杏子「はぁ? 一体なんの話だよ急に」
ほむら「そのままの意味よ。あなたは美樹さやかを愛するようになる」
杏子「あのトーシロなボンクラを? あたしが? ありえないね」
ほむら「そのうちわかるわ」
杏子「だいたいあいつは女じゃねーか。なんであたしが女に惚れんだよ」
ほむら「あら、性別は関係ないでしょう? あなたの場合」
杏子「意味わかんねーよ」
ほむら「本当はわかっているくせに」
杏子「黙っとけ。殺すぞ」
さやか「あっ! あんた……佐倉杏子!」
杏子「ん? またお前かよ、ボンクラ」
さやか「ボンクラって言うな! なにしに来たのよ。またあたしの邪魔しに来たの?」
杏子(あたしがこいつに惚れるってか? ありえねー)
さやか「な、なによ……なんか答えなさいよ」
杏子(結構可愛い顔してるけど、それだけだしな。そり合わないし)
さやか「なんかジロジロ見られるとむかつくんだけど」
杏子(甘っちょろい綺麗事ばっか言って現実が見えてねえ。そんなアホに惚れるわけないね)
さやか「ちょっと、話聞いてんの? なんなのよ、もう」
さやか「話を聞けー!」
杏子「うおっ!? なんだよ、急に大声出すなよ」
さやか「あんたがずっと無視するからでしょうが!」
杏子「あん? なんか言ってたのか?」
さやか「なっ……もー頭きた! ぶっ飛ばす!」
杏子「おー面白いじゃん。やってみなよ」
さやか「すました顔してんじゃないわよー!」ブンッ
杏子「もっとしっかり狙えよ。当たんねーぞそんなんじゃ」
さやか「こ、この! このこのっ!」スカスカ
さやか「ぐえっ」
杏子「はい、またあたしの勝ち」
さやか「く、くそぉ~……」
杏子「使い魔相手にして無駄に魔力使ってるから弱いんだよ、ボンクラ」
さやか「うるさい! 他人を見殺しにするようなやつに言われたくない!」
杏子「別に見殺しにしてるわけじゃないよ。そもそも見ることがないからね」
さやか「同じことだよ!」
杏子「わかんねーならそれでいいよ。1人でくたばっとけ。じゃあな」
さやか「ちょっと、あんたどこ行くのよ」
杏子「あん? テキトーに食い物とりに」
さやか「ま、また泥棒する気!?」
杏子「そうだけど、文句あんの?」
さやか「あるに決まってんでしょ! 泥棒なんてしていいわけない!」
杏子「しょうがねーじゃん? 金ないんだから」
さやか「だからって……!」
杏子「じゃあお前がなんか食わせてくれんのか?」
さやか「う……」
杏子「はっ。口先だけなら黙っとけ」
さやか「わ、わかったわよ! なんか食べさせればいいんでしょ!?」
杏子「……は?」
さやか「うちの冷蔵庫になんかあると思うから、それあげる」
杏子「いや、いらねーから」
さやか「なんでよ! あんたが食べさせろって言ったんじゃん!」
杏子「あたしは食いたいものを食うんだよ。残り物なんかで我慢できっか」
さやか「じゃ、じゃああんたの食べたいもの言ってよ! あたしが買ってくるから!」
杏子(なんだこいつ……ちょっと強く殴りすぎちまったか?)
杏子「あたしはお前に買ってくれなんて頼んでないよ」
さやか「でもあんた盗んでくる気でしょ? それは許せない」
杏子「だからお前が買うってか? お人好しも大概にしとけよ、ボンクラ」
さやか「あんたが口先だけはやめろって言ったんでしょうが! だからあたしが買ってあげるって言ってんの!」
杏子「はあぁ……めんどくせえ」
さやか「いいから、なにが食べたいのか言いなさいよ」
杏子「お前と話してたらどうでもよくなった」
さやか「そんなこと言って、隠れて盗む気なんでしょ」
杏子「マジでうぜぇ……」
さやか「ほら、なにが食べたいのよ。たい焼き? リンゴ?」
杏子「……冷凍食品」
さやか「はい?」
杏子「冷凍食品が食いたいって言ってんだよ」
さやか「え、冷凍食品? コンビニにあるやつでいいの?」
杏子「だーっ! 鈍いやつだな! お前んちの冷蔵庫の中身でいいって言ってんだよ!」
さやか「あ、そういうことか」
杏子「ったく、自分で言ったことくらい覚えとけ」
さやか「あんたがわかりにくい言い方するから悪いんでしょ」
杏子「で、結局冷凍食品かよ」
さやか「ごめん、あんまり残ってなかった……納豆とお漬物ならあるよ」
杏子「んじゃそれもくれ」
さやか「あんたって本当によく食うね」
杏子「あんだよ、悪いか? 動いてると腹が減るんだよ」
さやか「ずっと魔女探ししてんの?」
杏子「別にそういうわけじゃないよ。ゲーセンで暇潰したり、いろいろさ」
さやか「へぇ……ちょっと待って。ゲーセンでどうやって遊んでんの? お金ないんでしょ?」
杏子「超うぜぇ……」
杏子ちゃんが好き★
杏子「はー食った食った」
さやか「うわ、オヤジくさ」
杏子「殺すぞ? ったく……とりあえず腹は満たされたし助かったよ。ありがとな」
さやか「え……う、うん」
杏子「なんだよ、なんか言いたげな顔じゃん」
さやか「いや、あんたもお礼くらい言えるんだと思って」
杏子「悪かったね。今度からは言わないよ」
さやか「そうは言ってないでしょ! ちゃんとお礼言って!」
さやか「あんた、これからどうすんの?」
杏子「テキトーに魔女狩って、帰って寝る」
さやか「帰るってあの教会に?」
杏子「寝床は別にあるから」
さやか「あんた、いつもどこで寝てんの?」
杏子「そこらへんのホテルで」
さやか「ちゃんとお金払ってるの?」
杏子「あたしが宿泊代なんて払えると思ってんのか?」
さやか「だよね……」
あんこちゃんかっこよす
杏子「言っとくけど、宿泊代払うとか言い出すんじゃねえぞ」
さやか「言わないよ。さすがにそれは無理だし……」
杏子「ならよかった。また口先だけで綺麗事言うのかと思ったよ」
さやか「やっぱりあんた、イヤなやつだね」
杏子「はん、今さらだね」
さやか「そうかもね」
杏子「まあいいや。じゃあな」
さやか「……お、お風呂!」
杏子「あん?」
さやか「お風呂だよ。あんた、いつもお風呂はどうしてんの?」
杏子「なに言い出すかと思えばくだらねぇ……ホテルの風呂を借りてるよ」
さやか「でもそれって無断だよね」
杏子「またそれかよ。金ないんだから当たり前だろ」
さやか「じゃあうちのお風呂入っていきなよ!」
杏子「……はぁ?」
さやか「お風呂貸したげるって言ってんの。これなら口先だけじゃないでしょ?」
杏子(ホントなんなんだ、こいつ)
さやか「きょうこー、湯加減はどーう?」
杏子「あーちょうどいいよー」
さやか「じゃあタオルとかここに置いとくからねー」
杏子「あいよー」
杏子(……なんであたしはこんな平和ボケした会話してんだ)
杏子(普通の家の風呂入るなんていつ以来かな……)
杏子(そういえば昔マミのやつと一緒に入ったっけ)
杏子(マミ、今なにしてっかなぁ……)
杏子「な、なんだよこれ!?」
さやか「んー? なんか問題はっせーい?」
杏子「このパンツはなんだよ! あたしのはどうした!」
さやか「洗濯物に放り込んどいたけど」
杏子「なにしてんだよ!? さっさと返せ!」
さやか「代わりにあたしの置いといたでしょ? それ穿いていいよ」
杏子「いいよ、じゃねえ! なんでお前のパンツ穿かなきゃいけないんだよ!」
さやか「さすがに下着くらいは替えたいかなと思って」
杏子「いやまあ、たしかに替えたいけど……だからってお前のなんか穿けるか!」
ははは、好きなようにやりなよ
さやか「なんで? あたしのじゃいや?」
杏子「いやだよ! お前だっていやだろ!?」
さやか「あたしは別にいいけど」
杏子「意味わかんねぇ……いいからあたしのを返せ」
さやか「でももう洗濯機回しちゃってるし」
杏子「うおぉい!?」
さやか「気持ち悪いのはわかるけどさ、今日はそれで我慢してよ」
杏子「き、気持ち悪いとは言ってないだろ。ただお前がいやがるかと思っただけで」
さやか「あたしは大丈夫だから、ほら穿いた穿いた。いつまですっぽんぽんでいるつもり?」
杏子「わかったよ……服着るから出てけ」
さやか「パンツは明日にでも返すから」
杏子「おぉ……じゃあホント帰るわ」
さやか「やっぱりホテルに戻るの……?」
杏子「なんでお前がしょぼくれてんだよ」
さやか「別にしょぼくれてないし。ほら、さっさと帰んなよ」
杏子「言われなくても帰るよ。なぁ、さやか」
さやか「なに?」
杏子「飯と風呂、ありがとな」
一宿一飯の恩でさやかに抱かれるのですね?わかります
翌日
杏子(やっぱ洗って返すべきだよなぁ。コインランドリー使うか)
杏子(パンツ1枚ってのもあれだし、ついでに自分のやつも洗お)
杏子(そーいやあのボンクラは今日返すとか言ってたけど、どうやって会うんだ)
杏子(たしかあいつ、マミと同じ学校だったな)
杏子(……)
杏子(マミには会いたくねーけど、あたしの方から行くしかないよな)
杏子「よぉ、ボンクラにちっこいの」
さやか「ボンクラって言うな!」
まどか「こ、こんにちは」
さやか「で、なんの用よ。わざわざ学校まで来て」
杏子「借りてたものを返しに来ただけだよ」
さやか「あ、パンツ?」
杏子「ぶっ!?」
まどか(あ、あれ? さやかちゃんとこの子って仲悪かったよね?)
さやか「ごめん、あんたのパンツまだ家だわ」
杏子「パンツパンツ連呼すんじゃねー!」
さやか「あんただって言ってるじゃん、パンツパンツって」
杏子「もういい、もう黙れ……」
さやか「しかし意外ですなぁ。あんたってこういうの気にするタイプだったんだ」
杏子「うるせーな……ほら、借りてたやつ」
さやか「ありがと。あんたのは今から家にとりに戻るけど、どうする? ついてくる?」
杏子「それが1番手っ取り早いし、そうするよ」
さやか「オッケー。じゃあまどかも行こっか」
まどか(パンツを貸し借りする仲って……魔法少女って一体……)
オープンな間柄☆
マミ「ちょっと待って」
杏子「げ……」
まどか「マミさん、どうしたんですか?」
マミ「ごめんなさい、今用があるのは鹿目さん達じゃないの」
さやか「ということは……」
杏子「よ、よぉ……久しぶりじゃん、マミ」
マミ「佐倉さん、戻ってきてたのね」
杏子「最近ね。まあただの様子見だけど」
どちらが攻めるのかしら・・・
さやか「あの、すいません……マミさんってこいつと知り合いなんですか?」
マミ「ええ、一応ね」
杏子(一応かよ……)
さやか「2人はどういう関係なんですか?」
マミ「私と佐倉さんは――」
杏子「おい、余計な話してんじゃないよ。あたしに話があんだろ?」
マミ「そうだったわね。美樹さん、ごめんなさい。その話はまた後でね」
さやか「あ、お構いなく」
まどか(なんか怖い雰囲気……)
マミ「さっきは様子見って言ってたけど……本当にそれだけ?」
杏子「どういう意味だい?」
マミ「他にも目的があるんじゃないかって聞いてるのよ」
杏子「目的ね……あるっちゃあるかねぇ」
マミ「それはなに?」
杏子「決まってんじゃん? あんたからこの街を奪っちまおうってことさ」
マミ「ほ、本当に? 他にはないの?」
杏子「他になにがあるって言うんだい?」
マミ「ううん、なんでもないの……」
杏子「なんなら……今やるかい?」
さやか「たんまたんま! あんた、本当にマミさんと戦う気!?」
杏子「当たり前だろ。あたしはマミを叩きのめすために来たんだから」
マミ「本当に変わってしまったわね、佐倉さん」
杏子「変わりもするさ。あんたが変わらないだけだよ」
マミ「あなたのようになるよりはマシね」
杏子「言いたいことはそれだけかい? 場所くらいなら決めさせてやるよ」
マミ「学校の屋上でいいかしら?」
杏子「ああ」
さやか「マミさんまでなに言ってるんですか! 学校じゃまずいですよ!」
マミ「彼女はそんなのお構いなしよ。仕方ないわ」
さやか「だからって……」
マミ「あなたは鹿目さんを連れて先にパトロールしててちょうだい。大丈夫、すぐ合流するから」
杏子「はっ、できるもんならね」
さやか「杏子もちょっと冷静になってよ! あたしんちにパンツとりに行くんでしょ!?」
マミ「……パンツ?」
杏子「さやか、おまっ……なに言ってんだオイ!」
ほむら「美樹さやかの言うとおりよ。2人とも矛を収めてちょうだい」
さやか「転校生! 来てくれたんだ!」
杏子「ホントどんだけ魔法少女いるんだよ、この学校は……」
ほむら「あなた達はワルプルギスの夜を倒す同志なのよ。ここで仲間割れしてる場合じゃないわ」
杏子「は? あれってマミも入ってるのかよ!」
ほむら「もちろん。仲間は1人でも多い方がいいわ」
杏子「あたしはごめんだよ。マミに後ろから撃たれるかもしれないからね」
マミ「なっ……!? 私はそんなことしないわ! あなたこそ私を後ろから狙う気じゃないの!?」
杏子「なんであたしがそんなせこいことしないといけないんだよ。マミとは違うんだよ」
マミ「わ、私がせこいですって……!?」
さやか「あーもーこの2人は……」
マミ「だいたいあなたはねぇ――」
ほむら「……巴さん」
マミ「ひうっ!」
ほむら「仲間割れはダメよ?」
マミ「わ、わかったわ」
杏子「なんだよ、ほむらの尻に敷かれてるのかよ。ダッセーなマミ」
ほむら「杏子も挑発するのはやめてちょうだい。それよりもあなたはパンツを返してもらった方がいいんじゃないかしら?」
杏子「うぐっ!」
さやか「ほら、さっさとパンツとりに行くよ」
杏子「お、お前らはいちいちパンツって言うんじゃねーよ!」
マミ(パンツってなんのことなのかしら……)
まどか「喧嘩にならなくてよかったねぇ」
さやか「ホントだよ。杏子とマミさんが知り合いなのも驚いたけど、あんなに仲悪かったなんて」
杏子「あいつはお前と同じで甘っちょろいことばっか言うからな。実力が伴ってるところがお前と違うけど」
さやか「う、うるさいな! これから強くなるからいいんだよ!」
杏子「あーはいはい。ところでさぁ」
さやか「なに?」
杏子「なんでちっこいのはいつもついてきてんの? 魔法少女じゃないんだろ?」
さやか「まどかはキュゥべぇに素質を見出されたの。今は願いが見つからないから保留中ってわけ」
杏子「ふーん。まあどうでもいいけど、魔法少女になるのはやめとけよ」
さやか「はい、パンツ」
杏子「お、おう……」
まどか(本当にパンツ貸してたんだ……)
さやか「じゃあパトロール行こっか」
杏子「また使い魔潰しか? ご苦労なこったな」
さやか「なに言ってんの? あんたも来るんだよ」
杏子「なんであたしが使い魔潰しに付き合わなきゃいけないんだよ。魔女にしか興味ねえよ」
さやか「だって転校生から杏子も連れてこいってメールがきたんだもん」
杏子「ほむらから……?」
ほむら「ここにいるのがワルプルギスの夜を倒すためのメンバーよ。自己紹介は必要ないわね」
さやか「うむ」
マミ「そうね」
杏子「……ちょっと待て」
ほむら「なにか問題でもある?」
杏子「ありまくりだ! あたしはマミとチームなんていやだっつーの!」
ほむら「人手が足りてないのよ。我慢してちょうだい」
杏子「マミはそれでいいのかよ!?」
マミ「暁美さんがそう言うんだもの。私は異論ないわ」
杏子(完全に尻に敷かれやがって……面白くねぇ)
杏子「まあそっちはわかったよ。悔しいけどマミの実力は本物だからな。だけどなぁ」
ほむら「まだなにかあるの?」
杏子「さやかはおかしいだろ! こいつはつい最近魔法少女になったばかりのシロートだぞ!?」
さやか「むっ……」
杏子「こんなボンクラじゃ足手まといになるのは目に見えてんだろ!」
さやか「杏子がなんと言おうと、ここにいることこそ転校生に実力を認められたなによりの証拠だよ。そうでしょ?」
ほむら「いえ、違うわ」
さやか「違うのおっ!?」
杏子「当たり前だろ。身の程を知れ」
ほむら「たしかに杏子の言うとおり、今の美樹さやかの実力じゃ仲間として心許ないわ」
さやか「うぐっ」
マミ「せめて1人でも余裕で魔女を倒せるくらいにはならないとね」
さやか「ぐはっ……マミさんまで」
杏子「無理無理。こいつまだ使い魔も満足に倒せないんだぞ」
さやか「うぅぅ……みんなひどい」
ほむら「ということで、これからワルプルギスの夜が来る日まで杏子には美樹さやかを鍛えあげてもらうわ」
杏子「オイ、さらっとなに言ってんだ」
ほむら「これは決定事項よ。美樹さやかに足を引っ張られたくないのなら、あなたが鍛えるしかないわ」
さやか「みんなしてちょっとひどすぎやしませんかねぇ……」
杏子「どう考えてもそういうのはあたしじゃなくてマミの仕事だろ」
ほむら「巴さんには私の準備を手伝ってもらうからその暇がないのよ」
マミ「そういうことよ。頑張ってね、佐倉さん」
杏子「マミは黙ってろ」
マミ「な……」
杏子「すっかりほむらに骨抜きにされやがって……昔のかっこよかったマミはどこ行っちまったんだか」
ほむら「杏子、喧嘩はご法度よ」
杏子「わーってるよ。話はこれだけか? ならあたしはもう行くよ」
ほむら「美樹さやかのこと、よろしく頼むわよ」
杏子「しょうがねえな……」
杏子「んじゃ早速特訓だけど……」
さやか「あんたって人に教えるのとか苦手そうだよね」
杏子「うるせえ、自覚はある。しかしマジでどうっすかな」
さやか「あんたはどうやって強くなったの? それ参考にするよ」
杏子「あたしか? あたしの場合は……」
さやか「なになに? どんな特訓したの?」
杏子「いや、あたしも人に教わったんだ」
さやか「へぇ。それってマミさん?」
杏子「うぇっ!? なんで知ってんだ!? マミから聞いたのか!?」
さやか「今日のやり取りとか見てたら、なんとなく」
さやか「でもなんで今は仲悪いの?」
杏子「昔いろいろあったんだよ。それで喧嘩してあたしはこの街を出ていったのさ」
さやか「なるほどねぇ。それで仲直りしに来たんだ」
杏子「仲直りだぁ? あたしはマミの鼻をあかしに来ただけだよ」
さやか「ただの建前でしょ、それ」
杏子「本音だよ。仮にあたしが仲直りしたいと思ってても向こうはそうは思ってないさ」
さやか「どう見てもマミさんも……いや、やっぱいいわ」
さやか(案外めんどくさいな、杏子もマミさんも)
杏子「さて、くだらねえ雑談は終わりだよ。結局強くなるには実戦しかないし、魔女探しするよ」
さやか「はぁ、はぁ……た、倒したぞー!」
杏子「あたしの手助けがあったおかげだけどな」
さやか「これっぽっちの手助けじゃん。ほぼあたし1人の力と言っても間違いないね」
杏子「あーはいはい。そりゃよかったな、すげー」
さやか「バカにすんなー!」
杏子「どうでもいいけど、1人で魔女と戦おうとすんなよ。魔女とやるのはあたしがついてるときだけだ」
さやか「あれあれぇ? もしかして心配してくれてるのかなぁ?」
杏子「バカ言え。ワルプルギスの夜と戦うまで死なれちゃ困るって言ってんだよ。ボンクラでも盾くらいにはなるからね」
さやか「マジでやりそうだからやめて」
杏子「今日はもう終わりだ。帰ってよく寝な」
さやか「あんたはまたホテル?」
杏子「そうだけど」
さやか「ホテル以外に行く気ない?」
杏子「以外ってなんだよ。野宿でもしろってか?」
さやか「そうじゃなくてさ。だからさ……」
杏子「よくわかんねーよ。はっきり言え」
さやか「あたしんち来ない?」
杏子「なんでお前んちに行かなきゃならないんだよ」
さやか「別にいいじゃん。どこ行こうが変わらないでしょ?」
杏子「行く理由がない」
さやか「ご飯いっぱい食べられるよ」
杏子「また冷凍食品だろ」
さやか「ううん、今日はちゃんとしたご飯を食べられるよ」
杏子「なんでだよ」
さやか「実はお母さんに今日友達が泊まりに来るって言ってあるんだ」
杏子「は……?」
杏子「それってあたしのこと?」
さやか「もちろん」
杏子「なんでんなこと言ったんだよ」
さやか「あんたを泊めるために決まってるでしょ」
杏子「そういうことじゃなくてな」
さやか「あんたがホテルを勝手に使うのはいやだったから」
杏子「あのなぁ……」
さやか「まあいいじゃん。とにかくうち来てよ。あんたが来てくれないとあたしが恥ずかしいから」
杏子「ちっ、わかったよ」
いいじゃなーい
無限に広がる大宇宙
し
さやか「他所から借りてきた猫とはまさにあのことだね」
杏子「騒がしくするよりマシだろ」
さやか「あんたが慎ましくおかわりを申し出る姿とか想像できなかったわ」
杏子「あーうるせえうるせえ。さっさと寝かせろ。こっちは疲れてるんだよ」
さやか「あんたにも気疲れするようなまともな神経が残ってたんだねぇ」
杏子「お前……明日の特訓でどうなるかわかってんだろうな?」
さやか「もー冗談だって。そんな怒らないでよ」
杏子(ぜってーしごき倒す。死なない程度に痛めつけてやる)
さやか「じゃあおやすみ」
杏子「んー……おやすみ」
さやか「……」
杏子「なぁ……」
さやか「なに?」
杏子「いつまでこんなこと続ける気だ?」
さやか「なんの話?」
杏子「とぼけんなよ。このお節介のことだよ」
杏子「あんただってわかってんだろ? こんなの一時凌ぎにしかならないってさ」
杏子「口先だけって言ったの気にしてんなら取り消すよ。悪かった」
さやか「やめてよ、気持ち悪い……」
杏子「あんたはあんたなりにあたしのこと考えてくれてんだろうけどさ、そういうの迷惑なんだよ」
さやか「……迷惑はひどくない?」
杏子「あたしは好き勝手生きたいんだよ。今はほむらの話があるからつるんでるだけさ」
杏子「ワルプルギスの夜を倒したらおさらばさ。あんたらとは別の街で生きてくことになる」
杏子「そんなあたしをいつまでも面倒みるなんてできないだろ? あたしが食い物盗むのをどうやって止める気だい?」
杏子「結局さ、あんたのやってることは無駄なんだよ。無駄。ただの気まぐれ」
杏子「それであんたはささやかな自己満足が得られるんだろうけど、巻き込まれるあたしはたまったもんじゃないんだよ」
杏子「期待させるだけさせて、結局なにも変わらないんだろ? そういうのもうウンザリなんだよ」
杏子「だからもうやめてくれ。あたしに構うな」
杏子「安心しろよ、ちゃんとあんたの特訓には付き合うから」
さやか「……」
杏子「話はそれだけだよ。おやすみ」
さやか「杏子……」
杏子「なんだよ、明日も学校あんだろ? はやく寝ろ」
さやか「あたしはあんたのこと見捨てたりしないよ」
杏子「口だけだったらどうとでも言えるさ」
さやか「考えてみるから……あんたが真っ当に生きられるような方法、考えてみるから」
杏子「だからそういうのが迷惑だって言ってんだよ」
さやか「迷惑でもいい。あたしがそうしたいだけだもん」
杏子「わっかんねえやつだな。あんたの自己満足に付き合うのはごめんなんだよ」
さやか「自己満足なんかじゃないよ! あたしは本気で……」
杏子「そうかい。なら好きにしな。あたしも好きにする」
翌日
さやか「ぎゃあっ!」
杏子「ほら、まだやるよ。立て」
さやか「ちょ、ちょっと待って……今のはマジ痛い……」
杏子「なに甘ったれたこと言ってんだよ。痛覚くらい切れ」
さやか「いや、そんな簡単にできたら苦労しないから」
杏子「お前、癒しの魔法が使えんだろ? さっさと治せよ」
さやか「言われなくてもやってるわ!」
杏子「おし、じゃあもういいな」
さやか「それとこれとは話が別っていうかまだあたし立てな――ぎゃあああっ!」
さやか「ひどい目にあった……さやかちゃんの体はボロボロ」
杏子「このくらいで音を上げてんじゃねえ。時間ないんだから、明日からはもっと厳しくするよ」
さやか「スパルタだぁ……スパルタだよこの人……」
杏子「あたしはまだマシだよ。マミときたらもうね」
さやか「えー? マミさんはこんな厳しくなかったよ」
杏子「なんだお前、必殺技の練習しなかったのか?」
さやか「必殺技? なにそれ。子どもの遊びじゃあるまいし」
杏子「いや、わかんないならいいんだ……あれは知らない方がいい」
杏子「んじゃ帰るか。1人で魔女探しとかすんじゃねーぞ」
さやか「あ、待ってよ」
杏子「あんだよ。あたしだって暇じゃないんだよ」
さやか「どうせ食糧探しでしょ。それなら心配しないでいいよ」
杏子「お前の頭はニワトリ並か? 昨日言ったこともう忘れたのかよ。お節介はやめろ」
さやか「でもあんただって盗むよりは普通にご飯食べられる方がいいでしょ?」
杏子「ま、そりゃあな……でもお前の世話にはならねえ」
さやか「大丈夫、世話するのあたしじゃないから」
杏子「はぁ……?」
マミ「いらっしゃい、美樹さんに佐倉さん」
さやか「ね、これならあたしの世話にはならないでしょ?」
杏子「……帰る」
さやか「こらこら、今さら逃げられるわけないでしょ。マミさん」
マミ「レガーレ」
杏子「うおおっ!? 離せ、離せよこんちくしょー!」
さやか「はいレンコー」
マミ「いらっしゃ~い」
さやか「というわけで、当面杏子の世話はマミさんがすることになりました」
マミ「よろしくね、佐倉さん」
杏子「てめーら……あたしがおとなしく受け入れるとでも思ってんのか?」
さやか「もう決定事項だから。ほむらにも許可得たし」
杏子「ほむらの指示だからってこればっかりはいやだ!」
マミ「ワガママはダメよ。暁美さんはリーダーなんだから、彼女の言うことはきかないと」
杏子「だからっ……お前のそういう態度がむかつくんだよ!」
さやか(んー杏子ってわかりやすいなぁ)
杏子「なんだよ、二言目にはほむらほむらって……お前にはプライドとかないのかよ!」
マミ「別に、暁美さんに服従してるわけじゃないわ。信頼してるだけよ」
杏子「はっ、信頼ねぇ? それで以前裏切られたのを忘れたのか?」
マミ「私は……裏切られたとは思ってないもの」
杏子「バッカじゃねーの! あたしはあんたを裏切ったんだよ! あんたがのばした手を振り払ったの忘れたのかよ!」
マミ「あのときのあなたは自暴自棄になってただけよ。今ならきっと違う結果になるわ」
杏子「ならねえよ! 何度でも振り払ってやる!」
さやか(なんか意外と根深い問題みたいだな)
杏子「ふざけやがって……今さら昔みたいに仲良くできるわけないだろ!」
さやか「はいストップ。2人になにがあったのか知らないけど、もう少し素直になろうよ」
杏子「素直もクソもあるか。マミとやっていくなんてあたしには無理だ」
さやか「杏子、せっかくマミさんから歩み寄ろうとしてくれてるんだよ。仲直りのチャンスなんだよ?」
杏子「なにが歩み寄ろうだ……ほむらの指示に従ってるだけだろ」
さやか「違うよ。あたしが相談したらマミさんから提案してくれたんだよ、自分の家はどうかなって」
杏子「そんな嘘に騙されっかよ」
さやか「嘘じゃないよ。マミさん、杏子の好みは変わってないかな? また手料理食べてくれるかな? って杏子の話ばかりしてたんだよ、今日」
杏子「し、知るかよ……」
さやか「杏子だって本当は仲直りしたいんでしょ? でも気になることがあって素直になれないんだよね」
マミ「気になること?」
杏子「ねーよ、そんなもん」
さやか「杏子が本当に不機嫌になるのって決まってマミさんがある人の話をしたときなんですよ」
杏子「なっ……!? い、言うな! なんも言うんじゃねーぞさやか!」
マミ「教えて、美樹さん。ある人って誰?」
杏子「ま、マミもなに聞いてんだ! さやかのデタラメに決まってんだろ!」
さやか「そのある人はですねぇ……ズバリ、ほむらのことです!」
杏子「バッ……!?」
マミ「暁美さん……? どうして暁美さんなの?」
さやか「鈍いな、マミさんも……ぶっちゃけるとマミさんがほむらと仲良くしてるのが悔しいんですよ、こいつは」
マミ「ほ、本当なの? 佐倉さん」
杏子「んなわけねーだろ! な、なな、なんであたしが悔しいだなんて、そんな……あ、ありえねえ!」
さやか「ホント素直じゃないなあ。大好きなマミさんがいつの間にかほむらにとられちゃってて悔しいんでしょ?」
杏子「ち、ちが……あたしはただ腑抜けになったマミを見たくないだけだ!」
さやか「うんうん、わかるよ。他の人の手で変えられたマミさんを見たくないんだよね」
杏子「てめっ……こ、殺す!」
さやか「きゃーこわい。たすけてーマミさん」
マミ「え、えっ?」
さやか「ほら、あとはマミさんがどうにかするんですよ。もう一押しなんだから」
マミ「……そうね。わかったわ」
杏子「う、自惚れんなよ。さやかの話は全部あいつの妄想で――」
マミ「あのね、佐倉さん……私の本心はさっき言ったとおりよ」
杏子「おい、あたしの話を――」
マミ「私は今でもあなたとやり直したいと思ってる」
マミ「暁美さんや美樹さん、新しい仲間はできたけど……パートナーと呼べる人はあなたしかいなかった」
マミ「あなたと別れてから、あなたのことを思い出さなかった日は1日だってない」
マミ「私はずっとあなたのことを想ってた。だから……」
マミ「もし、佐倉さんさえよければ……また、私のパートナーになってくれない?」
杏子「……」
マミ「あの、佐倉さん……?」
杏子「なに言ってんだよ、今さら……」
マミ「え?」
杏子「あたしはあんたを見捨てたんだぞ!? あんたが1人になるのわかってたのに見捨てたんだ!」
杏子「あんたが傷つくのわかってたのに、見捨てたんだよ……」
杏子「なのに、なんであんたの方からそんなこと……あたしのこと嫌いになるだろ、普通!」
杏子「ざけんなよ、ずっとずっと……あたしだってマミのこと考えなかった日はないよ!」
杏子「嫌われたと思ってた、もうあたしの顔も見たくないって……!」
杏子「だからもう諦めようと思って、なのに、なのに……!」
マミ「嫌いになるわけないじゃない、バカね……」
杏子「うるさい……言われなきゃわかるわけないだろ」
さやか(ずっと本音言わずに喧嘩腰だったのはあんたでしょうが)
杏子「世話になるよ」
さやか「はい?」
杏子「この家の……マミの世話になる。とりあえず、ワルプルギスの夜倒すまではね」
マミ「佐倉さん……」
杏子「ほむらの言うことだからね。しょうがないけど従うよ」
さやか「ホント素直じゃないなあ。マミさんと一緒にいたいって言えばいいのに」
杏子「そ、そういうわけじゃねーよ!」
マミ「違うの?」
杏子「は、え? いや、そうなんだけど……って違う違う! マミと一緒にいたいんじゃない、わけでもないっていうか……」
さやか「素直じゃないなあ」
ほむら「そう、うまくいったのね。よかったわ」
さやか「まあもともと結果はわかりきってたけどねえ。あの2人に仲直りしたいのか聞いたらなんて答えたと思う?」
ほむら「……わからないわ」
さやか「向こうは仲直りしたくないだろうから、だよ。2人して同じこと言うもんだから驚いちゃったよ」
ほむら「あの2人らしいわね」
さやか「めんどくさいね。素直になれば1発だっていうのに」
ほむら「でも仲直りできたのだからよかったじゃない」
さやか「まあね。一件落着」
ほむら(本当にめんどくさくなるのはこれからだけどね……)
マミ「どう? 美味しい?」
杏子「うん、美味しいよ。やっぱりマミさんは料理上手だ」
マミ「ふふ、ありがとう。あなたの好みが変わってなくてよかったわ」
杏子「ジャンクフードとかお菓子ばっかだったからね」
マミ「もう、不摂生ね……でも嬉しいわ。あなたとこうしてまた食卓をともにすることができて」
杏子「うん、あたしも嬉しい。もう2度とないと思ってたから」
マミ「美樹さんには感謝しないとね」
杏子「さやかに感謝はしたくないなぁ……」
マミ「寝る場所はどうしましょうか」
杏子「あーあたしはソファでもいいけど」
マミ「客用布団くらいあるわよ」
杏子「あ、うん。じゃあそこらへんに敷いて寝るよ」
マミ「ねぇ、佐倉さん」
杏子「ん?」
マミ「せっかくだし、昔お泊りしたときみたいに寝るのはどう?」
杏子「実はあたしも……それがいいと思ってたんだ」
マミ「じゃあ決まりね」
マミ「佐倉さん、もう少しそっちに寄ってもいい?」
杏子「いいよ……来てよ、マミさん」
マミ「ふふ、あったかぁい」
杏子(マミさん、やわらけえ……)
マミ「佐倉さん……んっ」
杏子「ん、んぅ……はぁ、マミさん」
マミ「明日は学校も休みだから……久しぶりに、ね?」
杏子「……うん、わかった」
翌日
杏子『起きろ、ボンクラァ!』
さやか「ふわっ!? なになにっ!? 敵襲!?」
杏子『敵じゃねーよ、あたしだよ』
さやか「なんだ、杏子か……いきなりテレパシーはビビるからやめてよ」
杏子『なぁに寝呆けたこと言ってんだい。休日なんだから1日特訓するよ』
さやか「眠いから無理……午後からね」
杏子『今すぐやるんだよ。ほら、さっさと準備しろ。じゃねえと窓ガラス叩き割るぞ』
さやか「えー……ほんきぃ……?」
さやか「うぎゃっ!」
杏子「相変わらず品のねえ声だな」
さやか「だったら少しは手加減してほしいんだけどぉ……」
杏子「してるっつーの。さやかが弱すぎんだよ」
さやか「んなこと言われたって、あんたの武器曲がったり分かれたりズルいのよ」
杏子「これくらい対応できなきゃ使い魔が大群で来たとき死ぬよ」
さやか「たしかにそうだけど……ソウルジェムも濁ってきたしもう無理だよ」
杏子「ほれ、このグリーフシード使え」
さやか「えっ、いいの? これあんたのじゃ」
杏子「ストックはまだまだあるからね。1つくらいどってことないよ」
さやか「そっか。じゃあ遠慮なく使わせてもらおう。ありがとね」
杏子「ま、少しはまともになってきたと思うけどな」
さやか「え、ほんと?」
杏子「まだ全然足りねえけどな。以前に比べたらって話だからな」
さやか「わかってるよ、いちいち一言多いなぁ」
杏子「マミと同じ理想を語りたいならマミと同じくらい強くならなきゃいけないんだよ」
さやか「あーもう聞き飽きたよ、それ。口だけだったらなんとでも言えるってことでしょ」
杏子「そうだよ。今のあんたは実力が伴ってないから見てるとむかつくのさ」
さやか(意外と説教好きなんだよなぁ杏子)
杏子「そもそもマミはなぁ――」
さやか「わかったわかった。あんたがマミさん大好きなのはわかったから」
杏子「は、はぁ!? マミが大好きなんて言ってないだろ!」
さやか「二言目にはマミマミって、マミ病か。マミさんと変わらないじゃん、あんたも」
杏子「さ、さやかがマミに憧れてるからマミの話をしてるだけだ!」
さやか「マミさんに1番憧れてるのあんたじゃん」
杏子「バカ言え! あたしはあんな甘っちょろい綺麗事大嫌いだ!」
さやか「とか言って、本当はマミさんみたいになりたいんだろぉ~?」
杏子「……特訓の続きするよ。さっきよりも手数増やすからね」
さやか「憂さ晴らしに特訓であたしをボコすのはやめようよぉっ!」
さやか「も、マジ無理……死ぬ……」
杏子「はんっ、舐めた口きくからだよ」
さやか「ほんと疲れた……やばい……」
杏子「しょうがねえなぁ。あたしも腹減ったし、一旦休憩にするか」
さやか「お昼どうするの?」
杏子「家帰るか?」
さやか「えーもう動けなーい。なんか買ってきてよー」
杏子「金ないし」
さやか「そうだった……」
マミ「あ、いたいた。佐倉さん、美樹さん」
杏子「あれ、マミさ……マミ、なにしに来たんだい?」
マミ「お昼ご飯を作ってきたの。お腹を空かしてるんじゃないかと思って」
さやか「さっすがマミさん! ファインプレーですよ!」
マミ「よかったわぁ。じゃあ早速3人で食べましょう」
杏子「よっしゃ!」
さやか「おーおーマミさんの手料理がそんなに嬉しいんだね」
杏子「ちがっ……くないけど、単純に飯食えるから嬉しいんだよ!」
さやか「うまうま」
杏子「もぎゅもぎゅ」
マミ「もう、食べ物は逃げないから落ち着いて。口のまわり汚れてるわよ」
杏子「んあっ? どこ?」
マミ「拭いてあげるわ。じっとしてて」
杏子「ん……」
マミ「はい、これでよし。頬張らないで食べてね?」
杏子「りょーかい。もぐもぐ」
さやか「へぇ~へぇ~」ニヤニヤ
マミ「な、なにかしら? 美樹さん」
さやか「いやぁ、一晩でずいぶん仲良くなったんだなと思いまして」
マミ「そんなことないわよ? 昔に戻っただけで」
さやか「昔からこんなことしてたんだぁ。ふむふむ」
杏子「なんだよ……むかつくからそのニヤケ面をやめろ」
さやか「杏子ってマミさんに甘やかされてたんだね」
杏子「んなことねえ!」
さやか「でも杏子、マミさんにメロメロじゃん」
杏子「ぶ……ぶっ飛ばす!」
さやか「でもすごいなぁマミさん。あたしんちに来たときはこいつ全然言うこときかなくて」
杏子「ちゃんとおとなしくしてただろ」
さやか「パンツのことで騒いでたじゃん」
杏子「自分のパンツがなくなったら誰でも驚くっつーの!」
マミ「あの……そのパンツってなんのことなの?」
さやか「お風呂貸したときについでに下着も貸したんですよ。そしたら自分のじゃなきゃいやだーってうるさくて」
杏子「あ、あれはさやかがいやがるかと思ったんだよ」
マミ(誰かを泊めたときにはパンツを貸さなきゃダメなのね。覚えておきましょう)
マミ「じゃあ午後も特訓頑張ってね、美樹さん」
さやか「え、まだやんの?」
杏子「当たり前じゃん? 休憩とっただけだよ」
さやか「腹は膨れても体力は回復してないんですけど……」
杏子「え? 回復するだろ」
さやか「しないよ! あんたと一緒にすんな!」
杏子「わかったよ。ほらこれ」
さやか「これは……飴?」
杏子「甘いもの食べたら回復するだろ?」
さやか「だから食べ物は回復薬じゃないって!」
さやか「はぁ……はぁ……」
杏子「だらしねえなぁ。もう終わりかい?」
さやか「もうって……もう日が暮れるんだけど」
杏子「ったく時間がないってのに。まあいいよ。今日はもう終わりね」
さやか「うん、帰ろう……と言いたいところなんだけど……」
杏子「あんだよ」
さやか「ま、マジで足が動かない……助けて」
杏子「助けてって……どうすりゃいんだよ」
さやか「おぶって家まで連れてって」
杏子「虚弱体質め」
さやか「あ、あんたがタフすぎんのよ」
杏子「あー重い」
さやか「うっさい。育ち盛りだからしょうがないの」
杏子(たしかに……マミさんほどじゃないけど意外とあるな)
さやか「杏子? どうかした?」
杏子「どうもしないよ」
さやか「そう? なんか耳赤いけど」
杏子「気のせいだろ」
さやか「ふぅん……ふぅー」
杏子「うわぁっ!?」
さやか「いたっ! いったぁ……お、落とさないでよ」
杏子「お前が耳に変なことするからだろうが!」
木間市タワー
さやか「うぁーベッドーベッドー」
杏子「どこまで手間かけさせんだよ……ほら、着いたぞ」ボスッ
さやか「ぐはっ……投げなくてもいいじゃんか」
杏子「ベッドは柔らかいからいいだろ」
さやか「そういう問題かい……あー汗かいたしお風呂入らないと」
杏子「ったく、とんでもない遠回りになっちまったよ。じゃあな」
さやか「もう帰んの? もっとゆっくりしてけばいいじゃん」
杏子「いいよ。マミが待ってるし」
さやか「いや、残って。お願い」
杏子「なんでだよ」
さやか「今度はお風呂まで連れてってー」
杏子「はあぁ……本当にこいつで大丈夫なのか」
さやかちゃん?
さやか「ふはぁ~お風呂は生き返りますなぁ」
杏子「……せめえ」
さやか「気にしない気にしなーい」
杏子「つーか暑い! ただでさえ暑いのにお前がいるから余計暑い!」
さやか「えー? このくらいの暑さがいいんじゃん」
杏子「のぼせるから出る」
さやか「ちょっとぉ、最後まで付き合ってよ」
杏子「めんどくせえな」
さやか「裸の付き合いは大事ですよ」
マミさんは前菜という事かーーーーー!
杏子(しかしこうして見るとやっぱり……)
さやか「んお? どうしたどうした? さやかちゃんに見惚れちゃったかぁ~?」
杏子「んなわけねーだろ。締まりのねえ寸胴だなと思っただけだよ」
さやか「寸胴!? ちょっと聞き捨てならないよ今の言葉!」
杏子「事実じゃん」
さやか「ちゃんとくびれとかあんでしょうが! あんたこそジャンクばっか食べてるから全然育ってないじゃん!」
杏子「あたしはいいんだよ。こんなもん必要ないし」
さやか「あたしだって欲しいとは言ってないでしょ!」
杏子「でも欲しいんだろ?」
さやか「まあ、もう少しは欲しいっていうか、ここで止まっちゃうのはいやだね」
さやか「どうしたらマミさんみたいになれるのかなぁ」
杏子「ありゃ体質だろ」
さやか「むむむ……そういえば胸は揉まれると大きくなるという逸話があってだね」
杏子「ぶほっ!?」
さやか「うわ、どしたの?」
杏子「ま、マミの胸は違うだろ! 違うはずだ!」
さやか「いや、わかってるけど……っていうかどうしてあんたが焦ってんの?」
杏子(あ、あたしと会った頃にはもう結構大きかったし……あたしは関係ない、関係ないよな!)
さやか「うあーのぼせたー」
杏子「お前ってホントバカだよな」
さやか「扇いでくれ~」
杏子「あたしを小間使いかなにかと勘違いしてないか?」
さやか「してないよ。今日は1日特訓で疲れたんだからちょっとくらいいいじゃん」
杏子「あれはお前のための特訓なんだけどな」
さやか「いいコーチは飴と鞭を使い分けるんだよ。特訓は鞭ばっかだったから今は飴のターン」
杏子「どんな理屈だよ。まあいいけど」パタパタ
さやかちゃんすごい
杏子「さやかー」
さやか「んー?」
杏子「昨日はありがとな」
さやか「なんかしたっけ」
杏子「マミとのことだよ」
さやか「あーあれかぁ。仲直りはついでっていうか、あんたの泊まる場所相談しただけなんだけどね」
杏子「それでもさ。たぶん2人だけだといつまでも喧嘩してただろうから」
さやか「だろうね」
杏子「他にもいろいろと……ありがとな」
さやか「なに、どうしたの? あんたも実はのぼせてる?」
杏子「違うよ。本当に感謝してんだ」
さやか「あっそう……」
杏子「さやかの気遣いを迷惑とか言っちまって悪かったよ」
さやか「ちょっと、もうやめてよ。体がかゆくなってきた」
杏子「たまにはいいじゃんか」
さやか「じゃあもう少し特訓を易しくしてくれると助かるんだけど」
杏子「それはダメだ」
杏子(ちょっと遅くなっちまった。マミさん、もう晩飯作ってるかな)
ほむら「あら、杏子」
杏子「おお。どうした、こんなとこで」
ほむら「巴さんに話があったのよ。その帰り」
杏子「そっか。実りのある話はできたのか?」
ほむら「そうね、面白い話ができたわ」
杏子「お前らの面白い話って想像できないな」
ほむら「あなたは美樹さやかと特訓?」
杏子「そうだよ。お前が押し付けた難題だよ」
ほむら「その割には楽しくやっているようね」
杏子「まあつまらなくはないけどね」
ほむら「順調に仲も縮まってるようでなによりだわ」
杏子「ん……? そういやお前、なんか変なこと言ってたよな」
ほむら「なんのことかしら」
杏子「あたしがさやかに惚れるとかなんとか……結局あれってどういうことなんだよ」
ほむら「前も言ったでしょう。そのままの意味よ」
杏子「そう返ってくるとは思ってたけどね……ところでお前さ」
ほむら「なに?」
杏子「あたしとマミのこと、いつから知ってたんだ?」
ほむら「だいぶ前から」
杏子「誰から聞いたんだよ」
ほむら「あなたよ」
杏子「お前にそんな話するわけないだろ!」
ほむら「あなたは覚えてないでしょうね」
杏子(たまに意味わからねーんだよな、こいつ)
無さそうな漢字や言い回しを使ってみるっていうのは
だいたいが賭けだよね
杏子「お前の意味深な言動は今さらだとして、マミのこと知っててなんであたしがさやかに惚れると思ったんだ」
ほむら「統計よ」
杏子(余計わかんねえ)
ほむら「気にしないでいいわ。今は美樹さやかを鍛え上げることだけを考えてちょうだい」
杏子「ああ、わかったよ。どうせなに聞いても意味わからん答えしか返ってこないしな」
ほむら「あんまり巴さんと惚気ないようにね」
杏子「惚気てねえ!」
ほむら「だといいのだけれど」
ベッドの上では可愛くなっちゃうあんこたん
数日後
さやか「おりゃ! へへ、どーよ?」
杏子「やっと普通ってところかな」
さやか「これで普通!?」
杏子「魔法少女なんだから魔女倒せるのは普通だろ」
さやか「言われてみればそうだけど……ちょっとくらい努力を認めてくれたっていいじゃん!」
杏子「認めてるよ」
さやか「え」
杏子「あたしの特訓についてきてるしね。さやかはよく頑張ってるよ」
さやか「あ……はい」
ところでほむらちゃんはどうやってマミをたらしこんだんだろう
数々のループで鍛えた性技か
さやか「なんかさーあんた変わったよね」
杏子「あたしが? 気のせいだろ」
さやか「ううん、絶対変わった。っていうか丸くなった」
杏子「そうか? 自分じゃわかんないな」
さやか「やっぱりマミさんはすごいなぁ。杏子を飼い慣らしちゃってるよ」
杏子「あたしはペットじゃねえぞ、コラ」
さやか「完璧に餌付けされてるじゃん」
杏子「餌付けじゃねえ! ったく……そういや昨日マミにも似たようなこと言われたな」
さやか「へぇーなんて?」
杏子「んーと……」
マミ 「かわいいわ、私の杏子」
あんこ 「いやん、やめてーお姉さまぁん」
みたいな脳内補充でおk
マミ「やめて佐倉さん!こんなことおかしいわ!」
杏子「へっへそんなこといったってこんななっちゃってんじゃんかよマミさんよぅ、本当はイイんだろ?」
のほうが正しい
杏子「マミさぁん……」クテッ
マミ「あらあら、どうしたの? 眠いならベッドで寝た方がいいわよ」
杏子「今日もさやかの特訓で疲れたんだよ。少しだけいいでしょ?」
マミ「しょうがないわね。甘えんぼさんなんだから」
杏子「たまに甘えるくらいいいじゃんか」
マミ「誰もダメとは言ってません」
杏子「えへへ、マミさぁん」スリスリ
マミ(……可愛い)
マミ「佐倉さん、最近楽しそうよね」
杏子「そう?」
マミ「ええ。美樹さんとの特訓がよっぽど面白いのね」
杏子「まあそうかな。あいつは鍛え甲斐あるよ」
マミ「そうね。美樹さんを見てるとこっちも元気をもらえるものね」
杏子「やかましいとこだけが取り柄だからね」
マミ「やっぱり佐倉さんが変わったのは美樹さんのおかげね」
杏子「別にあたしは変わってないし。さやかも関係ない」
マミ「あらあら、素直じゃないのね」
杏子「なんだよもう……また子ども扱いして」
マミ「ふふ、ごめんなさい」
杏子「……」
さやか「んで、なんて言われたの?」
杏子「いや、やっぱ気のせいだった」
さやか「え? 今明らかになんか思い出してたでしょ。なんだったのよ」
杏子「なんでもねえって、気にすんな」
さやか「そういうのが1番気になるのよ!」
杏子(こいつに言ったら絶対調子のるからな。やめとこ)
さやか「教えろー!」
マミさんの食べるお菓子になってマミりたい
はーーーーーん
保守ん
さやか「いやーすいませんねー。晩ご飯ごちそうになるなんて」
マミ「気にしないで。美樹さんなら大歓迎よ」
杏子「食ったらさっさと帰れよ」
さやか「マミさーん、杏子が冷たーい」
杏子「なんでいちいちマミに言うんだよ!」
マミ「佐倉さん、いくら仲が良いからってあんまりひどいこと言っちゃダメよ」
杏子「わかってるよ……」
さやか「よくしつけられてるみたいだね」
杏子「さやか、後で覚えてろよ?」
さやか「ところであんたはマミさんの手伝いしないでいいの?」
杏子「あん? あたしは不器用だから、手伝ったら逆に邪魔になる」
さやか「あー杏子って家事とかダメそうだもんね」
杏子「そういうのを偏見って言うんだぞ」
さやか「じゃあできるの?」
杏子「料理はできないけど、それ以外ならたぶん、人並みには……」
さやか「あー杏子ってサバイバルとか得意そうだもんね」
杏子「よっぽどボコボコにされたいみたいだね」
さやか「マミさーん」
杏子「だからいちいちマミに言うなよ!」
さやか「あんたさ、その謙虚な態度をあたしの前でもできないの?」
杏子「なんでお前相手に謙虚にならなきゃいけないんだよ」
さやか「ははーん。やっぱりマミさんは特別なわけね」
杏子「ちがっ……ちげーよ! マミは先輩だからいろいろと頭が上がらないとこがあんだよ!」
さやか「この前までぶっ倒すとか言ってたくせに」
杏子「うるせーな、あれは別だ。今はマミさんにひどい態度とって悪かったと思ってるよ」
さやか「え、マミさん?」
杏子「あ……」
3人でなかよしフラグ
さやか「あんたもしかして普段はマミさんって呼んでんの?」
杏子「呼んでねえ、呼んでねえからな!」
さやか「へー杏子がマミさんかーふーん」
杏子「なんだその顔は……なに笑ってんだオイ!」
さやか「いやーいいんじゃない? マミさん。先輩だもんねぇ」
杏子「い、今のは昔の呼び方が出てきちまっただけだっつーの!」
さやか「無理しないでいいって。これからはあたしがいても気にせずにマミさんって呼んでいいよ」
杏子「だから……そのニタニタ気持ち悪い顔をやめろー!」
マミ「そんなことで喧嘩してたの?」
さやか「あたしはなんもしてないですよ。杏子が急に怒るから」
杏子「お前があたしをバカにするからだろうが」
さやか「バカにしてないって。無理して呼び捨てにするより普通にマミさんって呼べばって言っただけじゃん」
杏子「あの顔は絶対バカにしてた」
さやか「ちょっと驚いただけだって」
杏子「あのニヤニヤ顔が驚いてただとぉ……?」
マミ「はいはい。食事中なんだから暴れないでね」
さやか「マミさんと家にいるときの杏子ってどんな感じなんですか?」
マミ「どんな感じ、ねぇ……」
杏子「言わなくていいよ、マミさん。どうせまたあたしをからかう気なんだ」
マミ「そうかしら? 美樹さんはあなたのことを知りたいだけだと思うけど」
杏子「こいつがそんなこと考えてるはずがない」
さやか「もう、杏子は黙ってて。それでどんな感じなんですか?」
マミ「そうねぇ……」
杏子「……」ドキドキ
マミ「すっごく可愛いわ」
さやか「可愛い? 杏子が?」
マミ「ええ、可愛いの」
さやか「杏子が可愛い……? かっこいいならまだわかりますけど」
マミ「あら、美樹さんは佐倉さんのことをかっこいいと思ってるの?」
さやか「まあ……戦ってるときのこいつはかっこいいと思いますけど、それだけですよ」
マミ「だって。よかったわね、佐倉さん」
杏子「も、もうこの話は終わり! ほら、2人とも箸が止まってるよ!」
マミ「あらあら、照れちゃって」
さやか「照れてますね~」
杏子「照れてねえ!」
ちょーーっと杏子ちゃんが大変かな
さやか「それじゃあお邪魔しましたー」
マミ「そこまで送っていくわ」
さやか「別に平気ですよ」
杏子「そうそう。誰もこんなやつ狙わないって」
さやか「なんだとぉ……」
杏子「マミさんは休んでてよ。さやかはあたしが送ってくるから」
マミ「それじゃあよろしくね」
杏子「オッケー。あ、食器はあたしが洗うからそのままでいいよ。んじゃ行くよ、さやか」
さやか「あ、うん」
さやか「なんかいいなぁ、あんたとマミさん」
杏子「ん? なにが?」
さやか「なんていうかこう、お互いをわかりあってる感じがして」
杏子「なに言ってんだよ。さやかのおかげじゃん? さやかがいたから今のあたし達がいるんだよ」
さやか「でもその中にあたしはいないし」
杏子「はぁ? あたし達は仲間だろ」
さやか「そういうことじゃなくてさ……」
杏子「なにが物足りないんだい?」
さやか「つまりね……」
杏子「おう」
さやか「つまり……杏子はマミさんを独占しすぎ!」
杏子「独占ってなんだよ」
さやか「マミさんはあたしの先輩でもあるのに杏子だけズルい」
杏子「ズルいって言われてもなぁ……今は一緒に暮らしてるからしょうがないじゃん?」
さやか「しょうがなくない。これ以上の独占はダメ! 独占禁止法違反です!」
杏子「なんだよそれ……あたしにどうしろって言うのさ」
さやか「杏子がマミさんを独占しないように、あんたにはあたしと関わる機会を増やしてもらいます」
杏子「なんだそりゃ。今だって毎日会ってるじゃんか」
さやか「それじゃまだダメです。あんたは帰ってからずーっとマミさんといるわけでしょ。全然足りてないよ」
杏子「だからってどうすんだよ。さやかは学校があるんだからこれ以上特訓の時間とれないだろ」
さやか「あんた、ケータイとか持ってないの?」
杏子「あのな……親もいない、金もないでどうやってケータイ持つんだよ」
さやか「だよねぇ……どうしよっか」
さやか「そうだ。こういうときこそ魔法だよ」
杏子「魔法でどうすんだよ」
さやか「電話みたいに会話できる魔法を作ればいいのだ!」
杏子「マジかよ……っていうか魔力使うのかよ」
さやか「そんな大量に使うことはないでしょ」
杏子「ならいいんだけど」
さやか「じゃあ早速作ろう」
杏子「え、今ここでか?」
さやか「当たり前でしょ。ほら、やるよ」
マミ「そろそろ寝ましょうか」
杏子「そうだなー……うわっ」
マミ「どうしたの?」
杏子「な、なんでもない。ちょっとベランダ出て外の空気吸ってくる」
マミ「ええ。じゃあ先にベッドに入ってるわね」
杏子「うん、温めといて」
さやか『やっほー。聞こえるー?』
杏子「聞こえてるよ。もっと小さい声でいい」
さやか『そう? うまくいってよかったねぇ』
杏子「お前な、もうちょいはやくしろよ。こっちはもう寝るとこだったんだぞ」
さやか『あ、ごめんごめん。お風呂入っててさ』
杏子「ったく……」
さやか『そっかー杏子は今からマミさんと寝るところだったんだぁ』
杏子「なんでそうなるんだよ!」
さやか『冗談だって。いくらあんた達でも本当に一緒に寝てたりはしないよね』
杏子「……ああ」
さやか『ちょっと、今の間はなに?』
杏子「いや、なんか電波が悪いみたいでうまく聞き取れなかったんだよ」
さやか『あ、そっかそっかぁ……ってこれ電波関係ないでしょ!』
杏子「ちっ、バレたか」
さやか『もしかしてあんた、本当にマミさんと……』
杏子「た、たまにだよ! マミさんが寂しいとか言ってきたときだけだ!」
さやか『あっそ……そりゃよーござんしたね』
【まどか☆マギカ】マミ×キュゥべえスレ3
幾多のキュゥマミSSを見たがいまだにこのネタを使ったキュゥマミSSはない
パターン1
マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
マミ「今日も紅茶が美味しいわ」
パターン2
QB「うううっ……マミ、どうして、死んじゃったんだよ、マミを蘇らせて欲しい」
まどか「私の願い事はマミさんの蘇生。叶えてよインキュベーター!」
パターン3
マミ「あなた誰なの?」 QB「前の個体は処分した」
QB「『前の僕』、は精神疾患を『患い』かけていたからね。『僕達』にとっては、『煩わしい』存在でもあったしね」
こんな感じの旧QB蘇生キュゥマミ魔法少女全員生存ワルプルギス撃破誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
マミ「ええ。じゃあ先にベッドに入ってるわね」
杏子「うん、温めといて」
この会話がエロい
SS誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
エーベルージュ
センチメンタルグラフティ2
Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
初恋ばれんたいん スペシャル
ファーランド サーガ1、2
MinDeaD BlooD 4
【シヴァンシミター】WOG【クリムゾンクルセイド】
さやか『まあいいや。じゃあ今日はもう寝るね』
杏子「ん。体冷やさないようにな」
さやか『あんたはマミさんがいるから暖かいもんねぇ』
杏子「今日は一緒に寝るわけじゃねえよ!」
さやか『はいはい……あ、そうだ。暇なときこれで連絡してもいい?』
杏子「あん? そのために作ったんじゃないのか」
さやか『そういえばそうだったね。じゃあたまに連絡するから無視しないでよ。おやすみ』
杏子「わかってるよ……おやすみ、さやか」
数日後
杏子「またかよ……はいよ」
さやか『おいーっす。今大丈夫?』
杏子「大丈夫だけどなぁ……休み時間の度に連絡してこなくてもいいんじゃないか?」
さやか『別にいいじゃん。どうせあんたも暇でしょ?』
杏子「たまに連絡するだけじゃなかったのかよ」
さやか『あんたとマミさんが一緒にいる時間を考えたらこれでも足りないくらいだよ』
杏子「そうかぁ? まあ暇潰しにはなるからいいけどね」
本妻=マミ
愛人=さやか
になってきたな
まどか「さやかちゃん、また杏子ちゃんと電話してきたの?」
さやか「そだよー」
ほむら「電話? あの子、携帯電話なんて持っていたかしら」
さやか「ケータイじゃないけどね。ケータイみたいなもん?」
ほむら「携帯みたいなもの? PHS?」
さやか「違う違う。そういう魔法を作ったの」
ほむら「あなた達が? すごいわね」
さやか「ふふっ、まあね」
マミ「面白い魔法を開発したそうじゃない」
杏子「ああ、マミさんも話聞いたんだ。さやかと2人で連絡がとれるような魔法を作ったんだ」
マミ「どうして私に教えてくれなかったの?」
杏子「だってあたしとマミさんは家でいつでも会えるでしょ?」
マミ「そう、ね……最近あなたがよくベランダに出てたのは美樹さんと話してたの?」
杏子「うん。さやかのやつ、やけに連絡してくるんだよ」
マミ「……嬉しそうね」
杏子「そ、そんなことないって。鬱陶しいくらいだよ」
マミ「……」
嫉妬マミマミ
マミ「ねぇ、佐倉さん……」ギュッ
杏子「マミさん、どうしたの?」
マミ「向こうの部屋、行きましょう」
杏子「もう寝るの?」
マミ「寝るわけじゃないけど……」
杏子「……今すぐ?」
マミ「ダメ?」
杏子「ううん……いいよ、マミさん」
さやか『もぉ~何度も連絡したんだけど』
杏子「悪い悪い、洗面所にソウルジェム忘れちゃって」
さやか『気をつけてよね。なにかあったかと思ったじゃん』
杏子「なにかってなんだよ。あたしがやられたとでも思ったのか?」
さやか『少しは……』
杏子「ありえねえよ。まだくたばるわけにはいかないだろ」
さやか『まだって、いつかはありえるってこと?』
杏子「そりゃいつかは死ぬもんだろ」
さやか『そうだけどさ……』
杏子「なに落ち込んでんだよ。別に死にたいって言ってるわけじゃないよ」
さやか『わかってるよ。あんたって殺しても死ななそうだし』
杏子「褒め言葉ってことでいいんだよなぁ、オイ」
さやか『さぁねぇ。まあ杏子が死にそうになったらあたしが守ってあげるから』
杏子「シロートに毛が生えたレベルのさやかに守ってもらう程落ちぶれちゃいないよ」
さやか『なにおう!? あたしだって最近は結構やれるようになってるじゃん!』
杏子「でもあたしやマミさんに比べたらまだまだだろ。この前だって危なかったし」
さやか『うん……あのときは杏子がいなかったらまずかったかも』
杏子「安心しろよ。さやかのことはあたしが守るから」
さやか『うわ、キザっぽい』
杏子「うるせえ、あたしも言ってからちょっと後悔したよ」
さやか『でも嬉しいよ。ありがと、杏子』
杏子「ん、ああ……」
さやか『話変わるけどさ、以前魔法少女には魔法少女しかいないって言ってたよね』
杏子「あたし達に同類なんて他にいないからね」
さやか『じゃあさ、一緒に生きていけるのも魔法少女しかいないんだよね』
杏子「なんだよ、まだあのボーヤに未練あるのか?」
さやか『そういうことじゃないよ。ただ、あたしもパートナーが欲しいなって思って』
はーい!2人組作ってー!
まどほむ「イチャイチャ」
まみあん「イチャイチャ」
さや→オクタヴィア
こうか?
さやか『杏子……あたしのパートナーになってよ』
杏子「は……?」
さやか『今はまだ足手まといかもしれないけど、絶対強くなるからさ。そしたらあたしのパートナーになってよ』
杏子「んー……なってやりたいけど、あたしにはマミさんがいるから」
さやか『うん、そうだよねぇ。わかってた。あはは、冗談半分で言っただけだから気にしないで』
杏子「なあ、3人じゃダメか?」
さやか『3人って?』
杏子「あたしとさやかとマミさんの3人じゃダメなのか? パートナーじゃなくてチームってことでさ」
さやか『実現できたらいいと思うけど、たぶんそれうまくいかないよ』
杏子「そうか? みんな仲良いから大丈夫だと思うんだけど」
さやか『やめた方がいいよ。あんたは今までどおりマミさんと組んでればいいじゃん』
杏子「でもさやかもあたしと組みたいんだろ?」
さやか『うん。でも……』
杏子「だったらマミさんに聞いてみるよ。マミさんなら喜んでオッケーしてくれると思うから」
さやか『だ、ダメだよ』
杏子「大丈夫だって。明日にはいい返事聞かせてやるから待ってろよ。じゃあな」
さやか『あ――』
杏子「マミさん、ちょっと話があるんだけどいい?」
マミ「どうしたの?」
杏子「さやかがさ、あたしとパートナーになりたいって言ってんだよ」
マミ「……それで?」
杏子「でもあたしにはマミさんがいるでしょ? だから3人でチームならどうかなって思って」
マミ「ただ魔女を倒すためだけのチームってこと?」
杏子「そうだよ」
マミ「本当に? 美樹さんはそう言ってた?」
杏子「どうしてそんなこと気にするんだ?」
マミ「きっと美樹さんの言うパートナーにはもっと違う意味があるはずよ」
杏子「どんな?」
マミ「推測はできるけど……これは本人にちゃんと聞いた方がいいわね」
杏子「あ、じゃあ今から聞いてみるよ」
マミ「いいえ、明日3人で話しましょう。その方が誤解も少なくて済むわ」
杏子「それもそうだね。わかった」
翌日
マミ「美樹さん、紅茶でいい?」
さやか「あ、じゃあそれで」
杏子「ジュースが飲みたいなら買ってきてやるぞ」
さやか「飲みたいのはあんたでしょうが」
杏子「バレたか」
マミ「はい、紅茶」
さやか「ありがとうございます」
マミ「それじゃあ早速本題だけど……佐倉さんとパートナーになりたいのよね?」
さやか「はい、そうです」
マミ「それはどういう意味のパートナーなの?」
さやか「魔法少女として一緒に生きていくためのパートナーです」
マミ「はぁ……やっぱりね」
杏子「……本気?」
さやか「当たり前でしょ。あたしはあんたとこの先ずっと生きていきたいの」
さやかちゃんのほうがヤンデレなのか
マミ「佐倉さん、これでわかった? チームなんて無理な話なの」
マミ「私も美樹さんも……あなたのことを独占したいのよ」
さやか「そういうことだよ。仲良くやるなんて絶対無理」
杏子「……」
杏子(あたしはどうすればいいんだ……)
マミ「でもね美樹さん、あなたが佐倉さんと生きていくなんて本当にできるのかしら」
さやか「どういう意味ですか?」
マミ「今佐倉さんの面倒をみてるのは私よ。あなたに同じことができるの?」
さやか「うっ……」
マミ「それとも家を出て佐倉さんと2人で生きていくつもり?」
さやか「……」
マミ「半端な覚悟ならやめてちょうだい。誰も幸せになれないわ」
マミ「もしかして……佐倉さんを私の家に住まわせたまま、私から佐倉さんを奪おうと思ったの?」
杏子「マミさん、奪うだなんてそんな……言い方きついよ」
マミ「事実だもの。まさかこんなむしのいい考えではないと思うけど。どうなの? 美樹さん」
さやか「そ……そこまで考えてませんでした」
マミ「そう。じゃあこの話はこれで終わりね」
さやか「待ってください! こういうときは杏子の考えも聞くべきじゃないですか!?」
マミ「それはあなたがちゃんとした考えを持ってからの話よ。今の状態で佐倉さんに選択を委ねようだなんてただの甘えだわ」
さやか「でも、でもぉ……」
マミ「話は終わりよ……ごめんなさい、美樹さん」
杏子「……」
ほむら「ずいぶんと気の抜けた様子ね」
杏子「うん、まあね……」
ほむら「なにがあったのかだいたい予想はできるけれど、呆けてる場合なの?」
杏子「あたしさぁ……この街に戻ってこない方がよかったのかな」
ほむら「さぁ。私にはわからないわね」
杏子「はは、だよなぁ……」
杏子「ワルプルギスの夜が来るのは1週間後だっけ」
ほむら「そうね」
杏子「それが終わったら、元いた街に帰るよ」
ほむら「そう」
杏子「どうでもよさそうだな」
ほむら「さして関心のある事柄でもないから」
杏子「そりゃそうか」
ほむら「そういえば1つだけ聞いておきたいことがあったわ。私の予想は当たったの?」
杏子「ああ、あれか……当たってない」
ほむら「そう」
杏子「……当たってなかったらもっと楽だったんだろうね」
ほむら「あの予想、言わない方がよかったかしら」
杏子「たらればの話してもしょうがないじゃん?」
ほむら「そうね、そのとおりだわ」
杏子「やっぱり……魔法少女が幸せになるなんて無理なんだな」
1週間後
ほむら「はぁ、はぁ……倒した、の……?」
さやか「バカ、それは死亡フラグだ!」
マミ「いえ……その心配はないようよ」
ほむら「だ、ダメよ。まだ油断しちゃ……」
マミ「終わったのよ……私達、ワルプルギスの夜を倒したのよ! やったわ、暁美さん!」
ほむら「ほ、本当に……? 遂に、遂にやったの? 私、まどかを救うことができたの?」
さやか「まどかどころか街のみんなを救えたんだよ! あたし達勝ったんだよ、ほむら! ね、杏子――あれ、杏子?」
さやか「杏子……どこ行ったの? 杏子?」
ほどかのはSS速報に移った
【まどか☆マギカ】マミ×キュゥべえスレ3
幾多のキュゥマミSSを見たがいまだにこのネタを使ったキュゥマミSSはない
パターン1
マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
マミ「今日も紅茶が美味しいわ」
パターン2
QB「うううっ……マミ、どうして、死んじゃったんだよ、マミを蘇らせて欲しい」
まどか「私の願い事はマミさんの蘇生。叶えてよインキュベーター!」
パターン3
マミ「あなた誰なの?」 QB「前の個体は処分した」
QB「『前の僕』、は精神疾患を『患い』かけていたからね。『僕達』にとっては、『煩わしい』存在でもあったしね」
こんな感じの旧QB蘇生キュゥマミ魔法少女全員生存ワルプルギス撃破誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
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