上条「引き寄せの法則?」 (65)
御坂「そう、引き寄せの法則」
御坂「アンタいっつも不幸だーとか言ってるじゃない?」
御坂「『不幸だ』って思うから不幸になんのよ」
上条「今日はやけにスピリチュアルだな…」
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上条「つーかお前たしかそういうの一番信じないタチじゃなかったか?」
御坂「本で読んだのよ」
上条「ゴリゴリの科学脳がそんなんで揺らぐか普通」
御坂「とにかく!その『不幸だ』っていうの直ちにやめなさい」
御坂「不幸だと思わなければ不幸じゃないのよ!」
上条「…靴ひもがほどけてそれにつまずいてゴミ箱に頭からダイブして頭上げたらなぜかしましまおぱんつが目の前にあってそれが御坂妹で公衆の面前で変態と罵られ通行人からは差別の目を向けられそれを目撃したビリビリに電撃翌浴びせられて絶賛生ゴミの燻製みたいな激臭を放つ俺が不幸じゃないとでも?」
御坂「…み、見ようによっては不幸じゃな
上条「ほんとに?」
御坂「…」
御坂「…そ、そう!いつも不幸不幸言ってるから不幸レベルが蓄積されてるのよ!」
上条「謎理論すぎない」
御坂「ぐぬぬ」
御坂「はあ、わかった。アンタは不幸よ」
御坂「じゃあせめて一週間くらい『不幸だ』を言わないで過ごしてみて」
御坂「それで何も変わらなかったら私が…そうね一つだけ何でもいうこと聞いてあげるわ」
上条「な、なんでも…だと」
上条「ということで俺は今日から不幸というワードを封じます」
インデックス「絶対下心しかないんだよ」
上条「誤解するな。ただの生活改善さ」
インデックス「目が汚れてるよとうま」
上条「なっ」
インデックス「というかとうまの災難は大体とうまの自業自得なんだよ!」
上条「ぱんちらとかは不可抗力だろ!」
インデックス「うそだー。絶対自分から見に行ってるんだよ」
上条「公衆の面前で女の子のぱんつを覗きに行くタイプの人間ですか俺は!」
インデックス「えっ、そうでしょ?」
上条「あ、そんな感じかぁ」
インデックス「ていうかとうま」
上条「な、なんです」
インデックス「靴ひもは玄関でしっかり結べばいいし」
インデックス「おんなのこのおぱんつなんて普通に考えたらご褒美なんだよ」
インデックス「外に責任を求める卑屈な思考が一番不幸なんだよ!」
インデックス「とうまは『不幸』に依存しているんだよ!!」
上条「!!!」
上条「インデックス…ありがとう」
上条「目が覚めたよ。これからは不幸と決別するよ」
インデックス「その調子なんだよ」
インデックス「ちなみに引き寄せの法則は魔術と親和性が高いから」
インデックス「とうまの右手が打ち消してしまうかもしれないけどね」
上条「俺は今お前に遊ばれて不幸になったんだが」
次の日
上条「さて、朝飯作るか」
上条「冷蔵庫っと」ガチャ
上条「うそだろ、もやししかねえ」
上条「貯金もカツカツだし」
上条「はぁ、ふこ……おっとっと危ねえ」
インデックス「ふあ、おはようとうま」
上条「おはようインデックス。今日は飯がないから断食ごっこしようぜ」
インデックス「とうま?」
上条「悟りを開けるかも知れない良い機会だ」
インデックス「と う ま ?」
上条「…」
インデックス「あのね、それは引き寄せの法則でもポジティブシンキングでもないんだよ?」
上条「でもね、お坊さんの気持ちをわかってあげるのって大事なことだと思うんだ」
インデックス「とうま」
上条「はい」
インデックス「現実逃避だからそれ」
上条「ですよね。何かがおかしいと思ってました」
インデックス「引き寄せの法則ってのは無理やり思い込むと逆効果なんだよ」
上条「どういうことだ?」
インデックス「引き寄せの法則の本質にあるのは、『似ているモノ同士が引かれ合う』ってことでね」
インデックス「確かに思い込むことは必要だけど、それが『無理やり』じゃいけないの」
上条「自然体ってことか?」
インデックス「そう。引き寄せの法則の一番のキーワードは『感情』だからね」
上条「ほう…深いな」
上条「もっと教えてくれインデックス!」
インデックス「もーしょうがないなあとうまは。この迷える子羊めっ」
上条「(^_^)?」
インデックス「でもその前に朝ごはんがないと始まらないよね」
上条「…」
インデックス「朝ごはんは?とうま」
上条「もやしor断食?」
インデックス「とうまあああああ!!」ガブッ
上条「ふこ…理不尽だああああ!!」
御坂「(形容しがたいゲコ太のマーチ)♪」スキップ
御坂「あら?やけにデカイ雑巾かと思ったらアンタたち」
上条「…よう」
インデックス「カモカモ」
御坂「こんなところでシナシナになってどうしたのよ」
上条「…食べたい」
御坂「え?」
上条「御坂、食べたい」
御坂「ええっ、ちょっと!?」
インデックス「短髪、私も食べさせて」
御坂「え、ええ!?」
上条「なんでもいいんだ、食い物をくれ。このままじゃ野たれ死ぬ」
御坂「……なんだ食べ物のことか。ビックリしたー」
上条「なんだと思ったんだよ」
御坂「聞くな!」ビリビリッ
上条「うわっ!?」右手
上条「…ちくせう、はぁ、ふこ…、理不尽だ…」
御坂「お?不幸って言わなくなってる」
上条「一応実践してるぞ」
上条「でもやっぱ俺の不幸って俺の問題じゃない気が
インデックス御坂「「気のせいよ」なんだよ」
御坂「まだ本心では不幸だって思ってるからダメなのよ」
上条「そういってもなあ」
御坂「ほら、能力のカリキュラムでも思い込みが大事って言ってたでしょ?それと同じようなもんよ」
上条「あーお前レベル0に対して能力の使い方を例えに出すか。そういうとこ敏感だぞ俺たち」
御坂「しゃあないでしょ、私は分かりやすいんだから」
上条「うわっ、レベル5の悪いとこ出たよこれ」
御坂「さすがに敏感すぎない?」
御坂「いいから聞いて」
上条「おう」
御坂「要するに、もう、私は幸せだーってナチュラルに思い込むのよ」
上条「それっていわゆるポジティブシンキングとは違うのか?」
御坂「大体同じだけど、一番大きな違いはプラスだけ抱えてるかプラスもマイナスも抱えてるかってとこね」
上条「どういうことだ??」
御坂「今のアンタみたいにホントは不幸だと思いながら無理くり前向きに考えてるのがダメってこと」
御坂「純粋に心から、あー幸せ、って思うくらいじゃないといけないのよ」
上条「うーん」
インデックス「願いは届く、とかとは違って」
インデックス「幸せな気持ちでいたらそれにつられてほんとに幸せな出来事が起きるってことなんだよ」
上条「うーん、いまいちピンとこないな」
上条「とりあえず俺は脳内お花畑になればいいってことか?」
御坂「…うう、もうそれでいいわ」
御坂「あともう一つ大事なことがあったわ」
御坂「具体的なビジョンを持つことを大事らしいわよ」
上条「ビジョン?」
御坂「例えば『お菓子食べれたら幸せだろうなー』っていう具合に幸せな気持ちになるのよ」
インデックス「幸せの理由も用意しとくってことだね」
御坂「それを踏まえて、ホラ」
上条「今やれってか」
上条「うーん、そうだなー」
上条「…」
上条「…」
上条「…」
御坂「どう?」
上条「…」
上条「…!」
上条「…」腹<ぐぅ
上条「腹減った」
御坂「そういえばアンタたちお腹空いてるんだったわね」
インデックス「そういえばそうだったんだよ」
御坂「仕方ない、あそこのホットドッグ奢るわよ」
上条「かたじけない」
御坂「こ、これっきりなんだからねっ!」チャリーン
上条「身にしみるぜ」ムシャムシャ
インデックス「生き返るんだよ」ガツガツ
御坂「そんなんになる前にまずは貯蓄しなさいよ」
上条「しないんじゃないできないんだ」
インデックス「とうまは甲斐性なしなんだよ」
上条「なんだと穀潰しすたー」
御坂「喧嘩しないで」
上条「ふーうまかった」ゲプー
インデックス「ごちそうさまです」ゲッフ
御坂「感謝しなさいよね」
上条「もちろんですとも。これでモンスターが目覚めずに済んだ」
インデックス「モンスター?」
上条「なんでもない」
御坂「まあ、何はともあれ引き寄せの法則、試してみてよね」
上条「おうやってみるよ」
その日の夜
インデックス「そういえばとうま、昼間コツ聞いたあと何を想像したの?」
上条「んー?なんだっけなー。腹減ってたからそんなに頭働かなかったけど…」
上条「…今思えば食いモン食ったあとの幸福感を想像して腹鳴ったのかも」
インデックス「おお…!」
上条「…あれ?これが引き寄せの法則ってこと?」
インデックス「とうま。イケるかも」
上条「俺が不幸じゃないとか宇宙の法則が乱れる」
さらに次の日
ハッピー上条「信号の向こうに行けるんだろうなぁワクワク」
ハッピー上条「( ^-^)」
ハッピー上条「(^-^ )」
ハッピー上条「渡ろう」
ハッピー上条「渡れた」
ハッピー上条「引き寄せの法則ってすげえ!」
一方通行「ちょっと待って」
ハッピー上条「あれ、一方通行じゃねーか」
一方通行「あれ、じゃねェ。なンだ今の」
ハッピー上条「なんだ、って横断歩道渡っただけだろ」
一方通行「そこじゃねェ」
一方通行「お前が満面の笑顔で道歩いてるとか何の天変地異だコラ」
ハッピー上条「なにそれひどくない?でも許す」
一方通行「不幸だけが取り柄だったはずだろ。ついにイカれたのか?」
ハッピー上条「いーや俺は生まれ変わったのさ!」
ハッピー上条「引き寄せの法則のお陰で俺は幸福感に満ち満ちてるんだ!」
一方通行「(イラッ)」ベクトルパンチ
上条「げぼあっ!?あぁ俺のハッピーが」ノL-、\。,、
一方通行「大体引き寄せの法則はそういう事じゃねェだろォが!」
上条「でも具体的に幸せで、それが現実になってたぞ?」
一方通行「バカだろ。あンなのはこじ付けと自己満足だ」
一方通行「引き寄せの法則って確か『思考の具現化』ってのとセットだったろ」
一方通行「横断歩道はお前が思考する前から既に渡れるのが決まってるだろォが」
上条「う…難しい話か…?」
一方通行「こンなのに負けたのか俺は」
一方通行「つーかお前にその術は似合わないんじゃねェのか」
上条「俺には幸せは勿体無いってか!ひどい!」
一方通行「ちげェよバカ。お前、確か不幸に巻き込まれるお陰で人助けができるとか言ってただろ」
上条「え?なんで知ってるんだ?」
一方通行「あ?いや、…それはともかくだ」
上条「なに、はぐらかされたんだけど。コワイ」
一方通行「お前がヒーローたる所以は、自らが不幸に落ちる事で他の不幸な人のそばに立てるところじゃねェのか?」
上条「すげえなお前。でもさ、そこまで理解していて…」
上条「何で俺が幸せになりたいって気持ちがわかんねーんだよ!!」
一方通行「俺のヒーローはこンな奴じゃないはずなンだがなァ」
上条「どうすりゃいいのさ!!」
一方通行「お前、そォいう意味で自分が不幸なのが誇りなンじゃなかったのか…?」
上条「ああ、そうだよ!でも俺も救われたっていいだろ…!」
一方通行「ヒーロー…」
上条「…」
一方通行「…」
上条「…」
一方通行「…?」
上条「…事の発端はそういう話じゃなかったわ」
一方通行「…な
最後誤送信してしまったのでそこから続けます
一方通行「…なンだったンだよさっきのシリアスな感じは」
上条「もともとは御坂が俺に『引き寄せの法則』を教えてきたのが発端なんだよなぁ」
一方通行「…オリジナルか。三下が。通りでお前がめちゃめちゃな理論を振りかざしてる訳だ」
上条「トゲがあるなぁ。じゃあお前はちゃんとした理論ってのを知ってるのかよ?」
一方通行「わかるわけねェだろ。あんな非科学的なモン」
上条「なんなんだよ」
一方通行「ただ最近それ関係の漫画が少年誌で連載されてるらしい。それが流行ってるらしくてな…ほら」袋スッ
上条「その少年誌がそれか。それお前が読むのか?」
一方通行「ンなワケねェだろ。打ち止めのヤツに買ってこいって言われてンだよ」
上条「ふーん。……って、あれ」
一方通行「なンだ?」
上条「…それってさ、コンビニとかでも売ってるやつだよな?」
一方通行「あァ。割とどこでも買えるとは思うが」
上条(あるぇー?御坂さんの言ってた本ってその漫画の事なんじゃねえ?)
上条「ちなみにその漫画なんだが、どういうジャンルなんだ?」
一方通行「俺が知るか。自分で確かめろホラ」ぽいっ
上条「キャッチ。どれ。………」
上条「………」
上条「…ゴリッゴリの少年バトル漫画じゃねーかっ!!!!」
一方通行「うるせェ」キ-ン
上条「あんのビリビリ中学生、啓発本ですらないこんな少年バトル漫画で覚えた話をふっかけやがったのか!!」
上条「しかも何気なく会話に出てきた『不幸レベル』までちゃんと漫画の中の設定の一つだし…」
上条「やってられるか!俺は帰る!じゃあな一方通行!」
一方通行「なっ、オイ!」
スタスタ…
一方通行「せめて少年誌返せよ…」
インデックス「あ、おかえりとうま。ってどうしたのそんなに怒って」
上条「…インデックス、俺は御坂のヤツに一杯食わされてたようだ」
インデックス「ホワイ?」
上条「見ろ、この少年誌の52ページにある漫画を!」
上条(あれ、返すの忘れてた。まあいいか)
インデックス「え、うん。……ふむ、興味深い漫画だね。『引き寄せの法則』をバトル漫画の設定として昇華させてるんだ」
上条「恐らく御坂はこの漫画をコンビニで立ち読みし!」
上条「そのザルな情報で俺を『ザル引き寄せの法則』でがんじがらめにしようとしてたんだ!」
インデックス「いや、短髪の言ってたっていう本がこれとは限らないじゃん」
上条「え、でもあいつすげー立ち読みするから可能性は高いぞ」
インデックス「本人に聞いたの?」
上条「いや…」
インデックス「とうま。その少年誌を持ち主に返して、今日はもう寝なさい。それと短髪にちゃんと確認を取ること」
上条「はい…。ってなんでこれが俺のじゃないってわかったんだ?」
インデックス「だってそんな贅沢品が買えるお金なんてウチにないでしょ」
上条「あ、そうっスよね…」
一方通行に少年誌を返して寝た次の日。
上条「じゃあ結局のところ立ち読みの知識だったんだな」
御坂「そうよ、漫画の設定に興奮してつい…」
上条「そうか。科学脳な御坂が何で急にスピリチュアルに目覚めたんだと思ってたけど」
上条「最初からフィクションだって思ってるからすんなり受け入れられたって訳だな」
御坂「ごめんなさい。全部私の自己満足だったのよ」
上条「いいや、いいんだ。それでも俺のことを思ってやってくれたことだろ?」
御坂「そ、それはそうよ!いつも『不幸だー』って言ってるから見兼ねて…」
上条「ああわかってる。だから俺はこの『引き寄せの法則』を残り5日間続けてみるよ」
御坂「アンタ…」
上条「漫画知識とはいえ、御坂が俺のことを思って提案してくれたんだ。やり遂げてみせるよ」
インデックス「いや、絶対終わった後に何でもいうこと聞かせるためでしょ」
上条「し、心外だなぁインデックス。俺は御坂の気持ちに応えてだなぁ」
インデックス「不潔なんだよ」
上条「くっ。み、御坂さんはわかってくれますよね?」
御坂「…確かに私は一週間経って何も変わらなかったら何でもいうこと聞くって言ったけど…」
御坂「アンタ、私に何するつもりだったのよ…」
上条「んがー!お前もかー!」
インデックス「でもね、とうま」
上条「なんだよ」
インデックス「少しでもいやらしい考えはよぎら無かったって胸を張って言える?」
上条「そんなの…健全な男子高校生にしちゃダメじゃん…」
御坂「アウト」
インデックス「アウト」
上条「じゃあその約束ももういらねえ!俺は『引き寄せの法則』を俺一人でマスターしてやる!」
御坂「え?約束いらないの?」
上条「ああ、だから5日後まで待ってろ!」
インデックス「とうまだけじゃ無理なんだよ!あんなに説明してもピンと来てなかったじゃん!」
上条「いいや、やって見せるさ。5日後、俺は『幸せだー』と叫んでいるはずだ」
御坂「どうする白いの」
インデックス「こう言ってるし任せてみるんだよ」
上条「じゃあな…」
インデックス「とうま…。背中に哀しみの色が浮かんでるんだよ…」
御坂「ゆーても意地張ってるだけでしょ」
次の日…
また次の日と…
数々のトレーニングをこなした…
そして、ついに5日後…
上条「…」自分の右手を握りしめる
上条「わかったよ」
上条「『引き寄せの法則』の真理が」
上条宅
インデックス「あっ、おかえりとうま」
上条「ああ、ただいま」
インデックス「身についたの?『引き寄せの法則』は」
上条「ああ。でも正確には……、いやこれは御坂も加わってからにしよう」
とある公園
御坂「久しぶりね。なんか雰囲気落ち着いたんじゃない?
上条「そうか?まあとりあえずわかったことを話したいから呼びだしたんだけどさ」
御坂「待ってたわ。聞かせてちょうだい」
上条「ああ。さっきインデックスには言いかけたんだけど」
上条「身についた。でも正確には身につけるなんて大仰なもんじゃなかったよ」
御坂「どういう事?考え方って意味では身につけるっていう表現も当たりじゃないの?」
上条「考え方でも心構えでも、何でも無かったって事さ。わかってしまえばなんてことない事だよ」
御坂「考え方でも心構えでもない…?」
インデックス「偶像の理論みたいにある条件下で成るべくして成るってこと?」
上条「いや違う。もっと…そう、普遍的なものだ」
上条「要するに、『引き寄せの法則』はその名の通り万有引力みたいに自然に起こる外の現象のことだ」
上条「この際、万有引力は例えだからその引力の原理は?っては無視してくれ」
御坂「現象なの?それならまあ考え方とか心構えは必要ないけど…」
上条「現象っていうのも正確にははばかられるけど…、ともかく」
上条「俺らは普段、足に力を入れて踏ん張って立ってるけど、力を抜いたら自分の意思とは関係なく『移動する』だろ?」
インデックス「そこは『引き寄せられる』じゃないのは意味があるの?」
上条「俯瞰で見たらそうかも知れない。でもこの話の場合、一人称だから『移動する』って表現になるってだけだ」
御坂「己自身の話だから、外部で自然に起きてる引力を視野に入れること自体に意味はないってことね」
上条「そうだ。あくまで例えだし、ここで言いたい事は『力を入れると行動になる』と『力を抜いても意図せず行動する』の二つだ」
上条「そしてそれらはプラスとマイナスの相反する『流れ』とも言える」
上条「それを踏まえた上で、お前らが言ってた『引き寄せの法則』のズレてるところを指摘するぞ」
インデックス「ズレてるところ?」
上条「まずはインデックスの『似ているモノ同士が引かれ合う』っていうのとキーワードだって言っていた『感情』だ」
上条「『似ているモノ同士が引かれ合う』はちょっと違う。似ているというより『同じ流れに乗ったモノ同士が引かれ合う』んだ」
上条「『力を入れると行動になる』はいわば緊張だ。もとある流れを無視して能動的に行動を選択する状態だ」
上条「対して『力を抜いても意図せず行動になる』はいわば脱力。もとある流れに身を任せて受動的に行動を選択する状態だ」
上条「このどちらかの流れに乗った同士が引かれ合う。そして意思力を持つかどうかだから緊張は良くも悪くも必然的な結果が訪れやすく、脱力は良くも悪くも偶然的な結果が訪れやすい」
上条「さっき例えた通り、俺たちにとって緊張は一番普段に近い状態だ。何かをしたい、どうにかしないとって気持ちが緊張に繋がる。そこから息抜きや絶望して力を抜くと脱力になる」
上条「だから『感情』は的を得ている。ただし『似ているモノ同士』ってのはちょっとズレてるんだ」
インデックス「ふむ…」
上条「次は御坂の言っていた『具体的なイメージを持つ』と実現するっていう話についてだ」
御坂「聞きましょう」
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