妹「お兄ちゃんは私と幼なじみどっちが好きなの……?」(356)

兄「それはもちろん妹だよ! 愛してる!」

妹「本当……? お兄ちゃん大好き……!」だきっ

後日

幼なじみ「最近妹ちゃんとなんだか仲良くしすぎじゃないかな? 私と妹ちゃんどっちが好きなの?」

兄「それはもちろん幼なじみさ! 愛してる!」

幼なじみ「良かった……私も愛してるよ兄!」ちゅっ


こんな感じで

>>1
あなた書けるんじゃないの?

妹(…って、聞きたいけど…)

妹(そんなこと、聞けないよ…)

兄「…」ガサガサ

妹「あ、お兄ちゃん…、どこか行くの…?」

兄「ああ、幼馴染んち行ってくる」

兄「そんな遅くならないと思うわ」

妹「…」

バタンッ

妹「…」

妹(お兄ちゃん…)





幼馴染「…」ソワソワ

ピンポーン

幼馴染「!! は、はーいっ!」

よしきた良いぞ

ガチャッ

男「おぉ」

幼馴染「お、遅いっ!」

男「そうか?時間通りと思ったが…」

幼馴染「女の子と遊ぶときは男が10分前に来るの!」

男「そ、そうか、すまん」

幼馴染「ふふ…、まぁ、いいよ」

幼馴染「早く上がりなさいよっ!」

男「ああ」

男「お邪魔します」

幼馴染「うん、礼儀正しくてよろしい」

幼馴染「まぁ、今、親いないんだけどね」

男「そ、そうなのか」ドキ

幼馴染「ふふ…」

すまん、残っていたのか

誰か頼んだ

幼馴染「親いないからリビングも自由に使えるけど…」

幼馴染「リビングがいい?それとも、私の部屋?」

男「うーん…」

男「ここのが広いけど、やっぱお前の部屋の方が落ち着くかな」

幼馴染「ふふ…、だよね」

男「うん」

幼馴染「じゃあ、行こっか」テクテク





妹(…)

幼馴染「特別に、私が飲み物もってきてあげるから!」ビシッ

兄「あ、あぁ、ありがとう」

幼馴染「♪」

バタンッ

兄「ふぅ…」

兄(やっぱ、幼馴染といると、落ち着…)

ヴヴヴヴ

兄「ん…、メール」ピッ

『from:妹』

『いつ帰ってくるの?』

兄「…」

兄(何だよ、まだ着いたばっかりだぞ…)

『Re:まだ着いたばっかだ』

ヴヴヴヴ

『お留守番、寂しい』

兄「…」

『Re:お前も来るか?』

ガチャッ

幼馴染「お待たせ」

兄「おう、ありがとう」

幼馴染「男には特別に、青紫蘇ドリンクを…」

兄「おい」

なんかあっちのバイブの音が聞こえる・・・

幼馴染「何よ、その『青紫蘇は外れ』みたいな態度!」

兄「いや、そうじゃない」

兄「お前、俺が紫蘇嫌いなの知ってるだろ?」

幼馴染「…へへ、ばれたか」

兄「そりゃな、こんだけ長い付き合いなんだから」

幼馴染「ぁ…」

幼馴染「『付き合い』…」ドクン

ヴヴヴヴ

兄「またか…」ピッ

幼馴染「なによー」

幼馴染(せっかく二人きりなのに、メールなんて…、誰となのよ…)

『それはイヤ!』

『お兄ちゃんに会いたい』

兄「…」

幼馴染「むぅ…(何よ、その何とも言えない表情は…)」

兄「…」

幼馴染(なんて返そうか迷ってるの…?)

幼馴染(あーっ、もう!)

幼馴染(誰とメールしてるのよっ)

兄「…」ポチポチ

『Re:我慢してくれ』

兄「ごめんな、メールとかして」

幼馴染「っ…!」カァァァ

兄「…」

幼馴染「べ、別にいいわよっ、そんなのっ…!」

幼馴染「そ、それよりっ…」

幼馴染「あ、相手は、誰なのよっ…」カァァァ

兄「…!」

兄(幼馴染…)

兄「心配すんな、妹だよ」

幼馴染「…っ!」カァァァ

幼馴染「し、心配とかしてないからっ!」

幼馴染「バカっ、バカっ!」カァァァ

兄「はは…」

ヴヴヴヴ

兄「ん…」

兄「電話…?」

幼馴染「出ていいよ」

幼馴染「妹ちゃんでしょ?」

兄「あ、あぁ、でも…」

ピッ

幼馴染「え、切っちゃったの?」

兄「ああ、一人でいるのが寂しいんだって」

兄「でも、そんなことこれからもずっとあるだろうし、その度に電話とかされるとキツいから…」

兄「ここはあえて取り合わず、頑張って我慢してもらおうかなと」

幼馴染「ふーん…」

ヴヴヴヴ

兄「かけ直してきた…」

幼馴染「ふふ…、妹ちゃん、あんたのこと大好きだもんね」

兄「…そうなのかは知らんが、そうだとしたら、兄離れもしないといけないしな…」

幼馴染「あぁ、久々に妹ちゃんに会いたいよ」

幼馴染「あのちっちゃくて可愛い女の子を、思いっきり、ぎゅーってしたいよ」

幼馴染「それで、抱きしめて、なでなでしながら耳元でえっちな言葉ささやいて、反応を見たい」

兄「あのな…」

ヴヴヴヴ

兄「おいおい」

幼馴染「出てあげなよ、可哀想だよ」

兄「…でもなぁ」

兄「ここで甘やかしたら、結局一緒だろ?」

幼馴染「そりゃそうだけど…」





妹「ぐすっ、ぐすっ…」ポチポチ

ヴヴヴヴ

兄「…俺は、心を鬼にする」

兄「妹のためだ」

幼馴染「…」

兄「…でも、帰ったら、思いっきり甘やかしてやるんだ」

幼馴染「…ふふ」

幼馴染(妹を大切にする兄…、かっこいーじゃん)

兄「だから、今は遊ぼうぜ、せっかく来たんだしな」

幼馴染「ふふ、まぁせっかくって言っても隣だけどね」

兄「まぁな」

兄「…と言っても、何すんだ?」

兄「昔ならゲームだったけど、今はなぁ」

ピト

兄「!」

幼馴染「…こ、こうやって、寄り添ってたらいいじゃないっ…」カァァァ

兄「…」

兄「うん」ピト

ヴヴヴヴ

幼馴染「…でも」

幼馴染「あんたと、ずっとこんなことしてるなんてね…」

幼馴染「すぐに会わなくなるんだって思ってたけど…」

兄「そうだな」

幼馴染「…」

幼馴染「できれば、このまま、ずっと…」ニギ

兄「ん?」

幼馴染「う…、あっ」パッ

幼馴染「な、なんでもないからっ、バカっ…!!」

兄「…はは」

兄「俺も、ずっと続いて欲しい」

幼馴染「っ」ドキッ

ヴヴヴヴ

幼馴染「…」

兄「…」

幼馴染(なんだか、幸…)グゥー

兄「ん?」

幼馴染「…っ」カァァァ

兄「はは…、腹減ったな、飯でも食いに行くか」

幼馴染「うん」ギュッ

兄「っ!?」

兄(う、腕組み…っ?)

幼馴染「ふん…っ」プイ

ヴヴヴヴ

ヴヴヴヴ

兄「だーっ」

兄(せっかくいい雰囲気なのにっ…)ピッ

幼馴染「何したの」

兄「電源切った」

幼馴染「え、いいの…?」

兄「…しょうがないだろ」

兄「今ぐらい、我慢しておいて欲しいから…」ギュ

幼馴染「ぁ…」

幼馴染「…ふふっ」

兄「行こうぜ」

幼馴染「…うんっ」





『留守番電話サービスセンターに接続します』


『留守番電話サービスセンターに接続します』

カラン

「いらっしゃいませー」

兄「この店、久しぶりだな」

幼馴染「そうね、ちっちゃいとき、お互いの家族でよく一緒に…」

兄「お前はいっつもオムライスばっか頼んでたよな」

幼馴染「う、うるさいっ…、今も好きだしっ」

兄「はは」

兄(変わらないって、いいなぁ…)

幼馴染(…男)





『留守番電話サービスセンターに接続します』

『留守番電話サービスセンターに接続します』

『留守番電話サービスセンターに接続します』

『留守番電話サービスセンターに接続します』

兄「お、来た来た」

「オムライスのお客様ー」

幼馴染「あ、はいっ!」

幼馴染「ハッ」

兄「…」ニヤニヤ

幼馴染「…もぉっ、変な顔で見ないでっ…」カァァァ

兄「いやぁ、あまりにも良い顔してたから」

幼馴染「うぅっ…」カァァァ











幼馴染「はむっ、はふはふ…」

幼馴染「美味しいっ」ニコニコ

幼馴染「…ハッ」

兄「…」ニヤニヤ

「もぉっ!!」












兄「美味かったな」

幼馴染「そうね」

兄「せっかく外出たし、このまま、ちょっとどっか行くか」

幼馴染「うん」ギュ

兄「…」

幼馴染「…」プイ

兄(腕に抱きついて、顔は背けるなんて…、何という分かり易さ)

幼馴染「じろじろ見んな!早く行こ!」

兄「…はは、うん」





兄「ゲーセンかー、久々に来たな」

幼馴染「そうだね、昔はよくゾンビ撃つやつやったなぁ」

兄「あぁ、懐かしいな」

兄「お、まだあるみたいだぞ!」

幼馴染「ほんと?やろやろ!」

兄「…」バンバン

幼馴染「ばんばんっ、こっち来んなバカっ!」ババババ

幼馴染「う、うわぁっ、だめっ、死んじゃうぅっ…!」

バンッ……ドサッ

幼馴染「あ…」

兄「…」バンバン

幼馴染「…うぅ」

幼馴染(ゲームなのに…、ちょっとかっこ良かった…)ポッ

『GAME OVER』

兄「ふぅ…、疲れ」

「おとこっ!」グイグイ

兄「ん…」

幼馴染「プリクラ、ぷりくらっ!」

兄「わ、分かったよ…」

幼馴染「…」ニコニコ

兄「…っ」キュン





兄「いやぁ、遊んだなぁ」

幼馴染「もう夕方かぁ…」

兄「…」

兄「それじゃ、そろそろ、この辺で…」

ギュゥ

兄「!」

幼馴染「…」

幼馴染「今、親いないんだよ…?」

兄「っ!」ドキッ

兄「…っ」

兄「で、でも、あんまり遅くなると、妹もあれだし…っ」

幼馴染「…」

幼馴染「そっか」

幼馴染「うん、しょうがない」

幼馴染「…」

兄「ごめんな」

幼馴染「いいよ」

幼馴染「また今度、ね…?」

兄「なっ…!」カァァァ

幼馴染「ふふー、何顔赤くしてんの、変態っ!」

兄「う、うるせー!!」



兄「…じゃあな」

幼馴染「うん」

兄「また、すぐ会いに来るから」

幼馴染「…」コク

兄「じゃあ」

テクテク

幼馴染「あ…」

幼馴染「男…っ」



兄「…」テクテク

兄(出来れば、もっと一緒に居たかったが…)

兄(妹にも遅くならないって言ってあったし、また今度…)

兄(お、幼馴染と…)カァァァ

兄(だーっ!!何考えてんだ俺は、気持ち悪い!!)

兄(…あ、そうだ)

兄(帰りながら、携帯みとくか…)

兄(無視したのも、妹のためとは言え、一応謝らないとな)

兄(電源オン、と…)ピッ

ヴヴヴヴ

兄「え…?」

ヴヴヴヴ

兄「…」

兄(ま、まさか、今まで、ずっと…?)

ピッ

兄「は、はいっ」






『お兄ちゃん…?』

兄「あ、あぁ」

兄(なんだ、今の間…)

『今どこ…?』

兄「今、帰ってるとこだ」

兄「ごめんな、携帯の電源、切…」

『ううん、いいよ…?』

『早く帰ってきて…?』

兄「わ、分かった、すぐ帰る、じゃあな」ピッ

兄(なんか、ヤバい感じがしたぞ…)

兄(ダッシュで帰ろう)タタッ





兄「はぁ、はぁ…」

兄(家の前まで帰っては来たものの…)

兄(なんか、入りづら…)

ガチャッ

兄「!」

妹「…っ」ギュゥ

兄「い、妹…、ごめ…」

グイッ

兄「うぁっ!?」

兄(家の中に、引っ張られ…っ)

バタンッ!

グイ グイ

兄「お、おいっ、どこまで引っ張…っ」

兄(こ、この先は、妹の部屋…っ)

グイ グイ

…バタンッ

兄(妹の部屋に入ったっ…)

兄(このままじゃ、ベッドに倒れ…)

兄「うぁっ!」

ギシッ!

兄「ぅ…」

ギュゥ

兄「い、妹…」

妹「…」ギュゥゥ

兄「ご、ごめ…」

妹「…」ギュゥゥゥ

兄「…」

兄「…」ナデナデ

兄「ごめんな、ごめん…」

妹「…」ギュゥゥゥ

兄「…」ナデナデ

妹「…」

兄「腹減ってないか、大丈夫か…?」

妹「…」ギュゥゥ

兄「妹…」

それから1時間ほど、この状態が続いた


妹「…」ギュゥゥ

兄「…」ナデナデ

兄「な、なぁ、まだ許してくれな…」

ギュゥゥゥ

妹「…っ」

兄「…」ナデナデ

2時間、3時間…

妹「…」ギュゥ

兄「お、おい…」

兄「頼むよ…、俺が悪かっ…」

ギュゥゥッ

兄「…」

兄(妹…)

兄(ちょっと前までは、ここまでは…)

妹「…」ギュゥゥゥ


妹(お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん)

妹(お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん)

妹(お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん……)

もう、どれくらい経ったか分からない。


妹「…」ギュゥゥ

兄「…」

兄(流石に俺はもう諦めたが…)

兄(抱き締める強さも、だいぶ弱まってきたみたいだな…)ナデナデ

妹「ん…」

妹「お兄、ちゃ…」ギュゥ

兄「はは…、やっと喋ってくれたな…」ナデナデ

妹「…あれ?」

妹「お兄ちゃん、いつ帰ってきたの…?」

兄「…」

兄「は…?」

妹「うぅっ、帰ってきたなら言ってよぉ」

妹「寂しかったよぉ…」ギュゥ

兄「…??」ナデナデ

妹「えへへ…」

妹「お兄ちゃん、あったかい…」

妹「このまま寝ちゃいそう…」ギュ

兄「ま、待てよ」

妹「んぅ…」ギュゥ

兄「ま、待て待て」

妹「んぅぅ…、どうしたの…?」

兄「腹減ってないのか?風呂もまだだぞ?」

妹「だいじょうぶ、さっきお昼食べたばっか…」グゥゥ

妹「…あれ?」

妹「お腹すいた…」

妹「どうしよう、食べ過ぎて太ったら、お兄ちゃんに嫌われちゃうよ…」

兄「おい、外見ろ」

妹「え…?」

妹「!」

妹「真っ暗…」

妹「なんで…?」

兄「…」

妹「あ、私、ソファで寝ちゃってたんだ…」

妹「それで、お兄ちゃんが、部屋まで運んでくれたの…?」

妹「ありがとう」ギュゥ

兄「…」

兄(どういうことだ)

妹「えへへ…」スリスリ

妹「お兄ちゃん、お兄ちゃんっ…」スリスリ

兄「…」ナデナデ

兄(どうして…?)

兄(…)

兄(電話は…、メールは…?)

兄(…)

兄(あの、抱きつき、引っ張りは…?)

妹「んぅ…」スリスリ

兄「ほんとに寝てたと思うのか?」

妹「え…?」

妹「うん…」ギュ

兄「ほんとか?」

妹「ぇ…っ」

妹「…」ウルウル

兄「!」

妹「嘘じゃないよぉ、ほんとだよぉ…、ぐすっ…」ギュゥ

兄「ご、ごめんごめん、ごめんな…」ナデナデ

妹「ぅ…」

兄(どういうことだ…)

兄(嘘をついてるという感じも全くしない…、何故…?)

妹「お兄ちゃん、信じてくれないの…?」

兄「い、いや、信じてるよ」ナデナデ

妹「ん…」

兄「…」

兄「とりあえず、飯食うか」

妹「うん」ギュ

兄「…まだスーパーとか開いてるかな」

兄「最悪、コンビニの弁当とかでもいいか?」

妹「うん」

兄「んじゃ、買いに行ってくるわ」

ギュ

妹「私も行くっ」

兄「…うん、一緒に行くか」



テクテク

妹「…」

妹「お兄ちゃん」

兄「ん?」

妹「今日、楽しかったの?」

兄「…ああ、幼馴染の家か?」

妹「うん」

兄「そうだな、楽しかったよ」

兄「そう言えば、昔みんなで行った洋食屋さんに久々に行ってきたんだ」

兄「幼馴染は相変わらずオムライスを美味そうに食ってたよ」

兄「後、一緒にゲーセンにも行ったな…」

兄「あいつ、ゲームが本当に下手で、金が飛ぶように消えていったな…」

兄「あ、それと、プリクラも撮ったな」

兄「最近のやつは色々機能があって、凄…」

兄「…」

兄「妹?」



ギシッ


気付くと、妹の部屋にいた

妹のベッドの上に


妹「…」ギュゥゥゥ

兄「…」


当然のように、俺に覆い被さる妹もそこにいた


こうなった経緯は、俺もほとんど覚えていない


妹「…」ギュゥゥゥ


ただ、妹の体の暖かさだけが、俺の中に染み込んでいた

兄「…おい」

妹「…」

兄「離してくれよ」

妹「…」

兄「妹」

妹「…」

兄「なぁ…」

兄「お前、ちょっと変だぞ…?」

兄「…」

兄「なぁ」ユサユサ

妹の部屋

妹の、甘く、優しい香りが広がる

暖かさも、柔らかさも、同時に俺を包み込む


妹「…」ギュゥゥ

兄「…」

兄(形に惑わされるな)

兄(怒るときは怒れ)

兄「…」

兄「なぁ、妹」

妹「…」

兄「いい加減にしろよ?」

妹「…」

兄「いつまでもこんなんじゃダメだ」

兄「一旦離れて、落ち着いて」

兄「そして、もうこんなことしないでくれ」

兄「甘えるな、とは言わないから」




ギュゥゥゥ

兄「…はぁ」

兄(どうしようか…)

兄(どうやって…)

兄(…あ、そうか)

兄「妹」

兄「…このままじゃ俺、お前のこと、嫌いに…」

ビクンッ

兄「え…?」

ビクビクッ

兄「お、おい、大丈夫か?」

兄(痙攣…?)

兄「…」

兄「おい?」

ギュゥゥ

兄(収まった…)

兄(…)

兄「なぁ、妹」

兄「本当に、嫌いに…」

ビクゥゥッ!

ギュゥゥゥッ!

兄「ぁ…っ!」

兄「ご、ごめん、ごめんっ、好きだって…」

ビクンッ!

兄「え…」

妹「もっと…」

兄「…好きだ」

ビクビクッ!

兄(な、なんだ…!?)

妹「もっと、もっと」

兄「ダメだ、何かお前、本当におかし…」

ギュゥゥゥ!

兄「うぐぁっ!」

妹「もっと…」

兄「っはぁ、はぁ…!」

兄「わ、分かったから止めてくれ…!」

妹「もっと」

兄「…好きだ」

ビクンッ ビクッ

そして、いつの間にか腕の力が抜け、妹は気を失っていた

妹「…」

兄「…」ナデナデ

兄(妹は、大丈夫なのか…?)

兄(本当に、一回病院に…)

妹「ん…」モゾ

妹「お兄、ちゃ…?」

兄「大丈夫か?」

妹「あれ、晩ご飯は…?」

妹「一緒に買いに行ってたのに…」

妹「…」

妹「まさか、眠たすぎて、私、途中で寝ちゃったの…?」


本当に危ないところまで来ているのかも知れない、と思った

妹「うぅ…」ギュ

妹「ごめんなさい」

兄「いや、いいよ」ナデナデ


もう、妹に、さっき起こったことを伝えるのは無駄だと悟った。

本当に記憶がないようだった。

妹「ご飯、もう食べちゃったよね…?」

兄「あぁ、腹減ったから、先に食ったよ」

兄「ごめんな」

妹「えへへ…、いいよそんなの」ギュ

妹「それより、お兄ちゃん、もう寝るの…?」

兄「え、あ、ああ」

兄「もう夜中だからな」

妹「えへへ…、じゃあ、このままもう一回寝る…」ギュゥ

兄「風呂は?」

妹「明日の朝入る…」

妹「それより…」

妹(ずっとこのままでいたい…)ギュゥ

兄「…」

兄「分かった、電気消すぞ」

妹「うん…」

ピッ



妹「すぅ、すぅ…」ギュ

兄「…」

兄(これは、相談した方がいいよな…)

兄(俺個人で治してやれれば、一番いいが…)

妹「お兄ちゃん…」ギュゥ

兄「…」

妹「すぅ、すぅ…」モゾ



「ちゃん…」

「おにーちゃんっ」

兄「ん…」

妹「おはよう、朝だよ」ニコ

兄「あ、ああ」

兄「ありがとう」

妹「えへへ…」

妹「お風呂入ってこよっと」トテトテ

バタン

兄「…」

兄「…」

兄(とりあえず、朝飯、作るか…)



兄「よし、大体でき…」

ガチャッ

妹「うわぁ、いい匂いっ」ホカホカ

兄「…」

妹「もう食べていい?」

兄「うん、いいよ」

妹「えへへ…、一緒に食べよっ」ギュ

ヴヴヴヴ

兄「ん…、メール」

兄(…そう言えば、昨日の夕方からメールとか見てなかったな)ピッ

『受信BOX:未読500件』

兄「…」

妹「お兄ちゃん、冷めちゃうよ」

兄(今着たのが幼馴染で、それ以外は全部妹…)チラ

妹「?」

兄「…」

兄(とりあえず、幼馴染のメールは…)ピッ

『今日も遊ぶぞ、暇人!^^』

兄「誰が暇人だ…」ポチポチ

『Re:分かった』

兄「…」チラ

妹「もぐもぐ」

『Re:分かった。でも、妹も一緒でいいか?』

兄(一緒に居てやらないと、まずい気がするからな…)

妹「?」

妹「もぅ、お兄ちゃん、携帯ばっかり触って」

兄「ごめんなさい」ペコ

妹「えへへ…許しましょう」ナデナデ





ピロリロ

幼馴染「…」

幼馴染(妹ちゃんも一緒かぁ…)

幼馴染(今日も親いないから、やっと…、と思ったのに…)

幼馴染(…っ)カァァァ

幼馴染(じゃないでしょ、何やらしいこと考えてるんだか…)

幼馴染(…)

幼馴染(でも、妹ちゃん久しぶりだなぁ)

幼馴染(二人きりじゃないのは残念だけど、妹ちゃんに会えるなら、いっか)ニコ





ヴヴヴヴ

兄「ん…」

『妹ちゃん、全然いいよ!』

妹「もぅっ、お行儀悪いよぉ」

兄「すいません」





妹「ふぅ、おいしかったぁ」

妹「お兄ちゃん、ごちそうさまでした」ニコニコ

兄「うん」

妹「えへへ…」トテトテ

妹「ねぇねぇ、お兄ちゃん、今日どこか…」ギュ

兄「…悪い、今日も幼馴染と遊ぶんだ」

兄「でも、今日はお前も来いよ、幼馴染にも言ってある」

妹「…っ」ブルッ

兄「!」

兄(ま、また、豹変するのか…?)

妹「…ふぅっ、ふぅっ」

兄「妹っ」ギュゥ

兄「落ち着け、落ち着け、な…?」ナデナデ

妹「ぅ、ぅ…っ」

兄(息が荒い…)

兄(妹っ…!)ギュッ

妹「んっ…」

兄「妹、妹っ…!」ギュゥゥ

妹「ぁ…っ」

兄「妹…っ!」ギュゥゥゥ

妹「っ、っ」

妹(お兄ちゃんに、こんなに強く抱き締められてっ…)ビクッ ビクッ

兄「大丈夫だぞ、な…?」

兄「俺はどこにも行かないから…、な…?」ギュゥゥ

妹「ぁ、ぁ…っ」ビクビク

妹「うんっ…」ギュゥッ

兄「…っ」ギュゥゥ





妹「ふぅ、ふぅ…」

兄「…」ギュゥ

妹「お兄ちゃん…」

妹(幸せ…)

妹(…でも)

グイッ

妹「いいよ、お兄ちゃん…」

妹「一緒に、幼馴染ちゃんと遊ぼう…?」

兄「ダメだ」ギュッ

妹「ぁっ…」

兄「俺と一緒に、ずっとここにいろ…」

妹「んぁっ…!」ビクンッ

妹「はぁっ、はぁっ…」

妹「だめっ…」

兄「何でだ…?」

兄「行きたくないんだろ…?」

兄「それに、俺もお前の傍にいた方が…」

ギュッ

兄「!」

妹「大丈夫だから、行こう…?」

妹(わがままばっかりじゃだめ)

妹(ちゃんと、私の方を向いてもらうのっ…)ギュゥ

兄「…」

兄「…本当に、大丈夫なんだな」

妹「うん」

ギュッ

妹「えへへ…、早く行こう?」

妹「久しぶりに幼馴染ちゃんと会うの、楽しみっ」

兄「…」

兄(大丈夫なのか…?)

兄「わ、分かった、行こうか」

妹「えへへ…」スリスリ





ピンポーンッ

…ガチャッ

幼馴染「いらっしゃーい」

幼馴染「…わぁ、妹ちゃんっ!」

妹「幼馴染ちゃんっ」ギュッ

幼馴染「ふふ、相変わらず、ちっちゃくて可愛いね」ナデナデ

妹「んぅ…」

幼馴染「ぎゅーぎゅーなでなで攻撃っ」ギュゥギュゥ

妹「んぁぁっ」

兄「…」

兄(何だ、全然大丈夫そうだな…)

幼馴染「男!突っ立ってないで、さっさと上がるっ!」

兄「はい」

幼馴染「今日も親いないから、リビングでいい?」

兄「ああ」

幼馴染「妹ちゃんのためにケーキ買ってきたから、持ってくるね」

妹「ありがとうっ」

幼馴染「…ふふ、ほんとに可愛い」ナデナデ

兄「…」





幼馴染「はい、どうぞ」

幼馴染「妹ちゃん、チョコケーキ大好きだったよね?」

妹「うん!」

幼馴染「ふふ…」ナデナデ

兄「…」

兄(何か、母親みたいだな)

幼馴染「…何ニヤついてんの、気持ち悪い」

兄「うるせーっ」

妹「…」

妹「あむあむ」

兄「…で、俺の分は?」

幼馴染「あるわけないでしょ」

兄「!?」

幼馴染「妹ちゃんのためにケーキ屋さんに行ったんだから、男の分なんてあるわけない」

兄「待てよ…、待ってくれよ」

兄「俺も食いたかったぞ…」

幼馴染「もぐもぐ…、ふふ、美味しいね、妹ちゃんっ」

妹「…」

兄「ぐぅぅっ…」

兄「我慢ならん、幼馴染、お前のを少し…」

幼馴染「ふふ、ばーっか、ほら、男の分!」

兄「…」

兄「か、買ってくれてたのか」

幼馴染「当たり前じゃない、男は騙されやすすぎるの!」

幼馴染「ふふ…、あー面白い」

兄「腹立つ…、けど、買ってきてくれてありがとう」

幼馴染「…っ」カァァァ

妹「…」

兄「はは、何赤くなって…」

兄「…!」

妹「…」

兄(寂しそうな顔…)

幼馴染「あ、赤くなんかなってないから!目悪いんじゃないのっ」

兄「…」

妹「…」

幼馴染「ちょっと、聞いてんの!」ゲシッ

兄「痛っ!」

兄「蹴るのは止めろ!」

幼馴染「じゃあ罵る!」

兄「それも止めろ!」

幼馴染・兄「~~!!」


妹「…」

妹「…」ポロ ポロ

妹「ぁ…」

妹「…っ」フキフキ


幼馴染「ね、こいつおかしいよね、妹ちゃん!?」

妹「う、うん」ニコ

兄「…」

兄(…妹)

幼馴染「って…」

幼馴染「何いきなり冷静な顔になってんのっ!」

兄「…」

幼馴染「こら、聞いてるっ!?」

幼馴染「~~!!」

兄「…」


妹「…」


兄(妹…)

幼馴染「~~!!」

幼馴染「…って、」

幼馴染「こら、ほんとに聞いてないでしょっ!!」

ニギ

妹「ぁ…」

幼馴染「…?」

幼馴染「男…?」

兄「…ご、ごめん」

兄「用事思い出した」

兄「帰るぞ、妹」グッ

妹「…っ」

幼馴染「ちょ…っ」

幼馴染「用事って、ちょっと…っ」

兄「ケーキありがとな、美味かった」

兄「また来るわ、じゃあな」グッ

妹「ぁ…」

幼馴染「ちょっ…」

バタンッ





妹「お兄ちゃん…?」

兄「…」

兄「俺の部屋、行こうか」

妹「…」

ガチャッ

妹「ぁ…」

妹(お兄ちゃんの匂い…)キュゥゥ

兄「…座って」

妹「うん…」

兄「…」

妹「…」

兄「…」

妹「…」ドキドキ

兄「…なぁ」

兄「…お前、好きな人、いるか…?」

妹「え…?」

兄「好きな人」

妹「…っ」ドクンッ

兄「…」

兄「…」

妹「…っ」

妹「い、いるっ…」

兄「…」

兄「どんな人?」

妹「…っ」ドクン

兄「その人は、いつもお前の傍にいるか?」

妹(お兄ちゃん…)ドクン

妹「うん、いるよ…?」

兄「…」

ギュッ

妹「ぁ…っ」ビク

兄「…」

兄「ごめんな…」

兄「もっと早く気付けよって言いたいよな…?」ギュゥ

妹「ぁっ…、ぁ…」

兄「辛かったんだな、苦しかったんだな…」

兄「ごめんな、ごめんな…」ギュゥゥ

妹「っ」…ッビクッ ビクビクッ ビクッ

妹「っはぁっ、はぁっ…!」

妹「お兄ちゃっ…、私っ、私…っ」ギュゥゥゥ

兄「ごめんな、ごめんな…」ギュゥゥ

妹「んぁぁぁっ、ゃぁっ、ぁっ…!」ビクビクビクビクッ

妹(お兄ちゃんがっ…)

妹(私を見てくれてるっ…)

妹(しっかり、受け止めてくれてるっ…)

妹「お兄ちゃんっ、お兄ちゃんっ…!」ギュゥゥゥ

兄「妹…っ」ギュゥ

妹「うぅっ、ぅ、ぅっ…!」ビクビクッ





妹「はぁっ、はぁっ…」

兄「落ち着いたか…?」

妹「うぅ…、ぅ…」ギュ

妹「うん…」

兄「…」

兄「…」ナデナデ

妹「…」ギュゥゥ

妹(お兄ちゃん…っ)

兄「…」

兄「でな…」

兄「その気持ちをしっかり受け止めた上で、お前に言わなきゃいけないことがある…」

妹「…」

妹「…?」

妹「なぁに…?」

兄「…」

兄「あのな…」

兄「俺はな…?」

兄「…」

妹「…」ブルブル

兄「幼馴染のことが、好きだ…」

兄「俺は、幼馴染と付き合いたい」

兄「一緒になりたい」

兄「…ごめんな」

兄「本当にごめん、こんなクズのような俺を、どうか許してくれ」ポロ ポロ

兄「…妹っ」

兄「あぁっ、ぁ…っ!」ブルブル

兄「妹っ、妹っ…」

兄「ごめん、ごめんっ…!」ギュゥゥッ!

兄「…」ポロ ポロ

兄「うぅっ、ぅ…」ポロ ポロ

「…えへへ」

兄「ぅぅ…っ」

「泣かないで、お兄ちゃん…」

兄「い゛もっ…、ごめ゛っ…俺っ…!」

「そんなに気にしないで、お兄ちゃん」

「私は、幸せだよ」

兄「ぐぅっ…、ぅ゛っ…!」ギュゥ

「私は、お兄ちゃんが、大好き…」

「…でも、だから、お兄ちゃんが苦しんでるところは、見たくない…」

「…いいよ、私は、お兄ちゃんの妹だもん」

「ずっと傍にいられるもん」

「…私の気持ちに気付いてくれて、考えてくれて…」

「私は、これだけで、十分幸せだから…」

「だから、泣かないで…、お兄ちゃん…」ナデナデ

兄「うぅっ、ぐぅぅっ、ぐっ…、ぁっ…!」ギュゥゥゥッ

「…えへへ…」

「お兄ちゃんの、泣き虫っ…」ポロ ポロ

翌日から、俺は幼馴染と付き合い始めた

正直、幼馴染が俺のことを好きかどうか、はっきりは分からなかったので、
答えを聞いたときは安堵のため息が出た
 それから、心は幸せで満ちていった

ずっと大事にするからな、幼馴染…




…そして…、




兄「…」

コンコン

兄「ん…?」

ガチャッ

兄「妹…」

「えへへ…、ご飯、作ってみました」

「美味しいかどうか分からないけど、頑張ったから、食べてみてね?」

兄「あぁ」

…ギュッ

「ぁ…っ」



「…お前も、俺の傍にいる間は、ずっと愛してやるから…」

「絶対離れんなよ、な…?」

「…」

「うん…」ニコ


ギュゥ



おわり。

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