をある建物まで連れてきた。
ニート女「ね、ねえ……」
ニート女「なんか家っていうか、倉庫って感じなんだけど……」
イケメン「ここは人通りも少ないし、保管にちょうどいいからね」
ニート女「保管……?」
イケメン「君にもボクの副業……いや本業を手伝って欲しいんだ」
ニート女「え?」
倉庫には十数個の灯油タンクが並んでいた。
イケメン「ボクの本当の仕事はコレ、燃料関係」
イケメン「灯油でボヤを起こして、人が混乱してるスキに金品をいただく!」
イケメン「どうだい? 最高にイカしてるだろ!?」キラッ
ニート女「は……!?」
イケメン「何度かデートを重ね、君ならボクの素顔を理解してくれると分かった!」
イケメン「さあ、ボクと一緒にファイヤーしよう!」
ニート女(ちょっと待ってよ、なんでよりによってこんな──)
ニート女(おかしいでしょぉぉぉっ!)
ニート女「バッカじゃないの!? そんなのに協力するわけないでしょ!」
ニート女(に、逃げなきゃ!)クルッ
ガチャンッ! ボワァァァッ……!
火炎瓶の炎がニート女の逃げ道をふさぐ。
ニート女「ひぃっ!?」
イケメン「あぁ~……ダメなのかい……残念」
イケメン「ダメなら燃やすしかないなぁ~……」
ニート女「い、いやぁぁぁぁぁっ!」
すると──
男「そこまでだっ!」ダッ
イケメン「!」
ニート女「えっ!?」
イケメン「な、なんだお前は!?」サッ
イケメンが火炎瓶を投げつけようとするが、男の動作の方が速かった。
男「てやあっ!」ガシッ
ブオンッ!
イケメン「ギャッ!?」ドサッ
男「さあ、観念しろ!」
押さえつけられるイケメン。
男「殺人未遂及び火炎瓶処罰法の現行犯で逮捕する!」
ガチャッ……!
駆けつけた応援によって、イケメンは連行された。
男「ふう、危ないところだったね」
ニート女「あなた、どうしてここに……」
男「実は俺は刑事で、ずっとアイツを連続放火犯として目をつけていたんだ」
男「あのパーティーにいたのも、実はそのためさ」
男「しかし、表向きには大手石油会社のエリートで、後ろ暗いところが全くない男だし」
男「なかなか尻尾を出さないから、捕まえることができなかった」
男「だが、どうやら奴は君に本当に心を許したようで」
男「ようやく、こうやって捕まえることができた」
男「ハッキリ助言しておけば、君をこんな目にあわさずに済んだかもしれないのに」
男「オトリにするような形になってしまって、本当にすまない」
ニート女「いえこちらこそ……ごめんなさい。助けてくれて、ありがとう」
男「……ところで、実はあのパーティーの日、俺も君を指名してたんだ」
男「どうだろ……? 今度、一緒に食事でも」
ニート女「いいの? 私、あんなひどいこといったのに」
男「こっちだって刑事のくせにストーカーまがいのことしたんだ、お互い様さ」
ニート女「……だったら、私の手料理ごちそうしてあげる!」
男「おお、それはありがたい!」
男「……それにしても」
ニート女「?」
男「家事手伝いなだけに、火事手伝いにならなくてホントよかったね!」
男「な~んちゃって!」
ニート女「あらら……」ガクッ
~おわり~
扉を開こうと、懸命に扉を押し続けるタモリ。
タモリ「う~ん、う~ん……」グッ グッ…
タモリ「開かない……」ハァハァ
タモリ「スポーツや仕事、勉強、日常の仕草にいたるまで」
タモリ「どんなことにも必ずそれに適した方法、というものがあります」
タモリ「引いて開けるタイプのドアを、いくら押しても開くことがないように……」グイッ
ガチャッ……
タモリ「でも、あなたの知っているその方法」
タモリ「本当に一番適しているんですかね?」
『無職を減らす方法』
ザッ……
職員(俺は行政から委託を受けているニート更生センターの職員だ)
職員(これまでに何人ものニートの更生……ようは就業を手伝ってきた)
職員(正直いって、ニート更生のプロフェッショナルだと自負している)
職員(さて今日のニートは、と……)
職員(一軒家に一人暮らしとは)
職員(こりゃまた、ずいぶん恵まれたニートがいたもんだな)
ピンポーン……
職員「こんにちは~」
ニート『……はい』
職員「先ほどお電話させていただいた、ニート更生センターの者ですが」
ニート『あ、すぐ開けます』
< ニートの家 >
職員「はじめまして」
ニート「どうも」
職員「私ども、ニート更生センターは」
職員「働けていない若年層の就業を手助けすることを使命としております」
職員「こうした訪問業務や、職業訓練、就職先の紹介、などを行っております」
職員「本日は、あなたも現在定職についていないということで」
職員「我々でなにか力になれることがあれば、と訪問させていただきました」
ニート「そうですか」
職員(普通はアポを取る時点で門前払いされたり)
職員(なんとか顔を合わせても、露骨に煙たがれるもんだが)
職員(人当たりもいいし、今までにないタイプのニートだな……)
この日は込み入った話はせず、簡単にニート更生センターの説明をするだけで終わった。
職員(ニート更生というのも、つまるところセールスマンと同じだ)
職員(何度も何度もお客のところに通い詰め)
職員(信頼を得て、半ば友人同士のような関係を築き上げ)
職員(話を聞いてもらえるようになったところで本題に入る)
職員(すなわち、労働の必要性をあの手この手で説く)
職員(人々の役に立つことの尊さ!)
職員(独力で金を稼ぐことの素晴らしさ!)
職員(働かないことによって生じるリスク!)
職員(無理強いでは、しょせん長続きしないのだ)
職員(これで俺は今まで100人以上のニートを社会復帰させてきた)
職員(今回のニートもこれで復帰させてみせる!)
それからというもの、職員は何度もニートの家に通った。
職員(人の役に立つことの尊さ!)
職員「苦労して仕事につけた人の笑顔を見ると、この仕事やっててよかったと思うね」
ニート「なるほど」
~
職員(金を稼ぐことの素晴らしさ!)
職員「正真正銘自分で稼いだ金で食ったメシってのは、やっぱり味がちがったよ」
ニート「ふむふむ」
~
職員(リスクを訴える!)
職員「年金もあてにならないし、相続税も増えたし、やはり蓄えは自分の手で……」
ニート「勉強になります」
会話自体は弾むのだが、ニートの心が動く気配はなかった。
< ニート更生センター >
職員(──ダメだ!)
職員(なにいっても働こうとしねえ!)
職員(俺の話をうんうん聞いてはいるんだが、心がまったく動いてない!)
職員(なんというか、働くって選択肢がハナからないって感じだ)
職員(大抵のニートは心のすみっこに選択肢ぐらいはあるもんなんだが……)
職員(なにせ、家も金もあるからな……どうせ親の力だろうが)
職員(こうなりゃ意地だ!)
職員(なんとしても奴を就職させてみせる!)
所長「お、おいおい……珍しく苦戦しているようだから、気持ちは分かるが」
所長「あまり一人のニートに入れ込むなよ」
所長「国や自治体から課せられてるノルマもあるんだからな」
職員「……分かってますよ。我々はしょせん下請けですからね」
職員「ところで所長、ひとつ提案があるんですが」
所長「ん?」
< ニートの家 >
職員「なぁ……」
職員「たしかに君はお金もあるようだし、働く必要がないってのは分かる」
職員「俺だって、もし君の立場だったら働いてなかったかもしれない」
職員「だけどこうして何度も話してて分かったが、君は社会性ある人間だ」
職員「だからさ……」
職員「俺のいるニート更生センターでバイトみたいな形で働いてみないか?」
職員「ちょうど俺の部署に欠員が出たとこでさ、すでに許可も取ってる」
ニート「…………」
職員「毎日家にいるのも暇だろうし、どうだろう?」
ニート「……分かりました。そこまでしてくれたのであれば」
ニート「バイトであれば……大丈夫かもしれません」
職員(よし!)
こうして、職員はニートをバイトとして雇いいれた。
職員「今さら説明の必要もないかもしれないが」
職員「俺たちの仕事は、就業していない若者を説得し、就業させることだ」
職員「当然相手によって対応は変わるが、あえてコツがあるとすれば」
職員「押しつけずに、なおかつ焦らせる、ってことかな」
職員「ま、君はあくまでバイト待遇だ。ノルマもないし、気楽にやってくれよ」
ニート「分かりました」
そして──
所長「いやぁ、すごい!」
所長「まさか今月だけで、50人以上のニートを就職させるとは!」
ニート「ありがとうございます」
職員(なっ……!?)
所長「それにしても、こうなると──」
所長「もう他の訪問役はいらないな。君一人で足りてしまうよ」
所長「君よりも実績がないのに、君より給料をもらっているというのも妙な話だ」チラッ
職員(そ、そんな……)
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ( _) 俺が働かないことで
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄旦 ̄(_, )
/ \ `
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|、_)
| .( ( | |\
| ) ) ) | | .|
|________(__| .\| 俺の代わりにだれか一人、職を持てる
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/ ( ) \
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∧∧
( ・ω・)
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俺はそういうことに幸せを感じるんだ
<⌒/ヽ-、___
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この日を境に、職員は露骨に冷遇されるようになった。
訪問役を外され、裏方の仕事に回された。
このニート更生センターという狭い社会において、それは左遷を意味する。
ほとんど退職しろといわれているようなものだった。
職員(この扱いですら、一応温情が入ってるんだろう……)
職員(俺より成績が悪かった連中は、実際退職させられてるし……)
職員(俺が裏方に回った結果、今まで裏方にいた人たちを何人か押し出す形になった)
職員(恨んでるだろうなぁ……)
職員(まさか……こんなことになるとは……)
ところが──
職員「お呼びですか、所長」
所長「こうして君を呼んだのは他でもない」
職員(い、いよいよ俺もクビ、か……!?)ゴクッ…
所長「君にはまた、訪問役についてもらう」
所長「他にも、彼の影響で退職した人間も可能な限り呼び戻すつもりだ」
職員「へ……!?」
職員「あ、あの……彼は? ニートの彼はどうなったんですか?」
所長「ああ……彼は辞めたよ」
職員「えぇっ!?」
職員(俺の知らない間に、いったい何があったんだ!?)
職員(とにかく一度……彼の家に行ってみるか!)
< ニートの家 >
ニート「ご心配をおかけして申し訳ありません」
ニート「わざわざ訪ねて下さるなんて……」
ニート「あなたが前に私に語ってくれた使命感は、ホンモノだったようだ」
職員「そんなことはどうでもいい」
職員「どうして辞めたんだ!?」
職員「悔しいが、君は俺なんかより、ずっとずっと優秀だったじゃないか!」
ニート「泣きつかれたんですよ。お願いだから、と」
職員「泣きつかれたって……まさか所長に!?」
ニート「はい」
職員「もうなにがなんだか……さっぱりだ」
ニート「……せっかくですから、あなたには本当のことをお話ししましょう」
ニート「ただしくれぐれも他言無用でお願いします」
オチが読めた
ニート「両親は早くに亡くなったので……私にも人並みに働いていた時期がありました」
職員「…………」
ニート「ある会社の営業マンとして──」
ニート「ある工場の作業員として──」
ニート「私は一人で何十人分もの実績を出したり」
ニート「あるいは何十人でこなす工程を一人でできるよう、改良したりしました」
ニート「結果として、私は多くの仲間を不要な人材にしてしまったのです」
ニート「そして、同僚から疎まれ……」
ニート「上司には喜ばれるどころか不気味がられ……会社を辞めました」
職員「つ、つまり君は……働けば働くほど、失業者を増やしてしまうってことか」
ニート「そういうことになるのかも……しれません」
職員(実際、俺もなりかけたしな……)
職員(企業や団体にとって、優秀な人材はもちろん重宝されるが)
職員(度が過ぎて優秀すぎる人材は、平凡な仲間を淘汰し)
職員(時として上司の無能さをあらわにする爆弾にもなる)
職員(だから、彼はどんな組織にも馴染むことができなかったんだ)
職員(ウチだって例外じゃない)
職員(今すぐにでも自分の座を脅かすような人間の登場に、所長は焦っただろうし)
職員(仮に彼がその優秀さで全てのニートを更生させたら)
職員(もうウチはいらなくなるんだ……)
職員「最後に聞きたいんだけれど」
ニート「はい」
職員「ご両親がお亡くなりになったってことは……」
職員「君の生活費やこの家は、いったい誰が……?」
ニート「国です」
職員「!?」
ニート「まだ私がニートでない時、国のいわゆるお偉い方々と会う機会がありまして」
ニート「これはいい機会だと、私は自分の考えるこの国をよくする方策を話したんです」
ニート「すると彼らは青ざめ──」
『ハ、ハハ……まさか君のような人物がいるとはな』
『まったく、君のような人間がいると世間に知れれば』
『世は我々の無能をあざ笑うことだろうよ』
『今後の君の衣食住は我々が力を合わせて保障する』
『だからもう君は、働かないでくれたまえ。いいね』
ニート「──と」
職員「…………」
職員「ちなみに……誰にもいわないから教えてくれないか」
職員「君はどんな方策を話したんだ?」
ニート「……分かりました。あなたなら、いいでしょう」
ニート「組織を去った私をこうして訪ねて下さったのは、あなただけですから」
……
……
……
職員(まったく驚かされた)
職員(もし彼が政治の表舞台に立てば)
職員(国民は彼を熱烈に支持するだろう)
職員(……というより今までのトップ集団は何やってたんだ、となるだろう)
職員(そしてもう彼一人でいいんじゃないかな、となるに決まってる)
職員(それほど彼の話してくれた内容は、画期的だった)
職員(知ったところで、俺如きではとても実行できそうにない。やはり彼でなければ……)
< ニート更生センター >
職員「じゃ、行ってきます」ザッ
所長「うむ。君は、今月はすでに二人も職につかせておる、順調だな」
職員「…………」
職員(あれから俺は以前と変わらず、ニート更生センターで働いている)
職員(辞めた仲間も呼び戻され、ほとんど戻ってきた)
職員(あのニートとは、もう会っていない)
職員(もちろん、彼が話してくれたことは固く胸の内に封じてある)
職員(そして俺は働きながら、時折ふと思うのだ)
職員(俺……いや俺たちがこうして職にありつけているのも……)
職員(彼がニートでいてくれているからではないか、と)
~おわり~
むしろこいつの子供を増やせば…
タモリ「働けば働くほど、人々の職を奪ってしまう」
タモリ「もし彼が本格的に働いてしまったら、世は失業者だらけになるかもしれません」
タモリ「──え、なんですか?」
タモリ「…………」
タモリ「え? 次回からはもう私がストーリーテラーじゃなくていい?」
タモリ「しかも、他の番組も全部降板してくれですって?」
タモリ「……どうやら彼のような人物が働き始めてしまったようですね」
タモリ「ですが大丈夫、すぐ私も元のサヤに収まることになるでしょう」
タモリ「優秀すぎる人間が疎ましがられる。これは私がいる業界も例外では──」
タモリ「おっと、危ない危ない。失言するところでした」
タモリ「では今宵はこれにて」
~ 世にも奇妙な物語 ニートの特別編 おわり ~
最後の元ネタはこれとみた
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ( _) 俺が働かないことで
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|________(__| .\| 俺の代わりにだれか一人、職を持てる
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俺はそういうことに幸せを感じるんだ
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最後のタモリの終わり方も似てたな
EDの例の曲が聞きたくなる
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