モバP「朝起きたら女になってた」 (80)

P「……ケホッ。なんか身体がだるい……頭クラクラする……」

ちひろ「大丈夫ですか?」

P「あぁ、はい。とりあえず事務仕事だけもう少しで終わるので……そうしたら休憩させてもらいますね……」

ちひろ「無理はしないでくださいね……はい」

P「はい?」

ちひろ「その仕事、私が済ませておきますから早めに帰って寝てください。今は大事な時期なんですから」

P「いや、これぐらい大したことじゃないですよ。それに仕事だって少ないわけじゃ……」

ちひろ「い い か ら! 私に任せておいてください。今度の大きなイベントに向けて張り切ってるのはわかりますけど、オーバーヒートしちゃいますよ?」

P「……すみません」

ちひろ「いつも頑張ってるPさんへのご褒美だと思っていただいても結構です。今度のイベントではあの765エンジェルやサイネリア、ニュージェネレーションも呼ぶんですから……」

P「それじゃあ、遠慮なく……帰りますね……」

ちひろ「はい、お疲れ様でした♪」

  ガチャッ  パタン

P(あぁ……なんか寒気までする……これは本格的に風邪でもひいたかな……)

P(今日はあったかくしてさっさと寝るか……)

P(食欲もないし、ちひろさんには感謝しないと)

P(明日はお礼になにかおごるかなぁ……)

P「ゲホッ……んん。とりあえず、寝よう……」

P「布団一枚多く出すか……」ゴソゴソ

P「………」

P「……ZZZ」

――――

――

  チュンチュン  チチチ…

P「………ん、んんー……?」

P「あつ……何時だ……?」

P「……ん……と、6時か……ちょっと早い、な……?」

  ゴソゴソ…トテッ

P「……んん?」

P「………あーあー。あーあーあーあー……? 喉痛めたか……?」

P「なんか、違和感が……」フニョンッ

P「ふにょん?」チラッ

P「……Oh、マウンテン……」

P「……え、えっ? あっれー?」

P「おっかしーなー。あはは、仕事に胸高鳴りすぎたかなー?」

P「あははは、あは、はは………」

  ペタペタ  フニフニ

P「……うん。ないし、ある」

P「あるし、ない」

P「ない……どうしよう……」

P「………いや、本当……どういうことなんだよ……なんだこれ……」

P「と、とりあえず……どうすればいいんだ? 社長に、電話……?」

P「休むって……でも、明らかに声が違うし、不審か……」

P「………」

P「……とりあえず、顔を洗おう。今の俺がどうなってるかを把握しないと」

P(………なるほど。見事な美女……美少女、か)

P(身長は150代、年頃は10代後半ってところか)

P(髪は伸びて肩にかかる程度はある。くせっけのないストレートの黒……)

P(あははは、男には見えないわ。あはは、はは……)


P「はぁ……あぁ、もう……朝ごはん美味しい……」

P「体調はすこぶる良好。体もちゃんと動く」

P「夏用の寝間着ならどうにか着れたのは僥倖か」

P「……どうしよう。スーツも着れないし、この恰好で外に出るのは流石になぁ」

P「病院にいく服もないか……はぁ……」

P「どうしたものか……こんなの連絡しても信じてらえるとは思えないしなぁ」

P「とりあえずメールでもしてどうにかごまかして病院にいって……」

 prr ピッ

P「はいもしもし、Pです」

ちひろ『あぁ、プロデューサーさん! 実は………って、え?』

P「あっ」

P(ま、まずい。習慣で普通に電話に出てしまった……)

ちひろ『あれ……あの、そちらはPさんの電話で間違いないですよね……?』

P「あー、いえ、あの……実は……信じられないような話をしたいんですけれど、聞いてくれますか?」

ちひろ『……真剣なトーンですね。女の子にそう言われたらこの千川ちひろ、聞かないわけにはいけません……なんでしょう?』

P(女の子、か……あぁもう……)

――

ちひろ『――つまり、あなたはPさん。朝起きたら女の子になってて、どうすればいいかわからないと』

P「まぁ、そういうわけです……いろいろ話しましたけれど、信じられなかったら今日は休むってところだけは把握しておいてもらえると助かります……」

ちひろ『大丈夫、信じますよ♪』

P「えぇっ……いや、言っておいてなんですがいいんですかそれで?」

ちひろ『Pさんの電話に出て、なおかつアイドルの子たちの癖やスケジュールの一切まで把握してる……そんな熱心なストーカーの女の子がいるとは思えませんし』

P「あー……はい……」

ちひろ『私、嘘つきかどうかぐらいなら声を聞くだけでも判断できますから。とりあえず、外に出られる服があるならそれで事務所まで来ていただけますか?』

P「ありがとうございます……どうにかします……」

ちひろ『お待ちしています。こちらでもいろいろ調べておくのと、とりあえず社長にはお話しておきますからご心配なく……』

 ピッ

P「……信じてくれるなんてなぁ。ちひろさんは頼りになるな」

P(……本当、こんな突拍子もないことを………あぁ、というか悩みすぎて早起きしたのにもう出社時間じゃないか)

P「適当に服着て……出るか」

――事務所前

P「………はぁ。ちょっと背が縮んだだけでここに来るまでにやけに疲れた」

P「結局まともな服はなかったし半ば杏スタイルなのは気にしたら負けだ。職質はされずに済んだし、うん……」

P「……あと、入りづらいな。なんだこれ……」

ちひろ「どうしました?」

P「ひっ!? ち、ちひろさん!?」

ちひろ「おや……えーっと、まさか……Pさんですか……?」

P「……は、ははは。はい。この女の子が俺、らしいですよ」

ちひろ「まぁ、なんということでしょう……思っていたよりも……」

P「面影もなくて、わからないでしょうけれど。あ、一応身分証明になるものだけはいくらか持ってきたので…・・・」

ちひろ「可愛いじゃないですか!!」

P「は?」

ちひろ「てっきり声と胸とがちょちょいと変わった程度だと思っていましたよ。骨格まで変わってませんか?」

P「えぇ、縮んでますね。だからどうしたものかと困っていたんですけど」

ちひろ「うーむ……本当、ちょっと信じられないですね。見たものしか信じないタチなんですが見たら信じられなくなるとは……」

P「えぇっ!? ちょ、ちょっとちひろさん……」

ちひろ「なんて、冗談ですよ。さ、上がってください……とりあえず話をしましょう」

P「え、あぁ……はい……」

ちひろ「大丈夫ですよ。今社長も八方手を尽くしてくれてますから」

P「ちひろさん……ありがとうございます……」

ちひろ「ふふっ、お礼なんていいんですよ……いつもお世話になってるのはこっちもなんですから♪」

P「『ASAON』……ですか?」

ちひろ「正式名称はアナザーセッ……ゲフン。まぁそれはおいといて。おそらくそうですね。現在世界各国で急速に感染が拡大している奇病です」

P「び、病気!? ちひろさんやアイドルにうつったりしたら!」

ちひろ「あぁ、ご安心を。男性にしか感染しません」

P「あ、はい……いやいや、安心していいんですか!? それ、隔離とかされるべきなんじゃ!」ガタッ

ちひろ「いいえ。空気感染、経口感染、体液からの感染も確認されていません……人にうつる病気じゃないんですよ」

P「な、なるほど……」ストン

ちひろ「だから奇病なんですけどねー。夜眠って朝起きたら女の子に! まったくとんでもない病気ですよ」

P「……治療法とかは、わからないんですか?」

ちひろ「それがマチマチでして……お湯を被ったら治ったって話から、感染したまま治らないって人まで」

P「そう、ですか……」

P「あはは……でも、とりあえずうつらない病気だっていうことがわかっただけマシですかね。ありがとうございます」

ちひろ「いえいえ、これぐらいお安い御用です♪ ……さて、プロデューサーさん」

P「なんですか?」

ちひろ「そのまま帰る気ですか?」

P「……えぇ、おとなしくしていようかなと」

ちひろ「その前に、その服装! どうにかしたいと思いませんか?」

P「え、いや別に……治し方がわかるまで、引きこもってですね……」

ちひろ「ご安心ください、プロデューサーさん! 私の名前は千川ちひろ」ジリッ…

P「あ、あの……ちひろ、さん。近いです……な、なんですかその手! ちょっ……」

ちひろ「可愛い女の子を支援するためならば私財をなげうつこともまったく厭わない女ですよ! 覚悟!」ガバー

P「う、うわああぁぁぁぁぁっ!」

P「もうお嫁にいけない……」

ちひろ「下着もつけないで、まったくもう。杏ちゃんみたいにつるぺたでもギリギリアウトなのに何やってるんですか」

P「男の家にブラが置いてあるとでも思うんですか……なんですかもう……」

ちひろ「イケてますよ。大丈夫大丈夫♪」

P「はぁ……もう…………」

ちひろ「だから、ほら。事務所にいてもいいんですよ? ……1人じゃ、寂しいでしょう」

P「………ちひろさん」

ちひろ「うふふっ♪ お仕事を手伝えとは言いませんけど、そういう精神状態の時に1人になるのはよくないですからね」

P「ありがとう、ございます……事務ぐらいなら、手伝えますよ」

ちひろ「あら嬉しい……んー、忙しい時期ですし、気合い入れてまいりましょー!」

P「はいっ!」

P(……でも、馴染みの営業先に電話が掛けられないのは痛いなぁ)

P(どうにかしないと……あと、車にも乗れないから足にもなれないし……)

P(今日、早めに来るのは誰だっけか……えっと……)

 ガチャッ

P「んー……」

???「……あ、あれ………?」

P「そうか、今日は智絵里が午前中に仕事があるのか」

???「は、はいっ」

P「はい?」

智絵里「はい……」

P「」

緒方智絵里(16)
ttp://i.imgur.com/XbkejTR.jpg


P(なんてこった、まだ精神的になにも準備してないのに……)

P(智絵里も固まってるじゃないか。それもそうだ、見知らぬ女が事務所で普通に仕事してるんだから)

P(人見知りするほうの智絵里が驚かないはずもない……そ、そうだちひろさんにフォローを!)チラッ


  ちひろ(ぷすすー、焦ってるプロデューサーさんを見るの楽しいなー)ニヤニヤ


P(ダメだあの人フォローする気がまったくない!! なんなんだもうっ!)

智絵里「あ、あの……」

P「あ、は、はい。うん、どうしたんだ……の、かな?」

智絵里「………大丈夫、ですか?」

P「へ?」

智絵里「えっと……その、すごく困ってるみたいだったので………」

P「困ってるって……どこら辺が、かな?」

智絵里「プロデューサーさんが、勧誘したりとか……したのかもって……」

P「……あぁ、ナンパ師みたいな人だもんね、うん……それで迷ってるのかも、って?」

智絵里「で、でも………すごく、いい人なんです……お仕事も、たいへんだけど……楽しくて……」

P「……」

智絵里「だ、だめなら………しかたない、です。でも……よかったら、話を聞いてあげて欲しいなって……」

P「智絵里……いい子だなぁ……!」ギュッ

智絵里「え、わぷっ……あ、あのっ………」ワタワタ

ちひろ(とりあえず録画しておきましょう)●REC

智絵里「あ、あのっ……くるしいです……!」

P「あ、いや。すまん……思わず感極まって……」

智絵里「……? ファンの人だったら、うれしいですけど……でも……」

 コツンッ

智絵里「めっ、ですよ……?」

P「……」ブワッ

智絵里「!? あ、あのっ……」

P「ちえりぃ……ちえりぃいぃ……」


ちひろ(……最大120コマのハイスピード対応型フルHDカメラ、ALEXA。こんなに早く生きる日が来るとは)●REC

P「……うん、というわけでだな」

智絵里「プロデューサー、さん……?」

P「うん……どう見たって女だが間違いなくプロデューサーだ。あのチョコの味だって覚えてる」

智絵里「……!」ペチペチ

P「ははは、ういやつめ……智絵里も成長してるんだなぁ。仕事が楽しいとか、話を聞いて欲しいって説得したりとか……」

智絵里「は、はずかしいです……」

P「ありがとう。本当にうれしいよ……しかし、このざまなんだ……ごめん」

智絵里「だいじょうぶですか……?」

P「一応、健康に問題はない……けど、まぁこれからいろいろと迷惑をかけることになると思う。ごめんな」

智絵里「……へいき、です。いつもは、わたしたちが支えてもらってたから……今度は、わたしが……」

P「智絵里………智絵里はいいこだなぁ……」

ちひろ「そうですねぇ、うふふ……」

P「ちひろさんには後で話がありますけど」

ちひろ「えっ」

智絵里「おしごと、いってきます……」

P「み、道は大丈夫だよな? ハンカチは? 忘れ物は……」

智絵里「……」ギュッ

P「ち、ちえり?」

智絵里「わたしは、だいじょうぶです……プロデューサーさんもきっと大丈夫ですよ。えへっ……♪」ニコッ

P「」キューン

ちひろ(いい笑顔……流石智絵里ちゃん、いえ、大天使チエリエル……!)

智絵里「い、いってきますっ……」

  タタタタタ …  ギィ  ガチャン


P「……智絵里に不安を見抜かれちゃったみたいです」

ちひろ「まぁ当然でしょう……でも、いつも見て支えてたプロデューサーさんの変わり果てた姿を見た上で自分は大丈夫って言える強さ……」

P「変わり果てたって……えぇ、まぁ。強くなりましたよ、本当……」

ちひろ「お仕事のタクシーは呼んでおきましたのでご心配なく♪」

P「あぁ、ありがとうございます。たださっきの録画は消しましょうね」

ちひろ「いやです」

P「というか、この姿……女の子ですけど。これからどうするべきだと思いますか?」

ちひろ「どうする、とはどういう意味でしょう?」

P「……すぐに戻るって信じたいですけれど、戻らないままの人もいるんでしょう? なら、期待しすぎてもいけない」

ちひろ「ふむふむ……」

P「俺が、俺として仕事をできない以上回すためにはちひろさん1人じゃ負担が大きいじゃないですか。だから」

ちひろ「つまりPさんをアイドルデビューさせればいいんですね!」

P「どうしてそうなるんですかばかぁっ!」

ちひろ「あ、今の言い方よかったですよ! ワンモア!」

P「………」

ちひろ「うぅっ、視線が冷たい……」

P「はぁっ……もう。だから、この姿でもプロデューサーとして働く権限があると多少は無理が効くじゃないですか?」

ちひろ「あぁ、確かに。じゃあ社員証を発行しておけばいいんですねー♪ お任せあれ!」

P「ありがとうございます……運転できないならその分他で仕事しないと、ね」

ごはん
CD5弾のメンバーは出ると思うの
他のアイドルを出す規模を決めてないの

ちひろ「はい、できました♪」

P「早くないですか、ちひろさん……」

ちひろ「頑張っちゃいましたよ! ぴーちゃんのために!」

P「はい?」

ちひろ「プロデューサーさんは今女の子ですから、愛称のひとつやふたつあった方がいいでしょう?」

P「あぁ、はいはい……そういうことですか……」ジトッ

ちひろ「そんな目で見ないでくださいよ、ドキドキするじゃないですか」

P(付き合い方を考えたほうがいいかもしれない……でもこれで営業の仕事にはいけるか)

P「まったく……どうしたものか……」

小梅「た、たいへんそうだね……Pさん……」

P「おう、そうなんだよ小梅……」

小梅「……」ソワソワ

P「えっ、こうめ!?」

小梅「う、うん……なに……?」

P「い、いつの間にそこに……?」

小梅「さ、さっき……来たの………DVD、見ようって……」

P「そうか……いや、ほら。この姿見て思うこととかないのか……?」

小梅「し、神秘的で……いいと、思う………」

P「う、うん……そうか……ありがとう……」

白坂小梅(13)
ttp://i.imgur.com/SpRcSOP.jpg


小梅「そ、それに……」

P「……?」

小梅「い、色が変わって、ないから………Pさんだって、わかるの……」

P「色……って?」

小梅「ひ、人の………魂の、色……? ついてるもの、とかとは、べつで……」

P「そこまで見えるのか、小梅の眼……すごいんだな」ポフッ

小梅「え、えへへ……うん……じっと、見つめてると……少しだけ……」

P「でも、わかってもらえるのは嬉しいな……俺は変わってないってことか。ありがとう」ナデナデ

小梅「……う、うん……い、いつもの……Pさんの色……♪」

ちひろ(つまり小梅ちゃんはプロデューサーさんをいつも見つめていた、と……これはこれは、いいですねぇ……♪)

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