P「春香の個性が爆発して邪神になった」 (124)


P「あ……あぁ……」ガクガク

春香だったそれは混沌の中心で不定形の体をくねらせながら冒涜的な言葉を撒き散らし、その周りにはたまたま居合わせた竜宮の四人、伊織、亜美、あずささん、律子が心を持たない楽人となり、フルートのか細き単調な音色と下劣な太鼓の狂おしき連打を奏でている。

春香の正体のヒントはとうに出ていたのだ。

それに気づけなかった俺が、いや、気づいたとしてもどうすることも出来なかっただろう。

なぜなら相手は世界の創造主であり混沌そのものであり、この世界は彼女の見る夢でしかないのだから。

P「アザトース……」

黒くて顔の無いのっぺらぼうの社長の笑い声が聞こえた。

俺や他のアイドル達を765プロに集め、自ら世界の終わりへと導かせた張本人。

『黒い人』『這いよる混沌』『アザトースの従者』。

俺はこの世界の終焉を感じながら、根本から破滅していく自分自身に笑い、そして意識を失った。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1399514914

終わり。

『あざとい』→『アザトース』ってだけの一発ネタです。

終わりかよ!!乙!!!

>>3
終わりだよ!!
クトゥルフ物は難易度高すぎて俺には無理だった。
そのうちクトゥルフ題材でアイドル達が巻き込まれていく後味わる~いお話に挑もうかなと思ってるけど。

これの前後話思いついたって方いたら後は頼む。


むしろ誰かがナイアーラホテップと入れ替わってる事にすればいいんじゃないかな(適当)

>>5
黒くてのっぺらぼうの社長……

面白かったけどこの長さならVIPでやれよ

纏められたいんだろ察してやれ

>>4
そこらのフリーシナリオとかサンプルシナリオを改変して出せばいいと思うの。「もっと食べたい」とか使いやすいからオススメだと思うな

>>7>>8
すまぬ。前に本文1レスのみのss見たことあったから、別にいいかなって。
>>9
ありがとう、参考にしてみる!

いっとくけど『もっと食べたい』はサンプルシナリオなだけで別に著作権フリーでも何でもないからな?
改変するのはいいけど、SSなんだから>>1のオリジナルに期待したい

というか何でクトゥルフ神話モチーフなのに真っ先に出てくる参考資料がTRPGなんだよ・・・
原本や暗黒神話体系とは言わないからせめて妖神グルメ薦めろよ・・・

なんか勢いでワロタww

続きに期待!

>>11の見て「もっと食べたい」を調べてみたら、それTRPGからのだったか。
俺は別段TRPGを毛嫌いしてるわけでもないけど、なんかイメージと違うのが多いって印象だなぁ。

「妖神グルメ」、調べてみたらめちゃくちゃ面白そう!
クトゥルフ関連はネット上にある和訳版しか読んだことがなく、クトゥルフ関連の周辺作品について詳しいわけじゃ無いからすごく興味持った!
菊池秀行さん、うん、覚えた。

改変というか、モチーフありで妄想してたのはラヴクラフトの「壁の中の鼠」を伊織の別荘でやよいと探索したら、とか、チェンバースの「黄の印」を雪歩と真で、オーガスト・ダーレスの「丘の夜鷹」を響と貴音で、とか。
オリジナルだと新人Pが765プロにやってきたことをきっかけにアイドル達が……って感じかな。
とにもかくにも妄想が絶えませぬが、それを文字にして表現するのは難しいですなぁ。
やろうと書き出してはいるんだけど、全然貯まらない。

>>12
続きって……
やるなら書き溜めてから別スレ立てようかと思ってたけど、ここに短編をいくつか投下することにするよ。
で、それらを纏めて最後に>>1になるようにしてみる。
それがいつになるかは分からないけど。

意外と人いてワロタ
とりあえず今日中は無理なんで、期待せずに暇な時にたまたま見かけたら覗いてやろうかくらいの感覚で待っててくだせえ。

先に注意書きしておくと
・後味悪い
・死の描写あり
・もしかしたらグロあるかも(?)
・全体の最後は無理やり纏めるからつじつま合わないところが出るかも(?)

ってな感じです。

なんとか構想は練れた。
短編(のつもりだけど長くなりそうなの)が4つと纏め的なの1つで計5つやろうと思います。
・「黄の印」
・「別荘の地下室」
・「夜に鳴く鴉」
・「時間旅行」
・「春香の個性が爆発して邪神になった」(タイトル未定。このままでいっかな)
ってな感じで。

……とはいえまだ1つ目すらあまり書けていないんだけどね。

『黄の印』

真「おはようございます!」

P「おはよう、真」

春香「おはよう!」

雪歩「真ちゃん、おはよう」

真「あ、雪歩!」

真ちゃんは私に気づくと嬉しそうに駆け寄ってきた。

真「これ、ありがとう!すっごく面白かった!」

渡されたのは真ちゃんに貸していたいくつかの小説。

真「昨日読み終わってから、この本の話しがしたくてずっとうずうずしてたよ!」

雪歩「これ、面白いよね」

真「うんうん!特に最後、主人公がああなるなんて想像つかなかったよ!」

P「楽しそうに話してる途中で悪いんだが、そろそろ雪歩はラジオの収録に向かう時間だぞ?」

雪歩「あ、そうでした! すぐ準備しますぅ」

真「残念、続きはまたの機会にだね」

雪歩「うん」


身支度を整え車に乗り込む。

鞄を少しだけ開き、メノウのメダルがちゃんと入っていることを確認した。

雪歩(真ちゃんに貰った大切な物だから)

これは去年の誕生日に真ちゃんから貰った大切な物。

なんだか分からない文字が金で書かれているそのメダル。

拾った物だからって本人は言っていた。

あ、もちろんそれとは別にプレゼントもちゃんと貰ったけど。

でも、これを持っていると真ちゃんが近くにいてくれている気がして安心する。

P「忘れ物はないか?」

雪歩「は、はい。お願いしますぅ」

P「よし、じゃあ出発だ」


P「そういえば最近、春香に相談されていることがあってな」

雪歩「え?」

P「『私の個性ってなんなんでしょう……?』って」

雪歩「あのぅ、春香ちゃんはすごくいい子ですぅ!」

P「ああ、もちろん俺も重々承知だ。 だけど最近はみんな売れ出しはじめているし、焦る気持ちがあるんだと思うんだ」

P「だからって言い方は変だけど、今度会ったときに話を聞いてやってほしい」

雪歩「はい」

P「俺も出来る限りは力になってやりたいけど、個性とかそういう人間的な部分の悩みは同年代の同性の子が相談に乗ってあげたほうが本人もやりやすいと思うから」

P「あ、もちろん俺だって何もしてないわけじゃないからな」

雪歩「はい」クスッ


そんな感じで雑談を交えながらスタジオへ向かった。

もしかしたらプロデューサーなりに私の緊張をほぐそうとしてくれているのかも。

P「さ、着いたぞ」

馴染みのスタジオに到着する。

スタッフさんや番組関係者の方に挨拶をしながら楽屋へと向かう。

皆さん笑顔で挨拶を返してくれたが、一人だけ無反応の人がいた。

私も普段見かけない人だったから誰だろうと思いながら挨拶したのだが、まるで聞こえていないといったように無反応。

白くぶよぶよとした肌の男の人。

「黄の印は見つけたか?」

雪歩「え?」

P「ん? どうした雪歩?」

雪歩「あ、いえ、なんでもないですぅ」

きっと気のせいだろう。


楽屋に入り鞄を確認すると、携帯が点滅していた。

確認すると、真ちゃんからメールが届いていた。

to:真
sub:あの小説読んでる人が
本文:他にも見つかったよ!
  あの後どうしても借りた小説の話しがしたくて探したら、
  なんと社長も読んでたみたい!
  他にもオススメがある、って色々貸してもらっちゃった!
  雪歩のこと話したら『又貸しになってもいいよ』って!


雪歩「ふふっ」

思わず笑みがこぼれる。

真ちゃん、すっかり読書にはまっちゃって。

元はといえば、私がどうしても読んだ小説の話しがしたくて真ちゃんに勧めたわけなんだけど。


収録を終え、今日はそのまま自宅へ帰った。

部屋に入り携帯を確認すると、真ちゃんからもう一通メールが届いていた。

to:真
sub:社長の小説
本文:すごく面白いよ!
  まだ始めの方しか読めてないんだけどね。
  他の本もペラペラと流して見てみたけど、どれも面白そうだった!
  今読んでるのがまだ終わりそうにないし、他に何冊か借りたから明日持って行くよ!


へえ、社長も意外とそういうの読むんだなぁ。

もっとこう、経営とか人材育成のノウハウが書いてあるような本ばかり読んでるのかと思ってた。

to:雪歩
sub:Re;社長の小説
本文:本当!?
  社長も意外と読書家さんなんだね!
  明日が楽しみ


雪歩「うん、送信」

ふふ、明日が楽しみだなぁ。

きっと真ちゃん、すごい勢いで話ししてくれるんだろうな。


その夜、私はひどい夢を見た。

誰もいない町を霊柩車が走る。

その運転手が今日見たブヨブヨの男の人で、私は棺桶の中で動けないでいる。

声も出せず、ただどこかへと運ばれていく。

そして霊柩車が止まり、あの不気味な男が私を覗き込む。

こんな内容だった。


翌日

事務所へ向かう途中、昨日の男の人が道端に座っているのに出くわした。

昨日あんな夢を見たせいで、自然と逃げ出したくなる。

ただでさえ男の人が怖いのに。

ここは忘れたフリしてやりすごすことに決めた。

足早に通り過ぎようとした私に、その人はまたわけの分からない言葉を囁いた。

「黄の印は見つけたか?」

その男は確かにそう言った。


事務所に入ると、予想に反して真ちゃんは元気がなかった。

挨拶をしても反応が薄く、レッスン中も上の空といった様子。

私は時間を見つけて真ちゃんに声をかけてみた。

雪歩「真ちゃん、具合でも悪い?」

真「いや、そういうわけでもないんだけど……」

煮え切らない返事。

雪歩「その、ダメダメな私でよければ真ちゃんの力になりたいな」

真「雪歩……」

すると真ちゃんは突然泣き出してしまった。

わけが分からず、慌てて真ちゃんをなだめる。

一体何があったのだろうか。

真ちゃんが泣くところなんてほとんど見たことなかったし、きっと余程のことがあったに違いない。


真ちゃんは十数分程で落ち着きを取り戻した。

真「ごめん、雪歩」

雪歩「大丈夫?」

真「うん」

それから何かを決心したように真ちゃんは頷き、こちらを向いた。

真「話したいことがあるんだ」

雪歩「うん」

真「今日、雪歩の家にお邪魔してもいいかな?」

雪歩「大丈夫だよ」

真「そっか、ありがとう」


真「お邪魔します」

雪歩「どうぞ」

真ちゃんが部屋に入る。

真ちゃんは大きな紙袋を持ってきていて、中には結構な量の本が入っているみたい。

きっと社長から借りた物なのだろう。

雪歩「それで、話したいことって?」

真「うん、これのことなんだけど」

真ちゃんはたくさん本の入った紙袋から一冊取り出した。

それを見て私は血の気が引いていくのを感じた。

雪歩「真ちゃん、その本ちょっと貸して」

真「え? う、うん」

真ちゃんからその本を受け取る。

『黄衣の王』。

聞いたことがある。

黄色の衣と蒼白の仮面をつけた王ハスターについて書かれた、読む者を破滅させる呪われた戯曲。

しかしそれがなぜ?

こんなところに?


雪歩「真ちゃん、これ、どこで?」

真「社長から借りた本の中に混じっていたんだ……」

雪歩「社長の持ち物……?」

真「昨日これを読んだ後、恐ろしい夢を見て……」

雪歩「これを読んだの!?」

思わず声をあげてしまう。

真ちゃんの体がビクッと跳ね上がる。

しかしそんなことを気に留めている場合ではない。

真ちゃんがこの本を読んでしまったことはもうどうしようもできない。

ましてやどうにかする手立てを知っているわけではない。

でももし、これが社長の物だとしたら社長が何か対処方法を知っているかもしれないし、そもそも私が聞いた噂が嘘かもしれない。

私は一旦落ち着いて、真ちゃんの話しを聞くことにした。


雪歩「それで、どんな夢だったの?」

真「えっと……」

真ちゃんの見た夢の内容はこうだ。

誰もいない町を走る霊柩車が近づいてくる。

その運転手はブヨブヨとした気味の悪い男で、真ちゃんは扉の向こうで怯えながら隠れていた。

霊柩車は止まり、その男が扉を開けてやってくる。

その男と目が合い、気がつくと雪歩は棺桶の中にいた。

というもの。

それは私の見た夢を真ちゃんの視点で見たものだった。


雪歩「真ちゃん、この本、読んでいい?」

真「え?」

私は真ちゃんと運命を共にする覚悟を決めて、『黄衣の王』を読み通した。

その中身は、あまりに美しくおぞましい言葉が並んでいて、私たちは心を奪われた。

そして知ってしまった。

真ちゃんからもらったメダルが黄の印であることを。

黄衣の王はもうじき、黄の印を求めてやってくるだろう。

しかし私はどうしてか、それが分かっていながらこのメダルを捨てることが出来なかった。

真ちゃんに貰った大切な物だからとかそういうのではない。

本当に自分でも捨てられない理由が分からなかった。


やがて夜になり、外からガラガラと不吉な音が聞こえてきた。

真「ゆ、雪歩ぉ……」

雪歩「……」

夢の通り、あの霊柩車が私たちの元へやってきた。

扉が蹴破られる。

雪歩「ひ……」

真「う、うわあぁぁ!」

私も真ちゃんも必死に抵抗したが、あのブヨブヨとして腕で殴り倒され、メダルも奪われた。

薄れていく意識の中で私は、あの黄衣の王に魂を奪われる真ちゃんの断末魔を聞いた。


私は今、横たわったままあの出来事を書いている。

しかし医師達の様子を見る限り、私の命はもうこれまでみたい。

私の死後、周囲は殺人事件だと騒ぎ立てるだろう。

でもしかし、あの部屋で倒れている男の腐乱死体を発見したときに医師が言った言葉の意味は誰にも分からないだろうな。

だってその医師は、「この男は既に死後数ヶ月は経過している」と言ったのだから。

私にしてみれば、今となってはもうどうでもいいことなのだけど。

ああ、結局誰もお見舞いには来てくれなかったなぁ。

『黄の印』完



というわけで、大急ぎで作った。

個人的にはもっとじわじわ『黄衣の王』が近づいてくるところを書こうかと思っていましたが、あんまり長くなるのも嫌だったのでサクッとこれくらい。

長さ、内容、ここ直せ等あったら今のうちにどうぞ。

まだ2つ目全然進んでないし、この1つ目を基準に意見を見ながらこれから書くものの長さや内容を決めていこうと思うんで。

『別荘の地下室』


亜美「ねーねー、いおりんは別荘とか持ってないのー?」

伊織「もちろんあるわよ。 何代も昔からある古いところだけど」

真美「ホント!? じゃあ今度遊びに行ってもいいー!?」

伊織「ええ、いいわよ。 じゃあ今度の日曜日にでも」

やよい「うっうー、伊織ちゃんの別荘ですー!」

律子「こら、日曜日は竜宮の仕事が入ってるでしょ。 遊ぶならそれが終わってからにしなさい」

亜美「げげ、そうだったー!」

伊織「だったら真美とやよいはその日は先に行ってていいわよ。 私と亜美は仕事が終わってから合流するから」

やよい「でもそれは二人に悪いなってー」

伊織「いいのよ。 迎えはよこすし、かなり広いから先に探検してるといいわ、にひひ」

真美「ではではお言葉に甘えて、その日はやよいっちと先に行ってるとするよー!」


日曜日

やよい「おっきいですー!」

ということで、私と真美の二人で伊織ちゃんの別荘に到着した。

他のメンバーも誘ったのですが、春香さんはプロデューサーに相談したいことがあるからとパス。

雪歩さんと真さんはレッスンの後二人でお泊り会。

貴音さんと響さんは遠くで一週間ほどのロケの最中。

千早さんと小鳥さんは体調不良でお休み。

美希さんは千早さんのお見舞いに行くらしい。

竜宮小町の仕事が終わり次第、亜美と伊織ちゃんとあずささんが合流するとのこと。


真美「しかしいおりんの言うとおり、かなり古い建物ですなー!」

やよい「うっうー! それでも十分すごいですー!」

伊織ちゃんいわく、ここは水瀬家が代々受け継いできた別荘だそうで、今はほとんど使っていないらしい。

近くに住む住人たちからは『呪われた土地』と忌み嫌われているらしく、誰も近寄らないとのことだ。

詳しい理由は伊織ちゃん本人も知らなかったみたいで、『先代がここで何かやらかしたんじゃない?』と言っていた。

真美「さあさあやよいっち、この謎の館を探索だー!」


ギイッと重たい扉を開く。

中は薄暗いけど豪華な内装だ。

かすかにホコリ臭い。

長いこと掃除もしていなかったようで、くもの巣が張っている箇所もいくつかある。

ん?

真美「やよいっち、どうかしたの?」

やよい「いや、なんか物音がしたような」

真美「なーんだ、多分気のせいっしょー」

そう言うと真美は、目を輝かせながら奥へ進んでいった。


部屋のあちこちを入ったり調べたりしていると、妙な資料が見つかった。

それは人体について書かれていたが、私には難しくてよく分からなかった。

だがなんとなく、内容を理解してはいけないような気がした。

脳の奥で警鐘が鳴っているような感覚。

私はそれをそっと元の所に戻した。

真美「やよいっちー!」

真美の一段とテンションの高い声が聞こえてきた。

行ってみると、本棚が横にずれていた。

本棚の元の位置には、何かの映画で出てきそうな秘密の地下通路のような階段がある。

真美「これは大発見ですよー、大発見!」

真美は春香さんの真似をしながら嬉々して階段を降りていこうとする。

やめたほうが良い、そう言おうとはしたが、こんなものを見つけてしまった真美が耳を貸すとは思えない。


っ!?

また、さっきの音が聞こえた。

辺りを見渡すと、鼠が一匹。

先に続く地下へと駆けていくのが見えた。

やよい「さっきから聞こえていたのはこの音だったのかな?」

真美「かなり古いみたいだし、壁の間とか走りまわってたのかもねー」

さ、行こ!と真美が私の手を引く。

ちと休憩。
0時過ぎくらいに再開する予定。


先に進んでいく途中、何かが足に当たった。

真美「ん? これって……」

やよい「ひっ!?」

骨。

足元に人の骨が落ちている。

真美「う、なんでこんなものが……」

やよい「ひ、引き返そうよ……」

真美「いやいや、ここまで来たからには、この先に何があるか確かめるまでは帰れないよ!」

そう言い真美はさらに奥へと進んでいってしまった。

まだこの状況を楽しんでいるのか、それとも本心で真実の探求をしているのか、ただの好奇心なのか、今の真美の心理がまったく読めない。

しかしこんなところで真美を一人置いていくわけにもいかず、私はしぶしぶ真美を追いかけることにした。


やよい「うぅ、ここは……!?」

散らばる人骨。

そして探索するうちにたどり着いた地下の調理場。

そのとき私は、さっき見た資料の意味を理解してしまった。

過去にここで行われていた悪魔の所業に。

この広大な地下の洞窟のような空間で、気がつくと私は一人になっていた。

私はついに真美とはぐれてしまったらしい。

聞こえてくるのは鼠の足音だけ。

私をこの闇の中に引き込んだ鼠共。

私はその闇の中をさらに進んでいく。


一人になった私は地下をさらに進んでいく。

いつの間にか私の中に恐怖という感情がなくなっている。

ただただぼんやりとした苛立ちのようなものがつのるだけ。


そして、奥にいたのは黒いのっぺらぼうだった。

あの黒いのっぺらぼうは笛の音に合わせて気の狂った声を張り上げている。

ナイアルラトホテップ。

私をここに誘ったのは鼠ではなくこのふざけた悪魔のような神。

私がこんなになったのも。

私?

私は高槻やよい。

私はやよい

私は……

私は……

私は


私は今、精神病院にいる。

周りの人間からの冷たい目が痛い。

そして真美のことを口にすると、周囲はひどい奴だと私を非難する。

私達が発見されたとき、私は半分食い尽くされた真美の上にしゃがみ込み、意味の分からないことを口走りながら狂った笑いをあげていたそうだ。

しかし真美をそんなにしたのは私ではない。

なぜ皆には聞こえないのか?

あれは全て、今も部屋の中を走りまわる鼠共の仕業だというのに。

『別荘の地下室』完

意味が分からないうえ後味悪いYO。
ですが俺のイメージするクトゥルフとはそういうもんです。
割り切っていきましょ→

・「黄の印」 完
・「別荘の地下室」 完
・「夜に鳴く鴉」 次
・「時間旅行」
・「闇をさまようもの」 ←追加
・「春香の個性が爆発して邪神になった」

今日はここまでです。

すまん、sage忘れた。
というか間違ってsaga sagaって打ってたorz

『夜に鳴く鴉』


「はいカットー」

貴音「ふぅ」

「じゃ、ここからは部屋の固定カメラだけつけといてくれれば自由に行動していいから」

響「はい!」

貴音「わかりました」

「ゴールデンで二時間のスペシャル番組、二人には期待してるから! よろしく頼むよ!」


今、自分は貴音と二人で遠くの田舎村に来ている。

『褐色娘と銀色王女の一週間田舎村生活!』の収録で、一週間この村で別々に生活することになった。

自然あふれるこの村で、地域の人と交流しながら自由に過ごすという内容だ。

カメラやスタッフさんがつくのは昼間の明るい時間だけで、あとは自分らの住む仮設住宅に設置された固定カメラのみという。

なんでも、なるべくカメラ意識を無くして自然な姿を撮りたいからとのこと。


貴音「響」

響「んー? どうした?」

貴音「この村から何か悪い気を感じます」

貴音がどこか神妙な表情で言う。

貴音「歓迎されていないというか、何か隠し事があるような」

響「そりゃあ自分らはまだこの村に来たばかりだし、知らないことがあるのは当然さー!」

貴音「いえ、そうではなくて。 意図して何かを隠しているような」

響「気にしすぎだって! 貴音は心配症だなー!」

自分はわざと明るく振舞って見せた。

貴音「響、どこへ行くのですか?」

響「ちょっと村の人たちに挨拶してくるだけだぞー」


まったく、貴音は心配しすぎだと思う。

こんなにのどかで良い所なのに、何かあるわけがない。

それにもし、貴音の言う通りだったとしてもここにいるのはたったの一週間だけ。

その間に何か起きるなんてことあるわけないだろう。

響「はいさーい!」

「おや、たしか我那覇さんでしたっけ?」

歩いていた初老のおじさんに声をかける。

響「そうだぞー! これから一週間、よろしく!」

「こちらこそ、なんにも無い所だけどね」

うん、やっぱりここは良い所だ。

人も、自然も。


それから自分はあちこちの家に挨拶してまわった。

みんな快く接してくれて、貴音の言っていたことをいつの間にか忘れてしまっていた。

響「あとは向こうのはずれにある家が最後かな」

そう呟き、そこへ歩き出そうとしたとき。

近くにいたおじさんが声をかけてきた。

「あの家には行かないほうがいいよ」

響「え?」

「あそこには今は誰も住んでいないんだ」

言葉はやんわりとしていたが、つまりあそこには近づくなと言っている。

途端、貴音の言葉がよみがえってくる。

響「そっかー、誰もいないんじゃあしょうがないね!」

「うんうん、しかし我那覇さんみたいに若くて明るい子が来るとなると、村も活気づくよ」

響「そう言ってくれると嬉しいぞ!」

会話を適当に、その場からそそくさと離れる。


響「ふぅ」

番組が用意した仮設住宅に着き、一旦落ち着く。

響「あの家……」

胸の奥でもやもやとした感情が消化不良を起こしている。

貴音の言う通り、この村には何かあるのかもしれない。

たった一週間の暮らしだし、近づかないのが一番であるのは分かっている。

でも、なんだか気になってしまう。

あの家で、この村で、外の人間には知られたくない何かがあった?


響「ん、メールがきてるぞ」

開いてみると、それは千早からだった。

内容はたったの一行だけ。


『門を開けて』


門?

一体どういう意味だ?

『門』の意味について色々と考えてみたが、思い当たることは何もない。

もしかしたら送信ミスかもしれないので一応確認のメールを返したが、返信はこなかった。

支援

>>66
あらら、どもです!
忙しくてあげるほど書き溜めがあるわけでない、けどこのままじゃHTML化されちゃう。
と思ってしれっとsageで書き込んだんだがまさかレスついてるとは驚き&感謝(とはいえ駄文しか書けんので期待はせずにお願いします)
とりあえず書き溜まるまではこんな感じでふらっとsageで書いていこうかなと思いまする。


翌日。

自分はどうしても気になって、昨日の無人と言われた家を調べてみることにした。

途中で会った貴音には『世の中には知らない方が良いこともあるのです』と忠告を受けたが。

それでも気になるものは気になるし、本当に誰もいないのかを確かめるくらい問題ないだろう。

道で会う村の人たちに挨拶しながら、足早にそこを目指した。


なんとか村の人たちにはばれずに昨日の家についた。

響「すみませーん、誰かいませんかー?」コンコン

返事がない。

ドアノブに手をかける。

鍵はかかっていないようだ。

響「入るぞー?」


家の中に入る。

想像していたより中の状態は平凡で、本当にただの空き家みたいだった。

響「やっぱり何も無いよね、身構えていただけに拍子抜けだぞ……ん?」

あれは本棚?

でもここは空き家だし、あんなびっちりと本が詰め込まれてるなんて。

つまりここには誰かいたということ?


本棚に詰められた本を見てみる。

そこには『妖蛆の秘密』『無名祭祀書』『屍食教典儀』など意味の分からない本ばかりで、表紙から気味が悪かった。

これはさすがに読む気が起きないぞ。

ん?

これは。

ここに住んでいた人が書き残したノート?

もしかしたらこれに何か書いてあるかもしれない。

自分はこのノートだけ持って空き家を後にした。


響「このノート……」

自室に戻った自分は、興味本位にこのノートを開き読んでみた。

その中身は、古代の信仰の対象であった何かを呼び出すための呪文めいたことが書かれていた。

響「なんだこれ? 『るるるるる・んぐるい・んんんんん・らぐる・ふたぐん・んがあ あい よぐ・そとおす』?」

うーん、さっぱり意味がわからないぞ?


これの真相は、単に変な人が昔あそこに住んでいた、ってだけなのかな?

だとしたらどっちらけだぞ。

ん?

響「あれ、千早から返信きてる」

なんとなく携帯を確認してそれに気づいた自分は、当たり前のようにそのメールを開く。

響「んん?」

本文には何も書かれていない。

ただの空メール。

また送信ミスかな?

千早もおっちょこちょいだな。

さて、そろそろいい時間だし、寝るとしようかな。


響「……」

うう、寝れないぞ。

原因は分かっている。

真夜中だというのにやかましく鳴き続けている鴉のせいだ。

この鴉共のせいで寝れないでいるんだ。

響「……」

ああ、もう。

なんだか無性に腹が立ってきた。


苛立ちが押さえきれず、自分は表へと飛び出した。

響「お前ら、夜中だっていうのにうるさすぎるぞ!」

鴉共にむかって叫ぶ。

がしかし、この鴉共は忌々しいことに何ひとつ反応を示さずに鳴き続けている。

そもそもこいつらが何を言っているのか分からない。

いままでそんなことはなかったのに。

だがもう、そんなことはどうでもいい。

こいつらが黙ればそれで満足なのだ。

そして自分は、落ちていた木の棒きれを手にとった。


翌朝。

山のふもとで大量の鴉の死骸が見つかったと軽い騒ぎになっていた。

「大変なことになったなぁ」

「まさかまた起きるとはね」

「何度も殴打したあとがあったそうだよ」

「我那覇さんも四条さんも気をつけてね」

貴音「はい」

響「自分、毎日身体鍛えてるからなんくるないぞー!」

貴音「……」


貴音「響……」

響「ん?」

貴音「どうして声に出して読んでしまったのです……」

響「貴音?」

貴音「『外のもの』はもう来てしまいました。 既に貴女の中にいます」

響「貴音、なんの話だか全然分からないぞ?」

貴音「警告はしたのに、いや、私がついていながら……」

そう言って貴音は目を伏せ、『もうどうしようもできない』と言いながら去っていった。


その夜。

自分は大音量の鴉の鳴き声と、何か呪文めいた言葉を聞いた。

それは仮設住居のすぐ近くで聞こえているようだった。

なぜか自分の神経は極限まで張り詰めていて、自分はそれに耐えられず気絶してしまった。


夢を見た。

夢の中で自分は、原始の密林に囲まれた古代遺跡にいた。

そこでの自分は大いなる種族に仕えていて、彼らの為に野獣を殺して捧げる存在だった。


翌朝。

自分はなぜかぐったりと疲れきっていた。

そして、村人の一人が殺されていた。

村では何か噂しあっていたが、それが何の仕業かは誰もわかっていなかった。

貴音「……」


そしてまた夜がきた。

鴉は鳴き続けていて、自分の夢はさらに克明なっていった。

その中で自分は、偉大なる[門を護るもの]ヨグ・ソトースの下僕であることに喜びを感じていた。

るるるるるるる・んぐるい・んんんんん・らぐる・ふたぐん・んがあ あい よぐ・そとおす!

るるるるるるる・んぐるい・んんんんん・らぐる・ふたぐん・んがあ あい よぐ・そとおす!

るるるるるるる・んぐるい・んんんんん・らぐる・ふたぐん・んがあ あい よぐ・そとおす!

鴉たちが鳴き叫ぶ中、自分はそう叫びながら何かの喉を引き裂いていく。

るるるるるるる・んぐるい・んんんんん・らぐる・ふたぐん・んがあ あい よぐ・そとおす!

るるるるるるる・んぐるい・んんんんん・らぐる・ふたぐん・んがあ あい よぐ・そとおす!!

るるるるるるる・んぐるい・んんんんん・らぐる・ふたぐん・んがあ あい よぐ・そとおす!!!

るるるるるるる・んぐるい・んんんんん・らぐる・ふたぐん・んがあ あい よぐ・そとおす!!!!

るるるるるるる・んぐるい・んんんんん・らぐる・ふたぐん・んがあ あい よぐ・そとおす!!!!!


貴音の死体が見つかったらしい。

自分は深く悲しみ、涙を流す。

そして夜になるとまた、自分は嬉々としながら自分の使命を果たす。

いったい誰がこんなことをしたのか?

貴音の命を奪った奴は絶対に許さない。

それでも自分は僕としてヨグ・ソトースに尽くす。

そして自分は。

自分は。

自分は

『夜に鳴く鴉』完

これに関してはごめんなさい。
頭の中で映像として物語は出来ていたけど、文字として雰囲気を伝えるのは難しい。
というか時間かかりすぎ。
うん、ごめんなさいだ。
元ネタはオーガスト・ダーレスの『丘の夜鷹』でした。

・「黄の印」 完
・「別荘の地下室」 完
・「夜に鳴く鴉」 完
・「時間旅行」次
・「闇をさまようもの」 
・「春香の個性が爆発して邪神になった」

今日はここまで。
この先また不定期。

はいさいー、小出しばっかでごめんなさい~
書こうにもなかなか筆(キーボード)が進まなくて。
とりあえず書き溜め溜まったらまとめてageていこうかなと思いまする。
それまでは変わらずひっそりsageで進めていくよ。


『時間旅行』


美希「……あふぅ」

P「お、やっと起きたか」

美希「うん、事務所が静かだったからよく眠れたの」

P「そうかそうか」

嘘。

事務所が静かなのは本当だけど、静かすぎて全然落ち着かないの。

よく眠れたか、と言われればそうでもなかったのが本当のところ。


美希「小鳥と千早さんは?」

P「まだダメらしい」

二人が体調を崩して今日が三日目。

特に千早さんはちゃんと食事をとっているか心配なの。

春香「もう、プロデューサーさん、ちゃんと話し聞いてます?」

P「ああ、聞いてるよ。 どういう方向で売り出すかだろ」

最近ハニーと春香はずっとその話しをしている。

春香は『自分には個性がないから』って言ってるけど、少し気にしすぎだと思うな。


千早さんのお見舞いにでも行こうかな。

……うん、そうしよう。

美希「ねぇハニー。 ミキ、暇だからちょっと千早さんのお見舞い行ってくるねー」

P「ん? そうか、了解。 美希は今日のレッスンはもう終わってたな。 そのまま帰るのか?」

美希「うん、だからまた明日なの」

P「そっか、千早をよろしくな。 気をつけて帰るんだぞ」


美希「たしかここのマンションのこの部屋だよね」

千早さんの家に着き、早速インターホンを押す

が、反応がない。

少し待ってからもう一度インターホンを鳴らしてみたが、物音ひとつしない。

外出中かなと思いドアノブに手をかけると、鍵はかかっていなかった。

まさか……


美希「千早さん!」

扉を開けて叫ぶが、返事はない。

でも玄関に靴はあるし、きっと中にはいるはず。

ミキは慌てて中へ入っていった。


美希「何……これ……?」

千早さんの部屋に入ると、異様な空間が広がっていた。

ミキにはこの部屋の異常さの原因がすぐには分からなかった。

ただとにかく、気味が悪かった。


部屋にあるのは電源がついたままのパソコンとノートと鉛筆のみ。

しかし、そのひとつひとつが元の形ではない。

パソコンの角となる部分は全てやすりか何かで削りとられていて、ノートも丸く切られている。

鉛筆は角のない丸型のもので、芯の先はかなり潰れていた。

部屋も隅から隅まで徹底して[角度]のあるところが削られたり何かで埋められたりしていて、空間すべてが曲線で構成されていた。


そして部屋の中心には、何か青みがかった粘液のようなものが垂れていた。


わけが分からない。

千早さんはどこ?

靴はあったし、そもそも鍵を開けたまま外出するとは考えにくい。

だとすると、緊急の何かが起きたということかもしれない。

いや、今も起きている最中かも。

とはいえ千早さんを知る手がかりはかなり限られている

ここでエンディング分岐の安価。
多分今回だけだから許して。


1,ノートを調べてみる。
2,パソコンを調べてみる。

ノートはおそらく千早の書いたものでしょう。
メモの代わりかもしれませんし、誰かへのメッセージかもしれません。

パソコンは今もつけっぱなしの状態です。
千早が調べたことや知ったこと、直前まで千早が見ていたものが載っているかもしれません。


とりあえず↓3までで多かったほう。
3つもレスつくか分からんけど……
とりあえず続きは明日の夜中に再開します。


ミキは部屋に置いてあるノートを開いた。

最初のページには、『これから私、如月千早は、常人より遥かに長い時間を生きることになる。 必要なことや忘れてはいけないことはこれに書き記すことにする』と書かれていた。

美希「……どういうことなの?」

ぱらぱらとページをめくっていく。

そこには狂っているとしか思えない文が日記形式で書かれていた。


ノートの中身は、千早さんが社長から一冊の本を貰った、ということから始まる。

どこの国の言葉で書かれているかも分からないような奇妙な本。

千早さんは、『この本を読み終えたとき、必ずや君の望む物が手に入るだろう』という社長の言葉を信じて、必死に翻訳に取り組んだと書いてある。

何年も、何十年もかけて。


社長から貰った本の翻訳と解析に長い年月が過ぎた。

そしてこの本の本当の意味を知ったとき、千早さんは千早さんの望むものが手に入ったという。

その本は『ナコト写本』というそうで、偉大なる種族、旧支配者、外の神についてのことや、精神操作、時間逆行の方法が記されていた。

千早さんはこの力を使い、弟の生きている未来と、解読のために無駄にしてしまったアイドルとしての日々を取り戻そうと、時間を逆行することにしたらしい。


そして逆行して帰ってきたのがこの世界らしい。

日付を見ると、逆行して着いたのは今から五日前のこと。

千早さんは、弟の生きている未来とアイドルとして生きる自分の未来を手にする為に、時間の逆行ではなく時空を超える必要があると知る。

そこで千早さんは、ナコト写本から得た知識と響の協力でヨグ・ソトースという神をこの世界に呼び出した。


『猟犬にバレた』

次のページにはたった一文、急いで書いたような汚い字でそう書かれていた。

さらにページをめくる。

日付から昨日書いたものだろう。

『やつは九十度以下の鋭角からしか出て来れない』

『だからこの部屋に篭っていれば襲われることは無い』

『だから大丈夫』

『大丈夫』


『怖い』

『なんで私がこんな目に』

『私は優のある未来が見たかっただけ』

『それだけの努力をしてきた』

『なのになんで』

『やだ』

『怖い怖い怖い』

『地震』

『やだ、なんで』

『たすけて』


そこから先は白紙。

このノートに書かれていることのどこまでが本当だか分からない。

けど、最後のページからは千早さんの恐怖と絶望が嫌というほど伝わってくる。

もしこれが本当だとしたら、きっと千早さんはもう。


美希「千早さん……」

視線を落とすと、地べたに置かれたパソコンが目に入る。

もしかしたらこれにも何かあるかもしれない。

そう思い操作すると、『ナコト写本』の和訳がすべて書かれていた。

それを見て、ミキは分かってしまった。

理解してしまった。


美希「そんな、ありえないの」

美希「あ、あぁ……」

千早さんはノートに時間逆行だとか精神操作だとか神の存在だとかについて書いていたけど。

こんなものを読んでまともな精神が保てるわけない。

これは悪魔の本。

手に入るのは悪魔の力。

人が踏み込んではいけない領域なの。


もうこの空間にいることが耐えられない。

急いでここを出なきゃ。

美希「あ……」

外に出ると、そこには存在してはならないものが町を覆っていた。

美希「あぁ……」

そして、あの和訳を見てしまったためにまた『理解してしまった』。

美希「あ……あ……」

ヨグ・ソトース、アザトース、ナイアルラトホテップ。

美希「あああぁ……」

なんで?

いや、もうそんなことはどうでもいい。

どうしようもできない。

もう、だめ。

なにもかも。


そこでミキは意識を手放した。

『時間旅行』完

もう一つ考えていたのは、パソコンを先に見た美希が時間逆行の方法を知ってしまい、千早が何をしていたのか知る為に時間逆行してしまうという内容です。
しかし『ティンダロスの猟犬』に見つかってしまい、最後は曲線で構成された千早の部屋に美希が怯えたまま閉じ篭るというものの予定でした。
『ティンダロスの猟犬』とは、時間の始まりに棲む怪物で、時間旅行者などを見つけるとそれが死ぬまで執拗に追いかけてくる四足獣で、見た目は犬に似ても似つかない怪物です。
『九十度以上の鋭角』から出現するため、ああいう部屋の状態でした。
『ティンダロスの猟犬』には『サキュロス』や『ドール』といった協力者がおり、それらが地震などを起こして部屋に亀裂をいれ、角度を作り出そうとするそうです。
つまり、狙われたら諦めろor『万物溶解液』を作れ。
本文ではそういった千早の部屋の状態の理由や、ノートの最後で何に怯えていたのか説明不足でした。
力量不足です、ごめんなさい。

・「黄の印」 完
・「別荘の地下室」 完
・「夜に鳴く鴉」 完
・「時間旅行」 完
・「闇をさまようもの」 次
・「春香の個性が爆発して邪神になった」

では、また続きはまたいつか。


『闇をさまようもの』


真「小鳥さん!」

小鳥「あら真ちゃん、興奮してどうしたの?」

真「小鳥さんって小説とか読みますか!?」

ああ、なるほど。

さっきも雪歩ちゃんがラジオ収録に出掛ける直前まで、二人で小説の話で盛り上がっていたし。


小鳥「うーん、最近はあんまりかしら?」

真「そうですか……」ションボリ

小鳥「社長なら読んでいるかもしれないわよ? 掃除してるときに社長室入ると、毎回いろいろな本が並んでるから」

真「本当ですか!? ありがとうございます!」

小鳥「あ、でも今は……」

行っちゃった。

たしか千早ちゃんも社長に用があるって社長室に行ってたんだよね。

大事な話しのような雰囲気だったから今は社長室には行かないほうがいいと思うけど。


亜美「ねーねー、いおりんは別荘とか持ってないのー?」

伊織「もちろんあるわよ。 何代も昔からある古いところだけど」

真美「ホント!? じゃあ今度遊びに行ってもいいー!?」

伊織「ええ、いいわよ。 じゃあ今度の日曜日にでも」

やよい「うっうー、伊織ちゃんの別荘ですー!」

律子「こら、日曜日は竜宮の仕事が入ってるでしょ。 遊ぶならそれが終わってからにしなさい」

亜美「げげ、そうだったー!」

美希「……もちもちでふわふわなのぉ」ムニャムニャ

ふふ、相変わらずで今日も平和ね。

さて、もう一仕事頑張ろう。

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