モバP「あじさい通り」 (49)
P「ふぅ……」
P(あの様子だと恐らく駄目だろうな……)
P「この仕事も取れなかったか……」
P(このアイドルブームの中で仕事を取るのも簡単じゃ無い)
P(知名度がないままでの営業がこんなに難しいなんてな……)
P「って、俺がこんな事考えててどうすんだ!」
P(俺がスカウトしてきたんだぞ……)
P(トップアイドルになれるって信じて来てくれたんだ、絶対に売れっ子にしてやらないと……)
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ザァァァァ
P「やばっ……雨だ……」
P(折り畳み傘、持ってきたっけな)
ガサゴソ
P「無いか……」
P「…………」
P「まぁ、事務所までそんなに距離も無いし大丈夫だろう」
P(走って帰ろう……)
------ 事務所
ポタポタ
P「思った以上に濡れたな……」
浜口あやめ「P殿! お疲れ様です!」
P「あれ? あやめ一人なのか」
あやめ「えぇ、今はわたくし一人ですよ」
あやめ「それよりどうしたのですか? ずぶ濡れじゃありませんか!」
P「あぁ、傘を持っていくのを忘れてな……」
あやめ「少々お待ち下さい……これをどうぞ!」
P「それはあやめのタオルじゃないのか?」
あやめ「今日はもう使う予定は無いので、P殿さえ良ければお使いください!」
P「……すまない、借りるよ」
P「にしても、今日は急に降ってきたな」
あやめ「今は梅雨なので天気予報はあてになりませんね」
P「あやめは大丈夫なのか?」
あやめ「わたくしはこの正宗があるので大丈夫ですよ」
P「いつも持ってるよな、その傘」
あやめ「雨が降らなくとも持ち歩きたいです。手に馴染むようですよ!」
P「ははっ、よほど気に入ってるんだな」
あやめ「お土産として買った傘なのですが、わたくしにとっては大事なものですから」
P「そうなのか」
あやめ「P殿は今日はどちらへ行かれていたのですか?」
P「今日は営業だな、あやめの仕事の話をしに行ってきたんだよ」
あやめ「おぉ、そうなのですか! いつもお疲れ様です!」
P「これが俺の仕事だからな」
あやめ「わたくしもP殿に負けないようにしゅぎょ……レッスンをしないといけませんね!」
P「…………」
あやめ「どうかされたのですか?」
P「……いや、何でも無いよ」
P(こんな調子でもう1か月か……未だに仕事を1件も取れないなんて……)
P「あやめ」
あやめ「はい! なんでしょうか?」
P「……アイドルは楽しいか?」
あやめ「えぇ、もちろんですよ!」
P「そっか……」
あやめ「P殿、何やら元気が無いですね。何かあったのですか?」
P「いや、毎日レッスンばかりで退屈しているのかなと思ってさ」
あやめ「あぁ、言われてみればそうですね」
P「すまないな、そろそろ仕事の一つでもさせてやりたいんだけど」
あやめ「何を謝る事がありますか!」
あやめ「P殿はいつもわたくしのために頑張ってくれているではありませんか!」
P「そ、そうか……」
あやめ「胸を張って下さい! 主は堂々としていなければいけませんよ?」
P「……そうだな、少し弱気になっていたよ!」
あやめ「ふふっ、それでこそです!」
P(……とは言え、このまま所かまわず営業していても埒があかないな)
あやめ「…………」
P(いっその事、手法を変えてみるか? だとしたらどうすべきかな)
あやめ「隙ありっ!」
ポスッ
P「ん?」
あやめ「P殿、油断は禁物ですよ。ふふっ……ニンッ!」
P「真正面から面を取られるなんてな……、そんなボーっとしてたか?」
あやめ「えぇ、今のP殿は隙だらけでしたよ」
P「すまん、ちょっと考え事してたよ」
あやめ「ふふっ、でもちゃんとわたくしが見ていますので、気を抜いててもかまいませんよ」
あやめ「それにしても今日のP殿は何だか疲れた顔をしていますね」
P「そうか?」
あやめ「えぇ、わたくしがそう思っただけですが」
P「……まぁ、ちょっとな」
あやめ「……P殿、少し休まれてはいかがですか?」
P「そうはいかないよ、今は大事な時期だ」
あやめ「うーん、どうしてもですか?」
P「そうだな、でも一段落ついたら休みはちゃんと取るよ」
あやめ「…………」
P(プロデューサーとしてあやめに何もしてやれて無いのに休むわけにもいかないしな……)
あやめ「ではP殿、一つわたくしのお願いを聞いて頂けますでしょうか?」
P「あやめからそんな事言うなんて珍しいな、何かあるのか?」
あやめ「わたくし、明日は学校から直接事務所に行こうと思っております」
P「あぁ、いつも一回家に帰ってるんだったっけ」
あやめ「そこで、P殿に迎えに来てもらいたいなと思うのですが……」
P「……迎えに?」
あやめ「えぇ……駄目でしょうか?」
P「いや、別にかまわないけど」
P(明日はどこかに出かける予定も無いから大丈夫か……)
あやめ「ふふっ、それであれば是非ともお願い致します!」
P「わかった、下校時刻には待っているようにするよ」
あやめ「それと車では無く歩きで来て欲しいのです」
P「歩きだったら迎えに行く意味が無くないか?」
あやめ「たまには一緒に歩いて事務所に向かうのも良いものですよ!」
P「うーん……わかったよ」
あやめ「ではお待ちしておりますね!」
P「あぁ、雨が降らなきゃ良いんだけどな……」
あやめ「ふふっ、明日は楽しみな事が一つできました!」
------ ……翌日
ザァァァァ
P「で、結局降ってきたな……」
あやめ「今日は予報も雨でしたからね」
P「このところ毎日だから参ったよ」
あやめ「P殿、雨では気分が晴れませんか?」
P「雨はあんまり好きじゃないからな」
あやめ「わたくしはこの日を待ちわびておりました!」
P「そうなのか?」
あやめ「P殿の前でようやくあやめ秘蔵の名刀正宗を抜く時が来たのですから!」
あやめ「自慢の刃で雨粒すらなんのその!」
P「ははっ、相変わらず元気だな」
あやめ「P殿、ささ、わたくしの正宗に!」
P「今日は俺も傘を持ってるから大丈夫だよ」
あやめ「主を守るのも忍びの役目です!」
P「……わかったよ、じゃあちょっとお邪魔するかな」
あやめ「たとえ雨が降っても正宗とP殿がいれば、なんの!」
P「その体制、しんどくないか?」
あやめ「これくらいは問題ありません!」
P「俺とあやめじゃ身長差があるからな……腕が疲れるだろ」
あやめ「うーん、そう言われればそうなのですが……」
P「やっぱり俺も傘を差すよ」
あやめ「いえ、そういうわけにはいきません!」
P「……じゃあ、俺が傘を持とうか?」
あやめ「良いのですか?」
P「あやめが良ければだけどな」
あやめ「ふふっ、P殿になら、わたくしの正宗を預けても安心です!」
P「あやめはいつもこの道を通ってるのか?」
あやめ「えぇ、ここはこの時期、紫陽花がとても美しいですから!」
P「確かに、昨日は走って通ったから全然見れなかったけど……」
あやめ「この時期にしか見れないとっておきの眺めですよ!」
P(最近はこうしてゆっくりする事はあんまりなかったな……)
あやめ「たまにはこうしてゆっくり歩くのも良いものではありませんか?」
P「なんか気を使われてる?」
あやめ「さぁ、どうでしょうか? わたくしはそう言う難しい事はよくわかりません」
P「なかなか上手い事言うな……」
あやめ「でもP殿とこうして一緒に事務所に向かえる事をわたくしは嬉しく思います!」
P「そういや一緒に事務所に行くのは初めてだったな」
あやめ「P殿は今日は外に出られるのですか?」
P「今日は出ない、事務所でちょっと資料整理をしようと思ってるよ」
あやめ「そうなのですか、雨ですからその方が良いのかもしれませんね」
P「また明日から営業に行こうと思ってるから、そのために色々調べとかないと」
あやめ「P殿は誠に働き者ですね、わたくし頭が上がりません!」
P「にしてもあやめの制服って珍しいな」
あやめ「これは世を忍ぶ仮の姿です♪」
P「学生なんだから別に制服着てても仮の姿でも何でもないと思うけど……」
あやめ「アイドルであり、学生、そして本当の姿は闇に生きる忍び!」
あやめ「これぞあやめ、七変化! いかがでしょうか?」
P「闇に生きる忍びね……」
あやめ「そうです、もちろん忍者としてアイドルとして日々鍛錬はかかしておりません」
P「忍者に憧れてるのは知ってるけど、ちゃんと訓練もしてるのはたまげたよ」
あやめ「いざという時には主であるP殿をお守りしないといけませんからね」
P「俺守られていたの?」
あやめ「わたくしはP殿の影。いつでもそばでお守りします!」
P「多分、そういう危険は無いから大丈夫だと思うけど……」
P「……本音はあやめには優秀なプロデューサーをつけてあげたかったけどな」
あやめ「…………」
P「俺がプロデュースするのはあやめが初めてだからな。他に担当しているアイドルもいないし」
P「俺自身が毎日手探り状態なのにつきあわせてしまって申し訳ないな」
あやめ「良いではありませんか」
P「良いのか?」
あやめ「わたくしも新人アイドルなのですから、共に精進して行けばそれで良いと思います!」
P「…………」
あやめ「……ここはまだ道の途中ですよね、P殿!」
P「……あぁ、まだまだこれからだよ」
あやめ「ならば共に行きましょう! あやめはP殿に、どこまでもお仕えいたします!」
P「そうだな、一緒に頑張って行こう!」
P「でも俺ってそこまでされるほどあやめに何かしたっけ?」
あやめ「わたくしにとってP殿との出会いはそれだけ衝撃的だったのですよ」
P「衝撃的か……」
あやめ「……逆にP殿は何故わたくしをアイドルにスカウトしてくれたのですか?」
P「んー、何だろうな。担当アイドル決めろって言われて」
P「色々考えたけどどうにもしっくり来なくて、それであやめに出会って」
P「この子だ!って思ったからかな……きっと、トップアイドルになれるって思ってさ」
あやめ「ふふっ、それならわたくしも一緒ですよ!」
P「一緒?」
あやめ「そうです、日々変わらぬ日常を過ごしてきて」
あやめ「そうした中でP殿に出会い、新たな世界を見る事ができました」
あやめ「わたくしにとって主はこの世界に連れて来て頂いたP殿をおいて他におりません」
あやめ「アイドルの舞台とは常に戦場に立つがごとし。ですがP殿と共にあれば、戦い続けることが出来そうです!」
P「そっか……そう思ってくれててよかった」
P「着いたか」
あやめ「P殿、本日はいかがでしたでしょうか?」
P「え、どういうこと?」
あやめ「わたくしはP殿にお世話になってばかりで何もしてあげられていません」
P「…………」
あやめ「主であるP殿が暗い顔をしているのはとても辛いのです」
あやめ「なので、少しでもP殿の気分が晴れるようにとお誘いしてみたのですが……」
P「そういうわけだったのか……」
あやめ「お気に……召しませんでしたでしょうか?」
P「そんなわけないだろ、充分だよ。ありがとうな、あやめ!」
あやめ「ふふっ、やはりP殿は元気な方が似合っております!」
P(なんかあやめには励まされてばっかりだな……)
------ ……数日後 事務所
P「…………」
P(張り切って営業に出たものの成果は変わらずか……)
P「どうにも問い詰められると弱いんだよな……」
P「はぁ……俺って無能だな……」
ガチャッ
あやめ「お疲れ様です!」
P「お疲れ様、あやめ」
あやめ「今日はP殿一人なのですか?」
P「あぁ、他のみんなは仕事に出ているよ」
あやめ「なるほど、そうなのですか」
あやめ「P殿も今日は外出されるのですか?」
P「…………」
P(どうすりゃいいんだ……)
あやめ「どうかしましたか?」
P「い、いや、しばらくしたら出るつもりだよ!」
P「最近は営業のコツってものが少しづつわかり始めてきたし仕事が取れるのももうすぐだ!」
あやめ「おぉ、そうなのですか! 流石はP殿です!」
P(本当は何も変わっちゃいないのに嘘ついてしまった……)
あやめ「ニンニン! あやめもいつでもお仕事できるようしっかりと準備しておきます!」
P「そ、そうか……」
ザァァァァ
あやめ「このところ毎日雨ですね」
P「梅雨とは言え少し降りすぎだな」
あやめ「…………」
P「…………」
あやめ「やはりP殿は晴れている方がお好きでしょうか?」
P「やっぱり晴れの方が気分も良いから」
あやめ「わたくしはどちらでも好きですよ」
P「前にもそんな事言ってたっけ」
あやめ「えぇ、晴れの日もあれば雨の日もある。それくらいが丁度良いと思います」
P「早いとこ晴れて欲しいもんだよ」
あやめ「いつかきっと晴れますよ! 案外、明日かもしれませんよ?」
P「そうだな……」
------ ……翌日 客先
ザァァァァ
P「…………」
P(ここも駄目だったか……)
P「次は○○駅前か」
P(こんな調子じゃ難しいな……)
あやめ「P殿〜!」
P「あやめ! どうしたんだ?」
あやめ「どうしたもこうしたもありませんよ」
P「今日はオフだったはずだぞ?」
あやめ「以前、P殿に迎えに来て頂いたので、本日はわたくしがお迎えにあがりました!」
P「…………」
あやめ「ささっ、次なる仕事場が呼んでおります!」
あやめ「わたくしもお付き合い致しますので、共に参りましょう!」
P「……わかった、一緒に行こうか」
あやめ「次の目的地までは遠いのでしょうか?」
P「いや、電車で行くからすぐだよ」
あやめ「歩いて行くとどれくらいかかるのでしょうか?」
P「30分くらいかな……約束は1時間後だから余裕はあるけど」
あやめ「なるほど……では歩きで参りましょうか!」
P「雨降ってるのに歩きはまずくないか?」
あやめ「すみません、これはただのわたくしのわがままなのです……」
P(まぁ、そんなに降ってないからスーツが汚れる事も無いか……)
あやめ「…………」
P「……わかった、歩きで行こうか」
あやめ「は、はいっ! P殿が濡れぬようわたくしがしっかりとお守りします!」
P「あやめは何で俺の行き先を知っていたんだ?」
あやめ「それは昨日事務所に書いてあるのを拝見したからですよ」
P「あぁ、言われてみればそうだったな……」
P(ちゃんと書いとかないと多すぎて忘れるからな)
あやめ「今日も多くの場所を回るのですね?」
P「ん? そうだな、こういうのは数打って行かないといけないからな」
あやめ「わたくしも今日は一日お付き合い致します! 張り切って行きましょう!」
P「オフだからゆっくりと休んでいた方が良くないか?」
あやめ「わたくしの事なのにP殿にばかり負担をかけるわけにはいきませんから!」
P「って言っても、これが俺の仕事だけど」
あやめ「わたくしがそうしたいと思ったのでかまいませんよ」
P「そっか」
あやめ「P殿、次の営業先への自信はいかほどでしょうか?」
P「……大丈夫さ、きっと」
あやめ「P殿……わたくしはP殿に隠し事は致しません」
P「…………」
あやめ「それはP殿を主として本当に信頼していればこそできる事なのです」
P「…………」
あやめ「……P殿はわたくしの事を信じてくれておりませんのでしょうか?」
P「そ、そんなことないだろ!」
あやめ「であれば、本音で語って頂けませんでしょうか?」
P「……正直、自信は無いよ」
P「毎日、毎日、営業に出てるけど結果は駄目で」
あやめ「…………」
P「コツは掴めてきたって言ったけど、結局何も変わっちゃいないさ」
あやめ「ふふっ、そうですか」
P「……すまないな」
あやめ「謝ることなど何もありません」
あやめ「P殿はわたくしのために毎日、毎日、営業をしてくれているのでしょう」
P「でも、結果がでなけりゃ何の意味も無いさ」
あやめ「それはわたくしの事を信じてくれているからこそだと思います」
P「……信じて?」
あやめ「えぇ、でなければ自信も無いのに営業を続けるなんて事はできませんでしょうから」
あやめ「わたくしは急ぎません。P殿がいてくれるなら、必ずトップアイドルになれると思いますから」
P「…………」
あやめ「やはりP殿こそ、わたくしの主に相応しい最高のプロデューサーです!」
ナデナデ
あやめ「……どうしたのですか?」
P「……次の仕事、絶対取るぞ!」
あやめ「もちろんです! 行きましょう! P殿!」
P(俺だって何も考えずに失敗してきたわけじゃないんだ……)
あやめ「どんなお仕事も颯爽とこなしますよ!」
P(自信を持て、あやめは素晴らしいアイドルじゃないか)
------ 客先
P「よし、そろそろ行ってくるとするか!」
あやめ「頑張ってきて下さい、P殿! わたくしはここでお待ちしております!」
P「あぁ、バシッと決めてくるよ!」
あやめ「ふふっ、その意気です!」
あやめ「そうだ! P殿、これをお持ち下さい」
P「クナイって、普段からこんなの持ち歩いてるのか……?」
あやめ「えぇ、まぁ本物では無いですが常に携帯はしてますよ」
P「でも、そういう戦いとかはしないつもりだけど」
あやめ「違いますよ、わたくしも居ますというお守りみたいなものです!」
P「なるほどな……」
あやめ「P殿、わたくしはP殿ならできると信じております」
P「……わかった、行ってくるよ」
------
P「…………」
あやめ「お疲れ様です、P殿!」
P「ただいま、終わったよ」
あやめ「……どうでしたか?」
P「…………」
あやめ「…………」
P「上手くいった」
あやめ「えっ?」
P「今までに無いくらい良い雰囲気だったよ! これなら希望が持てる!」
あやめ「お、おめでとうございますP殿!」
P「あやめのおかげだよ! あやめのおかげで自信を持って話せた!」
あやめ「わたくしは何もしておりませんよ、それはP殿の実力です!」
P「だったら二人で頑張ったって事でどうだ?」
あやめ「ふふっ、そうですね!」
------ ……数日後 学校
キーン コーン カーン コーン
あやめ(終わった……)
あやめ「今日は直接事務所に向かおうかな……」
あやめ(今日の予定はレッスン……)
あやめ(早くP殿を安心させられるようわたくしも頑張らないと)
ザァァァァァ
あやめ「今日も雨か……」
------ 校門
P「…………」
あやめ「P、P殿? どうなされたのですか?」
P「雨降ってるから迎えに来た」
あやめ「は、はぁ……」
P「ま、いつも仕事ばっかりでこうしてあやめに気を使ってあげられなかったしな」
あやめ「そんなことはありませんよ!」
P「にしても、気の抜けたあやめって普通の女の子と全然変わらないな」
P「いつもはもっとピシッとしてるのに」
あやめ「P殿、くノ一も普段はひとりの少女なのですよ!」
P「あやめは学校ではやっぱり普通にしてるのか?」
あやめ「えぇ、忍びである事を知ってるのは最近だとP殿くらいじゃないでしょうか」
P「えっ? そうなの?」
あやめ「忍びが主以外に正体をばらしては意味が無いでしょう?」
P「まぁ、言われてみればそうだけど……」
あやめ「大丈夫ですよ、格好は普通ですが常に準備はしております!」
P「でも忍者アイドルとして売りに出してるから忍者ってことはバレてると思うけど……」
あやめ「ふむ、言われてみればそうですね……」
P「すまんな、隠しとけばよかった」
あやめ「いえ、わたくしはそれも嬉しく思うのでかまいませんよ!」
P「そう言えば前に一緒に営業に回った所から連絡が来たよ」
あやめ「おぉ、結果はどうだったのですか?」
P「ほとんどが駄目だった……」
あやめ「……そうですか」
P「……でも、一件だけ仕事を回してくれるって連絡があった」
あやめ「!?」
P「初仕事が取れたんだよ!」
あやめ「や、やりましたね! P殿!」
P「あぁ、それでいてもたってもいられなくなってな!」
あやめ「電話は使わなかったのですか?」
P「こういうのは直接伝えた方が良いかなって思って……」
あやめ「……ふふっ、やはりP殿はわたくしの事を良くわかってくれておりますね!」
P「あやめ……」
あやめ「はい、どうかなされましたか?」
P「頑張ろうな、少し遅い第一歩になってしまったけど……」
あやめ「かまいませんよ! ちゃんと踏み出せたではありませんか!」
P「そうだな、これから少しづつファンを増やして行かないとな」
あやめ「きっとすぐですよ、わたくし精一杯やりますね!」
P「あぁ、これから大変だろうけど一緒に頑張って行こう」
あやめ「P殿の助太刀ほど、心強いものはありません!」
P「そこまで言われる程、凄くも無いんだけどな……」
あやめ「ふふっ、凄いとか凄くないとかそういうものではありませんよ!」
あやめ「P殿?」
P「ん?」
あやめ「雨、あがりましたよ」
P「ホントだ、ちょっとだけど久々に晴れ間が見えてきたな」
あやめ「P殿……」
P「どうした?」
あやめ「くノ一は心を許してはいけないものですから……今はただの学生に戻ります」
P「…………」
あやめ「P殿、お慕い申し上げます!」
おわり
ここまで読んで下さった方、ありがとうございます
あやめちゃんの制服ネタが無かったような気がしたので書きました
後、応援になっているかわからないけど総選挙の支援
あやめちゃんは良い子だからこんな風に励ましてくれるはず……
このスレはHTML化依頼を出しておきます
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