照「先鋒戦の四人の体が入れ替わった」(170)

小蒔「zzz」

照「あれ、園城寺さん」

怜「おー、チャンピオン。インハイぶりやな」

照「こんなところでなにしてるの?」

怜「さんぽ。今はちょっと疲れたから休憩中や。あんたは?」

照「私は部活に行く途中」

怜「はー、こんな日まで練習とはさすが白糸台」

照「千里山はどうなの?」

怜「引退してからは割とフリーダムやな。私は体も弱かったし」

煌「おや、これはお二人とも」

怜「あ、新道寺の……すばらやないか」

照「お久しぶり、すばらさん」

煌「……お二人とも勘違いされてるようですが、私の名前はすばらじゃありません、煌です」

怜「そやった、すばらは名字の方やったな。すばら煌」

煌「花田です! 花田煌!」

照「準決勝の四人のうち三人も集まるなんて、すごい偶然……」

玄「あ、宮永さんと園城寺さん。それにすばらさんも?」

怜「四人そろったな」

煌「煌です!」

玄「あの時はお世話になりました」

煌「いえいえ、お互い様です。ところでみなさんこれから何を?私は麻雀部の仲間と待ち合わせなのですが」

玄「私は友達と遊びに行くところです」

照「私は部の練習に顔を出すつもり」

怜「私は散歩中だったんやけど、体力も戻って来たしそろそろ帰るわ」

煌「せっかく再開できたのに残念ですが、皆さん予定があるならしょうがないですね」

照「またそのうち集まろうか」

怜「じゃあまた。よっこいしょ……っとと」

玄「わわっ、大丈夫ですか? 」

クラッ

照「ごめん、ちょっと立ちくらみが……ん?」

煌「まだ無理しない方が……あれ?」

玄「ともあれ、お怪我がないようですばらです……え?」

怜「あれ? なんで私が倒れてるの?」


照怜玄煌「体が入れ替わってる?」

照「どういうことなんや……」

煌「とりあえず落ちついて、状況を整理しよう。私は宮永照」

玄「私は花田煌です」スバラッ

照「私が園城寺怜や」

怜「私は松実玄です」

煌「えーっと、つまり……」

照→煌→玄→怜→照→……

照「……の順で入れ替わってるってことやな」

怜「なんでこんなややこしいことに……」

煌「そういえば気付いたんだけど」

照「なんや?」

煌「関西弁を喋る私って、すごい違和感がある」

照「ああ……口調は変えた方がええのかな。いや、いいの、かしら?」

煌「なんか違う。私はそんな言葉づかいはしない」

照「注文厳しいな。それを言うならアンタだって、すばらすばら言わなあかんで」

煌「はいはいすばらすばら」

玄「ダメです宮永さん。そのすばらはすばらくない」

煌「なにがおかしいの?」

玄「すばらとは心の底からすばらと思った時に自然と内側からあふれ出る言葉なのです」

玄「単に口先だけですばらといえばいいものではないのです!」

煌「すばらがゲシュタルト崩壊してきた……」

照「というか花田も今は玄ちゃんなんだから、すばらは言ったらあかんのやで」

玄「うぅっ! それはすばらくない」

怜「じゃあ私は関西弁を喋らなおまへんのですな?」

照「奈良も一応関西の内やから、そこまで苦労はせんと思うけど……」

怜「ばっちり真似してみせまんがな!」

玄「既にぼろが出てる気がしますが……」

煌「正直、一番不安……」

怜「大丈夫やねん、任せといてんか!」

照「なあ玄ちゃん」

怜「なんでっしゃろ?」

照「ふざけるのもええかげんにせーよ?」

怜「え」

照「な?」

怜「……分かりました」

怜(真面目にやってるつもりなのに……)

大将戦の人ではない

菫「照、こんなところにいたのか」

煌「げっ」

怜「弘世さん?」

菫「珍しい顔ぶれだな。何をしていたんだ?」

玄「いえ、偶然ここで会いまして、つい立ち話に花が咲いてしまったのです」

菫「そうか。せっかくのところを邪魔して悪いが、照は借りていくぞ。こっちも予定があるんでね」

照「予定?」

煌「そうだった……今日は部の後輩指導の日」

照「おい、どないすんねん。私に一人で行けって言うんか?」小声

煌「そんなこと私に言われたって……」小声

菫「ほら、早く」

体(中身)

竜華「トキー、迎えに来たでー!」

姫子「花田、こんなところにおったか」

穏乃「玄さん、お待たせしました。そろそろ行きましょう」


怜(玄)「うわわ……みんな来ちゃったよ」

煌(照)「ど、どうしよう」

玄(煌)「みなさん、腹をくくりましょう。今日のところはそれぞれ体の持ち主になりきって過ごすんです」

照(怜)「今すぐ解決するアテはないし、それしか方法はないか」

煌(照)「それじゃあまた明日、この時間この場所に集まろう。それまでに各自方策を考えておくということで」

玄(煌)「ええ。みなさん、幸運を祈ります」

~照(怜)サイド~

白糸台

菫「一軍は二人ずつ二軍の相手をしてもらおうか。私はしばらく全体を見てるから」

照「あ、その役目なら私がやる」

照(実力と打ち筋はごまかせんし、確実にボロが出るからな)

菫「お前のアドバイスはぶっ飛び過ぎてて他の参考にならないんだよ」

照「そっ、そんなことは……」

菫「『ここで有効牌をツモる』なんて、お前の他に何人真似できると思ってるんだ」

照「」

照(そんなとこまで天然か、あのチャンピオン)

淡「テルー!私とやろう!」

照「わっ」

淡「ほらほら、あっち行こう」グイグイ

照「分かった、分かったから押さんといて」

照(怜)(さすが白糸台、二軍の選手でもレベルが高いわ)

淡「~♪」トン

照(怜)(そのうえ、流石レギュラーやってるだけあって、この一年がすこぶる厄介や。……でも)

照(怜)「リーチ」トン

照(怜)(この体やといつもより格段に消耗に強い。この調子ならダブルも安定して使えるな)

照(怜)「ツモ。2000,4000」

淡「あーん、また負けたー!」

照(怜)(どうやらチャンピオンの名前に泥をぬらなくて済みそうやな)

淡「負けておいてなんだけどさ、テルーいつもより弱くない?」

照(怜)「そう?」ムッ

淡「打ち方もなんか違うし……なんかどこかで同じような人を見たような」

照(怜)「あ、ああ。新しい打ち方を模索中っちゅうところ……なのだ」

淡「あ、 わかった! 準決勝でテルーにボコボコにされた千里山の人に似てるんだ!」

照(怜)(イラッ)

淡「でもテルーの方が全然強いんだからわざわざ真似しなくてもいいんじゃ」

照(怜)「うっさいわ!」

淡「うわっ!テルが怒った!」

照(怜)(くっそー、言い返せんのが余計に腹立つわ)

照(怜)「さあ淡、もう一回戦やろうか」ゴゴゴ

淡「ふふん、望むところ! 今のテルーなら私でもなんとかなる気がするもんね」

照(怜)(……トリプル連発で泣くまでボコったる)

照(怜)(そんで元に戻ったらいつか絶対チャンピオンにリベンジや、今決めた)

照(怜)(ん、待てよ? 私が元気ってことは……)

~怜(玄)サイド~

竜華「ただいまー。怜連れて帰って来たでー」

浩子「おかえりなさい、先輩方」

怜(玄)「た、ただいま……」ゼエゼエ

怜(玄)(園城寺さんの体、思った以上に体力がない)

怜(玄)(こんな体で麻雀してたら、そりゃ倒れもするよね……)

竜華「怜、大丈夫? 元気ないで?」

怜(玄)「はあ、はあ……うん」

竜華「ほら、こっち」ポンポン

怜(玄)「?」

竜華「なにを呆けとんねん。はよここで横になり」

怜(玄)(ああ、そうだった。園城寺さん、よくこの人に膝枕してもらってたんだっけ)

怜(玄)(私としては膝よりもそちらのおもちに興味が……)

怜(玄)(千里山の平均値は阿知賀に大きく劣るけど、この人のおもちは特筆に値するし)ジロジロ

竜華「……どこ見とんの」ペシッ

怜(玄)「あう」ゴロン

怜(玄)(あ、これは……)

怜(玄)「気持ちいい……」ゴロゴロ

竜華「なんや、今日の怜は甘えんぼさんやな」

浩子「いつもこんなんだと思いますけど」

怜(玄)(すごい、予想以上の快感!)

怜(玄)(この弾力、柔らかさ、そしてこの体勢と、頭全体で感触を味わうことで得られる包容感)

怜(玄)(おもちにばかり眼をやっていたことを反省しなくては……)

セーラ「飲み物買って来たでー」

竜華「グッドタイミングやでセーラ」

泉「あ、園城寺先輩ウォーキング終わったんですね」

怜(玄)「へ?」

セーラ「途中で休むのはいいけど、あんまり遅いと今日みたいに竜華が心配するからほどほどにな?」

怜(玄)「は、はい……」

セーラ「じゃあ行くで」

怜(玄)「行く? どこに?」

セーラ「トレーニングジムや」

怜(玄)「あ、あの、どういうこと……でっしゃろ?」

竜華「何言うてんの。体力づくりしたいって言ったのは怜やで」

セーラ「ほら、今度は基礎トレの時間や。ビシバシしごいたるから覚悟しとけよ!」

怜(玄)「そ、そんなあ!」

セーラ「泣きごと言うなー!駆け足!」

怜(玄)「ひいー!」

怜(玄)(本当なら今頃すばらしいおもちとご対面しているはずだったのに、なんでこんなことに!)

怜(玄)(おもちから浮気した罰だとでもいうの!?)

~玄(煌)サイド~

穏乃「久しぶり、和!」

憧「とはいっても、インハイで会ってるけどねー」

和「いえ、ちゃんと会って話をするのは本当に久しぶりですから」

玄(煌)(まさか和達と会う予定だったとは……せっかくの再会だというのに、玄さんには申し訳なかったですね)

和「玄さん?」

玄(煌)「あ、はい。お久しぶりです和」

憧「あれ、玄は昔は和のことちゃんづけで呼んでなかった?」

玄(煌)(しまった、つい昔の癖が)

穏乃「そういえば玄さん、いつもみたいに反応しないんですね」

憧「言われてみれば。会場で和を直で見た時は私でも言いたくなったのに、玄は珍しく淡白ね」

玄(煌)「え?」

憧「ほら、おもち」

玄(煌)「おもち?」

穏乃「いつもの玄さんだったらおもちにめがないじゃないですか」

玄(煌)「えーっと、生憎今はお腹がすいてないもので……」

憧「え?」

穏乃「え?」

玄(煌)「え?」

和「え?」

憧「ちょっと玄、本格的にどっかおかしいんじゃないの?」

和「体調が悪いなら予定はまた今度にしましょうか?」

穏乃「ごめんね和、ほら玄さん早く帰って休みましょう!」

玄「いえ私は元気ですから」

憧「変な気を使わない! ちゃんと養生してしっかり体を治さないと和も安心して遊べないでしょ!」

玄(煌)(ひええ、これはすばらくない)

玄(煌)(他人を演じるのがこれほど大変だとは……宮永さんは大丈夫でしょうか)

姫子「聞いて花田ー、こないだぶちょーが……」クドクド

煌(照)「はいはい」

姫子「そんで仕方ないから自分で縛ったりして……まあそんなところも素敵なんやけど!」

煌(照)「そうだねー」

姫子「……花田、ちゃんと話ば聞いとる?」

煌(照)「聞いてるよー」

姫子「なんか今日の花田おかしくなかと? いつものアレも全然言わんし」

煌(照)「……え、あ、すばらっ!」

姫子「やっぱりいつものと違う気が」

煌(照)「うわあ! ごめん用事を思い出したからもう行かなきゃ!それじゃ!」

煌(照)「ふう……。危ない危ない」

煌(照)「いつも一緒にいる人は聞きわけができるようになってるんだ……花田さんのレクチャー、もっとまじめに聞いておけばよかった」

煌(照)「とにかく、しばらくはなるべく誰とも会わないようにしよう。一人になれる場所ですばらの練習をしないと……」

哩「おう花田、ちょっと話ば聞いてくれんか」

煌(照)「え」

煌(照)(部長の話は最低限の相槌で乗り切ったけど)

仁美「政権交代はひとまずよかことよ。とにもかくにも現状は打破せんといかんかった」チュー

煌(照)(部長から解放されたと思ったら今度は別の先輩に……)

仁美「だからと言ってここから好転するかといえばなんともいえんばい」チュー

煌(照)(福岡の人はところどころ何言ってるのか分からないから困るし)

仁美「こっちがダメならあっち。これはそんな安易な考えで大衆が流された結果よ」チュー

煌(照)(この先輩の話は難しいから余計に……)

仁美「いくら強力な政権が望まれているとはいえ、野党の掣肘なしの衆院では独断の裁量が……」ヂュー

煌「……」ウトウト

仁美「花田?」

煌「はい! そうですねすばらです!」

仁美「……その反応は聞いてなかったな? 最初から説明しなおしてやるけんよう聞いとれよ」

煌(墓穴だった……)

煌(なんとか逃げ出して、もう一人の先輩のいる部屋にきたのはいいんだけど)

煌「……あの」

美子「……」困り顔

煌「……えっと」

美子「……」困り顔

煌「……すばらっ」

美子「……」困り顔

煌(……これはこれで気まずい!)

翌日

照(怜)「……みんないろいろあったみたいやな」

怜(玄)「はい……」グッタリ

煌(照)「まあ……」ゲッソリ

玄(煌)「それでは、報告会と行きましょうか」スバラッ

ちょっと考える時間をください

玄(煌)「ボロが出たのはお互いさまと言うことで、責めあうのはやめましょう」

煌(照)「それで、解決法については?」

怜(玄)「肉体改造に必死でそんなの忘れてましたよ……」

照(怜)「そもそもこんな怪奇現象、どうやって解決すればいいのか見当もつかんわ」

玄(煌)「ですよね……」



霞「話は聞かせてもらいました」

照怜玄煌「!?」

照(怜)「それで、解決方法があるって話は本当なん?」

霞「ええ、同じような事例はいくつか残っているわ」

煌(照)「さすが巫女さん」

玄(煌)「すばらですね!」

怜(玄)「本当にすばらです……!」ワキワキ

煌(照)「それで、具体的にはどうすれば?」

霞「そうね、こちらもいろいろとやることがあるのだけど、あなた方にも準備が必要です」

照(怜)「準備?」

霞「ええ。元に戻るためには四人それぞれが条件を満たしてもらわなければなりません」

玄(煌)「条件、というと」

霞「あなたたちの心が、肉体に戻りたいと強く願わせること……具体的には」

霞「体の持ち主の心が最も望むことを、その体で行う必要があります」

怜(玄)「?」

霞「例えば松実さん、あなたが今一番したいことは?」

怜(玄)「おもちがほしいですね!」

霞「では松実さんの体の持ち主……花田さんが、その、おもち? を手に入れればいいということね」

霞「四人が条件を満たせば、そのうち元にもどるはずよ」

照(怜)「なんやややこしい話やな……」

霞「他にも面倒な手順はいっぱいあるんだけど、それはこちらでやっておくから。あなたたちはその条件を満たすだけでいいわ」

玄(煌)「なにからなにまでありがとうございます」

霞「いえいえ」

霞(昨日小蒔ちゃんがうっかり昼寝しちゃった時に、なにかものすごいものが降りていたと思ったら……こんなことになっていたのね)

霞(この人たちを見つけられてよかった。これでこの件はもみ消せるわ)

照(怜)「願い、か……玄ちゃんはおもち、と。私はなんやろなー。花田は?」

玄(煌)「そうですね。改めて自分がしたいこと、といわれると困りますが、強いて言うなら……」

玄(煌)「麻雀部の仲間や長野の友達、私の周りのみんなが幸せであってほしい、ですかね」スバラッ

照(怜)「どないせえっちゅうねん。チャンピオンは?」

煌(照)「……妹にやさしくしてやりたい」




怜の願いが思いつかん

竜華っていうか千里山のみんなかな

怜(玄)「妹って確か、清澄の大将さんですよね」

煌(照)「うんこの間久しぶりに会って仲直りしたんだけど、なかなか接し方が分からなくて……」

照(怜)「じゃあ私の課題はその清澄の宮永妹と仲良くなればいいってことか。簡単そうやな」

玄(煌)「そういえば私も願いの実行に関して、松実さんに聞いておかなければいけないことがあったんでした」

怜(玄)「はい?」

玄「おもちってなんですか?」

>>81で考えてみる

玄(煌)「……なるほど、おむねのことでしたか」///

怜(玄)「丁度よく、また改めて和ちゃんと会う約束をしたんですよね?」

玄(煌)「ええ、まあ」

怜(玄)「自分で確認できないのが非常に惜しいのですが、花田さんに任せます。和ちゃんのおもちを思いっきり堪能しつくしてあげてください!」

玄(煌)「ま、任されました……」

煌(照)「あの、私は何をすればいいの?」

玄(煌)「普段通りに、皆さんのお役に立っていればいいと思いますよ。私の幸せはそこにあるのです」

煌(照)「ハードル高いなあ……」

怜(玄)「それで、園城寺さんの願いはなんなんですか?」

照(怜)「そうやな、やっぱりいつも世話になってる千里山のみんなに恩返しがしたいな」

照(怜)「もっぺん確認するで。私はチャンピオンの妹に優しくしてあげる」

怜(玄)「私は千里山の皆さんに恩返しを」

玄(煌)「私は……その、おもちをこの手に」

煌(照)「私はとにかく新道寺の役に立つ、と」


この先もっと筆が遅くなる

照(怜)「さて、ちゃっちゃと片付けていこか」

プルルル

照(怜)「もしもし、咲?」

咲「お姉ちゃん!?」

照(怜)「今から会いたいんだけど」

咲「な、なにか用事?」オドオド

照(怜)「いや、せっかく仲直りしたんだし、二人でちゃんと話したいなと思って」

咲「!う、うん!わかっt「もしもし、お電話変わりました」

照(怜)「だ、誰や?」

和「咲さんのお友達の原村和と言います」

照(怜)「……そのハラムラさんが何の用?」

和「いえ、咲さんも緊張しているようですし、いきなり二人きりというのもハードルが高いかと思いまして」

照(怜)「それで?」

和「咲さんが付き添いとして友達を連れてくるのは構いませんか?」

照(怜)「それくらいなら大丈夫だけど」

和「わかりました。ではそういうことで」

咲「……楽しみにしてるね、お姉ちゃん」

ガチャ

照(怜)「……なんや妙なことになって来たな」

玄(煌)「だから、もう大丈夫ですって!」

憧「そうは言っても玄、和と会った時くらいからずっと変よ?」

玄(煌)「そ、それはしばらくあれほどのおもちを目にしていなかったので、少し呆けてしまったんです!」

憧「うーん……ま、本人が大丈夫っていうならいいか」

穏乃「いいんだね? じゃあ改めて和に電話を……」

プルルル

穏乃「あれ?和の方からかかってきた」

和「穏乃。それと憧と玄さんにも、協力してほしいことがあります」

咲「ひ、久しぶり、お姉ちゃん……」

照(怜)「……ああ、久しぶり」

和「咲さん、頑張ってくださいね」ニッコリ

優希「のどちゃんがなんか怖い」

穏乃「人数が多いと賑やかでいいね!」

憧「それにしても、インハイチャンプとこんなところで会うとは……」

照(怜)(確かに『友達を連れてくる』とは言ったけど、こんなにそろえて……牽制のつもりか?)

玄(煌)(姉妹水入らずを阻止するつもりでしょうか。あまりすばらな考えではありませんね……)

和(咲さんをずっと放っておいて、今さら取り戻そうなんて虫がよすぎです)

和(お姉さんにふさわしいかどうか、咲さんの信頼を取り戻せるかどうか……この目で確かめさせてもらいますよ)メラメラ

~~~

照(怜)(アカン、まったくきっかけがつかめへん)

照(怜)(どこへ行くにも原村がついて来よるし、そもそもこう人数が多いとろくに言葉をかけることもできひん)

咲「……」ショボン

照(怜)(咲ちゃんは咲ちゃんで微妙に腰が引けてるし……こうなったら)

照(怜)(頼むで花田、なんとかアシストしてくれ)アイコンタクト

玄(煌)(任されました)

玄(煌)「それにしても和ちゃん、しばらく見ないうちにすばら、しいおもちをおもちになりましたね!」

憧「うわ、今それを言う?」

穏乃「でもこっちの方が玄さんらしいよ」アハハ

優希「ふふん、この成長の一部には私も寄与しているんだじぇ!」

和「ちょっと優希!」

照(怜)(うまい、一気に全員の注意をそらした)

照(怜)「あの、咲?」

咲「あ、お姉ちゃん……なに?」

和(しまった!体勢を立て直さないと……)

玄(煌)「それじゃあどれだけ育ったか確かめさせてもらいましょうか!」バッ

和「きゃっ!」

穏乃「うわー!玄さんが暴走した!」

憧「元に戻ったと思ったら悪化してるじゃないの!」

玄(煌)(こうなりゃヤケです!)

玄(煌)「ぐへへへへへ」モミモミモミモミ

和「ちょ、ちょっと玄さん! いいかげんに……っ」

優希「……あれ、咲ちゃんとお姉さんは?」

咲「はあ、はあ」

照(怜)「ふう……やっと二人きりになれた」

咲「ごめんね、和ちゃんも悪い子じゃないんだけど」

照(怜)「分かってる。咲は愛されてるんやね」

咲「あ、愛ってそんな……」///

照(怜)「……私も、そのうちの一人だから」

咲「え?」

照(怜)「私はあんまり口がうまくないから、咲が冷たいと感じることもあると思うけど」

照(怜)「ちゃんと咲のことを思ってるから、安心していいんだよ」

咲「お姉ちゃん……」

照(怜)「少しずつでいいから、また元の姉妹に戻っていこう」ナデナデ

咲「……うん」

照(怜)(……姉の方には貸し一つやな、でっかいの)

~~~

姫子「花田ー、ぶちょーが冷たい」

煌(照)「麻雀部も代替わりが近いから、姫子に少しずつ任せ始めてるんじゃないの」

煌(照)「姫子もいつまでも部長に甘えてたらダメだよ」

煌(照)(……みたいなことを、この間菫が言ってた気がする)

姫子「うう……花田も冷たい」

煌(照)(失敗したかな?)

姫子「でも、確かにその通りかも知れんね。私も頑張らんと」

煌(照)(ほっ)

煌(照)「その心意気、すばらです!」

姫子「あはは、久しぶりに聞いた気がするとよ、それ」

煌(照)(花田さんの言ってたこと、少し分かる気がするな)

煌(照)(誰かの役に立つことは、確かに満たされた気持ちになれる)

煌(照)(すばらの言葉も、自然と口から溢れてくる……)

煌(照)(……でも)

哩「花田―、ここ、この部分、もっときつく締めてくれ」

煌(照)「こんな役立ち方はすばらくない!」

ガラッ

哩「なっ!?」

姫子「ぶちょー! 最近構ってくれないと思ったら、花田ば使ってこんなこと!」

哩「いや、これから部活で姫子の負担が増えるだろうから、いつまでも私の趣味につき合わせるわけにはいかんと」

姫子「問答無用!」

~~~

怜(玄)「おひるごはん出来たよー」

セーラ「おおっ!うまそう!」

浩子「なんや独創的な料理ですね。どこで教わったんですか?」

怜(玄)「えへへ、ちょっとね」

竜華「掃除洗濯も一人でって、ほんまに大丈夫なん?」

怜(玄)「トレーニングのおかげで、少しは体力ついたから平気だよ」

怜(玄)(家事なら私が慣れてる分負担も少ないしね)

怜(玄)「それに、今までお世話になった分、少しでも恩返ししないと!」

竜華「怜……」ジーン

小蒔「zzz」

玄(煌)「ぐへへっへへへ」モミモミモミモミ

和「もうっ……いい加減に……ぁんっ!」

クラッ

玄「はっ! この手の感触は!」

憧「いい加減に離れなさいっての!」

優希「いくら友達とはいえ限度ってもんがあるじぇ!」グイッ

玄「あっ、ちょっと待って! あと一秒だけ」

穏乃「もうとっくにやりすぎです!」

玄「そんな、まだちょっとしか、あああ~」ズルズルズル

照(怜)「それにしても咲ちゃんはかわええなあ」ナデナデ

咲「えへへ……」

クラッ

照「はっ」ナデ……

咲「どうしたの、お姉ちゃん?」

照「……」

咲「お姉ちゃん?」

照「いや……なんでもない」ナデ…ナデ…

咲「そっか」

照(園城寺さんには一つ借りができたな……大きいの)

照「また今度、自分でちゃんと言ってあげなきゃなあ……」

クラッ

煌「はっ!」

姫子「ぶちょー……これに懲りたら」

哩「ああ……姫子に隠し事は二度とせん。約束する」

姫子「分かればいいんです……んっ」

哩「はむっ……」



煌「……はいはいすばらすばら」

クラッ

怜「」ビターン

竜華「怜!?どないしたの!」

怜(あかん、昨日の筋トレよっぽど厳しくされたみたいや)

怜(そのうえ今日は玄ちゃんがなんか酷使したみたいやし)

怜(今まで健康な体に入ってた分のギャップで、全然体が動かせへん)

怜「学校より床が冷たい……」

竜華「トキー!」

その夜、チャットにて

照「まあ、何はともあれ一件落着ということで」

怜「しんどいのがどっと戻って来た感じがするわ」

煌「永水の人にもまたお礼を言いに行かないといけませんねえ」

玄「それは是非行かなければいけませんね!リベンジのためにも!」

怜「玄ちゃんは元気やなあ。私はもう寝るわ」

照「私も。明日はまた妹と会うんだ」

煌「ではそろそろお開きということで」

玄「お休みなさい」

翌日

照「……私は松実玄です」

玄「私が宮永照」

照「私は花田煌です」

煌「で、私が園城寺怜……」


四人「また入れ替わってる!?」

カン!

やっぱちゃんと書き溜めないとダメだわ、安価SS書きの人尊敬します

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