十神「このコロシアイ学園生活の中、愚民共にしてはなかなかの働きをしてくれている貴様達の苦労をねぎらってやろうと思う」
十神「そこで、我が十神家直伝の最高の料理を俺自ら振舞ってやるとしよう。今日の夕食は楽しみにしておけ」
苗木「へえ・・・十神君が料理なんて意外だなあ。お金持ちだから、豪華な材料使って美味しいの作るんだろうなあ」
苗木「僕も手伝うよ十神君」
十神「今日は助けはいらん。構わんのだぞ」
苗木「でも、十神君の特性シチューっていうのを間近で視見てみたいし・・・」
十神「フフフ・・・いいだろう。そこまでいうなら手伝わせてやる。十神シチューも真っ先に試食させてやる。光栄に思うがいい」
苗木「・・・・・・心なしか嬉しそうだ」
苗木「じゃあまずは冷蔵庫から・・・」
十神「いや、先に植物庭園に行くぞ」
苗木「え、なんで?」
植物庭園
十神「ここから材料を採取しないとな」
苗木「もしかして鶏や卵?冷蔵庫にもなかったかな?それとも新鮮なのを使うの?」
十神「お、あったぞ!苗木、採取を手伝え!」
苗木「どれどれ・・・・・・げ!?」
十神「うむ・・・・・・流石に最高のものではないが悪くはないミミズだな。まあ及第点としておこう。20匹はいるな」ニュルニュル
苗木「み、ミミズなんて正気なのか十神君!?」
十神「何がおかしいんだ苗木?ミミズは滋養強壮にきく上に焼くと香ばしい味がするんだぞ!見た目で判断するんじゃない!」
苗木「そ、そうだね・・・」
苗木「き、きっと十神君は何か考えがあるんだ、そうだよきっと・・・ミミズもちゃんと料理するに違いな・・・」
十神「よし苗木、お前も石を裏返してミミズを探して来い!」
苗木「う、うん・・・」
苗木「み、ミミズぐらい僕も平気・・・」ゴロン
モゾモゾ・・・ニチャニチャ・・・
苗木「うわああああ!ミミズ以外にも虫があああああ」
十神「どうした苗木・・・お!でかしたぞ!」
苗木「な、何がさ・・・?」
十神「ミミズだけじゃなく、このダンゴムシやナメクジも使えるぞ!アクセントにこのハサミムシを使うのもいいな」ゾワゾワ
苗木「いやああああああああああ」
十神「後はあそこの朽ちた切り株からシロアリとセミの抜け殻を手に入れて、採取は完了とするか」ワサワサ
苗木「おびゃああああああああああああああああああ」
調理場
十神「よし調理を始めるぞ!」
苗木「れ、冷蔵庫から他の材料はださないの?」
十神「調理の手順は頭に入っている。その度に取り出せばいいことだ。苗木、アシストを頼むぞ」
苗木「あ、ああ・・・」
十神「よし苗木、早速だが、牛のハチノスとハチミツとエシャロットと食べるラー油と梅干と韓国海苔とドッグフードを出すんだ!それを鍋に入れて炒める!」
苗木「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
鍋「コポコポグビャグビャネビョネビョ」
十神「炒めた後はこのようにシチューの素と牛乳を入れて煮込む。火加減に注意するんだぞ」
苗木「他に注意すべきところがあるだろ・・・」
十神「何か言ったか?鍋が沸騰しかけたら、今度は調味料として、マヨネーズ、黒糖、練乳、豆板醤、オイスターソースを加えるぞ!早くしろ、タイミングがずれると味が損なわれてしまう!」
苗木「もう既に損なわれる味なんてないよ・・・」
十神「この後は数十分弱火で煮込み、さっき採取したミミズなどを加えればできあがりだ。苗木、もう調理はいいから皆を呼んでくるといい」
苗木「わ、わかった・・・」
苗木「・・・・・・・・・・・・このままじゃみんなの命が危ない!」
苗木「それどころか、十神君までクロにされて処刑されてしまう!」
苗木「とにかくシチューのことをみんなに話さなきゃ・・・」
食堂
朝日奈「はあ!?あの噛ませメガネそんなゲテモノを!?」
石丸「食べ物を粗末にするとはけしからんな!」
大和田「いや、もはや粗末とかそれ以前の問題だろこりゃあ!」
桑田「つかミミズやナメクジ使ってる時点で食いもんじゃねーだろ・・・」
葉隠「お、俺の占いによると、そんなシチューを食ったら3割の確率であの世行き・・・」
山田「10割ですな・・・」
セレス「・・・・・・・・・う・・・この臭いは・・・調理場から!?」
苗木「!?」
ブワワワア・・・・
不二咲「う・・・キュー」バタン
大神「しっかりするのだ不二咲・・・・・・うぐ!我も意識が飛びそうになるほどとは・・・!」
腐川「で、でも、白夜様の臭いだと思えばいい臭いかも・・・」バタン
ジェノ「・・・・・・なわけねーだろ!!!流石にこれは無理だわ!」クワッ
霧切「苗木君、これは近くにいながら止められなかったあなたにも責任があるわ」
舞園「そうですよ苗木君!私、苗木君のゲロは食べられてもあのシチューだけは絶対食べられません!」
苗木「それはそれでドン引きだよ・・・」
江ノ島「・・・・・・・・・ミミズにナメクジ・・・割といけそうかも」
十神「さあ、できたぞ!待たせたな!」ゴト
全員「!!!???」
十神シチュー「ジュワーグボグボゴビャゴビャジョニョジョニョ」
苗木「こ・・・この世のものとは思えない色だ・・・」
葉隠「なんかもう見た目だけで吐きそうだべ・・・」
セレス「さっきは遠目で嗅いだ臭いが直に・・・・・・ウボェ・・・」
霧切「お父さん、私もそっちに行くことになるかも・・・・・・」
江ノ島「・・・・・・あ、やっぱ無理だこれ」
十神「どうした?遠慮せずに食べていいんだぞ?」
苗木「いや、その・・・」
モノクマ「やあオマエラ!お邪魔するね!」ビョイーン
苗木「モノクマ!」
十神「何の用だモノクマ!貴様に食わせる分はないぞ!」
モノクマ「んもう、つれないなあ・・・そんなオマエラにプレゼント!」スッ
十神「何だこれは?」
モノクマ「ただの調味料だよ!シチューにちょっとかけて食べるといいよ!じゃーねー!」ヒューン
苗木「調味料・・・?」
十神「さあ苗木、お前に先に試食する権利を与えよう。ゆっくりと味わうがいい」
苗木「・・・・・・ごくっ」
苗木「ミミズをそのまま放り込んだせいか泥臭い・・・しかもシチューの底でシロアリがまだ生きて蠢いているよ・・・」
舞園「待って下さい!苗木君の代わりに私が・・・!」
十神「出しゃばるな!苗木は俺を手伝ったから特別だ!」
苗木「調味料か・・・」
苗木「モノクマの用意したものに期待なんかできないけど・・・」
苗木「かけたらどうなる・・・?」パッパッ
苗木「・・・・・・臭いは全然変わらない・・・でも」
苗木「ここで終わる訳にはいかない!」スッ
苗木「希望は前に進むんだ!!!」パクッ
苗木「・・・・・・・・・・・・」
舞園「・・・・・・・・・苗木君!」
霧切「苗木君、生きてる!?」
大神「無事か苗木!返事をするのだ!」
苗木「・・・・・・・・・・・・・・・・美味しい!」
十神「!!!」
朝日奈「ええ!?」
舞園「苗木君!」
苗木「美味しい・・・美味しいよこれ!甘味と旨みと塩味が絶妙に絡んで次元融合を起こしているよ!こんなシチュー食べたことない!」ズズズズズズズ
葉隠「へー。そんなに美味いのなら俺もちょっと・・・」ペロ
十神「おい、勝手に鍋から・・・!」
葉隠「・・・・・・ぐぎいいいいいいいいいいい!!!モギトッッッッ!」バタン
十神「ハッハッハ、気絶するほど美味かったか」
セレス「・・・・・・・・今のは不味すぎて失神したのですね。全てはあの調味料の魔法・・・」
舞園「苗木君が食べるなら私も・・・確かに美味しい!」パッパッ パクッ
霧切「私も頂くわ・・・・・・いけるわね」パッパッ パクッ
セレス「あのウニみたいに調味料を忘れずに・・・美味ですわ」パッパッ パクッ
桑田「じゃあ俺も・・・うめえ!」パッパッ パクッ
山田「どれどれ・・・・・・ううううまああああいいいいいぞおおおおおお」パッパッ パクッ
十神「フフフ、そうだろうそうだろう。まだ沢山あるからな。ゆっくり味わえ」
苗木「おっかわりおっかわり♪」コポー
十神「それにしても苗木、調味料もいいんだが・・・」
十神「料理自体の純粋な味もちゃんと楽しんではどうだ?醤油をつけない刺身だって乙なものだろう?」
苗木「い、いや、でも、十神シチューとこの調味料で一つの完成系だから・・・」
十神「二つで完成系・・・!?超高校級の完璧の俺が単体で完成系でないはずがない!ほら、その調味料は俺が預かる!」ガシッ
苗木「うわわ!やめなよ十神君!調味料が・・・おっと!」
十神「ぐあ!」サーッ!
十神「ぺっぺっ!調味料が俺にかかってしまった・・・!」
苗木「・・・・・・・・・」ジー
舞園「・・・・・・・・・・・・」ジー
十神「な、なんだ貴様らその目は・・・」
苗木「十神君っておいしそう・・・」ギラギラ
舞園「一口でいいので齧らせてもらってもいいですか?」ギラギラ
腐川「・・・・・・・・・白夜様を私の血とし肉にしたい・・・!」ギラギラ
大神「我らの舌の贄になってもらおうか・・・」ギラギラ
桑田「十神って美味そうだな・・・」ギラギラ
山田「食べていいですかな・・・?」ギラギラ
ウマソウ・・・ トガミクンタベタイ・・・ ガマンデキネエ・・・
苗木「捕まえろおおおおおおお!!!!」グオオオオオオオ
十神「うわああああああああ助けてくれええええええええ!!!!!」
モノクマ「うぷぷぷぷぷぷぷぷ!人間の最大の欲求の一つ、食欲を生かさない手はないね!」
モノクマ「いい動機ができて、これでコロシアイ学園生活も捗るってもんだよね!」
葉隠「・・・・・・・・・・・・う・・・うーん・・・・・・あれ?みんなどこに行ったんだべ?」
終里
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