P「やよとおかね」(123)
シャッセー
P「あー寒い……どうしてこうも寒いんだ」
P「しっかしコンビニときたらどうしてこんな、いやありがたいんだけどさ。この暖房いくらかかってんだろうなぁ」
P「寒いし適当にあったかい食い物でも買ってくか……ってあれ? 俺今金……うわっ」
P「……下ろすか」
ガー
P「……よし」
シャッセー
P「うおさむっ……一瞬開いただけなのにこの寒さ……」
…チャリーン
P「ってあぁ! もう何やってんだか……」
スッ
P「あ、どうもすみません……」
やよ「う?」
P「……やよ?」
やよ「うっうー!」
P「全く、こんなとこまで追いかけてくるのかお前は」
やよい「う?」
P「あぁいや、別にけなしてるわけじゃない。でもまあ、1円にねぇ……」
P「っと、まあいいや。貴音は先に行ってるってことなのか?」
やよい「うー」
P「まああいつのことだ、他のぷちでも見つけて勝手に盛り上がってたんだろうさ」
P「ちょうどいいや、何か食いたい物あったらもってこいよ、買ってやる」
やよい「う!? うっうー!!」
P「喜びすぎだろ……店の中なんだからある程度静かにしてくれ」
P「こんなんでいいのか? うまい棒じゃんか」
やよい「うっうー!」
P「全く、お前らしいっちゃそうなのかもしれないけどさ」
P「あ、すみません。これと、肉まん一つ」
なんだ、新人か? どうもぎこちない
P「あ、細かいの無いんでこれで」
やよ「う?」
P「ん? どうした、やよ?」
やよい「うっうー」
P「もしかして、この万札が気になるのか? そうか……なるほどな……可哀想に」
やよい「う?」
P「そういうことなら、ちょっと見てな」
後ろに人もいないし、ちょうどいい
「こちらお釣りの……えっと、9000と、885円のお返しになります」
やよい「う!?」
P「あ、すみません。やっぱり肉まんもう一個追加で」
「え? あ、は、はい」
というかやよの反応、やはりそうか。札を知らない、とは……可愛いなぁ本当に
P「いいかやよ、今の見てただろ? お札っていうのは、この小銭がたくさんと同じものなんだ」
P「すみません、仕事で細かいの使うんで、これでお願いします」
嘘だが、まあこの際大したことでもない
「い、いえ大丈夫です。えっと、こちらお品物と……4000、895円のお返しになります」
P「どうも」
やよ「う!?」
P「はいはい、事務所で説明してやるから。肉まんでも食いながらな」
――
さてさて事務所
コンビニから事務所にくるまで、やよのテンションは上がりっぱなし
それもそのはず。何の変哲もない?ような一枚の紙切れが、どうしてか
自分の欲しいものと引き換えならまだしも、それプラス紙8枚、と沢山の小銭
P「ちなみに、さっき1万円札をだして、うまい棒と肉まん2つを買った、お釣りがこれだ」
ジャラっと小銭を財布から机に撒く
五百円玉に百円玉、五十円玉、十円玉、五円玉と、最初から入ってた一円玉、全種類ある
やよはもう、目をキラキラさせつつどうして?どうして?と一人でうーうー唸ってる
P「やよ、この千円札ってのを見てみろ」
やよ「う?」
P「1000、っていうのは100の10倍。1円が10枚で10円になるのはわかるよな?」
やよ「うー…う、うっうー」
P「まあすぐにはわかんないか。つまり……仕方ない、最後の俺の諭吉を見せてやるが」
P「これっていうのはこっちの紙10枚分なんだ。そういう風に決まってる」
P「そしてこっちの紙は、この100円玉10枚分になる。どうだ、すごいだろう?」
やよ「うー……」
必死に目をつぶって頭をクネクネさせながら、ふと目を開いて納得した!ような……してないような
算数の授業をしているのかのような気分になったが、またそれも楽しい
P「ま、まあとにかくだ。このうまい棒っていうのは10円と交換できる。それはわかるだろう?」
やよ「う、うー!」
P「なら、このうまい棒と10円は交換できるよな?」
やよい「うっうー!」
P「よし。でもこの紙はな、このうまい棒が……なんと1000個なきゃいけないってことだ!」
やよい「……う?」
あちゃーやっぱりやよには1万円札は早かったか?
簡単な算数ならできるだろうやよでもなんとなくわかったようだけど、いまいちピンと来てない様子
やよいになってるー
やよでオナシャス
即興なんです
P「まあいいさ、とりあえず肉まんでも食べようじゃないか」
やよ「……う?」
P「なぁに遠慮すんな。金欠でも肉まんくらいはおごれる。ただ、他のやつには内緒な?」
やよ「……うぅ」
P「お、おい泣くことないだろ! さぁさあ食べろって」
やよい「う、うっうー!」
P「……まあ、その笑顔で十分、なんてクサイけど」
実際、そんなこと言ったって、たとえ諭吉さんでも100個肉まんは買えないんですから……
そんなセコいというのか、やよには手にした金が大きすぎてちっちゃくなる、そんなふうにはなってほしくない
P「……これ100個だもんなぁ」
やよ「う?」
P「お前は、諭吉があったらこれを100個買うか? うまい棒を1000個買うか?」
やよ「……」
何だろう、そんなことを言った瞬間やよがピンと閃いたような顔をして
もしかして”100”の100倍って言った方がわかるのか? お前の辞書に1000ってのがないだけで
P「まあいいや、汚い金の話はここまでだ」
一口ごとに髪をぴょこぴょこさせて喜ぶやよを見ながら食べる肉まんは絶品
なんかそんなふうに食われると、十口以内に食い終わる俺が心なしもったいない気がしてくるが
ガチャッ
律子「あら、プロデューサー来てたんですね」
P「おぉ律子」
律子「あ、やよ。どうしたの、それ」
やよ「うっうー!!」
律子「あらあら嬉しそうに、プロデューサーが買ってあげたんですか?」
P「ん、まあな。他のぷちには内緒だぞ、たかられかねん」
律子「うわせっこーい、せっかくなら人数分買ってきてくださいよ」
P「そんなこと言ったって今金欠なんだよ! 思ったより給料も少なかったし!」
律子「はいはいわかりました、そんなセコセコプロデューサーなんてほっといて、買い出しに行ってきましょうか」
P「ん、買い出し?」
律子「そうです。言ってませんでしたっけ? 今日はぷちたち囲んでパーティーだー! って」
P「誰がそんなことを」
律子「……誰だっけ?」
P「おっと、律子さんらしからぬ」
律子「そうそう私がなんでも把握してると思わないでくださいよ」
P「それって言い訳じゃん?」
律子「ぐぬぬ……い、いいんですよ! なんか気が付いたらそんな話で、スケジュールもちょうどあって……」
P「ほー! なんだ、律子もそうやってワイワイしたかったんだー?」
律子「じゃあいいですよ、プロデューサーは一人で肉まん啜っててください」
P「啜るの? 食べちゃだめなの?」
貴音「遅れました……っと、やよ! こんなところに!」
P「おいおい貴音、こんなところに。じゃねぇよ」
貴音「プロデューサー、これは一体どのようなおつもりで」
P「なんで俺がさらったみたいになってるのさ」
貴音「まあいいでしょう……ところで律子嬢、一体何をなさっているのですか?」
律子「あ、貴音。ほら言ってたでしょう? パーティーをするって」
貴音「おぉ! そのような話がありましたね!」
律子「……あ。いけない、先方に連絡いれなきゃいけないのすっかり忘れてた……」
P「電話すればいいじゃん?」
律子「わかってますけど、それだとパーティーの仕度と言うか開始が遅くなるというか……」
P「どこまでパーティーが楽しみなんだよ……」
律子「何か言いました?」
P「な、なら代わりに行ってくればいいんじゃないか? 俺とか、空いてるし」
律子「あ、買い出しですか? ……ふむ、確かに」
P「よし、ならひとっ走り……」
律子「貴音、お願いできるかしら?」
貴音「わたくし、ですか? 別に構いませんが」
P「なんで俺じゃないんですか?」
律子「だってプロデューサーは肉まんなんでしょう?肉まんパーティーなんでしょう?」
P「まだ根に持ってらっしゃるの……」
貴音「それでは、何を買ってくればよいのでしょう?」
律子「あーちょっと待って。予算があるから……一応ある程度書いたけど、貴音のセンスに任せるわ」
貴音「承知しました。それではやよ、いきましょうか」
貴音「肉まんを奢ってもらったのですか」
やよ「うっうー!」
貴音「それはそれは。あの方もそういうところは流石と言いますか」
やよ「うー」
貴音「だからと言って癖になってはいけませんよ?」
やよ「うっうー!」
貴音「ふふっ、貴方に関して心配する必要はなさそうですね」
貴音「……っと、そうです。まだぱーてぃーまでは時間があるでしょう」
貴音「この服ではいささか……一度家に戻るとしましょうか」
やよ「う?」
――
貴音「とりあえずこの服でいいでしょう」
やよ「うー」
貴音「そういえばどうして先ほどプロデューサーのところにいたのですか?」
やよ「うっうー」
貴音「まあおおかた、いつものように小銭の音につられたのでしょう」
ピンポーン
貴音「おや? どちら様でしょう」
ガチャッ
貴音「……はて?」
貴音「私の空耳でしょうか……っと!」
やよ「う、うっうー!」
こあみ「とかー!」
貴音「こ、こらやめなさい! なるほど……貴方の仕業でしたかこあみ、いえむしろこまみ」
こまみ「ち!?」
貴音「二人のこんびねーしょん、なかなかのものでしたが甘いですね」
貴音「……ならばこのお金は隠しておくことにしましょう」
貴音「そうすればイタズラすることはできない。とまあ、すぐに持ち出すのですが」
貴音「さて、私はぱーてぃーに役立ちそうなものを少々……」
貴音は他の部屋に行ってしまった様子
こあみとこまみは二人協力して、何やら大事そうに持ってきた貴音の封筒が気になったみたい
ところが貴音は一筋縄ではいかず、隠されてしまった
こればっかりは二人も手がつけられない
パーティーって言ってたし、それに向けて何かしよう
そう決めると、あっという間に立ち直った二人はまた何やらたくらみ始めました
一方やよは、というと?
貴音が隠したお金、それは当然お札なのですが
今まではお金とも思わなかったそれが、隠されてるということ
チャリーンと、落とした時の音もありませんが、やよには匂いでわかります
あと独特の、お金の臭いが。それは怪しい意味ではなく、本当の臭い
特にやることもなかったやよは、それを頼りにてくてくと歩き始めました
このあたりかな、と見た先にはしっかりとさっきの封筒が
引きだしに挟まった状態で、今にも落ちそうです
と、ちょうどその瞬間
挟まった封筒がやよめがけて落っこちてきました
やよ「う!?」
ハラリと床に落ちた封筒
そうしてチラリと見えるは、諭吉先生
やよ「うー…」
やよは諭吉さんを見ながらプロデューサーとのことを思い出していました
これ一枚で、とにかくいろんなものが買えるってこと
たっくさんの小銭が手に入るってこと
つまり、お金のなかでもすごいものだってこと
10000円っていうのがどれくらいのものか明確に理解できたかわかりませんが
もうそれが、500円玉よりすごいお金っていうだけで、やよには十分でした
だからこそ、それに触れるなんてこともできなかった
様子を見ながら、ちょっとだけ封筒からはみ出た諭吉先生を怪訝そうに伺って
やよ「うー……」
やよはとっても偉い子です
1円だからって盗んだりしません
でも、拾うことはします。だって、喜んでもらえるから
10円なんてもっと盗みません。だって、そういうものだから
100円なんて、500円なんて
でも、1万円って?
やよは正直、いまだに10000円がどれくらいすごいかピンと来ていませんでした
肉まんが100個、うまい棒が1000個、っていうことはなんとなくわかるんです
でもそれってどれくらいすごいのかな?もしかして家が買えちゃったりするのかな?
いろんな数字や食べ物がやよの頭をぐるぐるします
やよ「うー…うー…」
お金が落ちてたら、そういう意味ですぐ拾ってしまうやよ
だからこそ怯えていたやよも、ようやくその落ちた諭吉、一万円札を一枚手に取ります
やよ「……」
なんだかわからないけれど、やっぱりすごい
これで、いろんなことができちゃうんだ……
やよはトキメキました
心臓がトクンと跳ねるのがわかりました
盗みなんてそんな高尚な考え自体は、やよにはありません
拾ったものをいただいちゃうって、だけなんです
でも……どこまでがそうなのか、って考える頭が
やよにはちょっと欠けていて
こんな非現実的な状況が目の前にあったら、猶更
善か悪かなんて判断はつきません
と、そんなことをしてる間、足音が聞こえてきました
諭吉さんとにらめっこをしていたやよがそれに気が付いたのは結構後で
やよ「う!? うー!!」
どうしよう、どうしよう!とにかくこれをなんとかしなきゃと、一万円を握りしめたまま、封筒を掴んで引きだしに飛び乗ります
そうしてほとんど投げるような勢いで残りの封筒を引きだしにおさめます
貴音の姿が見えるかどうか、というところで息も絶え絶えのやよは手に持った一万円に気が付きます
もうほとんど反射的に、それを背中にくしゃくしゃにして隠しました
貴音「おや、やよこんなところにいたのですか?」
やよ「うっうー!!」
貴音「どうしたのですか、そんなに汗をかいて」
やよ「う、うー……」
貴音「おや? そういえばここには……」
貴音は引出しの封筒を取り出しながら考えます
貴音「あぁ、そういえば雑にしまったのを覚えています。ということは、貴方が戻してくれたのですか?」
やよ「うー……?」
1円ならもちろん、10円までならなんとか、100円ってなると少々迷いが生じます
それは、一度隠してしまったことへの罪悪感
もちろん悪気なんてありません
でも、もうくしゃくしゃにして自分の服にしまいこんでるんですから
それも、一万円となれば
ばれたらどうしようという恐怖の方が強いに決まってます
やよ「うー! うー!」
貴音「おやおや、ありがとうございます。私もうっかりしていました、あの二人に見つからないようにと隠したのに」
やよ「うー……」
それでもこの時のやよがどう思っていたかはわかりません
どうせ言葉なんて通じないから適当に誤魔化しておけばいいや、とか
私はやってない! 何もしてないの! と弁解していたのかもしれない
中身を確認してみて!と、もしかしたらこあみとこまみに罪をなすりつけようとしたかもしれない
でもそんなことはどうだっていいんです
やよ自身、わかってました。あのまま何もしなければよかったのに
落ちた封筒から一万円札を抜き取って
どういう理由であろうと、今身に持って、それを隠しているんですから
貴音はそのまま封筒を手にしてカバンにしまうと
貴音「それでは行きましょうか、やよ」
やよい「うー……」
もやもやとした気持ちが残るまま……
せめても、とできるだけ素早く背中から取り出した一万円札は紙くずのようにクシャクシャで
泣きそうになりながら、べろちょろにそれをしまい、貴音に付いていきました
――
貴音「お待たせいたしました、ただいま戻りました」
律子「あ、貴音お疲れー!」
やよい「あ、貴音さん! やよもこんばんは!」
やよ「うー……」
やよい「やよ?」
貴音「先ほどからこうなのです、変なものでも食べたのでしょうか」
P「な、なんで俺を見る! おい!」
やよい「え?」
貴音「わたくし、何も言っておりませんが」
P「どう見たって今、意味ありげに俺を見ただろ!」
律子「はいはいプロデューサーうるさい」
P「う、うるさいってお前……」
律子「ちょっとごめん、貴音。レシートある?」
貴音「あぁ、申し訳ありませんでした、こちらです」
律子「……ほうほう、流石よね。なかなか気が利いたチョイスだわ。……たまにゲテモノが混ざってるけど」
貴音「それにしても相当余りましたが、どれだけ入れていたのですか?」
律子「え? そんなに? ……あっ! 本当、これプロデューサーの給料袋!」
P「は?」
律子「あ、あはは……道理で諭吉が諭吉諭吉してるわけだわ!」
P「お、おいおかしいだろ!」
律子「え? あ、いや気のせいですって! ボーナスを渡し忘れたわけじゃないですから!」
P「い、いやいやいやいや! 俺は肉まんを細々と食べる生活をしてるんだ!」
P「はした金でも、それを見捨てるほど今余裕はないんだ! さっさとそれをよこせ! ってか返せ!」
P「あぁ……道理で先月計算したときと比べて心なしか少なかったんだ……というか10万ほど……」
律子「あぁもううるさい! みみっちい男は嫌いですよ!」
P「み、みみっちぃって……」
律子「いいじゃないですか、もう! おかげさまでみんなでワイワイできるんですから!」
P「……」
律子「ほら、そんなに減ってませんって! 諭吉が1,2人減っただけです! まだ3,4人残ってるでしょ?」
P「2人しか残ってねぇよ……って、あれ? それ、おかしくないか?」
律子「はい?」
P「いや、調べてもらえばわかるがこれが俺のだとしたらきっかり10万入ってるはずなんだが……」
律子「……確かに、言われてみればなんとなく薄いような」
P「1枚2枚の誤差は……って、よくはないけど。これだと5枚ほど足りない計算になる」
律子「あぁもう、どうしてそうせっかくの席にごたごたを巻き込みますかね!」
P「ごたごたってもともとは俺のお金なんです……」
貴音「あの……もしかして、私が」
P「え? いや、まさか……え?」
貴音「ち、違うのです! 少々、目を離した隙にこあみとこまみに狙われまして」
律子「なっ!? どうしてそんな!」
貴音「いえ、わたくしとしても対策したつもりだったのですが、どうやら……もしかすると、そういうことかと」
律子「……あり得るわね」
P「頼むよ律子……俺の今後の命綱なんだよ……」
律子「見つけたら半分この席にカンパですよ」
P「い、いいとも! ……え? 半分?」
律子「よし、そういうことなら貴音、家行くわよ」
貴音「承知しました」
やよ「……」
――
律子「それで、その後は?」
貴音「確か隠しておこう、と思いそこの引き出しに」
律子「引きだしねぇ、あの子たちがいじったら物音くらいしそうだけど」
貴音「……そういえば、やよが」
律子「やよ?」
貴音「いえ、ここに入れたつもりが其れっきり安心してしまい」
貴音「もしかしたら、床に落ちてしまったかもしれないのですよ」
律子「そ、それってやよもその……容疑者、ってこと?」
貴音「いえ、それをやよが拾ってくれた、と」
律子「……」
貴音「……やよも疑っていますか?」
律子「あんまり言いたくないけど……正直ね」
貴音「……」
律子「まあ、お金関係だからとはいえ、あの子たちもイタズラなら返してくれるでしょうし」
貴音「そうですね……とりあえず引きだしを……あっ」
――
やよい「ねぇやよ、どうしちゃったの?」
やよ「……う」
と、やよはここで思った
この人は、言葉がわかる
やよい「……私、なんとなくわかるよ?」
やよ「……」
やよい「でもね、そんなことないって信じてる」
やよ「う……」
やよい「何かあったならちゃんと、正直に話してくれるって」
やよ「……」プルプル
やよい「そうじゃなかったら……そのべろちょろ、みてもいい?」
やよ「……」ブルブル
やよは、どうすることもできずただ震える
沈黙は肯定だ
それに……やっぱり似た者同士らしい
ある程度の推測はされてしまったようで、余計にそれがやよにとっては脅威で
ただただ、怖かった
――
貴音「……ありました」
律子「えっ? 本当?」
貴音「どうやら、わたくしの失態だったようです。引きだしの中に、このように」
律子「……なるほどね」
貴音「イタズラをされぬようにかくしておきながら、自ら見つけられないとは、なんというのでしょうね」
律子「さぁ? まあいいわよ、とにかく見つかったんだから」
貴音「はい」
律子「……あれ? でも、これ……4枚しかない」
貴音「え?」
――
やよ「……ぅ」
やよい「……」
べろちょろの中には
くしゃくしゃになった様子がまるで必死に盗んだかのような痕にすら思えて
P「……やよ」
やよい「……そっか」
――
当然のようにパーティーは一旦中止
……と言うわけにもいかず最低限話を知らぬ者たちで盛大に行われていた
まるで温度が違う、ここは会議室
P「……やよ」
やよ「うっ……うー……」
P「泣いてたって、しょうがないだろ?」
やよい「……」
貴音「申し訳ございません、プロデューサー……」
P「貴音のせいじゃない」
律子「それにしても……」
やよい「もしこのままバレなかったら、持ってるつもりだったの?」
やよ「うー!! うー!!」
やよい「……なんて聞いても、信じらんないよ」
律子「くしゃくしゃになってたっていう……それが、なかなかどうして」
P「危うく他の……こあみやこまみまで疑うところだったんだ」
やよは思う
私は、別に盗ろうと思ったんじゃない
他の人に罪をなすりつけて自分だけ得をしようなんて思ってもない
だからって、お金を一度でも取ったことは本当で
心の底では、仕方ないなんてとにかく理由を付けて
自覚がないまま、言い出せずにいたんだから
だから弁解することも、自供することもなかった
ただ聞かれたことには、誠実に。ただ誠実に返事をするだけで。
でもそれは、くしゃくしゃになったお札のせいで逆効果
開き直ってる、この生物は。そんなふうに思われて
いよいよやよは、何も言えなくなった
やよいがいる、それだけじゃない。自責の念と言えるものがあるかわからないけれど
貴音は飼い主としての責任
やよいは言葉、そして気持ちが少しでもわかるからこその衝撃
律子も単純に、窃盗ということが起きたことへの驚き
そして
P「……やよ」
やよ「う……」
P「俺はな、お前にお金の価値を教えた。でも、こんなことをさせるために……教えたんじゃない」
やよ「ぅ……」
これと言った処罰はなかった
お金は戻ってきたから、別に
もちろんそれだけだ
前科がなくなるわけじゃない
そして、何も起きないということが逆に
亜美「ねぇねぇやよいっち、なんか最近やよの調子悪くない?」
やよい「……あの子の話はしないで」
真美「なんかあったの?」
やよい「……」
亜美「やよいっち?」
やよい「あの子は……プロデューサーのお金を盗んだの……」
真美「え、えぇ?」
亜美「そ、それ本当なの?」
そんなふうに、ゆっくりゆっくり噂が広がって
気が付いたら、やよは孤立していた
やよの近くに物が置かれているとすぐ遠ざけられる
”盗られる”
そんな噂、いや実際に盗られるよりはマシだ。わざわざ盗られに行く必要はない
それぞれいろんな免罪符の元、やよの周りには何も置かれなくなった
もちろんやよは移動する
すなわち、やよが移動するとき皆が緊張するのだ
小銭を拾う瞬間は、誰もが見たことがある
あのようにされては、と誰もが思うのだ
そんな重苦しい空気に、流石のやよも耐え切れなくなって
ついにはあまり動かなくなった
もちろん、四条家にはいない
事務所の、隅。一番見通しがいい所
やよ「うー……」
未だに人恋しくなるときがある
小銭の音に反応して体が動くことがある
ガチャッ
貴音「おはようございます……おや、誰も……」
やよい「うー! ……うっうー」
貴音は少し嫌な顔をするだけで何も言わない
挨拶もしないが、これと言って
やよはまだ貴音のことが好きだった
もちろん他の皆も好きだが、飼い主は特別だ
無視されても、仕方ないなんて少し思ってた
いつか、許してもらえるときまで耐える
その日の事務所には、結構な人がいた
皆隅にいる生物など忘れて、談笑していたのだ
やよはと言うと、当然見通しがいい
誰が話したことで、誰が笑ったかなんて一目瞭然だった
もちろん、動かなかったが
と、その時
チャリーン
やよ「!!」
皆が一瞬、固まったように見えた
だが、その音を発した主はその一瞬の間に気が付くのに少し遅れた
貴音「おっと、落としてしまいまし……」
やよ「うっうー!!」
貴音「……い、いやぁ!!!」
やよ「う……」
春香「た、貴音さん大丈夫ですか?」
真「……また、この子か」
やよい「いい加減もう……」
やよ「う……」
やよは貴音だから、貴音だから大丈夫かもしれないと飛び込んだ
だからこそ、今までよりすごいスピードで落ちた1円玉を抱えて貴音に差し出した
差し出してから数秒後に、その悲鳴は聞こえた
もう、誠意とか、そんなものどうでもよかった
事務所でやよはもう”物の怪”だった
関わられては災いが起きる、そんな類の
貴音自身、これといって毛嫌いしているわけでもない
意識もしていない、忘れようとしていた
だが、急に近づいてきたこと
嫌悪感が爆発して、トラウマのフラッシュバックさながらの恐怖を味わった
もっとも信頼していた人の、怯えた顔
それを慰める周りの冷たい目
やよは、絶望した
その後はきっかけだった
やよはそこに”住み着いた”
そうして周りもそのように順応して行って
やよ中心としたスペースはより広くなって行った
不要なもの、盗られてもいいもの
ふざけてやよの方に投げるようになった
それを始めたのはこあみとこまみだった
が、ぷちだけではない
アイドルたちも、なんのためらいもなく……ただしやよに向かってではない
やよがいる方向に、ただゴミ箱があるかのように捨て、溜まったら掃く
やよ「ぅっぅー…」
次に始まったのは、おまじないだった
不気味に居座っている様子がもはやシンボルになり
事務所に来たら”1円玉”を投げる
奴が反応したら、今日一日いいことがある
なんともふざけた話に聞こえるがそれが日常当たり前になってみると恐ろしいもので
誰もが罪悪感もなしに、それをやってのけるのだ
ただ、やよいは
やよい「……私はいいです、もったいないので」
傍から見ればおっさんをからかってネタにしてる女子高生のような
1円を投げてビクッと反応するもすぐにいつもと同じ状態に戻るやよを見て、大爆笑
なんとも奇妙な話で、始めて来客したような人もそれに挑戦するようになるのだ
次第に”まじない”はエスカレートしていって
1円が5円になり、5円が10円、100円となる
トレビの泉さながらの情景、ゴミの風習はすっかり消え、小銭は溜まる一方
朝、日が昇って最初に事務所に来た人が軽く小銭の山を均し
帰り際、消灯する前にも軽く掃除をするのだ
当然そんな状況だが、落ちてる小銭を拾う人間はもちろん一人もいない
そんなもの、どうしてこうなったかと言う話を聞けば一発である
遊び半分ならまだしも、明日のライブ失敗したくない!
そんな願いを込めて500円玉が投げ入れられることもあった
だが、そんなにやよを甘く見てはいけない
やよ「う……う……うっうー!!」
最初に500円玉が投げ入れられたときは、そのようにして半ばとびかかってきた
やよは悪くない?もうそんなふうに考えるやつなんていない
亜美「あーもう最悪! せっかく500円も使ったのにさ!」
そう言って足元で500円玉をいじらしく掲げているやよを思いきり蹴っ飛ばすのだ
やよ「う゛!!!」
初めて来訪したような人 だな
ところどころ補完頼む
ただ気力がなくなっただけでやよはやよのまま
小銭に反応しないなんて、すでにやよではない
だがそんなこと、”おまじない”をする人にとってはもうどうでもいい
既に害悪なのだから、近づかれたらそれで負け
蹴っ飛ばそうが何しようが、ただのキャラクター
事務所にいる人間、ほとんどがそう思っていた
やよ「う……」
蹴られたあと、やよは泣いた
もちろん誰にも見向きもされないが、やよは泣いた
単純に痛かった
それもそうだが、500円という大金を投げ捨てるなんて……それがやよとしては許せなかった
もちろん、自分がそんな大したことを言える立場ではないことは今のこの環境が証明している
だからこそ、何ができるわけでもない自分に苛立っていた
というところまで、自分を考察できているかはわからない、いやきっとそんなことはない。ただの本能だろう
そんな哀れでどうしようもない、もはや都市伝説になりつつある生物に駆け寄る少女
やよ「うー…うー……・う?」グスッ
やよい「……」
やよ「……うっ、うー」
やよい「ねぇ、貴方はそれでいいの?」
やよ「……」
やよい「こんなにお金に満たされて、何が不満なの?」
やよ「う……」
やよいは落ちている1円玉を拾った
どれも綺麗だ、というのも皆触ることすら拒むからだ
また、できるだけ綺麗なものがいいだとか、誕生年に作られたものがいいとか、そんなことで
そんな1円玉をやよいを少し見つめて、やよに軽く投げつける
やよ「う……」
やよい「1円……これだけあったら、きっと10000円にはなるね」
やよい「私、やよの気持ち少しはわかるよ? お金、欲しいもんね」
やよ「うー……」
やよい「でも、だからって人のものは盗っちゃダメ」
やよ「……」
やよは相変わらず何も言えなかった
やよいは、ただひたすらやよに1円をぶつけながら語っていた
やよい「ねぇ、やよ? 聞かせて、今の気持ち」
やよ「う……」
やよ「……うー」
今まで我慢してたものがあふれてくる
やよ「うー! うっうー!!」
やよ「うっー!! う゛ー!!!」
泣きながら、デロデロのツインテールをグワングワン揺らしながらとにかく叫んでいる
やよいはじっと、目をつむったままやよの話を聞いている……そして
やよい「……やよ」
やよ「うー……」
やよい「もう、いいよ」
やよ「…う?」
やよい「やっぱり、人間とは違うんだね」
やよ「ぅ……」
やよい「……私も、やっぱりその1円はいらないや」
やよ「うー!!」
バタン
やよは
『つい隠しちゃっただけなの』
『でも誰もわかってくれないならあのまま逃げればよかった!!』
『そうすればこんな辛い思いしなくてすんだのに!』
そう言って
やよいにまでも、見捨てられてしまった
盗ったことを正当化はできない
だから、弁解はしないけど、これがやよの精一杯
せめて、辛かったよねと。わかるよと。情けを一言でもかけて欲しかった
だがそれはかなわず、むしろやよいの気に障ってしまった
人のものを盗っておいて、逃げればよかったなどと
『人間とは、違うんだ』
そう実感し、やよいも見捨てる覚悟をしたのだ
こうしてやよは本当に一人になった
そして、ここからは地獄の日々が待っていた
やよいが動いた
壊れてしまったのか、それとも似ているのに似ていないこの生物に嫌気がさしたのか
皆の前で、その小銭の山から両手一杯掬いとり、涙目で項垂れているやよに容赦なくぶちまけた
やよい「ねぇみんな、わざわざ新しいお金を使う必要ないよ! こうすればいいんだもん!」
やよいのその不気味な笑顔に押され、やがては今まで通りおまじないはそうして行われた
皆が皆、出発前に一掬い、一かけ。信仰などではない、単なる願掛け
やよ「うぅ……」
やよはさらに暗くなった
今までは投げつけられていたことで、反応ができたが上から降ってくるようじゃどうしようもない
誰もいなくなると髪にひっかかった小銭を一つ一つ取る作業
と、その隙に、陰から思い切り小銭を投げつけたり
やよ「う゛ぅ!!」
見事額に命中
痛がってる暇もなく頭からは容赦のない小銭の雨
回数が多い方がいい、そう言ってみながみな笑顔で小銭をやよに浴びせて
もうほとんど、やよはそこから動かなくなった
それもそのはず
精神的疲労は言わずもがな、食事をほとんど取っていないのだ
もちろん事務所にはさまざまな匂いが漂う
その度に今までなら、そっちの方向に跳んで行けば少しもらえたかもしれない
一度、どうしても我慢ができずに近づいてみたことがある
肉が入っていただろう、トレーを投げつけられた
やよ「う……」
トボトボいつもの定位置に戻ろうとするも、そのトレーには一片
ひき肉の一粒ほどの生肉がくっついていた
やよはそれが肉だと知っていた
それでも……
やよ「……うー」
耐えきれず、トレーにむしゃぶりついた
肉なんてほとんどないことを承知の上で、薄くピンク色が残っているトレーをただ舐めて
肉の味を、哀れに味わっていた
やよ「うー……」
食べ物攻撃は速度を増した
人がいないことを知ると、ゴキブリのように徘徊を始めるやよ
ゴミ漁りは定番、それを知った事務所の人間達はある作戦に出た
チャリーン
やよ「!」
最近聞いていなかった、ジャララララという耳が壊れそうな耳障りな音じゃない、この響き
怒られること覚悟で、音の方向へ向かった、すると
やよ「……う?」
落ちていたのは十円玉
だが、よく見ると光り輝いている
やよ「……う」
そしてそれが何か、やよは分かった
この小銭には、蜂蜜が塗ってある
やよはそれを分かった上で……少しためらったが、小銭をペロッと一舐め
そうした後はもう、止まらず。硬貨を口に入れるとあめ玉のように舐め始めた
やよ「うー!」
甘い、甘いのが広がる。美味しい……
だが一瞬。すぐに鉄臭さが口一杯に広がって、思わず吐き出す
やよ「うぅ……」
だが、一瞬のその甘さが、やよは忘れられなかった
空腹であるときほど、甘さというのはどうも美味に感じてしまうようで
蜂蜜が塗ってあるのに音がするのは音源が別にあるから
それでもやよは構わなかった。定期的に鳴るその音に従えば、蜂蜜が舐められる
そうして事務所のどこの誰かは面白おかしくやよを調教して行った
やよ「……」
そんな調教が始まってから、やよの元気は少し戻ったように感じた、が
またあの音が鳴り響き、もう人がいようといまいとやよは一目散に音の方向へ跳んでいった
慣れた手つきで硬貨を口にし、蜂蜜が舐め終わるのにどれくらい時間がかかるかも、わかっていた
つもりなのだが、どうも味がしない
また別の場所でチャリーンと音がする、すぐに駆けつけると光り輝く十円玉
同じく口にするも、金属の味
やよ「うー……」
この様子を見て、嬉しそうにする輩がいるんだから恐ろしい
そうして何度も何度もやよを走らせては十円玉をなめさせる
ごくまれに蜂蜜を混ぜてやる、そうするだけでやよはまた舐めることを続ける
徐々にそれは常習化していった
いや、厳密にはさせていたのだが。時間をある程度設定し、これに依存させた
それ以外の時間は、今まで通り小銭シャワー
誤って小銭につっかかって転んで、おもいきしやよを蹴っ飛ばしたアイドルもいた
それでもやよはもう蜂蜜以外のことは考えられなかった
空腹にすがっていた。そうすれば耐えられた
やよ「……うー」
だが……1週間以上続いていたあのチャリーンと言う音が、時間なのにいつまで立っても聞こえてこない
やよは苛立っていた、そんなときにまた”おまじない”をされるものだから余計に辛くなる
完全にいつもなら終わってしまう時間、諦めた
そして次の日、ようやく蜂蜜が舐められた
なんとその日は全部が全部蜂蜜だった
もう、昨日のことは忘れて、ただひたすらに舐めた
やよ「うっうー!!」
もしかしたら次のも? あぁ、次のもだった! うわぁ!!
そんな風に、ただその時間を楽しんでいた
だが、次の日からきっかり蜂蜜タイムはなくなった
まてどもまてども、くるのは参拝客だけ
次の日……その次の日も……
何週間経ったかわからない、でも
次第に不安になってくる
おまじないが苛立に拍車をかける
そうして……ふと足下をみると
十円玉が、たくさん転がっていた
舐めてみようと思った
甘くはなかったけど、次のを試してみようと思った
やっぱり、甘くはなかった
どれかは甘いんじゃないか
そう思って片っ端から舐めた
やよ「う……うぅ……」
でも、でもどれを舐めても全然甘くない
次、次……なんて思ってたら、それが持ち上げられて
頭に降ってきた十円玉が、さっき舐めた十円玉に混ざって……
それでぶち切れられたらどれだけ幸せか
そういうレベルの話じゃない
ただ、あの味をもう一度……
やよはただ、お腹が減っていた
やよ「う、うー……」
ツインテールはもうボサボサ
涙もでないし、くまが出来てるかもしれない
そんなやよが次に思うのはなんだろう?
これ、食べれないかな
齧った
硬かった。そんでもって、苦かった
まるで蜂蜜の味なんてしない
やよ「……う」
チャリーンなんて音が聞こえるから耳を澄ませたら、目の前からだった
やよ「うぅ……」
どれを舐めても齧ってもお腹はすくばかり
耐えられないわけじゃない、でももう耐えられなかった
やよ「うっ、うっ、うっうー!!!!!!」
転がってる十円玉、お前に決めたと言わんばかりに掴むと
大きな口をあけて、そのまま
味わうこともせずに
やよ「……う!」
ごくり
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P「……あれ? こんなところになんで小銭が転がってんだ? うわ! それにこんなたくさん……」
律子「え? 前からありませんでしたっけ……あ、本当だ」
P「……なんだろう、でも使う気にはならん」
律子「ですね……なんでしょうか、これ」
P「……小銭の形をした、何か? 気のせいだよな」
やよい「……」
やよいだけが悟っていた
でも、それ以外の人間は、ふと意識した時にそこには小銭しかなかった
小銭に埋もれ、飲み込んだ硬貨によって中毒を起こし、誰にも気がつかれないまま死んでいたやよなど
それでも、その不思議な魔力によって、永久に孤独だ
この事務所があるかぎり、まるで貝塚のようにその小銭で出来た墓は荒らされることはないだろう
金に目がくらみ、一瞬その魔力に踊らされたものの末路。それは、どんな下等生物だろうと関係なく下される
正当なる、命の代償だ
こんな最後ならむしろ、火に巻かれて死んだ方が幸せだ、なんて思わないか? なぁ、やよ?
あぁ、生きていたって死んでたって返事なんてしなくていい。ほら、餞別だ。
チャリーン
了
眠いっていうのもあるがこの流れで燃やすのもナンセンスかと思ったんで地味だけど
序盤のせいでグダったことも否めないがとりあえずここまで読んでくれた人ありがとう
近々リベンジと称してもう少し過激なの書きたいね それじゃおやすみ
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