苗木「僕が君をここから出してみせる!」舞園「それは違います!」 (102)

苗木「舞園さんっ!」ガシッ

舞園「いやぁ!離してっ!」

苗木「皆で協力すれば、脱出できるよ!」

舞園「そんなのウソですっ!」

苗木「もしかしたら、その前に助けが来るかもしれない!」

舞園「助けなんて…来ないじゃないっ!!」

苗木「僕が君をここから出してみせる!」

苗木「どんなことをしても絶対に、絶対にだっ!!」

舞園「…どうやって出すつもりですか?」

舞園「ここから皆を…私を!」

苗木「そ、それは皆と協力して探して見つけるんだ!」

舞園「皆であれだけ調べて脱出する具体的な方法も見つからなかったじゃないですか!」

苗木「い、今すぐは見つからなくても必ず見つけ出してみせるよ!必ずね!」

舞園「ふざけないでくださいよ!今見つからないのに今後どうやって見つけるっていうんですか!私は今脱出したいんですよ!その方法もわからないくせに絶対とか必ずとか無責任なこと言わないでください!!」

苗木「…ま、舞園さん」

苗木「…いってしまった」

苗木(舞園さんを説得しようと思ったのに説得できなかった…)

苗木「…確かに、あんなことを言ってしまったけど僕の力では今すぐ舞園さんを助けることができないし…」

苗木(…ここから脱出する方法も思いつかない無能な僕なんて…)

霧切「…そこまで気を落とすことはないわ」

苗木「霧切さん…」

霧切「今は彼女をそっとして起きましょう…時間が経てば落ち着くと思うわ」

苗木「…そ、そうだね」

苗木(あんな映像を見せられたら…誰だって……え、でも)

苗木「霧切さんは落ち着いているんだね…」

苗木(何を見たのか分からないけど、そう見えるし…)

霧切「…表ではそう見せているだけよ」

苗木「…そ、そうなんだ……変なこと聞いてごめん」

霧切「いえ、もし舞園さんのように取り乱したら黒幕につけ込まれる可能性があるから、平静を装っているだけ…」

苗木「…霧切さんは強いなぁ」

舞園「…ここから脱出したい、ここから脱出したい、ここから脱出したい、ここから脱出したいっ!」

舞園「でも、その方法が見つからないっ!」

舞園「どうすればいいんですかっ!」

舞園「…いや、ありましたね……ここから脱出出来る方法が」

舞園「誰かを殺せばいいんです、それだけで出られるんです…簡単じゃないですか」

舞園「…さぁ、彼に死んでもらいましょうか…私が脱出するために」



苗木「……ん?」

苗木(誰だろう…誰か、僕の部屋に来たみたいだ)

ガチャッ

苗木「…ま、舞園さん?」

舞園「……」

苗木「こ、こんな時間にどうしたの…?」

舞園「…苗木君、言いましたよね」

苗木「…え?」

舞園「ここから私を絶対に出してくれるって」

苗木「…う、うん」

舞園「…それは本当ですか?その言葉を信じてもいいんですか?」

苗木「ほ、本当だよ!もちろん!僕が絶対に舞園さんを出してみせる!約束する!」

舞園「…そうですか、良かった」

苗木(舞園さん、あんなに荒れていたけど落ち着いたみたいで良かった…)

舞園「…なら、私のために死んでくれますか?」スッ

苗木「…え?なに、その包丁…」

舞園「…苗木君は死んでくれるんですよね?私が脱出するために」

苗木「…えっ、ちょっ…ま、待ってよ!」

舞園「待ちません!」シュッ

苗木「」

苗木「うわぁっ!?」ヒュッ

舞園「避けないでくださいよ!殺せないじゃないですか!」シュッ

苗木「いや、まっ…落ち着いてよ舞園さんっ!」ヒュッ

舞園「落ち着いてますよ!ですから早く死んでください苗木君!」シュッシュッ

苗木「全然落ち着いてないじゃないか!その手を止めてよ!」ヒュッヒュッ

舞園「苗木君が刺さって死んでくれたら止めますよ!」シュッ

苗木「…ああもうっ!」ガシッ

舞園「やめて!離してぇっ!」

苗木「舞園さん、こんなことしちゃダメだ!」

舞園「どうしてダメなんですか!?脱出する方法はこれしかないじゃないですか!」ドンッ

苗木「うわっ…!?」バタッ

舞園「ここから脱出するには他人を殺すしかないんですっ!」

苗木(舞園さんに馬乗りされた…っ!?ま、まずい…)

舞園「仕方ないんですよ…私が苗木君を殺すのは脱出するためだから仕方ないんです!」

苗木「それは違うよ!」

舞園「何が違うんですか!?」

苗木「舞園さんは本当にそれでいいの!?」

舞園「良いですよ!ここから出れるならなんだってしてやります!」

苗木「殺人鬼になってまでここから出たいの!?」

舞園「殺人鬼にならないと出られないのなら殺人鬼にもなりますよ!」

苗木「…ま、舞園さんは……本当に僕を殺してまで、ここから脱出したいの……?」

舞園「…はい」

苗木「……そう、なら……いいよ」

舞園「…え?」

苗木「…僕を殺して」

舞園「…良いんですね?」

苗木「…うん、そうすれば脱出出来るし……舞園さんがそれで満足するなら……」

舞園「わかりました……では、さようなら……苗木君」シュッ

苗木「……んっ?」

苗木(あれ、まだ生きてる……)

舞園「……」

苗木「…舞園、さん?」

舞園「…どうしてです、何故抵抗しないんです?」

舞園「…何でそんなに潔いんです?」

苗木「そ、それは…」

舞園「これから死ぬんですよ…?怖くないんですか…?」

苗木「……怖いよ、でもそれでここから舞園さんを脱出させることが出来るなら……それでもいい」

舞園「…意味がわかりません、何故です…?」

舞園「他人のために死ぬとか馬鹿がすることですよ…?」

苗木「…そうだね、馬鹿かもしれない……」

舞園「わかっているなら、何故…!?どうして私のために死ねるなんて言えるんです!?答えてくださいよ苗木君っ!」

苗木「それは、僕が……………舞園さんを好きだから…」

舞園「……えっ?」

舞園「苗木君が、私を好き……?」

苗木「…そうだよ」

舞園「…何を言っているんですか、そんなわけがないじゃないですか」

苗木「本当だよ」

舞園「そんなわけ…」

苗木「僕は舞園さんが好きだ」

舞園「……本当に?」

苗木「うん」

舞園「……」

苗木「……」

舞園(苗木君が私のことを好きだったなんて…)

苗木「…舞園さん?」

舞園「……」

苗木「舞園さん…?」

舞園「……」

苗木「舞園さんっ!」

舞園「…は、ははははい!?」

苗木「…その、そこをどいてくれないかな…?ずっとこの体制のままだと……」

舞園「えっ、あっ……」カァァ

舞園「すぐどきます、すみません!」バッ

苗木「……」

苗木(舞園さんの様子が何か変だ…)

舞園(苗木君が私のことを好きってことは……つ、つまり…っ!?)

苗木「…舞園さん、僕を殺さなくてもいいの…?」

舞園「…え?」

苗木「…ここから脱出したかったんでしょ?」

舞園「…やっぱりいいです」

苗木「…え?」

舞園「…そうです、今すぐ脱出するのはやめます」

苗木「ど、どうして…!?」

苗木(あんなに出たがっていたのに…)

舞園「…ファンを殺してまで、脱出したくはありません……私はファンを大切にするアイドルですから」

苗木「…ふぁ、ファン?」

舞園「そうです、ですから私を好きと言ってくれるファンの苗木君を殺してここから脱出するのは諦めます」

苗木(ぼ、僕はファンだと思われたから助かったのか…)

苗木(というか、そういうつもりで言ったんじゃないんだけど……僕の愛の告白だったんだけど…)

舞園(…私は苗木君ともっと長く一緒にいたいですし…)

舞園「苗木君、私も苗木君のこと…」

苗木「…え?」

舞園「…いえ、何でもありません」

苗木「そ、そう…」

舞園「…ふふふ」

苗木(なんだかよくわからないけど、舞園さんは人を殺そうとしなくなったし…)

苗木(…よかったよかった)

苗木(これでもう安心……だよね?)

モノクマ「んー、思ったより皆しぶといなー」

モノクマ「ねえ、君もそう思わない?」

大神「……」

モノクマ「そろそろ死人が一人ぐらい出てもおかしくないと思ったんだけどなー」

モノクマ「でも死人が出ないなら仕方ないよねー」

モノクマ「こういう時のためのコマも用意してあるんだし、早速使っちゃおう」

モノクマ「ということで、わかるよね、大神さん?」

大神「……我がやるのか」

モノクマ「いいやー?別にやらなくても良いんだよ?道場の皆がどうなってもいいのならねー」

大神「……くっ」

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