佐天「不幸だなんて言わせない」 (518)
~とある洋菓子店~
美琴「うーん‥‥」
黒子「お姉様、まだ決められないんですの?」
美琴「もうちょっとだけ待ってよ」
黒子「早くお決めになってくださいまし。あんまり時間をかけると面会時間を過ぎてしまいますの」
美琴「分かってる!でもこっちのキウイが載ってる奴も良さそうね‥‥」
黒子(はぁ‥‥これは長期戦になりそうですの)
カランカラン♩
店員「イラッシャイマセー」
佐天「やっと着いたー!ってあれ?御坂さんと白井さん?」
初春「ホントだ!こんなところで会うなんて偶然ですねぇ」
美琴「佐天さんに初春さん!こんな遠くの学区までどうしたの?」
佐天「それはお互い様ですよ。常盤台からもこのお店すっごく遠いですよね?」
黒子「この洋菓子店のケーキがとても美味しいとの噂をキャッチしまして」
初春「学園都市内でも結構有名ですもんね」
佐天「じゃあ私達と目的は同じって事ですね!せっかく会えたんだし今日はケーキ食い倒れでもしませんか!?」
御坂「残念だけど、このケーキはお見舞い用に買いに来ただけなのよ」
佐天「そ、そうですかぁ‥‥」ションボリ
初春「でもこんな遠くまでわざわざ買いに来るなんて、一体誰のお見舞いなんですか?」
佐天「誰かお友達が入院されてるんですか?」
御坂(この流れ!マズい!)
御坂「え、えーっと!友達というかなんと言うか‥‥」
御坂「べ、別に大した関係じゃないんだけどね!あはは」アセアセ
初春「そうなんですか?」
佐天(普通、大して気にかけない人の為にこんなとこまで来るかなぁ?)
黒子「‥‥上条さんというお方ですの」
御坂「ちょ、ちょっと黒子!?」
佐天「カミジョウさん?」
御坂「そ、そうなのよー!そのカミジョウって子にどうしても美味しいケーキが欲しいってせがまれちゃって──」
初春「なるほど~。でも常盤台の周りにも美味しいケーキ屋さんっていっぱいありますよね?」
御坂「えっーと!その子頻繁に入院するからお見舞いの品のネタも切れちゃったのよねー!」
佐天「え!それって何か重い病気とか‥‥」
御坂「ち、違うわよ!その子ちょっと抜けてるからあちこちで生傷作って来てるだけで」
初春「天然さんってことですかね~」
黒子(お姉様‥‥必死過ぎますの)
御坂「だ、だから!ここへはその子を満足させるために来ただけなんだってば!」
佐天「ふーん、そうなんですか~」ジトー
初春「お友達の為にそこまで気を回してあげるなんて、御坂さん優しいですよね」
御坂「あはは‥‥どうも」
御坂(ふぅ‥‥どうにか誤魔化せたみたいね)
佐天(なーんか御坂さんの態度が妙なんだよね~)
黒子「ちなみに!」
佐天・初春「?」
黒子「カミジョウさんは殿方ですの」ニヤリ
御坂「」
佐天「え!それってそれって!もしかするともしかするやつですか!?」パァァ
初春「御坂さん!そういう事だったんですね!」
御坂「黒子ぉー!どういう事よ!」
黒子「どうもこうも、わたくしは事実をありのままお伝えしただけですの」シレッ
佐天「みさかさぁーん、水臭いじゃないですか!そういう話はこの佐天涙子を通してもらわないと」
初春「常盤台中学、お嬢様の初恋‥‥。やりましたね御坂さん!」
御坂「う、うるさーい!!」
~10分後~
佐天「というわけで!私達二人もカミジョウさんのお見舞いに着いて行く事になりました!」
初春「ですね!」
黒子「何か妙に説明くさいですの」
御坂「はぁ‥‥何でこんな事に」ブツブツ
佐天「もぉーそんなに落ち込まないでくださいよ!お二人の邪魔はしませんから!」
初春「そうですよ!カミジョウさんと心ゆくまで心を通わせ合ってください!」
御坂「だーかーら!私とあいつはそんなんじゃないんだってば!」
黒子「まぁまぁお姉様、二人も邪魔するわけではありませんし」ニヤニヤ
御坂「事の発端はアンタでしょうが!」
~いつもの病室~
上条「はぁ‥不幸だ‥‥」
上条「まさかインデックスに噛まれてまくって入院するなんてな~」
土御門「やれやれ、上やんがあっちこっちでフラグを立て過ぎるからだにゃ~」
上条「何のフラグだよ!第一俺は何もしてねぇじゃんか!」
土御門「そのことに無自覚なのがフラグ体質に輪をかけて腹立つにゃ~。まぁ、だからこその上条当麻なのか?」
上条「上条さんには訳がわからないでせうよ‥‥」
コンコン!
土御門「ん?お客さんみたいだにゃ。誰か見てくるぜよ」
上条「悪いな、頼む」
土御門「さーて、お見舞い第一号(自分除く)は誰かにゃ~?」ガラガラ
御坂「! あ、あの、上条当麻さんの病室はここでよろしかったでしょうか?」
土御門(なるほど、超電磁砲。妥当なとこだぜよ)
土御門「その通り!悪いんだけど俺はちょっと外すから面倒見てやってくれにゃ~」
御坂(にゃ、にゃ~?)
御坂「分かりました、では失礼します‥‥」ガラガラ
土御門(さて、どうなることやら。それより‥‥)
佐天「病室に入りましたよ!ドアの前まで行きましょう!会話聞かないと!」
初春「そ、それはちょっとやり過ぎじゃあ‥‥」
黒子「そのくらいなんてことはないですの」
土御門「あの三人組は何してるのかにゃ?」
上条「ん、おお御坂か」
御坂「ま、また来てやったわよ!全くあんたは毎回毎回怪我ばっかして!」
上条「文句言うぐらいなら来なきゃいいだろうに」
御坂「何よそれ!せっかくお見舞いに来てあげたのに!」
上条「へーへー、毎回同じような問答してる気もするけど」
御坂「き、気のせいよ気のせい!ほらっお見舞いのケーキ。ありがたく頂きなさい」
上条「うおっ!これってこの間テレビで特集やってた──」
御坂「そうよ、とっても美味しいからじっくり味わって食べるのよ!」
上条「あれっ?でもこのケーキ売ってる店ってウチの学区からかなり離れてるよな。わざわざ買いに行ってくれたのか?」
御坂「あっアンタなんかのためにそんな労力割くわけないじゃない!取り寄せただけよ!」
上条「さ、さいですか‥‥」
上条(そこまで言われると流石の上条さんも悲しいですよ‥‥)
監視カメラ「‥‥‥」
佐天「あーもう!御坂さん自分から雰囲気ぶち壊してるし!」
初春「イマイチ素直になれない感じですね~」
黒子「大体こんな予想はついてましたの」フヒヒ
佐天「でもやっぱり初春流石だねー!あっという間に病院の監視システムを丸ごとハックしちゃうんだもん!」
初春「あ、あんまり大声で言わないで下さい!」
佐天「ごめんごめん♩」
黒子「ジャッジメントとして規則違反は見逃せませんが、有事の際は例外ですの。ハッキングを続けなさい初春」
初春「了解です!」
上条「じゃあ早速このフルーツケーキを頂きたく存じますが‥‥」チラッ
御坂「ふんっ、勝手にすれば!」
上条「とほほ‥‥ってあれ?」
御坂「‥‥どうしたのよ?」
上条「いやー、実は上条さん利き手が動かせない事を思い出しましてはい」
御坂「あぁ、そういうこと。私が手伝って‥‥はっ!」
御坂(こ、これって恋人同士がやってる「あ~んして♩」ってやつ!?////)
上条「あの~御坂さん?顔が紅いようだけど大丈夫でせうか‥‥?」
御坂「ししし仕方ないから私が口まで運んであげるわよ!////」
上条「あ、ありがとうございますです‥‥」
御坂(落ち着け私!このくらい何でもないわよ!平常心平常心‥‥)
御坂「ほらっあーんして!」プルプル
上条(なんか御坂さんが小刻みに震えてるんですけど。それに‥‥)
上条「御坂‥‥」
御坂「な、何よ!」プルプル
上条「今御坂が俺の口にケーキを運ぶ為に使ってるのはフォークじゃなくてローソクだ」
佐天「御坂さん何してるんですかね‥‥?」
初春「さぁ、御坂さんなりのジョークなんじゃないですか?」
佐天「はっ!まさかこれは二人の間でしか分からないア・イ・シ・テ・ルのサイン!?」
初春「もぉ~佐天さんったらドリカムじゃないんですから」
黒子(テンパってるだけですの)
御坂「え?ローソク?」タラー
上条「うん。ローソク」
御坂(何やってんのよ私ぃー!どこが平常心なのよ!be cool be cool‥‥)
御坂「あ、アハハハ!冗談に決まってるじゃない!ジョークよジョーク!」
上条「‥‥なるほど、じゃあそろそろ普通に食わせてくれ」
御坂「分かったわよ‥‥はいあーん!」
上条「お、おう!あーん‥‥」パクッ
御坂(とうとうやっちゃった////)
初春「キャー!////」
佐天「や、ヤッたー!」
黒子「自分で唆しといてアレですが若干ムカつきますの」
初春「まぁまぁ白井さん」
初春「でも、なんか見てる方が緊張しますね!」ドキドキ
佐天「だね!いいなー御坂さん!私もああいうのやってもらいたいなぁ~」
黒子(私も‥‥?)
黒子(はっ!‥‥閃きましたの)フヒヒ
黒子(見慣れているとはいえお姉様とイチャイチャし過ぎですのよ類人猿)
黒子「佐天さん、ちょっとお話がありますの」
佐天「お話?あ!いくらイチャつく二人を見ていたくないからって邪魔するのはダメだと思いますよ!」
初春「そうですよ!ここから始まる御坂さんのヴァージョンロードが!」
黒子(‥‥ヴァージョンロード?)
黒子「いーえの。むしろ二人の仲を進展させるよいきっかけになる事ですの」
初春「何か仕掛けるんですか?」
黒子「うふふ♩」
上条「うん!やっぱり名店と言われるだけあって美味いな」モグモグ
御坂「ホントに!?良かったぁ」パァァ
上条(‥‥普段ツンケンしてる美少女中学生にちょっとだけときめいてしまう上条さんじゃありませんからね、いやホントに)
上条「普段から笑ってれば可愛いのに‥‥」ボソッ
御坂「え?今なんて──」
ガラガラ!
黒子「ご機嫌いかがでございましょうか上条さん!」
御坂(え?黒子!?何で‥‥)
上条「白井?それにそのお二方は‥‥」
佐天「どうもー!御坂さんと白井さんの友達の佐天涙子でーす♩」
初春「あ、あの同じく初春飾利と言います!」ペコリ
上条「はぁ‥寝ながらで申し訳ないけど、どうもはじめまして」ペコッ
御坂(ちょっと黒子!どういうことよ!)ヒソヒソ
黒子(まぁまぁ落ち着いてくださいまし。友達ぐるみで仲良くなるのも良いではありませんか♪)ヒソヒソ
御坂(どういう理屈よ!)ヒソヒソ
佐天「御坂さんのボーイフレンドが入院してると聞いて、いてもたってもいられず病室まで来てしまいました!」
初春「御坂さんの彼s‥‥ボーイフレンドともなればご尊顔を拝まずには帰れませんからね!」
上条「はぁ‥さいですか」キョトン
御坂(ぼ、ボーイフレンドって////)
佐天「でも、上条さんに会った事で一つ大きな問題が生まれてしまいました‥‥」
上条「問題?」
佐天「はい‥‥わたくし佐天涙子は上条さんに一目惚れしてしまいました!」ババーン!
上条「‥‥へ?」
御坂「‥‥‥」
御坂「え?」
佐天(これでいいんですよね白井さん?)チラッ
黒子(グッジョブですの佐天さん!)コクリ
上条「あー‥‥えーっと」
初春「う、うわー。佐天さんそんな事言ったらダメですよー(棒)」
佐天「止めないで初春‥‥!私は禁断の三角関係に陥るの‥‥」ハラリ
初春「なら私は止めはしませんよ~(棒)」
黒子(初春はともかくとして、佐天さんの演技力は意外ですの)
御坂「え? え?」パクパク
上条「あのぉ‥その気持ちは嬉しいんだけど‥‥」
御坂(‥‥ん?)
佐天「そんなぁ‥‥」ウルウル
上条(うっ!涙を浮かべての上目遣いは反則だろ////)
上条「第一、俺は佐天さんの事よく知らない訳だし‥‥」タジタジ
佐天「そう‥ですね。急にこんなこと言ってすいません‥‥」
御坂(そ、そうよね!こいつはそんな軽い奴じゃ──)
佐天「なら!これから親睦を深めていけばいいってことですよね!」
御坂(はいいぃぃ!!?)
初春「そ、それは名案ですねー佐天さん!」
上条「あのー‥‥まぁ確かにそういう事になるのかもしれないのでせうが」
佐天「上条さん、退院できるのはいつですか?」
上条「退院?えーっと来週の水曜日には退院できるらしいけど」
佐天「じゃあ来週の金曜日にデートしませんか!?上条さんの行きたい所で構いませんので♪」
黒子(お姉様の学内スケジュールは確認済み!これでお姉様が佐天さんに対抗すれば‥‥)
黒子(作戦は成功ですの!)
御坂「‥‥‥」
上条(来週の金曜日‥‥確かインデックスは小萌先生の家でパジャマ闇鍋焼肉パーティーをするとかでいない)
上条(そうじゃなくても、佐天さんみたいな美少女とデート出来るのは僥倖!‥‥のはず)チラッ
佐天「どうしました?」ニコッ
上条(やっぱりかわいい!)ドキッ
上条(もしかしてホントのホントに、不幸続きの上条さんにも春がやって来たんでしょうか!?)
佐天「お返事をいただけますか?かみじょうさん♪」
上条「あ、あぁ‥‥」ゴクリ
黒子(ここですお姉様!ここで割って入ってデートの約束を取り付けるなら今このタイミング!)チラリ
御坂「‥‥‥」
黒子(お姉様‥‥?)
佐天(あれ?なんか御坂さんが動く気配が無い‥‥)
上条「佐天さん──」
佐天(この流れだと普通に私と上条さんがデートってことに)
上条「俺なんかで良ければ───」
佐天(御坂さん‥‥?)
御坂「‥‥‥」
上条「来週金曜、一緒にデートしよう」
御坂「‥‥‥」
御坂「良かったじゃない、佐天さん」
佐天「えっ?これはですね‥そもそも御坂さんのために‥‥」オドオド
御坂「‥私は関係ないんじゃない?佐天さんはこいつにデートを申し込んで了承された」
御坂「そこに私が口を挟む要素なんてあるわけないじゃない」
御坂「それとも、佐天さんは遊び半分でこいつにさっきからアレコレ感じの良いこと言ってたの?」ギロッ
佐天「あ‥‥あぅ‥」ビクビク
黒子「お姉様!これはわたくしが‥!」
上条「あ、あの~‥‥」
御坂「なーに?黒子」
上条「あのー、もしもし?」
黒子「ここで起こっているのはちょっとした誤解ですの」
上条「これはどうゆう状況d」
御坂「誤解‥‥ねぇ」
黒子「理由は後で話しますの‥‥どうかここは」
御坂「‥‥‥」
御坂「‥‥‥分かったわよ」プイッ
佐天(た、助かった‥‥)ホッ
上条(この場における上条さんの存在感がミジンコ並みになったのは気のせいでしょうか?)
初春(こ、こんな御坂さん初めて見た‥‥恐いよ~)ビクビク
初春(でも、思わぬ恋のライバル出現に闘志むき出しのお嬢様‥‥しかもそのライバルは友達!)
初春(それはそれでアリかもですね~!)キラキラ
御坂「‥‥空気悪くしちゃったし私帰るね。騒がせてごめん」スタスタ
上条「お、おう!またな御坂」
ガラガラ…バタン!
黒子「‥‥変なことに巻き込んで申し訳ないですわ」
上条「いやー、僕には何が何だかさっぱりですよ」
ガラガラ
土御門「よぉー上やん!超電磁砲とヨロシクやって‥‥あれ?」
土御門「ありゃ~?超電磁砲に飽き足らず病室であの短時間にハーレムを構築するあたりさすが上やんだにゃ~」
上条「なんつータイミングで現れるんだお前は‥‥」
黒子「‥間が悪いとはこの事ですわね」ハァ
土御門「友を想って見舞っただけなのにこの言われようは何事ぜよ!」
上条「そんなことより、佐天さん。さっきの事だけど‥‥」チラッ
土御門(いつになく上やんが冷たい気がするぜよ)
佐天「あ、えっと!その‥‥」
佐天(御坂さんに押し切ってもらう想定だったから‥‥でも上条さんにあそこまで言わせて嘘でしたって言うのは‥)
佐天「‥私から申し込んだことですし!来週はエスコートよろしくお願いしますね!」
上条「お、おう!上条さんも楽しみにしてますよ」ホッ
佐天(これは仕方のないこと、話の流れでたまたま上条さんとデートすることになっただけ!)
佐天(御坂さんには悪いけど、1日だけ上条さんを借りるだけだし)
佐天(これでいいんだよね‥‥?)
~病院からの帰り道~
黒子「ほんっ~~~~とぉに申し訳ないですの!」ズザザッ
佐天「ちょっと白井さん!こんな往来で土下座しなくてもいいですから!」アセアセ
黒子「そんなことを言っても‥‥わたくしの罪は消えませんの~!」
佐天「私は怒ってませんから‥‥むしろ私なんかより──」
初春「御坂さんが心配ですよねぇ」
黒子「お姉様へのケアもわたくしがしておきますわ!お姉様もどうしようもない程頑固なわけではありませんし」
黒子「事情を話せばわかってくれると思いますの」
佐天「白井さんに全部任せちゃって大丈夫ですか?何なら私も謝りに‥‥」
黒子「佐天さんの手を煩わせることもありません。この白井黒子にお任せあれ」ペコリ
初春「うわー!いつもより白井さんがかっこ良く見えます!」
黒子「いつもより、は余計ですのよ初春」
黒子「そもそもこの事件の発端はわたくしにありますの。当然の義務を果たすだけですわ」
佐天「ではお願いします!後で私も御坂さんに電話しておくので」
初春「じゃあ私も電話しておきますね!」
佐天「んー、別に初春は良いんじゃない?」
初春「ですよねー♩」
佐天(ふぅ!最初はどうなることかと思ったけど、何とかなりそう!)
佐天(でもな~んか嫌な予感がするんだよね~‥‥)
御坂「‥‥‥」ジーッ
~佐天さんの部屋~
ガチャリ
佐天「ただいま~っと」ヌギヌギ
佐天(誰もいないのに言っちゃうクセが付きつつあるなー。あはは‥‥独り身のOLじゃあるまいし)
佐天(さて、まずは御坂さんに電話しなきゃだね‥‥ミ行ミ行と)ポチポチ
プルルルル
佐天「う~!いざ電話掛けるとなると緊張するなぁ」ソワソワ
ガチャ
佐天「も、もしもし!御坂さん?」オソルオソル
御坂「佐天さん?どうしたの急に」
佐天(よ、良かった~!あんまり怒ってないっぽい!)
佐天「あの、今日の病室での事を謝りたくて‥‥」
>>251訂正
>佐天(さて、まずは御坂さんに電話しなきゃだね‥‥ミ行ミ行と)ポチポチ
↓
>佐天(さて、まずは御坂さんに電話しなきゃだね‥‥マ行マ行と)ポチポチ
御坂「病室?あぁー、あのドッキリのこと?私は別に気にしてないわよ」
佐天「でも、いい雰囲気なのを邪魔しちゃったし‥‥」
御坂「だーかーらー!私はあいつのことなんて何とも思ってないんだからね?」
佐天「そうでしょうか‥‥?」
御坂「私がいいって言ってるんだからいーのよ。佐天さんは黒子に言われてやっただけなんでしょ?」
佐天「考えたのは確かに白井さんですけど、私も悪ノリし過ぎましたので‥‥」シュン
御坂「その場のノリでやり過ぎちゃうことなんて誰にでもあるわよ。だから佐天さんも気にしないで!」
佐天(御坂さん心広いなぁ‥‥)
佐天「でもやっぱり謝らせてください!申し訳ありません!」
御坂「いいって言ってるのにぃ!悪ノリは程々にね」
佐天「はい!ホントすいませんでしたぁー!」
御坂「よいよい、今度からは頼むよ?佐天さん♩」
佐天「了解です!ではまた何か食べに行きましょうね~」
御坂「はーい!じゃあまたねー!」ピッ
御坂「‥‥‥」
御坂「満更でもない顔してたくせに‥‥」ギリッ
───時は進んで翌週の金曜日の朝───
~柵川中学通学路~
佐天「ふんふふ~ん♩」スタスタ
初春「おはようございます佐天さん!」
佐天「お、初春おっはよーう!今日はちゃんとパンツはいt」スッ
初春「毎度毎度その手は食いませんよ!」ササッ
佐天「チェッ!初春のケチんぼ~」
初春「何とでも言って下さい!そういえば佐天さん今日はやけにご機嫌ですね~」
佐天「そ、そうかなぁー?」キョロキョロ
初春「もしかして‥‥」
初春「今日が上条さんとのデート当日だからですか‥?」ボソッ
佐天「そ、そんなこと!‥‥あるのかな~やっぱり」
佐天「デートなんて人生初だし舞い上がってる事は否定できないかもねー。なははは!」
初春「良いな~初デート。人生で一度っきりですよ?経緯はどうあれ今日はとことん楽しんでくださいね!」
佐天「ありがと初春!土産話をたっぶり持って帰ってくるからね!」
初春「今日に限っては御坂さんのお墨付きですし、後ろめたさもありませんしね!」
佐天「‥‥うん!そうだね‥」
佐天(先週の御坂さんとの電話‥‥)
佐天(一応の了解は得られたって事になってるけど、今考えてみると御坂さんもあっさりし過ぎというか淡白というか)
御坂『だーかーらー!私はあいつのことなんて何とも思ってないんだからね?』
佐天(御坂さんが上条さんの事好きなのは間違いないと思うんだけどな~)
佐天「なんか引っかかるんだよねぇ‥‥」ボソッ
初春「何がですか?」
佐天「え?い、いや何でもないよ!」アワアワ
初春「そうですか‥‥。そういえば今日は何時からデートなんですか?」
佐天「18時からだよ。セブンスミストに集合!」
初春「まずは買い物デートってことですね!夢が膨らみますぅ~♪」ポワァン
佐天「あはは!確かに男の人とお店を周るってのは夢だったけどね」
初春「羨ましいです!何はともあれ今日は頑張ってください!私はジャッジメント177支部からデートの成功をお祈りしてます!」
佐天「ありがと初春♩お仕事頑張ってね!」ニコッ
イヤホン「18時からdよ。セブンスmストに集合!」ザザッ
御坂「18時。セブンスミスト、ね」
~同じく朝、上条さんの部屋~
上条「んーっ‥‥!」ノビー
上条「朝だぞインデックス、起きろー!」
イン「ん~‥‥寒いよとーま‥‥」モゾモゾ
上条「何言ってんですか!こんなにいい天気の日は早く起きないと損だぞ~?」
イン「ふわぁぁ~‥‥分かったからぁ‥」ムクッ
上条「今ハムエッグ焼いてるから待ってろよインデックス。あらよっと♩」ヒョイ
イン「むー‥‥‥」ジーッ
上条「どうしたんだよ?人の顔じーっと見て」
イン「なんか今日のとーま機嫌良すぎて気持ち悪いんだよ」
上条「な、何を藪からスティックに!極めて正しくいつも通りじゃないですか~」ビクッ
イン「いつもは私に急かされて気だるそうに朝ご飯作ってるのに、今日は自分から作ってる」
上条「か、かか上条さんだってたまには料理を作りたい気分の朝ぐらいありますですよ!?」
イン「それにさっきから顔が全体的に緩んでるんだよ」
上条「うっ‥‥!」ピクッ
イン「機嫌が良いというよりはテンションが高いと言った方が適切かも」
イン「とーまぁ‥‥私に何か隠し事してない?」ニコッ
上条「あ‥‥あるわけないじゃないk」
イン「ガブッ!!」ガジガジ
上条「痛ええええ!あーもう!不幸だああああああああ!」
~AM9時30分、柵川中学1限目~
佐天「ふわぁ~‥‥」
佐天(どうにも数学って奴は苦手だなぁ~。勉強が嫌いなわけじゃないけど数字ばっかり見てると眠気が‥‥)コックリコックリ
佐天(はっ!いけないいけない!先生に見つかったらヤバいし、ここは耐え忍ぶ時!)クワッ!
佐天(身体があったか過ぎて眠気が止まらないのかな?上着脱いじゃおう‥‥)ゴソゴソ
プチッ コロコロ…
佐天「あれ?何か取れちゃった‥‥」スッ
佐天(んー?これ何だろう?)
佐天(小さいマイクみたいな形してるけど‥‥)
~1限後、休憩時間~
佐天「ういはるぅ~!眠かったよぉ」グター
初春「佐天さん授業中すっごく眠そうにしてましたよね」クスッ
佐天「ふわぁ~、ナルコプレシーも真っ青だよぉ‥‥変な物も拾っちゃってたし」
初春「変な物?」
佐天「うん、何かすっごい小さなマイク?みたいなやつ。上着脱いだらそこから落ちてきた」
初春「マイクを授業中に拾ったんですか?」
佐天「そうだよ、これがその例のブツだよ」スッ
初春「ホントだ!確かにマイクっぽいですね」
佐天「でしょー!?一体何なんだろうねコレ?」
初春「うーん、何処かで見たことあるような~」
佐天「んー、芸能人とかが使う小型マイクとか?」
初春「それにしては付属品が足りないですねぇ。そのテのマイクはそれなりに大きな送信機を兼ねたバッテリーが付いてたりしますし」
佐天「じゃあこの小さなコイルみたいなのが電源なのかな?」ブラーン
初春「だとしても、電源だけあって送信機が無いと意味が‥‥‥」ピタッ
佐天「? どうしたの初春?」
初春「もし‥‥もし仮にですよ?」
佐天「?」
初春「強力かつ器用な電撃使い(エレクトロマスター)がこの近辺にいたとしたら」
初春「このマイクを使って盗聴が可能‥‥かもしれません」
佐天「電撃使い‥‥?」ピクッ
初春「はい。半年程前にこのような小道具を使って意中の女性を盗聴していた電撃使いが検挙されているんです」
佐天「じゃ、じゃあ私はここ数日かもっと前から盗聴されてたってこと‥‥?」ビクビク
初春「それは無いと思います。電源の大きさから見て持続時間はせいぜい10時間程度、水には弱いですから洗濯されると壊れちゃいますし」
佐天「そういえば昨日洗濯したばっかりだ‥‥」
初春「ということは付けられたのは昨日の夕方から今朝にかけて、ということになりますね。壊れた様子もありませんし」
佐天「こ、怖いよ初春ぅ~!」ウルウル
初春「でも、気付けて良かったじゃないですか!アンチスキルに通報すれば対応してくれるはずです」
佐天「うん!初春はやっぱり頼りになるなぁ~」ペラッ
初春「ドサクサに紛れてパンツ覗こうとしないでください!次の授業が始まりますし!」
佐天「はいはい♩」
佐天(強力な電撃使い‥‥‥)
~放課後、PM4時~
佐天「さーて!学校も終わったし帰ろ帰ろー!」
初春「佐天さん、盗聴器の事はいいんですか‥‥?」
佐天「んー、でも今からアンチスキルに通報しちゃうとデートに間に合わなくなっちゃうからねぇ」
初春(で、デートどころじゃないような気もしますけど‥‥)
初春「ほんとに大丈夫なんでしょうか‥‥」
佐天「帰ったらすぐにアンチスキルに駆け込むから!そいつもわざわざデート中に襲って来たりはしないでしょ?」
初春「うーん、じゃあ佐天さんほんと~に気を付けてくださいね!私はジャッジメントのお仕事あるので一緒にいられませんけど‥‥」
佐天「いつも使ってる裏道なんかは使わないから!人通りの多い所しか通らないようにする」
初春「くれぐれも頼みますよ?じゃあ今日のデート楽しんでくださいね!」
佐天「うん!それじゃあ初春また明日ね~!バイバーイ」フリフリ
初春「はい!」フリフリ
~PM5時30分、セブンスミスト前~
佐天「約束の30分前に着いちゃった!流石にちょっと早過ぎたかな~」キョロキョロ
佐天(上条さんはまだ来てないか‥‥)
佐天(なんかこんなに早く着いてソワソワしてるとデート慣れしてないっぽくてかっこ悪いなぁ~////)カァー
佐天(でも、中学生があんまりデート慣れし過ぎててもドン引きされちゃうか)
佐天(‥‥上条さんってデートしたことあるのかな?)
上条「佐天さん!」タッタッタ
佐天「あ、上条さん!」
上条「ごめん、待たせちゃったかな?」
佐天「私もさっき来たとこですよ!」
上条「良かった!でも男が言わなきゃいけないセリフを取られちゃったなぁ」
佐天「へ~そういうの気にする人なんですね?」
上条「そりゃあ上条さんだって1人の紳士、女の子を待たせるワケにはいかないですよ!」
佐天「か、上条さん‥‥!」ドキッ
上条「ふふん、何でせうか佐天さん!」
佐天「あんまり紳士ってキャラでもないですよね」
上条「ひどい!」グサッ!
佐天「でも結構グッと来ましたよ!そういうセリフは御坂さんに言ってあげて下さいね?」
上条「ん?何でそこでビリビリ?」
佐天(え!?この人御坂さんの気持ちに気付いてないの?天然ジゴロか何かなのかなこの人‥‥ていうかビリビリって‥)
佐天「あ、あはははー!何でもありませんよ!」
上条「? さいですか。じゃあどこに行く?佐天さんの行きたい所なんかあればそこに行くけど」
佐天「上条さんのデートプランに乗っかります!もちろん考えて来てますよね‥‥?」チラリ
上条「も、もちろんですよ!大船に乗ったつもりで安心して欲しい!」
佐天「ホントですかぁ~?」ニヤニヤ
佐天(なーんかイマイチ信用出来ない感があるような‥‥)ジトー
上条(タウン誌と睨めっこして考えたとか言えない‥‥)トホホ
~とある水族館~
佐天「うわぁ~!おっきい~!」
上条「ジンベエザメか。テレビ以外で見るのは初めてだなぁ」
佐天「口も大きいですねー!上条さんくらいなら余裕で飲み込めそうですよね‥‥」チラリ
上条「なんで飲み込むものが俺基準なんでせうか‥‥。大体俺が飲めるなら佐天さんだって──」
佐天「いやぁ~、飲み込まれるのは私嫌かなぁ~って♩」
上条「何で佐天さんの中で俺は飲み込まれるの歓迎キャラになってんの!?俺だって嫌だよ!」
佐天「やだなぁ~!冗談ですよ☆」
上条「り、理不尽だ‥‥」ガックリ
※参考画像
http://i.imgur.com/WXKBK1z.jpg
佐天「でも、こんなところに水族館があるなんて知りませんでした!よく知ってましたね上条さん」
上条「規模の割に知名度ないからなーここ。少し古いし中心街から外れてるってのもあるんだろうけど(byタウン誌)」
佐天「ふーん‥‥元カノとの想い出場所とかですか?」ジロッ
上条「ち、違うって!大体モテない上条さんに今まで彼女なんて存在はいないから!」アセアセ
佐天(モテない‥‥ねぇ‥)
佐天「あっペンギンいますよ!行きましょう!」ガシッ
上条「ちょ、手ェ引っ張らないで佐天さん!」
御坂(随分とお楽しみみたいね‥‥)
~1時間後~
佐天「いやぁ~、生のイルカショーっていいもんですねぇ~♩」ホクホク
上条「ホント!雑誌で見るのとは大違いですなぁ~」
佐天「雑誌?テレビとかじゃなくてですか?」
上条「な、何でもございませんことよ!」
佐天「なぜ急にカマっぽく‥‥。ま、あんまりそこらへん追及するのは可哀想なのでやめておきますけど~」ジトー
飼育員「ではフィナーレにイルカのみんながウォータースプラッシュを見せてくれるそうです!ではどうぞ!」
佐天「あれ?みんなカッパとかビニール取り出し始めてません?」
上条「そういえばイルカショーって普通ビニール配布したりするんじゃ──」
バッシャーン!!
佐天「つ、冷たぁーい!」ビショビショ
上条「なぜ受付のお姉さんはビニールを渡してくれなかったんだ‥‥不幸だ‥」ビショビショ
佐天「制服もビショビショになって‥‥とりあえず上着脱いで乾かさないと」ヌギヌギ
上条(!? れ、レモン色!)ジーッ
佐天「あっ!制服透けてっ‥‥ちょっと上条さん!?」
上条「あ、あのですね!これは男なら仕方ないというか生理現象というか~」
佐天「‥‥‥上条さんのエッチ////」ウルウル
上条(透けた胸元を赤面しながら隠す佐天さんがやたら扇情的に映るのは気のせいでしょうか?)
~イルカショー終了後~
佐天「あーあ!上条さんのおかげで酷い目にあったなー!」
上条「ご、ゴメンナサイ」ペコリ
佐天「‥‥嘘ですよ!係員さんがビニールを配布し忘れただけなんだし!上条さんは悪くありません」
上条「さ、佐天さん‥‥!」キラキラ
佐天「胸元をガン見したことを除けばですけど~」ギロッ
上条「面目次第もございません‥‥」
佐天「でも水族館からお詫びとしてこのチンアナゴキーホルダー(非売品)貰えましたから!良しとしましょう」
上条「あぁ、そういえば佐天さんがやたら気に入ってた──」
佐天「だって『チンアナゴ』ですよ!?こんな変な名前のくせして可愛いんですもん♩」スリスリ
上条(チンアナゴに頬ずりする佐天さん‥‥なんか卑猥‥‥////)
俺のチンアナゴもお願いします
※チンアナゴ参考画像
http://i.imgur.com/on9ggIV.jpg
~水族館内フードコート~
佐天「色々あってお腹ペコペコですぅ~」グッタリ
上条「俺もだ‥‥。佐天さんは何にする?」
佐天「んー‥‥せっかくの水族館だし海鮮丼で!」
上条「水族館に来て海鮮丼ってのもある意味オツなのかな‥‥。了解、俺が取ってくるから待ってていいよ」
佐天「え?でも‥‥」
上条「これぐらい男の俺にやらせてくださいって!何より上条さんは紳士ですし」
佐天「ふふっ♩じゃあお言葉に甘えますね」
上条「いーえの」スタスタ
佐天「‥‥‥」
佐天(なーんか‥‥普通に良い感じにデート出来てない?)
佐天(私と上条さんって案外相性良いのかもしれないな‥‥って何考えてんだ私!)フルフル
御坂「」
佐天(そ、そもそもこのデートは本来御坂さんが上条さんとするはずだったもの!)
佐天(代わりの私がそんな事考えてどうすんのさ!)
佐天(でも、段々わかんなくなってきちゃったなぁ。)
佐天(私、誰に言い訳してるんだろ‥‥?)
佐天(御坂さんに申し訳ないから‥‥?それとも嘘とは言え上条さんに告白しちゃったからそのお詫び‥‥?)
佐天(‥‥‥‥)
佐天(私の中で、あながち嘘じゃないってことになりつつあるのかも───)
御坂「こんばんは、『 偶 然 ね 』佐天さん」
佐天「え‥‥?み、御坂さん‥‥?」ビクッ
御坂「どうしたの?幽霊でも見たみたいな顔して」
御坂「どうしたの?顔色悪いよ。熱でもあるのかしら‥‥」スッ
佐天「ぃ、いや!あの大丈夫ですから‥!」ササッ
御坂「そう‥‥。なら良いんだけど。」
佐天(偶然御坂さんがここに!?普通ありえないでしょ!)
佐天(今朝の盗聴器って‥まさか御坂さんが仕掛けたんじゃ‥‥‥)ビクビク
佐天「‥御坂さんはどうしてここに?」
御坂「変なこと聞くのね佐天さん、水族館は魚を見るために来るところでしょう?」
佐天「だ、誰と来られたんですか‥‥?」
御坂「黒子にしつこく一緒に来てくれって誘われちゃったのよ。全く、強引なんだから」ヤレヤレ
ひいいいいいいいい
>>341訂正
御坂「どうしたの?顔色悪いよ。熱でもあるのかしら‥‥」スッ
↓
御坂「それに顔色悪いよ。熱でもあるのかしら‥‥」スッ
佐天「白井さん‥‥?姿が見えないようですけど‥」
御坂「今ちょっとお手洗いに行ってるの。じきに戻ってくると思うけど‥‥」
佐天(絶対嘘だ!‥‥そんな都合良くこんな所へ来るはずがないし)
御坂「‥‥‥そのカバン」ジーッ
佐天「?」
御坂「佐天さんの向かい席に置いてある鞄、男物みたいだけど──」
御坂「 誰 の カ バ ン ?」
佐天(御坂さんはデートの日取りを知ってる‥‥!誰のカバンなんて予想は簡単につくはずなのに!)
佐天「‥‥上条さんのカバンですよ」
御坂「あー、そういえば病室であいつとデートの約束してたもんねぇ。今思い出したよ~」シレッ
佐天(これも見え見えのダウト。御坂さん、もう敵意を隠す気もないんだ‥‥)
佐天(‥‥それなら)
佐天(そっちがその気なら‥‥私だって!)キッ
佐天「‥えぇ。上条さんと水族館デートの真っ最中なんですよ!」
佐天「私と上条さん、結構相性も悪くないみたいで今すっごく楽しめてますよ♩」
御坂「‥‥ふーん。それは良かったわ」ヒクッ
佐天「これ、何かわかりますか?」
御坂「‥何よ?」
佐天「上条さんのチンアナゴですよっ♩♩」ボロン
御坂「やだ///」
上条「///」
佐天(そうだよ!御坂さんが自分からアプローチしてればこんなことにはならなかったはず!)
佐天(私と上条さんがデートしたって御坂さんには何の関係もないんだからっ!)
佐天(あれ?腹くくったら何故かスゴくムカついてきた!そもそも何で私が盗聴されたり一方的に嫌味言われなきゃなんないの!?)ムカムカ
佐天「はい!それもこれも私と上条さんを引き合わせるきっかけになってくれた御坂さんのお陰です♩」
佐天「だから、本当に感謝してるんですよ?」ニッコリ
御坂「くっ‥‥!」ギリッ!
御坂(やっぱり佐天さん『も』あいつにっ‥‥!)
御坂「‥‥あーそうなの、じゃあ二人のデートの成功を祈ってるわ」ピキピキ
佐天「はいっ!今日は目一杯楽しみますね!」
御坂「‥‥じゃあね佐天さん。私は用事を思い出したから」スタスタ
佐天(ふぅ‥‥何とかなった、のかな?)
御坂「あ、そうそう大事な事言い忘れてたんだけど」ピタッ
佐天「‥何でしょうか?」
御坂「夜道にはくれぐれも気を付けてね?夜の学園都市は危ないから‥‥」ギロッ
佐天「は、はい‥‥」ゾクッ
御坂「バイバイ、佐天さん」スタスタ
佐天「‥‥‥」
佐天「あれ?ヤバくない?」
まぁそげぶいるし
上条「お待たせー!いやぁおばちゃん軍団に割り込まれて時間が‥ってどうしたの?」
佐天「か、上条さ~ん‥‥!」ウルウル
上条「佐天さん!?くそッ!誰かに何かされたのか!」
上条(まさか魔術師がこんな所にいたのか!?)
佐天「怖かったよぉ~!」ガバッ
上条「あ、あのですね佐天さん!こんな所で抱きつかれたら‥‥////」
上条(決して大き過ぎず、かといって年相応な控えめさは感じられない感触がぁー!////)
佐天「‥‥なーんちゃって♩」ケロッ
上条「‥‥へ?」
佐天「いやー!こういう恋人っぽいことやってみたかったんですよねー!」ケラケラ
上条「あー‥‥何もこんな目立つ所でやらなくても‥////」ドキドキ
佐天「‥‥‥」ジーッ
上条「な、何でせうか‥?」
佐天「なんか上条さんって意外と乙女チックな反応しますねー。男がやっても可愛くないですよ」
上条「やっぱりひどい!」グサッ
佐天(‥‥上条さんに抱き付いたらなんか恐くなくなっちゃった!)
佐天(意外とこの人、文字通りの抱擁力があるのかも‥?ふふっ♩)クスッ
佐天(なんだか‥‥)
佐天(この人と話してると安心する‥‥)
~PM9時30分、とある水族館前~
佐天「なんだかんだで3時間もここにいたんですね~。閉館がもっと遅ければ全部見れたのに‥‥」
上条「まぁまぁ。イルカショーやアシカショーも見れたし、とりあえずは充分じゃ無いですか?」
佐天「チンアナゴも貰えましたしね!これ大切にします!」スリスリ
上条(やっぱり卑猥だ‥‥////)ドキドキ
上条「じゃあ次はどこに行こうか?それとももう遅いしお開きにする?」
佐天「え? えーっと‥‥」
佐天(‥‥‥‥)
佐天「‥‥公園」ボソッ
上条「ん?どこ?」
佐天「近くの公園に行きませんか‥‥?」
佐天「ちょっとお話があるんです‥‥」
~水族館近くの公園~
佐天「‥‥‥」
上条「‥‥‥」ソワソワ
上条(佐天さんが大事な話があると言って2人でブランコに座ってから10分程経過したが、何故か会話が無い‥‥)
上条(この雰囲気‥もしや!‥‥いやいや冷静になるべきだ上条当麻!)
上条(病院で佐天さんが俺にひ、一目惚れしたとか言ってたけどなんか冗談っぽかったし!)
上条(今この瞬間もからかわれてる可能性もある)
上条(でも‥‥)
上条(もしかするともしかするかもしれない!)ドキドキ
佐天「上条さん‥‥」
上条「な、何でしょうか!?」ビクッ
佐天「私 上条さんに謝らなきゃいけないことがあります‥‥」
上条「‥謝る?」
佐天「はい、先週の病室でのことです‥‥」
上条「え?何も佐天さんに謝られるようなことは──」
佐天「上条さんに一目惚れしたっていうのは‥‥」
佐天「ウソ、なんです‥‥」
上条「そ、そっかぁ‥‥」
佐天「はい‥‥」
上条(‥‥やっぱりそうですよねぇ~。上条さんにはお見通しでしたよ?いやホント)
上条(佐天さんみたいな美少女が一目惚れだなんて。上げて落とす、ドッキリの定番じゃないですか!)
上条(でも、分かってたはずなのにこんなに悲しいのは何でなんでしょう?)ジワァ
佐天「上条さんの気持ちを弄ぶような真似をしてごめんなさいッ!」
上条「いや、いいんだよ」
佐天「今はまだ言えないんですけど、ある目的があってあんな事を言ってしまいました‥‥」
上条「目的‥‥?」
佐天「はい、だからあの時点では私の告白は嘘という事になっちゃうんです」
上条「そっかぁなるほどね‥‥ん?」ピクッ
上条「『あの時点では』‥‥?」
佐天「‥‥今は‥」
上条「今は‥‥?」
佐天「うふふ♩嘘が嘘じゃなくなっちゃいましたね!」
ほほほしししゅゅゅ
上条「え?それって──」ピトッ
佐天「それ以上、口に出して言わないで下さい」
佐天「恥ずかしいじゃないですか‥‥////」カァーッ
上条「佐天さん‥‥」
佐天「でもまぁ‥‥」
佐天「付き合いも浅いですし、まずは友達からお願しますね♩」
上条「え!?と、友達かぁ‥‥」
佐天「あれれ~?何か残念そうですね~?どんな言葉を期待してたんですか?」ニヤニヤ
上条「う、うるさい!」
佐天「何はともあれ、これからよろしくお願いしますね!上条さん☆」スッ
上条「!」
上条「あぁ!こちらこそよろしく、佐天さん!」ガシッ
佐天「‥すいませんお手洗い行っていいですか?ずっと我慢してたので」エヘヘ
上条「雰囲気ぶち壊しだよ!」
~公園近くの路地~
佐天「もぉ~!何であの公園トイレ付いてないのかな~?」テクテク
佐天「最寄りのコンビニも結構遠いみたいだし‥‥」チラッ
佐天「ここの裏通り通るとコンビニまで近いんだけどな~‥‥」
佐天「‥‥‥」モジモジ
佐天「ちょっと怖いけど大丈夫だよね‥‥?」
佐天「ええい!ままよ!」ダッ
??「入ったわね‥‥」コソコソ
~コンビニまでの裏道~
佐天「うぅ~やっぱり夜の裏通りは怖いなぁ‥‥」ビクビク
佐天「こんなにトイレ遠いのなら上条さんに着いてきてもらえば良かった‥‥帰りが遅くて心配させちゃうし」
佐天「‥‥今にも誰かが出てきそうな雰囲気だし早く通り過ぎちゃお!」タッタッタ
??「‥‥やるなら今ね」
??「待ちなさい、佐天涙子」
佐天「なっ!?」
佐天「だ、誰!?」
女「誰だってイイじゃない。これからのことはあなたには関係がないわ」
佐天(誰?この人?制服着てるけど‥‥)
佐天「何ですか!私に何か御用が‥‥」
女「大人しく私に捕まって欲しいの。貴女には利用価値がある」
佐天(この制服、どっかで見たことあるような‥‥思い出せない!)
佐天「くっ!」ダダッ
女「無駄よ」ヒュン!
佐天(え?身体が引き寄せられて──)グイッ
佐天「あぁ!」バタッ
女「だから言ったのに‥‥」
女「抵抗しない方が痛い思いをしなくて済むわよ」ギロッ
佐天「念動使い(テレキネシスト)ッ‥‥!?」
佐天「なっ‥‥何でレベル0の私なんかを‥!」
女「あら、貴女自身には何の価値も無いわよ?」
佐天「だったら何でっ‥‥!」
女「あなた、面白い交友関係を持ってるわね?」
佐天「!」
佐天「何のことかさっぱり分かりませんね‥‥!」
女「友達を庇うのは勝手だけど、全部分かってるのよ?学園都市最強のレベル5、あの超電磁砲と‥」
佐天(‥‥御坂さん!)
女「そう‥。そして何より幻想殺し(イマジンブレーカー)‥‥」
佐天「幻想‥‥殺し?」
女「上条当麻の能力名らしいわよ。なーに?あなた知らなかったの‥‥?」
佐天「‥‥‥」
女「冷たい男ね。彼女に自分の能力も明かさないなんて‥‥うふふふ♩」
佐天「彼氏じゃ‥‥ありません!」
女「あらあら、あれだけのカップル振りを見せつけといて。彼泣いちゃうわよ?」
佐天「‥‥‥」
女「あらっダンマリってわけね‥‥」
佐天(私が捕まると、御坂さんや上条さんに迷惑がかかっちゃう‥‥)
佐天(今の私に出来ることをしなきゃ!)
佐天(この人結構ペラペラ喋ってくれるし出来るだけ時間を稼いで‥‥!)
佐天「‥‥このままだと私どうなっちゃうんですか?」
女「さーあ?私も詳しい事は知らないし、貴女を依頼主に引き渡せばミッションコンプリートよ」
佐天「その依頼主っていうのは?」
女「基本的にエージェントを挟んで依頼してくるから誰からかなんてそんな事分からないわぁ。」
佐天「じゃあ貴女は事情も知らず動いてる下っ端の使いっぱしりってことですよね?」ニヤニヤ
女「‥‥ムカつくガキねぇ。あまり調子に乗らないで頂戴ッ!」ギリッ
佐天「そうですかぁ~?ただ、人は本当の事言われると腹が立つっていうのは本当みたいですね~」
女「こいつぅ‥‥!」ピキピキ
佐天「それにその制服!今思い出したんですけど、それって学園都市屈指の名門、長点上機学園の制服ですよね?」
女「それが何だって言うのよ‥‥」
佐天「暗部の人が普通自分の学校の服を着て仕事するわけありませんし、貴女が長点上機の学生でないことは明らかです」
女「‥‥‥」
佐天「にも関わらずわざわざ人目につくその制服を着てるのは何ででしょうねぇ~?不思議だな~!」
女「だから!アンタは何が言いたいの!?」
佐天「うーん、貴女にとって長点上機は特別な思い入れがあるとか!入りたかったのに入れなかった名門校!」
佐天「仕事の間だけでもその制服を着ていたい!そんな淡い想いが‥‥」
女「う、うるさぁぁぁぁい!!!」
女「アンタに私の何が分かるっていうのよ!次に生意気な事言ったら‥‥」
女「ぶち殺すわよ!」スッ
佐天「きゃああ!!」ドスッ
佐天(壁にッ‥押し付けられてる‥‥!!?)メキメキッ!
佐天「こ、こんなことをしたらッ‥‥依頼がぁっ‥‥!」ミシッ
女「あっははは!そんなのもうどうだってイイわ!上にはアンタは他の組織に襲われ既に死んでたって事にしといてあげるわよ!」
佐天「そん‥‥なぁッ‥‥!」
佐天(あちゃー、やり過ぎちゃったかぁ‥‥悪ノリし出すとホントに止まらないなぁ私‥)
佐天(思ったよりこの人の沸点が低かったんだよねぇ。助かるはずが自分を殺すハメになるんなんて本末転倒だよ‥‥)
佐天(もう骨が折れたのなんて気にならないくらい痛いや‥‥。色んな危ない目にあってきたけど‥)
佐天(今度こそ、ダメっぽいなぁ‥‥)
女「あはははは!死んじゃええええええ!」
佐天「初春、御坂さん、白井さん‥‥」メキメキッ
佐天「上条さん‥‥」ミシッ
??「そこのあんた、私の友達に何してくれてんの?」
女「あぁ!?‥‥何よ、イイトコだったのに」スゥ
佐天「‥‥けほっ!けほっ!」
佐天(た、助かったの!?)
??「か弱い女の子を念動力で壁に押し付けて楽しんでたの?いい趣味してるわね」
女「今日は気分がイイみたいなの‥‥あんたも同じ目n‥‥!!」ピクッ
??「なーに?私の顔に何かついてる?」
女「あ、あんたは‥‥!まさか!?なぜこんな所に!?」
??「私の顔知ってるんだぁ‥‥だったら!」バチバチ!
女「わ、私はこんなにするつもりはっ‥‥!」
??「忘れてもらわなきゃね!!!」バチチ!
バリバリバリバリィ!!
御坂「言ったでしょ?夜道には気を付けろって」
佐天「あっ‥‥あのっ‥‥」ヨロヨロ
御坂「いいの、何も言わないで。喋るだけでも苦痛なはずよ。ここに寝そべって?」ヒザポンポン
佐天「は、い‥。あはは‥御坂さんに膝枕されるなんて‥‥。痛みなんて吹っ飛んじゃいますぅ‥‥‥」ズキズキ
御坂「救急車はもう呼んだから‥‥。痛みに耐えながら冗談言えるくらいには元気みたいね‥‥安心した」
佐天「あのっ‥‥御坂さん‥‥」ハァハァ
御坂「なーに?」
佐天「さっきは‥‥ごめんなさい‥‥」ハァハァ
御坂「‥‥‥」
御坂「謝るのは、私の方だよ‥‥」
御坂「今回の件は、子供じみた嫉妬心をただ私が闇雲に振り回してただけ‥‥」
佐天「‥‥‥」
御坂「そのせいで、私は大切な友達に深い傷を負わせてしまった‥‥」
佐天「そんなことは‥‥」
御坂「ううん!違わない‥‥!」
御坂「自分の気持ちを‥‥アイツに伝えられないのを、私は!佐天さんのせいにしたかっただけなんだよ!」ジワッ
御坂「そんな自分に失望して、イライラして‥‥本当にごめんなさい‥‥」ポロポロ
佐天「御坂‥さん‥‥」
御坂「もう自分に嘘はつかない!そう誓うから‥‥!」
御坂「佐天さん、こんな私でもまた友達になってくれる‥‥?」グスッ
佐天「あ、あはは‥。そんなの、返事は決まってますよ‥‥」
御坂「そ、それじゃあ‥‥!」パァァ
佐天「答えはもちろん‥‥」
佐天「すぅー‥‥お断りです!!」
御坂「ありがとう!佐天さんっ‥‥!」ニコッ
御坂「‥‥あれ?」
佐天(息吸いすぎて肋骨痛い~!)ズキズキ
御坂「な、なんで‥‥?」ポカーン
佐天「いいですか‥?私と御坂さんはそもそも友達やめてませんっ!!いててて‥」ズキズキ
佐天「何で御坂さんは私と友達辞めてる前提なんですかっ!いつやめるって言いましたかっ!」
御坂「そりゃそうなんだけどさ‥‥」
佐天「‥それにもう、私たちは友達でもあり恋敵。‥‥いわゆるライバルですよ!ふっふっふー♩」
御坂「佐天さんっ‥!貴方と友達で本当に良かった‥‥!」ダキッ
佐天「うぐっ‥‥!」ミシミシ
佐天(ぎゃああああああ!骨折れちゃうよ!痛い痛い!)
これは3P以外に
御坂「ご、ごめん!思わず抱きついちゃって‥‥痛くなかった!?」
佐天「は、はっはっはー‥‥これぐらいなんとmうぐっ!‥‥ありませんよ‥」ゲッソリ
御坂「ホントに?良かったぁ~‥‥」ホッ
佐天(実はまだ怒っててわざとやってるのかな御坂さん‥‥いたたた‥)ズキズキ
佐天「あっ‥‥上条さんに連絡しないと!」ガバッ
佐天「‥‥いったーい!!」ミシッ
御坂「急に動くから‥‥あいつにも連絡したからそろそろ来る頃だと──」
上条「あ、あれ?佐天さん!?」
御坂「‥噂をすれば何とやらね‥‥」ハァ
佐天(遅いですよぉ~私のヒーロー‥‥)グスッ
上条「何で佐天さん怪我してるんでせうか!?御坂もいるし‥‥それにこの焼け焦げてる人誰!?」
女「‥‥‥」ピクピク
御坂「あーもう!おっそいのよアンタは!説明がめんどくさいじゃない!」
上条「うるへー!お前が『佐天さんが危ない』って送って来た地図情報間違ってたんだよ!」ズイッ
御坂「そんなわけないじゃない!‥‥ってあれ?これ隣のブロックだったわね。‥‥あははは!」
上条「笑って誤魔化すなよ!佐天さんが危ない目にあったっていうのに!」
御坂「ごめんごめん、でもほら。佐天さんも無事だし!」
上条「お前基準の無事とは一体‥‥」
佐天「ぶ、無事保護された佐天涙子でーす!‥あいたたた!」ズキズキ
上条「はぁ‥‥上条さんは肝が冷えましたよ。」
佐天「ご、ごめんなさい‥‥。公園に置いてけぼりにしちゃったし‥」
上条「それは別に構わないけど、何はともあれ命まで取られなくて良かった‥‥」ホッ
佐天(私のこと心配してくれてたんだ‥‥)ドキッ
佐天「‥上条さんが撫でてくれると痛みが和らぐ!‥‥かもしれません‥‥」ゴニョゴニョ
上条「え?患部を直接ってことでせうか!?」
佐天「違います!頭ですよ頭!‥‥やっぱり上条さんってエッチ‥‥////」
上条「いや!そんな意図は一切ありませんですよはい!」
佐天「全くもう‥!じゃあ気を取り直して頭を──」
ピーポーピーポー!
御坂「救急車来たみたいね。残念だけどタイムオーバーよ」
佐天「え?このタイミングでー!?‥いたたた!」ズキッ
救急隊員「ストレッチャー早く!あなたが通報してくれた人?付き添い頼めるかな?」
御坂「はい、一緒に行きます。」
上条「佐天さん、俺も付き添いで行くから」
救急隊員「聞いてた容体より元気そうだね。今からストレッチャーに乗せるよ、せーのっ‥‥」
佐天(はぁ~、最高だけど最低の一日だったよぉ‥‥)
────────────
─────────
──────
───
─
──路地裏での事件から3日後──
~病院、佐天さんの病室~
初春「へ~、それで佐天さんが狙われちゃったんですねぇ」
佐天「ほんと!やっぱり有名人は凄いよねぇ~!映画みたいなやり取りしちゃったよぉ」
初春「全治2カ月の重傷を負わされながらそんなこと言える佐天さんが1番凄いですよ」
佐天「そ、そうかなぁ~?」
佐天(幻想殺しの事は‥‥言わない方がいいよね)
コンコン!
佐天「はーい!どうぞ~」
ガラガラ
御坂「どうもー!元気してる?」
白井「お身体はいかがですか、佐天さん?」
佐天「御坂さんに白井さん!」
白井「その様子を見ると、大丈夫そうですわね」
御坂「ほんと!元気そうで良かったわ」
佐天「包帯とコルセットは外せませんけど、この通り!元気いっぱいです!」
御坂「診察した先生が言うには、本来は全治半年はかかる大怪我だったんだけど、何故か搬送中に内蔵の出血が止まって手術が必要なくなっちゃったんだよね」
初春「手術しないと早く退院出来たりしますもんね。さ、佐天さんの体が1番凄いですよ!」
佐天「うーん、そんなこと褒められてもなぁ」エヘヘ
白井「丈夫な身体に産んで下さったご両親に感謝ですわね」
御坂「そうそう!搬送される前もすっごく元気だったしね」クスクス
佐天「み、御坂さーん‥‥////」
初春「元気なのは悪い事じゃありませんからね?」クスクス
佐天「くっそー!初春にからかわれるのはすごく悔しいかも!」
コンコン!
初春「あ、お客さんですね」
佐天「はーい!どうぞー」
ガラガラ
上条「佐天さん!見舞いに来ましたよ~」
佐天「か、上条さん!」
御坂「あーら、大遅刻ヒーロー様のご登場ね?」フフン
上条「あのなー!何度も言うけど半分はお前のせいじゃねぇかー!」
御坂「あんたが佐天さんを一人にするからでしょー!?」
白井「まぁまぁ、お二人とも矛を収めてくださいな。ここは病室ですの」
上条「わ、悪いな白井」
御坂「確かにはしゃぎ過ぎちゃったわね‥‥」
佐天「まぁいいじゃないですか!むむ!もしかして上条さんが持ってるその袋って?」
上条「そうそう、お見舞いに何を持ってこようかとさっきまで迷ってたんだけど」
上条「これが1番喜ぶんじゃないかと思ってさ」ガサガサ
上条「はい!チンアナゴ人形!」
御坂「チン?」
初春「アナゴ?」
黒子「な、なんと卑猥な‥‥////」
上条「多分チンアナゴもお前にだけはそう言われたくないと思ってるぞ!」
佐天「わー!ありがとうございます!最高のお見舞いですよぉ!」モフモフ
上条「喜んでくれて良かった良かった」ホッ
御坂(い、いいなぁ~。私も入院したらあいつからゲコ太人形とか貰えるのかな‥‥)
初春「確かにどことなく卑猥な感じがしないでもないですね‥‥////」
黒子「立派なセクハラですセクハラ!」
上条「本人が喜んでるし良いじゃねーか!ほらっ!」
佐天「もふもふもふ~♩」ウヘヘヘ
黒子「さ、佐天さん!細長い棒状の突起物に女性が頬ずりするなんて絵面的に良くありませんわー!」
上条「お前の表現の方がよっぽどいかんわー!」
御坂(ゲコ太‥‥ゲコ太‥‥うふふふ♩)
~1時間後~
初春「上条さんってどうやって髪セットしてるんですか?何度見てもウニみたいですよね!」
上条「もうちょっとオブラートに包んでもらえると嬉しいかもですよ‥‥」
御坂「あははは!やっぱりそう思うわよねー!?」ケラケラ
白井「‥‥ぶふっwww。言い得て妙ですわね‥‥」クスクス
佐天「ちょ、ちょっと!みんな笑過ぎですよ!‥‥ってそろそろ検査の時間ですね」
黒子「なるほど、では名残惜しいようですがそろそろお暇させて頂きましょうか」
初春「話し込んじゃいましたねー!佐天さんまた来ますので!」
佐天「うん!上条さんももちろん来てくれますよね‥‥?」チラッ
上条「もちろんですよ!」
佐天「うふふ♩待ってますからね?」
御坂「あの、佐天さん‥‥!」
佐天「はい?どうしました?」
御坂「検査前の短い時間で良いから‥‥お話できないかな?2人で‥‥」
────────────
─────────
──────
───
─
黒子「ではお姉様、わたくしは先に寮に戻っておりますので」
初春「佐天さん、御坂さんさようなら~」
上条「じゃあな佐天さん、ビリビリ」
御坂「ビリビリ言うな!‥みんなまた今度ね」
初春「はーい、それではまた!」
ガラガラ…ピシャ
佐天「‥‥‥」
佐天「一気に静かになっちゃいましたね‥‥」
御坂「うん‥そうだね‥‥」
佐天「あの夜以来ですね。2人で話すのは」
御坂「つい3日前のことだけどね」クスッ
佐天「この3日間‥‥長かったような短かったような‥‥」
御坂「‥‥‥佐天さん」
佐天「‥‥なんでしょう?」
御坂「私の事、本当に怒ってないの‥‥?」
佐天「‥‥‥」
佐天「あの日の事を全く怒っていない、と言えば嘘になりますね」
佐天「もちろん私にも原因がありますけど‥‥」
御坂「うん‥‥」
御坂「能力を使って佐天さんを盗聴したり、そこで聞いたデート現場まで押しかけてイヤミ言ったり‥‥ホントにどうかしてた」
佐天「ただ、そのおかげで私は今生きてるわけですけどね‥‥」エヘヘ
御坂「それは単なる結果論でしかないから‥‥免罪符にはならないよ」
佐天「だとしても───」
御坂「?」
佐天「私はそんなことがあっても!御坂さんとずっと友達でいたいと思ったし、恋のライバルとして切磋琢磨したいと思えました」
御坂「そっか‥‥」
佐天「‥‥もちろん上条さんは渡しませんけどね♩」
御坂「!」
御坂「それは宣戦布告と受け取っても構わないわね‥‥!」
佐天「もちろんですよ!遠慮も一切必要ありません!」
御坂「そんな事言っていいのかしら?私が本気になると手強いわよ‥‥?」
佐天「受けて立ちましょう!ばっちこいです!」
御坂「見てなさい!半月もあればあの鈍感ウニ坊主をメロメロにさせてみせるわ!」
佐天「むふふ~♩まずは初デートを済ませてから意気込んでは如何ですか御坂さ~ん!」ニヤニヤ
御坂「何を~!?そっちこそ入院中というハンデをどう乗り切るか見物ね!」
佐天「ピンチをチャンスに変えてこその策士!もし上条さんに病弱属性があれば勝負は決まったようなもの!」
御坂「なんかニッチそうな属性ね‥‥」
佐天「とにかく!勝負はまだまだこれからってことですから」
佐天「お相手よろしくお願いしますね!」
御坂「こちらこそ!息切れしたって知らないんだから!」
佐天「はい!だからこれからもずっと───」
佐天「私達は友達で───」
御坂「恋のライバル!」
おわり
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