初春「えっ、ひゃああっ！？」ﾊﾞｯ

男子学生共「おぉぉぉ、ラッキー！」ﾋｭｰ

佐天「おっ、今日は水色に白玉模様かぁ。いいね――」

初春「こ、このぉっ！」ﾊﾞｯ

佐天「・・・え」ﾌﾜ

男子学生共「――お、うおおぉぉぉ！　白のレースだぁ！」

佐天「え、え？　・・・あ、わっ、きゃああああっ！？」ﾊｼｯ

佐天（う、嘘でしょ！？　初春が捲り返してくるなんて///)ｶｧｧ

初春「もぅっ、佐天さんなんて知りませんっ！」ﾌﾟｲｯ

佐天「初春、ねぇってばぁ、お願い！　期限直してっ！　この通り！」ﾊﾟｼｯ

初春「調子いいことばっかり言って、羨ましい性格ですね」ﾌﾟｰ

佐天「わ、わかったわよ。今度喫茶店でパフェ奢るから、ね？」

初春「……ま、まぁ反省しているようですから、許してあげますけど、今回だけですよ！」

佐天（はぁ、びっくりした）

佐天（まっさかあのおとなしい初春がねぇ。完全に油断してたなぁ）

佐天（み、見られるのって結構恥ずかしいんだね///）ﾎﾟ

佐天（仕返ししてきたってことは、結構フラストレーション溜まってたのか）

佐天（しゃあない、しばらく自粛しよう――ん？）

？？？「お待ちください、お姉様ぁ！」

？？？「ええいっ、引っ付くなってのっ！　暑苦しい！」

佐天「あ、御坂さん、白井さん。おはようございます」

御坂「あら、佐天さんに初春さん。偶然ね」ｸﾞｲｸﾞｲ

黒子「もぅ、そんなに照れないでもよろしいですのに」ｽｸｯ

佐天（・・・まだまだ検証の余地があるわね）

佐天（よしっ、この二人にも。まずは白井さんから）

黒子「ところでお姉様。せっかくこうして四人集まったことですし、少し遠出しません？」

御坂「別にいいけど、何かアテはあるの？」

黒子「セブンスミストに行きたいんですの。秋冬用のパジャマを、と思いまして」

御坂「ふーん。まぁこれといって予定もないし、付き合ってあげても」

佐天（・・・えいっ）ｿﾖｿﾖ

黒子「ありがとですの、お姉様。――ところで」

御坂「ん、なに？」

黒子「スカートの後ろに、変な虫がついているようですけれど」

御坂「ひゃっ、嘘！？　どこ！？　黒子取って！」

黒子「もちろんですのっ！」ｻﾜｻﾜ

御坂「やっ、ちょっと！　その触り方くすぐった・・・あっ」

黒子「あまり動かないでくださいな。もう少し、もう少しですの――」

御坂「って、どさくさに紛れてセクハラすんなっ！」ﾊﾞﾁｯ

黒子「あん、もう、お姉さまったら。あ、虫も今ので消えたみたいですの」

御坂「黒子ぉ、あんた近頃すこーしエスカレートしすぎじゃないの？」

黒子「お姉さまこそ、いい加減こんな色気のない短パン穿くのはやめた方がよろしいんじゃありませんの？」ﾋﾗﾋﾗ

御坂「」

黒子「せめてストッキングにした方がよろしいかと。何でしたらわたくしのをお貸しいたしましょうか」

御坂「な、なんであんたがわたしの短パン持ってんのよっ！」ﾊﾞﾁﾊﾞﾁ

黒子「っと」ﾋｭﾝ

御坂「ちょっとっ、黒子っ！　早くそれ返しなさい！」ﾀﾞｯ

黒子「あらあらよろしいんですの？　そんな大股で走ったら通行人の方々にモロ見えですわよ？」ｸｽｸｽ

御坂「ぐっ///」ﾊﾞｯ

御坂「きょ、今日という今日は絶対に許さないわっ！　あんた、帰ったらわかってんでしょうねっ！」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

黒子「あぁ、翻りそうなスカートを懸命に抑えながら走るお姉様の姿。素敵ですの」ｳｯﾄﾘ

御坂「やかましいっ！」ﾋﾞﾘﾋﾞﾘ

初春「・・・・・・」

佐天（いつもと変わりなし、と）ﾒﾓﾒﾓ

御坂「さすがに内股じゃ追いつけないか。ったく、あいついったいどこまで――わっ」

上条「おっと、ああ、御坂じゃねえか」

御坂「・・・へ、へぇ。ようやく人の名前覚えてくれたってわけ？」ﾌﾝ

上条「・・・名前で呼んだところで不機嫌そうなのは変わらないのな」

佐天「・・・はぁ・・・はぁ・・・やっと追いついた」

佐天「あれ、あの男の人って・・・・・・御坂さんの知り合い？」

佐天（なにか話してるみたいだけど、こっからだと）

佐天（そういえば、この能力ってどの程度の距離まで有効なのかな）

佐天（あそこまでだいたい２０ｍってところか。試してみよ）

上条「そういやさ、おまえ恋愛映画とか興味ある？」

御坂「恋愛映画？」

上条「知り合いからペアチケット譲ってもらったんだけど、周りに行きそうなやつが見当たらなくてさ」

御坂「ペ、ペアなんだ。へぇー」ｿﾜｿﾜ

上条「もらったもん捨てるのももったいねえし、よかったらと思って」

御坂「ま、まぁ別に？　それくらいなら付き合ってあげても――っ」ｿﾖｿﾖ

上条「ん、どうした御坂――」

御坂「うっ、嬉しいっ！」ﾀﾞｷｯ

佐天「」

上条「えっ、ちょっ、御坂！？」ﾊﾞｯ

御坂「い、今さら冗談とか言わないよね！？」

上条「も、もちろんそんなことはねえけど」

御坂「ど、どうしよ。あんたと二人きりで映画だなんて、楽しみすぎて今夜、寝られないかも///」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

上条「お、おい、ホントどうしたんだ？　なにか悪いもんでも拾い食いしたのか？」

御坂「そんなわけないでしょ？　あんたってば、もうちょっと察しがよければ言うことなしなのに」ｷﾞｭｳ

上条（う、腕に柔らかいものが当たって///）

佐天「」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

上条「も、もしかしてゴーグル取った御坂妹とか、そういうオチじゃ」

御坂「あ、それひっどーい。わたしだってあの子たち以上にあんたを慕ってるつもりだけど？」ﾆｺ

上条「あ、あるぇ？　な、なんなんですか！？　この万年不幸な上条さんらしかぬラッキーイベントはっ！？」

御坂「ねぇ、それよりいつにする？」

上条「そ、そうだな。おまえの都合も聞いておいた方が」

御坂「わたしならいつでもオッケーだけど？」ﾆｺ

上条「な、ならなるべく早いうちの方がいいかな」

御坂「あ、そうだ！　お弁当とか作ってきた方がいい？」

上条「べ、弁当？」

御坂「うん、先に好きなおかずとか教えといて欲しいな。下ごしらえとかあるし」ﾙﾝ

上条「あ、明日は雪が降るのか？　それともついに天に召されるのか！？」

佐天（こんなに女の子してる御坂さん、初めて見たなぁ）

佐天（白井さんが見たら、発狂するかもねぇ）ｸｽ

初春「さ、佐天さーん。ひどいですよ、わたしだけ置いてきぼりにしてー」ﾊｧﾊｧ

佐天「しぃっ、今いいところなの」ﾎﾞｿﾎﾞｿ

初春「いいところって、なんのことですか？」

御坂「まったく、未だにわたしの気持ちに気づいてないなんて――あ、れ？」

上条「・・・あ、あの、御坂サン？」

御坂「ひゃっ、うわわわわっ！？」ﾊﾞｯ

御坂「な、なんでわたし、あんたに抱きついたりしてっ！？///」ｶｧｧ

佐天（あれ・・・これって、もしかして元に戻った？）

佐天（そういえば初春も・・・、さっきみたいに強くは言ってこない）ﾌﾑ

上条「や、やっと正気に戻ったみたいだな、はは」

御坂「・・・え、えっと、あの、その」ｵﾛｵﾛ

佐天（御坂さんのあの態度からすると、記憶はまんま残ってるみたいね）

上条「あ、あー。映画行く日だけどさ」

御坂「あ、う、うん」

上条「明後日の午後四時に第三学区の映画館前で待ち合わせってことで、いいか？」

御坂「わ、わかった。あんたから誘っといて遅れたりしたら、承知しないんだからね」ﾁﾗ

上条「お、おう」

初春「あ、あれって、御坂さんの彼氏なんでしょうか？」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

佐天「わからないけど、まんざらでもなさそうだったよね」

佐天（しっかし、これはさすがに予想外の展開だったなぁ）ﾁﾗ

佐天（今の持続時間は、三分くらいか。カルキュラムをこなしていれば伸ばせるかな？）

一方通行「ハァ、太陽サンはいったいどんだけ俺を苦しめりゃ気が済むんだァ？」ｼﾞﾘｼﾞﾘ

佐天（・・・えい）ｿﾖｿﾖ

打ち止め「ミサカはミサカは、こんなに天気のいい日はどこかに遊びにいきたいかも、って独り言のような催促をしてみたり！」

一方通行「――しょうがねェな」

打ち止め「え？」

一方通行「涼しいところって条件つきでなら、いいぜ、どこでも連れてってやンよ」

打ち止め「いいの！？　一方通行大好きっ、ってミサカはミサカはコアラみたく首にしがみついてみる！」ｼｯｶﾘ

一方通行「ったく、おまえはいいよなァ。感情をそんな素直に出せてよォ」

打ち止め「で、でもでもっ、ミサカはミサカは一方通行のつれない態度の端々から滲み出る優しさっていうのも個人的にはアリじゃないかなっ、と反論してみたり！」

一方通行「その喋り方だけは時々イラッときてっけどなァ」

打ち止め「」ｶﾞｰﾝ

ステイル「これ、郵パックでお願いします」

局員「は、はい。少々お待ちください」

ステイル「やれやれ、背が高いってのもいいことばかりじゃないな」

神裂「いったいどういう風の吹き回しです？　彼への差し入れなんて」

ステイル「悔しいけどやつには大きな借りがあるからね。立場上、表立ってどうこうするわけにはいかないが」

神裂「そうでしたか、やはり心の底では上条当麻に恩義を」

ステイル「そういうおまえだって人のことは言えないんじゃないか？　やつのために陰で色々と動いてるみたいだし」

神裂「わ、わたしは別に、そのような」ﾌﾟｲ

ステイル（禁書目録を守ろうとする以上、いずれはあの大魔術師と対峙せねばならない日が、来るんだろうね）ｽﾊﾟｰ

神裂「・・・ステイル。あなた今日は何と言うか」

ステイル「ん、なんだい？」

神裂「・・・いいえ、なんでもありません」ﾌｯ

佐天（ふふ、戦闘には使えないけど）

サラリーマン「あの、御婆さんよかったらこちらの席に」

佐天（これも、意外と悪くない能力かもしれないな）

女の子「ご、ごめんね」

男の子「ううん、ぼ、僕の方こそ」

佐天（みんなが素直になれれば、きっと世界も平和になれるよね）

男「というわけでさぁ、今日は仕事でどうしても遅くなりそうなんだよ」ｿﾖｿﾖ

佐天（ふふ、いいことした気分になれるし――）

男「仕方ないだろ、キャバクラ行くってさっきから――えっ」

携帯「！？」ｶﾞﾐｶﾞﾐ

佐天「」

男「え、あ、いや、違、くない。だから○子ちゃんと楽しんで――あっ」ｶﾞﾁｬﾝ

男「あれ、もしもし！？　もしもし！？」ｱﾀﾌﾀ

佐天（――いけない、すっかり遅くなっちゃった）ﾊｯﾊ

佐天（さっきの男の人・・・大丈夫かな。まさか離婚騒ぎなんてことには・・・）ｽﾞｷﾝ

佐天（素直になるってことは、つまり嘘をつけないってことだもんね）

佐天（初春の言う通り、すぐ調子に乗るところがわたしの悪い癖だなぁ）ｺﾂﾝ

佐天（いくら能力者になったからって、こんなんじゃ先行きが―ー）

？？？「というわけなんですよぉ」

佐天（・・・ん、おでん屋さんかぁ。いい匂い）

佐天（最後にあの人たちにも、いや）

佐天（今日はやめとこう。お酒飲むと素直な自分が出るって言うし）

？？？「わかりますー。教師ってのも楽な仕事じゃないですよねー」

佐天「」ｷﾞｸｯ

佐天（や、やばっ、見つかったら補導されるかも）ｻｻｯ

黄泉川「おやっさん、冷酒イッカン」

親父「あいよ」ｻｯ

黄泉川「あんたんところはいいジャン。面白そうな生徒ばかりでさ」ﾄｸﾄｸ

小萌「確かにみんないい子たちですけれど、かぁー、効くーぅ！」ﾌﾟﾊｧ

鉄装「あ、こっちもガンモと大根お願いします」ｻｯ

親父「あいよ」ｻｻｯ

小萌「だからといってー、劣等感を抱いてないわけじゃないんですよ？」

小萌「この前の合同体育祭にしても、彼我の差を見せつけられて数日落ち込んでいましたし」

黄泉川「劣等感大いに結構ジャン。逆に言えば、これからのびしろがあるってことジャン？」

鉄装「あの、黄泉川先生は能力が使える生徒たちが羨ましいなと思ったことは――」

黄泉川「そりゃあるに決まってるジャン」

鉄装「ですよねぇ」

黄泉川「ただ、ま、劣等感ってのは、要は憧れの裏返しジャン？」

鉄装「そう、ですね。わたしたちも今は忘れているだけで、あのくらいの年の時には色々悩んでるはずですよね」

黄泉川「そうそう、悩みってのは毒じゃなくて良薬。苦くも欠かすことのできない栄養素ジャン」

小萌「あ、うまいですねー――親父さん、この間の辛子蓮根ありますか？」

親父「あいよ」

黄泉川「それを捨てさせるんじゃなく、バネにして跳躍しようって意欲を持たせるのがうちらの仕事ジャン」ｴﾍﾝ

鉄装「それが簡単にできれば苦労はしませんよー」ﾊﾟｸｯ

佐天（・・・考えたことなかった。教える人たちもこうやって悩みを打ち明け合って、試行錯誤してるんだ）

親父「辛子蓮根お待ち」ｻｯ

小萌「来た来たー。さぁ、鉄装先生もどうぞ一献」ｻｯ

鉄装「あ、恐れ入ります」ｽｯ