海未「アイドルはなしです!」 穂乃果「……」 (62)

穂乃果「そっか……」

海未「スクールアイドルなんて、そんな思いつきで……」

ことり「……」

海未「好奇心だけではうまくいくとは思えません!」

穂乃果「わかった……」

穂乃果「……ことりちゃんは?」

ことり「え……?」

穂乃果「無理だと思う?」

ことり「やってみないよりはいいと思うけど……」

穂乃果「本当!?」

穂乃果「じゃ、じゃあ、ことりちゃんは一緒にやってくれる!?」

ことり「う、うん……」

穂乃果「本当に!? やったー!」

穂乃果「一緒に頑張って、廃校を阻止しようね!?」

ことり「うん、頑張ろうね、穂乃果ちゃん」ニコッ

海未「……」

――――
――――――

穂乃果「~♪」

穂乃果「……?」

穂乃果(歌……?)

――――
――――――


真姫「ナニソレ、イミワカンナイ!」

穂乃果「だ、だよねー」アハハ…

穂乃果(あの子がメンバーに入ってくれたらなあ……)

――――
――――――


絵里「……これは?」

穂乃果「アイドル部設立の申請書です!」

絵里「……認められないわぁ」

ことり「どうしてですか?」

絵里「部設立には最低5人必要なの」

希「あと、3人やね」

ことり「そうなんですか……」

穂乃果「……」

穂乃果「よし! なんとしてもあと三人! 見つけるよ!」

穂乃果「ね!? ことりちゃん!」

ことり「うん!」

――――
――――――


海未「こ、これは……」

穂乃果「ライブのお知らせだよ!」

ことり「ステージ衣装も考えたんだ!」

穂乃果「海未ちゃんも絶対見に来てね!?」

海未「え、ええ……」

ことり「ほら、穂乃果ちゃん、こんなのもどう?」

穂乃果「うんうん! かわいいよ!」

海未「……」

――――
――――――


穂乃果「グループ名も募集しよう!」

ことり「うん!」

穂乃果「さっそく、ポスター貼ってこなきゃ!」

穂乃果「じゃあ、海未ちゃん! またね?」タタタッ

ことり「あ、待って! 穂乃果ちゃん!」タタタッ

海未「あ……」

海未「……」

海未「……」

――――
――――――


穂乃果「練習場所はここしかないね……」

ことり「そうだね……」

ことり「屋根もないから、雨の日は練習できないけど……」

穂乃果「部として、認められれば空教室が使えるんだけどなあ……」

穂乃果「……」

穂乃果「ま! 仕方ないよ! 練習練習!」

ことり「うん!」

――――
――――――


穂乃果「……」

ことり「……」

穂乃果「歌、ないんだったね……」

ことり「うん……」

穂乃果「うーん……」

ことり「どうしよっか……」

穂乃果「あ! この間の一年生!」

ことり「当てがあるの?」

穂乃果「うん!」

――――
――――――


穂乃果「――というわけで」

穂乃果「作曲は頼めばいいとしても……」

ことり「作詞をどうしよっかって話になってて……」

海未「そ、そうなんですか……」

穂乃果「さすがに詞をつけてって頼むのもね……」

海未「……」

海未「あ、あの……、も、もしよければ――」

ことり「穂乃果ちゃん」

穂乃果「……?」

ことり「わたし、頑張ってみる!」

穂乃果「ほ、本当に!?」

ことり「うん!」

穂乃果「で、でも、衣装も作ってもらってるのに……」

ことり「でも、学校なくなってほしくないから……」

ことり「少しくらい、無理しなきゃ!」

穂乃果「ことりちゃん……」

穂乃果「私も! 出来ることがあったらなんでもするから!」

ことり「うん! 一緒に頑張ろうね! 穂乃果ちゃん!」

穂乃果「うん!」

海未「……」

――――
――――――


穂乃果「お願い! 曲つくって!」

真姫「お断りします!」プイッ

…バタンッ

ことり「……」

穂乃果「……」

穂乃果「お断りします……って、海未ちゃんみたい……」

ことり「あ、あはは……」

穂乃果「せっかく二人で歌詞も考えたのに……」

ことり「うん……」

――――
――――――


穂乃果「やっぱり、他のスクールアイドルの曲を借りるしかないのかな……」

ことり「……うん、仕方ないね」

穂乃果「……」トボトボ

穂乃果「……」

穂乃果「……」パカッ

穂乃果「……ッ!」

穂乃果「入ってる! 入ってるよ! ことりちゃん!」

ことり「うん! うん! 開けてみせて、穂乃果ちゃん!」

穂乃果「うん……」ドキドキ

ことり「……」ドキドキ

穂乃果「……」ペラッ

穂乃果「ユーズ……」

ことり「うん!」

穂乃果「ユーズ! 素敵な名前!」

ことり「うん! 私も良いと思う」

穂乃果「私たちはいまからユーズだよ!」

ことり「うん!」

――――
――――――


穂乃果「――というわけで!」

ことり「ユニット名はユーズになったよ!」

海未「ユーズ、ですか」

穂乃果「うん! ほら見て!」ペラリ

海未「……?」

海未「多分……、ミューズ(μ’s)じゃないでしょうか?」

穂乃果「……せっけん?」

海未「違います。恐らく、神話に出てくる女神の名前です」

穂乃果「……へえ」

ことり「そうだったんだ……」

穂乃果「良かったー、危うく間違っちゃうところだったよ」

穂乃果「ありがとう! 海未ちゃん!」

海未「え、ええ……」

――――
――――――


穂乃果「どうしても、ダメかな?」

真姫「……私、好きじゃないんです。そういうの」

真姫「なんか軽いのよね」

穂乃果「じゃ、じゃあ、せめて歌詞だけでも読んでくれないかな?」

穂乃果「それでダメだったら諦めるから」

真姫「……気持ちは変わらないと思いますけど」

穂乃果「……」

――――
――――――


真姫(……まあ、見るだけなら)

真姫「……」ペラッ

真姫「……」

真姫「……」

真姫「……ぴんとこないわね」

真姫「なんか間に合わせで書いたって感じね」

――――
――――――


穂乃果「きゅ、休憩しよっか……」ハアハア

ことり「そ、そうだね……」ハアハア

穂乃果「ダンスって思ったより大変なんだね」ハアハア

ことり「う、うん……」ハアハア

穂乃果「……今日はこれくらいにしておこっか」

ことり「……うん」

穂乃果「曲はどうしよっか?」

ことり「うーん、やっぱり福岡のアイドルの子たちの曲が良かったと思う」

穂乃果「そうだね! 私もあの曲大好き!」

ことり「うん!」

穂乃果「それじゃあ、歌の練習もしなくちゃだね!」

ことり「頑張ろうね! 穂乃果ちゃん!」

――――
――――――


【μ’s初ライブ!】

花陽「……」タタタッ

花陽「……」パシッ

花陽「……」タタタッ

花陽「ふう……」

真姫「……」スタスタ

花陽「……ひゃ!」

真姫「……」スタスタ

花陽「……」フゥ

――――
――――――


穂乃果「え! 来てくれるの!?」

花陽「はい!」

花陽「お、応援してます! 頑張ってください!」

穂乃果「ありがとう!」

ことり「ありがとう」ニコッ

――――
――――――


――弓道場――


女生徒「あなたのクラスの子がライブやるって本当なの?」

海未「え? ええ、そうみたいですね」

女生徒「へえ、見にいくの?」

海未「ええ、そのつもりです」

女生徒「そっかー。じゃあ、勧誘は私たちでやっとくよ」

海未「あ……、す、すみません」

女生徒「別に謝るようなことじゃないけどさ」

女生徒「行ってきてあげなよ」

女生徒「お友達なんでしょ?」

海未「……はい」

――――
――――――

――穂乃果宅――


穂乃果「すごいねー、この子たち……」

ことり「うん、そうだね」

穂乃果「全然、息も切れてないし、ずっと笑顔で……」

ことり「……」

穂乃果「な、なあんて暗くなっても仕方ない!」

穂乃果「私たちは一生懸命やるだけ!」

穂乃果「ね! ことりちゃん!」

ことり「うん! 頑張ろう!」ニコッ

――ライブ直前――


クラスメート「じゃあ、音響や照明はまかせて!」

穂乃果「うん! 本当にありがとう!」

ことり「私、緊張してきちゃった……」ブルッ

穂乃果「大丈夫だよ! ダンスも歌も練習してきたんだから!」

穂乃果「きっと大丈夫!」

ことり「う、うん!」


『間もなく、μ’sの初ライブです!』

ビーッ!


穂乃果「……」ドキドキ

ことり「……」ドキドキ

穂乃果「……」

ことり「……」

穂乃果「……え」

ことり「……ッ!」

クラスメート「……」トボトボ

クラスメート「……ごめん」

クラスメート「頑張ったんだけど……」

――――
――――――


女生徒「良かったの?」

女生徒「友達のライブ、始まっちゃうんじゃない?」

海未「い、いえ……」

海未「わたしは弓道部員ですから……」

女生徒「そう……」

女生徒(真面目ねえ……)

女生徒(――というか真面目すぎ)

――――
――――――


ことり「ほ、穂乃果ちゃん……」グスッ

穂乃果「そ、そりゃそうだ……」

ことり「え……」

穂乃果「世の中そんなに甘くない!」ジワッ

ことり「……」

クラスメート「……」


タタタッ

花陽「……」ハアハア

穂乃果「……ッ!」

花陽「……あ、あれ? ライブは?」

穂乃果「やろう!」

ことり「え……」

穂乃果「歌おう! 全力で!」

穂乃果「だって! その為に今日まで頑張ってきたんだから!」

ことり「穂乃果ちゃん!」


~♪ ~♪

 

花陽(この曲……)

花陽(たしか福岡の――)

穂乃果「――♪」

ことり「――♪」

穂乃果(あ……)

穂乃果(ことりちゃん、ステップ……)

ことり(タ、タイミング、全然合ってない……)

ことり(練習でもあんまり合ってなかったから……)

ことり(こんなことならもう少し練習……)

ことり(しておけばよかった……)

穂乃果「あ――」ズルッ

ズタンッ!

ことり「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「はあ、はあ……」

ことり「だ、大丈夫!?」ハアハア

穂乃果「う、うん。だ、大丈夫。まだやれるから――」ハアハア

クラスメート「お、音楽一回止めて!」

花陽「……」

凛「かよちん……」

花陽「……凛ちゃん?」

凛「陸上部、見にいこ?」

花陽「え、で、でも……」

凛「……?」

凛「また今度見にこよ?」

花陽「……」

花陽「う、うん……」


――――――
――――

穂乃果「……」ハアハア

穂乃果「ま、待って!」

穂乃果「まだライブは――」

絵里「――もういいわ」

穂乃果「……え?」

ことり「生徒会長……」

絵里「見ていてわかったわ。あなたたちのダンスや歌では――」

絵里「生徒を集めることなんて出来ないわ」

穂乃果「……ッ!」

ことり「……」

絵里「これ以上のアイドル活動は――」

絵里「むしろ、マイナスにはならないわ」

クラスメート「そ、そんな言い方!」

絵里「事実を言っただけよ」

絵里「忠告するわ。これ以上、スクールアイドルの活動はやめなさい」

穂乃果「……」

ことり「……」

にこ(まあ、その通りね)

にこ(スクールアイドルをやってる下級生がいるって聞いて来てみたけど……)

にこ(これじゃあ、通用しないわ……)

にこ(アイドルを汚してる)

にこ(帰りましょ……)サササッ

――――
――――――


海未「それで、諦めたのですか?」

穂乃果「うん……」

ことり「やっぱり、難しかったね……」

海未「そうですか……」

穂乃果「なんとか、他の方法がないか考えてみるよ」

ことり「……うん、そうだね」

海未「私もお手伝いします」

穂乃果「ありがとう、海未ちゃん……」

――――
――――――


穂乃果「なんてことにならないためにも!」

ことり「海未ちゃん! 一緒にアイドルやろう!?」

海未「あ……」

海未「あなたたち!」

穂乃果「……?」

ことり「……?」

海未「話が長いです!!」


                  おわり

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