幼「また僕の家に来るのかい?」
男「駄目か?」
幼「駄目ってワケじゃないが……。テスト前くらい自分の家に直帰したらどうなんだい?」
男「家帰ってもやることないからなー。それこそ安直にエロ方向に走るくらい」
幼「君って奴は……。テスト前なんだからテスト勉強すれば良いだろう?今回は二年生になって初めてのテストだから、範囲も広いし内容も濃いじゃないか」
男「つってもなー、授業聞けば大体の事は分かるから、あんまりテスト前に勉強しないんだよな。やってもそれこそ確認程度だから、すぐ終わっちゃうんだよ」
幼「そういえば君は、昔っからそういう奴だったよな……。いつもいつも勉強してないわーとか言って、本当は陰で猛勉強してるのかと思ってた頃が懐かしいよ」
男「まあ要領だけは良いからな。んじゃあまあ幼の勉強を邪魔しないように、テスト期間くらいは直帰しますかね」
幼「なんだ……、結局来ないのかい?」
男「おや?もしかして来て欲しかったとか?」
幼「そ、それはだな……。そ、そうだ!君がエロに走らないように、仕方なくだ、仕方なく!」
男「仕方なくって……。まあ実際やることないから助かるわ」
幼「とは言っても、僕の家に来たって何も無いよ?君の家ほどゲームの類も無いし、そもそも僕たちが持ってるゲームなんて、昔っからやり尽くしているじゃないか」
男「何言ってんだよ、お前が居るじゃん」
幼「なっ……はぁ?」
男「どうしたんだよ、何かおかしなこと言ったか?」
幼「い、いや、すまない。こうも歯の浮くような台詞を良く言えるもんだと思ってね」
男「何言ってんだ?一人でいるより、お前といた方が楽しいに決まってるじゃねえか」
幼「全く、君って奴は……。これで無意識だってんだから、性質が悪いよ本当……」
男「なんじゃそりゃ。結局俺は行って良いのか?」
幼「あ、ああ、歓迎するよ。どうせなら、退屈ついでに僕に数学を教えて欲しいのだが」
男「構わねえよ。まあ、俺の考え方が幼の参考になるかは怪しいがな」
幼「少なくとも結果は君の方が出ているんだ。聞いてみる価値は、無くは無いだろう?」
男「まあ幼の場合は、頭の良し悪し云々よりも、生真面目さだよなあ」
幼「今流行りの、真面目系馬鹿って奴だな」
男「いや、流行ってはいないと思うが……。っと、そろそろ家だ。んじゃあ着替えてから行くから、幼も準備しといてくれ」
幼「分かった。じゃあまた後で」
男「おう」
男「お邪魔します」
幼「いらっしゃい。待ってたよ」
男「なんだ、玄関で待ってなくても良かったのに」
幼「なに、母が男に用事があるというから、ついでにね」
幼母「やっほー、男君、久し振り!」
男「お久しぶりです、幼母さん。ちょうど良かったです。うちの母親から、届け物を預かってきてるんですよ」
幼母「あら、何かしら。どれどれ……、あら、立派なケーキじゃない」
幼「本当だ、とても美味しそうじゃないか」
男「まあいつもの通り、母が趣味で作ったものなので、良かったら貰って下さい」
母幼「もちろん頂くわ。じゃあ、後で紅茶と一緒に食べましょう」
幼「そうだね、ちょうど小腹も空いて来たし」
男「そんなお構いなく……、で良いのか?っていうか、幼母さんの用事って何だったんですか?」
幼母「ああ、そうそうそうだったわね。これから幼ちゃんの勉強を見てくれるって言うから、お礼に私がイ・イ・コ・トしてあげようかと思って、うふふ」
男「い、良いこと?」ゴクリ
幼「男……、一体何を考えているんだい?」
男「い、いや、別に何も考えてねーですぜ?」
幼「鼻の下、伸びてるよ。あとだらしなくよだれが垂れてる」
男「え、ええおえ?」
幼「はあ……、嘘だよ。やっぱり考えてたんじゃないか」
幼母「うふふ、盛り上がってる所悪いけど、私もいつもの通りの趣味のアロマテラピーよぉ。家族のみんなはもう飽きちゃってるのよ……」
幼「そりゃ、あんなに毎日毎日あの匂いを嗅いでいてはね……。何事も限度があるってことだよ、お母さん」
幼母「私は平気なのになー。ってことで、男君、お願いして良い?」
男「あ、はい。俺で良かったら」
幼母「じゃあ決まりね!後でケーキと紅茶を持っていくから、上がって上がって」
男「あ、はい。じゃあ改めて、お邪魔します」
幼「いらっしゃい。じゃあ僕の部屋に行こうか」
幼母「しっかり勉強するのよ?」
幼「わかってるさ。じゃあ、行こう」
男「はいはい、じゃまあやりますか」
幼「男、この問題はどうしたらいいんだ?」
男「あー、これは定数分離して微分だよ。定番問題じゃねーか」
幼「そうなのか?知らなかったよ。どうやるんだい?」
男「だから、左辺にxだけ集めて、右辺を定数のaだけにして、y=aとy=f(x)のグラフを考えてだな……」
幼「というと、こうやって、こうするのか」
男「そうそう、後は微分してグラフ考えて終わりだよ」
幼「ありがとう、男。やっぱり来て貰って正解だったな」
男「これくらい解けなくてどーするんだよ。もう来年は受験だぞ?」
幼「それは、そうだけど……。お、男は、志望大学とか決まってるのか?」
男「んー、俺?まあ、無難に私立の推薦貰っても良いし、国公立受けても良いし、迷い中」
幼「そ、そうか。レベルとしては、どのくらいなんだ?」
男「まあ、無難に早慶か東大とかじゃね」
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