櫻子「船見せんぱい!花子の体操服1万でどうすっか?」 (39)

結衣「今すぐキャッシュで払うわ」

結衣「は?どういう意味?」

櫻子「だから、花子の体操服を先輩に売るって言ってるんですよ!」

結衣「それやっていいことなの?」

櫻子「そ、それは…」

結衣「大室さんって常識ないの?」

結衣「そもそもなんで私に売ろうと思ったの?」

櫻子「船見先輩がロリコンっていう噂が…」

結衣「噂を真に受けないでよ。私はロリコンじゃないよ」

櫻子「そ、そうだったんですか!いやーびっくり…」

結衣「しかも他人の私物でお金取ろうとしてたんでしょ?ひくわー」

櫻子「……」

結衣「このことは大室さんの家族や古谷さんたちにも言っておくね。あと学校にも」

櫻子「そ、それはやめてください!」

結衣「だってこれ問題だし」

櫻子「ごめんなさい!反省してますから!」

結衣「いや、ありえないでしょ」

櫻子「先輩ぃ…」

櫻子「お願いです…二度としませんから」

結衣「今後するしないでなく今したことが問題なんですが」

櫻子「! そうだ!」

結衣「?」

櫻子「私の全財産あげますからそれで勘弁してください!」

結衣「え、そういう問題じゃないんだけど」

櫻子「じゃ、じゃあ花子の体操服タダであげますから!」

結衣「ダメだこいつ…」

櫻子「えっ…」

結衣「まるで反省してないじゃん」

櫻子「ごめんなさい…」

結衣「もういいよ。大室さん家や学校には後で連絡しておくから、もう帰っていいよ」

櫻子「船見先輩ぃ…」

結衣「バイバイ」

櫻子「……どうしよう」

櫻子「…ただいま」

撫子「おかえりー」

花子「? なんか元気ないし」

櫻子「な、なんでもないよ。あ、私今日夕飯いらないから」スタスタ

撫子「なんだ…恋でもしたのか?」

花子「どうせ明日になったらいつも通りだし」

あかり「えっ!櫻子ちゃんがおやすみ!?」

向日葵「はい…部屋から出てこないらしくて…」

ちなつ「体調悪いのかな?」

あかり「いつも元気なのにねぇ…」

向日葵「なんか…こう…櫻子がいないと落ち着きませんわね…」

ちなつ「…」

ごらく部

京子「へぇ?あの櫻子ちゃんが…」

結衣「…」

あかり「今日一日だけならいいんだけど…あかり心配だよぉ」

ちなつ「まっ、櫻子ちゃんのことだからそんな気にしなくていいと思うよ」

あかり「そうかなぁ…」

結衣(やっぱり私のせいだろうか…)

結衣(反省させるためにちょっときついこと言っただけで、誰にもあのことは言ってないんだけど…)

結衣(ショック受けすぎちゃったのかな)

向日葵(櫻子が心配で生徒会を欠席してきましたわ)テクテク

向日葵(とにかく本人に会ってみないと…)

向日葵(櫻子なら…体調が悪い時はちゃんとそのことを言うはずですわ)

向日葵(でも何も言わないというのは…)

大室宅

向日葵「こんにちは。お邪魔します」

向日葵(返事がない…櫻子以外は誰もいないのかしら)

向日葵(櫻子の部屋…)コンコン

シーン

向日葵(玄関に櫻子の靴はありましたわ…)

向日葵「…櫻子?中にいるんでしょう?」

櫻子「…向日葵?」

櫻子「何しにきたんだよ…」

向日葵「何しにって……私はあなたのことが」

櫻子「説教しに来たのか?」

向日葵「……え?」

櫻子「…私怖いんだよ」

向日葵「ちょ、ちょっと待ってください、何のことでしょうか?」

櫻子「なっ……もしかして向日葵はまだ聞いてないのか?」

向日葵「え、ええ…。私はまだ何も知りませんわ」

櫻子「…」

向日葵「とにかく、ドアを開けてくださいませんか?」

櫻子「な、なんでだよ」

向日葵「櫻子が何に苦しんでるのか分かりませんので、ちゃんと顔を合わせて、そして」

櫻子「やだ」

向日葵「!」

櫻子「知らないのなら…知らないままでいいよ」

向日葵「そんなこと…」

櫻子「いいから!家から出てってよ!」

向日葵「…」

向日葵「……ということですの」

ちなつ「それで櫻子ちゃんは今日も休み、と」

あかり「心配だよぉ!今日みんなで櫻子ちゃんちに行こうよ!」

ちなつ「それは逆効果だと思うよ」

あかり「そっかぁ…」

向日葵「撫子さんや花子ちゃんにも聞いてみたんですけど、原因がわからなくて…」

ちなつ「…私ちょっとひらめいちゃったかも」

向日葵「!」

あかり「ちなつちゃん、なにか分かったの?」

ちなつ「うん…もしかしたらこういうのもあるんじゃないかなって」

向日葵「そ、それはどんなことですの?」

ちなつ「ずばり…」

ちなつ「櫻子ちゃんは犯罪を犯したんだよ!」

向日葵「」

あかり「えっ…えっ……」

ちなつ「櫻子ちゃんのことだから悪いことだと思わないで犯罪を犯しちゃったんだ」

ちなつ「それで後からそれはいけないことだと知って…」

ちなつ「バレたら逮捕されちゃうからその恐怖で部屋に閉じこもってるんだよ!」

向日葵「い、いくらなんでもそれは」

ちなつ「でもあり得ないことじゃないでしょ?」

向日葵「そうですけど…あまりにも話がぶっ飛んでますわ」

ちなつ「そうかな」

あかり「櫻子ちゃん捕まっちゃうの?」ウルッ

ちなつ「まあまああかりちゃん。これはひとつの仮説っていうかほぼ妄想だよ」

あかり「え…?」

ちなつ「私だって本気でそう思ってるわけじゃないよ。ちょっとしたお遊び」

あかり「そうなんだぁ…よかった!」

向日葵「でも…余計に櫻子が心配になりましたわ」

ちなつ「いくら心配しても櫻子ちゃんがだんまりじゃ何もわからないと思うよ」

向日葵「そうですけど…」

綾乃「歳納京子、船見さん」

京子「んー?」

結衣「なに?」

綾乃「廊下で古谷さんが呼んでるわ。二人に訊きたいことがあるって」

京子「珍しいなー」

結衣「…」

向日葵「あ、どうもすみません」

京子「なになにー?愛の告白?」

結衣「二人呼び出してそれはありえないだろ」

向日葵「実は、櫻子が一昨日帰宅してからずっと部屋にこもってるみたいで」

京子「あかりたちに聞いたよ!」

向日葵「なら話は早いですわ。その、お二人は何かこうなった原因について知らないかと…」

京子「むう…知らないな」

向日葵「どんな些細なことでもいいんです!」

京子「んー……結衣は?」

結衣「……ごめん、わからない」

向日葵「そ、そうですよね。お忙しいところ失礼しました」スタスタ

京子「向日葵ちゃん必死だなー」

結衣「うん…」

向日葵「あ、どうもすみません」

京子「なになにー?愛の告白?」

結衣「二人呼び出してそれはありえないだろ」

向日葵「実は、櫻子が一昨日帰宅してからずっと部屋にこもってるみたいで」

京子「あかりたちに聞いたよ!」

向日葵「なら話は早いですわ。その、お二人は何かこうなった原因について知らないかと…」

京子「むう…知らないな」

向日葵「どんな些細なことでもいいんです!」

京子「んー……結衣は?」

結衣「……ごめん、わからない」

向日葵「そ、そうですよね。お忙しいところ失礼しました」スタスタ

京子「ひまっちゃん必死だなー」

結衣「うん…」

綾乃「大室さんのこと聞かれたの?」

京子「うん。綾乃も聞かれたの?」

綾乃「ええ…。私も心配だわ」

京子「だなー」

結衣「京子」

京子「どうした?」

結衣「私今日用事あるから部室寄らずに帰るね」

京子「え?うん、わかった」

大室宅

結衣「お邪魔します」

撫子「いらっしゃい。櫻子の友達?」

結衣「はい」

撫子「そう。櫻子の部屋なら向こうだから」

結衣「あ、ありがとうございます」スタスタ

結衣「」コンコン

結衣「大室さん?」

櫻子「ふ、船見先輩?」

結衣「うん、ドア開けてくれない?」

櫻子「ドア…」

結衣「…」

櫻子「…」

結衣「…嫌、か」

櫻子「…」

結衣「大室さん…ごめんね」

櫻子「!?」

結衣「学校来てないの、私が嫌なこと言ったせいでしょ?」

櫻子「……」

結衣「そんなに落ち込むなんて思わなかったんだ…」

櫻子「ど、どういうことですか…」

結衣「え?」

櫻子「船見先輩は、嘘ついたんですか?」

結衣「そ、そんなつもりは…」

櫻子「…」

結衣「……でもそういうことになるか」

櫻子「じゃああの日のことは誰にも言ってないんですね?」

結衣「…うん」

櫻子「……私、怖かったんですよ」

櫻子「今までいたずらはたくさんやってきたけど、今回のことはいたずらじゃ済まないってこと」

櫻子「あの日の先輩の雰囲気でわかりました…」

櫻子「そう考えたら…怖くて」

櫻子「家族から突き放されること、学校から今までにないくらい罰を受けること、警察も絡んでくること」

櫻子「そして向日葵…友達から嫌われること、そんな嫌なことばかり頭に浮かんできて、怖くて怖くて」

結衣「大室さん…」

櫻子「でも一番怖かったのは…」

櫻子「普段優しい先輩が…見たことないくらい怒ってて冷たかったことで」

櫻子「私、やっちゃいけないことやっちゃったんだなって」

櫻子「正直…今先輩と顔を合わせるのも怖いです…」

櫻子「へへ…私らしくないですよね」

結衣「…」

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