ホラーなので注意。
サイトに掲載しようと思ったのをこちらに投下。背景や画像いじれないからあまり怖くないです。
最初はモブ視点から始まります。
「―――ちゃ、…………ちゃん……………」
声がして、ふと目を覚ました。すぐに体を動かそうとしたがまるで長い間、病気してたかのように体が重たくて動く気配がない。今、自分の体はどうなっている?
ふと、思い出すのは先ほどの事。自分は今日、日直だったので兵舎の見回りをしていた。薄気味悪いのでさっさと終えようと早足で歩いた途端、後ろから誰かに殴られたのだ。
ちくしょう、誰だ、殴りやがったのは…
見てもいない犯人にふつふつと業を煮やす。
もしかして、薬でも盛られたから体が全く動かないのかもしれない。私が卒業試験で10番以内に入ったから誰かが嫉妬してこんなマネをしたのだろうか。
しかし、おかしな点に気づいた。あれは少し前の話だ。それなのにまるで何日も水すら口にしていないかのように舌がスポンジのようになり、水分を求めている。それに、自分は兵舎をまわっていたのに周りには木々があった。いつのまに外に運び込まれた?
「―――ちゃ、………オネエ……ちゃ……………」
よくよく耳を凝らすと「お姉ちゃん」と言っている気がするが自分には妹はいない。一体、どういう事だ?
不思議な気分に包まれて、瞬きをすると少し先に何かチラついて見えた。赤い何かが樹木の後ろに見え隠れしている。
ここにきて、初めて不思議な感覚から背筋を凍るような恐怖を覚えた。本能が逃げろと警報を鳴らしている。しかし、体がぴくりとも動かないのだ。
ぺたぺた…………
‘それ‘はゆっくりと私の方に近づいてきている。
顔が上げられないので声の持ち主の足を穴が空くほど見つめるしかなかった。全身の毛穴がぶわりと開く感覚がする。
ぺたぺた……
来るな、来るなと念じるのにそれは無視されて、それは足音をたてながら、ゆっくりと私に近づいてきていた。
「オネエチャン」
今度ははっきりと声が聞き取れた。寒くないのに体が震える。暑くないのに汗が伝う。鼓動が速まる。
なぜ、この暗闇の中、足だけははっきり見える?
なぜ、落ち葉が沢山あるのに踏む音がしない?
なぜ、こんな場所に子どもがいる?
なぜ、こんな森の中で素足なんだよ……!!
私は口元に薄ら笑いを浮かべた。次第に笑いがこみ上げてくる。そんな状況じゃないと分かっていたが、肉体のコントロールが上手くいかない。
「オネエチャン」
私は兵士だ。巨人ですらないガキに驚いたりするものか。そう、私は勇敢なる兵士だ。あの巨人達を相手にする兵士だ。
ぐっと土を掴むとゆっくりと私は顔をゆっくりとあげて、足の持ち主の顔を見つめた。
そこにはーーーーーーーー
<FONT color="#FF0000" size="2"> タグ使えるか確認します。すみません </FONT>
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッアッッッッ…………ウァ………、
薄暗い森の中で絶叫だけが木霊する。そして、次第にその声は小さくなっていくとまた静寂が森を包んだ。
エレン「うわああああ!!!!!」
ジャン「うるせえ、死に急ぎ野郎!!!!急に悲鳴あげんじゃねぇよ!!!ビビるだろうが!」
エレン「おまえだって、アルミンが話してる最中にぶるぶる震えてたじゃねえか!」
ジャン「はぁ?おまえと一緒にすんじゃねえよ!」
アルミン「エレン、ジャン、やめなよ。ほら、みんなが起きちゃうじゃないか」
‘怖い話‘をしていたアルミンは困ったように顔をしかめると2人を落ち着かせるようにたしなめた。彼らと同じように話を聞いていたベルトルトとライナーも心情が穏やかではない顔つきをしている。
何故か、暇つぶしの為に怖い話をしよう!というやり取りが事の始まりだった。
ライナー「アルミン、おまえ、語り手も上手いな。おかげで冷や汗かいたぜ」
ベルトルト「その話って実話かな?」
アルミン「この話は訓練兵が消灯時間過ぎて外出しないようにする為の噂話だと思う」
ライナーは言葉の通りに汗を拭うと一息吐く。対するベルトルトは未だに神妙な顔つきをしていた。
アルミン「実話だったらそもそも、その幽霊を目撃した訓練兵は死んでるわけだから噂話になったりしないと思うよ」
ライナー「そうか、そうだな」
ジャンと殴り合いをしていたエレンはアルミンの言葉に安心したようにホッと息を吐いた。
エレン「そんな噂、誰から聞いたんだよ。アルミン」
アルミン「駐屯兵団の人たちからだよ。何でもこの時期、成績が10番以内の訓練兵が数名、必ず脱走するんだって」
ベルトルト「へえ、それは可笑しいね」
アルミン「成績が下位なら分かるけど、憲兵団の待遇が受けられる成績優秀の訓練兵が何故、この時期に脱走するのか?という疑問からこの噂話は広まったんだと思うよ。そこから幽霊に襲われたんじゃないかと噂になったんだ」
いつものように手八丁口八丁で話すアルミンに引き込まれるように周りは彼の言葉に耳を傾けた。
ライナー「おいおい、誰だよ。蝋燭の火を消した奴」
雰囲気を出すために灯していた蝋燭がいつの間にか、消えている。ライナーはそれに気づくと大雑把に蝋燭を片付けた。
ジャン「風だろ」
ライナー「そうか、風か。窓かドアでも開いていたんだろう」
アルミン「エレン、明日、見回りの当番だったよね。頑張って」
エレン「はっ、幽霊なんか怖いはずないだろ」
エレンは気にせずに蝋燭を片付けると毛布を被った。
――――その晩、窓もドアもしっかりと閉まっていて風の入る隙間はなかった。
エレン「(べ、別に幽霊なんか怖くないからな)」
エレンは次の晩、夕食を食べ終えると震える足を叱責するように歩き出した。今から数時間後に訓練所の見回りをしなければならない。
巨人は怖くないし、もちろん、幽霊も怖くなんかない。そう、あまりにもアルミンの話し方に雰囲気があったせいで怖いと勘違いしてるだけだ。そう、そうに違いない!だから、俺はビビッてないけど、ジャンはあんなにビビっていたではないか。
ミカサ「エレン、どうかしたの?」
エレン「ミ、ミカサ、何でもねえよ」
振り返るとミカサが心配そうに近寄ってくる。ぷいっと顔を背けるとアルミンが告げ口をするかのように口を開いた。
アルミン「昨晩、怖い話をしていたら、エレン本気にしちゃって「アルミン、言うなよ!」
15歳になって…しかも兵士が幽霊を怖がっているなんて知られたら、恥ずかしいにも程がある。ミカサの表情を窺いながら反論しようとすると本人に無視された。
ミカサ「怖い話?」
アルミン「そう、駐屯兵団の先輩から聞いたけど、この時期、脱走する訓練兵がいるみたいなんだ。それが幽霊のせいなんだって」
ミカサ「…そういえば、東洋にある島国ではこの時期、焚き火を焚いて死んだ先祖や亡くなった人たちを迎えると昔、母に聞いたことがある」
エレン「は、はぁ!?なんでそんなこわい…そんな事するんだ!?」
ミカサ「ごめん、エレン。理由までは覚えていない」
ミカサが覚えていないのは仕方ないだろう。しかし、エレンにとって死んだ人間を呼び寄せる習慣があるなんて、信じられなかった。ふと、母さんの姿が脳裏に横切ったが首を振る。
一度、ここで区切ります。読んで下さりありがとうございました。掲示板だとあまり怖くないですね。需要ありましたらゆっくり更新していきたいと思います。
このSSまとめへのコメント
こいよー