アルミン「巨人化は本来、傷ついた体を修復するための力だとも考えられる」

コニー「それにしちゃ大袈裟だな」

アルミン「良いから黙って聞くんだ…チッ、コニー如きが…」ﾎﾞｿｯ

コニー「最後、すげー酷い台詞が聞こえたんだけど気のせいか？」

アルミン「似たような能力は人間にも元々備わっている」

コニー「何だよ」

アルミン「カサブタだよ」

コニー「うーん…まあ…」

アルミン「だから僕は考えた」

コニー「おう」

アルミン「カサブタを自在にコントロールできれば、巨人兵を大量生産できるのではないか」

コニー「いやその理屈はおかしい」

アルミン「と、言うわけでコニー。君は早急にカサブタをこしらえてくれ」

コニー「えっ」

アルミン「この松明で、そこらで適当に拾ったUTとか彫ってある指輪を暖めて…」ｼﾞﾘｼﾞﾘ

コニー「えっ」

アルミン「天井の染みを数えてるうちに終わるから」ｶﾞｼｯ

コニー「嫌だよ！自分でやれよ！」

アルミン「痛いの嫌だし」

コニー「オレだって嫌だよ！！焼印じゃねーか！」

アルミン「おでこじゃないだけありがたく思うんだ！さあ、手を出して！！」

コニー「思えねえよ！誰がやるか！！」

アルミン「大丈夫だから！ほーらアンパンマンだよ！こっち見てて！」

コニー「予防接種の三歳児かよ！離せっ…うわぁあぁ！！」ｼﾞｭｯ

―――　数日後　―――

アルミン「どう？」

コニー「ほれ、出来たぞ。どうすんだこんなもん」ﾋﾘﾋﾘ

アルミン「ちょっと待ってて…」ｺﾞｿｺﾞｿ

コニー「？」

アルミン「ビッグライトー」ﾃﾚﾃﾚﾃﾚﾃﾚ ﾃｯﾃﾃｰ

コニー「！？何だ今の音！」ﾋﾞｸｯ

アルミン「気にしないで。これは光を照射したものを大きくする道具だよ！」

コニー「えっ何て？」

アルミン「コニーには難しかったかな？よし、百聞は一見に如かずだ！」

アルミン「都合の良いことに焼き芋を頬張るサシャが歩いているよ！サシャ、ちょっとおいでー」

サシャ「ふぁい、なんぇすか？」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

アルミン「焼き芋の残りはあと一口分だね？」

サシャ「名残惜しいです」

アルミン「ちょっとこのお皿の上に置いてみて」

サシャ「嫌ですよ。アルミンにはあげません！」

アルミン「ぐだぐだ言わずにさっさと置くんだ！」ｸﾜｯ

サシャ「ひっ！？わ、分かりましたよぅ…」ｺﾄｯ

アルミン「よし、じゃあこのライトを…」ｶﾁｯ

アルミン「照射！」ﾋﾟｶｯ

　　　　ﾊﾟﾜﾜﾜﾜﾜﾜ

コニー「な！？」

サシャ「芋が…大きく！」

アルミン「ふっ…ちょっと食べてみて、サシャ」

サシャ「はい！いただきまーす！」ﾊﾑｯ

コニー「いや、ちょっとは警戒しろよ…って遅いか」

サシャ「うまっ！味も食感も変わりません！量が増えてとってもお得！！」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

コニー「まじかよ…ちょっと持たせて、サシャ」

サシャ「どうぞ」

コニー「…見た目通りの重さだ…質量保存則的な何かをぶっちぎりで無視してやがる…」

アルミン「」ﾄﾞﾔｧ

コニー「…なあ、アルミン」

アルミン「なんだい？余りの素晴らしさにぎゃふんとでも言いたいのかい！？」

コニー「…そうじゃなくてさ…そのビッグライトとか言うやつをミカサに当てれb」

アルミン「さあ、早速やってみようか！！」

コニー「…スルーかよ…」

コニー「で、どうすんだよ」

アルミン「そのカサブタをこのライトで巨大化するんだ！」

コニー「ほう……で？」

アルミン「で？」

コニー「いや、それからどうすんだ？大きくするだけじゃどうにもならねえだろ」

アルミン「……」

コニー「……」

アルミン「ケセラセラさ！」

コニー「行き当たりばったりじゃねえか！」

アルミン「カサブタの出来ている手を出すんだ、コニー！」

コニー「…人間で試したことはあるんだろうな…」

アルミン「……」

コニー「……」

アルミン「心配ないさ！さあ、手を！」

コニー「何だよ、今の間は！絶対初めてだろ！！」

アルミン「天井の染みをk」

コニー「その表現もうやめろよ！キモいんだよ！」

アルミン「問答無用！サシャ、コニーを抑えてくれ！」

サシャ「ふぁい！！」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

コニー「ぐわぁ！離せ、サシャ！この裏切り者がぁ！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

アルミン「照射！」ﾋﾟｶｯ

コニー「うわあぁあぁぁあああ！！！！」

　　　　ﾊﾟﾜﾜﾜﾜﾜﾜ

サシャ「…………」

アルミン「…………」

コニー「…………」

サシャ「…手が丸ごと大きくなっちゃいましたよ…」

アルミン「…なんてことだ…カサブタだけにライトを当てるのがこんなに難しいなんて…」

コニー「…やる前に気付けよ…ってかこの手、どうしてくれんだよ…」

サシャ「…………」

アルミン「…………」

コニー「…………うっ！？」

サシャ「コニー！？」

アルミン「体に何か異常が！？」

コニー「…うっ…あっ、あぁ……！！」ｶﾞｸｶﾞｸ

サシャ「大丈夫ですか！？しっかりしてください、コニー！！」

コニー「う、うわぁぁあ！！すげぇ痒いー！！！」

アルミン「あ、そんなことか。カサブタも大きくなっちゃったから痒い面積が広いんだね」ﾎｯ

コニー「納得してんじゃねーよ！手がデカすぎて痒い所に手が届かないー！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

サシャ「アルミン、何とかしてあげて下さいよ」

アルミン「こんなこともあろうかと！」ｺﾞｿｺﾞｿ

アルミン「スモールライトー」ﾃﾚﾃﾚﾃﾚﾃﾚ ﾃｯﾃﾃｰ

サシャ「！？」ﾋﾞｸｯ

アルミン「これはビッグライトと逆で、照射したものを小さくしてしまう道具さ！」

サシャ「！じゃあそのライトを巨人に当てれb」

アルミン「コニー！今助けるぞ！」ﾋﾟｶｯ

サシャ「何でスルーなんですか？」

　　　　ﾊﾟﾜﾜﾜﾜﾜﾜ

コニー「…うぅ…戻った…辛かった…」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

アルミン「くぅ…今回の実験は失敗か…」

コニー「出発点がそもそもおかしいんだよ！」

サシャ「にしてもこのライト、凄いですねー。これ使えば食料事情もマリア奪還も余裕で解決じゃないですか」ｶﾁｶﾁ

コニー「そうだぞ！巨人を小さくするなり兵士を大きくするなりいくらでもやり方あるだろうが！」

アルミン「君たちはロマンってものが分からないのか！」ﾊﾞﾝｯ

コニー「オレはお前が分からねぇよ！！」ﾀﾞﾝｯ

サシャ「男の人って合理的じゃないことはすぐロマンで片付けようとしますよねー」ｱﾊﾊ

コニー「大体何がロマンなんだよ」

アルミン「想像してみてくれ、筋骨隆々な巨人同士の血湧き肉踊る肉弾戦を！！僕はこれを一個師団レベルで再現したいんだ！」

コニー「暑苦しいわ！個人的な趣味に走りすぎだろ！！」

コニー「これで分かっただろ！？カサブタで巨人化は出来ねーの！！普通に兵士をでっかくした方が話が早いって！！」

アルミン「ぬぅ…志半ばで道絶えるとは…」

コニー「しょうもない志立ててるんじゃねーよ！」

アルミン「よし、分かった。コニー、脱いでくれ」

コニー「えっ」

アルミン「一糸纏わぬ姿になるんだ、さあ！」

コニー「ちょっと待て、話が全然繋がんねーぞ！」

アルミン「服を着た巨人がどこにいる！？常識的に物事を考えるんだ！」

コニー「お前に常識を説かれたくねーよ！」

アルミン「チッ…実力行使で行くしかないか、サシャ！」

サシャ「……」ﾁﾗｯ

コニー「両手で顔を覆いながらもチラ見してんじゃねぇ！いっちょまえに乙女な素振りしやがって！！」

サシャ「いっちょまえも何も普通に乙女ですよ！」

アルミン「サシャ！今度肉を盗んで来たらこのライトで幾らでも大きくしてあげるから！」

サシャ「コニー、観念なさい！」ﾀﾞｯ

コニー「やっぱりそう来たか！チクショウ、オレはもう抜けるぞ！！」ﾀﾞｯ

アルミン「待つんだコニー！これも人類の勝利のためには必要なことなんだ！！」ﾀﾞｯ

コニー「人類のために己の大切な何かを犠牲にするつもりはねぇ！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

アルミン「情けない、それでも君は兵士か！104期8位の名が泣くね！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

コニー「そんなもん好きなだけ泣かせとけ！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

　　　　ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

コニー「まだ追ってくる…！サシャはまだしも、あいつやれば出来るじゃねえか！」

ライナー「こっんぴらふっねふね　おっいてにほっかけて　シュラシュシュシュ～♪」

コニー「…ライナーなら！ライナーならきっとオレを救ってくれる！おーい！！」

ライナー「おう。鬼ごっこか？楽しそうだな、お前ら」ﾊｯﾊｯﾊ

コニー「違うわ！助けてくれ、アルミンに襲われてるんだ！」ｾﾞｪｾﾞｪ

ライナー「はあ？」

サシャ「…やっと追いついた…」ｾﾞｴｾﾞｪ

アルミン「さあコニー！観念して生まれたままの姿になるんだ！」ｶｯ

ライナー「！？」

コニー「嫌だ！くそっ…息１つ切らしてねぇ…化け物か！」

アルミン「人類の進撃のためならエンドルフィンの分泌くらい自在にこなしてみせるさ！」

コニー「それもう人間じゃねえから！何だよ、変な薬でもキメてんのかよ！！」

アルミン「天井の染みを数えている内に終わるから！さあ、脱いで！！」

ライナー「ああ……襲われるってそう言う…」

コニー「何考えてんだ、お前じゃあるまいし！」

ライナー「前から思ってたんだけど君たちね。人を見た目だけで判断しn」

アルミン「ゴリラは黙ってろ！人類の勝利が懸かってるんだ！さあ、大人しくコニーを引き渡せ！！」

ライナー「やだ何この子。いつものアルミンじゃない」

コニー「変なおもちゃを手に入れたせいでおかしくなっちまったんだよ！」

アルミン「おもちゃだって！？人類の勝利のために調査兵団の叡智と予算を結集したシロモノだよ！失敬なことを言わないで欲しいね！！」

コニー「だから！方向性がおかしいんだって！」

ライナー「落ち着け、お前ら…アルミン、おもちゃって何だ？」

アルミン「よくぞ聞いてくれた！これだよ！」ﾃﾚﾃﾚﾃﾚﾃﾚ ﾃｯﾃﾃｰ

ライナー「！？」ﾋﾞｸｯ

アルミン「ふふ、驚きのあまり声も出ないようだね」

ライナー「そりゃ…いきなりどこからともなく変な音が出たら…」

アルミン「全く…凡人はそんな所ばっかり気にして…」ﾔﾚﾔﾚ

ライナー「」ｲﾗｯ

アルミン「これはね、対象物の大きさを自在に変えることが出来るライトだよ！」

ライナー「アルミン、悪いことは言わないから憲兵団に出頭しよう。俺も付き合ってあげるから、な」ﾎﾟﾝ

アルミン「そんな慈愛に満ちた目で見ないでくれ！違法な薬は使ってないよ！！」

サシャ「ライナー、それが本当なんですよ。私、この目で見て食べました」

ライナー「食べた？何を」

サシャ「芋です」

ライナー「？？？」

アルミン「やってみたほうが早いよ！とうっ！」ﾋﾟｶｯ

コニー「あぁっ、油断した！！」

　　　　ﾊﾟﾜﾜﾜﾜﾜﾜ

コニー「やめろ！戻せぇぇええ！！！」ﾄﾞﾄﾞｰﾝ

ライナー「なっ…！」

サシャ「おー、コニーが巨人に！10m級ってとこですかね？やっほー」ﾌﾘﾌﾘ

コニー「見つかったらうなじ削がれる！早く、早く戻してくれ！！」ｵﾛｵﾛ