貴音「おや…これはもしや」 (71)
貴音「二十朗監修のもと作られた個数限定販売の幻のインスタントラーメン!!」
貴音「なぜこのようなものがここに…」
貴音「そういえば先日…」
―――――――――――
真美『あ→これ超めずらしいやつじゃん!!』
亜美『兄ちゃん!これ食べてもいい?』
P『ダメだ!!』
亜美真美『『わっ!?』』ビク
P『もしこれを食べたらいかにお前らと言えど、ただじゃおかないからな』
真美『に、兄ちゃんが怖い…』
P『そのかわり他のならなんでも食べていいぞ』
亜美『ホント!?』
P『ああ、だから絶対に食べるんじゃないぞ!!』
真美『分かったYO』
―――――――――――
貴音「…あれはこのことだったのですね」
貴音「……」グー
貴音「!」
貴音「い、いけません!これはあの温厚なプロデューサーが怒鳴ってしまうほどの一品…」
貴音「そのようなものを食べるなど…」グー
貴音「はぅ…!いけません、何か別のことを考えて凌ぐのです…!」
貴音「らぁめん…らぁめん…醤油…味噌…しお…」ブツブツ
貴音「……とんこつ」チラ
貴音「……」グー
貴音「…!」
貴音「いけません…!」
貴音「らぁめん…とんこつ…濃厚…ましまし…」
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
貴音「……」
貴音「……」
貴音「……」
貴音「やってしまいました…」
貴音「ど…どうしましょう」
貴音「すぐに代わりのものを…」
貴音「これは早々に用意できるものではありませんでしたね…」
貴音「……」
貴音「これはもう五体投地で謝るほかありませんね…」
貴音「申し訳ありません…プロデューサー…」
響「はいさーい!」
貴音「!」ビク
響「あれ?貴音しかいないの?」
貴音「ええ…どうやらそのようです」
響「ふーん…ん?なんだこの匂い…どこかで」
貴音「!」
貴音(いけません…このことは私が直接謝らねばならぬこと…)
貴音(他の者に気づかれ、プロデューサーに報告されては…!)
響「ねえ貴音、ここで何か食べなk」
貴音「響…」スル
響「た、貴音!?」
貴音「どうしました?」
響「な、なんで服を脱いでるの…!?」
貴音「少しばかり暑くなってきたので…」スルスル
響「真冬だよ!?それにここ暖房も付いてないよ貴音!!」
貴音「心頭滅却すれば火もまた涼し」ガタガタ
響「すっごく震えてるぞ!!」
貴音「気のせいですよ…響…」ガチガチ
響「声を震わせながら言われても説得力ないぞ!」
響「あーもう貴音一体どうしちゃったんだ!?」
貴音「私はいつもと変わりませんよ」
響「いつもと変わらない貴音は急に脱ぎだしたりしないもん!」
貴音「……」
響「とにかく服を着てよ…見てるこっちまで寒くなってくるぞ」
貴音「はい…」
響「それからはい!」モフ
貴音「これは…?」
響「貴音今日誕生日でしょ?マフラー編んだんだ」
貴音「そうでした…」
響「忘れてたの?」
貴音「ええ…それどころではありませんでしたので…」
響「?」
貴音「いえ、こちらの話です」
響「よく分かんないけど、お誕生日おめでとう貴音!」
貴音「ありがとうございます」
響「暑いって言ってたけど、マフラー邪魔だった?」
貴音「いえ、そんなことありません…真、あったかいです」ギュ
貴音「ありがとうございます」
響「えへへ」ニコ
響「じゃあ自分レッスンに行ってくるね!」
貴音「ええ、お気をつけて」
響「うん!じゃあまたね」
貴音「…ふぅ」
貴音「なんとか気付かれずにすみましたか」
貴音「……」
貴音「響…ありがとうございます」
貴音「大事にしますね」
貴音「さて…早くプロデューサーに謝られば」
貴音「電話をしてみましょう…」
貴音「繋がりません…」
貴音「来るまで待たねばならないのでしょうか…」
春香「おはようございまーす」
千早「おはようございます」
貴音「おはようございます」
春香「あ、貴音さん!お誕生日おめでとうございます!」
千早「これよかったら食べて下さい」
貴音「これは…?」
春香「ケーキですよ!ケーキ!」
千早「春香と一緒に作ったんです」
春香「本当はみんなで祝って食べたいんですけど、仕事やレッスンが入ってて難しそうだったので…」
貴音「いえいえ、とんでもありません…ありがとうございます」
春香「本当はラーメンのほうが貴音さんには合ってたかもしれないですけど、せっかくの誕生日ですもんね」
貴音「!」ドキ
千早「四条さん…?」
貴音「えぇ…ええ、全くその通りです!!」
貴音「このような日はけぇきを食べるのが一番だと思います」
春香「ですよね!」
貴音「はい!」
千早「……」
貴音「早速頂いてもよろしいですか?」
春香「どうぞどうぞ!」ニコ
貴音「ありがとうございます」
貴音「真、美味です」
春香「ほんとですかぁ?よかったぁ!ね、千早ちゃん!」
千早「ええ」
貴音「程よいくりぃむの甘さ…病みつきになります」ムキュムキュ
春香「喜んでもらえて何よりです」
千早「手作りにして良かったわ」
貴音「二人とも本当にありがとうございます」
貴音「今日は良き誕生日になりそうです」
春香「えへへ」
千早「春香、そろそろ時間よ」
春香「え?もうそんな時間!?」
千早「ええ…では、そろそろ仕事のほうに行ってきますね」
貴音「はい」
春香「行ってきまーす!」
貴音「祝ってもらえるというのは嬉しいものですね」
貴音「さて…それとこれとは別です」
貴音「犯した罪の清算…」
貴音「これをせねば本来祝ってもらう資格などありません」
貴音「……」
貴音「プロデューサーはまだ来ないのでしょうか…」
真美「おはおは→」
亜美「亜美だよ→」
律子「ちゃんと挨拶しなさい」
伊織「おはようございます」
貴音「おはようございます」
亜美「お姫ちんおはよ→」
真美「はぁ、真美まだ何も食べてないからお腹ぺこぺこ→」
亜美「亜美も」
伊織「朝ご飯くらいちゃんと食べてきなさいよね」
亜美「真美が寝坊するからだYO!」
真美「亜美が支度に手間取るからっしょ→?」
律子「はいはい、直に出るんだから何か食べるなら早く食べなさい」
亜美真美「「はーい」」
律子「あ、そうそう貴音、お誕生日おめでとう」
律子「はいこれ」
貴音「ありがとうございます…これは」
律子「私からの誕生日プレゼントよ」
貴音「さんぐらす…ですか?」
律子「ただのサングラスじゃないわよ~」
律子「小さな穴がたくさんあるサングラスで目にいいらしいのよ」
貴音「そのような効果が…」
律子「あんたはあんまり目がよくないんだから普段それをつけて視力矯正なさい」
律子「それに変装になるしね」
貴音「ありがとうございます、大切に使わせていただきます」
律子「どういたしまして」
伊織「ほらっ伊織ちゃんからはこれよ」
貴音「これは…」
伊織「あんたには実用品よりはやっぱり食べ物のほうがいいと思って…」
亜美「真美→インスタントラーメンとかってどこにあったっけ→?」
真美「確かこのあたりにあったっしょ?」ゴソゴソ
貴音「!」
貴音「ちょいと失礼」サッ
伊織「なかなか手に入らない高級洋菓子店から取り寄せたってどこ行くのよ!!」
真美「あ、あった→!」
亜美「あれ?この間兄ちゃんが大事にしてたラーメンがないよ?」
真美「食べたんじゃない?」
貴音「二人とも」
真美「あ、お姫ちんおめおめ→」
亜美「お姫ちんも食べるの?」
貴音「いえ…」
貴音「二人にいんすたんとのらぁめんの美味しい食べ方を伝授したいと思います」
亜美「ホント!?」
貴音「ええ」
真美「どうするの?」
貴音「まずは加薬をとりだして…」
亜美「それからそれから→?」
貴音「その前にお好みの面の硬さを教え下さい」
真美「真美は硬めのが好きだYO」
亜美「亜美も」
貴音「でしたら…」
真美「美味しい!!」
亜美「インスタントってこんなにおいしく出来るんだね!!」
真美「知らなかったね→!」
貴音「喜んでもらえて何よりです」
律子「そろそろ出るわよー」
亜美「律ちゃんちょっと待って→!」
真美「もう少し味わってたいYO」
伊織「先行ってるわよ」
貴音「伊織…先ほどのお菓子、後ほど食べさせていただきます」
伊織「ふ、ふんっ…ちゃんと感想聞かせなさいよ」
貴音「はい、了解しました」
貴音「ふぅ…なんとか凌げましたね」
貴音「それにしても何と申して謝ればいいのやら…」
P「何を謝るって?」
貴音「!」
貴音「あ、貴方様…!いつの間にそこに…?」
P「今来たところだよ」
貴音「そうですか…」
P「ああ」
貴音「あ、あの貴方様…」
P「あ、ちょっと待ってくれるか?先にやりたいことがあるんだ」
貴音「は、はぁ」
P「へっへっへ、貴音は驚くと思うぞぉ?」
貴音(…もしや)
貴音「あの、貴方様…!」
P「確かここにな~」ゴソゴソ
貴音「あの…今私が話そうとしていることと」
P「あれ?おかしいな…」
貴音「貴方様がしようとしていることは恐らく関係が…」
P「……」ピタ
貴音「貴方様…」
P「まさか…食べたのか?」
貴音「……」
P「……」
貴音「……はい」
P「……」
貴音「……」
P「…そうか」
貴音「申し訳ありません」
P「……」
貴音「なんとお詫びしてよいものか」
P「……」
貴音「どのような罰も受け入れます」
P「……」
貴音「何なりと申しつけください」
P「……」
貴音「…貴方様」
P「……じは」
貴音「貴方様…?」
P「味はどうだった…?」
貴音「それは…」
P「嘘偽りなく言え…食べた事実は変わらないんだから」
P「俺に負い目を感じずにありのまま言うんだ」
貴音「……真、美味でした」
P「……」
貴音「濃厚な豚骨出汁をベースに、完璧に再現された面が絡み」
貴音「普通のいんすたんとでは考えられない量のかやく…」
貴音「どれをとっても本家に劣らない一品でした」
P「……」
貴音「まるで二十朗で食べてるかの様な感覚さえ覚え」
貴音「幻の名に恥じぬ出来でした」
P「……」
ケツを出せ
P「そっか…美味かったか」
貴音「…はい」
P「貴音がそこまで言うなら本当に美味かったのだろうな」
貴音「それは間違いありません」
P「よかった」
貴音「貴方様…?」
P「先方に無理言って譲ってもらってよかったよ」
貴音「…いまいち意味が分からないのですが」
P「あのラーメンは貴音にやるためにもらってきたんだよ」
貴音「そうなの…ですか?」
P「ああ、誕生日プレゼントにサプライズで用意してたんだが、見つけちまったか…」
P「ま、とくに注意もしなかったし警戒しなかった俺も悪い」
貴音「貴方様…」
P「だがここでばーんって出して驚く貴音の姿も見たかったんだよなぁ」
貴音「申し訳ありません」
P「はぁ…まあ過ぎたことだしいいよ」
貴音「ですが…勝手に食べてしまったことには変わりありません」
P「もともとお前のだったんだから問題ないだろ」
貴音「それでは私の気が済みません」
P「そう言われてもな…」
貴音「けじめをつけさせてください」
P「…わかった」
貴音「なんなりと」
P「てい」チョップ
貴音「ひゃう!?」
P「もうするんじゃないぞ」
貴音「あ、貴方様」
P「はいはいこの話はもう終わり」
貴音「ですが…」
P「せっかくの誕生日なんだ辛気臭いのはなしなし」
貴音「…わかりました」
P「よし」
P「それにまだプレゼントはあるんだ」
P「やっぱラーメンだけじゃさすがにあれだからな」
貴音「い、いえ…もうあのらぁめんで十分ですよ」
P「そういうな、せっかく用意したんだから」
P「ほら」
P「誕生日おめでとう、貴音」
貴音「ねっくれす…」
P「ああ」
貴音「せっくす…」
P「あぁ」
P「この間の地方ロケで時間が出来たときにアクセサリー屋に寄ってな」
P「貴音に似合いそうだなぁって見てたら自然に買ってた」
貴音「……」
P「気が向いたときにでもつけてくれたら嬉しいよ」
貴音「…貴方様」
P「どうした?」
貴音「今、つけて下さいますか?」
P「自分でつけれるだろ?」
貴音「貴方様につけていただきたいのです」
P「まあいいけど」サラ
貴音「ありがとうございます」
P「相変わらず綺麗な髪だな…」
貴音「ふふ…」
相変わらずデケェ尻だな…
貴音「どうですか?」
P「…いい」
貴音「ふふ…ありがとうございます」
P「さすがアイドルだな」
P「ただのアクセサリーもここまで映えるなんて」
貴音「貴方様が選んでくださった物だからですよ」クス
P「そ、そうか…?なんだか照れるな」
貴音「貴方様…このねっくれす…大切にいたします」
P「ああ」
貴音「ふふっ…今日という日を迎えることが出来た私は幸せ者ですね」
P「…喜んでもらえて何よりだよ」
響「貴音、最近調子がいいな」
千早「この間の単独ライブ…素晴らしかったです」
貴音「ありがとうございます」
真美「ラーメン探訪もレギュラー化しちゃったし」
亜美「お姫ちんの快進撃はまだまだ続くYO」
伊織「この伊織ちゃんを出し抜くなんていい度胸じゃない」フン
春香「最近いつも身につけてるそのネックレスになにか関係があるのかな?」
律子「ちょっとスキャンダルとかは勘弁してよ?」
貴音「……ふふ」
貴音「”とっぷしーくれっと”です」ニコ
おわり
遅くなったけど
お誕生日おめでとうございました
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