男「す、スマホなくした…」 (96)
男「朝のアラーム鳴らないと思ったらスマホがねえええええええ!」
男「やばい遅刻だ、っていうかスマホどこだ!?」
男「かばんひっくり返しても出てこない……そもそもアラームでかい音鳴るから部屋にないってことか!?」
男「落ち着け、思いだせ俺……最後に触ったのっていつだっけ」
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男「たしか……午前の授業が始まる前に触った」
男「で、その後……かばんに入れた、っけ?」
男「昨日の服のポケットとか……入ってねえよなあちくしょう!」
男「……あ、机の中に入れたかも」
男「大学か!?」
男「日をまたいでるしなかったらどうしよう……」
男「一応パターン設定してるけどめっちゃ簡単だし」
男「……電話使い放題とかされたら、やばい」
男「とりあえず確認しねえと!」
大学
男「あの、すんません」
事務員「はい」
男「携帯の落し物ってないっすか?」
事務員「携帯ねぇ……ちょっとまってね」
男「あ、はい」ソワソワ
事務員「ないですねえ」
男「そうですか……」
事務員「どこで落としたとか、わかる?」
男「心当たりはあるんでちょっと探してきます」
事務員「見つかるといいね」
男「そっすね」
男(そうだよ、まだある可能性だってあるし)
男「ないいいいいいいいいい」
男「……誰かが持っていったのか?」
男「もうだめだ悪用されちまう……」
男「莫大な請求が来て人生終了するんだ……」
男「もっとまじめに生きてればこんなことには……」
男「……授業出る気力が、ない」
男「どうすりゃいいんだ……調べるか」
男「……そうだスマホないんだった。電話もできねえし、どうしよう」
男「あ、ショップ行って利用停止してもらえばいいんだ!」
街中
男「……ショップどこにあんのか知らなかったや」
男「グーグルマップで調べ……れない! スマホがないから調べられない!」
男「誰かに聞くか……? いや、もうちょっと探してみよう」
男「っていうか事務員の人にでも聞きゃよかったなあ」
男「駅の方ならありそうだよな」
男「目指すは一番近い梅田駅だ」
男「田舎から大阪の大学に入ったはいいものの大都会はさっぱりだよ」
男「でかい建物だらけだし人は多いし、どこ行けばいいかわかりゃしねえ」
男「……」テクテク
男「……あれ、駅ってどっちだ?」
男「あ、人がたくさん歩いてる方に行けばいいのか」
男「人が多いのも悪くないな」
男「流されてればどうにかなる。まさしく人生のようだ」
男「……こんだけ大勢人がいても、俺と関わりのある人はいやしないんだ」
男「ちょっぴりホームシック」
男「お、駅発見」
男「やっぱ目立つ建物だな、梅田駅は」
男「さてショップはどこだ」
男「……店、多い」
男「こういう時こそスマホの出番――って、ないんだよなあ」ハァ
男「やっぱ人に聞くか?」
男「……通行人には聞きづらいな」
男「駅員さんってどこだろ」
男「っていうか駅広すぎてわかんねえ!」
男「駅なのになんでこんな店あんの? 切符売り場はどこだよ」
男「人に流されてみたら駅の外に行くし、やっぱだめだな」
男「流されるだけの人生はよくない!」
男「……って言っても、どこに行きゃいいんだろ」
男「あ、あの広告ってショップの……よかった、これで場所がわかるぞ!」
男「えーと、北館の1F?」
男「……矢印はあっちを指してるな」テクテク
男「なんだここ、バスターミナルに来ちまった」
男「あ、また広告。矢印はやっぱりあっちだ」
男「でも外にでるし……あ、もしかしてあの道路挟んだ建物が北館か」
男「なるほどね、こっちは南館なのかな」
男「駅のくせにややこしい」
北館
男「お、また広告。これは矢印ついてない……やっぱりここが北館で正解か」
男「さて、ショップはどこだ?」
男「……わからん」
男「飲食店ばっかりだなここらへん」
男「……とりあえず一周ぐるっと見てみたが、ショップが見当たらない」
男「おっかしーなぁ。もしかしてここ1階じゃないとか?」
男「それは、ないか」
男「やっぱり恥を忍んで店員さんに聞いてみるか」
男「あ、また看板」
男「やっぱり同じことしか書いてない。ここにあるはずだよな?」
男「もう一周してみよう」テクテク
男「……」テクテク
男「腹、減ったなぁ」
男「軽く食事するか」
男「チーズバーガーひとつ」
店員「以上でよろしいですか?」
男「はい」
店員「120円になります」
男(小銭がない……残り1枚しかない千円札から出すか。あとでATM行かないと)
男「やっぱりハンバーガーはチーズバーガーに限るな」ゴチソウサマデシタ
男「メールチェックしとくか……」ガサゴソ
男「……そうだ、スマホないんだ」
男「思い出すたびに凹む」
男「もしかして俺ってスマホに依存してたのか?」
支援
これは面白そうだ
この物語は、普段我々がどれだけ携帯電話(やスマホなど)に依存しつ生活しているか、を>>1の体験談から作り出したものです
普通にiphoneを探すをやればいいんだけどな
ぶっちゃけ、初めての梅田は確かに迷う
スマホなんて電話とメールとようつべと音楽ぐらいしか使わんな
iPhoneしか探せねえじゃん
レスついててびびった
>>20
ありがとう
>>21
なぜ体験談だとわかった…
スマホなくしてたぶん誰かに拾われてるっぽい1の現在進行形な体験談が元ですハイ
皆さんも気をつけてね
>>22
ごめんアンドロイドなの
ショップショップ言ってるのは某キノコの携帯ショップです
あいぽんなんてなかった
>>24
初めてじゃなくても迷う
グーグル地図がないと死ぬ
>>26
けっこう使ってるじゃないか
>>27
あいぽんってそんな便利な機能がついてるの?
いやSS書いてないでスマホ取り戻せよwwwwww
あっ……すまん
ブックオフに並べたかもしれない
男「意識したことなかったけどもしかして俺って方向音痴なんだろうか……」
男「でも絶対ここらへんにある、はずだよな」
男「どうしよ、店員さんに聞くべきなんだろうけどけっこう女性用の店ばっかで入りづらい」
男「……よし、せっかくだしこの辺の探索してみるか」
男「スマホがないだとか、目的地が見つからないだとか、考えるのはやめよう」
男「なんだろう、急にブックオフに行きたくなってきた」
男「でもどこにあるか知らないし本当に迷ったら困るからやめておこう」
男「それにしても高架の下にたくさん店が並んでる、すごいなー」
男「なんか神社みたいなとこあるし、すっごいカオス」
男「今まであんまり見たことなかった……」
男「道わかんないし駅でも大抵友達について歩いてただけだったもんな」
男「これからはもうちょっと積極的に自分で歩いてみるのもいいかもしれない」
男「よくわからないが大通りっぽいところに出た」
男「車道はでかいくせに歩道ほっせえ」
男「信号機のところで待ってる人が溢れてて進みにくい」
男「なんか警備員みたいな人いるし……すんません、ちょっと通ります」
男「大きい通りだと信号待ちの人すごいよな、大阪」
男「東京のスクランブル交差点? とかいうのには絶対行けない」
男「あれ、あの赤い文字……携帯ショップじゃないか!」
男「俺の探し求めていたショップだ!」
男「北館の中だと思ってのに全然違うじゃねえか……騙された」
男「っていうかここらへん見覚えある?」
男「あ、ここから駅が見える!? そういえば前に通ったことあるじゃん!」
男「……その時たしかショップがあるの見たな」
男「なんで忘れてたんだろ……記憶力がやばい」
キノコショップ
男(うおおおお……俺が契約した店よりめっちゃ綺麗)
男「……」キョロキョロ
店員「いらっしゃいませ。どうされましたか?」ニッコリ
男「あ、ええと、携帯を紛失したんですが……」
店員「こちらへどうぞ」
男(俺、すごいカッコ悪い)
店員「お掛けください」
男(うわ椅子引いてくれた、ありがとうございます)ペコリ
店員B「私が担当させていただきます」
男「お願いします」
男(女の人だ、かわいい)
店員B「ご契約されている電話番号と契約者様の氏名をお願いします」ペラ
男「あー、えっと、名義は父のものなんですが」
店員B「それではこちらに名前を」
男「あ、はい」
男「……」カキカキ
店員B「名前などを確認できるものはお持ちでしょうか?」
男「はい」
店員B「お預かりします」
男(やっとショップにもついたし、問題は解決だな)
男(……ん? そもそもここに来て何をするんだ)
店員B「ありがとうございます」
男「あ、はい」
店員B「紛失されたということで、警察の方に紛失届は出されましたでしょうか?」
男「いえ、まだです」
店員B「そうですか。では携帯の方に電話はされましたか?」
男「でん、わ……? あ、してないですっ」
男(そうだ、もしかしたら誰かが電話に出てくれるかもしれない!)パァ
店員B「ではこちらの電話をお使いください」
男(ちょっと昔っぽい携帯電話か)
男「……」ピッピッピッ
男「……?」
男「……」ピッピッピッ
男「……?」
男(……)
男「あの、すいませんこれどうやって使うんですかね」
店員B「あ、電話番号を押していただけますか?」
男「はい」ピッピッ
店員B「こちらのボタンを。繋がるまで多少時間がかかります」ポチ
男「あ、ども……」
男(ああああああガラケーの使い方忘れてた恥ずかしいいいいいい)
男(こっち来て一人暮らし始めてから固定電話すら使ってなかったかし……)
男「……」ドキドキ
プルルルル
男「!」
プルルルル
男「……」ドキドキ
プルルルル プルルルル
男「……誰も出なかったです」ピ
男(コール音は鳴るからまだバッテリーは大丈夫ってことがわかっただけよしとしよう)
>>41 最後たかしになった恥ずかしいいいいいい なかったし です
男「それで、サービスの停止? みたいなのをお願いしたいんですが」
店員B「契約者様本人でないと電波を止めるなどの手続きができないんですよ」
男「あ、そうなんですか……」
店員B「契約者様に直接電話をしていただければ止めることはできますので、連絡していただいてもよろしいでしょうか」
男(まじか……怒鳴られる、絶対)
男「わかりました……あの、携帯を探す機能? みたいなのはないんですかね」
店員B「GPSがオンになっていればできますが、契約者様の確認がないと……」
男「あー、はい、わかりました」
男(今すぐにしてもらいたいんですけどねえ)
店員B「お客様はケータイ補償お届けサービスにご加入していただいているので警察に紛失届を出していただければ2日以内に交換電話機をお届けできます」
男「はあ」
男(そういえばそんなサービス入ってたな……買うとき絶対なくすか壊すだろうって親父に言われて)
男(その通りになっちまったよ)
店員B「電波を止めることはフリーダイヤルからいつでも可能です」
男「はい……とりあえず、もうちょっと探してみます」ガタ
店員B「申し訳ございません」シュン
男(かわいい)
男「それでは失礼します」
男「あー、店員さん可愛かった。でも結局何もしてねえええええええ」
男「契約者じゃなくて使用者にも権限くれよ! 使用者の欄も作ってよ!」
男「……どうすんだこれ」
男「けっきょく連絡するしかないのか……」
男「もう一回落し物で届いてないか行ってみよ」
大学
男「あのーすいません」
事務員「はい」
男「落し物で携帯届いてないっすかね」
事務員「落し物ですか……担当者がいないのでお名前ここに書いてもらっていいですか?」
男「あ、はい」
事務員「担当者が来たら言っておきます」
男「あーそれでですね」
事務員「はい」
男「親の電話番号教えてもらいたいんですけど……」
男(しかたないじゃん、電話帳に登録してたからメモなんてしてないもん)
男(俺暗記苦手だし……自分の携帯の番号と実家の電話番号しかわかんねえよ)
男(ちなみに実家の固定電話に電話しても出てくれる確率はかなり低い)
男(なぜなら大抵の電話が親父のクレジットカード会社や延滞料金の通知、もしくはどうでもいい電話ばかりだからだ)
男(固定電話に滅多に出ない家庭ってどうなんだろう。今まで自分の家以外聞いたことはないけど)
男(でも、この大都会でなら仲間は多くいるはずだ。まだ聞いたことないけど)
>>47 親の携帯の電話番号 だった
家
男「さて、一人暮らしを始めて初のこの固定電話を使う時が来たな」
男「絶対使わないと思ってたけどそんなことはなかった」
男「ありがたや」
男「……」ピッピッピッ
プルルルル
男「……出ない」
男「寝てるのか。まだ2時だし昼寝してそうだ」
男「そういえば、アプリのゲームはイベント中だったな」
男「あのレアやスーパーレアは全て無に帰るのだろうか……」
男「そこまで愛着心はないけど」
男「AP調整が一番楽しいってだけだったし」
男「……虚しい現代社会だな」
男「にこにーよさらば……」
男「けっきょく俺には艦これが一番ってわけよ」
男「……ゲームしかやることはないのか、俺よ」
男「スマホがないと誰とも連絡とれないしなあ」
男「ツイッターとかでもやってればよかったのか?」
男「……人のつながりってなんなんだろう」
男「ぶっちゃけ一人でアニメ見てるほうが気楽でいい」
男「目をそらしたい現実があるし」
男「……課題の期限とか」
男「ああああ連鎖的に嫌なことを思い出す!」
男「昔の黒歴史とか、芋づる式に」
男「どうでもいいことに記憶容量が割かれてる、実に嘆かわしいな」
男「……嫌なことって、立て続けに起きるもんだ」
男「こういう時どうすればいいんだろう。何もしたくない……」
男「まさかスマホがなくなるだけで1時間以上歩かせられておまけにこんな鬱な気分にさせるとは」
男「許せん、現代社会め」
男「全部自分のせいだけど、こんな社会も悪いんだよ」
男「人間関係の悩みだとか、明日はスーパーの特売日だとか、そういうことに縛られて生きるのはもういやだ」
男「俺は自由になる」
男「スマホを捨てて自由になってやるうううううう」
<遠征から帰投しました
男「……」ポチポチ
男「ゲームを捨てることはできないな」
男「ゲームしてる間にもう5時だ」
男「……夜ご飯買いに行こう」
男「何食べようか」
男「お、ふぁみふぁみふぁみーまふぁみふぁみまのおにぎりが100円だ」
男「おにぎりでいいや」
男「鮭鮭鮭ー。3つでいいな」
男「あとはなにか……お、新商品の焦がしキャラメルミルクティーだと?」
男「新商品と書かれるとつい手にとってしまう不思議」
男「おまけにTカードの提示で5円安くなる」
男「買わずにはいられない!」
男「あったかいものもほしいな」
男「んー、そうだな、肉まんでいいか。なにげにふぁみまの肉まんは食べたことない」
男「すいません、肉まん一つ」
店員「からしはいりますか?」
男「いりません」
店員「Tカードはお持ちでしょうか」
男「あ、はい」ガサゴソ
男(……初音ミクのTカードを提示するのは少し恥ずかしい)
男「外は寒いな……もう冬か」
男「昼間はずっと歩いてたからそんなに気にならなかったけど」
男「でも、冷たい風はけっこう気持ちいい」
男「……トイレしたくなってきた」
男「冬はこれだから嫌だ」
男「こんなこともあろうかと先週からこたつを出しておいた」
男「スイッチオン」
男「……ん? もうスイッチ入ってる」
男「あれ、あったかい」
男「というより、熱い」
男「最後に使ったのは……2日前だったか」
男「……まさかその間ずっとオンのままだったのか!?」
男「やべー、電気代やべーよ」
男「なんで気づかなかったんだろう」
男「でも火事になってなくてよかった……本当に良かった」
男「俺ってけっこう不幸なのかな」
男「だいたい自分のせいだけど」
男「でも弟は俺よりひどいおっちょこちょいだし、遺伝だから治らないなこれは」
男「……物を無くさないように気をつけないと」
こうして廃人が消えました
初音ミクtカード使ってる人初めて見つけた。同士よ
阪大生かな...?
男「肉まんうまかった。これからはふぁみまで肉まん買おう」ゴチソウサマ
男「はー、電話しないと」
男「もう6時過ぎだし出るだろ。っていうかこの教えてもらった番号は誰の番号だ?」
男「母上でありますように……」
男「……」ピッピッ
母「もしもし?」
男「あ、母さん? 俺」
母「?」
男「男です」
母「おれおれ詐欺かと思ったわ。これどこの番号?」
男「固定電話」
母「なんで携帯からじゃないん? お金かかるやろ」
男「うん、理由がありまして……携帯、落とした」ボソ
母「は?」
男「落とした」
母「どこで」
男「たぶん、学校……探したけどなかった」
母「で?」
男「父さんに電波止めてもらえるよう電話してって伝えてください」
母「今おらんから電話してみる」ブツッ
男「……怒ってる」
男「もう一回スマホに電話してみよう」
男「……」ピッピッピッ
プルルルル
男「出ない……ですよねえ」
男「サイレントにしてたっけ? バイブモードだったと思うけど」
男「警察、とかかなあ」
男「こたつ、あったかい」
男「なのにこの体の底から冷えてる感じ」
男「……そういえば明日、約束してたんだった」
男「やばいな」
男「とりあえず約束通りに行ってみるけど」
男「連絡手段がないってほんと不便だ」
男「せめてメモに電話番号とかメアドとか……ないか」
男「昼前に電車で行けばいいんだよな」
男「時刻表調べないと」ガサゴソ
男「ああああもうスマホがないんだってば!」
男「パソコンで調べよう」
男「お気に入りに入れてないから検索かけないと」
男「……わかりにくいな、パソコンサイト」
男「スマホって便利だったんだな……」
プルルルル
男「!?」
男「ああ、電話の音か……めっちゃデカいな。小さくできないのかね」
男「もしもし」
父「男か。携帯なくしたって?」
男「……はい」
父「電波を止めればいいのか」
男「うん」
父「とりあえず、どこでなくしたのか聞いておこうか」
男「えーと、授業前に使ってて始まるときにたぶん机に置いて、忘れて帰った」
父「……それいつのことだ」
男「……昨日」
父「で、気づいたのが?」
男「今日、朝……目覚ましが鳴らなくて気づいた」
父「……」
男「……」
父「電波を止めるってどうすればいいんだ」
男「電話で止めれるらしい、けど」
父「そうか。また連絡する」ブツ
男「……」
男「とりあえず怒鳴られなくてよかった」
男「はー、もう俺には艦これしかないな、やっぱり」
男「加賀さんだけが癒やしだよほんとに」
男「……スマホ、紛失、と」カタカタ
男「あー、なくす人って案外多いんだな」
男「場所を追跡できるアプリか……あ、でもやっぱGPSはオンになってないといけないわけね」
男「勉強になるな……身にしみてる分」
男「ん? アンドロイドデバイスマネージャー?」
男「なるほど、グーグルのアカウント共有してれば位置が特定できるのか」
男「あ、使えるっぽい?」
男「おお、位置が表示されてる!」
男「誤差1024mだけど!」
男「やばいなグーグル先生……ヒモ付しといてよかった」
男「んー、あれ、なんか微妙に動いてるな」
男「誤差の範囲だからかな」
男「……もしかして、誰か持ってる、とか」
男「んなわけない、よな?」
男「誤差だよなうん」
男「あ、着信音も鳴らせるんだな」
男「もし誰かが近くにいるなら気づいてくれるかも……」ポチ
男「で、電話をかけてみる」ピッピッピッ
プルルルル
男「だめかあ」
男「誰も出ないし、着信音出してもだめっぽいし、もしかしてゴミ処理場にでも贈られちゃったんだろうか」
男「一筋の希望が……」ハァ
男「あ、電波止められたらこれすらも使えなくなるんだよな」
男「もうちょっと様子みたい」プルル
父「もしもし」
男「あ、電波止めるのちょっと待って」
父「ん? まだ止めてないが」
男「だいたいの位置だけど、追跡アプリでわかったからちょっと様子見たいんだ」
父「GPS?」
男「多分基地局かなんかから特定してるみたい、誤差1kmくらいある」
父「とりあえず電話してみるか。母さんちょっと電話かけてみてくれ」
母「はいはい」
男「あ、さっき電話はしたんだけど」
母「なんか電源切れてるみたいよ?」
男「え?」
父「バッテリー切れか」
男「あ、デバイスマネージャーのほうも場所特定できなくなってる……」
父「あーすまん、こっち電話かかってきたから一旦切るぞ」ブツ
男「ちょ……はぁ、これで手がかりはゼロか」
男「振り出しに戻るどころか悪化してる」
男「でもまだ2日も経ってないのにバッテリー切れか」
男「なくした時は80%くらいあったはずなんだけど……そういうもんなのかね」
男「もう寝ようかな」
男「……なんかモヤモヤして眠気がこない」
男「なんで忘れたりしたんだろう、ほんとに」
男「もうだめだ、泣きたい」
男「……携帯、紛失、と」カタカタ
男「遠隔操作でデータ初期化とかできるのか」
男「でもスマホ側で設定してないと使えない……」
男「なんか入れてたっけ」
男「……あ、エロサイトとかブックマークしてた」
男「やべえ見られたら死ぬ」
男「データ初期化させてくれえええええええ」
男「てか写真とかけっこう撮ったりしたし、アルバム見られたら特定できちゃうよ」
男「……もうだめぽ」
男「なんだよこれ、スマホ超怖い」
男「どうかロック解除されてませんように……!」
男「……祈ることしか俺にはできない。無力だ」
男「あれ? なんか位置情報がまた出た」
男「電源が、入った……?」
男「いやたまたま電波が届かくなったとか……うーん、とりあえず電話してみよう」
男「……」ピッピッピッ
プルルル
男「あ、コールはしてる。電波は届いてるのかな?」
男「でもやっぱり出ない」
男「誰かが故意に電源を消したのか……」
男「それとも、偶然か?」
男「わからんなあ。こういうことって携帯会社に聞いたらわかるのかな」
男「とりあえずデバイスマネージャーで発信しまくってみよう」
男「もしかしたら誰かが気づいてくれるかも」
男「ポチポチする作業も疲れた」
男「シャワー浴びようかな……」
男「あ? また位置情報がわかんなくなった」
男「やっぱ誰か持ってる感じ?」
男「……」ピッピッピッ
<電源が入っていないか、電波の届かないところに――
男「……誰かが、電源切ったのか?」
男「ああわからん!」
男「もしかしてもう情報流出したりしてないだろうな……」
男「名前、ちょっと調べてみるか」カタカタ
男「先生、俺の情報がどうなってるか教えてください!」ッターン
男「……割りと普通の名前だから同姓同名けっこういるなあ」
男「ふぇーすぶっくとかいうのにも登録してる人いるし」
男「お、姓名判断のサイトだ」
男「えーと姓名の画数から鑑定?」
男「総運5点だ、チャンスが多く金運がいいらしい」
男「金運全然よくねえしチャンスはあっても自分で潰しちゃってるよ」
男「名前だけで人間は決まらないんだな……」
男「ん、主に50歳以降に影響を及ぼします? ふざけんなそれまで生きてるかもわかんねえよ!」
男「えー、人運は4点。あ、ちなみに5点満点です」
男「『積極的な行動力、地位を気づき財産を手に入れる。純粋な心と直感力』……」
男「誤字ってるし。純粋な心ねぇ……直感力は、うーん、あるかな?」
男「これは20歳以降か……来年くらいからか」
男「そもそも就職できるのかなあ……上がり症だから面接とか失敗しそうで怖い」
男「そういや高校の面接も……いや、嫌な記憶を思い出すのはやめよう」
男「で、外運? っていうのが4点か。人徳があり出世する、ねぇ」
男「俺は出世できるほど器用に生きていけるのか?」
男「地運が5点、人望が厚く大きく発展する」
男「天運も5点、人望が厚く大きく発展する」
男「地運は個性、天運は家系の宿命……個性がないな、俺」
男「姓名判断的にけっこういい名前だったのか」
男「……名前が良くてもなああああ」
男「現実逃避もできやしねえ」
男「今のところは特に個人情報がどうこうなってないのが救いだよ」
男「誰かに拾われてないといいんだけどな……」
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