矢部「た、大変でやんす!パワプロくんが記憶喪失でやんす!」 (11)

パワプロ「オラァ!!もっと声出して走れェ!!!」

あおい「えっほえっほ」

矢部「えっさえっさ」

パワプロ「聞こえねーよ、雌豚!!」

グイッ

あおい「…いたっ!!」

矢部「パワプロくん!暴力はダメでやんす!」

ザコプロ「そうだそうだ」

パワプロ「やかぁましぃ!!」

ビシンッ

竹刀でザコプロの頬をぶっ叩く

ザコプロ「ぐふぅ」

パワプロ「俺達の目指している場所はなんだ」

ザコプロ「甲子園…」

パワプロ「聞こえない」

ザコプロ「甲子園!!甲子園甲子園‼!!甲子園!!!!!甲子園!!!」

ザコプロ2「甲子園!!!甲子園!!!!甲子園!!!!!」

矢部「ヒッ…」

あおい「甲子園も大事だけどこんなのチームじゃないよ…!」

パワプロ「指図すんな!!(バシンッ」

あおい「…ううっ」

ザコプロ「甲子園甲子園甲子園甲子園甲子園甲子園甲子園甲子園」

パワプロ「そうだ、それでいい」

―練習終了後―

パワプロ「いつものあれやるぞ」

矢部(またでやんすか…)

パワプロを中心にチームメイトが円陣を組む

ザコプロ「我々は神によって生み出された生命体」

ザコプロ2「聖地甲子園が我らの住処」

ザコプロ3「甲子園こそ我々の所有地……!!」

矢部「甲子園だけ目指す」

一同「甲子園、甲子園、甲子園、甲子園、甲子園甲子園」

パワプロ「ファイッ!オー!」

一同「オオオオオオオオオーーーッ!!」

部室には「甲子園」と書かれたお札がズラリと壁に貼られていた

去年、初戦敗退で甲子園を逃したパワプロ達

来年が3年で甲子園に行く最後のチャンスのためパワプロの指導法が変わった

ザコプロ「ふぅー、今日も練習疲れた」

ザコプロがスパイクのまま部室に入ると

パワプロ「バカ野郎…!!!!(バシンッ」

パワプロはすかさず竹刀で頭を叩いた

ザコプロ「ううう!!」

あおい「まただ…」

パワプロ「土足で神聖な部室に入ってんじゃねぇぞ!オラァ!!!」

パワプロ「部室は神様が存在する神聖な場所だ」

パワプロ「今度、土足で入ったら首の骨へし折るぞ」

ザコプロ「ヒッ…」

パワプロのチームメイトに対する虐待は毎日のように続いた

チームメイト達は次第にパワプロの方針についていけず…

バタッ

ザコプロ「はぁはぁ…もう走れない…」

あおい「ザコプロくん!あと50周だから頑張ろう!」

ザコプロ「ふざけんな…何があと50周だ…くそっ・・」

パワプロ「おい」

ザコプロ「ヒッ」

グリグリ

スパイクの裏でザコプロの後頭部を踏みつける

―その夜―
パワプロ「…よし、帰るか」

部室の戸締りを終え学校を出ようとした時

スタスタ

背後から足音が聞こえて来る

パワプロ「…ん」

振り返ろうとした瞬間

ガスッゴスッ

パワプロ「…!!!!!!!」

とんでもない衝撃が頭部に響く

恐らく、金属バットの感触である

痛みで転げ回るパワプロを容赦なくバットで打ち続ける犯人

既に時刻は22時を回っており辺りは暗いため犯人の顔を確認することができない

何度も何度も頭をバットで打ち続けられていくうちに意識が薄れていく

パワプロ(誰……なんだ…く……そっ)

パワプロは無事に意識を失った

……



気が付くとパワプロは学校の保健室のベッドで眠っていた

パワプロ「………あ」

矢部「パワプロくん!」

あおい「良かった…意識が戻って……」

パワプロ「……」

矢部「どうしたでやんすか?」

パワプロ「あの……君達は誰…?」

あおい「え、なに言ってるのパワプロくん?」

矢部「オイラ達、パワプロくんの友達でやんす!」

パワプロ「……そんな…俺は君達を知らない…」

あおい「これって…もしかして…」

矢部「き、記憶喪失でやんす!!!!」

パワプロ(記憶喪失) 球速156km コンB スタA フォーク7 スライダー2 カーブ4 シュート5

パワプロは保健室の先生に記憶喪失と診断され

しばらくは、部活を控えるように勧められた

パワプロ「あ…俺、野球部だったんですね…」

加藤「しばらくは野球も休むようにね」

あおい「うん、良い機会だからゆっくり休もうパワプロくん」

パワプロ「いや、野球部の一員としてそんな無責任な真似はできないよ」

矢部(記憶喪失になってから、パワプロくんが頼もしく見えるでやんす)

パワプロ「球拾いとかでいいから、参加してもいいかな?」

あおい(球拾い…以前のパワプロくんなら絶対にそんなこと言わなかったのに)

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