ほむら「あの子の守ろうとした世界で」(144)


某ビル屋上


QB「なるほど……」

QB「確かに君の話は、一つの仮説としては成り立つ」

ほむら「本当の話なのだけどね」

QB「だとしても証明のしようがない」

QB「結局、それは君の頭の中の夢物語と区別はつけられないよ」

ほむら「………」


QB「だけど魔女の概念というのは興味深いね」

QB「事実、浄化しきれなくなったソウルジェムがなぜ消えるのか……」

QB「僕たちにもその理由は分かっていない」

QB「その点、君の言う“まどか”とやらの存在を認めると意外にも辻褄があってしまう」

QB「もっとも、それだと“神”の存在を認めることになってしまうけどね」

ほむら「魔獣がいて、魔法少女がいる」

ほむら「だったら神様がいたって、おかしくもないでしょう?」

QB「それとはまたレベルが違うと思うけどなぁ……」


QB「人間たちの間でさえ、その形は様々だ」

QB「“神”だなんて、とてもじゃないけどあいまいな存在過ぎるよ」

ほむら「それをいえば、魔獣や魔法少女だって、普通の人の間では伝説に過ぎないものよ」

ほむら「それが今、こうして存在している」

ほむら「だったら神様だって、どこかでひっそりと存在してるかも知れないじゃない」

QB「まぁ、そう考えるのも悪くはないね」


ほむら「……!」

QB「……来たね」


オオオオオオ……

QB「今夜はずいぶんと瘴気が濃いね」

QB「魔獣どもが次から次へと沸いてくる」

ほむら「今日だけで結構やったとは思ったのだけど」

ほむら「まぁ、ぼやいても仕方がないわ」

ほむら「行くわよ」スッ

QB「うん」ピョン

ほむら「しっかりつかまってなさい」

バッ!


ゴオオオオッ!

ほむら(しかし、ビルから飛び降りるのって結構きついわね)

ほむら(髪が上に引っ張られるし、スカートがすごいことになるし……)

ほむら(まぁ、少しばかり魔法を使えばどうにかなるのだけど)

ほむら(問題は……)



QB「ふおおおおおおお!」ゴオオオオ!

ほむら『……相変わらずすさまじいわね』

QB「ぶるぅあああああ!」ゴオオオオオ!


QB「きゅぶうう!」

QB「鼻にっ!鼻にくるよっ!」

QB「まだ続くのかい!?」

ほむら『まだ着かないのかって?』

ほむら『そうね、まだまだね』

QB「なんでこんなに高いところを選んでるんだいキミはああ!」

ほむら『見滝原全体が見下ろせるのよ?』

ほむら『お気に入りの場所なの』


QB「だからって飛び降りる必要はないだろうううう!?」

ほむら『格好いいじゃない』

QB「わけがわからないよおおお!」

ゴオオオオッ!

ほむら「っと、そろそろね」

ほむら「はっ!」


バサッ!

ほむら「着地」スタッ

QB「きゅぶいっ!」ガチン!


ほむら「あら、大丈夫?」

QB「うおぉっ……唇をかんだよ……」

ほむら「あなたに唇なんてあったのね」

ほむら「肩に乗るのはいいけど、その血で汚さないでちょうだい」

QB「相変わらずだね、暁美ほむら……」


魔獣s「オオオオオン……」


ほむら「それじゃ、いくわよ」キリキリキリ…

QB「きゅっぷい!」


~~~~~~~~~~~~

ほむら「これで……最後!」パシュッ!

ズバッ!

魔獣「オオオン……」


QB「見事だったよ、暁美ほむら」

ほむら「見世物じゃないのだけれど」

QB「兎に角、ここら一帯の魔獣は全部狩り終わった」

QB「ソウルジェムを浄化しておいた方がいいんじゃないのかい?」

ほむら「そうね。グリーフシードを集めてきれいにしておきましょう」


シュワアアア……

ほむら「……思ったのだけど」

QB「なんだい?」

ほむら「一つのソウルジェムを浄化するのに対して、複数のグリーフシード」

ほむら「これってなかなか効率悪いわよね」

QB「効率が悪いのは重々承知しているよ」

QB「それが僕らのエネルギー回収における最大の問題でもある」

QB「これが解決すれば、僕らだって万々歳なんだけど、未だにその方法は見つかっていない」


QB「……しかし」

ほむら「?」

QB「先程君の話してくれたものは非常に興味深い」

QB「ソウルジェムが魔女に変化するとして、その際に開放されるエネルギーを回収する」

QB「当然それは莫大なエネルギーを有しているわけだから、効率は桁違いに上がるね」

QB「そして生まれるのはグリーフシードを生み出す“魔女”」

QB「なかなかうまい具合にサイクルしている」

ほむら「………」


QB「濁りきったソウルジェムの消える前にエネルギーを回収する方法……」

QB「これを見つけたら僕らの回収効率も上がるかもしれないよ」

ほむら「……ふふっ」

QB「なにがおかしいんだい?」

ほむら「いいえ……」

ほむら「ただ、そういえばあなたたちってそういう奴らだったってことを思い出しただけ」

ほむら「ただただ効率、合理的なことだけを求める、感情のない宇宙人」

QB「まったく、キミは失礼なやつだなぁ」

ほむら「あら、私なりにほめてるのよ?」

QB「ずいぶんと辛口だね」


ほむら「辛口評価だと思えるほどにはあるのね」

QB「皮肉的な意味合いを感じる言葉を見つけただけさ」

QB「キミこそ、さっきの言葉を辛口と認めるのかい?」

ほむら「ええ、そうね。皮肉のつもりで言ったもの」キッパリ

QB「………」


ほむら「……さて、そろそろ帰りましょうか」

QB「そうだね」

ほむら「またうちに来るの?」

QB「だめなのかい?」

ほむら「……別に。好きにすればいいわ」


ほむほーむ


ほむら「ふぅ」トサッ

QB「お疲れ様だね」

ほむら「何もしてない奴から言われるのって、結構むかつくわ」

QB「僕だってちゃんとした仕事やってるんだよ」

QB「あちらこちらにいる魔法少女から、使い終わったグリーフシードを集めたりしたりね」

ほむら「でもあなたって多数の個体がいるから、基本的に一定の地域から動かないじゃない」

ほむら「あちこち駆け回って魔獣を倒している私たちに比べれば楽でしょうに」

QB「まぁ、その可能性も否めないこともないね」


ほむら「ご飯ご飯……」トトト…

QB「きゅぷあぁ……」ノビー…


ほむら「……面倒だから昨日の残りにしましょう」

QB「またかい?」

QB「そんな栄養の偏ったものばかり食べてるから、発育がよくないんだと思うよ」

QB「特にキミの―――」

ほむら「………」キリキリ…

QB「長期保存をできる食事を用意してるなんて、キミはなかなか計画的だよね。うん」


QB「それはそうと僕のはまだかい?」

ほむら「勝手に来てるくせにずうずうしいわね……」

キリ、キリ……カポ

ほむら「はい、どうぞ」コト

QB「今日は鯖缶か」

ほむら「文句でもあるのかしら?」

QB「別にないよ」キュプキュプ

ほむら「缶詰って便利よね。あけるだけでいいんだもの」


ほむら「………」ホムホム

QB「………」キュプキュプ


QB「そういえば、今日は珍しくマミや杏子と会わなかったね」

ほむら「たまたま時間が合わなかっただけじゃないの?」

QB「そうなのかい」

QB「まぁ、キミは基本ソロプレイだしね」

ほむら「悪いかしら?」

QB「別にかまわないと思うよ」


QB「案外そっちの方が正解かもしれないね」

QB「魔獣一匹から取れるグリーフシードの量は少ない」

QB「チームを組んだら、それこそ取り合いになるかもしれない」

ほむら「……別にあの二人となら、そんな問題は起きないでしょう」

QB「……へぇ」

ほむら「……なによ」

QB「別になんでもないさ」

QB「ただ、彼女たちに対して絶対的な信頼を置いているんだなあ、と思っただけだよ」

QB「それだけ、彼女たちのことを分かってるんだね」

ほむら「………」フイ


QB「それこそチームを組んで互いに背中を預けられるほどに、だ」

ほむら「なにが言いたいのよ」

QB「キミが本当は『彼女ら二人とチームを組むのも悪くないと思ってるんじゃないか』と思ってね」

ほむら「………」


ほむら「……で、誰の差し金かしら?」

QB「……やれやれ、ばれてしまっては仕方ないか」

QB「勧誘には自信があったのだけど」

ほむら「昔のあなたのおかげで、相手の裏をみるのが得意になったのよ」


QB「マミだよ」

ほむら「大方予想はついてたわ」

QB「以前からキミをチームに入れたがってたからね」

QB「実際、時折協力するキミはなかなかいいプレイをするじゃないか」

QB「まるで昔から組んでいたかのように」

ほむら「……まぁ、あながち間違いでもないわね」

QB「友人同士でありながら協力は稀」

QB「もったいないと思うけどね」


ほむら「仕事と友情は別よ」

QB「きっぱり分けるね」

QB「別に同僚としてみるって言うのでもいいじゃないか」

ほむら「む……」

QB「別に魔法少女は非情になる必要はないんだ」

QB「僕は、魔法少女と友情を分ける必要はないと思うよ」

ほむら「………」


ほむら「まぁ、考えておいてもいいわ」


~~~~~~~~~~

翌日

ほむら「ふぁ……」

ほむら(そういえば今日は休みだったわね)

ほむら(キュゥべえは……いないようね)

ほむら「ご飯は……これでいいわ」

ほむら「………」ホムホム

ほむら「……何もすることはないし、外をふらふらとしてみましょうか」


ほむら「リボンもつけて……と」



ワイワイガヤガヤ

ほむら(さすが休日だけあって、町もこんでるわね)

ほむら(あまり人が多いのは好きじゃないし、適当な喫茶店にでもはいって……)

オースゲーマタヤリヤガッタヨ
アシサバキヤベエフトモモヤベエ

ほむら(なんか向こうが騒がしいわね)

ほむら「ちょっと行ってみようかしら」


ゲームセンター


メザメタコーコロハハシリダシタ

トン!タン!トン!

「はっ!やっ!ふあっ!?」

杏子「おいおいどーした。もうへたばったのかい?」トン!タン!


ほむら「あなたなにやってるのよ……」

杏子「お、ほむらじゃん。ちょっとDDR対戦したんだよ」タッ!トン!

杏子「あんたもやるかい?」トントン!

ほむら「遠慮しておくわ」

杏子「なーんだ。あんたもしに来たのかと思ったのに」トン!トトン!

マミ「ふんっ! はっ! ぬうっ!」ドスッ ドスッ ズシーン!
杏子「おいおい、機械が壊れちまうよ……」


パーフェクト!

杏子「んで、何しに来たのさ」

ほむら「別に。暇つぶしでぶらぶらしてただけよ」

杏子「へぇ」

杏子「あ、食うかい?」

ほむら「ええ、いただくわ」


杏子「そういや聞いたよ」ポリポリ

ほむら「なにを?」ホムホム

杏子「マミとチーム組むんだってか?」

ほむら「!?」


ほむら「何を言って……」

杏子「んや、朝マミん家でキュゥべえと話してたらそんなこと聞いてさ」

杏子「マミは喜んでたぜ」

ほむら「へぇ、そう」パキン!

杏子「おいおい、そんなに強く噛むと歯をいためちゃうよ?」

ほむら「ごめんなさい、杏子。ちょっと用事ができたわ」

杏子「ん、そう?じゃあまたなー」

ほむら「ええ、また」ダッ!


ほむら(あの淫獣……!)


~~~~~~~~~~

ほむら『キュゥべえ、グリーフシードの回収を頼みたいのだけど』

QB『わかったよ』


QB「やぁ、待たせたねほむら―――」カチ

ヒュガッ!ガッ!

QB「トラップ!?」プラーン


ほむら「哀れな姿ね、インキュベータ」

QB「暁美ほむら、なぜこんなことを……」


ほむら「なぜ……?それはこっちのセリフよ」


ほむら「どうしておしえたのよぉー!」ガァ!

QB「まずかったのかい?」

ほむら「あの人に変な期待を持たせないでよ!」

ほむら「マミ、また食べられちゃうかもしれないじゃない!」

QB「わけがわからないよ」

ほむら「時期を見て私から言おうと思ってたのに……」


QB「案外乗り気なんだね」

ほむら「………」ゲシ

QB「きゅぶ!」ガッ!


ほむら「はぁ、面倒ね……」

QB「今から行けばいいじゃないか」

ほむら「それは……まだちょっと早いというか……」

QB「要は言い出すのが恥ずかしいわけだ」

ほむら「………」ドス!

QB「きゅぽあ!」キュブ!


QB「別にそんな心配は要らないと思うけどな」

QB「僕がもう伝えているんだし、後は会いに行くだけで向こうからさそってくれると思うよ」

ほむら「あ、それもそうね……」バコッ!

QB「きゅべっ!?」キュアッ!


QB「今のはどうして……」

ほむら「なんかむかついたからよ」


オオオオン……

ほむら「ちっ……こんな白昼堂々と……」

QB「やり辛いね」

ほむら「まぁ、私の魔法が遠距離なのが幸いね。隠れて狙い打ちましょう」パァッ

ほむら「風向きが来るから……こうかしら?」キリキリ…

QB「目標との距離約500m、風向きは左から来てるから……」

QB「行きすぎだ。もう少しずらして」

ほむら「……こう?」

QB「……今だ!」

ほむら「っ!」パシュッ!


魔獣「オオオ……」

ズバア!


ほむら「ふぅ、こんな離れて撃つのは始めてね」

QB「まぁ弓だからね。そんなに遠方を狙うものじゃないさ」

QB「……しかしまだ瘴気は流れてるね」

ほむら「どこからかしら……」スタスタ


魔獣「ウオオオオ!」ガバッ!

QB「……ほむら!後ろだ!」

ほむら「!?」


魔獣「オオオオ」ガッ!

ほむら(しまった!弓矢を―――)

ほむら「なら、一旦逃げてから……」バサッ

魔獣「オオオッ!」ブン!

ほむら「くっ!回避まにあわないっ……!」


ドドドドドドン!

ほむら「……?」


「間一髪ってところね」

「ったく、気をつけろっての」


ほむら「マミ、杏子……」

ほむら「どうしてここに……?」

マミ「チームメンバーを助けるのは、当然のことでしょ?」

杏子「新入後の活動第一回がほむらの救出ってか」カンラカンラ

ほむら「む……」


QB「やれやれ、間に合ったようでよかったよ」プラーン

マミ「キュゥべえ?どうしてあなたそんな宙吊りに……」

ほむら「いろいろあったのよ……」


マミ「とにかく、かわいいメンバーが無事でよかったわ」

ほむら(もう完全にいれられてるのね……)


ほむら「……あ、また弓が傷だらけになってるわ」

ほむら「さっき魔獣に落とされたせいね。後で直さないと」

杏子「あん?魔法でちゃちゃっと直せばいいじゃん」

ほむら「それもできるけど、ね」

杏子「わけわかんねーの。まぁいいけどさ」

マミ「そうね。魔力はちょっとでも節約しないと……」


QB「節約を望むなら、マミの場合はその試合後のティーセット生成を減らすべきだと思うな」

マミ「これはいいのよ、これは」カチャン


ほむら「いろいろしてたら、もう日が暮れたわね」

ほむら「そろそろ帰りましょうか」

杏子「さんせー。腹も減ったし」

マミ「それじゃあ暁美さん、気をつけてね」

ほむら「もうあんなヘマはしないわよ……」


杏子「んじゃーなー」

マミ「またね、暁美さん、キュゥべえ」

ほむら「ええ、また」

QB「きゅっぷい!」

節約のために、終わったら藤編みのカゴからティーセットと魔法瓶を取り出して皆とお茶するマミさんもいいと思います


ほむほーむ

ほむら「はぁ、休日なのに疲れたわ」

QB「休む日と書いて休日というけど」

QB「魔法少女に休日なんてないに等しいものなのさ」

ほむら「労働基準法違反で訴えるわよ」

QB「残念だが君たちの国の法律の適用は無理だ」

QB「だいたい、僕を裁判で裁けないだろう?」


ほむら「……魔法少女裁判所でも作ったらどうかしら」

QB「裁判員でもない子供が、法律を以って社会的罰則を加られえる権限はないはずだけど」

ほむら「さっきには冗談よ……。まじめに取らないでちょうだい」


ぐぅ……

ほむら「………」

QB「………」

ほむら「……なによ」

QB「……いいや、なんでもないよ」

QB「別に気にしてないさ。君のおなかの音なんか」

ほむら「くっ……」

QB「別にそんな風にならなくてもいいじゃないか」

QB「結局は生理現象なんだ。仕方のないこと」

QB「おなかが空いた、と正直になればいい話なのに」

ほむら(正論だけど、何かとむかつくわ)


カチャカチャ……トントントン

QB「きゅぷぅ……」ゴロン

ほむら「……はい、ここでクイズよ」

QB「なんだい?」

ほむら「ラベルを剥いだこの缶詰、何の缶詰でしょう」

QB「ふむ……」クンクン

QB「どれ……」コロコロ


QB「自衛隊レーションの赤飯、かな?」

ほむら「正解」コト


ほむら「よく分かるわね」カンキリキリ

QB「どれだけ君の家で缶詰生活をしてきたと思ってるんだい?」

QB「大抵の缶詰は分かるよ」

QB「君の家にある缶詰も、まだ食べていない缶詰も然り、ね」

ほむら「つまりは、それだけ私の家でただ飯を食い漁ったってことね」コト

QB「きゅぷ……」

QB「まぁ否定はしないよ」キュプキュプ

ほむら「まったく……」


ほむら「というか、マミの家には行かないの?」

QB「たまにいくけど……泊まる事はないね」

ほむら「どうして?向こうの方が生活水準は高いはずでしょうに」

QB「確かにそれはそうだよ」

QB「よくケーキを食べさせてくれるし、ご飯だって缶詰じゃない、豪華な奴さ」

ほむら「ケーキも豪華なご飯もないところで悪かったわね」

QB「別にそれを避難しているんじゃないよ」

QB「ここに居座らせてくれるだけで、感謝はしてる」

ほむら「……ふん」


ほむら「それで、肝心の理由が聞けてないのだけど」

QB「おっと、そうだったね」

QB「先程も言ったとおり、生活環境に不便はない」

QB「問題は佐倉杏子なんだ」

ほむら「杏子?」

QB「杏子がマミの家で暮らしているのは知っているだろう?」

ほむら「ええ。世話好きのマミが引き取ったのよね」

QB「そうなんだけどね……」


~~~~~~~~~~~~

マミ「すぅ、すぅ……」

杏子「ぐぉー、かー……」

QB「きゅぷ……」


グイグイ

QB(ん……?マミかな?)

QB「マミ……?一緒にトイレは小学校で卒業したはずだろう……?」

グイグイ

QB(……いや、この力はマミじゃない!?)


杏子「んあー……」グイグイ

QB(佐倉杏子!?)

ズルズル

QB(わああぁ……引きずられるよ……)

ガプ!

QB「!?」

杏子「まんとぅ……うまい……」カプカプ

QB「杏子!起きてくれよ!僕は食べ物じゃ―――」

杏子「かたい……んが」ガブ!

QB「きゅぶああああ!」

~~~~~~~~~~~~~


QB「……というわけさ」

ほむら「スプラッタムービーでも作る気?」

QB「僕に言わないで杏子に言ってほしいなぁ。原因は彼女なんだし」

QB「あれから杏子とは離れて寝るようにしてたけど、夢遊病みたいにどこまでも追いかけてくるし……」

ほむら「どれだけ飢えてるのかしら……」

QB「佐倉杏子がいる限り、巴家に僕の居場所はないんだよ……」

ほむら「面倒な理由ね……」

QB「全くだ」


~~~~~~~~

ほむら「ごちそうさま」

QB「きゅっぷい!」


ほむら「お風呂にはまだ早いわね……」

QB「弓の修理をするんじゃなかったのかい?」

ほむら「そうだったわね」パァ

ほむら「傷がひどいわね……」

QB「相変わらず手作業でやるのかい?」

ほむら「ええ」


シャッシャッ……

ほむら「……まぁ、これでいいわね」

QB「まだ少し傷が残ってるよ?」

ほむら「うるさいわね……。素人にはこれが限界なのよ」

QB「……しかし、この程度の修復ならそんなに大量の魔力を使わずともできる」

QB「それに完璧になるわけだから、魔法の方が早いんじゃないのかい?」

ほむら「……まぁ、言ってみれば自己満足よ」

QB「自己満足?」

ほむら「そ、私の」


ほむら「まどかも、魔法少女だったときは弓を使ってたのよ」

QB「また彼女か」

ほむら「ええ、またよ」

ほむら「だからこっちの世界での能力を知って驚いたわ。同じ弓だもの」

ほむら「偶然なのでしょうけど、まるでまどかがくれた能力のように思えて……」

ほむら「それを大切に使いたいと思ってね」

QB「なるほどね……」

QB「まぁ、僕はそれに口出しをするつもりはないよ」


ほむら「それにしても、まだ時間が余ってるわね」

QB「そうだね」

ほむら「ヒマね」

QB「だね」

ほむら「………」

QB「………」


ほむら「そうだわ」

ほむら「ちょっと待ってなさい」トトト

QB「?」


ほむら「たしかここに……」ガサガサ

QB「なにを探してるんだい?」

ほむら「ちょっとね」

ほむら(ここまで整理ができてないと、あの四次元盾が使いたくなるわ)


ほむら「あ」ガサッ

ほむら「あったわ、これこれ」

QB「ゲーム機か」

ほむら「バザーで買った、古い奴だけどね」

ほむら「ひまなら、これにちょっと付き合いなさい」


ほむら「カセットがボンバーマンしかないわ」

QB「しかし、コントローラーが押し辛いね」

ほむら「まぁ2P協力型だから安心しなさい」

QB「そうかい、それは助かるよ」

ほむら「あなたもなれるように、適当に進めましょう」

QB「手加減はいらないよ。インキュベーターの学習能力をなめないでほしい」

QB「今さっき読んだ説明書で、僕は完璧にマスターしたからね」

ほむら「あら、そうなの」


ほむら「それじゃ、はじめさせてもらおうかしら?」ニヤ


QB「スイッチボムだ!」

ほむら「あっ!私が取ろうとしたのに!」

QB「早い者勝ちだよ」

ほむら「くっ……」


ほむら「……ちなみにこの面ではパワーボムが取れるわ」

QB「なんだいそれは?」

ほむら「壁に当たるまで爆発が届くのよ」

ほむら「スイッチボムとあわせたら協力ね」

QB「へぇ、ぜひそれはほしいね」


ほむら「……パワーボムがあったわ」

ほむら「スイッチ持ちのあなたに上げる」

QB「ほんとうかい?」

ほむら「ええ、取りに来なさい」ニヤ

QB「どれどれ……!?」つ●

QB「スイッチボムが消えてるじゃないか!」

ほむら「そういえばそういう仕様だったわねーわすれてたわー」

QB「暁美ほむら、だましたね……」

ほむら「わたしを責めるのはいいけど、早く逃げないと……」

QB「……ああっ!死んじゃったじゃないか!」

ほむら「ざまぁないわね」


~~~~~~~~~~~

ほむら「ふぅ、楽しかったわ」

QB「僕を妨害しながら……楽しかったというのかい……」

ほむら「なにゲームごときで死にそうになってるのよ」

QB「僕は君たちみたいに指だけで操作はできない、足二本で操作しなきゃいけないんだ!」

QB「キミの執拗な攻撃をかわすために、僕は一生懸命足を動かして……」

ほむら「知ってたわ」

ほむら「だからわざとあなたの足がからむように誘導したのよ」

QB「通りで異常に疲れるわけだね」


~~~~~~~~~~

別の日 巴家

マミ「~♪」

杏子「………」ポリポリ

ピンポーン

マミ「来たわね!」ガタッ!

マミ「今出るわ」

杏子「あんまりはしゃぐなよ……」


マミ「それでは、第一回新生マギカ公会議を開催するわ!」

杏子「わー」

ほむら「ぱちぱちー」

マミ「もぅ、まじめにやってよ」

杏子「と言ってもなぁ」

ほむら「なにを話すのか明確に知らされてないのだけど」

マミ「いい質問ね。今から説明するわ」

マミ「まずは対魔獣担当区域とかを決めて……」


~~~~~~~~~~~

杏子「ん~、疲れた」

QB「きゅぷぃ……」

マミ「もうちょっとよ、佐倉さん」

マミ「それで、見滝原の監視場所を決めたいと思うのだけど……」

ほむら「それなら私がいい場所を知ってるわ」

ほむら「見滝原で一番高い、あのビルの屋上よ。魔法を使えばいけるでしょう?」

QB「いつものあそこなのかい?」

ほむら「ええ、あそこがちょうどいいでしょう?」


ほむら「あら、いや?」

QB「飛び降りされると、追いかける僕はとてもきついんだよ」

QB「そもそも君たちだって、あまり高いところから降りるなんて……」クルッ

マミ「町の危機に、颯爽と空高くから舞い降りる三人の魔法少女……」

QB「……マミ?」

マミ「なんだかカッコいいわね」

マミ「そこにしましょう暁美さん。流石よ!」キャッキャ

ほむら「ふふ、ありがとう」

ほむら「あなたもそれでいいわね?」ニヤ

QB「……やれやれ、わかったよ」


~~~~~~~~~~~

数日後 某ビル屋上

シュワアアア……

ほむら「……これも使い切ったわね」

QB「そうだね。回収しようか?」

ほむら「ちょっと待ってちょうだい。他のグリーフシードも……」ゴソゴソ

ほむら「ほい」ポイ

QB「おっと」パク

ほむら「ナイスキャッチ」


ほむら「それじゃ、第二投……」

ほむら「……散弾!」バッ!

ダッ! シュババババ!

QB「きゅぷい……」スタッ

ほむら「むかつくほど華麗ね」

QB「キミの球筋はもう見切ってるからね」

ほむら「へぇ、じゃあこれはどうかしら?」スッ

QB「どんな弾でもとってみようじゃないか」



ほむら「空へっ!」ブン!

QB「!?」ダッ!



QB「ぜぇ、はぁ……」

ほむら「よくできたわ」

QB「やれやれ、一人でこのビルから落ちる羽目になるとは……」

ほむら「練習ができてよかったじゃない」

QB「一回体を捨てることを練習というのかな?」


ほむら「しかしマミと杏子、遅いわね」

QB「そうだね」


スタッ!スタッ!

ほむら「……噂をすれば何とやら、ね」


マミ「ごめんなさい、遅れたわ」

杏子「どのビルかわかんなくなっちゃってね」

ほむら「別にかまわないわ」

ほむら「相手方も、ちょうど今出揃ったようだし」


オオオオ……

QB「今夜も瘴気が濃いね」

ほむら「ひい、ふう、み……かなりいるわ」


マミ「戦い方は、かねての話しておいた通りにね」

杏子「あたしが前衛で、二人で後方支援か」

杏子「間違って当てんじゃねーぞ?」

マミ「あら、先輩の腕に不安があるの?」

杏子「だってマミの攻撃って弾幕系多いしねぇ……」

ほむら「そこらへんは私がフォローするから、心配しないで」


マミ「それじゃ、いきましょうか」

杏子「あいよ」

ほむら「ええ」


バッ!

ほむら(魔女がいなくなっても、人々の呪いが消えたわけじゃない)

杏子「マミ、帰ったらチーズケーキ作ってよ」

ほむら(世界の歪みは形を変えて、今も闇の底から人を狙っている)

マミ「いいけど、晩御飯の後でね?」

ほむら(悲しみと憎しみの連鎖ばかりを繰り返す、救いようのない世界だけれども)

QB「きゅぶいいいいい!」ゴオオオ


ほむら(それでもここは、かつてあの子が守ろうとした場所)


ほむら「ほっ」

バサッ!

ほむら「っと……」スタッ

QB「きゅぶいっ!」ガチン!

マミ「キュゥべえ大丈夫!?」

ほむら「またこいつは……」


ウェヒヒッ……


ほむら「……?」


『がんばって、ほむらちゃん』

ほむら「………」


QB「どうしたんだい?ほむら?」

杏子「ほむら?」

ほむら「……いえ、なんでもないわ」パァッ


ほむら(それを、覚えてる。決して忘れたりしない)キリキリ…

ほむら(だから私は、戦い続ける……) グッ

バシュッ!


おわり


きゅっぷい!きゅっぷい!

改変後のほむQを書いてみた
擬人化とかいろいろやっては見たけれど、やっぱりこういうほむQが一番だね
くっつきすぎず、離れすぎもせずっていう関係
ほむらがキュゥべえをいじり、キュゥべえがそれとなく皮肉を返す

とりあえず言いたいことは
ほむQいいよね!

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