淡「咲に無視される」(87)
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ありがとうございます
菫「そうか」
淡「私なにかやったのかな……」
菫「昨日まで普通に話してただろ」
淡「今朝、あいさつしたら無視された」
菫「聞こえなかっただけじゃないか?」
淡「メールとか、電話も無視されてるのに?」
菫「しかしだな、咲ちゃんが無視するとかは考えれないな」
淡「サキー……」
菫「はぁ、少し待ってろ」
淡「うん」
菫「もしもし、照か」
照『どうしたの?』
菫「今すぐこい、咲ちゃん関係だ」
照『わかった、すぐ行く』
菫「とりあえずだが、照を呼んでおいた」
淡「……」
菫「そんなに落ち込むな、あれだけ仲良かったんだ。すぐに元通りになるさ」
淡「うん、そうだね! なんたって私とサキだもんね!」
照「淡と咲が別れたって本当?」
菫「来てそうそう何を言ってる」
淡「別れてなんかないよ!」
照「そうなの? でも、このままいけば私が咲と付き合うことになるけど」
淡「そんなことにはならないから!」
菫「そうだぞ照。 咲ちゃんが白糸台に転校してきてからずっと一緒だったろ」
照「それは私も同じ。家でも咲と一緒だった」
淡「そうだテルー、家でなにも言ってなかった?」
照「特に何も言われなかったけど、機嫌は悪そうだったよ」
淡「やっぱり私なにかしたんだ……」
淡「ちょっとサキに私を無視する理由聞いてくる!」
菫「頑張ってこい」
照「私も機嫌の悪い咲は怖いから早く仲直りしてね」
菫「そうだな、機嫌の悪い状態は怖いからな」
淡「わかったー! 絶対に仲直りしてくるねー!」
咲「……」
淡「あっ、サキー!」
咲「」フイッ
淡「むむ……やっぱり無視してくるかー」
淡「でも、いいよ! そっちがその気ならこっちにだって考えがあるから!」
淡「うりゃ!」ダキツキー
淡「これでも、無視できる?」
咲「……」
淡「むー、まだ無視するかー」
淡「でもいいや! 無視するならこのままずっと引っ付いてるからね!」
咲「……」
淡「……」
淡「あっ、階段だから降りるね? 上りきったらまた抱きつくから!」
淡(やっぱり一緒にいたくないのかな……)
淡「や、やっぱり抱きつくのは歩きにくそうだから、手繋ぐね?」
咲「……」
淡「サキの手は暖かいね!」
咲「クスッ」
淡「あっ、笑った? 今、笑ったよね?」
咲「……」
淡「気のせいだったのかな?」
淡「また階段上るのー?」
咲「」
淡「でも、手は離さないよ!」
咲「」
淡「それにしてもこの学校こんなに大きいんだね! 結構階段上がった気がするよ!」
淡「そーいえばサキはどこに向かってるの?」
咲「上」
淡「やっと喋ってくれた! って、上?」
咲「うん、もっともっと高いところ」
淡「うへぇー、この階段まだまだ上るの?」
咲「そうだよ」
淡「ちょっと休憩しない?」
咲「だめだよ?休憩したら……」
淡「休憩したら?」
咲「気づいちゃうでしょ?」
淡「気づくってなにに?」
咲「本当に気づいてないの?」
淡「だからなにに?」
咲「私が、もうし……やっぱり言わない」
淡「もー、気になるよ!」
咲「言ったら淡ちゃん降りて行っちゃうでしょ?」
淡「降りないよ! 降りるとしてもサキも連れて降りる!」
咲「私は降りない、降りれないよ」
淡「あははー、サキも面白いこと言うなー」
咲「本当のことを言ったまでだよ」
淡「上ってるってことは、降りれるってことだよ?」
咲「普通ならね? でも、おかしいでしょ?」
淡「おかしいって何が?」
咲「下を見ればわかるよ」
淡「んー、ってあれ? 階段がない?」
咲「ね? おかしいでしょ」
淡「ほうほう」
咲「さぁ、上がろ?」
淡「下が見えないね!」
咲「そうだね、だから上がろ」
淡「やだよ」
なんだよ、お前ら。 ホラーが好きなんだろふざけんな。
ホラーにした途端急に現れやがって
咲「なんで? 早く上がろう、ね? 上がろう」
淡「上がったらサキ消えちゃうんでしょ?」
咲「なに言ってるの淡ちゃん?」
淡「私だってさすがに気づくよ。 握ってる手が骨になってたら」
咲「そっか。 でももう上がるしかないよ」
淡「階段を上り始めてからサキの顔一度も見られなかったんだ」
咲「なに言ってるの?」
淡「今のサキの顔はどんな顔してるのかしらないけど……」
咲「もう、いいよ。連れてくね?」
淡「泣いてるよね?」
咲「笑ってるよ」
淡「泣いてる」
咲「笑ってる」
淡「じゃ、見てもいい?」
咲「だめ」
淡「ほら! やっぱり嘘ついてる!」
咲「嘘なんてついてない」
淡「それも嘘! 声が震えてるよ!」
咲「……」
淡「ほら、正直になろ?」
咲「もう遅いよ」
淡「でも、まだサキは消えてないよね」
咲「もうすぐ消えるけどね」
淡「私は諦めてないよ?」
咲「なにを?」
淡「サキを連れ戻すのを」
淡「サキが私をここに連れてきたのは、まだ消えたくないからでしょ?」
咲「ちが」
淡「違わない。違ってたとしても違わない。私はもうそう思い込んだからね!」
咲「淡ちゃんは現実を見ないとダメだよ」
淡「やだ。サキのいない現実なんて見たくない」
咲「淡ちゃん……」
淡「よし! 飛び降りよう!」
咲「だ、だめ!」
淡「あーあー、聞こえないー」
咲「聞こえてるでしょ!」
淡「まぁ、これはサキが私を無視した分だと思ってね」
咲「無視したくて無視してたんじゃないから!」
淡「そうなんだ。 でも、飛び降りるね!」
咲「離して!」
淡「手は離さないって言った!」
この後、三人は幸せに暮らしました!
めでたしめでたし。
かん!
淡「うーん……うー……」
咲「ん……」
菫「おい、二人とも廊下で寝るな。起きろ」
照「咲の寝顔かわいい!」
菫「そうだな。そんなことより早く起こそうな」
照「もう少し見てたいけど」
菫「いいから起こせ。お前のかわいいかわいい妹が風邪をひくぞ」
照「それは大変。でも、一つ訂正させて」
菫「なんだ」
照「咲は私の嫁です。本当にありがとうございます」
菫「おい、淡に咲ちゃん早く起きろ」
照「ひどいね」
淡「んー……おはよスミレ」
菫「おはよう」
淡「あっ、サキは!?」
菫「お前の隣で寝ているぞ、まぁ、照に遊ばれてるがな」
照「咲ぺろー」
淡「サキぺろしないで!」
咲「ん、んん……。あ、あれ? 私確か」
淡「おはよサキ!」
咲「あれ?淡ちゃん? なんで、どうして?」
淡「どうしたのサキ? なにか嫌な夢でも見てたの?」
咲「ゆ、ゆめ?」
淡「わかったー!もしかして怖い夢見てたんでしょ?」
咲「あ、淡ちゃんは何も覚えてないの?」
淡「だーかーらー、夢! サキが見てたのは夢だよ!」
照「ちょっと、話についていけない」
淡「気にしないでいいよ!」
咲「夢だったんだ。よかったー」
淡「そんなに怖い夢だったんだ。しょうがない! 今日は一緒に寝てあげよう!」
咲「あはは、ありがとう淡ちゃん」
淡「感謝なんていらないよー!」
照「なんで! なんで! 淡ばっか!」
菫「おい照。 くやしいのはわかった。だから私を叩くのをやめろ」
照「おかしい! こんなのおかしい!」
菫「いい加減にしろよおい」
照「ごめん」
淡「サキー」
咲「どうしたの淡ちゃん?」
淡「絶対に手離さないからね」
咲「やっぱりあれ夢じゃなかったんだね」
淡「テルたちには知られたくなかったでしょ?」
咲「うん」
淡「でも、どうしてあんな状態になってたの?」
咲「んー、麻雀が強すぎたみたい」
淡「それであんな風になるの?」
咲「そーいわれたよ?」
淡「誰に?」
咲「わからない」
淡「そっかー、あれ?」
咲「淡ちゃん?」
淡「テルも相当強いよね?」
咲「そうだね」
淡「もしかしてテルも……」
咲「あっ」
照「咲がー!淡にとられるー!」
菫「わかった。わかったから落ち着け」
照「咲ぃ……」
菫「きっといいことあるって」
咲「ありえそうだね」
淡「でしょ! 気づいた私すごい!」
咲「自分で言ったら凄さ半減だよー」
淡「私とサキもあれだけ仲良くなれるよね?」
咲「なれるよ。でも、お姉ちゃんみたいにはならないでね?」
淡「もちろん! 私はサキ一筋だから!」
咲「私も浮気は絶対にしないよ」
淡「当たり前! もし浮気したら許さない!」
咲「これからも一緒にいようね!」
淡「もちろん!」
この後、二人は幸せに暮らしました
めでたしめでたし
かん!
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