雪歩「うえっ!? い、いきなりどうしたの、やよいちゃん……」
やよい「いや、ちょっと気になっちゃって!」
雪歩「わ、私の好物は……」
やよい「はい!」
雪歩「お、お茶、とか……」
やよい「それは知ってるかなーって!」
雪歩「あ、そ……そう?」
やよい「食べ物では、何が好きなんですかー?」
雪歩「うっ……」
雪歩「……く」
やよい「え?」
雪歩「……にく」
やよい「え?」
雪歩「……ゃき……にく」
やよい「え?」
雪歩「……焼……肉……」
やよい「焼肉ですかー!」
雪歩「や、やよいちゃん! あ、あんまり大きな声で言わないで……」
やよい「765プロのホームページに書いてあったのは、本当だったんですねー!」
雪歩「!?」
雪歩「え? な……何? ほ、ホームページ?」
やよい「えへへー、この前、伊織ちゃん家に泊まったとき、インターネットで見てたんです! 765プロのホームページ!」
雪歩「えっ……あ、ああ……じゃ、じゃあ、最初から知ってたの? 私が、その……焼肉が、好きだって……」
やよい「でもー、今まで全然そういう話聞いたことなかったから、『キャラ作りじゃないか?』って、伊織ちゃんが言ってたんです!」
雪歩「や……焼肉好きなアイドルなんてキャラ付け、わざわざしないよぅ……」
やよい「えー、そーなんですかあ?」
雪歩「だ、だって全然アイドルっぽくないし……」
雪歩「そ、それに、あのホームページのだって……私が知らないうちに、音無さんが勝手に載せちゃって……」
やよい「うぇえ!? そーだったんですかー!?」
雪歩「そうだよぅ……。私がこの事務所に送った履歴書に書いてあった内容を、そのまま……」
やよい「うぇえ!? り、履歴書に書いてたんですか!?」
雪歩「そ、そうだよぅ……」
やよい「履歴書に! 『好物:焼肉』って! 書いてたんですかー!?」
雪歩「だ、だからそうだよぉ……。ていうかやよいちゃん、声大きいよ……」
やよい「あっ! ごめんなさーい! 私、びっくりしちゃって!」
雪歩「うぅう……」
やよい「でもでもー! それって、すっごく羨ましいかもですー!」
雪歩「う……羨ましい?」
やよい「はい! だって、『好物』ってことは、それだけいーっぱい、食べたことがあるってことですよね?」
雪歩「ま、まあ……家では結構、食べてる、かな……」
やよい「だから羨ましいかなーって! 私、焼肉なんて、片手で足りる回数くらいしか、食べたことないですもん!」
雪歩「! や、やよいちゃん……!」
やよい「あ、でも! 私、焼肉はあんまり食べたことないですけど……その代わりに、大好きなもやしを、毎日いーっぱい食べてるから、すっごく幸せなんです!」
雪歩「やよいちゃん……」
やよい「だから雪歩さんも、好きな焼肉をたくさん食べられて、きっとすーっごく幸せなんですよね!」
雪歩「…………」
やよい「? 雪歩さん? どうしたんですかー?」
雪歩「……やよいちゃん」
やよい「はい?」
雪歩「―――焼肉、食べに行こう」
やよい「ヴぇえ!? い、今からですかー!?」
雪歩「うん」
やよい「あ、でも……私、あんまりお金持ってないかなーって……。今月のお給料も、ほとんどお家に入れちゃって……」
雪歩「私が! 奢るよ!!」ドン!
やよい「ヴぇえ!? そ、そんなの悪いですよー! っていうか雪歩さん、顔が近……」
雪歩「焼肉の夢は! 終わらない!!」ドドン!
やよい「ゆ、雪歩さん! 瞳孔が開いてますー! ちょ、ちょっと怖いかなーって!」
雪歩「あ、ご、ごめんね……。焼肉の事となると、つい我を忘れてしまって……」シュン
やよい「あ、わ、私の方こそごめんなさい! 怖いとか言っちゃって……」
雪歩「まあそれはともかく、行こうよ焼肉! ねっねっいいでしょお!?」ズズイ
やよい「わっ! あ、でもお金……」
雪歩「私が! 奢るから!!」ドドドン!
やよい「ひぃっ!? わ、わかりましたー! わかりましたから、それやめてくださいー!」
雪歩「わかってくれたなら、いいのよ」ニコッ
やよい「うぅ……夢に出ちゃいそうかも……」
雪歩「あ! そうだ! どうせなら、もう一人くらい誘っちゃおっか? 焼肉って、人数多い方が楽しいし!」
やよい「あ! それもそうですねー!」
雪歩「じゃあ、プロデューサーさんか音無さんか律子さんかあずささんか四条さんが来たら、声掛けてみるね!」
やよい「……? な、なんでその人選なんですか?」
雪歩「えっ、いやまあ……別に深い意味は無いけど! 別に深い意味は無いけど!」
やよい「…………。(何で二回言ったんだろう……)」
ガチャッ
律子「あーつかれたー……」
やよい「あ、律子さn」
雪歩「律子さん! 今から私とやよいちゃんで焼肉行くんですけど、もしよかったら律子さんも一緒に行きませんか!?」ズズズイッ
律子「うわぁ!? い、いきなり何なの雪歩!? ていうか、え? 焼肉? 今から?」
雪歩「はい!」ランラン
律子「ま……まあ、今日はもう上がるつもりだったから、別にいいけど……」
雪歩「本当ですか!?」グォォォォッ
律子「ちょ、ちょっと落ち着きなさいよ雪歩! 瞳孔開いてるわよ」
雪歩「あ、ご、ごめんなさい……。焼肉の事となると、つい我を忘れてしまって……」シュン
やよい(デジャブかなーって)
律子「……まあ、最近は皆忙しくなって、なかなかこういう機会も無かったものね。折角だから、今日は私の奢りでパーッとやりましょうか」
雪歩「えぇえ!? り、律子さんの奢りなんて……そ、そんなの、悪いですよぅ……」
律子「なーに言ってるの。これでも一応先輩なんだから、たまには先輩に甘えなさい」
雪歩「で、でもでもぉ……ねぇ? やよいちゃん?」
やよい「え、あ……そ、そうですね……」
律子「もう、どうせ三人くらいなら大した額にはならないんだから、細かいこと考えなくていいの! 今日は思いっきり楽しんで、それでまた、明日からお仕事頑張ってくれたら、それでいいから。ね?」
雪歩「ま、まあ……律子さんがそこまで言ってくれるのなら……ねぇ? やよいちゃん?」
やよい「え、あ……そ、そうですね……」
律子「よし! そうと決まれば早く行きましょう。もうお腹ペコペコだわ」
雪歩「わ~い! ありがとうございますぅ! 律子さん!」
やよい「…………」
~焼肉店~
雪歩「プロデューサーさん! 焼肉ですよ! 焼肉!」
律子「……いや、プロデューサーはいないしそれ春香だし」
雪歩「律子さんもプロデューサーさんじゃないですかー! やだー!」
律子「ああ、いや、まあ……うん、そうね……」
やよい「……今日の雪歩さん、なんかちょっと怖いかなーって……」
雪歩「そんなことより! 早く注文しましょうよ、注文!」
律子「あ、それもそうね。じゃあやよい、そこのボタン押してくれる?」
やよい「はーい! ぽちっとな」
ピンポーン
店員「お待たせいたしました。ご注文をどうぞ」
雪歩「えっと、まず国産霜降り風うす切、国産牛特選カルビ、和牛上ロース、和牛上カルビ、黒毛牛上ハラミを各三人前ずつ。それと塩上タン、ネギ上タン、豚トロ、地鶏を各二人前ずつ。あとキムチ、ナムルと焼野菜盛り合わせお願いします!」
店員「畏まりました」
律子「」
やよい「ゆ、雪歩さん、それちょっと頼み過ぎじゃ……?」
雪歩「えー。そんなことないよー」
律子「…………。(ま、まあカードで払えばいいか……)」
雪歩「あああああ!!」ガタッ
やよい・律子「!?」ビクッ
やよい「な、何ですか雪歩さん……?」
律子「び、びっくりするじゃないの……」
雪歩「す、すみません! でも緊急事態なんです! やよいちゃん! ボタンを!」
やよい「うぇえっ!? で、でも今注文したとこ……」
雪歩「早く!」
やよい「は、はいっ!」
ピンポーン
店員「お待たせいたしました」
雪歩「ごはん三つ下さい!」
やよい・律子「がくっ」
店員「畏まりました」
律子「ご、ごはんて……何事かと思ったじゃないの……」
やよい「お、思わず擬態語を発声してしまいましたー……」
雪歩「いやいや……焼肉と言ったら白いご飯ですよ。こればっかりは譲れないです」
律子「……まあ、それは分かるけども」
やよい「私もごはん、だーい好きです!」
雪歩「あああああ!!」ガタッ
やよい「って、また!?」
律子「やよい、ボタンを!」
やよい「はいな!」
ピンポーン
店員「お待たせいたしました」
雪歩「黒豆茶、三つ下さい!」
店員「畏まりました」
雪歩「危なかったあ……。焼肉と言ったら黒豆茶だもんね」
やよい「……流石に、二回目ともなると慣れましたねー」
律子「……ええ。良い反応だったわよ、やよい」
雪歩「ああぁ……お肉早く来ないかなあお肉お肉お肉……」
やよい「雪歩さん落ち着いてください。また注文してから67秒しか経ってないです」
律子「時と場合に応じて理性度を高められるやよいは本当に賢い子ね」
やよい「えへへー、ありがとうございますー!」
雪歩「うぅう……もうこれ以上待てないよぅ……なんで焼肉屋さんは60秒キャンペーンとかやってないのかなあ……はぁ……」
律子(雪歩の目がどんどん虚ろになっていく……)
やよい(暗黒面に堕ちていく人って、こういう感じなのかなーって)
店員「お待たせいたしました」
雪歩「! キタコレ!」
律子「雪歩、とりあえずよだれを拭きなさい」
雪歩「はっ!」
やよい「うわー、私、こんな量のお肉を見たの、生まれて初めてかもー!」
律子「…………。(私もだわ)」
やよい「わーい! じゃあ早速……」
雪歩「待って、やよいちゃん」
やよい「え?」
雪歩「お肉を食す前に……まず、お肉の神様に祈祷を」
やよい「あ、え、はい。そうですね」
律子(! ……瞬時に、ツッコむだけ無駄だと悟ったのね……やよい、本当に賢い子……!)
~十分後~
雪歩「……天にましますお肉の神様よ……どうかこの哀れな私達にご加護を……」ブツブツ
律子「…………」
やよい「…………」
律子・やよい(……祈祷なげぇ!)
律子(ちょ、ちょっと……もう十分以上も、私達、肉を囲んだまま目瞑って祈り捧げ続けてるんだけど!? ねえ何? 何なのこの罰ゲーム!?)
やよい(もしかしなくても、これ以上無いくらいに怪しい集団かなーって)
律子(しかもいつの間にか、私達、哀れ認定されちゃってるし……)
雪歩「……神様のの様お・ね・がい!……」
律子(いやそれ歌詞だから!)
やよい(うっうー…そこは私に歌わせてほしかったかなーって……)
律子(そこかよ! ていうか歌じゃないでしょこれそもそも!)
雪歩「……ふぅ。じゃあお肉の神様への祈祷も済んだことだし、頂きましょう!」
律子「そ、そうね……。(結局二十分以上祈祷してたわね……)」
やよい「わ、わーい!(なんかもう、お腹空き過ぎて気持ち悪くなってきました……)」
雪歩「じゃあ、早速焼きますね!」ジュゥッ
律子「おー、良い音!」
やよい「美味しそうですー!」
雪歩「……静粛に」
律子「え?」
雪歩「……『食』とは神との対話……神のお告げを聞き、その意味を識るところから始まるのです……」
やよい「あ、はい」
律子「ええ。雪歩の言う通りね」
雪歩「3……2……1……はい!」
やよい「はい!」
律子「はい!」
雪歩「よし……今のタイミングを、忘れないで下さいね」
やよい「はい」
律子(……肉を焼いている間に、肉を返すタイミングをつかむ練習を繰り返し行っている私達を、周囲の人達はどう思っているのだろうか……)
雪歩「……律子さん?」
律子「え、ええ、もちろん大丈夫よ?」
雪歩「それならいいんです。でも、今のうちにいっぱい失敗しておいて下さいね? 本番で失敗したら、もう取り返しのつかないことになりますから…」
律子「ええ、そうね……。(空をつかむだけの練習で、成功も失敗も無いけどね……)」
雪歩「では、本番いきますよ。3……2……1……はい!」バッ
やよい「はい!」バッ
律子「はい!」バッ
雪歩「わー! 二人とも完璧なタイミングですー!」パチパチパチパチ
やよい「そ、そーですかあ? えへへ……」
雪歩「はい! 今の感じを忘れないで下さいね!」
やよい「わっかりましたー!」
律子「…………。(まだ一枚も食べてないのに何なのこの達成感)」
くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ
まどか「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」
さやか「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」
マミ「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」
京子「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」
ほむら「・・・ありがと」ファサ
では、
まどか、さやか、マミ、京子、ほむら、俺「皆さんありがとうございました!」
終
まどか、さやか、マミ、京子、ほむら「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」
本当の本当に終わり
雪歩「……さて、では皆様」
やよい「はい」
律子「ええ」
雪歩「各々、お肉をお箸でつまみましたね?」
やよい「…………」コクリ
律子「…………」コクリ
雪歩「―――それでは、私達の生きる糧となり、また私達の血となり肉となる尊い命に、感謝の意を捧げながら――……」
雪歩・やよい・律子「――頂きます」
雪歩「…………」アムッ
やよい「…………」パクッ
律子「…………」ハムッ
雪歩「! …………」
やよい「こ、これは……」
律子「わぁ……」
雪歩「……お……」
やよい「…………」
律子「…………」
雪歩「おーいひー!」
やよい「こ、こんなに美味しいお肉、初めて食べましたー!」
律子「す、すごい……。なんかもう、肉汁が口の中で弾けるって感じ……」
雪歩「か、神様っ……! ありがとうっ……! ございますっ……!」ポロポロ
やよい(……ゆ、雪歩さん泣いちゃってますー……)
律子(……流石にそこまではどうかと思うけど、まあ本当に美味しいから良いか)
雪歩「……はふぅ……お、美味しかったぁ……」
やよい「……なんかもう、夢みたいかなーって……」
律子「……こういうのを、幸せっていうんでしょうね……」
雪歩「…………」
やよい「…………」
律子「…………」
雪歩「……って、まだ一枚しか食べてないじゃないですかぁ!」
やよい「あーいっけない! なんかもう、ご馳走様な感じになっちゃってましたー!」
律子(……まあ、一枚食べるのにあんだけ時間掛けたらねぇ)
雪歩「一枚目は、お肉本来の旨味を味わってもらうべく、あえて何もつけずに食べてもらいましたけど……二枚目からは、それぞれ、自由にしてくれて大丈夫ですよ!」
やよい「うっうー……でもそうは言っても、なんかいっぱいあって、どれつけたらいいのかよく分かんないかもですー。雪歩さん、なんかオススメってありますかー?」
雪歩「そうだねー、私の個人的なオススメは塩、またはワサビかな」
律子「へー。ワサビなんて合うんだ」
雪歩「ええ。すっごく美味しいんですよ!」
やよい「わ、私はワサビは苦手だから……塩にしときますー」
雪歩「もちろん、普通にタレをつけても美味しいよ。大切なのは形じゃない……楽しく食べることだから!」
やよい(……ゆ、雪歩さん、なんかさっきと言ってることが……)
律子(……どうやら雪歩の中では、儀式的な要素は一枚目の肉に集約されてたみたいね……)
雪歩「さー! じゃあどんどん残りのお肉も焼いて、じゃんじゃん食べていきましょー! いぇーい!」
やよい「い、いぇーい!」
律子(……いつになくノってるなぁ、雪歩)
~二時間後~
雪歩「うぅ……も、もうだめ……」
やよい「な、なんか一生分のお肉を食べたような気がします……」
律子「ああ……もうなんか体中に肉汁が行き渡ってるような感じがするわ……」
雪歩「でも、立つ鳥跡を濁さず……ですよ。家に帰るまでが、焼肉です……」
やよい「ゆ、雪歩さん、ちょっと何言ってるのか、わかんないかなーって……」
律子「ま、まあとにかく早く店を出て、外の空気を吸いましょう……これ以上、肉の空間にいるのはつらいわ……」
やよい「そ、そうですね……」
律子「じゃあ、二人は先に出ておいてちょうだい。私は支払いを……」
雪歩「…………」
律子「? 雪歩? どうしたの?」
雪歩「律子さん……ここは、私が」
律子「え?」
雪歩「……今日は元々、私の方から誘ったことですし……」
律子「……何、変な気遣ってんのよ。言ったでしょ? たまには先輩に甘えなさい、って」
雪歩「でも、注文も、ほとんど私の独断でしちゃったし……食べ方とかも、なんか色々口うるさく言っちゃって……」
律子「…………」
やよい「雪歩さん……」
雪歩「二人には、その……迷惑掛けちゃったな、って思うんです。だから……」
やよい「め、迷惑だなんて、そんな……」
律子「…………」
雪歩「それにやよいちゃんは、元々、『私が奢るから』って言って、無理に誘っちゃったんだし……」
やよい「そ、そんな私は、別に……」
雪歩「だから、律子さん。ここはわた―――いたっ!?」ピシッ
律子「…………」
やよい「デコ……ピン……!?」
律子「……同じことを何度も言わせないの」
雪歩「律子さん……」
律子「言ったでしょ? たまには先輩に甘えなさい、って」
雪歩「でも……」
律子「でももへちまもないの。大体、私もやよいも、雪歩に迷惑掛けられたなんて、これっぽっちも思ってないわよ?」
雪歩「……え?」
律子「そうでしょ? やよい?」
やよい「そーですよー! 迷惑なんて、とんでもないです!」
雪歩「や、やよいちゃん……」
やよい「私、今日、雪歩さんと律子さんと、一緒に焼肉が食べられて、すーっごく、楽しかったんですから!」
雪歩「……やよいちゃん……」
律子「そういうこと。それに食べ方だって、雪歩が、食べることへの感謝の気持ちを、きちんと持っていることの表れでしょ? それが迷惑になるわけないじゃない」
雪歩「……律子さん……」
律子「ついつい、日々の生活の中で忘れがちになる食への感謝の心……それを持ち続けているあなたは本当に立派よ、雪歩」
雪歩「うぅ……そ、そんなこと……」
/. ノ、i.|i 、、 ヽ
i | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ |
| i 、ヽ_ヽ、_i , / `__,;―'彡-i |
i ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' / .|
iイ | |' ;'(( ,;/ '~ ゛  ̄`;)" c ミ i.
.i i.| ' ,|| i| ._ _-i ||:i | r-、 ヽ、 / / / | _|_ ― // ̄7l l _|_
丿 `| (( _゛_i__`' (( ; ノ// i |ヽi. _/| _/| / | | ― / \/ | ―――
/ i || i` - -、` i ノノ 'i /ヽ | ヽ | | / | 丿 _/ / 丿
'ノ .. i )) '--、_`7 (( , 'i ノノ ヽ
ノ Y `-- " )) ノ ""i ヽ
ノヽ、 ノノ _/ i \
/ヽ ヽヽ、___,;//--'";;" ,/ヽ、 ヾヽ
律子「だからこれは……食の大切さを改めて気づかせてくれたことへのお礼、と思ってちょうだい」
雪歩「…………」
律子「そして、いつかあなた達がトップアイドルになったら……そのときに、たっぷりお返ししてもらうから。……ね?」
雪歩・やよい「……はい!」
律子「……ん。良い返事ね。……あ、すみません。お会計お願いします」
店員「……あ、えっと……」
律子「?」
店員「……お客様のテーブルのお会計は、既に頂戴しておりますが……」
律子・雪歩・やよい「…………え?」
~同時刻、焼肉店近くの路上~
冬馬「……なあ、オッサン」
黒井「ん?」
冬馬「……何で、あいつらの分まで出してやったんだ?」
翔太「そーそー。僕もそれが聞きたかった」
北斗「また、いつもの気まぐれですか?」
黒井「……フン。……貴様等には関係の無い事だ」
冬馬「……?」
黒井(……食前に、あれだけ長い時間の祈りを捧げるとはな……)
黒井(食に対する感謝の気持ち……それを常日頃から持っていなければ、到底できん芸当だ)
黒井(…………)
黒井(なあ、高木よ……)
黒井(私達にも、一膳の麦飯、一杯の味噌汁に感謝した日々があったな……)
黒井(お前のところのアイドルに、まさかそんな昔日の記憶を呼び覚まされるとは、思いもしなかった……)
黒井(今日の分は、そのことに対する礼として、受け取っておくがいい……)
黒井「……クックックッ……」
冬馬「?」
黒井「ハーッハッハッハ!」
冬馬「うお、なんだよ急に」
翔太「クロちゃん、ボケちゃったの?」
北斗「痴呆には、まだ早いんじゃないですか?」
黒井「クックックッ……ワーッハッハッハッ!」
了
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