一夏「釣り行きてぇな」 (63)

鈴「急になによ藪から棒に」

一夏「いやさ、ここんとこ暑さも一段落してきたしな?」

ラウラ「さすがは私の嫁 釣りはサバイバルでも役に立つスキルだ」

シャル「へ~一夏は釣りが得意なんだ」

一夏「いやいや、子供の頃からもう随分長い間してないんだけどさ…」

箒(な!…私は一緒に釣りに行った記憶なんてないぞ!?)

一夏「ケーブルTVでやってる釣り番組見てると疼いてきてさ!面白そうだよなぁ…」

セシリア「おほん! 一夏さん、ちょっとお聞きしますけど週末のご予定などはありまして?」

一夏「え…いや無いけど まあ暇ならケーブルの「怪物魚を追え!」一挙放送でも見ようかなぁ」

ヒロインズ「「「「…これはチャンス!!!」」」」

かくして一夏と釣りデートを実現するために彼女達は奔走した

「インストラクターの手配をしてくださいまし!」「クラリッサ、緊急手配だ!」「タウンページは何処だ!」

そしてついにその日がやってきた

一夏「ふぁ~あ、まったく箒のやつこんな朝早くに呼び出して何だってんだ?」

箒「おはよう一夏! 今日はお前を良い所に連れて行ってやるぞ!」ニコニコ

一夏「へ? お、おう、そりゃ楽しみだな」

箒「よし!私について来い!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

箒「ここだ一夏!」

【釣り堀 あつま園】デデーン

一夏「おー 釣りに連れてきてくれたのかよ サンキューな!箒」

箒「/// さあ礼などいいから入ろうじゃないか!」

箒「おじさん、大人二人お願いします ええ、全部レンタルで お料理コースで ええ」

一夏「?」

箒「よーし 道具も借りたし始めるぞ ここはな一夏、ニジマスなんかのトラウト系の魚が放流されてるんだ」

一夏「まじかよ!トラウト釣りなんて俺したこと無いよ~楽しみだなぁ~釣れるかなぁ(笑)」

箒「よし一夏 どちらが先に釣れるか勝負と行こうじゃないか」

一夏「いいぜ箒! 餌の団子を針につけてっと、この辺に入れt

魚「餌じゃァァァァァァ!!!」ジャ~~ンプ&パクリ

一夏「・・・。」

箒「凄いな一夏!もう一匹釣ったのか!? よーし私はこの辺りに入れt

魚「餌じゃァァァァァァ!!!」ジャ~~ンプ&パクリ

箒「おおお 釣れたぞぉぉぉ! 手のひらサイズだがいい型だ!」

箒「ちょっとwww 止まれ!凄い跳ねてるぞコイツwww針が外せんwww」wktk状態!

箒「よーし次だ次! 餌つけてっと あそこにデカイのが見えてるな! あそこに…っと」

箒「うぉぉい! 沈める前にまたジャンプで小さいのが飛んで食いついてきたぞwwww」

箒「釣り堀とはいえこのハイペースはwww 釣り名人なのか私はwww」

一夏「なっちゃいねぇぇ!!!」ガシャーン

箒「!!!!?」(ビクッ)

一夏「何っっっっっなんだよ!!!!?」

箒「お、おい一夏どうしたんだ?」

一夏「箒!!!」

箒「ヒヘィ!」

一夏「   …すまん、少し取り乱した」

箒「全く、一体どうしたというのだ」

一夏「どうしたもこうしたも ハハ… こんなのは俺の求める釣りじゃねーよ…」

箒「何をいってるんだお前は 竿に糸と針を付けて魚を釣る これが釣りじゃないならn

一夏「針を水面につけねー内からジャンプで針に食いついてるじゃねーかよ!」

一夏「いくら何でも早過ぎなんだよぉぉ!俺は『釣り』に来てんだよチクショウ!」

[※一口に釣り堀と言っても魚種も想定客も千差万別です。下調べする事をオススメします。]

箒「はぁ~ 屁理屈こねてないでお前ももっと釣れ! 昼は食堂で調理して貰えるんだぞ? ほら!」

チケット【釣った魚3匹まで調理致します】

一夏「・・・でもなぁ箒」

セシリア「ホォーーッホッホッホ! 箒さん!? 釣りとは自然との対話、そして忍耐力との勝負なのですわ!」

セシリア「それを知らずして一夏さんを釣りに招待するとは笑止千万ですわ!」

一夏(…自然との対話…忍耐力…)

箒「チィィ つけられていたとは、不覚!」

セシリア「一夏さん? 私が本当の、自然の中でのフィッシングにお連れ致しますわ」

一夏「 …自然…いいなそれ! 頼むよセシリア!」

箒「おい一夏!? この浮気者が!」

セシリア「ではイ・チ・カ・さん♪ 参りましょう」

箒「しょうが無い、一夏!私も一緒についていってやるからな!」 

一夏「 …ああ…ん? …ああ」ぽわわ~ん

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

セシリア「さあ着きましたわ! もう自然の真っ只中ですわ!」

何度か通った事もある学園からほど近い山を走る国道 その脇道を少し歩いただけで周りはまるで別世界だった

土の匂い、日を浴びて青く輝く草木、鳥の声、森の木の葉が風に揺れる音、そして遠くに聞こえる水の音

箒「美しい…」

一夏「おぉぉ~ 学園の近くにこんな景色の場所があったなんてなぁ~ まるでCMみたいな風景だぞ」

セシリア「コーディネーターに教え…いえ、一夏さんの為にワタクシが良いポイントを調べてみたのです♪」

セシリア「ワタクシも来るのは初めてですの さあ、この小道を降りれば沢に出ますわ 参りましょう!」

一夏「おう! 所でセシリアの持ってるのは、もしかしてフライフィッシングの道具か?」ザッザッザッ

セシリア「ええそうですわ♪ 一夏さんはフライフィッシングのご経験はありまして?」岩登りヨッコイショ

一夏「ないない! カッコイイけど…難しそうだなぁ 俺にできるかなぁ」藪よけ枝よけ

セシリア「ご安心下さいまし!手取り足取り教えて差し上げますわ♪ っと!」濡れた落ち葉でズル!

一夏「おっとあぶねぇ」抱き止め

セシリア「一夏さん///」ポワワ~ン

箒「早く離れろ!さっさと歩け!蚊に刺されるだろうが!」プンスカ

名もない山でも一歩山中に足を踏み入れると写真でしか見ないような景色が広がり、澄み切った川が流れている

あれはヤマメだろうか、それともイワナだろうか 水面の下には端正なシルエットが見て取れる

セシリア「一夏さんのおかげで無事に川まで降りてこれましたわ♪」

一夏「ふぃ~ 距離の割りには苦労したなぁ… しかし…この景色…空気…清流の音…」

一夏「まさしく自然との対話って感じだぜ! ん?何だ?こんな山奥に看板がかかってるぞ」

箒「ん~なになに 渓流釣りをするには…【遊漁承認証】を購入して下さい…だと?」

一夏「…勿論…買ってあるんだよな?」セシリア?

セシリア「・・・。」サー

[※鮎釣りなどが有名ですが川釣りは時期・場所・仕掛け・魚種などによって地元の漁協等の発行する券を購入しないといけない場合がありますので注意して下さい]

セシリア「・・・。」サー

一夏「」

箒「ふん! 身の丈にあわんことをするからだ全く!苦労して山奥まで来たのにバカバカしい」

セシリア「ムキー! 言わせておけば! ちょっと忘れてただけですわ!」

箒「なぜ素直に知らなかったと言わんのだ! その妙に気合の入った服も今日初めて着たんじゃないのか?」

一夏「まぁまぁ 今更言っても仕方ないだろ? 箒もセシリアもおちt… …は!はぅあ!!!」ワナワナ

セシリア「?」

一夏「セシリア 首になんかひっついてるぞ?」ヒキツリ

箒「うっ! なんだ其れは!」

セシリア「え? ん?どこに…!!!」ペタペタ

セシリア「ヒィィィ!!! 何かが首に張り付いてますわ! コノ! 痛!」

セシリア「何ですのコレはぁぁぁ!!! 血! 血がでてますわ! 吸われたんですわ!」

箒「うわ!キモチワル!」

一夏「 …箒…お前の…腕にも!」ワナワナ

箒「へ? まさか…ギャーーーー!!! コノ! コノ!こいつめ!」バシバシ

一夏「おいおい俺は…うわぁぁぁ!腕に!肩にも! 足に一杯いるぅぅ! うわぁぁぁぁぁ!!!」

セシリア「ワタクシの足にも~~~! 取って下さいまし一夏さぁぁぁん! あああああああん」

「「大丈夫!じっとして! 直ぐに取ってあげるから!」」シュタタタタタタ

一夏「お、お前は! とにかく助けてくれぇぇ!」

「「みんな落ち着いて、噛まれても別に大した害は無いから! 無理に取ると余計にいた

一夏「頼むから早くしてくれぇぇ!シャルゥゥゥ!」

シャル「もうわかったよ~一夏 こんな時はこいつで一吹きさ! 【ヒル下が●のジョニー】でね!」シュッシュ

ヒル「ウギャー」ポトポトポト

一夏「おおぉぉ 凄いなこれ!」

箒「ふぅぅ 助かった 感謝するぞ」

シャル「山や藪を歩くときにはヤマビルに気をつけないとダメだよ~」エッヘン!

シャル「あ あと、靴下の中もチェックしといたほうがいいよ?」

一夏・箒・セシリア「!!!」ヌギヌギ

セシリア「ホワァァァァァッィ!!! 何故ですの! いつの間に!!?」

一夏「シャルゥゥゥゥ!助けてぇェェェ!ヒルイヤナノォォォ!!!」ダキツキ!

シャル「わ、わかったから落ち着いて/// じゃあ後で一つお願い聞いてくr

一夏「ワガッダガラァァァ~ハヤグゥゥゥゥ!!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

シャル「さぁ一夏! 約束守ってね♪ 僕と今から 二人っきりで! 釣りに行こう♪」

セシリア「ちょっとどういう事ですの! 一夏さんが許してもワタクシ絶対に付いていきますわよ!」

箒「そ、そうだぞ! 抜け駆けしようだなんて認められんぞ!」

シャル「 …ふ~ん箒が其れを言うんだ(ギロ) …まあ付いてこれるならソレでもいいけど?」ニッコリ

箒・セシリア「!?」

シャル「一夏ぁ、今からまた道路まで戻るんだけど、途中でまたヒルに付かれないようにしないとね♪」

箒・セシリア「!!!」

一夏「あ あぁ あれはもう勘弁だな」

シャル「ジョニーはもともとヒル避けだからね」

シャル「足首に~靴に~手に~首に~帽子にも~」シュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコ

箒「ちょまー! 私達のぶんものこs

シャル「おっと…僕と一夏の分で無くなっちゃった♪」(・ω<)テヘペロ

シャル「じゃあねーふたりとも~ 一つアドバイス、全力で生息地を『走り抜けても』必ず引っ付いている」

シャル「それがヤマビルさ! 寒くなったら活動停止するから冬までそこでじっとしてるといいよ~~」

箒「貴様ぁぁぁぁ!」

セシリア「一夏さん! ワタクシを見捨てないと言って下さいまし!」

一夏「  」

セシリア「 い 一夏さん? 」

一夏「 …じゃあ …達者でな  …スマン!」シュタタタタ

セシリア「一夏さぁぁぁぁん!!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一夏「俺、何だか罪悪感と生還の悦びとか混じった言いようのない感情を感じるよ」

シャル「あの二人ならきっと大丈夫だって さぁ釣りの準備しようよ一夏!」

一夏「ああ、きっとそうだな! 所でシャル、何を釣るんだ?」

シャル「うん 今日は一夏とナマズを釣ろうと思ってね」

一夏「おぉぉ! 見えぬ水底にいる大物に思いをはせて糸を垂らす…それだよ!俺の求めていたのは!」

シャル「フフフ ぽっちゃりの大物が釣れるといいね♪」 

一夏「ところでシャル 餌で釣るのか?それともルアーか?」

シャル「今日は鶏肉を用意したんだー まぁ何でも釣れるんだけどね」

一夏「へぇ~ なんか慣れてるなぁ 玄人っぽいよ」

シャル「日本では知らないけど向うは大きいしね 一匹とったら3日は食うに困らないからね」

一夏「へ? あぁ…そうなんだ」

一夏(うぅ~ん まさかな… 多分… でも覚悟しといたほうがいいのかなぁ)

シャル「これでよし! 一夏も準備OKだね」

一夏「ああ 気分はもうジ●レミー・ウェイドだぜ!」

シャル「オススメは深みよりも浅瀬とか草の茂ってる岸辺かな 僕も日本で釣るのは初めてだから楽しみだよ」

一夏「よーし この池の主を釣り上げてやるぜ!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一夏(暇だ …まあTV番組の様にポンポンとは釣れないよな)

一夏(そういやあの番組でも1週間単位で釣れてなかったな まあレア種狙いってのもあるだろうけど)

一夏(まあ釣れなくても…このマッタリ感は良いなぁ 平和だ 心に充足感があふr

シャル「ッッシャァァァァ!!!! フィッショォォォン!!!」

一夏「急に叫ぶなよシャル! って釣れたのか!? よし網もってくからな!」

シャル「頼むよ一夏 落っこちないように足場に気をつけてね!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一夏「ひゅ~ 暴れた暴れた 50cmはありそうだなぁ」

シャル「あはは♪ 可愛らしい子供サイズだね」

一夏「え?」

シャル「餌が良くなかったのかなぁ 次は地元のスタイルでいこうかなー」ガサガサ

シャル「念の為に用意しておいて良かったよ   鳩 」

鳩「 ポロッポー 」

一夏「 ・・・。」

一夏「…シャル、それは勘弁してくれ」

シャル「え? どうしたの一夏」

一夏「いやぁ… 鳩はちょっと… マジか?」

シャル「あぁ~解った! これ以上ボクに大物釣られて負けたくないんでしょぉ~」

シャル「しょうがないなぁ~ この仕掛けは一夏にやらせてあげるから」

一夏「いやいやいや! 生きた鳥食うナマズとか居ないから! ん?シャルんとこ居るのか!?」

シャル「い~と~マキマキ♪ い~と~マキマキ♪ 縛って♪むしって♪トントントン♪」

鳩「ポポ!? ポポーー!!!」バサバサ

一夏「いやいやいや まず落ち着こう? 一旦置こうぜソイツをさ」

シャル「い~と~マキマキ♪ い~と~マキマキ♪ 縛って♪むしって♪トントントン♪」

鳩「 ポポーー!!ポーー!!!」バサバサ

一夏「 …ぅう や やめてくれ…」

シャル「で~きた♪ で・き・た♪ ナ~マズ釣りの仕掛け♪」

一夏「 う…う…ぅぅぅうううううわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」ダッシュ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一夏「ハァ! ハァ! ふぅー走った  さっきの…俺が甘いのか…? でも流石に…鳩は見ていられない」

鈴「いーちかー! やっと見つけたわ 何処行ってたのよまったく」

一夏「あ鈴か、、、まあ朝からイロイロあったんだよ」

鈴「? ふーんまあ良いわ 一夏お昼まだよね?」

鈴「今日はあたしが魚とって手料理たべさせてあげるわ!」

一夏「おぉ~ちょうど腹減ってたんだよ」

一夏「魚の中華か… なんか本格な雰囲気がするな! 楽しみにしてるよ」

鈴「まっかせなさいよね! じゃあさっそく衝撃覇王釣りで魚GETしてくるからね! 待ってなさいよ!」

そう言って笑顔で走りだした鈴はお昼を過ぎても帰ってくることは無かった

俺の口も胃袋も、すっかりと青魚の四川風炒めを食す準備を整えているというのにだ

暇を持て余した俺は部屋で何気なくつけたTVニュースで学園近くの入江で大胆にもダイナマイト漁をする

密猟者が出没し犯人は未だ逃走中で警察と漁協が行方を追っているという速報をぼんやりと見ていた

ダイナマイト漁は水中で衝撃波を発生させて魚を気絶させ(OR殺し)、浮いてきた魚を取るという漁だ

取るつもりのない魚や稚魚も被害を受けるだけではない、そこに住むすべての生物が…生態系そのものが

根こそぎ被害を受けるのだ コレを続けるとまさに海が死ぬのである 無論日本でも禁止されている

そういや奴は最後に何と言っていたか…覇王…衝撃…いやきっと気のせいだろう

晩ご飯にはフカヒレ餡かけチャーハン煮アワビ添えを作ってくれるだろう

[※サザエやアワビ等貝類の採集は漁業権が適応されて禁止されている所がほとんどです。注意してください]

千冬「入るぞ一夏」ガチャ

一夏「…千冬ねぇノックくらい… どうしたんだよその格好は」

千冬「一夏、お前釣りに凝ってるらしいな なぜ私に言わん」(磯釣り完全装備!)

一夏「いや凝るっていうか 久しぶりに釣りでもしたいかなって」

千冬「最初から私の所に来れば良い物をマッタク… 摩耶、一夏の分は用意できたか?」

山田「はい、一式買ってきました~」ドサッ

千冬「お前の準備はどうした 麻耶もさっさと着替えてこい」

山田「いやぁ 私は今日はちょっと… お邪魔でしょうし」

一夏「ん~あのさ チョット今疲れててさ、明日じゃダメかな千冬ねぇ」

山田(織斑くん! ダメよ! それは良くない提案だわ!)

千冬「 …。 そ  そうか せっかく…ッ…用意したが 疲れているなら…仕方ない 」(泣きそう)

千冬「得意のチヌ釣りを教えてやろうと思ったのだがな…」プルプル

千冬「麻耶!!」キッ!

千冬「無性に鍛錬したい気分だ、今すぐ専用機持ちをアリーナに集めろ!!!」

一夏「(コレワヤベェ!) えーー チヌ釣り!? だったら今すぐ行こうぜ千冬ねぇー!」(棒)

千冬「 …?」

山田((とにかく今は行きたいという姿勢を全面に で、二人で行って下さい 私は用事が))ヒソヒソ

一夏「黒鯛!別名チヌ! まさに究極の釣り魚って感じだよなー 玄人臭ってのがするよなー」

一夏「俺みたいなペーペーが『二人に』連れて行って貰えるなんて幸運逃す手はないぜー!」

千冬「ふ…ふふふ 其れが解っていれば良い だが、チヌ釣りに関しては私は少々五月蝿いぞ?」フフフ

千冬「ヘマこいたら海に叩き込んでやるからな」ウシシシ

一夏「お、おぅ!任せとけって!」

山田(…あぁ もう二度と織斑先生とは磯には行かないって決めてたのに)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

海「ザザーン ザザーン」波が砕けて白波が立っている

やってきたのは足場の悪い岩場だ

それでも手慣れた手つきでテキパキと準備を終えた千冬ねぇは早くも糸を垂らしている

初めての俺は山田先生に竿と仕掛けをセッティングしてもらっている

山田「よし 織斑くんの竿もこれで準備OKですよ♪」(&胸チラ)

一夏「ブフォッ!」(エロいwww台詞がエロ過ぎるぞwww静まれ俺のエロハートwww)

山田「きゃぁ! どうしたんですか!? 大丈夫?」

一夏「だ!大丈夫です!ちょっと咳込んじゃって」

千冬「 麻耶 」

山田「ハヒィ! す、スイマセン 織斑くん?ココでは静かに! 大声厳禁です」

一夏「へーぇ 千冬ねぇ真剣だなぁ 精神集中ってやつですか?」

山田「それだけじゃないんですよ チヌは敏感な魚なんです 大声や音なんかは厳禁です」

一夏「ふぅーん 了解です えーっと餌は…千冬ねぇは練りエサかぁ」

千冬「今は潮が速い 針を隠すように涙滴型に形成しろ それでもタナに入れにくい時はガン球を噛ませろ」

一夏(ヤベェ…カッケェよ…でも何言ってるのか半分もわかんねぇ…)

一夏(でも練りエサって手に匂いが付いてかなわねーんだよなぁ まあ適当に流しとくか)

一夏「お、おう でもココは一つ俺は俺の釣り方でチヌを釣り上げてみせるぜ」

千冬「ふん 好きにしろ」

一夏(思いだせ こんな時、ヤツならどうする 今、俺はジェレミー・ウeイドなんだ! どうする!?)

一夏(そうだ! そこにいる魚はそこにいる生物を食べる! コレだぜ そうと決まれば餌さがしだ)

一夏「ん~ この辺には貝が少し居るな でもカニなんかも欲しい所だな」

一夏「そっちはどうかなぁ~」ヒョコッ

千冬「馬鹿者がぁぁぁ!!!」バキィィィ!

一夏「ぶべら!!!  なんだよ千冬ねぇ! 大声も出してないのに!」

千冬「不用意に影を落とすなぁぁ!!!」

一夏「はぁ?なんだよ其れ」

山田「織斑くん、チヌは敏感な魚なんです 影に警戒して…」

一夏「わかったよもう あっちで取るからさ」

千冬「…。」ったく

一夏「この辺の水際が良さげだな さっさと餌つけてデカブツ釣って千冬ねぇのはなをあかしてやるぜ」

一夏「貝って蹴ってもなかなか取れないもんだなぁ」(ガシガシ ガリッ ガリッ ボリ!ボリ!)

千冬「一夏ぁぁ! 貴様ぁぁ!」

一夏「ヒィィィ! 今度はなんだよぉぉ! 山田先生!!?」

山田(…南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏)

千冬「さっさと上がって来い! おちょくりよってぇ! 来んならコッチから行ってやる!」スタスタスタ

一夏「お助けぇぇぇ~」ザッパーン

千冬「コルルゥラァァァア!!! 私のポイントに飛び込むなぁぁぁぁぁ!!!」ブチィ

船「一夏ー! 特殊な訓練もせずに着衣のまま飛び込むのは危険だぞ!」

一夏「この声は!ラウラか!? 今は絶対陸に居たほうが危険だー! 頼む!乗せてくれぇぇ」

ラウラ「よし待ってろ! ブリッジ! ハードスターボード スローアヘッツー」

鈴「ハードスターボード スローアヘッツー サー!」

一夏「それに鈴まで!? とにかく早くぅぅ!」

ラウラ「よーしもう少しだ 掴まれ一夏」

千冬「ラウラ・ボーデヴィッヒィィ! 今すぐソイツを拘束して連行しろぉ!!!」

ラウラ「 !!! 」

千冬「そうだ 軍人たる貴様には上官の命令は絶対だ」

ラウラ「わ わたしは… いやしかし、其れでは嫁が…」

千冬「どうした! さっさと連れて来い!貴様それでも軍人か!」

ラウラ「…私はドイツ軍人です! 教官の命令よりも… 自らの良心に従います! ブリッジ!全速回頭!」

鈴「アイサー!」

一夏は心底ほっとする だが千冬ねぇを余計に怒らせたのかも知れない…

次に合う時にはどうなるのだろう…一夏のそんな不安を乗せて船は沖を目指した

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

鈴「私もさっき危ない所をキャプテンに助けてもらったのよ

鈴「ま、人の事言えないけどコレであんたも追われる身ね」

一夏「ははは そうだな でもこんな足の遅い船じゃあすぐ見つかるぜ?」

ラウラ「 フッフッフ 侮らないでほしいな この 『北の偽装漁船2型-改』 の力をな! 」

一夏(なんだそれ? 怪しすぎるだろ)

ラウラ「まず船名も登録番号もシールを剥がすことによってスグに変えることができる!」ぺり!

一夏「おお!?」

ラウラ「更に船首とブリッジの一部は即座にパージ(取り外し)可能だ!」

ラウラ「これで船のシルエットも随分変わる」カシャン!ザパーン!

一夏「す、凄ぇ」

ラウラ「装備してある延縄漁具もちゃんと使えるぞ? まぁコッチが目的で用意したんだがな」

一夏(どうやって手に入れたかは聞かないほうが良さそうだな コレ以上不安を抱えるのは精神によくない)

ラウラ「さぁ嫁! お待ちかねの魚捕りの時間だ! 甲板員として存分に働いてもらうぞ!」

一夏「へ?」

鈴「ほらボサッとしてないで! ラジオブイ投入準備!」

俺は急な事に慌てながらも漁師・船乗り・甲板員 そんな言葉にときめいた

時には大物と格闘し、時には船首で夕焼けを見ながらタバコをくゆらせる…

しかし俺の乗り込んだマグロ延縄漁船「北の偽装漁船2型-改」はそんな幻想のトキメキを一撃のもとに砕いた

俺は体力には自信はあったのだが、予想以上にハードかつ神経も使う危険な作業の連続だ

今ではすっかり心も体もすっかり消耗してしまった

餌付け、縄の投入、ブイの投入、次の餌の準備、マグロの処理、漁具の片付け、冷凍庫の管理…

体力を使う上にミスると死の危険性がつきまとう そのくせ休む時間はなく、睡魔が容赦なく襲う

もう何日海にでているのだろう 今俺が寝ているのか起きているのかさえあやふやだ…

なぜ俺はこんなになってまでマグロをとっているのか… 

そういやぁ大物釣りだったかな… フフフ さっきのデカブツは200Kgは超えてるだろう

一夏「 ん…あれ? これは…違うぞ …『釣り』じゃねぇ 『漁』だコレ! 」

一夏「ラウ…キャプテン! 居るか!?」

ブリッジに駆け上がるなり叫んだがラウラは居ない! 窓から周囲をみるといつもと様子が違う

岸壁だ いつの間にか陸(おか)にもどって来ていたのだ 落ち着いて周囲を観察すると、どうも補給中の様だ

ラウラが重油タンクローリーの運転手と何やら話し込んでいる  …鈴は餌の冷凍イカを搬入している

一夏(もう次の漁の準備を…待てよ、下船したいと話をして素直に聞いてくれる保証はないんだよな…)

一夏(でもラウラは命の恩人だし、この船も俺の為に…)

一夏(だが…あの地獄を抜けるには如何なる常識も良心も障害にはならねぇ)

一夏「チャンスは今しかなさそうだ!」シュバ!

一夏「ハァ! ハァ! ここまで来ればもう大丈夫だろう」

いくつ埠頭を超えてきただろう、俺は数キロ離れた海沿いの公園に辿り着いた

一夏「動かない地面! この大地の感触が…こんなにも…嬉しいなんて ッグス」泣

蘭「一夏さん!? どうしてこんな所に?」

一夏「え?蘭か?」

蘭「やっぱり一夏さん! 偶然ですね♪ 私は…その…ちょっと夜釣りしてたんですよ」

一夏「夜釣り…?」

蘭「実は結構好きで偶にやるんですよ/// 五目釣りの簡単なのばっかりですけど」

一夏「へぇ 以外だなぁ」

蘭「何て言うか…別に釣れなくてもいいんです…こうして糸を垂らしてじっと待つ時間が好きなんです」

一夏「 …。 」

蘭「そりゃ魚も釣れたら嬉しいですよ 自分で釣った魚は美味しいですし♪」

蘭「でも 少し考え事したり、普段聞かない深夜ラジオ聞いたり、連れが居る時は長話だってできますし」

一夏「へぇぇ なんか良さそうだなぁ~ あ、さっきの連れってのはもしかして彼氏か?」

蘭「違いますぅ!」

一夏「そ、そうか …じゃあ、俺も一緒にやってもいいか?」

蘭「モチロンです♪ 是非一緒に! 今竿もう一本だしましね♪」

その夜、俺は蘭と朝まで楽しく夜釣りをした 釣果もまずまずだったが、何より楽しい時間を過ごした

俺の好きな番組「怪物魚を追え!」の話… 蘭のお気に入り番組「ビッグフィッシング」の話…

二人でいろんな話題をゆっくりと語らい、笑い、魚を待った 特に肌寒い早朝の澄み切った空気

その中で少し身を寄せて飲む、水平線からの日の出を眺めてのコーヒーと、即席ラーメンは格別だった

一夏「蘭、今日はありがとな 俺、釣りで最初から背伸びしすぎてたのかもなぁ」

一夏「でさ、その…よかったらまた一緒に釣りに

蘭「はい! じゃあ来週も行きましょう! あ、でも次はまず一夏さんの道具から揃えないと!」

一夏(…親友の妹で年下で可愛いくてお淑やかで料理出来て慕ってくれて俺を立ててくれる…)

一夏( 最強じゃないか…俺の陸釣りターゲットは 蘭 お前に決めたぜ!!! )

一夏「よし じゃあ~来週は朝から買い物デートだな!」

蘭「! 絶対ですよ♪ よーしこうなったら…」

蘭「私がポイントで完璧にオール阪神師匠(ビッグフィッシング司会)コーデににちゃいます♪」

一夏「えぇ!? やっぱり俺はジェレミー(怪物魚を追え!出演)っぽく決めたいからモンベルにでも…」

蘭「ダメですぅ~♪」

おわり

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