エレン「自殺する」(21)
エレン「止めるなよ」
アルミン「うん」
ミカサ「わかった」
ジャン「……ハァ!?」
エレン「今までありがとな」
ジャン「待て待て、どうした。ついに頭がイカレちまったのか!?」
エレン「いや、そういうわけじゃないんだけどな。よく考えてのことなんだ」
ジャン「ふざけんなよ! ミカサ、アルミン! おまえらそれでいいのか!?」
アルミン「うん」
ミカサ「いいよ」
ジャン「いいのかよ!」
ジャン「なあどうしたんだよ? お前らしくねぇぞ」
エレン「いや、らしいっちゃらしいだろ。お前だって言ってたじゃないか。俺のこと死に急ぎ野郎だって」
ジャン「そういうことじゃねえだろ! 少なくともあの時お前には死ぬつもりなんてなかっただろ!?」
エレン「あ~、なんだろうな。気が変わったんだよ」
ジャン「なんだよそれ……」
アルミン「どうしたのさジャン。エレンとはいつも喧嘩ばっかりだったじゃない」
ミカサ「まるでエレンに死んで欲しくないみたい」
エレン「そうなのか?」
ジャン「ハァ!? そんなわけねえだろ! お前のことなんてどうだっていいんだよ!」
エレン「ならいいじゃねえか」
ジャン「よくねえよ! あれ? いいのか? よくわかんなくなってきた……」
ライナー「どうしたんだジャン。そんなに声を荒げて」
ベルトルト「なにかあったの?」
ジャン「ライナー! ベルトルト! 死に急ぎ野郎がおかしくなっちまったんだ」
エレン「別におかしくはなってねえって。自殺するって言っただけだろ」
ライナー「ほう」
ジャン「ほうってそれだけか!?」
ベルトルト「ダメだよエレン!」
ジャン「よかった、まだまともな奴がいた」
ベルトルト「君に貸したエロ本まだ返してもらってないのに!」
ジャン「まともじゃなかった」
エレン「安心しろベルトルト。座学教室のお前の席に置いといたから」
ベルトルト「それならよかっ……よくない! なんてことするんだ! 誰かに見られたらどうするんだよ!」
エレン「悪い悪い。直接返そうと思ったんだけど見当たらなくてさ」
アルミン「女性陣ドン引きだったよ」
ミカサ「クリスタですら汚物を見るような目で睨んでいたしアニは『気持ち悪い』と呟いて去っていった」
ベルトルト「あぁ……おしまいだ……」
ライナー「元気だせよベルトルト」
ジャン「そんなことはどうでもいいんだよ!」
ライナー「おいおいジャン、そんなことって言い方はないだろう」
エレン「冷たい奴だな」
ジャン「お前の自殺発言に動じないこいつらは冷たくねえのか!? そもそもその件についてはお前が悪いんだろ!」
エレン「ごめんなベルトルト。ちょっとしたイタズラ心だったんだ」
ベルトルト「過ぎたことは仕方ないよ……」
ジャン「無視すんな! ……俺がおかしいのか?」
クリスタ「どうしたの?」
ユミル「さっきからうるせえぞ熟女ルト」
ベルトルト「熟女ルトって僕のこと!?」
ジャン「エレンが変なこと言うからだ! お前らもなんとか言ってやってくれ!」
クリスタ「変なこと?」
ユミル「ベルトルさんの性癖よりもか?」
ベルトルト「僕の性癖のことはいいだろ!」
エレン「ああ、お前らにも言っとかないとな。俺自殺することにしたんだ」
ユミル「ふーん」
クリスタ「そうなんだ!」
ジャン「こいつらもかよ……」
ジャン「止めねぇのかよ」
ユミル「いいんじゃないか? 本人が決めたんならアタシらが文句言うことでもないだろ」
ジャン「クリスタもそう思うのか!?」
クリスタ「いいと思うよ。死は救い。残酷な浮き世で苦しい生を続けるのならばいっそ……」
アルミン「だよね」
ライナー「クリスタの言う通りだ」
ミカサ「エレンはよく決断した」
ジャン「ダメだ。ここにゃもうまともな考えの奴がいねぇ……」
アニ「どうしたんだい」
ジャン「ああ、アニか……もう俺は期待しない」
ライナー「エレンが自殺するんだそうだ」
アニ「……ッ!! なんだって?」
エレン「ライナーが言ったとおりだよ。俺、死ぬことにした」
アニ「エレン……! ねえアンタらそれでいいのかい!? 仲間なんだろ!?」
ジャン「!! アニ……! 信じていいのか……?」
アニ「アンタらがそんな奴らだとは思わなかったよ。エレンがこんなこと1人で決めてみんなに話してるってのに、『ハイそうですか?』で終わりなの!?」」
ベルトルト「アニ……」
ライナー「そうだな。アニの言う通りだ」
ユミル「いつもだんまりの癖して、たまにはいいこと言うじゃねえか」
クリスタ「もう、ユミル! そんな言い方しないの! うん、私も反省しないとだね。ごめんなさいエレン」
エレン「いや、俺はそんなつもりじゃ……」
ジャン「おお……みんなの目が覚めていく」
アルミン「気づかせてくれてありがとう、アニ」
ミカサ「私からもお礼を言わせて。アニ、あなたに気づかされるなんて……」
ジャン「ありがとう、アニ、本当にありがとう」
アニ「よしなよ、当たり前のことさ。それじゃ……」
アニ「みんなで一緒に死ぬとしようか」
エレン「おう! ありがとなみんな!」
ジャン「え?」
クリスタ「方法はどうするの?」
アルミン「任せて。僕に考えがあるんだ」
ライナー「流石アルミンだ、こういう時は頼りになる」
ベルトルト「あ、でも痛いのは無しにしてね?」
アニ「変態は黙ってなよ」
ベルトルト「酷い!」
ジャン「待て……待て。おかしいんじゃねえのかおまえら」
クリスタ「あ、サシャとコニーも呼んであげなきゃ!」
アニ「あいつらならさっき2人で自殺するって出て行ったよ」
ジャン「は!?」
エレン「マジかよ! くっそー先越された!」
ユミル「心配しなくてもすぐに会えるだろ。文句なら向こうで言ってやんな」
エレン「それもそうか」
ジャン「なんだよ……なんなんだこれは」
ミカサ「ジャン。あなたはどうするの?」
ジャン「俺は! 俺、俺は……」
脱走兵の所在が確認されました」
キース「そうか」
「エレン・イェーガー、ミカサ・アッカーマン、アルミン・アルレルト、ライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバー、アニ・レオンハート、クリスタ・レンズ、ユミル・XXX、ジャン・キルシュタイン、以上9名の姿がウォールシーナ最南端・トロスト区で目撃されています」
キース「さっさと拘束して連れてこい」
「それが……その、9名共死亡しています」
キース「なんだと!?」
「目撃者の証言によると、全員一斉に壁の外へ向かって飛び降りたとか……」
「更に脱走兵9名とは別に、サシャ・ブラウスとコニー・スプリンガーの死体が訓練場奥の雑木林で発見されました」
キース「……なんということだ。一体どうして……」
「先ほど他の訓練兵に彼らの普段の様子について聞き取り調査を行いました。まだ正確な判断は下せませんが、どうやら集団ノイローゼのような症状が起こっていたそうです」
キース「……そうか。わかった、下がっていいぞ」
「はっ! 教官、今後のことについてお話しを伺いたいのですが……教官? お体の具合でも……」
キース「なんでもない。下がっていいと言ったはずだ。……少し1人にしてくれ」
「……はっ! 失礼しました!」
キース「…………」
キース「……馬鹿なことを」
おしまい
このSSまとめへのコメント
マルコは生きてるんだな!良かった
どうしてこうなった…
※1
何が良かったの?
それな