恒一「ポケモンバトルに負けたら廃人になる現象?」 (431)

※時系列とかダメージ計算なんかはあんまり気にしないでください


———夜見のたそがれの以下略


恒一「…は?ポケモン?」

鳴「そう。ポケモン。榊原君も持っているよね」

恒一「持ってるけど」

鳴「ポケモンバトルしよう」

恒一「別にいいけど、見崎といい赤沢さんといい三年三組といい」

恒一「みんな真っ先にポケモン持っているか聞いてくるし」

恒一「君は君で最初に会ったときはピッピのぬいぐるみを持って地下に行くし」

恒一「てか沙苗さんも屋上でこっそりポケモンやってたし」

恒一「『もう始まってる』ってなんのこと?」

鳴「質問攻めは嫌い」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1342801371


鳴「でも今日は特別に認めます」

恒一「じゃあ順番に質問するけど、どうして三年三組、いや夜見山市内ではこんなにポケモンが流行ってるの?」

恒一「電子機器禁止の病院内部でも流行ってるだなんて普通じゃない」

鳴「病院で流行っていたことはともかく」

鳴「何のことはない、ただの流行。東京だともっと流行ってたんじゃない?」

恒一「教室ではポケモンの授業があるほどには流行ってなかったよ」

恒一「ポケモンバトルに負けると廃人になるっていう……現象について要領を得なくて」

鳴「ねえ榊原君」

鳴「……呪いとか信じるほう?」

恒一「呪い?」

鳴「このクラスは25年前から呪われてるの」

鳴「26年前に夜見山岬っていう生徒がいたこと、知ってるよね」

恒一「うん。事故で死んだんだよね」

鳴「そう。死んでいる。でも、夜見山岬は今も生きている……ゲームの中に」



恒一「えーとつまり話を整理すると」

恒一「26年前の夜見山北中学校に夜見山岬っていう夜見山最強のゲーマーがいた」

恒一「彼はゲームプレイにかけては天才的で、どのゲームをやらせても強かった」

恒一「夜見山市内の人たちとあらゆるゲームで勝利した彼は、夜見山市という場所だけでは満足できなかった」

恒一「より強い相手を求めるため、修行の旅に出た彼は」

恒一「夜見山市から出る直前にバナナの皮に足を滑らせて頭を打って死んだ」

鳴「彼が所属していたクラスである三年三組は彼の死を悼んだ」

鳴「その時にある生徒が『岬はゲームの中で生きている』と言った」

鳴「でもその翌年から、夜見山市内で何かゲームが流行り出すと」

鳴「ヨミヤマミサキという謎のデータが出現するようになった」

鳴「このヨミヤマミサキは、プレーヤーがこのゲームの実力に高い自信を持った瞬間に出現して」

鳴「考えられない強さでプレーヤーを蹂躙していく」

鳴「生前夜見山岬がいたクラス、三年三組とそのクラスメイトの親族は」

鳴「ゲームでヨミヤマミサキに徹底的に叩きのめされると」

恒一「ゲーム廃人に目覚めてしまう」

鳴「恐ろしい現象ね」

恒一「いやみんなメンタル弱すぎない?」




恒一「隠しデータに負けて廃人化ってそれ現象でもなんでもなくてただのスキル不足じゃないの?」

鳴「数年前に何かのゲームで全国5指に入る実力の人がいたんだけど」

鳴「ヨミヤマミサキに完敗して廃人と化した、その人も三年三組」

鳴「それだけの実力者がたかが隠しデータ相手に負けた程度で廃人化すると思う?」

恒一「それは……」

鳴「だから現象と言われてる」

鳴「それに、榊原君は最高の力を発揮できる状態でボコボコにされて悔しくない?」

恒一「そりゃ悔しいよ。でもゲームだろ?」

鳴「ゲームでも悔しいものは悔しい」

鳴「この現象の恐ろしさはね、戦いを挑まれたら絶対に受けないといけないこと」

恒一「相手はゲーム内のデータだから電源切っちゃえばいいんじゃない?」

鳴「できないの。電源を切ってもゲームは続行される」

鳴「ゲーム機が鋼のような硬さになってソフトの抜き差しもいかなる衝撃も受け付けない」

鳴「たとえ投げ捨てても、どこかに置いて行ってもすぐ持ち主の元へと戻ってくる」

鳴「つまりね、戦わない限り永遠にヨミヤマミサキは目の前に出現し続けるの」

鳴「ヨミヤマミサキが出た瞬間、そのゲームはハードごと彼に乗っ取られ」

鳴「彼に負けたら代償としてデータが飛び、復元できなくなる」

鳴「負けたショックとデータ消去で、みんな廃人になるの」

恒一(え、それだけで廃人化すんの?)

鳴ちゃんの口調をちゃんと表現できているか心配です


恒一「赤沢さんたちは?」

鳴「赤沢さん達は夜見山岬の出現についての対策を練る係」

鳴「クラスにヨミヤマミサキと遭遇しない方法と、遭遇した時の事後処理を行うのが主な業務で」

鳴「クラスでポケモン勝負の強い人から選出されて、赤沢さんはその対策係のリーダー」

恒一「突っ込みたいとこは山ほどあるけど見崎はどうして他とその…扱いが違うの?」

恒一「なんかみんなに避けられてるっていうか」

恒一「みんな近寄りがたそうにしてるっていうか」

恒一「でもどこか頼りにしているような」

鳴「私はね……『つよいもの』なの」

恒一「つ、つよいもの?」

鳴「ポケモンの老若男女問わないこの流行よう、夜見山岬が現れるとしたら間違いなくゲーム『ポケットモンスター』の中に現れる」

鳴「そして現象を引き起こすと予想した」

鳴「だけどもし三年三組から廃人を出して受験に失敗するという事態は避けなければならない」

恒一(普通この時期ってポケモンやってる場合じゃないよね)

鳴「その対策として」

鳴「三年三組で最強のポケモントレーナーを決めるという対策を講じることになった」

恒一「」

鳴「私はクラスのトーナメント戦で赤沢さんを倒して優勝して『つよきもの』になった」

鳴「つまり私は対ヨミヤマミサキ用の最終兵器なわけ」

恒一「」

鳴「そのあとクラスの全員をポケモン勝負でコテンパンにしちゃったから」

鳴「みんなちょっと私の事を避けてる」

恒一「えーと話に追いつけないんだけど、トーナメントで優勝した見崎が『つよきもの』になって」

恒一「見崎の強さにみんながひれ伏していて」

恒一「準優勝の赤沢さんがヨミヤマミサキの対策係になったってことでいい?」

鳴「だいたいあってる」

鳴「対策係は私抜きのトーナメント上位4名で構成されるの。赤沢さん、風見くん、桜木さん、杉浦さんの4名」

恒一「まるでポケモンリーグだね」

鳴「さしずめチャンピオンは私ってところね」




恒一「はじまってるっていうのはつまり…現象が、ヨミヤマミサキが出現したってことだよね」

恒一「なんでわかったの?」

鳴「私のいとこにね、藤岡未咲という子がいるの」

鳴「小さいころから私とよく遊んでたんだけどある日を境に廃人と化した」

鳴「おそらく『彼』にやられたという予想はついた」

鳴「でも認めたくなかった。そんな訳の分からないデータが未咲を廃人にさせたなんて」

鳴「それにもともとゲーム好きの子だったから、何かのきっかけでゲームにのめりこむようになる可能性もあった」

鳴「けど私がピッピのぬいぐるみを持ってきても無反応だったから」

恒一「現象に遭ったと判断したんだね」

鳴「」コクリ

恒一「今の未咲さんは?」

鳴「虫ポケだけでミュウツー6体を倒す方法ばかり考えてるわ」

恒一「」

鳴「最高個体を六匹揃えても突破なんかできっこないのにね」

恒一「半分倒せたらそれだけで御の字だね」




恒一「最後に……どうして見崎は僕と戦いたいの?」

鳴「もし榊原君が私より強かったら、『つよいもの』の対策が機能しなくなる」

鳴「『つよいもの』は決して負けてはいけないの」

鳴「私は『つよいもの』として榊原君の力を見極めるために戦いたい」

恒一「…あれ?『つよいもの』って多くいればいるほど対策になるんじゃないの?」

鳴「『つよいもの』はね、クラス全員をコテンパンにする役目を背負ってるの」

鳴「というのも、『つよいもの』に負けるとヨミヤマミサキに負けた時と同じ、つまり現象に遭った時に近い効果を得つつ」

鳴「廃人化を食い止める作用があると数年前に発覚したの」

鳴「未咲が敗れたかもしれない今、この対策に意味があるとは思えないけど。一応、ね」

鳴「榊原君、私に勝ったら『つよいもの』の称号をあげる」

恒一「いらないよ」

恒一「まあでもでもせっかくだし」チャッ

鳴「バトルしようぜ」グイッ

今夜はここまでです

とりあえず訂正

>鳴「私はクラスのトーナメント戦で赤沢さんを倒して優勝して『つよきもの』になった」
>恒一「えーと話に追いつけないんだけど、トーナメントで優勝した見崎が『つよきもの』になって」

×『つよきもの』〇『つよいもの』


というわけで数時間後に投下予定

ふ、ふんポケモン赤をコクーン一匹でクリアした俺からしたら
み、みみ、見崎なんて相手じゃねぇし!

>>13
キクコとかどうやって突破したんだ…アーボック以外どく4分の1だぞ……

あ、最初に言っておきますがAnotherの時代設定で考えているので初代ポケモンで話を進めていきます

てなわけで投下



恒一「それじゃ通信ケーブルを引いてっと」

鳴「あっ待って」

恒一「どうしたの?」

鳴「榊原君、夜見山市ポケモンローカルルールって知ってる?」

恒一「ローカルルール?初めて聞いたけど」

鳴「(あの無能め説明してなかったのか)……じゃあ説明するけど」


ポケモンバトル・夜見山市ローカルルール

・使えるポケモンはミュウツーを除いた150匹。

・ふぶきを使えるポケモンはパーティに一体のみ。ただしフリーザーとルージュラのみ例外とする。

・手持ちが重複してはならない

・自分と相手との間にポケモンのレベル差がある場合、レベルの高いプレーヤーが何かしらのハンデを負うものとする

・氷、ねむり状態について

 ・三対三の場合は三匹のうち二匹を、6対6の場合も同様に二匹をいずれかの状態にしてはならない。

 ・二匹をこおりまたはねむり状態にさせると、プレーヤーは反則負けとなる。

・プテラにいわなだれなど本来覚えない技を覚えているなど、何かしら改造を施したポケモンを投入してはならない。



恒一「公式大会と大体同じルールだね」

鳴「違うのはふぶきの制限ね。フリーザーとルージュラを例外にしているのは、ふぶき縛りを設けたままこの二匹をパーティに投入すると吹雪を使えるポケモンがすぐわかるから」

恒一「フリーザーでも冷凍ビームをメインに技を構成しても威力不足になるしね」

鳴「ミュウツーの投入を禁止している理由は言うまでもないよね」

鳴「ルール違反はない?」

恒一「うーん……たぶん大丈夫」

鳴「じゃあやるよ」

目線がちょくちょく変わることになるので先に謝りますごめんなさい





ポケモントレーナーの めいが しょうぶをしかけてきた!

ポケモントレーナーの めいは ケンタロスを くりだした!


恒一「ケンタロスか」

鳴「榊原君は———ガルーラ?」



めいは どうする?


鳴(初手ガルーラか……初手が速攻アタッカーじゃないのは珍しい方かな)

鳴(攻撃はケンタロスに一歩劣るとはいえ初手がダースマインならじしんで狩れるし、ダグ相手なら物理技でゴリ押せる)

鳴(割と技が豊富だけど特殊は低い。でもゴローニャやナッシーのような氷二倍の相手なら素早さの点でどうにかなる)

鳴(ふぶき縛りのルールでガルーラにふぶきを持たせているとは思えないけど、一応警戒しておくべきね)

鳴(ここでスターミーに交換した場合、一撃くらったとしても素早さが勝る以上、回復しつづければサイキネ乱2)

鳴(ちゃんと育てていれば確定3)

鳴(状態異常にでもならない限りガルーラではスターミーに勝てない)

鳴(それでも初手でガルーラを使うというメリットは……まあたぶんこれしかないか)

鳴(榊原君は私の一手を読めるかな)


つうしんたいきちゅう・・・・・・


恒一(さてどうする見崎)



あいての ケンタロスの にらみつける!

ガルーラの ぼうぎょが さがった!



恒一「に、にらみつける!?でもまあ、まだ問題ないか」


ガルーラの かみなり!
しかし こうげきは はずれた!


恒一「ち」

鳴「何が問題ないの、さ・か・き・ば・ら・くん」


恒一(まさかにらみつけるを実戦で使ってくる人がいたなんて)

恒一(でもあながち間違った手でもない)

恒一(ケンタロス受けに交代してもじしんがある以上ケンタロスの技はすべてのポケモンにタイプ一致等倍以上で刺さる)

恒一(ケンタロスの火力なら防御を下げてしまえば特殊技と組み合わせて物理受けの突破は容易になる)

鳴「榊原君、これは私がカウンター読み水タイプ交換を読んだ上の攻撃?」

恒一(当たり)

見崎「ぼうぎょの下がったガルーラにカウンターを打てる力は残っているかしら」

恒一「くっ」

恒一(しかもカウンターを持っていることまで見抜かれていたか)


恒一(僕のパーティでケンタロスを倒せるのはガルーラとあと一匹)

恒一(僕のカウンター交代読み10万を見切った見崎なら、おそらく次のターンもにらみつけるか…いや)

恒一(ここはガルーラを信じてみよう)

恒一(僕のガルーラはこれで意外とタフなんだ)


ケンタロスの ふぶき!

ガルーラの のしかかり!


恒一(ふぶきか。ここで僕がガルーラを交代させなくても特殊の低さでダメージは入るうえ三割こおりを狙えるし、ケンタロス受けに交代してもダメージが通りやすい)

恒一(悪くない選択だ)

恒一(そしてケンタロスの方が早いしどの攻撃も必ず一発は耐えるから、その一発を受けてしまえばあとは持ち前の物理火力で潰せるって算段だね)

恒一(僕が攻めたとしてもカウンターを成功させない限りケンタロスには大ダメージはない。でも)


鳴(まあ、受けを出しづらい榊原君はそうするしかないわね)

鳴(でも次の一撃でガルーラは沈む)



ケンタロスの 捨て身タックル!

きゅうしょに あたった!



鳴(これで一匹……!)

鳴(っ、耐えた!?)


あいての ガルーラの カウンター!
ケンタロスは たおれた!

※お互いレベル100という前提で話を進めています




鳴「どうして…」

恒一「威力不足だ。僕のガルーラを確実に倒すには、さっきふぶきではなく物理技か、はかいこうせんを撃つべきだった」

恒一「吹雪程度のダメージなら直後にすてみタックルをくらっていたとしても普通に耐えられる」

恒一「まあ破壊光線にしてもふぶきでくらったダメージが174だったから、超低乱数で耐えられたって可能性もあるけどそれはちょっと都合がよすぎるかな」

恒一「でもHP防御特殊がFの守りに特化したガルーラはそう簡単には沈まないよ」

鳴「榊原君、三値の存在を知ってるんだ」

恒一「一応ね」

鳴「ガルーラの厳選なんて正気じゃない」

恒一「たまたま良個体だったんだ。逆に言うとこれ以外の個体じゃ今の攻撃でやられていた」



鳴「でもそのガルーラはもう戦えない」


めいは スターミーを くりだした!


スターミーの サイコキネシス!
あいての ガルーラは たおれた!


恒一(ガルーラは『初手をつぶす』という役割を果たしてくれた。次はスターミーに相性のいいこいつでいける)


こういちは マルマインを くりだした!


鳴「これは交代せざるを得ない」

鳴(…ちょっと待った)

鳴(さすがにマルマインまで厳選してはいない……よね)

つうしんたいきちゅう……

こういちは マルマインを ひっこめた!

こういちは ケンタロスを くりだした!


恒一(…スターミーは交代しないか…)


スターミーの みがわり!
じぶんの たいりょくを けずって
ぶんしんを つくりだした!


恒一「へぇ」


つうしんたいきちゅう・・・・・・


恒一(交代せずみがわり…)

恒一(こっちはマルマインを出していたのになぜ?)

恒一(マルマインが攻めてきたらみがわりを出す体力が残らずスターミーは何もできずに落ちるというのに)

恒一(スターミーを交換するとみせかけてのこれか?いやいやそれより手持ちを失うリスクのほうが高すぎる)

恒一(なんだかんだで相手に1ターンの自由を与えてしまった)

恒一(しかしこの1ターンで何ができる?サイコキネシスで確定2とはいえこっちも破壊光線を撃てば耐えられてもマルマインが控えている以上すぐ突破される)

恒一(地面タイプを最期の一匹にしているなら話は別として)

恒一(仮にここで積んできたらケンタロスだけで突破するのは難しいか…?)


つうしんたいきちゅう……

こういちは ケンタロスを ひっこめた!

こういちは マルマインを くりだした!


恒一(みがわりを壊してからの10万で確定1発、いけるか?)

つうしんたいきちゅう……


スターミーの どくどく!

マルマインは もうどくを あびた!


つうしんたいきちゅう……


マルマインの 10まんボルト!

こうかは ばつぐんだ!

スターミーの みがわりは きえてしまった……


スターミーの みがわり!

じぶんの たいりょくを けずって
ぶんしんを つくりだした!


つうしんたいきちゅう……

マルマインの 10まんボルト!

こうかは ばつぐんだ!

スターミーの みがわりは きえてしまった……


スターミーの じこさいせい!

スターミーの たいりょくが かいふくした!

マルマインは どくの ダメージを うけている!


恒一(こっ、この構成…まさか!)

鳴(榊原君、スターミーがフルアタしか型がないなんて大間違いよ)

恒一(なんてめちゃくちゃな)

恒一(でもスターミーの種族値や覚えられる技の範囲を知ったときフルアタ型じゃなくて耐久型もいけるんじゃねと思ったけど)

恒一(フルアタ型のほうがメリット多いし使いやすいから耐久型は考えてなかった)

恒一(とはいえいかに耐久型とはいえマルマインはタイプ一致二倍なんだ、どうせすぐ落ちる)


マルマインの 10まんボルト!
こうかはばつぐんだ!

スターミーの じこさいせい!
スターミーの たいりょくが かいふくした!

マルマインは どくの ダメージを うけている!

つうしんたいきちゅう…


マルマインの 10まんボルト!
こうかはばつぐんだ!

スターミーの じこさいせい!
スターミーの たいりょくが かいふくした!

マルマインは どくの ダメージを うけている!

つうしんたいきちゅう……



恒一「乱数一発で落ちるはずなのに…スターミーの耐久型だなんて!」

鳴(違うわね榊原君、乱数一発で落ちるのはマルマインの特殊がFで、ちゃんと努力値を振った場合のみ)

鳴(それと比べると榊原君のマルマインの10まん一撃あたりのダメージ量は少ない、となるとやっぱりマルマインは厳選してないようね)

鳴(厳選してもそれが厳選ミスってこともなくもない)

鳴(まあこのマルマイン相手だと急所に当らない限りじこさいせいで数ターンは必ず耐え凌げる)

鳴(今度からサイキネのかわりに光の壁入れて完全に耐久勝負仕様にできないかなあこれ)

鳴(あ、マルマイン相手ならともかくサンダースとかサンダー相手だと特殊的に簡単に沈んじゃうか)

鳴(それにどくタイプか状態異常のポケモンに交換されるか眠られるかで完全に積むスターミーになっちゃうし)

鳴(能力的にいけると思うのに)


マルマインは どくの ダメージを うけている!


鳴「マルマインの毒で死ぬよりスターミーがやられるのが速いか。なら」


マルマインの 10まんボルト!

こうかは ばつぐんだ!


スターミーの サイコキネシス!

マルマインは どくの ダメージを うけている!

マルマインは たおれた!


つうしんたいきちゅう……

初代の個体値について補足
現在は個体値は0〜31(V)の32進数で分けられていますが初代は0〜15(F)の16進数なため
初代ポケモンの個体値F=現在でいう個体値Vと同じです




鳴「後一体」

恒一「でももう耐久戦法はとれなくなったね。みがわりを撃つ余裕もない」

鳴「そうね。けど榊原君。わたしはまだ一匹残している」

恒一「でもこうなったら実質一対一だろ?」



こういちは ケンタロスを くりだした!


恒一(確実にスターミーを倒す。こうなった以上見崎はサイコキネシスを最後っ屁の一発に放つだろう)

恒一(次のポケモンがケンタロスより遅かったら僕の勝ちだ)


鳴「そうは問屋が卸さない」


めいは スターミーを ひっこめた!

めいは マルマインを くりだした!


ケンタロスの 10まんボルト!

きゅうしょに あたった!

こうかは いまひとつだ……


鳴「スターミーで耐久戦をやったのはね、榊原君がケンタロスを繰り出すかもって思った時」

鳴「マルマインを出した時、私もスターミーを引っ込めようかと思ったけど」

鳴「ケンタロスは間違いなくじしんを覚えている」

鳴「素早さで優っているとはいえマルマインは出せなかった。一撃耐えられてじしんかはかいこうせんで返り討ちにされるのがオチだし」

鳴「最悪、だいばくはつで相打ちに持ち込めるけど今度は耐久戦法を取るしかないスターミーに有利なマルマインが待ち構えている」

鳴「みがわりもできず、ひかりのかべもないマルマインに勝てる要素は急所狙いのみ。もちろん低確率過ぎて話にならない」

鳴「実質一対一の状況に持ち込まれると手持ちの力で負けるのは私。だからマルマインをケンタロスにぶつける前に控えをつぶしておく必要があった」

鳴「スターミーがフルアタという先入観を利用して耐久に持ち込めてよかった」

鳴「だいぶ危ない綱渡りだったけど」

恒一「……見崎」


マルマインの だいばくはつ!

マルマインは たおれた!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


つうしんたいきちゅう・・・・・・


恒一「ケンタロスのHPはギリギリ残ったけど、これはもう無理だね」

恒一「努力値は振っているけど、ケンタロスの素早さ個体値はBだからスターミーを抜けない」

恒一「僕の負けだよ、見崎」

鳴「ええ」


めいは スターミーを くりだした!


鳴「強かったわ。榊原君」

鳴「また相手してね」


つうしんたいきちゅう……


スターミーの サイコキネシス!

きゅうしょに あたった!

あいての ケンタロスは たおれた!


ポケモントレーナーの こういちに かった!



鳴「ところで榊原君、マルマインは電磁波を覚えてた?」

恒一「覚えていたけどそれがどうか……あっ」

鳴「私が耐久勝負に出て、自己再生を連打しまくっていたときに電磁波を打っていればもしかしたら勝てたかもしれなかったよね」

恒一「どくどくを打たれて回復連打されて電磁波を打つことを忘れていたよ」

鳴「麻痺からのだいばくはつでケンタロスに繋げばスターミーが爆発耐えてきても先手をとれるから勝てたのに」

恒一「気づかなかった……。僕と見崎の差はそこってことか」

恒一「三年三組最強は伊達じゃないみたいだね。このパーティで優勝したの?」

鳴「ケンタロスとスターミーは使ったけど、もう一匹はマルマインじゃなくて別のポケモンを使ったわ」

恒一「へえ。流石にケンタロスとスターミーの技構成を予想できた人はいないんじゃない?」

恒一「にらみつけると耐久型スターミーなんか初めて見た」

鳴「……一人だけ、いた」

恒一「あれを予想できる人がいたのか。やっぱり赤沢さん?」

鳴「違う。予想してきたのは小椋さん」

恒一「えっ」

鳴「私と小椋さんはトーナメント一回戦で戦ったけど、たぶん実力は私と同じか。はっきり言って一番の強敵だった」

恒一「見崎と同等…ってことは赤沢さんは実質ナンバー3?」

鳴「何事にもジョーカーはいるものよ。榊原君の実力は赤沢さんには勝てるってとこかしら。  

  他が榊原君と戦ったらたぶんクラスのほとんどがガルーラに返り討ちにされるでしょうね」

恒一「なんか強いのか強くないのかわからない」

恒一「赤沢さんって強いの?」

鳴「トーナメントで勝ち上がってきた以上弱くはない、と思う。例外なのは小椋さんくらい」

鳴「ねえ榊原君、今戦って思ったんだけど」

恒一「何?」

鳴「今回は三体三のバトルだったけど、これ本気のメンバーじゃないよね」

恒一「・・・・・・」

鳴「やっぱり」

恒一「それを言うなら見崎もそうじゃないか。見崎もガチパじゃないんだろ?」

鳴「わかった?」

恒一「さっきのヨミヤマミサキの出現条件から考えれば、全員そうだろ?」

恒一「自分がゲームに……ポケモンバトルに絶対の自信を持たなければ現象に遭遇しない」

恒一「その自信を砕くために『つよいもの』がいて、絶対の自信を持たせることを阻止するのなら」

恒一「自分の実力を引き出せるガチパさえ組んでいなければそれに遭遇することはない」

鳴「ご名答」

鳴「それがわかってるってことは、榊原君もそれガチパじゃないでしょ?」

恒一「うん」

鳴「ねえ榊原君、見せてあげようか」

恒一「奇遇だ、僕も見崎に見せたいポケモンがいるんだ」




vs見崎鳴 終了 つづく
というわけで質問という突込みがあればお願いします

余裕ができたから投稿する

ところでこれ読んでる方は種族値努力値個体値について一応の知識はあります…か?
ある前提で書いていたので

見崎の家を後にして、綾野さんと会った。綾野さんはポケモンをしながら歩いていた。


恒一「綾野さん」

綾野「あっこういっちゃん。どうしたのこんなところで」

恒一「まあ、ちょっとね。綾野さん、歩きながらゲームボーイは危ないよ」

綾野「大丈夫大丈夫、車には気を付けてるって…わっ」

ガラス「おーっすwwwwwwwwwwwwww」タオレル

恒一「危ない!」ガシッ

綾野「きゃっ」グイッ

ガラス「気ぃつけろwwwwwwwwwwwwww」パリーンパリーン 

恒一「ね?」

綾野「う、うん(こういっちゃんに抱きしめられた…///)」

恒一「やっぱりポケモン?」

綾野「うんうん。楽しいよねポケモン。こういっちゃんもやってるよね」

恒一「これだけ流行っているからね」

綾野「こういっちゃん、勝負しない?」

恒一「え?」

綾野「さっきいい感じのパーティができたから、ヨミヤマミサキに遭遇しないうちに誰かと戦いたいなーって思って」

恒一「不用心だなあ」

綾野「あっちの公園いこ。通信ケーブル持ってるからすぐ戦えるし!」

恒一(本当に何でみんな通信ケーブル持ってるんだろ)

恒一(しかも常備してるし)

とりあえず通信ケーブルを引いて綾野さんと戦い、きっちりボコらせてもらった。

綾野さんは割とガチパで戦ってたと言うが、そこまで強いパーティではなかった。


綾野「うえ〜んこういっちゃん強すぎるよ〜!」ポカポカ

恒一「痛い痛いうっ気胸がっ……ごめん綾野さん、泣かせるつもりはなかったんだ!」

綾野「うう、自信満々のガチパができたからってホイホイ勝負しちゃだめなんだね…」ぐずん

恒一「現象の件もあるからね。でも、すごく筋はいいと思うよ」

綾野「そうなの?」

恒一「サワムラーをパーティに入れてたよね。あれはなんで?」

綾野「ポケスペ読んでてサワムラーがかっこよかったから使いたかったんだ」

恒一「ああ、シバのサワムラーね」

綾野「で、どうやってサワムラーを活躍させようかと考えてパーティを作ったんだけど」

恒一「格闘は風当たりが強いからね」

恒一「綾野さんの一生懸命なところ、尊敬しちゃうな。だからきっと強いトレーナーになるよ。僕が保証する」

綾野「」///

綾野「こういっちゃん強いんだね、見崎ちゃんよりつよいんじゃない?」ズズッ

恒一「さっき負けた」

綾野「えっ」

恒一「見崎ん家でポケモンバトルやって、それで」

綾野「(やっぱ二人ってそういう関係なのかな)」ズーン

恒一「綾野さん?」

綾野「ううん、やっぱり見崎ちゃんって強いんだねと思って」

恒一「うん、すごく強かった」

綾野「もっと私がんばるね」

恒一「綾野さんはポケモンより勉強を頑張った方がいいよ」

綾野「じゃあ勉強教えて。その……今度で良いから」///

恒一「いいよ」

恒一が見崎と綾野さんの二人と戦った翌日。

某桜木宅



デン デン デン デーレー デデ デデ デデ デデ テー
デデ デデ デデ デデテー デデ デデ デデ デデ テー


桜木「なんですかこの音楽、初めて聞きました……」

桜木「———こ、これはっ、まさか!」



ポケモンマスターの ヨミヤマミサキが  デデテー デデテー デデテー デーレー デデテー デデテー デデテー デーレー
 

しょうぶを しかけてきた!  デデテー デデテー デデテー デーレー デデテー デデテー デデテー デデレー デー レー レー




桜木「きましたね、ヨミヤマミサキっ!」

桜木「ガチパをようやく作れたと思ったら唐突にっ……ポケモンセンターの職員に化けるだなんて卑怯です!」

桜木「あっ、よく見たら手持ちがみんな全快になってる。それにしてもこの音楽なんでしょう。こんな音源ありましたっけ?」

桜木「はっそうじゃなくて! 対策係……いえ三年三組の四天王としてあなたを倒します!」


5分後


デーレー デレレー レー レー レー レーーレーー デデテー デデテー
デーレー デレレー レー レー レー レーーレーー デデテー デデテー

ダダッ ダッ タッ タッ ダッ タダーン
ダダッ ダッ タッ タッ ダッ タダーン

ダーン ダーン ダーン ダーン ダーン ……


ラッキーは たおれた!
サンダースは たおれた!
ヤドランは たおれた!


桜木「これがヨミヤマミサキ———強すぎる!」

桜木「でもこの子がなんとかしてくれる!」


ダーン ダーン …

チャーラーラーラーラ チャララララーラ
チャーラーラーラ チャララララーラ

ダーン ダーン ダーン ダーン …



7分後


フリーザーは たおれた!

桜木「これが・・・・・・これがヨミヤマミサキ・・・・・・・こんなの誰も勝てるわけがない!」

桜木「泉美でも、ひょっとしたら見崎さんでも・・・!」

桜木「私、ヨミヤマミサキの手持ちの半分も倒せなかった…!」

桜木「だれも・・・かてない・・・かて・・・ない・・・いやぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」


ゆかりのまえには たたかえる ポケモンが いない!
ゆかりは めのまえが まっくらに なった!



その翌日


赤沢「ゆかりが現象に遭ったってホントなの!?」

三神「まちがいありません。先ほどご家族の方に連絡を取りました。ゆかりさんは部屋に引きこもってずっとポケモンをやっているそうです」

杉浦「ゆかりが・・・負けた」

風見(くそっ、ヨミヤマミサキ、貴様は僕が倒す!)

勅使河原(風見が怒りに燃えているの初めて見た)



恒一「見崎!」

鳴「どうしたの榊原君」

恒一「現象の話、本当だったんだね」

鳴「……信じた?」

恒一「あまり信じたくなかったけれど、あの桜木さんがそんな理由で学校を休むなんて考えられないからね」

鳴「現象が収まるまで登校してこないでしょうね」

恒一「確か桜木さんって対策係なんだよね」

鳴「うん。けど、桜木さんのようなクラス上位の実力者が真っ先にやられたのは痛いね」

恒一「こう言っちゃなんだけど、気の毒だね」

鳴「そうだね」

勅使河原「おっ、サカキは無事みてぇだな」

恒一「ガチパを組んでないからね。そういう勅使河原も」

勅使河原「ったく、せっかく自信満々で組み上げたパーティを使えないって言うのはつれーよなあ」

恒一「最強パを使わないってだけで中学三年を棒に振るわないだけマシじゃないか」

勅使河原「でもよー、せっかくだからガチパで戦いたいよなぁ」

鳴「じゃあ戦う?」

勅使河原「おっいいのか?」

鳴「見てて榊原君、『つよいもの』がどんな存在かを」

勅使河原「よーし、覚悟しろよ見崎!お前を倒して俺が『つよいもの』になってやる!」



5分後

勅使河原「」チーン

鳴「前戦ったときより1分持ったか……まだまだね」

恒一「やっぱみんなメンタル弱いだけじゃないのかなこれ」

あ、この時間はここまでです

質問と突っ込みは引き続き受け付けますので

半分も倒せなかったってことは
流石に1匹ぐらいは倒せたってことかな?

>>34
一応三年三組のトーナメント上位なのでそれなりの実力はあるという設定
まあ現在もそうだけど初代は運ゲーの要素も結構なウエイトを占めているから
そこそこ実力があってフルバトルなら格上相手でも一匹ぐらいなら倒せるでしょう

>>34さん以外にこのSSを読んでくださってる方がいるのか不安でしょうがないですがそれでも投下します



あの後、僕と望月が一緒に下校していると、公園に高翌林君がいた。

高翌林君はヨミヤマミサキと交戦していた。遠くから見てもその必死さは伝わるほどだったが

僕と望月が駆けつけた時はすでに敗北していた。

敗北した彼は「こんなフェアがあるかあああああフェアフェアフェアフェアフェアフェアなフェアアをォォォアアアアアアア」と発狂してどこかに行ってしまった。


二週間後。

高翌林君と桜木さんの件が相当きていたのか、実はこっそりとガチパを育成していた久保寺先生は打倒ヨミヤマミサキに燃えていた。

トーナメント上位の杉浦さんと風見君の指導で力を付けた先生は慣れないゲームに悪戦苦闘しながらも

とりあえず中尾君には勝てる程度の実力を身に着けていた。

そして常にガチパを携帯しておくことでいつヨミヤマミサキと遭遇しても戦えるように備えていたが

遭遇するやいなやあっけなく敗れてしまったらしい。


久保寺「みなさんに悲しいお知らせがあります」

久保寺「私は桜木さんと高翌林君のためと思ってここまでやってきました」

久保寺「しかし私は……」

久保寺「あんなに強いトレーナーが……」

久保寺「たかがデータのくせに……」

久保D「もういいやイ"イエアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!! 」フーッ、フーッ

千曳「これは尋常ではないねぇ。みんな教室から出なさい。榊原君きみもだ」

久保寺「イ゛イェ゛ア゛アアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」



久保寺先生は千曳先生のからてチョップがきゅうしょにあたったのか動かなくなった。

そしてそのまま病院に連れて行かれた。

聞くところによると、負けたショックが大きすぎてあのような奇行に出たという。


それから一週間後。


恒一「久保寺先生、負けたショックを学校で晴らすなよ!」

望月「あれは大人げなかった」

勅使河原「やっぱ現象って怖ぇーなあ、あんなに人って変わるもんかフツー」

望月「それにしても、高翌林君と久保寺先生まで不登校になるなんて」

勅使河原「久保寺先生なんか退院してすぐ母親を老人ホームに預けて修行の旅に出たというし」

恒一「沙苗さん……水野君のお姉さんも負けたショックで仕事を辞めちゃったって言うし」

恒一「それで水野君、お姉さんの様子は…?」

水野「ありゃ完全に駄目だな、昨日部屋に入ったらペットボトルが散乱してものすごく臭かった」

恒一「あの沙苗さんがボトラーになるなんて」ゾクゾク

水野「看護師の不摂生って洒落にならねーよ」

赤沢「はぁ……」

恒一「どうしたの赤沢さん」

赤沢「ヨミヤマミサキの情報についてゆかりと高翌林君からなんとか話を聞き出せたけどクラスから三人も犠牲者を出してしまった。

   これは無能の誹りを受けても仕方ないわ」

恒一「赤沢さんの対策は一応間違っていないと思う。今回は三人ともガチパを連れていたからこうなっただけで」

赤沢「そうかしら」

恒一「元気出して赤沢さん。今の赤沢さんは赤沢さんらしくないよ」

赤沢「そ、そうねっ次の対策を考えないと////」シャキーン

鳴「(もうしばらく落ち込んでればいいのに)」




水野「あれ俺の出番ひょっとしてこれだけ?もう終わり?」

鳴「タブンネ」

今気づいた高翌翌翌林って誰だよ



それから僕らは千曳先生に助言を求めた。

千曳先生は26年前の三年三組の担任、つまり夜見山岬の担任だったという。

彼ならこの現象をどうにかする手掛かりを知っているかもしれないと思って第二図書室へと向かった。

千曳先生曰く26年前はインベータ—ゲームが空前のブームだったようで、先生は名古屋撃ちの名手と呼ばれていた。

そんな先生でも生前の夜見山岬には勝てなかったそうだ。



千曳「私は私の名古屋撃ちのテクニックに自信を持っていた」

千曳「名古屋撃ちを改良した新名古屋撃ちというものを開発したりした」

千曳「しかし彼はその上をいった」

千曳「彼は夜見山砲というインベータ—ゲームにあるまじき大量消去技を編み出した」

千曳「彼のゲームではしばしばこの夜見山砲のような荒業が見受けられる時がある」

千曳「おそらく今回も掟破りの戦法で夜見山のポケモントレーナーを蹂躙しているだろう」

千曳「まあそれがなんなのかわかっていても必ず勝てるわけではないのが彼の恐ろしさだけどねぇ」



先生は昔の話ばかりして現在のヨミヤマミサキについてはろくなことは話さない役立たずと判明したので図書室を後にした。

翌日、対策係が桜木さんから半ば無理やりにヨミヤマミサキについて聞きだしたところ

使ってくるポケモン等の情報を手に入れたらしい。

僕は情報の共有ということでイノヤという喫茶店で赤沢さん達と待ち合わせすることになった。


某日イノヤ


赤沢「いきなり呼び出してごめんなさい」

恒一「ううん、特に予定はなかったから」

赤沢「そう。……見崎さんは一緒じゃないのね」

恒一「スターミーをもう一度育て直すってさ。今度はどんなスターミーが出てくるかな」

赤沢「あの憎たらしいスターミーね……今思い返しても腹が立つ」

恒一「確か見崎と赤沢さんは決勝戦で戦ったんだよね」

赤沢「ええそうよ。耐久型スターミーだけならいざ知らず、ケンタロスににらみつけるを採用する人なんか普通いないわよ」

恒一「まあ普通採用しないよね。特殊技受けならラッキーのほうがもっとやりやすそうだし」

恒一「ケンタロスの全抜き性能も落としちゃうし」

恒一「でもそこでそれを採用してしまうあたり見崎らしいや」

赤沢「……サンダースで止まらないスターミーなんて……」

恒一(それは育成の仕方が悪いだけだと思う)

赤沢「その様子だと恒一君も戦ったみたいね」

恒一「僕も同じ感想だよ。でもそこが僕と彼女の差なんだろうね」

赤沢「それじゃ恒一君、見崎さんに負けた者同士いきなりで悪いけど勝負しましょうか」

恒一「ポケモンバトル?」

赤沢「勅使河原と望月君が来るまでの間でいいでしょ?」

恒一「三対三の勝負ならいいよ」

赤沢「わかったわ」

赤沢「じゃあ通信ケーブルを引いて、っと……」



つうしんたいきちゅう……

メ欄にsagaって入れとけ

高翌翌翌翌翌翌翌林……その苗字はフェアじゃないよ……




ポケモントレーナーの いずみが しょうぶを しかけてきた!

いずみは ペルシアンを くりだした!


恒一「ペルシアンね」

恒一(こいつを採用するメリットと言えばタイプ一致きりさくとノーマル最速の素早さか)

恒一(ケンタロスとの差別化としてものまねとバブル光線があるけど特殊の種族値は65だしほぼ戦力外の技だね)

恒一(ペルシアンの素早さなら急所確定で威力210のきりさくは警戒すべきところ)

恒一(ケンタロスより厳選難易度は低いから高個体値かもしれない)


こういちは ドードリオを くりだした!


赤沢(素早さは私の方が早い。けどドードリオはカビゴンと同等の威力の破壊光線があるからペルシアンは普通に突破される)

赤沢(私のペルシアンは防御あまり高くないし)

赤沢(まずは様子を見るか…)


ペルシアンの みがわり!

じぶんの たいりょくを けずって
ぶんしんを つくりだした!


あいての ドードリオの ドリルくちばし!

きゅうしょに あたった!

ペルシアンの みがわりは きえてしまった……


赤沢(破壊光線だったらうれしかったんだけど)

赤沢(ドリルくちばしも予想の範囲内)

赤沢(これ以上ペルシアンを居すわらせる理由はないわね)


もどれ、ペルシアン!

いけっ、サンダース!


赤沢(サンダースの耐久はカビゴンのじしんじゃ落ちないぐらいの高さを誇る)

赤沢(つまり種族値110からの威力200の技に耐えられるということ)

赤沢(ドードリオの破壊光線はタイプ一致で威力225、耐えられる)

恒一「……」



>>43-44
ありがとうございますこれで高林君はフェアな奴になるだろう




あいての ドードリオの どくどく!

サンダースは もうどくをあびた!


赤沢(交代を読んだ…?でも無意味ね。どくどくを撃ったってことはあっちも交代かしら)


ポケモントレーナーの こういちは ドードリオを ひっこめた!

ポケモントレーナーの こういちは ダグトリオを くりだした!


赤沢(それを読めない私ではない)ドヤァ


サンダースの のしかかり!


赤沢(次に破壊光線を撃てばダグは終わり)

赤沢(まあ交代よね。電気受けとしてダグトリオってことはナッシーは手持ちに入っていないと推測できる)

赤沢(ケンタロスにでも交代して一ターン相手に攻撃させてもタイプ一致じしんじゃない限りサンダースは耐える)

赤沢(その結果サンダースを失うことになってもその場合は電磁波で次のポケモンを有利な状態に立たせられる)

赤沢(仮にナッシーが控えていても私の後続なら確実に叩き潰せる)フフフ



赤沢「マスター、ハワイアナエクストラファンシーひとつお願いします」

恒一「赤沢さんバトル中だよ」

赤沢「ここのコーヒーは格別よ。これを飲むと頭がすっきりするのよ、気分的に」

恒一「へー」

恒一(余裕って感じだ。だけど赤沢さん、まさかそのままサンダースで攻めたりとかしない……よね)



つうしんたいきちゅう・・・・・・ 


ダグトリオの みがわり!


赤沢(!?)


じぶんのたいりょくをけずってぶんしんをつくりだした!

サンダースは どくの ダメージを うけている!


赤沢(サンダースが抜かれた!?やばい!)


サンダースの はかいこうせん!

きゅうしょに あたった!

ダグトリオの みがわりは きえてしまった……


赤沢(ダグをサンダースで落としてそのままサンダースで全抜きを狙うつもりだったのに……!)

赤沢(これじゃ交換して地面技をしのぐしかないじゃない!)


つうしんたいきちゅう・・・・・・


もういい、サンダース!



つうしんたいきちゅう・・・・・・



たのんだぞ、フリーザー!


あいての ダグトリオの いわなだれ!

こうかは ばつぐんだ!

赤沢「ッ!!」



つうしんたいきちゅう・・・・・・


赤沢(フリーザーを繰り出すのは完全に読まれてたってわけ?いやいや、いくらなんでもピンポイントで狙ってくる?普通じしんかあなをほるで攻めるわよ)

赤沢(ギャラドス狙いだったかも…いやいやいやしかしこの状況はかなり悪いわね)

赤沢(すばやさでは敵わない、次のターンは乱数次第でフリーザーは落ちる、できるのは身代わり破壊が精一杯か)

赤沢(それでもいいわ。まずは目の前の敵を潰す事から始めなきゃ)


あいての ダグトリオの いわなだれ!
しかし こうげきは はずれた!


赤沢(やったはずれた!)


フリーザーの ふぶき!

こうかは ばつぐんだ!

あいての ダグトリオの みがわりは きえてしまった…


赤沢(次の雪崩が乱数なら……いや乱数じゃなくてもいけるかも)

恒一「……」


ダグトリオの いわなだれ!

こうかはばつぐんだ!


フリーザーの ふぶき!

こうかはばつぐんだ! 

あいての ダグトリオは たおれた!


赤沢「ふふ、恒一君。どうかしら私のフリーザーは」

恒一「タフだったね」

恒一「でも赤沢さん。まだ僕には二匹残ってる」

赤沢「そうだったわね」

恒一「勝負はこれからだ」

と、こういっちゃんは言いましたがぶっちゃけ特にヤマもないので省略しようかと思っていますがどうしましょう
書くべきでしょうか?

じゃあ書く
書き溜めたものじゃないから即興で書くことになるけど許してね

つうしんたいきちゅう・・・・・・・


ポケモントレーナーの こういちは カビゴンを くりだした!


赤沢「カビゴンね」

赤沢(恒一君、ひょっとしてノーマルタイプが好きなのかしら)

赤沢(ああ見えて実は高火力ぶっぱがメイン戦法だったりして)

赤沢「フリーザーが吹雪縛りの対象外ってことは知ってるわよね」


フリーザーの ふぶき!


恒一「カビゴンの耐久を甘く見ちゃ困るよ」


あいての カビゴンの のしかかり!

フリーザーは たおれた!


赤沢「それぐらいわかってるわよ。でもね」


いけっ、サンダース!


赤沢「この子にじしんを撃っても確定一発で仕留められないのよ」

赤沢「ダグトリオを失い、残りの手持ちはカビゴンとドードリオ。でもドードリオに交換はできない」

赤沢「こうなるとカビゴンでサンダースを倒すしかないけど、ふぶきで体力が減らされたカビゴンは10万でほぼ確定二発」

赤沢「サンダースもじしんと物理技で確定二発だけど素早さは私が早い」

赤沢「これがどういうことだかわかるわよね恒一君」

恒一「赤沢さん」

恒一「悪いけどすばやさ関係なしにサンダースは確定一発だよ」

赤沢「どうかしら」

恒一「完全に忘れてるでしょこの技」



サンダースの 10まんボルト!


ピコンピコンピコンピコン

あいての カビゴンの じばく!


赤沢「えっ」


きゅうしょに あたった!

サンダースは たおれた!



恒一「威力だけなら全ポケモンで最も高いのがこれ、カビゴンの自爆」

恒一「ノーマル無効のゲンガーか、半減のいわタイプか、パルシェン以外は乱数の範囲内で落とせる威力」

恒一「HP防御の個体値Fで努力値も上限まで振ったナッシーでさえ乱数1」

恒一「さて、残るはペルシアンだけだね」

赤沢「ぐぬぬ」



恒一「あ、そういえばサンダースはどくのダメージがあったからわざわざ自爆しなくてもじしんで確定二発だったか」

恒一「惜しいことしちゃったな」

恒一「まあどっちにしろ残るは一体」

赤沢「何よまだ終わってないわ」

恒一「じゃあ続けるね」

赤沢「まだ私にはペルシアンがいるわ。負けない」


つうしんたいきちゅう・・・・・・


たのむ、ペルシアン!


ポケモントレーナーの こういちは ドードリオを くりだした!


つうしんたいきちゅう……


ペルシアンの いやなおと!

ドードリオの ぼうぎょが がくっと さがった!


恒一「しまっ…!」

恒一(いやなおとを使ってきたか…!ってことは次に来るのはきりさくじゃなくて破壊光線!)

恒一(防御が二段階下がったドードリオじゃどうあがいても確1で終わる!)

恒一(なるほど身代わりを入れていたのは身代わりで1ターン稼いでこの流れを成立させやすくするためか)

恒一(てことはこのペルシアン、本来は先鋒で運用するポケモンじゃないかもしれない)

恒一(となるとドードリオのこの破壊光線でペルシアンを仕留めそこなったら)

恒一(次のターンに破壊光線で僕の負けだ)



ドードリオの はかいこうせん!


恒一(身代わりで減ったHPとはいえ、乱数次第では耐えられる一発!)

恒一(どうだ!?)



ペルシアンは たおれた!


恒一(・・・・・・・勝てた)




赤沢「……負けた」

赤沢「対策係なのに」

恒一「最後はひやりとしたよ。僕としても本当にギリギリで勝てたところだから」

赤沢「負けは負けよ」

赤沢「恒一君のドードリオの攻撃力と乱数次第じゃギリギリ耐えるかもと賭けてみたけどだめだったみたい」

赤沢「ところで恒一君、さっきサンダースがダグトリオに抜かれたときに何か言いかけてたけど教えてくれないかしら」

恒一「ああ、あれね」

恒一「たぶん、あのままサンダースがダグトリオに破壊光線を撃ってもたぶん落ちなかったよ」

赤沢「え?」

恒一「サンダースの攻撃力だと」

恒一「のしかかりのダメージとはかいこうせんの急所なし最大ダメージを合わせてもそれなりに良い個体のダグトリオを落とすことは実はできないんだ」

恒一「のしかかりとはかいこうせん、どちらかを削って補助技を組み込むべきだと思う」

恒一「それにダグトリオを倒すつもりならすぐにフリーザーに交換すべきだったよ」

恒一「まあ、交換しても身代わりで吹雪一発はどうにかなるから雪崩で削ってドードリオの破壊光線で倒されるのがオチかな」

赤沢「……何か言ったら負け惜しみになりそうだから何も言わないでおくわ」

赤沢「それより————ねえ榊原君、対策係に入らない?」

恒一「え?」

赤沢「ちょうどゆかりが廃人になっちゃったから席が一つ空いてるの。いいでしょ?」

恒一「うーん僕じゃなくてもっとピッタリな人がいるんじゃない?たとえば……」

勅使河原「お、赤沢とサカキはもう来てたのか」

赤沢「まず勅使河原はありえないとして」

赤沢「とりあえず勅使河原は帰ってくれないかしら」

勅使河原「せっかく来たのにいきなりなんだよ!」

赤沢「うるさい(おかげで恒一君のスカウト失敗したじゃない!)」

望月「遅れてきたことには謝るよ赤沢さん」

恒一「まあいいから二人とも座ってよ」

とりあえずこの時間はここまで

次の投下は大体12〜3時間後になりそうですぞ
何故だろう投下ペースは同じなはずなのに3レス分書いた即興だけど疲れた
一応書きだめあるけどこれから物語の大事な部分に行くところだから矛盾点がないよう検証しときます


今回は突っ込みどころが多そうなので期待しています

ごめんなさい少し嘘つきました

>恒一「ノーマル無効のゲンガーか、半減のいわタイプか、パルシェン以外は乱数の範囲内で落とせる威力」
と言っていますが実際に計算したところ

ミュウ親子カイリューフリーザーマタドガスニョロボンサンドパンパルシェン

この8匹はカビゴンのじばくを確定で耐えるようです。
ナッシーなど高乱数で耐えられるのも結構いました(乱数の範囲内とこういっちゃんは言いましたので一応乱数で倒せますが低乱数1でした)

予定より若干早いですが投下します




赤沢「それでは私達対策係がゆかりと高林君から引き出した情報を公開します」

勅使河原「いよっ待ってました」

恒一「こら勅使河原」

勅使河原「冗談だよ冗談。それで、何を聞けた?」

赤沢「まずヨミヤマミサキと二人の対戦なんだけど、知ってのとおり二人とも負け。その内容は」

赤沢「ゆかりの場合は6対6のフルバトルのうち、『奴』の手持ちで倒せたのは二匹だけ」

赤沢「高林君の場合も同じくフルバトル、でも一匹も倒せず」

赤沢「あのゆかりが二匹しか手持ちを倒せなかった相手だから、敗者復活戦一回戦敗退の高林君が勝てないのは仕方ないとして」

恒一「ちょっ、ちょっと待って」

赤沢「?」

恒一「敗者復活って?」

赤沢「ああそっか、恒一君は知らないんだっけ……。『つよいもの』を決める時にクラスのみんなでトーナメント戦をしたってことは聞いたわよね」

恒一「見崎からね」

赤沢「……ポケモンは運の要素も大きいから、仮に実力者でも一回戦の相手や運次第で実力を発揮できない場合があるから」

赤沢「一回戦と二回戦敗退組で敗者復活戦をトーナメント方式で行って上位数名が本戦に復帰するって流れをとったのよ」

恒一「『つよいもの』って一度も負けたことのない人がなるんじゃなくて?」

赤沢「その『つよいもの』が運だけで勝ち進んだら困るでしょ?」

望月「それにトーナメントだから『つよいもの』と戦わない人って必ず出てくるからね。敗者復活戦を勝ち上がった人と戦って勝てたら『つよいもの』の実力に説得力が出るしね」

恒一「へぇ……それでその敗者復活トーナメントで勝ち上がったのは?」

望月「小椋さんと中尾君」

恒一「ああ……」ボソッ

勅使河原「でもありゃ傑作だったな。小椋の奴せっかく敗者復活して本戦に戻ってきたのに当たった相手がまた見崎だからな」

望月「小椋さんのリベンジかと思ったけど見崎さんが勝っちゃったからね」

赤沢「この二人が勝ち上がったけど、勅使河原の言うとおり由美は見崎さんに負けて、中尾君は本戦一勝して私に負けた」

恒一「へー」

恒一(中尾君は意外だったけど、小椋さんか……見崎がやたら評価してたっけ)

恒一(敗者復活がどのレベルの戦いか知らないけど、ある意味裏トーナメントな敗者復活戦で勝ち上がったってことは本当に実力あるんだな)

恒一(機会があったら対戦してみよう)




赤沢「あっそうだ、そういえばヨミヤマミサキと戦っている時はいつもと違う音楽が流れていたって聞いたわ」

恒一「いつもと違う音楽?」

勅使河原「どういう音楽なんだ?」

赤沢「そこまでは聞き出せなかったわ。ゆかりにつまみ出されたから」

望月「ゲーム本編には使われていない楽曲とは違うの?」

赤沢「それが違うっていうのよ」

赤沢「ROMの中身をPARを利用して解析したゆかりの言うことだから間違いないわ」

赤沢「まあ、今はそれはどうでもいいわね」

赤沢「現象に遭ったっていう水野君のお姉さんと久保寺先生にも話を聞きたかったけど……」

望月「どっちも失踪しちゃったみたいだね」

赤沢「というわけだから有力な情報源はこの二人だけってこと」

赤沢「で、その時の手持ちと戦い方なんだけど———」




その後、望月のお姉さんから有力な情報を聞くことができた。

なんでも15年前、ある月からぱたりとヨミヤマミサキが出現しなくなったという。

なぜそのようなことが起こったのかと訊くと、自分がこの現象を止めたと言っていた人がいたことを突き止めた。

松永さんという人だ。

イノヤでポケモンをしながら情報を入手した僕たちは、今週末さっそく松永さんがいるという

場所へと向かうこととなった。

恒一「———ということがあった」

鳴「そう。ヨミヤマミサキに勝った人がいるのね」

恒一「え。見崎、そうじゃなくて現象を止めたってだけで———」

鳴「榊原君もうすうす気づいてるんじゃないかと思うけど、現象を止めるにはヨミヤマミサキに勝てばいい」

鳴「そう思ってるんじゃない?」

恒一「まあ、現象を止めるにはどうしたらいいかって考えたら真っ先に思いつくのはそれだし、僕もそう思ってるけど」

恒一「見崎もやっぱりそう思うんだね」

鳴「」コクリ

鳴「その人はヨミヤマミサキと戦って勝ったんじゃないかと思う」

恒一「僕も同じ意見だ」

鳴「松永さんって人の話も興味深いけど、気になるのはヨミヤマミサキの戦い方ね」

恒一「赤沢さんが言うには————」



赤沢「前者をゆかり、後者を高林君とすると、一匹目はサンダースとフーディン。特殊速攻アタッカーね」

赤沢「二人とも一匹目をケンタロスにしていたみたいだけど、どちらもケンタロスの最初の一撃を何の補正もかけずに耐えたってことは」

赤沢「少なくともサンダースとフーディンのHP防御特殊は個体値C以上」

赤沢「攻撃に関してはヨミヤマミサキが指示した技がどれも確定1〜乱数2と的確かつ高威力のものらしいから攻撃特殊はおそらくFはある」

赤沢「で、そのほかの手持ちなんだけど、ゆかりの時はサンダース、フシギバナ、ケンタロス、ゲンガーの4匹しかわからなかったみたい」

赤沢「高林君はフーディン、ケンタロス、ドククラゲの三匹」

赤沢「共通している手持ちはケンタロスぐらい」

赤沢「ケンタロスはどのパーティにも組み込みやすいからいれているだろうと思うけど、あとは不定って感じね」

赤沢「ヨミヤマミサキは相手の一匹目を確実に潰す戦法を得意とするらしいの。どんな戦法かまでは聞き出せなかったけど、交代読みからの攻撃が的確らしいってことかしら」

赤沢「報告以上」




恒一「———あとは戦闘前にポケモンマスターを自称していたぐらい」

恒一「見崎はこれ、どう思う?」

鳴「聞いた限りだと高林君は実質6対3の状況で一匹も倒せなかったってことなのね」

鳴「桜木さんも……せめて手持ち全部明かしてから負けてほしかったなあ」

恒一(なんか見崎が黒い)

鳴「———個体値はオールF、努力値もほぼ全能力にMAXで振っているとみて間違いない」

鳴「ポケモンマスターと名乗っている以上、使ってくるポケモンはすべて理想個体か……」

鳴「手持ちにドククラゲを入れてたのは意外だったけど、その他は現環境トップメタ」

鳴「つまり手持ちは完全に不定ではなく、だいたい現環境で使われているメジャーなポケモンを使ってくるということ」

鳴「そう考えると使ってくるポケモンはおのずと見えてくる」

鳴「技構成もある程度は」

鳴「ドククラゲとフシギバナっていう選出だけど」

鳴「ドククラゲはどくタイプが足を引っ張っているだけで種族値は素早さ100特殊125に加えバリアーも持ってることを考えると非常にバランスが取れている」

鳴「フシギバナも同じ。ふぶきとサイキネが大暴れしている現状では不遇だけど、今後この二つがパーティに搭載されている率が出れば間違いなく活躍する」

鳴「おそらくヨミヤマミサキのパーティ構成は『メジャー+マイナーだけど過小評価気味のポケモン』で組まれている」

鳴「ケンタロスと若干マイナーポケモンを使っている点を見ると」

鳴「ヨミヤマミサキは『エース理論』もしくは『司令塔理論』にそってパーティを組み立てているかもしれない」

恒一「え、エース…司令塔…理論?」

鳴「ポケモンのパーティ構成にはいくつかの考え方があるの。榊原君と戦ったときの構成は若干『組み合わせ理論』に近いかな」

鳴「理論等の説明は面倒だから省いて良い?」

恒一「後で調べるよ」

鳴「この二つの理論は正しい読みができるトレーナーが最も有効に運用できるの。的確な交代読み攻撃ができるなら、この理論で組まれたパーティは強い」

鳴「パーティの全容が分からない今、本当にその理論でパーティを組んでいるのかわからないけどね」

鳴「強いわけだよ」

恒一「その強い相手に勝った人と会うことになってるけど、見崎も行く?」

鳴「」フルフル

鳴「その日は無理。ちょっと用事があるから」カキカキ

鳴「ちょっと待って」

鳴「これ、私の携帯の番号」スッ

恒一「電話は嫌いって言ってなかった?」

鳴「嫌い」

鳴「でも……」

恒一「……ありがとう。何かあったらすぐ連絡するよ」


とりあえずこの時間はここまで
今からちょっとムシバーンと戦ってくる

ムシバーンと戦ってきた
みんなお菓子の食べすぎには注意して毎日ちゃんと歯を磨かないとお口がコワイナーになっちゃうから気を付けるんだぞ
という冗談はともかくちょっと投下します



夜見山市外の海


————までの車の中




恒一「赤沢さん」

赤沢「何?」

恒一「対策係の杉浦さんはともかく、どうして中尾君まで?」

赤沢「ああ……」




 回想。

某イノヤ


恒一「だから僕は対策係には入らないって」

赤沢「どうしてよ。恒一君は私に勝ったんだから対策係としての実力は十分よ。それに恒一君が対策係になってくれれば……」

恒一「トーナメントに参加してなくて、ただ赤沢さんを倒したってだけの僕が入るのは」

恒一「赤沢さんが納得してもクラスのみんなが納得するとは限らないよ」

赤沢「それぐらいどうにでもなるわよ。だから対策係に……」

勅使河原「サカキがこんだけ断ってるんだから無理に対策係にすることもないんじゃね?」

赤沢「でも」

赤沢(恒一君が対策係になったら適当に用事つくって一緒の時間ができるのに全くこの勅使河原はクソッ)

勅使河原「他にも誰かいるだろ、見崎と赤沢達以外のベスト8とかから選ぶのもいいんじゃないのか?」

望月「小椋さん、中尾君」

勅使河原「でお前も」

望月「いやあ、僕はそういうのに向いてないよ」

恒一「えっ望月もベスト8だったのか?」

望月「たまたまだよ。ただ運が良かっただけ」

勅使河原「じゃあこの三人から一人選ぶでいいじゃん次の対策係は」

赤沢「うう(私は恒一君がいいのに……)



赤沢さんはその後、小椋さんと中尾君に桜木さんの抜けた穴を埋めてもらうよう話をしに行ったが

小椋さんは乗り気でなかったのに対し、中尾君はやる気満々だったようで中尾君に決定した。

杉浦さんの後押しもあったのも大きいだろう。


 回想終了


赤沢「ということで中尾が対策係になったのよ」

恒一「あれからこんなことが」

赤沢「中尾もまあまあ実力はあるから、人選ミスってことはないと思うけど……たぶん」





というわけで当日やってきたのは僕、勅使河原、望月、赤沢さんのイノヤ組と杉浦さん、中尾君の6人。怜子さんも含めて7人だ。

ここは夜見山市外なので、ヨミヤマミサキは現れない。

なので今日ぐらいはみんなポケモンの事を忘れて思いっきり遊ぼうと事前に取り決めておいた。



勅使河原「海だ—!」ザザー

勅使河原「浜だー!」

赤沢「勅使河原うるさい」

勅使河原「赤沢も喜べよ、海だぜ海!」

赤沢「はいはい」



恒一「久しぶりにポケモンから解放された」

怜子「そうね。ここずっとポケモン関係でいろいろあったし」

怜子「みんなに『ゲームボーイを持ってこないように』って言っておいてよかったわね」

恒一「朝から晩までずっとポケモンやってたからなんか気分がいいよ」

怜子「そういえば不思議と電池代はかかってないわね。現象が起きている最中は電池の消費が抑えられてるのかも」

恒一「環境には優しいけどいい傾向じゃないですよね」

怜子「そうね。少なくともこれ以上長引くと高校受験が危ないわ」

怜子「その時は私だけじゃどうにもならないから、クラスの勉強の面倒は恒一君にお願いするわね」

恒一「いくらなんでもクラス全員の勉強なんか見れないよ」

恒一「ところで怜子さん、この現象ってやっぱり卒業まで続くんですか?」

怜子「そうね、卒業までね」

怜子「全員無事に高校に行けて卒業式に出席させたいなぁ」

恒一「そのためには何としてもこの現象を止めないと」

恒一「それにしても、対策係はヨミヤマミサキ対策を、見崎は最終兵器、怜子さんはゲームと現実のバランスを整える」

恒一「よく考えたらちゃんとクラスの役割分担がされてますね」

怜子「あまりいい役割分担じゃないけど」

怜子「担任なってわかったわ。久保寺先生がこんなに大変だったなんてね」

恒一「今何してるんでしょう ————あっ」





岩場


鳴「………」

鳴「………水辺で拾った石」スッ




ヒトデ「……」


鳴「ヒトデ…」ツンツン


ヒトデ「痛い痛いやめてやめて」


鳴「……」ツンツン


ヒトデ「やっ、やめっ・・・そこ急所で弱点なのぉっ……」ピクピク


鳴「ヒトデ……ヒトデマン……」ツンツン


ヒトデ「いやぁっ……こうかばつぐんっ…!」ビクンビクン


鳴「ヘアッ」


恒一「見崎?」ぬっ

鳴「」ポチャン

ヒトデ「ぐえっ」石ドスッ

鳴「さっ、榊原君!」///

恒一「見崎も来てたんだ」

鳴「どどうして榊原君がここにいるの?」

恒一「ああ、イノヤで聞いた松永さん、この近くで働いてるから話を聞きに来たんだ」

鳴「ということは、他のみんなも一緒?」

恒一「うん」

鳴「ここにいるのは榊原君だけ?」

恒一「みんなあっちで遊んでるからね」

鳴「よかった」

恒一「なんのこと?」

鳴「なんでもないわ」

鳴(見られたのが榊原君だけでよかった)

恒一「見崎はどうしてこんなところに一人でいたの?」

鳴「……用事があるって言ったでしょ。用事を済ませた後の帰りなの」

鳴「榊原君こそよく私を見つけられたね」

恒一「えっと、うん。もしかして見崎なのかもって思って」

恒一「もしかしたらと思ったら気になってさ」

恒一「それにしても見崎」

鳴「何?」

恒一「ヒトデを石でつっついても進化しないからね」

鳴「榊原君のばかっ」///



恒一「せっかくだから僕たちと合流しない?」

恒一「夜見山の外だし、こんな時だからポケモンのことぐらい忘れて遊ばない?」

鳴「そうね」

鳴「でも榊原君、さっきのは」

恒一「はは、ちゃんと秘密にしておくよ」




見崎を連れて勅使河原たちと合流して、しばらくはポケモンの事を忘れて遊んでいた。

しかし事件は起こってしまった。


ヒュー


杉浦「あっボールが」

赤沢「結構遠くまで飛ばされたわね」

勅使河原「んじゃ俺取りに行くよ」

恒一「脚吊るなよ」

勅使河原「わかってるって」バシャバシャ


勅使河原「ビーチボール、ゲットだぜ!って……あれっ?」

勅使河原「んー? あれって……」


赤沢「勅使河原ー!早く戻ってきなさいよー!」

杉浦「戻らないわね」

望月「もしかして脚を吊ったんじゃ」

恒一「いや待って。戻ってきた」



恒一「何かあったのか?」

勅使河原「何かあったというか……ああやっぱりいない」

恒一「いない?」

勅使河原「やっぱり中尾がいない」

鳴「そういえばさっきから姿が見えない」

松永「おうどうしたんだ?」

赤沢「あなたが松永さん?はじめまして、赤沢泉美です。話を伺いに来ました。でもちょっと待っていてくれませんか?」

松永「ああ、友達を探しているのか?さっきあっちで見たぞ」サシズ

勅使河原「そうそうあっちあっち」

望月「勅使河原、中尾君を見たの?」

勅使河原「見た見た。岩場の裏の浜辺にいたけど、なんか小さな女の子と話してた」

赤沢「小さな・・・」

杉浦「女の子・・・」

鳴「犯罪の臭いがする」

怜子「行きましょう」


岩場の裏の浜辺


ようじょ「ふえええええええええええ」

勅使河原「おい誰かの泣き声がする!」

赤沢「中尾の奴とうとう幼女に手を出したのね!」

杉浦「おまけにこんなに泣かせてるなんてただじゃおかない!」

赤沢・杉浦「「おい中尾!」」

恒一「中尾……くん?」


中尾「」


ようじょ「ふえええええええ」

望月「中尾君がひざをついたままゲームボーイを手にして固まってる」

怜子「よしよしもー大丈夫だからねー」

ようじょ「おねーちゃんあのおにーちゃんこわいよおおおおおおおおお」ダキッ

鳴「どうしたの?」

ようじょ「ぐずん、わたし、ぽけもんやってたんだけど、どうしてもユンゲラーをしんかさせてあげたくて」

ようじょ「あのおにーちゃんがやってきてわたしのユンゲラーをふーディンにしてくれてね、あとゴローンとゴーストもしんかさせてもらって」

ようじょ「おじょうちゃんかわいいからポケモンあげるってゆってエレブーとカメックスをもらったの」

赤沢「ちょ、ちょっと待って。ねえ、あのロリコ……じゃなくておにーちゃんとポケモンを交換したの?」

ようじょ「う”ん」

赤沢「あのおにーちゃんのポケモンと交代したのね」

ようじょ「うん。おにーちゃんずかん150ぴきぜんぶいたからすごかった」

杉浦「あのバカ、ゲームボーイ持ってきてたのね」

鳴「ポケモン貰ってからどうかしたの?」

ようじょ「ポケモンこうかんして、よろこんでたら、おにーちゃんがつよいとこみせてあげるってゆったの」

ようじょ「でもそのときのおにーちゃん、きれたリザードンみたいな顔してた」

ようじょ「それで、いきなりさけんだりして、こわくて」

鳴「ないちゃったのね」

怜子「よしよし」ナデナデ

ようじょ「ぶええええええええええええええええええええええ」


恒一「怜子さんがゲームボーイもってくるなって言ってるのに…四天王相手にうっかり負けたか?」


望月「ゲームボーイ没収っと」ヒョイ

勅使河原「せっかくポケモンのことを忘れて遊んでたってのに何やってんだ中尾は!」

恒一「全くだよ……」

恒一「!? これは」

杉浦「どうしたの榊原君」

恒一「杉浦さん……これを」

杉浦「! 中尾のデータが……でも、そんな」

恒一「誤って水たまりや砂に落としたような形跡はないし、電池が切れてセーブデータが飛んだってわけでもないみたいだ」

望月「ちょっ、それって……やっぱり、でもここって夜見山の外じゃ」

恒一「これは、いったい……」

松永「おいどうしたんだ何が———」


中尾「マカセロー……マカセロー……オレニー……マカセロー……マカセローってイッタノニ……マカセラレタ……」


松永「この症状は———くそっ」ドシャッ

勅使河原「おいおい!?」

恒一「大丈夫ですか!?」

松永「君達はそうか今の三年三組の……ということはあれは」ガクブル

松永「隠したんだ……」

恒一「え?」

松永「ヤツに勝つ手掛かりを、教室に……!」





赤沢「ねえこいつどうしようか」

杉浦「ヨミヤマミサキについてできるだけ聞き出したらあとは放置して帰りましょう」

赤沢「やっぱり中尾に任せるべきじゃなかったわ」

鳴「もう大丈夫だから、ね」

怜子「よしよし」

ようじょ「ぶええええええええええええこわかったよおおおおおおおおおおおお」グズン



赤沢さんと杉浦さんによる取り調べにより判明した中尾君の戦績。

6対6のフルバトルで、中尾君がヨミヤマミサキの手持ちで倒せたのはルージュラ1匹だけだった。

そしてルージュラ、ケンタロス、ゴローニャ、ラッキーの4匹を使ってきたことが判明した。

戦法は、ルージュラのあくまのキッスからみがわりを張って影分身を積みサイキネで全抜き、不利なタイプが出てきたら

交代で狩るというものだったようだ。



取り調べが終わり、砂浜に取り残された中尾君はどこかにふらふらと行ってしまった。

おそらく彼も久保寺先生と同じように修行の旅に出たのだろう。

ただ久保寺先生と違うのは中尾君は着の身のまま、つまり海パン一丁と望月から奪還したゲームボーイだけを持って失踪したので

そのうち通報されて警察のお世話になることだろう。



千曳先生によれば、おそらく中尾君は海に行く前日にガチパを編成したことによりヨミヤマミサキがゲームの中に入り込み、

中尾君はそれに気付かずゲームボーイを持ち出したことによってヨミヤマミサキが外に持ち出され、

また幼女にちやほやされたことで気分が高揚し、例外的にヨミヤマミサキが出現することになってしまったと分析した。



これにより、現象の影響を受ける前に夜見山を去る予定だった綾野さん一家は夜見山に留まることを余儀なくされたという。

うっかりヨミヤマミサキを外に持ち出して綾野さんの精神をやられるのを防ぐためだろう。


松永さんの証言によって旧三年三組の教室に現象を止める手がかりがあることを知った僕たちは捜索に乗り出した。

メンバーは……


勅使河原「うっわ」

望月「ねえここ学校だよね?」

恒一「場所は間違いなく旧三年三組の教室で間違いないよ。でも」

鳴「ゲームの鏡台、スロット、ダンレボ……まるで潰れたゲーセンみたいね」

望月「ゲームの墓場みたいだ」

鳴「これ全部ヨミヤマミサキが出現したゲームか」

恒一「なんで学校の旧校舎にこんなもんを」

小椋「ったく、何で私まで……ていうか埃っぽくねここ」


今日はここまでです。

かきだめも尽きそうなのでしばらくは質問タイムになりそう

ちょっと続きを描くまで時間がかかるので深夜はむりっすが明日のお昼頃までには投下させます以上

望月「ねえ榊原君、なんで見崎さんと小椋さんまでいるわけ?」

恒一「望月も見たろ?あれは話さざるを得なかったって」

勅使河原「サカキが大体悪い」

恒一「僕のせいかよ」

勅使河原「小椋を連れてこなかったらこんなことにはならなかっただろ」

望月「二人とも静かにして」

鳴「松永さんが残した現象の手がかりを探すんでしょう。今回のケースだと小椋さんが一緒の方がいい」

勅使河原「でもよぉー」

小椋「はいはいそこの男子と見崎さん!ここ埃っぽいんだからさっさと探して帰ろ!」


—————————————————————————

海から帰った後の某イノヤ


勅使河原「それほんとかよ!?」

恒一「うん。松永さんがそう言ってた」

恒一「でも今は僕たち三人だけの秘密にしていたほうがいい。今回の中尾君みたいな件もあるかもしれないし」

望月「あれは自業自得だと思うけど———そういえば警察からの連絡で中尾君は保護されたって」

望月「留置所でポケモンポケモンとわめいているみたいだけど」

勅使河原「ホントの意味での廃人じゃねーか」

恒一「まあ、そういうわけだし、あまり人を増やして『手がかり』を探したくないんだ。まずは僕たちだけでその『手がかり』を見つけて」

恒一「それが僕たちの手に負えないようであればみんなに言う。そうしようと思うんだ」

勅使河原「じゃあいつ探しに行く?」

望月「今からだとちょっと用事が」

勅使河原「じゃあ明日の午後三時に、美術部の部室に集合な。あっち旧校舎だろ?」

望月「うん。その時間に集合しよう」

恒一「あー……ちょっと待って」

勅使河原「どうしたサカキ?」

恒一「さっきあまり人を増やしたくないって言ったけど、撤回するね」

勅使河原「おいおいいいのか人増やして」

恒一「本当は増やしたくなんかないけど、見崎と赤沢さんたち対策係の力は今は借りないかわりに」

恒一「見崎たちと同等の実力者にちょっと力を借してもらおうと思う」

勅使河原「ちょっいるのかよそんな奴……もしかして小椋か?あいつってそんなに強かったっけ?」

恒一「見崎が自分と対等の実力者って言うぐらいだから」

勅使河原「へぇーあの小椋がねぇ……」

望月「まあ、小椋さんとまともに戦ったのって敗者復活組を除いたら見崎さんぐらいだしね」

勅使河原「とかなんとか言っちゃってー、ホントは愛しの鳴ちゃんを危険に巻き込みたくないだけじゃねーの?」

恒一「ちょっ僕と見崎はそんな関係じゃないって」

勅使河原「またまたー」



望月姉「えええっ榊原君って彼女いるのぉ!?」

望月「なんでそこで姉さんが食いつくの!?」

すまない夜にまた投下する

>>14
コクーン一匹でクリアした人結構多いよ
ポケモン金でもコクーン一匹でクリアした人もいるし
ホウオウ戦は腹抱えて笑ったな

>>80
見てみたけどマジキチってこういうことをやろうとするやつのためにあるかもしれない
俺は絶対やりたくないと思ったわ


OK次回の分までの書きダメができたので今から投下しまーす


旧校舎。




望月「ねえ榊原君、なんで見崎さんと小椋さんまでいるわけ?」

恒一「望月も見たろ?あれは話さざるを得なかったって」

勅使河原「サカキが大体悪い」

恒一「僕のせいかよ」

勅使河原「小椋を連れてこなかったらこんなことにはならなかっただろ」

勅使河原「それもあんな連れ去り方して」

恒一「あれはその……てか勅使河原が余計なことを言わなければ」

望月「はいはい喧嘩しない!」

鳴「松永さんが残した現象の手がかりを探しにきたんだよね。今回のケースだと小椋さんと私が一緒の方がいいんじゃない」

勅使河原「でもよぉー」

小椋「はいはいそこの男子と見崎さん!ここ埃っぽいんだからさっさと探して帰ろ!」


—————————————————————————


イノヤを後にした僕は見崎の家へと足を運んだ。

海から戻った後、見崎から呼ばれていたためだ。



恒一「26年前の写真?」

鳴「前に聞いたけど、榊原君のお母さん、夜見山岬と同じクラスだったんだってね」

恒一「うん、父さんから聞いてるから間違いないよ」

恒一「でもどうしてまた?」

鳴「……気になることがあって」

鳴「一度夜見山岬が写っている写真を見たかったの」

恒一「探せば家にあると思うけど」

恒一「千曳先生とか持ってるんじゃないの?そういうのって」

鳴「最初に聞いた」

鳴「どういうわけだか知らないけど、先生はそういう写真、持ってないんだって」

恒一「元担任なのに?」

鳴「写真に写るのを極端に嫌う人だったみたいなの。というより、26年前の資料そのものもないんだって」

恒一「なんでだろ」

鳴「夜見山岬も三年三組もゲームマニアばっかりでろくな資料を残してくれなかったみたい」

恒一「なんてクラスだよおい」

鳴「榊原君はお母さんの話は何か聞かなかった?」

恒一「少なくともゲームが大好きだったなんて話は聞かなかったな。父さんはどうだか知らないけど」

恒一「当時ゲームが好きだったとしていても、さすがにぼくを産む頃には卒業してると思う」

恒一「わかった。とりあえず探してみるよ。家の納屋とかあたってみる。もう一度父さんから何か聞いてみるよ」

鳴「なるべく早くお願い」

鳴「もしかしたら現象を止める手掛かりになるかも」

———————————————————————————————————

後で父さんや怜子さんに聞いたところ、家の納屋に昔の写真が収められているということなので、なるべく早く探してみることにしよう。

そして僕は旧校舎に残された『現象を止めるための手がかり』を探すため、勅使河原と一緒に望月と待ち合わせをしている美術部の部室に向かった。


午後二時。



勅使河原「小椋が強いってのはわかったけど、一応実力があるかどうか見るぞ。俺が実力あるって判断したら連れて行くってことでいいな?」

恒一「それでいいよ」

勅使河原「夏休み前、教室で赤沢達が演劇部の夏の練習について話してたから、部活が終わる時間はこの時間で合ってるはず」

恒一「ストーカーみたいなことするなよ」

勅使河原「いやいやいや俺は断じてそんなつもりで聞いたわけじゃ———ほらっあっちから来たぜ!」



綾野「———でさー」

小椋「よかったじゃん————」

綾野「でも———」

恒一「綾野さん、小椋さん」

綾野「おおっ、こういっちゃんとてっしーじゃん」

小椋「帰宅部のエースが何しに来たの?」

勅使河原「ちょっと望月と待ち合わせをしててな」

小椋「夏休みに?」

恒一「まあいろいろあってね。ちょっと小椋さんにも用があったし」

小椋「私に?」

恒一「見崎がやたら小椋さんの事を褒めてたから、一度戦ってみたいと思ってたんだ」

恒一「望月と待ち合わせしてるけど、その間に小椋さんを探してたんだよ」

綾野(ほうほう……これは由美、チャンス到来だよ)

小椋(何がよ!?)

綾野(だって夏休みにわざわざ学校来て由美を探してるってことは、つまりそういうことだって)

小椋(まっまさか、榊原君が?でも榊原君は見崎さんと付き合ってるんじゃ……)

綾野「こういっちゃん、由美は一緒に来られないから私がついてきていい?」

小椋「ちょっ彩!」

綾野「私あれから強くなったんだし、私もこういっちゃんと戦いたいなって思ってたの」

恒一「小椋さん、綾野さんと先に対戦してもいい?」

小椋「なんで私の許可がいるのよ……いいけど、次は私と対戦ね」

恒一「わかった」

綾野「じゃあ、また通信ケーブルを引いてっと」



勅使河原(なんとなくだけどサカキ爆発しろと言いたくなってきた)

小椋「勅使河原、ゲームボーイ出して。対戦よ」

勅使河原「えっ俺とやんの?!」

小椋「うるさい肩慣らしよ、勝負!」

勅使河原「ちょ————っ!」



ポケモントレーナーの あやが しょうぶを しかけてきた!

ポケモントレーナーの あやは サワムラーを くりだした!


恒一「やっぱりサワムラーは使ってくるんだ」

綾野「一度や二度の敗北でサワムラーを活躍させるって私の野望は止められないよ!」

恒一「じゃあ仕方ないな」



ポケモントレーナーの こういちは フーディンを くりだした!



恒一「速攻で落とさせてもらう」


つうしんたいきちゅう・・・・・・・



もどれ、サワムラー!

ゆけっ、ナッシー!


あいての フーディンの でんじは!

ナッシーは からだが しびれて わざが でにくくなった!



つうしんたいきちゅう……


ポケモントレーナーの こういちは フーディンを ひっこめた!

ゆけっ、フリーザー!


綾野(しびれたナッシーをふぶきで突破しようって魂胆か。フリーザーに換えたってことはこっちが爆発するのも織り込み済みね)

綾野(まあ、私の打てる一手はこれしかないし)


ナッシーの しびれごな!

あいての フリーザーは からだが しびれて わざが でにくくなった!


つうしんたいきちゅう・・・・・・




恒一(ふうん、これは全員状態異常にしてサワムラーが活躍できるような場を整えるつもりなのかな)

恒一(と、なるとフーディンはしばらく温存。おそらくフーディン受けのつもりで出したナッシーはここで倒すしかない)

恒一(相手は交換か?いやフリーザーの吹雪でナッシー確2だから一発耐えて大爆発だってありえなくない。先手もとれるし)


あいての フリーザーは からだが しびれて うごけない!


綾野「よっしゃ!」


ナッシーの サイコキネシス!

きゅうしょに あたった!


恒一「くっ」

恒一(居座ってきたか。しかし急所、サイコキネシスは後一発は耐えられるけど爆発なら相打ち)

恒一(相打ちなら仕方ないか)



つうしんたいきちゅう……


フリーザーの ふぶき! こうかはばつぐんだ!

ナッシーの だいばくはつ!


フリーザーは たおれた!

ナッシーは たおれた!


恒一(サワムラーを活躍させるために他を状態以上にするパーティ構成。エース理論に近いのかも)

恒一(なら、次に出してくるのも同じ役割を持ったポケモン。ナッシーがやられたときのための高耐久または高速のポケモン)

恒一(おそらくゲンガー!)


ポケモントレーナーの あやは ゲンガーを くりだした!


恒一(やはり)

綾野(こういっちゃんはフーディンを持っている。ここでフーディンが来たらどうしよう)

綾野(ええい落ち着け綾野彩!サワムラーはフーディンのサイキネを耐えられるように育てたし、何よりここで倒しておけばいい!


ポケモントレーナーの こういちは フーディンを くりだした!


綾野(どうしようか)

綾野(リフレクターを張るか、ゲンガーのだいばくはつを耐えられると踏んでの交代やってくるかな)

綾野(ゲンガーはフーディンのサイキネぐらい耐えられるし、ここは催眠を撃つしかないよね。でもこういっちゃんなら読んでくるよねきっと)


あいての フーディンの サイコキネシス!

こうかはばつぐんだ!


ゲンガーの さいみんじゅつ!

あいての フーディンは ねむってしまった!


綾野(居座りか……これで1ターンは稼げた)


あいての フーディンは ねむっている!


ゲンガーの ゆめくい!

こうかはいまひとつのようだ……

ゲンガーの たいりょくが かいふくした!



つうしんたいきちゅう……


あいての フーディンは めをさました!

ゲンガーの さいみんじゅつ!

あいての フーディンは ねむってしまった!


綾野(ヤマが当たった!)

恒一(まずい、ハマってしまった。これ以上はまずい、交代しよう)

恒一(フーディンが眠った以上、もう綾野さんはさいみんじゅつを撃てない。大爆発を持ってると考えると実質技スペはひとつだけ)

恒一(したでなめるでありますように!)


もどれ、フーディン!

たのだぞ、カビゴン!


つうしんたいきちゅう……


ポケモントレーナーの あやは ゲンガーを ひっこめた!

ポケモントレーナーの あやは サワムラーを くりだした!



恒一「……来たか」

綾野「リベンジね、こういっちゃん」



サワムラーの とびひざげり!

こうかは ばつぐんだ!

あいての カビゴンの はかいこうせん!

サワムラーは たおれた!



綾野「サワムラーが!」

綾野「またちっとも活躍できずにやられちゃった……」

恒一「うーん。相手を状態異常にさせてサワムラーで攻めるっていうのはよかったけど、悪いけどやっぱりサワムラーじゃ力が足りないよ」

綾野「———ポケスペのシバみたいに使いたかったのになあ」

綾野「でも勝負はまだまだ!」


ゆけっ、ゲンガー!


ゲンガーの サイコキネシス!

カビゴンの とくしゅのうりょくが さがった!


カビゴンの じしん!

こうかはばつぐんだ!


綾野「よっしゃあギリ耐えたあっ!」


ゲンガーの サイコキネシス!

カビゴンは たおれた!


つうしんたいきちゅう・・・・・・

ポケモントレーナーの こういちは フーディンを くりだした!


つうしんたいきちゅう・・・・・・・


あいての フーディンは ぐうぐう ねむっている。

ゲンガーの サイコキネシス!

こうかはいまひとつのようだ……

フーディンの とくしゅのうりょくが さがった!


綾野「まだまだあっ!」


あいての フーディンは ぐうぐう ねむっている!

ゲンガーの ゆめくい!

きゅうしょに あたった! こうかはいまひとつのようだ……


恒一(まずい、このまま起きなかったら負ける!)


フーディンは めをさました!

あいての ゲンガーの ゆめくい!

しかし うまくきまらなかった……


恒一「今だ!」


フーディンの サイコキネシス!

こうかは ばつぐんだ!

あいての ゲンガーの あやしいひかり!

フーディンは こんらんした!


恒一(大爆発じゃなかったか)


フーディンは わけもわからず じぶんで じぶんを こうげきした!

あいての ゲンガーの さいみんじゅつ!

フーディンは ねむってしまった!


フーディンは ぐうぐう ねむっている!

あいての ゲンガーの ゆめくい!

こうかはいまひとつのようだ・・・・・・


フーディンは ぐうぐう ねむっている!

あいての ゲンガーの サイコキネシス!

こうかはいまひとつのようだ・・・・・・

きゅうしょに あたった! フーディンは たおれた!



ポケモントレーナーの こういちに かった!



綾野「……勝った」



綾野「いやったあああああああああああああ!」

綾野「由美由美!こういっちゃんに勝ったよ!」

小椋「見てた。おめでとう」

綾野「どう?こういっちゃん!私強くなったでしょ!」

恒一「見てて驚いたよ。強くなったね」

恒一「小椋さんはどのあたりから見てたの?」

小椋「フリーザーが麻痺したあたりから」

恒一「えっじゃあ勅使河原は」


てっしー「」


恒一「瞬殺にもほどがあるだろ……」

勅使河原「なあサカキ、俺ってそこまで弱いのか……」

恒一・綾乃・小椋「「「何を今更」」」

勅使河原「ひっ、ひでえ」

小椋「それはそうと彩の戦い方は危なっかしいよ。かなり運ゲーな感じだったじゃん」

小椋「まず催眠術に頼りすぎ。いくらゲンガーが早くても催眠術の命中率は60とかみなりより低いんだから。フーディンがねぼすけだったおかげで勝てたようなモノよ」

小椋「それにまひや技の追加効果が数回出たり。次はこううまくいかないわよ」

綾野「もー由美ったら。運も実力のうちっていうじゃない?」

小椋「そりゃそうだけど」

綾野「さ、ということだからこういっちゃんと由美も戦って戦って!」

小椋「連戦できる?榊原君」

恒一「いいよ。まだ時間あるし」



綾野さん、復活した勅使河原が見守る中、僕と小椋さんの対戦がはじまった。



勅使河原「気を付けろよサカキ、こいつえげつねえ戦いかたをしてくるぞ」

小椋「外野は口出さない!あっち行った」

恒一「勅使河原は黙ってて」

勅使河原「俺の扱いが……」



ポケモントレーナーの ゆみは マルマインを くりだした!


恒一(初手マルマインに対して僕はダグトリオ)

恒一(理想個体なら耐えられるとはいえさすがに交代だよね)


ポケモントレーナーの ゆみは マルマインを ひっこめた!

ポケモントレーナーの ゆみは カビゴンを くりだした!

ダグトリオの じしん!


つうしんたいきちゅう……


ダグトリオの みがわり!

じぶんの たいりょくを けずって ぶんしんを つくりだした!


あいての カビゴンの ドわすれ!

あいての カビゴンの とくしゅのうりょくが ぐーんと あがった!


恒一(交換してくると読んだのか。しかし度忘れをやられた以上特殊火力でカビゴンは倒せなくなった)

恒一(特殊二段階上昇のカビゴンの特殊だと冷凍ビームでもかなりの火力になる)

恒一(ダグトリオだけで……じしんがあまり刺さってない。乱数4発で倒せるかどうかだとじしんでカビゴンを倒す前にこっちがみがわりを破られて負けてしまう)

恒一(積んでみるか)


ダグトリオの かげぶんしん!

ダグトリオの かいひりつが あがった!)

あいての カビゴンの のしかかり!

ダグトリオの みがわりは きえてしまった……


つうしんたいきちゅう……


もどれ、ダグトリオ!

いけっ、カビゴン!

あいての カビゴンの ふぶき!



恒一(ここはもう仕方ない、マルマインを警戒してダグトリオを下げる。カビゴン同士での殴り合いだ)



つうしんたいきちゅう……


あいての カビゴンの じばく!

カビゴンは たおれた!

あいての カビゴンは たおれた!


恒一(なぜ?HPはあっちの方が上のはず、今見た感じだとすばやさもあちらが上、ふぶき撃つなり物理技で戦うなり殴り勝てることはできたはず)



ポケモントレーナーの ゆみは マルマインを くりだした!

ゆけっ、スターミー!


恒一(こっちも交換だ)


もどれ、スターミー! たのむぞ、ダグトリオ!


あいての マルマインの だいばくはつ!

あいての マルマインは たおれた!

ダグトリオは たおれた!


恒一(最初から爆発させるつもりで!じゃあ残るは)


ポケモントレーナーの ゆみは サンダースを くりだした!


恒一(電気タイプが二匹!?一体どういう意図が)

恒一(僕の残りの一匹がサンダースに相性の悪いポケモンだったらどうするつもりだったんだ)


ゆけっ、スターミー!


つうしんたいきちゅう・・・・・・・


サンダースの 10まんボルト!

こうかは ばつぐんだ!

スターミーの ハイドロポンプ!



つうしんたいきちゅう・・・・・・・


つぎの ポケモンを えらんで ください



恒一(まさか)

恒一(一番手と二番手は最初から爆発させるつもりだったのか)

恒一(ポケモンバトル、三対三のバトルでは、最初の一匹をどれだけ余裕をもって倒せるかで状況が大いに変わる)

恒一(小椋さんの戦法は)

恒一(初手マルマインにして、相手の初手が電気、水だったらひっこめる確率が高い)

恒一(それによってノーマル、地面複合タイプか電気半減タイプが呼ばれる)

恒一(逆にマルマインに不利なタイプが出てきたら即カビゴンに交代。今回だと僕がダグを出してきたから交代してきたとみて間違いない)

恒一(カビゴンがマルマインに不利な奴を処理した後、次に出してくるのがどのタイプでも)

恒一(一撃受けれるだけのHPがあれば一撃受けて自爆退場→マルマインの10まんボルトor大爆発でまず確実に倒せる)

恒一(カビゴンが自爆したのはこの流れを確実なものとするためか…?)

恒一(その流れだと、自爆後にマルマインを出して相手が水タイプだと、相手は10まんを警戒して交換してくる)

恒一(マルマインに抜群を取れるポケモンはカビゴンが潰しているはずだからマルマインは10まんでも大爆発でも好きな方を撃てる)

恒一(今のように、ダグトリオが相手ならすぐ爆発してきたようにね)

恒一(で、電気タイプに刺さる技を持たないポケモンは電気タイプの技が刺さるポケモンが比較的多い。つまり最後のポケモンは水になる確率が上がる)

恒一(そこでサンダースを投入)

恒一(このサンダースがはかいこうせんを覚えているなら、カビゴンとマルマインで処理できなかった、だけどダメージの大きい相手はゴローニャ以外ほぼ処理可能)

恒一(技によっては後続が電気タイプだとしても処理が可能だ)

恒一(三対三で地面タイプとナッシーを投入することはふぶき縛りがあるとはいえそれでもふぶきゲーになりがちな環境では可能性としては低い)

恒一(しかし爆発パーティか……単純だけど、強力だった)


恒一(小椋さん、こっちのほうがよっぽどリスキーで運ゲーだよ)


あいての マルマインの 10まんボルト!

スターミーは たおれた!



たいせんがしゅうりょうしました



恒一「見崎に聞いたとおりだ。強い」

勅使河原「ホントに強かったぜ。俺のパーティも全員まとめて爆破されたぜ」

恒一「瞬殺だったのはそういうわけか」

小椋「この程度だとまだまだね、榊原君」

恒一「でも本当に強かったよ。小椋さんなんか慣れてない?」

小椋「ああ、うちの兄貴がね、その、強くてさ。兄貴に勝ちたいなって思って」

恒一「お兄さんもポケモンを?」

小椋「強いよ、兄貴は。今まで何度も対戦したけど2、3回ぐらいしか勝てたことないし」

小椋「ってか榊原君との戦いでやった戦法ももともとは兄貴のものだったし」

恒一「あの爆発パーティが?」

小椋「単純だけど意外と強力だったでしょ。フルバトルだったらもっとすごいわよ」

恒一「予想できるよ」

小椋「見崎さんが夜見北三年三組最強なら、兄貴ならたぶん夜見山最強なんじゃない? 見崎さんが私の実力を自分と同等って言うならそういうことになるわね」

恒一「お兄さんは見崎より強いのか……ありがとう小椋さん対戦してくれて。これで小椋さんの実力はわかったってわけだ」ガシッ

小椋「えっ」

恒一「綾野さんちょっと小椋さん借りてっていい?」

綾野「えっ」

恒一「そのうち綾野さんの力も借りることになるから協力してね。あ、あと今日勉強見に来ていいかな?」

綾野「えっいいよ!」

恒一「じゃあ小椋さん借りるね」

綾野「どうぞどうそこういっちゃんなら由美をいくらでも貸してあげるよ。でも傷物にしちゃだめだよ」

小椋「えっちょっと待っ」ヒョイッ

恒一「じゃあまた!」ピュー

勅使河原「じゃ、じゃあまたな綾野!」ダッ

小椋「たすけて彩———!!」

彩「あーっ!榊原君にお姫様だっこなんて由美ずるーい私もだっこされたーい!」



彩「……こういっちゃんが家に来たら頼んでみよ///」



小椋「ちょっと榊原君おろして!」バタバタ

恒一「うわっあぶないよ小椋さん制服が乱れる!」

小椋「えっわっきゃっ////」

小椋「……見えた?」

恒一「見えてない見えてない(の、ノーブラっ…!マジかよ中3でノーブラっ…!)」

小椋「本当に?」

恒一「本当に本当(あとちょっとでB地区見えそうだったのに……)」

勅使河原「でもパンツは白だったぜ」ボソッ

恒一(ナイス勅使河原)

小椋「勅使河原ああああああああ!!」バッ

勅使河原「うおおおおごめんごめん小椋俺は何も見てねえ!おまえがまさかこの年になって白のくまさんパンツはいてるなんて俺は」

小椋「こんのおおおおおおおおおおおおおおおお榊原君は私の胸(がないこと)のことに触れなかったのにあんたってやつはあああああ!」

勅使河原「うああああああああああああああああ」

恒一(小椋さん完全に子供じゃないか)

鳴「何を騒いでいるの?」

恒一「ああ、勅使河原が小椋さんにセクハラを…」

恒一「って見崎!?どうしてこんなところに!」

鳴「家にいても仕方ないし、学校来て絵をかいてたの。そしたら榊原君が小椋さんをお姫様抱っこしているのが見えて」

恒一「あ、あはは……」

鳴「で、どうして榊原君は夏休みの学校で、しかも人気のない旧校舎でどうして小椋さんをお姫様抱っこしてたの?」

恒一「それはその」

勅使河原「サカキが小椋を無理やり連れ去ってって痛い痛いやめてくれ小椋そこは急所っ!」ボコボコ

鳴「勅使河原君と一緒に、小椋さんに何をしようとしていたの」

鳴「まさかいやらしいことじゃないよね?」ワタシトイウモノガイナガラ

恒一「」

鳴「洗いざらい白状してもらうからね、さ・か・き・ば・ら・くん」

小椋「この変態変態変態くたばれくたばれくたばれくたばれ!!」ゲシゲシゲシゲシズドドドド

勅使河原「ぎゃああああああ」ボコボコボコボコ


もっちー「」


望月「何この状況」


————————————————————————————————————————————



望月「何も見なかったことにして帰ろうかと思ったよ」

恒一「ごめん」

小椋「勅使河原、あんた私の半径100m以内に近づかないで」

勅使河原「俺どうしろっていうんだよ?」

鳴「榊原君には後できっちり話を聞くとして」

鳴「着いたよ。ここが、旧三年三組」

はーいこの時間はここまででーす

次々回から合宿篇に入りまーす

さて前回はまったく話が進んでなかったので今回は進めまーす
けってーい

読んでくれてる方ありがとうございます合宿篇は今夜投下予定ですでは投下

旧三年三組の教室



ロッカー「くぱあ」ガチャッ

ロッカー「こ、こーいちくんが私のナカをいじって…やぁっ///」ベリベリ


恒一「みんなちょっと見てくれ」スッ

勅使河原「『これからものすごい強いゲームデータが現れて受験勉強をめちゃくちゃにされるかもしれない後輩たちへ』」

恒一「これだろうね」

小椋「これ?古くない?」

恒一「これだ、間違いない」

望月「放送室にいこう、再生できる機械があるかも」



放送室

小椋「ねえ見崎さん、そのテープって」

鳴「このテープに録音されているのは、15年前に松永って人が残したヨミヤマミサキについてのテープなの」

小椋「何それ」

鳴「さっき榊原君が説明してたけど、15年前の災厄を止めた人が残したみたいなの」

鳴「この現象を止めるためには、きっと小椋さんの力が必要になる」

小椋「なんだかよくわからないけど」

小椋「榊原君があんな形で連れてきたってことは、私に聴いてってことだし」

望月「再生するよ」




松永『あー、俺の名前は松永。



松永『もしこれから三年三組に、おそろしい災厄がふりかかるかもしれない。

 夜見山で、ゲームがはやりだしたら気を付けてくれ。ヨミヤマミサキはそのゲームの中に現れる……っても、

 このテープを聞いている人はそれぐらい知っててこのテープを聞いてるんだよな』


松永『じゃあ、余計な説明はナシだ』

松永『俺がこのテープを残そうと思った理由は三つある。現在起きている現象、ヨミヤマミサキの無双を止める方法。

 夜見山岬が最強と呼ばれていた最大の理由について、そしてもうひとつは、なぜこれをこんな形で残すことになったのか話そうと思う』



松永『その前に、俺達の代までやってた対策について話そうと思う』

松永『ヨミヤマミサキの性質から、ゲームに触れないことが確かに一番の対策になる』

松永『でも、奴が現れるゲームは、いつも不自然なまでの流行を見せるんだ』

松永『このゲームをやらざるを得ない、という空気。それを夜見山に充満させているような』

松永「人間ってもんはどうしても流行のものに乗っかりたいとするもんだから』

松永『というわけで、その空気にやられてみんな受験の時期でもゲームを取る』


恒一「なるほど、そういう……だから病院でも流行ってたわけか」


松永『で、俺達の代までやってた対策なんだが…』

松永『ひとつ。奴が出現したゲームを物理的に隔離して封印する。これはだめだった。奴は自分と戦う意思がないと判断した相手とは戦わない』

松永『すると奴は自分を閉じ込めたゲームのデータを消去して、また前触れもなく誰かがプレイするゲーム内に出現する。つまり現象は続くわけだ』

松永『ふたつ。完全無視。これも効果はなかった。奴がゲームに出ても無視すると、どうやら夢の中に連日現れて』

松永『延々とゲーム音楽を流し続けるらしい』

松永『それに嫌気がさして戦わないといけなくなる、っていう羽目になったらしい』

松永『さて、それらを総合して、現象を止める方法』


松永『まず現在起きている———ヨミヤマミサキ無双と俺は勝手に呼称するが———その止め方』

松永『これはみんな一度は考えたはずだ。ヨミヤマミサキに勝てば現象は止まる』

松永『ヨミヤマミサキに勝った俺が言っているんだ、間違いない』


小椋「この人ヨミヤマミサキに勝っていたの?」

望月「人は見かけによらないね」

小椋「続き聞くわよ。たぶん次が大事なんでしょう」


松永『それで、だ。俺達もそう思って、夏休みを利用して二泊三日のゲーム強化合宿をすることにしたんだ』

松永『みんなで実力をつけて、ヨミヤマミサキを倒そうって』

松永『それに合宿所には勝負運を上げるご利益があるっていう神社があるんだと。そこでお参りすれば必ず勝てるって先生が……』

松永『でも、そううまくはいかなかった』

松永『お参りを終えて、合宿所に戻って、早速だった。ヨミヤマミサキが現れた』

松永『最初の犠牲者は、浜口ってやつだった。あいつ馬鹿でさ、ヨミヤマミサキが出てきても絶対に勝てるとフカシまくって』

松永『用意周到に自分専用のハードを用意してたけど、三分と持たず負けやがった』

松永『次に犠牲になったのが、星川っていう女子生徒だ』

松永『どうやら星川と浜口は付き合っていたようで、浜口の仇を取るって言ってヨミヤマミサキに挑んだんだ』

松永『結果は言わずもがな』

松永『まあつまるところ、お参りなんて何の意味もなかった。だから俺達はクラス全員でヨミヤマミサキに勝つための方法を話し合った』




松永『まあ、話し合ったからってそう簡単に勝てる方法が見つかるわけがないんだが』

松永『どのような話し合いが行われたかはあとで話すとして、今はまず現象の対処だ』

松永『ヨミヤマミサキに勝つ方法をこれから話す。まず、ヨミヤマミサキの戦い方についてだ。これはおそらく毎年ゲームの環境に合わせて変化していくと思う』

松永『だからある一定のゲームに対しての対策って言うのははっきり言って、無い』

松永『ゲームの数だけ攻略法があるからな———それをあっさりと発見してあっさりと改良するのが奴だ。しかし、俺はある時あることに気づいた』
 
松永『千曳先生という学校の司書がいるんだが、ヨミヤマミサキは生前インベータ—ゲームで名古屋撃ちをしのぐ攻略法を見つけていたらしい』

松永『それが「夜見山砲」』


小椋「あの人15年前も司書やってたんだ」

鳴「榊原君、聞いた?」

恒一「うん。『夜見山砲』が、こんなところで出てくるなんて」


松永『インベータ—ゲームの名古屋とはシステムのバグを利用した方法で、千曳先生が考案した新名古屋はそのバグをさらに活用するというものだった。が、『夜見山砲』は違う』

松永『バグなんか一切使わない方法だ』

松永『インベータ—ゲームは詳しいことは分からないが、名古屋撃ちがシステムのバグによる内部操作的攻略だとすれば、夜見山砲は純粋に力技———』

松永『どのゲームにもコンボってのがあるだろう。夜見山岬は的確な予測の下、状況に最も適したコンボを展開する』

松永『そう、その、バグを使わない単純な技術で名古屋撃ちと同等以上の効果を出す———それが、俺なりに発見した『夜見山砲』の正体だ』

松永『だけど、俺が思う奴のもっとも恐ろしいところはその技術よりも、こちらの手を十手先も読んでいるような先読みの力だ』

松永『こっちが何か仕掛けをしようとすると、仕掛けの準備の時点で勘付いて潰しに来る。なんとか気づかれずに仕掛けを発動させても』

松永『それがもたらす効果を読み切った上で次の手を打ってくる。それがまた的確なんだ』


松永『夜見山砲についてわかったのはこの四つ。

 ひとつ、夜見山砲はゲームのルールを順守しており決してバグによって引き起こされる技ではないこと。

 ふたつ、ゲーム中にヨミヤマミサキと戦っている時、その夜見山砲と思われる攻撃をしてくるタイミングが三回あるということ。

 みっつ、夜見山砲をしのぐには、複数のプレーヤーの力が必要なこと。

 よっつ、これが一番重要なんだが———奴はこっちの手を完全に読み切った攻撃を行い、こちらに大ダメージを与えるだけでなく精神的な余裕まで潰す。

 一番決められたくないコンボを決められたくない状況で出してくるんだ、たまったもんじゃねえ』


松永『ふたつめで言ったが、この夜見山砲を撃ってくるタイミングについてここで言おう。

 最初の相対、自分が最も有利な状況に立った時、こちらとあちらの状況がほぼ互角で終盤戦に突入してあと一押しってところまで追い込んだ時。まあ、ほぼこのパターンだ。

 長くなったが、夜見山砲をしのぐ方法———複数のプレーヤーの力が必要なことについて。

 実は、俺は俺だけでヨミヤマミサキに勝利していない。何人かの協力を得てようやく倒すことができたんだ。

 その時の協力者はビービービーの三人だ。

 俺はこの三人の中で最も強力なデータを選択し、三人で知恵を出し合って奴を倒した。

 いいか?現象を止める———ヨミヤマミサキに勝つ方法、それは知恵比べだ。夜見山砲は奴の驚異的な読みによって絶大な威力を発揮する。ということは

 こちらがその読みを上回れば夜見山砲の被害を抑えることも、回避することも、逆に利用することもできる。

 それでは、このテープを聞いている後輩たちへ』


松永『健闘を祈る』




恒一「……」


松永『B面に続く』

恒一「おい」



カツンカツン


勅使河原「やべっ誰か来る!」

望月「隠れよう」ガサガサ

小椋「テープはどうすんの!?」ガサガサ

勅使河原「とりあえず隠す!」ガサガサ



ガチャ


先生「なんだ誰もいないか」ガチャ


勅使河原「……」ホッ

望月「……」ホッ

鳴・榊原・小椋「(なんだこの状況)」ギュウギュウ



鳴「……」

恒一「行ったみたいだね」

小椋「みたいね、ねえ榊原君どいて///」


現在の状況→放送テーブルの狭いスペースに鳴ちゃんと恒一と小椋さんが入り込んで、恒一の体が小椋さんに押し付けられている状態


恒一「ごめん小椋さん!」

恒一「やばい身動き取れない」ギシッ

小椋「どうすんのよ!」

鳴「ふんっ」ベリベリバキッ

恒一「痛い痛い!もっちょっと優しく引き離してよ」

鳴「ふん」プイッ

小椋「くっ苦しかった〜(これじゃ彩に申し訳がたたないよ///)」



望月「榊原君ってさ、なかなかに流石だよね」

勅使河原「さっきといい今といい一瞬廃人になっちまえって思っちまったよ」




小椋「勅使河原、それ」

テープ「てしがわらにわたしの身体がいじられちゃったぁ……」グチャグチャ

勅使河原「ちょっやばっ早く何とかしないと!」グチャグチャ

テープ「そっ、それ以上やると……あぁんイっちゃう!」ブチッ

望月・小椋「」

鳴「馬鹿ね」

勅使河原「」

勅使河原「どーすんだよこれ!」

望月「直せばまだ聴けるかも」

勅使河原「頼む望月!」

望月「出来る限りのことはしてみるよ」

望月「この程度の破損ならすぐ治せるけど、ちょっと音は飛ぶかもしれないけど」

望月「それよりこのグチャグチャ具合を戻すのが大変そうだ」



小椋「それで、どうするの?」

恒一「僕たちも合宿をやるべきだと思う」

恒一「ここにきてわかったことがある。三年三組はポケモンをやらせたらたぶん全員全国的に見ても強い方だ」

勅使河原「俺もか!?」

恒一「三値がどういうもので、どのポケモンが環境のトップにいて、ダメージ計算もできて、ポケモンの育成にも力を入れている勅使河原が弱いとは言えないよ」

恒一「比べる対象がクラスのみんななだけで、三年三組以外の人と戦って負けたことはある?」

勅使河原「そういやないな」

恒一「ゲームの実力の水準が非常に高いこのクラスなら、合宿して力をつける意義はあると思う」

恒一「最終的に勝てばいいんだから」

恒一「現象が止まればきっと桜木さん達のように廃人になった人も元通りになる。久保寺先生もきっと帰って来るさ」

小椋「そううまくいくかしら」

恒一「松永さんは言っていた。『複数のプレーヤーで夜見山砲をしのげ』って。その複数は多い方がいい」

望月「……確かにここいるのはクラス最強の三人だけど」

望月「だからって僕たちが君たちにヨミヤマミサキと戦ってくれって押し付けるわけにもいかないからね」

勅使河原「決まりだな」

望月「僕が先生たちに取り計らってみるよ。15年前のことだから三神先生も千曳先生も協力してくれるはずだし」

恒一「見崎もそれでいい?」

鳴「構わない」

鳴「望月君、そのテープは合宿の時に持ってきて」

望月「そうしようか」

恒一「あと、このテープの存在はみんなには言わない」

恒一「どうしてこれを回りくどい形で残すことになったのか、その経緯をまだ聴いてないからね」




こうして僕たち五人は合宿のために動き出した。勅使河原と望月は怜子さんと千曳先生に合宿の事を進言、小椋さんと見崎は少しでも実力をつけるべく

全国各地の強者がどのような戦術を用いているかを調べ、僕は26年前の写真の捜索とみんなの手伝いを担当することになった。



その傍ら———



恒一「だからここはこの公式を使って、ここの図形を計算すれば……」

綾野「おっできた!こういっちゃん頭いー!」

恒一「綾野さん、これぐらいできないと高校受からないよ」

綾野「またこういっちゃんはプレッシャーかけてきて……ま、いっか(こういっちゃんと一緒に勉強できてるし///)」

恒一「少し休もうか」

綾野「じゃあポケモンやっていい!?」

恒一「だめ。やりたいのはわかるけど、受験生にとって夏休みは大事な時期なんだから。僕がいるうちはポケモン禁止」

綾野「はぁーい……」



僕は綾野さんをはじめ、成績の怪しいクラスメイトの勉強を看ている。


そんな中だった。




綾野「ふぅ」

綾野「こういっちゃんはスパルタだなあ」

綾野「だけどなんだか頭がよくなった気がする。こういっちゃんのおかげで」

綾野「お姫様抱っこもしてくれたし///」

綾野「っさて、気分もいいし、いっちょ気分転換にポケモンやるか!」

綾野「ふっふーん、こういっちゃんは知らないだろうけど、サワムラーを使う前にはこの子を使ってたんだよね〜」

綾野「私もこうっちゃんと同じく実はカビゴンを使うんだから」

綾野「よっし、じゃあこの子でパーティを……」



デン デン デン デーレー デデ デデ デデ デデ テー



綾野「え?」



デデ デデ デデ デデテー デデ デデ デデ デデ テー


綾野「そんな———うそ、どうして!?」



デデテー デデテー デデテー デーレー デデテー デデテー デデテー デーレー
 


ポケモンマスターの ヨミヤマミサキが


しょうぶを しかけてきた!



デデテー デデテー デデテー デーレー デデテー デデテー デデテー デデレー デー レー レー


綾野「……なんで?」



綾野「私まだガチパなんて揃えてな…」

綾野「…っ!」

綾野「どういうこと、ボックスに置いてたはずのポケモンが———手持ちに入ってる!」

綾野「———なんで?」

綾野「なんで、よりによって、今なの————!」


デーレー デレレー レー レー レー レーーレーー デデテー デデテー

デーレー デレレー レー レー レー レーーレーー デデテー デデテー



ポケモンマスターの ヨミヤマミサキは サンダースを くりだした!


ゆけっ、ケンタロス!


ダダッ ダッ タッ タッ ダッ タダーン

ダダッ ダッ タッ タッ ダッ タダーン

ダーン ダーン ダーン ダーン ダーン ……



綾野「なんのつもりかは知らないけど」

綾野「今の私なら、こういっちゃんを倒せるぐらい力を付けた私なら、運が向いた私なら!」

綾野「ヨミヤマミサキ————勝負ッ!!」


チャーラーラーラーラ チャララララーラ

チャーラーラーラ チャララララーラ

ダーン ダーン ダーン ダーン …


7分後。

ケンタロスは たおれた!


綾野「そっ、そんなっ……!でもまだ3対5!次の一撃であっちのケンタロスも倒せる!」

綾野「負けるもんかああああああ!」


ダダター ダダター ダダター ダー ダー

ダダター ダダター ダダター ダー ダー


デーレーレーレーーデーレーレーレーー


デーレー デレレー レー レー レー レーーレーー デデテー デデテー

デーレー デレレー レー レー レー レレ レーーレーー レーレー



10分後


綾野「はあっ、はあっ……!あと、三匹っ…!」

綾野「私の手持ちはあとゲンガーと秘蔵っ子のカビゴンだけ…!」

綾野「絶対に、倒す」




ダダッ ダッ タッ タッ ダッ タダーン

ダダッ ダッ タッ タッ ダッ タダーン

ダーン ダーン ダーン ダーン ダーン ……



15分後


ラプラスは たおれた!

カビゴンは たおれた!



綾野「……そんな」

綾野「本気で、戦ったのに」

綾野「あと二匹、あと二匹だったのに」

綾野「うそだよね、こーいっちゃん。私が負けるなんてうそだよね、だってわたしは……わたしは……」



あやの まえには たたかえる ポケモンが いない!
あやは めのまえが まっくらに なった!



時が少し流れて


小椋家、小椋敦志の部屋



小椋兄「………………」


小椋「……兄貴」

小椋兄「………これじゃだめだこのままじゃだめだこのパーティじゃだめだ、いや、だめなんかじゃない、俺は俺の出せる最高の戦術で戦略を以て挑んだ」

小椋兄「全国各地のつわものの戦い方を研究したうえでの戦いを戦略を戦法を編み出したんだだけどなんでなんだよどうしてなんだよ何で勝てないんだよ」

小椋兄「そうだ、やつの強さは読みの深さだ、こっちの手を完全に読み切って攻撃してくるその強さがおれにはたりない」

小椋兄「ハロワなんか大学なんか言ってる場合じゃなかった」

小椋兄「もっと修行を積まなければならん、そんなところに行くのは時間の無駄だ」

小椋兄「おれは夜見山最強のいや日本最強のはずなんだ、俺が負けるはずがない」

小椋兄「まけるはずが・・・・・・ない・・・・・・」

小椋兄「これは何かの間違いなんだ、間違いなんだ……」


小椋「兄貴が……負けた……」

小椋「兄貴っ……」


小椋兄「もっと修行が必要だ……俺は日本最強であるべきなんだ……修羅……そうだ修羅の道を歩まねば…」

小椋兄「データ如きに……俺が……最強の俺が……俺が……」





小椋「榊原君、本当に私達は、夜見山岬を倒せるのかな……」




夏休み中だが、三神先生の呼び出しにより三年三組は廃人化した生徒を除いて全員が教室に集められた。

そこで、僕が提案した合宿の参加を呼び掛けた。

合宿をすればヨミヤマミサキの現象が止まった15年前の事例を挙げたものの、ゲームの強化合宿にはさすがにクラスのみんなは戸惑っていた。

高校受験に向けた大事な時期とわかっているクラスメイトももちろんいるので、合宿は途中参加ありの自由参加ということにした。

どれだけの参加があるかわからないが、ただひとつわかっていたことがあった。

この合宿に、綾野さんの参加がありえないことだけは。


この時間はここまでです

松永さんのテープの内容をあまりよく練ってない気がするので突っ込みどころが多いかと思います。

そのうち話の小休止を挟みます




小休止〜夜見山北中学校三年生の授業風景〜


恒一「……は?今なんて」

風見「今日の5時限目はポケモンの講義があるんだよ」

恒一「いやいやいやいや、ちょっと待って。ここ中学だよね、教育機関で間違いないんだよね」

風見「それがどうかしたのか?」

恒一「なんで学校でポケモンの講義なんてのがあるの?」

恒一「ゲームが授業に組み込まれてるなんてそんなのおかしいよ」

風見「ああ———そうだね、榊原君は東京から来たからそういうのになじみがないか」

恒一「なくて当然だよ。てか何をやるんだよそれ」

風見「ポケモンの授業だけど」

恒一「じゃなくて———」

杉浦「受けてみればわかるわ。案外ためになるものよ」

恒一「一体どういう学校なんだよココは……」


※ こういっちゃんはまだ現象の件を説明されていません。




先生「えーみなさんが前の時間に行ったテストを返却したいと思います」

先生「名前を呼ばれた方は解答用紙を取りに来てください」

恒一「望月、問題用紙持ってる?」

望月「持ってるけど……ああそっか榊原君はテスト受けてないもんね。見る?」

恒一「どういう問題なのか興味があってね」

望月「いいよ」ピラッ


恒一(どうせポケモン攻略とか、御三家の覚えられる技とか攻略本見なくてもわかるようなもんだろうな———)ピラッ




[ポケモン対策テスト]


問1・ポケモン育成における三値とは何かすべて答えよ。(順不同)(2点)

問2・タイプ一致の技を使用するとき、その技の威力はタイプ不一致に比べて何倍強いか答えよ。(2点)

問3・攻撃、防御、素早さ、特殊が100を超えていない合計種族値405のポケモンは何か。(3点)

問4・技の追加効果以外で攻撃力を上げる技をひとつ答えよ。(1点)

問5・急所に当りやすい技の威力がのものはきりさくである。正しければ○を、間違いであれば正しい技を回答欄に記入せよ。(2点)

問6・急所率を求める概算の式を記述せよ。また、スターミーとフーディンが持つ技の急所率は何%か。概算で答えよ。(3点)




恒一「」


恒一(嘘だろなんだこれ)

恒一(問1は種族値個体値努力値、問2は1.5倍、確か問3はジュゴンだったような。問4はかくばるやヨガのポーズ、問5はきりさくじゃなくてクラブハンマー……)

恒一(どういうテストだよ、予想をはるかにぶっちぎった難易度じゃないか)

恒一(なんでこのクラスは全国でもまだ浸透してないっつーか完全に隠し要素の筈の三値を全部把握してるんだ)



問19・ポケモンのパーティ構成における『組み合わせ理論』について述べよ。(5点)


問20・以下の条件で、個体値オールDで努力値が全ての能力にほぼ等しく割り振られ、またドわすれを2回積んだヤドランをサンダーの10まんボルトで倒すときの確定数を求めよ。
また、その一撃あたりのヤドランに与えるダメージ量を記入せよ。(4点)
  条件1
サンダーとヤドランのレベルは50とする。
  条件2
サンダーの個体は特殊がFで努力値が振られている。
  条件3
ヤドランの反撃は考慮しないものとする。
  条件4
サンダーの攻撃は急所にあたらないものとする。


問21・フーディンがリフレクターなしでケンタロスの破壊光線を耐えてカウンターを撃つのに必要な個体値の数値と努力値の数値をそれぞれ答えよ。(5点)



恒一(問19、20、21とか作った奴何考えてんだ、パーティ構成における理論って何だよ)

恒一(しかもざっと見た感じ選択問題とかないし)

恒一(完全に廃人仕様だ)


望月「そろそろ返してもらってもいいかな」

恒一「あ、ありがとう」

望月「どうだった?」

恒一「思っていたのとはだいぶ違う内容だった」

望月「こういうのを週に一回だから、正直しんどいかな」

恒一「ついてこれない人とか出るでしょこれ」

望月「うん、だからほら」


先生「勅使河原君」

勅使河原「はい!先生今回おれ点数高いっすよね!?」

先生「26点」

てっしー「」


望月「勅使河原……また前回の平均を下回ってる」

恒一「あれでビリって……ちなみに前回の平均点は?」

望月「58点、勅使河原ももうちょっと頑張らないと」

恒一(普通こんなの分かるわけないだろ。勅使河原が26点で低いって言うけど最低10問は解けているんだぞ、自力で)

望月「で、先月から今までたぶんずっとトップなのが……」


先生「見崎さん、100点」

クラス一同「「おおーっ」」サスガミサキサンネ マカセテモイイカモー コレハフェアダネ ニンゲンジャネェ ドーシテヨー

恒一「」




後でわかったことだが、『つよいもの』決定トーナメント戦の結果とテストの成績はある程度比例するものらしい。

でも何事にも例外はあるようで、たまに多々良さんがトップ5に躍り出たり、高林君が10位以内にいたりと、知識を問われるテストでは順位の変動が激しい。

そんな中で見崎と勅使河原は上下トップをひた走っていたのだった。


後々になって思うことだが、三値の存在を全員知っていたことを含め、この夜見山北三年三組の対戦環境の時代の先取りレベルは異常だったと思う。

しかもこの年に開催された任天堂の公式大会のルールを見るとふぶきの凍結率が三割から一割に減っているあたり

ポケモン発売から一年後にできた夜見山ローカルルールのふぶき縛りは時代を先取りしていたと言えるだろう。

1999年の大会だとポケモンに制限がかかって代わりにペルシアンが大暴れ、そのペルシアンのポテンシャルを買っていた赤沢さんの先見の明もすごかった。


ちなみにこの教科の担任はというと……



三神「というわけなので、榊原君も後でテストを受けてもらいます。いいですね?」



———この人は本当はゲームフリークからの回し者じゃないかとときどき疑ってしまう。

本人曰く、2年前に三年三組の担任を務めた時も同じようにゲーム『ポケットモンスター』にヨミヤマミサキが出現して多くの廃人を輩出してしまったため

その教訓を生かして、ポケモンの隠れ要素という要素をすべて調べつくした執念の結果だという。

ポケモンの爆発的なブームも手伝って僕たちの年までポケモンの流行は続き、こうして今年ポケモンの中に出現したため先生の調査は無駄にならなかったこと、

見崎や小椋さん(とお兄さん)に赤沢さんという強力な実力者がいたことも三年三組の驚異的な廃人度アップの貢献につながっていたのだろう。



恒一「……なんですかこれ」ドサッ

三神「何って、授業のテキストよ」

三神「私———じゃなくて学校が独自に作成したポケモン対戦における基礎知識などの概論を一冊のテキストにしたので」

三神「榊原君もこれを見て勉強してくださいね」

恒一(ぶ厚っ)

※ここからは鳴ちゃんから現象のことを聴いた後です

某日の放課後の教室。


恒一「全ポケモン一覧と出現リストのまとめ、技一覧、タイプ一覧、最短攻略、金策、種族値一覧……」

恒一「高個体値ポケモンの判別方法から育成の仕方まで」

恒一「これだけでもその辺に売られてる攻略本よりはるかに充実してるよこれ」

恒一「さすがにイラストは版権の問題なのか公式イラストは使われてないけど」

恒一「怜子さんが本気出したのか公式イラストと遜色ない出来のイラストに仕上がってる」

恒一「しかもさっきやったテストの内容もちゃんとこのテキストに載ってるし」

恒一「全国の廃人たちがこのテキストの存在を知れば対戦界に革命が起こるかもしれないな」


ガラガラ


多々良「あら、榊原君」

恒一「多々良さん、どうかしたの?」

多々良「うーん、見崎さんたちってよくこんなの覚えきれるなーって思って」

恒一「ゲームやりながらこれを片手に読むだけでも十分に覚えられるはずだよ」

多々良「そう簡単に言わないで」

多々良「私たちもう中学三年で、来年の春には受験なのにこんなことやってていいのかしら…?」

恒一「それが普通だよ。多々良さんは何も間違ってない」

多々良「はぁ……私、今はゲームより勉強して成績上げて、自分の目指す高校に行きたいと思っているけどこのままでいいのかな」

多々良「あんまりポケモンは得意じゃないし、でも現象のこともあるから話題についていけないときがあって」

恒一(ついていかなくていいよ)

多々良「この現象が止まらなかったら、私たちのクラスで高校に行ける人はどのぐらいになるのかな……」

恒一「多々良さんは優しいね、みんなのことを心配して」

多々良「ゲームのし過ぎで大丈夫かな」

恒一「……ゲーム脳って、多々良さんは信じる?」

多々良「ゲーム脳?」

恒一「ゲームばっかりすると頭が悪くなるってあれ。僕は信じていない」

恒一「授業もやって、テストもやってる。その内容はお世辞にも頭を使わないようなものじゃない」

恒一「それに勉強をちゃんとやった後にゲームとかしたら、頭がリラックスした感じにならない?」

多々良「あっそうかも」

恒一「確かにゲームのやりすぎは勉強に支障をきたすけど」

恒一「ゲームと授業のメリハリがきくよう先生も努力してくれているし、三神先生のテキストのおかげで効率的にポケモンの育成もできるし」

恒一「効率的にできたら勉強の時間も取れるし。みんないっしょなら、きっと高校に行けるよ」

恒一「多々良さんの悩みは僕の悩みでもあるんだ、一緒に解決していこう」

多々良「(私の悩みは榊原君の悩みか———///)ありがとう、榊原君」

多々良「さっそくだけど、私にも少しポケモンを教えてくれない?私、弱いから」

恒一「いつでもいいよ」

多々良「あっ、でも、勉強の後で」

恒一「じゃあ僕も勉強の後で」


さて小休止はここまでです。

ここで多々良さんをチョイスしたのは理由があるので後で本編中に説明しようと思います。

リクエストがあればまた平和な授業風景を描こうと思いますでは質問があればまた

すいません今夜深夜に本編(合宿篇)を投下する予定でしたが物語の事情により再び小休止をさせていただきます

引き続きみんなの人気者多々良さんが出てくるのでそれでゆるしてください



小休止 〜多々良さんのお悩み〜


※ まだ綾野さんが廃人化してない時、>>109-110の間の出来事です。



夏休みが始まり、旧校舎から松永さんが残したテープを回収して合宿を行うまでの間の事。僕たち三年三組の生徒は普通に学校に登校していた。

三年三組の時間割は少し変わっている。そう、ポケモンの授業があるという点において、だ。

やはりポケモンを授業の一環に組み込むのは少々強引だったらしく、現象対策の一環としては仕方ないものの

科目ごとの必須時間数の関係もありそのバランス調整のため、どこかでその分をしっかりと勉強時間に充てなくてはならない。

また受験生なので勉強時間を少しでも多く確保するために夏期講習という名の登校期間が設けられた。


そんなある日の教室でのこと。


多々良「榊原君、放課後の予定は?」

恒一「ないけど」

多々良「良かったら私と勝負してくれない?」

恒一「放課後……ああ、そういう。いいよ」

多々良「じゃあ図書室で待ってるね」



赤沢「」ガタッ

鳴「」ジッ

綾野「……」



赤沢・鳴・綾野(((榊原(恒一)君(こーいっちゃん)と図書室で待ち合わせ、だと……)))



放課後の図書室。


恒一「———で、この英文の訳が———」

多々良「あれっ、こう訳すと『いいえ、それはトムのものです』に合わなくなるんじゃない?」

恒一「だからこれでいいんだ。だってその次の英訳が———」

多々良「———この文法をあてはめればいいのね————」

恒一「意味がつながるでしょ?」

多々良「ホントだ、わかった……」

恒一「もう少し進めよう。次はここの並び替えだけど———」



赤沢(恒一君と勉強っ…こんなところに伏兵がいたなんて!)コソコソ

赤沢(私の脅威になるのは見崎さんだけだと思っていたらなんてこと)

鳴(今のところは普通に勉強しているだけ…)コソコソ

鳴(成績の怪しい生徒の勉強をみるって榊原君は言ってたけど)

綾野(たったんはポケモン講義の成績はともかく普通の授業じゃこういっちゃんに勉強を見てもらうほど成績悪くないよね)コソコソ

綾野(こういっちゃんったら私の勉強を見てもらうの忘れちゃったのかな)



辻井・柿沼(何やってんだあの三人)








綾野さん→多々良さんの呼び方って原作アニメ漫画どれにもなかったと思うけど他に定着してるのがあったら教えてくだしあ
もしなんか呼び名があったら恥ずかしくて死んでまう



恒一「———で、全部訳すと————わかった?」

多々良「とてもわかりやすかった……」

恒一「ありがとう」

多々良「東京の学校に通ってたらこれぐらい楽勝になるのかな

恒一「東京の学校って行ってもピンからキリまで、目玉が飛び出そうな天才もいれば目も当てられないような人もいるし」

恒一「でも多々良さん。多々良さんの成績なら僕に教えてもらわなくてもこのぐらいなら少し考えたら解ける問題なんじゃないのこれ」

多々良「どうしてもわからなくって」

恒一「変なところでつまづくんだね」

多々良「それに」

恒一「それに?」

多々良「ちゃんと勉強したあとじゃないと榊原君は……その……私としてくれないと思って」

恒一「そうだね、そうしてくれたほうが頭も体もすっきりしてやれるし」

恒一「そのほうが僕も楽しくやれるよ」

多々良「そうねっ」




赤沢「」ガタッ

鳴「」ガタッ

綾野「」ガタッ


辻井(本当になんなんだこの三人)

柿沼(図書室では静かにしてほしいなあ)



赤沢(今、なんていったあの女ッ…!何を、何をシてって言うのっ……!)

赤沢(恒一君も恒一君よ、頭も体もすっきり!?)

鳴(榊原君…小椋さんの時もそうだったけど今度はつるし上げてでも白状してもらわないと)

鳴(楽しくやれるって)

綾野(えっえっシテってつまりそういう……その前にこうっちゃん私の抱っこが〜!)

綾野(つまり二人は……うっそーそんなぁ〜)



恒一「ねえ。多々良さんは今の僕たちについてどう思う?」

多々良「今の……うーん。もっとしっかりしないと一緒の高校に進みたくても進めないってこともあるかもしれないわね」

恒一「多々良さんもそう思う?」

多々良「思うよ。だってさっきの時間だって私たち、自分のことばっか考えて集中できてなかったじゃない」

恒一「確かにね———。やっぱりやりすぎはよくないよ。体に悪いし」

多々良「布団の中でこっそりやる時あるよね」

恒一「あれはバレそうかどうかってところでスリルがあるね」

多々良「もうっ榊原君、あの行為は体に良くないから駄目だってば」

恒一「そういう多々良さんも」

多々良「……私もそういうスリル好きだけど、布団の中にいてももぞもぞ動くのってすぐわかるから」

多々良「ばれるときは一発でばれるんだから。気を付けないと本当に体を壊すわよ」

恒一「それを言うなら多々良さんだって」


多々良「うふふふ」

恒一「あははは」




赤沢(こっこの二人図書室でなんて会話してるのよ!と、ちょとしつでセッ・・・!)

赤沢(落ちつけ落ち着け赤沢泉美、こういう時こそ対策を考えるのよ)

鳴(……)

綾野(二人とも…ダイタン……)

綾野(布団の中でもぞもぞ行為……やりすぎは、よくない///)



特にないよ アニメでしか出てこないし 
たったん良いと思うよ 綾野さんこういっちゃんみたいにいろんな人に独特な呼び名持ってそう


恒一「じゃああと少しだけ勉強したらしてあげる」

多々良「やったあ」



多々良「やっぱりなんというか、絶対に勝つ、勝つっていう空気があるよ。榊原君にも」

恒一「え、僕?」

多々良「そう。私たちが今直面しているこの問題が深刻なのはわかるけど、それでも私たちは『楽しい』って感じることを」

多々良「榊原君も忘れているんじゃないかって思う時があるの」

多々良「私は榊原君みたいに『勝ってやる』とか『勝つためにはどうすればいいか』なんか考えられないよ」

多々良「もちろん授業は楽しいよ。新鮮だし、わかりやすいし」

多々良「だけどね、私は思うの」

多々良「初めてゲームボーイを触って、ポケモンのソフトを挿して、ポミューンって電子音が聞こえて、ダーン!ってタイトルが出てきた時のあの感動」

多々良「最初にポケモンをやったとき、三値とかそんなの全く考えないで遊んでた」

多々良「頑張ってストーリーを進めていたらすごい強いジムリーダーとかライバルとかが現れてあっさり負けちゃって」

多々良「次は絶対勝つぞーって思ってレベルあげて挑んでまた倒されて」

多々良「それだけでもすごく面白いと思った。何でもないけど、すごいことやったって達成感が気持ちよかった。私はその思いを忘れたくない」

多々良「でも今は、ヨミヤマミサキが表れてからはみんな勝つことばかりにこだわって、その感覚を忘れてるんじゃないかって思う」

恒一「……僕もはじめてポケモンをやったときのことをよく覚えているよ」

恒一「確かしょうもない悪戯心で怜子さんのデータを消しちゃったことがあった」

恒一「怜子さんのデータがまたすごくて。150匹そろっててもうやることないなと思ってデータを消したんだ」

恒一「すると烈火のごとく怒られて、ぜんっぜん口をきいてくれなかったんだよ」

多々良「ふふ、子供ね」

恒一「ほんとにしょうもないことをしたと思うよ。で、それから僕もポケモンを買ってやりはじめて」

恒一「多々良さんと同じように、あれこれ戦ってたくさん負けても、どの戦いも楽しいものだったと思うよ」

恒一「150匹そろえる大変さもわかったから怜子さんの怒りの理由もわかったし」

恒一「多々良さんの言う通りかもしれない」

多々良「ゲームって楽しんだもん勝ちなんじゃないかって、そう思うのよ」

恒一「楽しんだもの勝ち、そうだね。多々良さんはすごいな」

多々良「そうかしら。今までずっとそう考えていたからすごいのかどうかわからないけど」

多々良「ひょっとして今榊原君に勝てばすっごく楽しいことになるかも」

恒一「ストップ」

恒一「次の問題が終わってからね」




赤沢(……最悪の結末はなかったのに何かしらこの妙な敗北感は)

鳴(そんなことだろうと思った)

綾野(二人とも、クラスのこととか考えてたんだ……私も頑張らないと!)


その後、唐突に現れた見崎と綾野さん、そして突然向かいの席に座った赤沢さんを交えた5人で勉強会を開催した。

解散した後多々良さんと戦ってみたが、多々良さんは勝つことよりも自分も相手も楽しいと思えるようなバトルを展開してくれた。



恒一「楽しんだもの勝ち、か……」

>>127
ではそれで行きますが残念ながら綾野さんは廃人化しちゃったんで出るとしたらこの小休止のみの呼び名に…

とりあえず多々良さんメインの小休止はここまでです。書きだめがなかったのでその場で書き上げたものをうpしてしまいました。
書いておきたいことはかけた気がするので良しとしますか。
今度こそ本編を上げます、本日中に

ポケモンしたくなってきたな。
DSしか持ってないけど、おススメあれば教えてください。

>>134
DSあるならどれを手にとっても大丈夫だけどできればマイナーチェンジ版をおすすめしたい
でもゲームボーイカラー以前のソフトはサブウェイやフロンティアみたいなやりこみ要素がないからポケスタと連用しないとクリアしたらすぐ飽きると思われ
個人的には育成的にもやりこみ要素的にも充実していて通信しなくても強力なポケモンが手に入るHGSSかブラック2
ブラック2の摩天楼でHADSがVのようきフカマルが手に入ったときはあまりの運の良さに笑いが止まらんかった

というわけで投下します
二回に分けるって言ったけど一回だけの投稿になりそうなそんな気がします書き貯め的に



かくして僕たち三年三組は二泊三日のポケモン強化合宿を執り行うことになった。


合宿に参加した生徒はそれなりに多いものの、やはり参加しないという人もいた。多々良さんや江藤さんもその一人だ。

合宿に参加しない生徒は僕たちの合宿中にヨミヤマミサキと遭遇しては困るとのことなので、それぞれソフトを三神先生か千曳先生に提出してもらうことで不参加表明の形を取った。


集合写真を撮った後は各自部屋に荷物を置いていき、記念館の中にある講堂で早速ポケモンの講義を行った。講師はもちろん三神先生だ。

しかし今回の講義はいつもの学校でやるような授業とは違っていた。




三神「みなさん、これから用紙を配布しますので、それにこれから自分が編成するパーティを書いてください」



渡された紙に書かれてあったのは以下の通り。

ポケモン名・自身がそのポケモンに求める実数値と技構成。そのパーティはどのような考えのもと構成されたか。というものだ。



三神「知ってのとおり、この合宿は現象———ヨミヤマミサキに対抗するだけの実力をつけるために企画されています」

三神「なので、自分のパーティにどのような穴があるか、運用方法は間違っていないか、つまり弱点を探さなくてはなりません」

三神「このシートを使って自分が作れる最高のパーティを記入したのち、私と対策係の赤沢さん、杉浦さん、風見君の四人と『つよいもの』の見崎さん」

三神「また、オブザーバーとして榊原恒一君を加えた以上六名がみなさんのコーチに付きますので、この六名にシートを見せてください」

三神「記入後、私を含む六名によるパーティ指導を受けた後、ポケモンの育成に取り掛かってください」

三神「私からは以上です」



三神先生の話が終わると、みな一斉にペンを執りシートに記入を始めた。僕と見崎は育成するパーティもほぼ決めていたので何も記入しなかった。

僕を含めた六名がコーチにつくのは合宿のことをクラスで発表したときに取り決められ、全員快諾した。


記入が終わると———



勅使河原「おーいサカキー俺のパーティ見てくれー」

恒一「勅使河原か、早いな。いいよ」

勅使河原「こんなパーティにしようと思うんだけど……」

恒一「どれ……ん?マルマイン、ゴローニャ、ゲンガー、カビゴン、ナッシー、パルシェン……おい勅使河原」

勅使河原「見ての通りだ、前に小椋に瞬殺されたときのパーティから発想を得てこのパーティ構成にしてみたんだが、どうだ?」

恒一「全部考え直せ」

勅使河原「えーなんでだよーサカキだって爆発パの強さは身をもって体験したばっかだろー?」

恒一「これは小椋さんの作戦あっての構成だっつーの。確かに爆発パは強いけど一歩間違えたらただの自爆パだ」

恒一「それに全体的にHPが足りてない。防御特殊の努力値振りが多少おざなりでもHPがあれば一撃耐えて爆発できるのに」

恒一「組むとしても育成のし直しだ」

勅使河原「細かいことは気にすんなよ。俺も弱いまんまはヤなんだよ〜」

恒一「はあ……わかったけど、勅使河原はこのパーティで他に何をしたいの」

勅使河原「とにかく爆発」

恒一「やっぱ却下だ考え直せ」

小椋「そうよ、考え直しなさい。爆発パは私の専売特許なのよ、勅使河原如きが扱えるわけないでしょ」

勅使河原「小椋まで……」

恒一「あのパーティは扱いが難しいからな……ところで勅使河原は好きなポケモンとかいないのか?」

勅使河原「好きな人を聞くようなノリで…まあこれだけポケモンやってりゃあな」

恒一「じゃあそれを中心にパーティを構成してみなよ。ポケモンバトルは複数対複数なんだし、そこまで爆発したいならうまく使えよ」

勅使河原「そっかなるほどさすがサカキだぜ!」

小椋「調子のいい奴……」

勅使河原「なあ、二人ともリザードンってどう思う?」

小椋「翼があるのに飛べない飛行」

恒一「フリーザーとルージュラが狩れないから立ち回りに弱い」

勅使河原「手厳しいなお前ら」

勅使河原「よし決めた、絶対にリザードンを活躍させるパーティにしてやるぜ!」

恒一「だったらまずリザードンの弱点をカバーするためにここは……」




一方


鳴「猿田君、オコリザルを使うならせめてガルーラは抜けてすてみを耐えきる体力がないと」ズバズバ

鳴「辻井君はルージュラの技構成がおかしい。氷技はふぶきだけで十分だしあくまのキッスとしたでなめるは両立する意味があまりないからどちらか削って」ズバズバ

鳴「柿沼さんのパーティだとウツボットは攻撃技を葉っぱカッターに絞って、ヤドランの耐久をもう少し強化して」ズバズバ


杉浦「これは駄目ね、これじゃケンタロスの立ち回りがやりにくくなるからこいつ外して」スパーン

渡辺「はーい……」

杉浦「で、有田さんはルージュラとフリーザーどっちか抜かせるかスターミーに吹雪を覚えさせるかにして」スパーン

有田「ふぶきパって割といいと思うんだけどなー」

杉浦「ローカルルールに吹雪縛りがあるからふぶきパを作る時は気を付けて」スパーン

有田「はぁーい」



その一方


赤沢(何よ何よ何よ何よ)

赤沢(見崎さんだけじゃなくて何いつのまに由美とかも一緒に恒一君と仲良くっ——ちょっと前は多々良さんも恒一君と図書室で勉強してたり)

赤沢(何で私だけいつもハブられてるのよ)

和久井「あのー赤沢さーん」

赤沢「(そうだった今はこっちだった)うん適当でいいわ」

藤巻(完全にやる気ないなこいつ)


一方で


望月「三神先生、僕のパーティを鑑定してください」

三神「バランスもとれて悪くない構成だと思うけど、そのニックネームは何?」

望月「えっとそれはその、なんとなくです!なんとなく」

望月(頭文字を繋げたらミカミレイコだなんて言えない)


もう一方では


風見「……なんで金木さんと松井さんはパーティ構成が全く同じなわけ?」

金木「そりゃもー」

松井「ねぇー」

風見「……二対二でのポケモンバトルの形式があったら君たちはすごく強くなるような気がする」

川堀「俺と前島だってなぁ」

前島「いやお前とは何にもないだろこのカイリキー使い」



さらにもう一方


王子「……なんで僕だけハブ……」グズン



とまあ、和気あいあいと自分たちのパーティについて意見を交わしていたのだった。


午後3時までに皆自分のパーティ構成のイメージを固めてシートに記入して三神先生に提出し、夕食の時間である午後7時までいったん自由行動となった。

自由行動と言ってもこの時間はポケモンの厳選と育成の時間に充てられることになる。

夕食後は男女時間を分けて入浴し、そのあとは午後9時から11時まで自主学習時間。ポケモン以外の———中学生らしい勉強の時間だ。

この二時間だけはゲームから離れられるよう、三神先生と千曳先生がゲームボーイを回収するのでこの時間は誰もポケモンの育成ができない。

ポケモンを育成する時間が多く確保できないのは残念だが、高校受験を控えた中学生の夏の勉強時間が2時間と考えると短すぎるぐらいだ。

勉強を終えると12時までには就寝というスケジュールが組まれてある。ちなみに起床は午前6時半。

ゲーム漬けなことを除けば実に健康的な合宿だろう。


でもって今は僕たち6人のコーチによるパーティ鑑定が終わった後の自由時間だ。



小椋「榊原君」

恒一「何か用?」

小椋「今、用事とかなかったらついてきてほしいんだけど」

恒一「用事はないけど……どうしたの?」

小椋「ちょっと、ね」



記念館の外 正面玄関前


小椋「榊原君、前に戦ったときさ、兄貴の話したよね」

恒一「言ってたね」

恒一「お兄さん、どうかしたの?」

小椋「兄貴がね……負けたの」

恒一「負けたって————まさか、ヨミヤマミサキに?」

小椋「……」コクリ

小椋「みんな彩のことに気を取られているけど、実は私の兄貴もなんだ」

恒一「このことは赤沢さんたちには?」

小椋「もう言った」

恒一「……そう」

小椋「……何も言わないんだ、榊原君は」

恒一「言って小椋さんの気が楽になるならもう何か言ってるよ」

小椋「……そうだよね、ありがと」

小椋「ねえ」

小椋「ちょっと兄貴の話をしてもいいかな」




小椋「私のお兄———兄貴、敦志も、夜見北の三年三組にいたの。その時も現象が起こったんだって」

小椋「兄貴は運よく現象に遭遇しなかったんだけど」

小椋「兄貴には親友がいた」

小椋「その親友が現象に———ヨミヤマミサキと戦って、負けたの。その親友はね、ヨミヤマミサキと戦ったゲームにおいては全国でも屈指の、その界隈では名前の知れた人だった」

恒一「聞いたことがあるよ。数年前にあるゲームで全国五指に入る腕前のゲーマーが夜見山にいたって」

小椋「うん。それが、兄貴の親友だった」

小椋「兄貴もね思ってたみたい。ヨミヤマミサキに勝てばこのバカみたいな現象は止まるって。そして兄貴の親友なら必ずヨミヤマミサキに勝てるって信じてた」

小椋「話を聞いてたなら榊原君も知ってるよね、その親友がどうなったか」

恒一「————負けて、廃人となった」

小椋「……」

小椋「兄貴は自分を責めた。自分が過度な期待を親友に押し付けて、勝てるかもわからない相手に勝てると勝手な期待を抱かせて戦わせたんじゃないのかって」

小椋「自分に力がないから、弱いから。友達に戦わせて———負けたのは、戦わせた自分のせいだ。って責めるようになった」

小椋「それから、兄貴は何かが抜けたようにやる気もなくなって、一応高校には行けたんだけど、そこでも上手くいってなくて」

小椋「引きこもっちゃった」

恒一「……その親友は今どうしてるかわかる?」

小椋「…全国に名前が通っている人だったから、ゲームの名前と大会名で検索すれば一発で見つかったわ」

小椋「調べてみたら、警察の行方不明者リストに載ってた」

小椋「久保寺先生と同じように失踪したのよ」

小椋「兄貴はずっと家にいるし———多分知っているんだろうと思う」

小椋「お気に入りに警察のホームページもあったからね」

恒一「小椋さんのお兄さんは今もその友達を探しているのか」

小椋「……たぶん」



小椋「———それで、私が三年になって、三年三組だって言われて」

小椋「そのことを兄貴に伝えた時、兄貴ったら今までろくにやってなかった部屋の掃除とかまめにやるようになって」

小椋「進級祝いだって言ってこれをくれたの」スッ

恒一「『ポケットモンスター 緑』……」

小椋「どうせ親に言ってお金貰って通販か何かで買ったもんだと思うけど、兄貴のプレゼントだし受け取ったの」

小椋「榊原君、気付いてた?実は私のポケモンのロムはこれ一つだけ、この『ポケットモンスター 緑』だけなことに」

恒一「これひとつだけで?」

小椋「もう一個買ってほしいなんて親には言えないからね……でも兄貴が協力してくれた」

小椋「案の定というかなんというか、やっぱりというか。兄貴は『赤』を持ってたから、覚えさせたい技があれば兄貴に頼んでた」

小椋「二人でポケモンのデータを引き継いだりしてポケモンを育成しまくったり」

小椋「兄貴はネットから拾ってきたのか自分で見つけたのか、いろいろなことを教えてくれた」

小椋「対人戦のいろは、ポケモンの育成方法や技構成、他にもいっぱい」

恒一「……小椋さんの強さの秘密はお兄さんだったんだね」

小椋「実感、なかったけどね」

小椋「兄貴のおかげで強くなってたなんて。これに関しては本当に兄貴に感謝してる。でも」




小椋「でも、そのお兄も負けた」


小椋「私に戦い方のすべてを叩き込んでくれたあのお兄が負けるなんて信じられないと思った」

小椋「でも」

小椋「前みたいに抜け殻みたいになっているのに必死にゲームボーイにかじりついてる様子を見て、お兄も親友と同じように負けたんだって実感したの」

小椋「私のゲームにあれだけ付き合ってくれたお兄が負けたんだなって」

恒一「………」

小椋「さっきのパーティ鑑定の時間で、私が榊原君のとこに来てもパーティを見せなかったのはね。最後にお兄が褒めてくれたこのパーティで……ヨミヤマミサキを倒すつもりだから」

恒一「お兄さんの仇をとるために、か」

小椋「この気持ちを誰かに言いたかった」

恒一「僕でよかった?」

小椋「兄貴の事を知ってるのは榊原君と勅使河原と———彩だけだから」

恒一「…勅使河原じゃダメだった?」

小椋「論外よ」

恒一「消去法で僕か……」

小椋「ううん、このことを話していいと思ったのは彩以外にいるとしたら榊原君しかいないと思ったから」

恒一「……そっか、ありがとう」

小椋「私の方こそこんな話聞いてくれてありがとう。じゃあ私戻るね。望月にテープの事聞かないと」

恒一「待って」ガサゴソ

恒一「これを小椋さんに」

小椋「これは……『黄』?」

恒一「僕のサブロムだ。技マシンと必要なアイテムは全部そろってるし、使えるポケモンは全部移動させたから好きに使っていいよ」

小椋「でも榊原君サブロムなかったら困るんじゃない?」

恒一「その心配はいらないよ。あとひとつ人から借りたサブロムがあるから。これは小椋さんが使ってほしい」

小椋「……ありがと」

小椋「あ、そうだ。望月がテープ榊原君の部屋で聴けるか訊いてって言ってたけど」

恒一「望月に大丈夫って言ってて。同室の男子はいないからたぶん怪しまれないって伝えて」

小椋「わかった」



ギィィィー… バタン


鳴「……邪魔だった?」

恒一「……聞いてたのか、見崎」

鳴「外を歩いていたら、榊原君と小椋さんが話し込んでるのを見たの。何話してるのか、ちょっと気になって」

鳴「盗み聞きする形になってごめんなさい」

恒一「いや……うん、そうだね。小椋さんもあまり人に聞かれたくない話だっただろうし」

恒一「どのあたりから話を?」

鳴「小椋さんの…お兄さんが、廃人になったってあたりから」

鳴「大事なところから聞いてしまったみたい」

恒一「…見崎も無関係じゃない。僕に小椋さんのお兄さんの親友———あるゲームで全国5指に入った人、それを教えてくれたのは見崎だし」

鳴「…そう、その人の話が…」

恒一「それに、きっと小椋さんもこの話を聞いたのが見崎なら許してくれると思う」

鳴「…そうかなあ。小椋さんがこの話ができると思った人、榊原君だけなんでしょ?私は」

恒一「ううん。こうやって話を聞いてた僕よりも、もしかしたら見崎の方が小椋さんの事をよくわかっているかも」

鳴「私が?」

恒一「僕の知らない部分で通じてるってこと」

鳴「……」

鳴「……そう、かもね……私と小椋さんは同じ…なのかな……」

恒一「…………」

恒一「見崎」

鳴「…何?」

恒一「小椋さんの話を聞いていたならわかると思うけど、小椋さんのお兄さんは、あの小椋さんよりずっと強いんだって」

鳴「そうみたいね。小椋さんの師匠みたいな人でしょう」

恒一「そんな人でもやられるほど、ヨミヤマミサキは強い。だから僕からひとつ見崎にお願いしたいことがあるんだ」

鳴「それは、勝つため?」

恒一「———ゲームは楽しいものなんだって、一度勝ったからって負けた人の人生を奪うようなものじゃないって証明するためさ」

恒一「なんか勅使河原とか綾野さんとか見てたらさ、たまに勝ち負けにこだわることがバカみたいなことだと思う時があるんだ」

恒一「この合宿には来てないけど、多々良さんとかゲームは楽しめばいいやってスタンスでいるし」

鳴(あの図書室での時か)

恒一「何より、見崎と、みんなと戦っている時はすごく楽しい」

恒一「それなのに人の人生を廃人っていうしょうもない形で奪い取るあげく、小椋さん、怜子さんにあんなかけなくてもいい苦労をかけている奴」

恒一「気に入らないんだ。ヨミヤマミサキは」

恒一「あんなバナナの皮に足を滑らせて頭打って死んだ奴なんかに、これ以上ゲームの楽しさを奪われてたまるか」

鳴「………」

鳴「……いいよ———言って」

恒一「僕がヨミヤマミサキと戦うことになったとき、それか見崎がヨミヤマミサキと戦うとき———」




空が夕焼けに変わるころ、僕は見崎に僕の決意を伝えた。

見崎は左目の眼帯を取って両の眼で僕を見据え、小さく肯いた。




恒一の部屋。


望月「みんな集まったね」

望月「それじゃ、B面再生するよ」



松永『———このB面を聞いてくれてるってことは、A面も聞いてくれてたってことでいいんだよな…?お、俺はA面を聞いたって言う前提で話すぞ…』


松永『さて、確か俺がA面に記録したのはヨミヤマミサキの無双の秘密についてだったな、A面でできる限りのことは伝えた。抽象的すぎてよくわからなかったら、ごめん』

松永『本題に入ろう』

松永『俺が何故、この程度の事をテープに残さねばならなかったのかってことだ』



小椋「そうね、A面の情報は私たちに伝わっていてもおかしくないのに」



松永『それはそう、この現象について』

松永『これが実は———いや、うん、そうだ、うん、順を追って説明した方がいいと思う』

松永『そう、それは俺たちが協力してゲームに現れたヨミヤマミサキを倒した後の事』

松永『ヨミヤマミサキは倒された。だから、これで現象は終わった』

松永『奴を倒した後、協力してくれたビービービーにお礼を言ったんだが———』

松永『ビーは俺達がどうやって奴を倒したのか、その方法を忘れていた。ビーとビーもな』

松永『だから、奴とどう戦ったのかを覚えているのは俺だけになった』

松永『だけど俺もいずれは奴とどう戦ったのか忘れてしまうかもしれないと思ってこのテープのA面にそれを記録した』

松永『もし俺達の後の年も現象が、奴が現れるかもしれないと思って』

松永『これで俺達の年の現象は終わったんだ———————————————』



恒一「………」

鳴「………」

勅使河原「………?」

小椋「………続きが流れないわね」

望月「………もしかして、これで終わり?」

恒一「音量を最大にしてみよう」カチカチ



テープ『ザ——————————』



恒一「ノイズが残ってるだけだ」

望月「停止ボタンを押すのを忘れてるのかな?」

恒一「もうしばらく待ってみよう」



テープ『ザ———————ビ——————ブツッ』


望月「……終わっちゃった」




小椋「………え、これだけ?」

恒一「みたい……だね」

鳴「………」

勅使河原「おいおい松永さん……もうちょっと、なんかなかったのかよ」

恒一「A面の内容が大事でB面はついでってことかな?」

勅使河原「みたいだな」

鳴「……協力者の名前、わからなかったね」

望月「名前だけがピンポイントで聞こえないってどういうことだろう」

恒一「B面で松永さんさ、他の人は奴を倒した方法を忘れていたって言ってたよね。もしかしたら、記憶の隠ぺいと一緒に名前の隠ぺいも起きたのかも」

小椋「まさか……ヨミヤマミサキが?」

恒一「そう考えるのが妥当だろうね」

小椋「でもそんな介入ができるならわざわざこのテープの名前をピンポイントで削るなんて面倒なこと………する……わけが……」

望月「小椋さん?」

鳴「小椋さんも私と同じ考えか」

小椋「……私と同じことを考えていたら、そうなるわね」

恒一「それがどういう………ああ」

勅使河原「ちょっとお前ら何三人で納得してるんだよ俺にも説明してくれよ」

恒一「さっき、テープが止まるまで時間があったよね」

勅使河原「ああ」

恒一「あれは押し忘れなんかじゃないとすれば、どうかな」

勅使河原「どういうことだよサカキ」

恒一「松永さんの協力者の名前を改ざんしたのと同じ要領で、本来収録されていたはずの音声が失われていた可能性があるってこと」

恒一「たぶん、このヨミヤマミサキにとって都合の悪い情報だったんだろう」

勅使河原「都合の悪いって……じゃあ、A面は?A面は都合の悪い情報じゃなかったってことなのかよ?」

恒一「松永さんはあくまで方法を示しただけだ。ゲームの数だけゲームの中身も違うからヨミヤマミサキ攻略のための考え方を僕たちに教えただけ」

恒一「でもそれがわかっても対応できないことがあるのがゲームだから、放っておいたのかもしれない」

恒一「となると一番の問題は……」

鳴「松永さんがテープなんて回りくどい手段を使ってまでも残そうとしたその中身」

鳴「全部まるっと消されてたってことは相当都合の悪い情報だったのでしょうね」

小椋「テープで残した意味、なくなってるけど」

恒一「さすがにそこまで松永さんは予測できなかったんだね」

勅使河原「じゃあ、状況は……」

恒一「少なくともヨミヤマミサキとの戦い方がわかっただけでも収穫だ。あとは、どう戦うか、だけど……」





コンコン ガチャ


五人「!?」

三神「榊原君、ちょっといいかしら———あら?どうしたのみんなこんなところに固まって」



勅使河原(げっ三神先生!おいこらサカキなんでお前鍵しめてないんだよ!)

恒一(最後に入ってきたのは勅使河原じゃないか!)

望月(どうしようまだ片づけてないのに!)

恒一「先生せめて一言お願いしますよびっくりするじゃないですか」

三神「次からはそうするわ。———あら、なにこれ」

勅使河原(あっやばい)ササッ

三神「勅使河原君、隠さないでそれを出しなさい」

勅使河原「あはは先生俺何も隠しちゃいないですよ」

三神「持っていたら出しなさい」

恒一(無理だ勅使河原、こういうときこの人は頑固なんだ)

望月(観念した方がいいと思う)

勅使河原(うっ、しゃーねえ)


三神「これは———テープ?」


勅使河原「ああ、その、それは望月が持ってきたもので———」

小椋「現象を止める手掛かりが吹き込まれたテープです」

勅使河原「ちょっ小椋!」

小椋「もういいじゃない、大したことも言ってなかったし……この際だし先生ぐらいには言いましょう。あの、先生。確か先生も15年前は三年三組にいたんですよね」

三神「ええ」

小椋「先生の年は現象は止まった年なんですよね」

三神「ええ。といっても私もその時の事よく覚えてないから松永君に話を聞きにみんなで出かけたのだけど……」

小椋「先生は松永さんの『協力者』でしたか?」

三神「私が松永君の?うーん、そうだといったらそうかしら」

小椋「他に松永さんに協力していた人はいましたか?どんな人ですか?」

三神「ごめんなさい小椋さん。私本当にあの時のことはよく思い出せないの」

小椋「そう……ですか……」

三神「そのテープ、私も聞いて良いかしら」

恒一(……どうする?)

鳴(こうなった以上は仕方ないんじゃないかしら)

小椋(当事者の先生なら何かわかるかもしれないわね)

望月「えっと、じゃあもう一度再生しますけど……外に誰もいないことを確認してからでいいですか?」




三神「確認しました————望月君、流して」

望月「はい」カチッ


再生中・・・・・・・


テープ『これで俺達の年の現象は終わったんだ—————————』

カチッ


望月「あとは空白が続いているだけで、内容は以上です」

三神「…松永君にそんなことが」

小椋「何かわかりましたか?」

三神「……ごめんなさい、やっぱり……私も驚いた」

望月「合宿に帰ってきて、松永さんから何か聞いてませんか?」

三神「……聞いたような、聞かなかったような」

三神「ごめんなさい、力になれなくて」

小椋「いいえ、ありがとうございます」

三神「ねえ、このテープは私が預かっていい?」

望月「え?」

三神「一応これ松永君のものだし、管理の面で見ても望月君が持ち続けるより私が持っていた方が安心でしょ?」

望月「ええ、まあ……」

恒一「誰にも聞かせないことを条件に、先生にお渡ししてもいいですか」

三神「私ももとよりそのつもりよ」

小椋「……」

三神「それじゃあこれは預かるわね。もう一度聞きたくなったら先生に言って」



キィィー バタン



勅使河原「テープとられちまったぞ」

恒一「大丈夫だよ。聞きたいことは全部A面にあったし」

恒一「それに今のではっきりした。このテープはヨミヤマミサキの影響を受けて記録が消えている」

恒一「先生の記憶がはっきりしてないってことは、たぶん」

勅使河原「どーすんだよ」

恒一「空白部分にどんなことが吹き込まれていたのかは気になるけど、ヨミヤマミサキさえ倒せば現象は止まるんだってことがわかったんだ」

恒一「この空白はヨミヤマミサキを倒した時にわかるんじゃないかって思う」

勅使河原「……なあ、あのテープ、やっぱみんなに言っちゃだめか…?」

望月「そうだね、ここにいる僕たち以外の誰かが倒してくれるかもしれないし」

恒一「頃合いを見てみんなには伝えるべきか」

鳴「……なんにせよ、ヨミヤマミサキを倒せばすべてが判明する」

勅使河原「……まっ、そうだよな!細かいことは抜きにみんなで奴を倒せば万事解決って訳だ!サカキ、望月!山ん中探検しようぜ!」

恒一「なんでだよ」

望月「僕はパス」

勅使河原「えー。じゃあ見崎と小椋で」

鳴・小椋「「嫌よ」」

勅使河原「……風見でも誘ってくか……」トボトボ

望月「そ、それじゃあ僕も出るよ。夕食までポケモン厳選するつもり」

小椋「私は……どうしようかな。見崎さんは?」

鳴「私も厳選しておきたいポケモンがいる」

恒一「僕はまだ努力値振りが終わってないポケモンがいるから」

小椋「しょうがない、私も誰かと対戦できないか探してみる」

望月・小椋「「それじゃ」」


キィィ バタン


恒一「……どうしたの、見崎」

鳴「26年前の写真。持ってきてるよね」

恒一「ああ、あれか———これ?」ペラッ

鳴「預かっててもいい?」ピッ

恒一「いいけど……これがどうかしたの?」

鳴「……今日の夜9時、私の部屋に来て。同室の子、いないから」キィィ バタン


恒一「夜9時って……自習時間か。勉強を教えるって名目で見崎の部屋には行けるな」

恒一「さて」

恒一「東京の友達に無理言って手に入れてもらったこいつを育てるとするか……」


はいっここまで!合宿篇その1終了!説明ばかりでごめんなさい!質問突込み揚げ足取りどんとこいです!

……やべえ、一応これポケモンものなのに二日間誰も戦ってないとはこれいかに




秘蔵っ子の育成をしているうちに夕食の時間になり、食堂へ向かった。

皆それぞれ思い思いの時間を過ごしていたのか、僕のようにポケモンの育成に力を入れていた人もいれば勅使河原のようにどこかに散歩に行った人もいたようで

同じテーブルの席に座っていても違う会話が飛び交うさまが見えた。

そんな中の事だ。



赤沢「———対策係として不手際があったことを謝罪します」ペコリ

赤沢「———でも」

赤沢「こうなった責任の一端は『つよいもの』の見崎さんにもあるかと思います」

恒一「?」

赤沢「見崎さん、あなたが『つよいもの』の役割を全うしてくれていたら。久保寺先生は仕方ないとしてもゆかり達がこうなることはなかったかもしれない」

赤沢「……悔しいけど、あなたの実力は私の敗北をもって証明されている。でもそれだけの実力でゆかり達の心を折らなかったあなたにも責任の一端がある」

鳴「それで私にどうしろっていうの」

赤沢「謝罪を」

赤沢「『つよいもの』としての責任を果たしていなかったことへの謝罪を」

鳴「謝って何かかわるなら」

恒一「見崎、しなくていい」

恒一「ちょっと待って赤沢さん。ポケモンバトルは時の運で勝敗が決することもあるんだ、なのに見崎に責任があるっていうのは酷じゃないか」

恒一「それに見崎は『つよいもの』になったばかりの時にここにいる全員と戦って勝ったんだろ?だのに」

鳴「いいよ、榊原君」

恒一「よくない。赤沢さんもそうだ、現象の責任なんて誰も負えるわけがないじゃないか。負うとしたら上には上がいることを忘れていい気になった自分の心だよ」

恒一「見崎だって頼まれた勝負を断ってきたことは僕が見てきた限りはないんだ、こんな不毛なこと」

赤沢「いいえ恒一君。その上には上がいることを忘れさせないのが『つよいもの』なの。でもそれができなかった見崎さんには———」

恒一「だからそれは見崎に責任を押し付けてるだけじゃ———」

鳴「ううん榊原君、私は———」

勅使河原「ああっもうお前ら静かにしろよ!」ガタッ

望月「そうだよ二人とも落ち着いて」

小椋「泉美、いったん落ち着いて。榊原君も」


和久井「————戦って決めれば?」


鳴・赤沢「え?」

和久井「正直ここまで来たらもう『つよいもの』対策も体をなしてないし、戦って勝った方が意見を通すことにしたらどうかな?」

恒一「和久井君、それは———」

勅使河原「サカキお前がいるとややこしくなるから一度ひっこめ」ガシッ

赤沢(……私が勝てば『つよいもの』の実力不足と役割放棄の説得力が上がり、見崎さんが勝てば『つよいもの』は健在で恒一君の言い分が通るってわけ)

赤沢(……どうしてよ、恒一君)

赤沢「いいわ。見崎さんもそれでいいでしょう」

鳴「……私は別に……。だけど、榊原君も赤沢さんも、このままだとどっちも満足しないと思うから、私もそれで」

鳴「だから榊原君は口出ししないでね」

恒一「……わかったよ」

赤沢「っソフト取って来るから」

管理人夫「お待ちください。こんなこともあろうかと、用意しておきました」

赤沢「用意?」

管理人夫「少々容易に時間がかかりますので、お二方は準備を」


5分後、見崎と赤沢さんが自分のゲームボーイとソフトを持って食堂に戻ってきた。

食堂には大きなテレビが設置されていて、一本のコードがあるものに接続されていた。


赤沢「これは……NINTENDO64?どうしてこんなものがここに」


管理人夫「お二人はこれからこのソフトでバトルしていただくことになります」スッ


つポケモンスタジアム


※実際のものと仕様がだいぶ異なります。


赤沢「テレビ番組でやってるアレか……」

鳴「………管理人さん」

管理人夫「どうしましたか?」

鳴「私が勝ったら、これ使い放題にしてくれませんか」

管理人夫「いいですが、なぜまた」

鳴「うわさを確かめたいの」

管理人夫「ふむ、どのような噂か私は知りませんが、いいですよ」

鳴「ありがとうございます」

赤沢「……余裕ね」

鳴「赤沢さん、さっきのことだけど、やっぱり謝る」

鳴「ごめんなさい」ペコッ

恒一「みさ————むぐっ」ムグッ

勅使河原「だからお前は口出しすんなって」ガシッ

赤沢「……いいわ、受けて立つ」


いったんここまでで、あとで投稿します。大体今夜頃に。

今回使用するポケスタはゲーム内容はそのままにフリーバトルのみ使用できるポケモンの制限が取り払われ
151匹全部使えるポケスタ2仕様という感じです。

前回からかなりアニメから脱却しちゃってる流れですが大丈夫でしょうかこれ
とにかく合宿篇は長いので途中読者の皆さんがだれてしまわないのか心配ですのでダレてきたらずばっとお願いします

初代の頃はポケスタテンション上がったよな基本レンタルで一人プレイだったけど
あれって画面どういう風に出るの?相手にばれない?

技呼び出しのR(だっけ)と技のCのどれか同時押しでばれなかった気が

ところで1998年の大会出場者を調べてみたら当時は三値のシステムを知っている人は数えるほどしかいなかったらしい
話作っておいてなんだけど今更ながら三年三組と怜子さんの執念と小椋兄すごすぎワロタ

>>155
>>157さんの言う通り対戦中はR押したら技構成がわかりますが相手にも一発でばれます
まあこの作品のポケスタ1は実際のものと仕様がだいぶ異なっているのであしからず

もうあと一時間ほどお待たせいたしますがしばらくお待ちくださいましぇ

ちょっと時間オーバーしてますが投下。実はまだ合宿一日目が終わってないというスローペースですがご愛嬌。オリンピック開会式に間に合いますように。






1年半前。夜見山市のどこかの河原で。


赤沢「……お兄ちゃんが負けた」

赤沢「廃人になるわけがないって言ってたのに」

赤沢「っ……ばかぁ……ばかぁ——————————————っ!」

空き缶「おっすおれ空き缶」

赤沢「あああ—————————っ!!」ブンッ

空き缶「えちょうおおっ!?」カーン

赤沢「っ……!」

赤沢「きゃっ」ズサッ ザザザー


赤沢「ッ痛った……」グズッ


???「大丈夫ですか?」


赤沢「……」チラッ

???「大丈夫?立てる?」

???「手を」スッ

赤沢「あ、う、うん、ありがと」グッ

赤沢「……見ない顔ね。夜見山の人じゃないでしょ」

???「わかるんだ」

赤沢「あなた、名前は?」

???「僕は————」



————時は流れ、現在


赤沢(お兄ちゃんが負けて廃人になった理由)

赤沢(それは、その年の『つよいもの』がしっかりと自分の責務を果たさなかったから)

赤沢(その年の『つよいもの』は、『つよいもの』としての力が足りなかったのか、負けてはいけないはずなのに負けていたり)

赤沢(ちょっとでも自信がついた人をくいとめるためにいるはずなのに、それを真面目にやらなかった)

赤沢(その年は、お兄ちゃんの年は。これまで現象が起きた年の中でもひどい数の廃人がでてしまった)

赤沢(今年はその年———お兄ちゃんの時になるかという勢いで廃人が出ている)

赤沢(見崎さん、あなたは本当に『つよいもの』としての役割を全うしていたのか。それとも否か。)

赤沢(それとも、実は『つよいもの』としての実力が足りていないのか)

赤沢(もし『つよいもの』のあなたが責務をほったらかしにした結果、ゆかりや彩がこうなったなら———私はあなたを許さない)

赤沢(お兄ちゃんの年の『つよいもの』と同じくらい———あなたを)

赤沢(それに———あの時。正面玄関であなたが見崎さんに言った言葉———なぜ、見崎さんなの。どうして————あんな言葉を)



食堂。



※大人の事情により本来のポケスタ1よりだいぶ仕様が変わっているのであしからず




管理人夫「見せ合いモードにいたしますか?」

赤沢「見せ合いモード?」

管理人夫「このソフトにはパーティ決定時に互いの手持ちをあらかじめ見せ合って戦う見せ合いモードと、互いの手持ちを明かさず戦う通常対戦モードがあります」

赤沢「ふん、普通に通信ケーブルを使って対戦するのと同じもので」

管理人夫「では通常対戦モードで」


※実際のソフトにはこのような便利機能はついていません。こんな便利機能がついていたらソフトの難易度大幅アップしてしまいます。

※恒一達クラスメイトは少し離れたところでこの二人の様子を見ている状態です。



実況『さーて今回のポケモンバトルはフリーバトル!熱き声援に囲まれいざバトル開始です!』


恒一「……始まったか」

勅使河原「あーあサカキお前のせいだぞどうすんだ」

恒一「僕のせいなのこれ」

勅使河原「赤沢じゃないけど今回こうなったのはお前のせいだこの野郎」

小椋「泉美の初手は……ルージュラできたか。見崎さんはサンダースね」




実況『両者とも睨み合ったまま動きません!』


サンダースの すなかけ!

ルージュラの めいちゅうりつが さがった!

実況『よーし、きいているぞー!』

ルージュラの あくまのキッス! しかし、サンダースには きかなかった!

実況『わざがうまくきまりません!。互いに出方をうかがっているところか……!』



風見「二人ともそうきたか」

恒一「交代すると痛手を負うしお互いの技も確定三発以上だからそうしたほうがいいと判断したんだろう」

勅使河原「ちょっと待て、なんで赤沢はルージュラを下げて地面タイプに交換しなかったんだ?」

恒一「電気半減以下のポケモンに交代したとして、そのポケモンは何だと思う?」

勅使河原「そりゃ地面タイプとか、草とか」

恒一「そう。一撃はしのげる。でも見崎もすぐ氷技を持つポケモンに交代するだろう」

勅使河原「それのどこがおかしいんだよ、普通じゃねえか」

恒一「この一連の流れを見崎が予測していたら、ルージュラを下げると同時にサンダースを下げて、電気受けを狩れるポケモンを無償で降臨させることができる」

恒一「だけど、さっき言ったようにルージュラの特殊耐久だとサンダースのどの攻撃が急所に入っても一撃はどうにかなる。赤沢さんもその流れが読めていた」

恒一「ちなみにその電気受けを狩れるポケモンはルージュラの技を受けられるから、牽制としてもここは補助技を撃って正解なんだ」

風見「つまりあくまのキッスなら出てきた電気受けを7割5分の確率で行動を縛れるし、サンダースが居座っても眠らせられる見込みがある」

風見「だけどこの読み合いで軍配が上がったのは見崎さんだね。これを読み切ったうえで相手の命中を下げるすなかけで眠る確率を下げてきたか」


実況『ここでどのような攻撃に出るか!?』

サンダースの のしかかり!

ルージュラの かけぶんしん!

実況『ここで回避率をアップです』


赤沢(ルージュラが居座ったからかしら?でも今ので麻痺しなかったのは痛かったかもね見崎さん)

鳴(なるほど、そうきたか。なら)


サンダースの どくどく! ルージュラはもうどくをあびた!

実況『よーし、きいているぞー!さあ、対する攻撃は!?』

ルージュラの かげぶんしん!

実況『ここで回避率をアップです!白熱したバトルが続いております!』

ルージュラは どくの ダメージを うけている!


サンダースの 10まんボルト! 

実況『おーっと!こうげきははずれたぁー!』

ルージュラの かげぶんしん!

実況『ここで回避率をアップです!』

ルージュラは どくの ダメージを うけている!





小椋「さすが見崎さんと言ったところかしら」

杉浦「影分身による長期戦を読んでどくどくを撃ったようね。でも」


鳴(私は攻撃が当たらない。でも赤沢さんも攻撃が少し当たりにくくなってる。でもあっちに攻めてこられたら負ける)

鳴(交代するとしたら……この子がいるけど、まだ使うべきときじゃない。あれを見せて返り討ちに合ったときのリスクが高い)

鳴(泥臭く攻めるか)


サンダースの 10まんボルト! しかし サンダースの こうげきは はずれた!

ルージュラは からだが しびれて うごけない!

実況『あーっと!ここは動けません!』

ルージュラは どくの ダメージを うけている!


サンダースの 10まんボルト! しかし、こうげきは はずれた!

ルージュラの サイコキネシス! サンダースの とくしゅのうりょくが さがった!

実況『このダメージは大きいぞー!よーし、効いているぞー!』

ルージュラは どくの ダメージを うけている!


勅使河原「現状赤沢が有利だな、あれだけ影分身を積んでるし、サンダースの特殊も下げた。毒のダメージはあるけどその前に何とか倒せそうだな」

恒一「見崎……」



サンダースの 10まんボルト! しかし、サンダースの こうげきは はずれた!

ルージュラは からだが しびれて うごけない!

実況『おーっと!ここは動けませんっ!』



サンダースの 10まんボルト! しかし こうげきは はずれた!

ルージュラの ふぶき!

実況『きゅうしょにあたったー! ……あーっと、力尽きたかー!ここでポケモンをチェンジします!』


赤沢(一段階ぐらい命中率が下がったってあまり脅威じゃないわ見崎鳴。さて、このままだとルージュラは毒殺されてしまうけど、やれるとこまでやってみるか)


赤沢(っと、次はケンタロスか。氷水かエスパーだと思ってたけどその様子だと手持ちに加えてないみたいね)

赤沢(勝て———いや、もしかしたらまたおかしな技構成をしてきてるかもしれない。前戦ったときのケンタロスはにらみつける使ってきたし)

赤沢(例えば影分身ケンタロス。フルアタ型が流行ってる今だと見ない型だけど今のルージュラの残りHPなら考えられる)

赤沢(前使ったときと同じケンタロスかも。だとすればここは先手必勝)


実況『ここで挽回なるか!?』

ケンタロスの じしん!

実況『きゅうしょにあたったー! ……あーっと、力尽きたかー!ここでポケモンをチェンジします!白熱したバトルが繰り広げられています!』


赤沢(ちっ、当たったうえに急所。外れたらあくまのキッスで眠らせて勝ちだったのに)

赤沢(だけど私もそうやすやすと負けて堪るもんですか)



たのむぞ、ゴローニャ!


ケンタロスの ふぶき!

実況『こうかはばつぐんだー!ダメージは大きいぞー!』

ゴローニャの だいばくはつ!

実況『あーっと!ばくはつしたぁー!!ダメージは大きいぞー!』


赤沢(……倒れないか)

赤沢(まあいい、私の切り札はこれ。残りの一匹が何を残しているのか知らないけど、ルージュラ相手に出せないポケモンだと考えるとゲンガーはないとみた)

赤沢(そして今の大爆発、見崎さんはきっと読めていたと思う。なのに交換してこなかったことも控えがゲンガーじゃないことを証明している)

赤沢(威力210、攻撃は高くなくてもそんじょそこらのタイプ一致等倍を上回る高火力を止めるすべは果たしてあるかしら?)


実況『残りのポケモンの数に差がついております』

ゆけっ、ペルシアン!

実況『ここで挽回なるか!?』

ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー! あーっと!力尽きたかー!ここでポケモンをチェンジします!』


鳴「……はあ」

赤沢「ムッ」

鳴「……一応入れてみたけど、使うつもりなかったのに」

赤沢「……へえ、この私を相手に二匹だけで勝つつもりだったの。私も随分と舐められたものね」

鳴「舐めてなんか……。でないとこの子を入れてない」

鳴「ちょっとこの子が対戦でどう活躍するのか、一度やってみたいと思ったから」

赤沢「あなたね、それを舐めているというのよ。わかる?」

赤沢「さあ、早く次のポケモンを出しなさい」

鳴「……先に言っておくけど」



実況『最後のポケモンになってしまったぁー!』




たのんだぞ、ミュウ!


全員「!?」


鳴「ちゃんと正規の手段で手に入れたポケモンだから」

赤沢「ミュ……ミュウですって!?あなたそんなポケモンを…いつ……!」

鳴「……勝てば、教えてあげる」

赤沢「……いい度胸ね!いいわ、あなたに勝ってやる!」


実況『両者残りのポケモンは一匹ずつ!』


赤沢(……どうしよう、まさかミュウを使ってくる人が本当にいたなんて。なんで見崎さんはミュウなんか持ってるの!?)

赤沢(落ち着いて、落ち着いて泉美。この際ミュウをどうして見崎さんが持ってるのかなんてどうでもいいわ。問題は相手がミュウというところよ)

赤沢(いったい何をするつもりなの……)


実況『両者ともに睨み合ったまま動きません……!』


鳴・赤沢「「……」」


実況『どうしたトレーナー!?』


杉浦「泉美、困ってるわね」

小椋「そうね、まさかミュウが実践で使われているのなんて初めて見た。しかもあれ、見崎さんの言葉を信じるなら正規の手段で手に入れたミュウでしょ?」

恒一「………」カリカリカリカリ

杉浦「何を計算しているの榊原君」

恒一「ミュウのHPの数値からミュウのHPの個体値を計算してるんだ」カリカリカリカリ

風見「手伝おうか?」

恒一「いや、大丈夫。もうわかるから……え? 見崎。これ本当に正規入手のミュウなんだよね!?」

鳴「そうだよ」

恒一「本当にこれが……いや、うん、ギャラドスで作ったならともかく……いやギャラドスで作ってもそんな都合よくこんな数値にはならない。じゃあこれは本当に……!」

勅使河原「おいサカキ一人で納得すんなよ。俺達にもわかるように説明してくれよ!」

赤沢「……このミュウ、HPの個体値Fに努力値を限界まで振っている。そうでしょう見崎さん」

鳴「……うん。計算もせずによくわかったね」

赤沢「数値からなんとなく察しはつくし、あの恒一君の驚きよう。それ以外に考えられないわ」

鳴「……それで、どうするの?私はもう技の選択は終わってるよ」



勅使河原「なあ、なんで赤沢は何もしないんだ?」

風見「勅使河原、おまえミュウがどんなポケモンか忘れてないか?」

望月「ミュウはすべてのわざを覚えられるポケモンなんだ。使えない技マシンはないってこと。それに種族値もオール100と高水準なうえエスパータイプ」

恒一「それに回復技も覚えるからフルアタでも二刀流でも耐久でもサポートどんな型でも作れる。対戦でのミュウにはこれという決まった型はどこにもないんだ。つまり」

勅使河原「何をしてくるかわからない、ってことか」

杉浦「ミュウか……私も出してこられたら対処に困るわね」



赤沢(勅使河原の言うとおり。何をしてくるか全く予想できない)

赤沢(覚えさせている技は決まっているのに、こっちの一手が完全に封殺されているようなそんな予感がする)

赤沢(リフレクターを持ったカウンター型?それとも単純なフルアタ型?つるぎのまいで攻撃を上げて物理で殴る物理型?それともあのスターミーみたいな耐久型?)

赤沢(全く分からない)

赤沢(ニドキングとニドクインは技のデパートと呼ばれるぐらい豊富に技を覚えるけど、実際戦うとタイプの悪さと能力不足で何か仕掛ける前に倒せてしまう)

赤沢(もし防御もFだったら、いやなおとからの破壊光線ぶっぱでも余裕で耐えられる。きりさくでも確定三発。回復技さえあれば……)

赤沢(———回復技?)

赤沢(さっきの見崎さんからの言動からみて、このミュウを最後に使いたいというのはわかった)

赤沢(影分身を積んできたときのように、長期戦をしかけられても大丈夫な構成になってるかもしれない)

赤沢(ケンタロスのはかいこうせんを数発食らえるだけの耐久を用意している可能性は高い)

赤沢(仮に攻撃手段は何かのコンボが主なものでゲンガー対策にサイキネを仕込んでいると考えると残りは影分身か自己再生)

赤沢(逆に耐久に特化してじわじわ削るとしていても、サイキネと自己再生は必須。候補として影分身、吹雪、剣の舞+物理技、身代わり、どくどく……)

赤沢(本当に型が多くて対処に困るわ)

赤沢(ええい、こうなった以上当たってぶっ壊すだけよ!)



実況『ここでどのような攻撃に出るのかぁー?」


ペルシアンの かげぶんしん! ペルシアンの かいひりつが あがった!

実況『ここで回避率をアップです』

ミュウの つるぎのまい! ミュウの こうげきが ぐーんと あがった!

実況『ここで攻撃力をアップです』


赤沢(剣の舞+物理技型!この物理技をくらったらおしまいね。でもこれで型はわかった。なら対処は可能!)


ペルシアンの みがわり! じぶんの たいりょくを けずって ぶんしんを つくりだした!

実況『おーっと、分身を作り出したぁ!』

ミュウの サイコキネシス!

しかし、こうげきは あたらなかった!

実況『おっーと! こうげきがはずれたぁー!』


赤沢(これで見崎さんに優位に立った。あとはきりさくを三回きめるだけ)

赤沢(勝てる)

赤沢(あの見崎鳴に、勝てる!)


ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー!ダメージは大きいぞー!』

実況『ここで挽回なるか!?』

ミュウの サイコキネシス!

実況『あーっと、分身は消えてしまいました!』



赤沢(くっ)

赤沢(まだまだ!身代わりさえ張れば影分身で積んだ分がまた生きてくるはず!)


ペルシアンの みがわり!

実況『おーっと分身を作り出した!』

ミュウの サイコキネシス!

実況『あーっと!こうげきははずれたぁー!』


ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー!』

ミュウの じこさいせい!

実況『ここで体力回復だぁ!』



ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー!』

ミュウの じこさいせい!

実況『ここで体力回復だぁ!』



ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー!』

ミュウの じこさいせい!

実況『ここで体力回復だぁ!』



小椋「……決まったわね」

恒一「そう……だね……」

望月「二人とも、どういうこと?」ヒソヒソ

恒一「この勝負はもう見えたってこと。見崎の勝ちだ」

小椋「ええ、このままだと……いや、まだ泉美は最後の技を出してない。でも」

恒一「劇的に何かを変える程の技じゃない。だよね」

小椋「もう一つの技が破壊光線でも、そしてそれが急所に当ってもね」

望月「説明してもらえるかな、二人とも」ヒソヒソ


恒一「このまま赤沢さんが攻撃していても、決定的な一撃を与えることはできないってことさ」

小椋「望月。自己再生ときりさくのPPは知ってる?」

望月「えーと確か」

杉浦「二つとも20ね」

望月「それがどうかしたの?」

恒一「ミュウとペルシアン。きりさくと自己再生のループを続けると、先にPPがなくなるのはペルシアンの切り裂くのほう」

恒一「ペルシアンが二回きりさくをミュウにあてた直後にミュウが自己再生で回復してるってことは」

恒一「たとえPPを最大にしていても、PPの上限はお互い同じ。自己再生をきりさくよりひとつ後に使ったから」

恒一「ループを抜けると自己再生のPPわずかにが残るんだ」

恒一「もし見崎がこのループを想定して自己再生のPPを増やしていたら、その回復回数はもっと増える」

恒一「そうなると、ミュウは一回以上の回復の余裕が生まれる。ほかの技を受ける余裕ができるんだ」

小椋「あとはわかるわよね、望月」

望月「きりさくを失えばあとはかげぶんしんでわるあがきを出させるまでひたすらかわし続ける運ゲーになるんだね」

恒一「そう。ペルシアンの能力だとね」

恒一「ペルシアンの能力上、ゲンガーに少しでも対抗できるよう特殊技か、ゴローニャ突破のバブル光線がもうひとつの技かな?」

小椋「……泉美もおそらくわかってるわ。見て」



赤沢(……だったら技ポイントを調整すればいいだけよ!)


ペルシアンの バブル光線!ミュウの すばやさが さがった!

実況『あまりダメージはありません……。よーし、きいているぞー!』

ミュウの サイコキネシス!

実況『おっと、分身が消えてしまいました!』



鳴(そろそろやってくる頃だと思った)

鳴(すばやさ下降はもともとすばやさで劣っているから気にはしない。でもこれで)



ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー!ダメージは大きいぞー!』

実況『ここで挽回なるか!?』

ミュウの サイコキネシス!

実況『あーっと、分身は消えてしまいました!』




ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー!』

ミュウの じこさいせい!

実況『ここで体力回復だぁ!』


恒一「だめだよ赤沢さん……このループはみがわりで1ターン自分の安全が確保されているからできること……今のペルシアンじゃ……」




ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー!』

ミュウの じこさいせい!

実況『ここで体力回復だぁ!』


杉浦「ループを抜けたわね」

恒一「赤沢さんのバブル光線の調整で見崎のミュウのじこさいせいと赤沢さんのきりさくのPPの差はひとつ消えた」

望月「自己再生のPPがもうなくなっていなければ、あとは見崎さんの運次第だ」

杉浦「だけど、バブル光線をすべてぶち込むまでペルシアンは持たない」

恒一「……今度こそ決まったか」



赤沢(……ここまでか)

赤沢(勝てるって思ったんだけど、どこで間違えたかしら)

赤沢(あーあ。私なにやってんだろ。これじゃ私恒一君が言ったように見崎さんに責任転嫁して)

赤沢(おまけにみんなの前で負けるなんてバカみたい)

赤沢(とんだ無能ね、ほんと)

赤沢(しかも見崎さん、この戦いをミュウの試用テストにするつもりでいたみたいだし)

赤沢(————完敗じゃない)ジワッ


鳴「……」


実況『この一撃で決めるところ!』


ミュウの はかいこうせん!


ペルシアンは たおれた!




実況『しあいしゅうりょ———————————!!!』




赤沢「………ッ!」ボロッ

鳴「……」

赤沢「……私の、負けよ」ボロボロ

鳴「……そんなつもりじゃ」

赤沢「ごめんなさい、見崎さん」ダッ


タタタ……


恒一「……」

鳴「……」

クラス一同(後味悪っ)





見崎と赤沢さんのポケモンバトルを終えると、みな言葉少なめに食堂を後にした。沈んだ顔をした和久井君の顔が印象に残った。


鳴「……榊原君」

恒一「……見崎」

鳴「赤沢さんのところに行って」

鳴「……和久井君も」



赤沢さんの部屋。の前。


杉浦「何しに来たのあなたたち」

恒一「……赤沢さんに話が」

杉浦「今はダメ。わかってるでしょ」

和久井「さっきのこと、謝りに来たんだ。バトルをけしかけてごめんって」

恒一「だから杉浦さん、お願い———」

杉浦「…ふざけてるのあなたたち。これ以上泉美に恥の上塗りをしろっていうの?」

杉浦「勝ったほうの主張を通す。それがこの勝負の目的でしょう。泉美も、あなたも。それを承諾した」

杉浦「だから帰って」

和久井「……伝言だけは頼めないかな」

杉浦「言わないわよ私」

和久井「ありがとう、杉浦さん。じゃ、じゃあ赤沢さんに『無責任な提案してごめん』って伝えておいてくれないかな』

杉浦「……言わないわよ、私」

和久井「ほ、ほら榊原君も」

恒一「僕は————」

杉浦「榊原君のだけは耳に挟まないことにしてるわ。だから」

恒一「————わかった。じゃあ」クルッ

和久井「ちょっ、榊原君! ……杉浦さん、本当に聞かなくていいのかな?」

杉浦「今の泉美には愛しの彼の言葉は逆効果。私がどうこうできるものじゃないわ」

杉浦「あなたも行って。騒がれるのは嫌なの」



泉美「……」

杉浦(まるで人形ね。皮肉にも見崎さんが勝ったことで『つよいもの』がその責務を放棄していない証明になったわね)

杉浦(今の泉美にかける言葉は私にもない。今は放っておくことしかできないわね————)





すまん書きだめが全部ふっとんだ
書き直すまで時間がかかるからロンドンオリンピックの開会式までに鳴ちゃんルームでのやりとりはできそうにないです
非常に残念ですがこの時間の投稿はここまでにさせていただきますごめんなさい

ポケモンスタジアムの仕様がかなり違っていますが他に突込みがあればどうか

乙 
やってることはゲームなのに妙にシリアスだww

>>173
最初のころは結構ギャク的なノリで進めるつもりだったのにどうしてこうなったんだろう書きだめも吹っ飛ぶし

>>169>>170あたりがよくわからないけど
分身が消えて みがわりせずにまた分身が消えてるのは途中省略されてるからだよね?


後ポケモン詳しくないから間違ってるかもしれんが
赤沢さんが言うにはペルシアンのきりさくじゃ3回あてないとミュウは倒せない
一方自己再生って体力半分回復するわざだったよな?
後みがわりは体力の1/4削って 自分のみがわりを作り出すわざ

>>167でみがわり一回使ってて ペルシアンの体力は3/4
>>168の10行目で身代わり使って 残りは 2/4

そして自己再生の回復>>きりさく一回なので 体力満タンに戻した安全状態で
サイコキネシス打ってももう一度みがわり消費させればもう使えないから 
恒一に消費PPの考察などさせて途中、PP調整のような悪あがきなどせずにもわかりやすく勝ちなんじゃないの?

安全勝ちを目指すならこの戦法とるし鳴は(そろそろやってくる頃)などという勘に頼らず
満タン近くで余裕があるからサイコキネシスを使ったんじゃないの?
それでも回避率アップによるサイコキネシス外しもあるし結局赤沢さんのバブル光線のタイミングが非常に悪かったのが決定的な敗因な気がするんだけど どうだろうか
少なくとも恒一の勝ち断言は早計な気がする…

後もう一つ サイコキネシスはペルシアンの体力どのくらい削る技だったの?
>>168
1ターン かげぶんしん→つるぎのまい

2ターン みがわり→サイコキネシス外し

3ターン きりさく急所→サイコキネシス ここで体力はペルシアン3/4 ミュウ 2/4〜3/4 



4ターン目ここで赤沢さんは安牌のみがわりを選択したけど 
ここできりさく選択してれば勝ちだったよね もしサイコキネシスがペルシアン3/4削る技ならサイコキネシスを
外すことを願ってきりさくという選択肢で博打勝ちだから身代わり選択せざるを得ないけど
3/4削らないとわかってたら逆にきりさくが安牌で鳴は自己再生一択になる

ってことはサイコキネシスはペルシアンの体力を3/4削る威力と思って良いのかな?


 

>>175
すばらしい指摘をありがとうございますこのあたりで書きだめと頭が吹っ飛んで即興で書きざるを得なくなったのでこういう指摘は本当にありがたいです

見直してみましたが混乱の原因はこれか↓

>ペルシアンの きりさく!

>実況『きゅうしょにあたったー!ダメージは大きいぞー!』

>実況『ここで挽回なるか!?』

>ミュウの サイコキネシス!

>実況『あーっと、分身は消えてしまいました!』


すいませんでしたっ!ここは以下にするはずがどうしてこうなった
以下訂正版

>ペルシアンの きりさく!

>実況『きゅうしょにあたったー!』

>ミュウの じこさいせい!

>実況『ここで体力回復だぁ!』


本来こうするはずがなぜ幻の身代わりが発生したし

つまりものすごくひどい誤植が発生してしまったのです申し訳ございません


これならペルシアンのHPは3/4のままできりさく→じこさいせいのループに入ります……ですよね?

で、きりさくでなくバブル光線を撃って、鳴ちゃんが自己再生を押して回復できりさくとのPP差を埋めさせるのが
あかざーさんの考えでした
一応PP差を埋めるというのは成功していますがきりさくのPP>再生のPPとならずループが終わってしまったわけです

PP差は鳴ちゃんがミュウの自己再生のPPを上げていない限り1しか差がないので、どこかで鳴ちゃんがバブル光線が来ることを考えて動かないと
あっさりPP差が逆転して回復ができなくなることが起こり得ると考え、また回避率がちょっとだけ上がっているので
HP3/4のペルシアンでもサイキネ二発撃って仕留められるとは限らず神回避されてしまうこともあります

またあかざーさんが切り裂く再生ループをせず影分身して自己再生を無駄撃ちさせてPP調整と回避率アップもしてくる可能性もあったのですが……
たった今思いついたので非常に後悔しています頭の悪い私ですみません


私のせいで非常に頭の悪い戦いをさせてごめんなさい赤沢さんと鳴ちゃん
今度はちゃんともっと頭を働かせて考えるゆえお許しを


結局ルージュラは毒なのか麻痺なのか

>>176
うわあああああごめんなさいいいいいいいいいいいここも説明不足でしたああああ
てか>>168で分身つくってるからHPが2/4になってるのも見逃してたうああああああああああああああ


あ、ちなみにサイキネでペルシアンのHPは半分も削れません
なのであかざーさんが警戒していたのは剣の舞で威力が上がった物理攻撃です
攻撃二段階上がった物理攻撃だと破壊光線はもちろん物理技の代表格じしんでさえHP3/4のペルシアンを高乱数1ぐらいで仕留めます
それに初代の仕様ではかいこうせんを撃っても反動が来ないので、あと二発ぶち込まないと倒せないペルシアンにとっては死活問題な状況でした

もうひとつですがペルシアンのきりさくですがミュウのHPが個体値Fですがペルシアンのきりさく三回でミュウは倒せます
が防御によっては

……乱数3

……はい。本編のようにサイキネを撃ってますので確かに>>176さんの言う通りこの時にきりさくすればたぶん赤沢さん勝ってました
こんな間抜けに大一番を描かせてごめんなさい赤沢さんホントにもう読者の方にも申し訳ない

>>178
ぎゃあああああああああああああ
ここ実は修正した個所で修正前はルージュラ麻痺してたんですつまりまた誤植ですうあああああああああああああああ
このターンのしびれはルージュラが攻撃ミスったと考えてくださいうあああああああああああああああああああ
赤沢さん本当にごめんなさい読者のみなさんごめんなさいちょっとスライスされてきますゆえ
最後にその問題の>>164>>169を修正します重ね重ね申し訳ございませんでした


小椋「さすが見崎さんと言ったところかしら」

杉浦「影分身による長期戦を読んでどくどくを撃ったようね。でも」


鳴(私は攻撃が当たらない。でも赤沢さんも攻撃が少し当たりにくくなってる。でもあっちに攻めてこられたら負ける)

鳴(交代するとしたら……この子がいるけど、まだ使うべきときじゃない。あれを見せて返り討ちに合ったときのリスクが高い)

鳴(泥臭く攻めるか)


サンダースの 10まんボルト! しかし サンダースの こうげきは はずれた!

ルージュラの かげぶんしん!

実況『ここで回避率をアップです』

ルージュラは どくの ダメージを うけている!


サンダースの 10まんボルト! しかし、こうげきは はずれた!

ルージュラの サイコキネシス! サンダースの とくしゅのうりょくが さがった!

実況『このダメージは大きいぞー!よーし、効いているぞー!』

ルージュラは どくの ダメージを うけている!


勅使河原「現状赤沢が有利だな、あれだけ影分身を積んでるし、サンダースの特殊も下げた。毒のダメージはあるけどその前に何とか倒せそうだな」

恒一「見崎……」



サンダースの 10まんボルト! しかし、サンダースの こうげきは はずれた!

ルージュラの ふぶき!

実況『おーっと!こうげきははずれたぁー!』



サンダースの 10まんボルト! しかし こうげきは はずれた!

ルージュラの ふぶき!

実況『きゅうしょにあたったー! ……あーっと、力尽きたかー!ここでポケモンをチェンジします!』


赤沢(一段階ぐらい命中率が下がったってあまり脅威じゃないわ見崎鳴。さて、このままだとルージュラは毒殺されてしまうけど、やれるとこまでやってみるか)


赤沢(っと、次はケンタロスか。氷水かエスパーだと思ってたけどその様子だと手持ちに加えてないみたいね)

赤沢(勝て———いや、もしかしたらまたおかしな技構成をしてきてるかもしれない。前戦ったときのケンタロスはにらみつける使ってきたし)

赤沢(例えば影分身ケンタロス。フルアタ型が流行ってる今だと見ない型だけど今のルージュラの残りHPなら考えられる)

赤沢(前使ったときと同じケンタロスかも。だとすればここは先手必勝)


実況『ここで挽回なるか!?』

ケンタロスの じしん!

実況『きゅうしょにあたったー! ……あーっと、力尽きたかー!ここでポケモンをチェンジします!白熱したバトルが繰り広げられています!』


赤沢(ちっ、当たったうえに急所。外れたらあくまのキッスで眠らせて勝ちだったのに)

赤沢(だけど私もそうやすやすと負けて堪るもんですか)

恒一「このまま赤沢さんが攻撃していても、決定的な一撃を与えることはできないってことさ」

小椋「望月。自己再生ときりさくのPPは知ってる?」

望月「えーと確か」

杉浦「二つとも20ね」

望月「それがどうかしたの?」

恒一「ミュウとペルシアン。きりさくと自己再生のループを続けると、先にPPがなくなるのはペルシアンの切り裂くのほう」

恒一「ペルシアンが二回きりさくをミュウにあてた直後にミュウが自己再生で回復してるってことは」

恒一「たとえPPを最大にしていても、PPの上限はお互い同じ。自己再生をきりさくよりひとつ後に使ったから」

恒一「ループを抜けると自己再生のPPわずかにが残るんだ」

恒一「もし見崎がこのループを想定して自己再生のPPを増やしていたら、その回復回数はもっと増える」

恒一「そうなると、ミュウは一回以上の回復の余裕が生まれる。ほかの技を受ける余裕ができるんだ」

小椋「あとはわかるわよね、望月」

望月「きりさくを失えばあとはかげぶんしんでわるあがきを出させるまでひたすらかわし続ける運ゲーになるんだね」

恒一「そう。ペルシアンの能力だとね」

恒一「ペルシアンの能力上、ゲンガーに少しでも対抗できるよう特殊技か、ゴローニャ突破のバブル光線がもうひとつの技かな?」

小椋「……泉美もおそらくわかってるわ。見て」



赤沢(……だったら技ポイントを調整すればいいだけよ!)


ペルシアンの バブル光線!ミュウの すばやさが さがった!

実況『あまりダメージはありません……。よーし、きいているぞー!』

ミュウの サイコキネシス!

実況『おっと、分身が消えてしまいました!』



鳴(そろそろやってくる頃だと思った)

鳴(すばやさ下降はもともとすばやさで劣っているから気にはしない。でもこれで)



ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー!ダメージは大きいぞー!』

ミュウの じこさいせい!

実況『ここで体力回復だぁ!』



ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー!』

ミュウの じこさいせい!

実況『ここで体力回復だぁ!』


恒一「………見崎がサイコキネシスを撃ってもペルシアンのHPをすべて削るに至らない。物理技は外れたら負け確。泥沼化してきた」

はいっ!たぶんこれで大丈夫かと!
読者の皆さんがこの誤植祭りを機に離れていってないか心配です
突込みを下さった>>175>>176さん>>178さん本当にありがとうございました。
もうミスなくがんばります

展開が大幅に変わっていますご注意を
がんばって検証したので大丈夫だと思いますが……>>166の続き、>>167の修正です





赤沢(勅使河原の言うとおり。何をしてくるか全く予想できない)

赤沢(覚えさせている技は決まっているのに、こっちの一手が完全に封殺されているようなそんな予感がする)

赤沢(リフレクターを持ったカウンター型?それとも単純なフルアタ型?つるぎのまいで攻撃を上げて物理で殴る物理型?それともあのスターミーみたいな耐久型?)

赤沢(全く分からない)

赤沢(ニドキングとニドクインは技のデパートと呼ばれるぐらい豊富に技を覚えるけど、実際戦うとタイプの悪さと能力不足で何か仕掛ける前に倒せてしまう)

赤沢(もし防御もFだったら、いやなおとからの破壊光線ぶっぱでも余裕で耐えられる。きりさくでも確定三発。回復技さえあれば……)

赤沢(———回復技?)

赤沢(さっきの見崎さんからの言動からみて、このミュウを最後に使いたいというのはわかった)

赤沢(影分身を積んできたときのように、長期戦をしかけられても大丈夫な構成になってるかもしれない)

赤沢(ケンタロスのはかいこうせんを数発食らえるだけの耐久を用意している可能性は高い)

赤沢(仮に攻撃手段は何かのコンボが主なものでゲンガー対策にサイキネを仕込んでいると考えると残りは影分身か自己再生)

赤沢(あっ自己再生は覚えないんだっけ。覚える回復技はねむるとたまごうみ。ねむるは影分身耐久型じゃないと使いづらい技だからたまごうみと考えていいわね

赤沢(耐久に特化してじわじわ削るとしていても、サイキネとたまごうみは必須。候補として影分身、吹雪、剣の舞+物理技、身代わり、どくどく……)

赤沢(本当に型が多くて対処に困るわ)

赤沢(ええい、こうなった以上当たってぶっ壊すだけよ!)



実況『ここでどのような攻撃に出るのかぁー?」


ペルシアンの かげぶんしん! ペルシアンの かいひりつが あがった!

実況『ここで回避率をアップです』

ミュウの つるぎのまい! ミュウの こうげきが ぐーんと あがった!

実況『ここで攻撃翌力をアップです』


赤沢(剣の舞+物理技型!この物理技をくらったらおしまいね。でもこれで型はわかった。なら対処は可能!)


ペルシアンの みがわり! じぶんの たいりょくを けずって ぶんしんを つくりだした!

実況『おーっと、分身を作り出したぁ!』

ミュウの サイコキネシス!

しかし、こうげきは あたらなかった!

実況『おっーと! こうげきがはずれたぁー!』


赤沢(これで見崎さんに優位に立った。あとはきりさくを三回きめるだけ)

赤沢(一度でもミュウの攻撃をかわせれば……勝てる)

赤沢(あの見崎鳴に、勝てる!)


>>168大幅修正




ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー!ダメージは大きいぞー!』

実況『ここで挽回なるか!?』

ミュウの サイコキネシス!

実況『あーっと、分身は消えてしまいました!』



赤沢(くっ)

赤沢(まだまだ!身代わりさえ張れば影分身で積んだ分がまた生きてくる)

赤沢(剣の舞をしてきたってことは、物理技で沈めにくるつもりのはず。ならば身代わり連打で回避を待つ)

赤沢(回避率+1じゃ心もとないけど逆に言えばそれさえ成功すれば)



ペルシアンの みがわり!

実況『おーっと分身を作り出した!』

ミュウの はかいこうせん!

実況『あーっと!こうげきははずれたぁー!』


ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー!』

ミュウの たまごうみ!

実況『ここで体力回復だぁ!』


赤沢(……あぶなかった。物理技で来ると思って身代わりを張っててよかった。あれを食らったらHPが最大でも無理だったわ)

赤沢(あのHPの減り具合。おそらくペルシアンの切り裂くなら確定3発)

赤沢(次のターンに攻撃しても身代わりを壊すしかできない見崎さんは次のターンも回復せざるを得ない)

赤沢(なぜなら身代わりを壊した次のターンのきりさくでミュウは倒れるから)

赤沢(相手は全快になるけどその卵産み、利用させてもらうわ!)


ペルシアンの かげぶんしん!

実況『ここで回避率をアップです』

ミュウの たまごうみ!

実況『ここで体力回復だぁ!』


赤沢(……見崎さんならここで攻撃してくるかもって思ったけど、さすがにここは安牌)

赤沢(私としてもただ切り裂く連打だと2、3ターンに1回復されてしまうし、防御の面で見ても回避率+1だけじゃぬるい)

赤沢(相手が回復するタイミングを見計らって分身。うまくいけば6積みも狙えるかも)





ペルシアンの かげぶんしん!

実況『ここで回避率をアップです!』

ミュウの サイコキネシス! 

実況『きゅうしょにあたったー! おっと、分身は消えてしまいました!』



ペルシアンの みがわり!

実況『おっと、分身を作り出した!』

ミュウの サイコキネシス!

実況『あーっと!こうげきがはずれたぁー!』

———8ターン目終了

恒一「これで両者の状況はほぼ五分かな」

望月「どういうこと?」

風見「赤沢さんの思惑通りにこのゲームはターン数と運の勝負になったんだ」

恒一「見崎が勝つには身代わりを突破して破壊光線をあてればいい。対する赤沢さんはきりさくを三発入ればいい」

恒一「ここで問題が発生するんだ」

恒一「見崎はみがわりを破る必要があるが必ず一発くらう。赤沢さんはその三発を入れる前に身代わりが壊されたら後は回避率次第」

恒一「それを二人はたまごうみと影分身という手で補っているんだ」

恒一「卵産みで三発受けても大丈夫なように回復、影分身で回避率を上げて身代わりと本体を守る、という形でね」

恒一「赤沢さんは二発入れられたらほぼ負けだけど影分身で積んだ回避率がある。そのあたりのリスクを含めて五分なんだ」

風見「この勝負は赤沢さんが身代わりを守れるか否かで勝敗が決する」

風見「見崎さんもそれをわかっていてさっきから身代わり破壊を試みている。破壊光線より命中安定のサイキネでね」



ペルシアンの きりさく!

実況『きゅうしょにあたったー!』

ミュウの サイコキネシス!

実況『あーっと!こうげきがはずれたぁー!』


ペルシアンの きりさく! キュウショニアタッター!

ミュウの たまごうみ! ココデタイリョクヲカイフクダァー!


ペルシアンの きりさく! キュウショニアタッター!

ミュウの サイコキネシス! アッート!コウゲキガハズレタァー!

実況『さぁー両者とも体力は互角!』



ペルシアンの かげぶんしん! ココハカイヒリツヲアップデス!

ミュウの サイコキネシス! アッート!コウゲキハハズレタァー!




赤沢(……フフフ。ミスったわね見崎鳴)


>>169修正





小椋「見崎さんの読みは悪くなかったんだけど。ここで一気に形成が悪くなったわ」

杉浦「……私には今のターン何も思うところなかったけど」

小椋「さっきのミュウのHPだとここで回復じゃなくて攻撃を指示すると、外したら次のターンできりさく確3っぽいから回復が間に合わなくなる」

小椋「だからここは見崎さんは回復させるべきなのだけど、影分身を指示したあたり見崎さんが回復するものと泉美は思ったのよ」

小椋「対する泉美はまだ身代わりがあるし攻めるより回避率上昇の安全策を取ったのね」

小椋「でもその予想に反して見崎さんは身代わり破壊のため攻撃してきた。けど失敗」

小椋「今みがわりを破壊できなかったことでもう一度泉美は積むチャンスを得てる」

杉浦「ふうん。なら次のターン見崎さんは回復するしかないわね」

小椋(……今、泉美が切り裂くを撃てば勝負は決まったのに)


赤沢(由美の言うとおり。見崎さんはここで1ターン無駄にした)

赤沢(今のでサイキネのPPも半分になったはず。同じ轍を二度も踏みに来はしないでしょう、次は必ず回復しに来る)

赤沢(次のターンも私は積む。これで驚異の回避率5上昇!もうここまできたら6積みも5積も変わらないわ)



ペルシアンの かげぶんしん! ココデカイヒリツヲアップデス!

ミュウの たまごうみ! ココデタイリョクカイフクダァー!


ペルシアンの きりさく! キュウショニアタッター!

ミュウの サイコキネシス! 

実況『おっと、分身が消えてしまいました!』


赤沢「!」

赤沢(いまのペルシアンだとサイキネでも落ちるか。でも、まだ私のペルシアンは身代わりを撃てる余裕がある!)


ペルシアンの みがわり! オットーブンシンヲツクリダシター!

ミュウの たまごうみ! ココデタイリョクヲカイフクダァー!





恒一「……切り裂くをひたすら防ぎ続け、みがわりを解除させるまでの長いループに入った」

勅使河原「見崎の残りわざPPであと二発決める必要があるのか、本当に運ゲになってきたな」

風見「このままどちらも有効打がないままこの切り裂く卵産みのPP削り合いのループが続いたら」

望月「赤沢さんの残り一つの技しだいだけど、おそらくゴローニャ突破用のバブル光線か、いざという時の破壊光線か、電撃わざかも」

風見「たまごうみの最大PPはポイントアップ最大で16。このままループが続けば確定三発で突破は無理だ」

恒一「……ひとつだけ逆転の手がある」

勅使河原「……マジかよ、この状況をひっくり返す手があるのかよ?」

恒一「……ある」

勅使河原「それ、なんだ?」

恒一「……ものまねだ」

勅使河原「もの……まね?ペルシアンってものまね覚えるっけ?」

恒一「覚えるよ。もし赤沢さんが使ってないもう一つの技がものまねなら、破壊光線をしのいで卵産みを真似ればサイコキネシスを耐えきれる」

恒一「それだけじゃない。HPが回復出来たらまた身代わりも発動できる。回復後1ターンでも凌げればそれでいい」

恒一「はかいこうせんでもタイプ一致だし、その回避率に任せて反動をやり過ごすこともできる」

恒一「もし、赤沢さんがものまねをずっと隠していたのだったら見崎の負けだ」



ペルシアンの きりさく! キュウショニアタッター!

ミュウの サイコキネシス!

実況『おーっと、ぶんしんが消えてしまいました!』



鳴(……榊原君もそう思うのね)

鳴(なんとか身代わりの破壊はできた。後は運だけどこのループを抜けて残るたまごうみのPPは3)

鳴(……でも、覚えているならこのループに入ってすぐものまねでたまごうみやサイコキネシスを取ってる。取らない意味はない)

鳴(と、なると別の技。でももしものまねを最後まで温存している作戦だったら……覚悟するしかないか」

鳴(それにしても、いつまで続くんだろこのループ)



この直後、見崎がみがわり破りを成功させたがお互いに決定打はなく、そのまま3回ループした。

そして——



赤沢(きりさくの残りPPは3。見崎鳴のHPはまだ3/4、たまごうみのPPはまだ残ってるはず)

赤沢(なかったとしても、あと一回分の回復量は残している……)

赤沢(はあ。こんなことだったらものまねかどくどく覚えさせてるか、恒一君と戦ったときのペルシアンを持ってくるべきだった)

赤沢(望月君の言うとおり、私の最後の技はバブル光線だし)

赤沢(見崎さんの技PPがつきるのと、バブル光線の累積ダメージでミュウを倒すのでは……)

赤沢(……)

赤沢(……ここまでか)

赤沢(あーあ。私なにやってんだろ。これじゃ私恒一君が言ったように見崎さんに責任転嫁して)

赤沢(おまけにみんなの前で負けるなんてバカみたい)



ペルシアンの きりさく! キュウショニアタッター!

ミュウの たまごうみ! ココデタイリョクカイフクダァー!


赤沢(とんだ無能ね、ほんと)

赤沢(しかも見崎さん、この戦いをミュウの試用テストにするつもりでいたみたいだし)

赤沢(————完敗じゃない)ジワッ



ペルシアンの きりさく! キュウショニアタッター!


実況『この一撃で決めるところ!』



ミュウの はかいこうせん!


ペルシアンは たおれた!




実況『しあいしゅうりょ———————————!!!』




赤沢「………ッ!」ボロッ

鳴「……」

赤沢「……私の、負けよ」ボロボロ

鳴「……そんなつもりじゃ」

赤沢「ごめんなさい、見崎さん」ダッ


タタタ……


恒一「……」

鳴「……」

クラス一同(後味悪っ)



はいっ以上が修正点です!
急ぎのところが多々見受けられるのですが回復技をたまごうみに変えてできるだけのことはやりました!
ここで致命的な突込みがまた見つかったらもう現象に遭遇するしか赤沢さんに謝る道はないです

この続き>>171の続きはもうしばらくかかりますてか夕方中は無理でした

あんま詳しくないが、きりさくのきゅうしょ当たりまくっても大丈夫なんだね

>>204さんが指摘したと聞いてマッハで参りました
ちょっとわかりにくいですがみがわりは4回撃っています
>>197でこの直後とありますがすいませんまた誤植しました

>この直後、見崎がみがわり破りを成功させたがお互いに決定打はなく、そのまま3回ループした。
とありますがここを

>見崎がみがわり破りを成功させたがお互いに決定打はなく、そのまま3回ループした。
ということでお願いします。この行でいうループとはミュウの回復二回→攻撃外れのループのことを指しています
ちなみに鳴ちゃんは攻撃技にポイントアップはちょいと使っているのでループ突入した時のミュウの攻撃技PPの合計は11を想定してました
(サイキネ+2、破壊光線+2、これまで消費したサイキネと破壊光線のPPを考えて大体このぐらいかと)
ケンタロスにきりさく打ったことをすっかり忘れていました失礼しました。

あとペルシアンがポイントアップ使ってないって言いますが、身代わり分身実装してますがペルシアン相手に削られない相手はかなり限られるので
長期戦になっても攻撃技PP合計30以上あるんだからポイントアップはほかのポケモンに使ったほうが現実的でしょう

まあ、小椋さんが言っていたようにあそこで安全策を取らずきりさくぶっぱしてたらこんなループに突入することはなかったんですが
そこはあかざーさんペロペロってことで大目に見てあげてください

>>201
理想個体のミュウは攻撃個体値Fのペルシアンのきりさくを乱数で3発耐えきれるので意外と固いです


もうしばらく続きは時間がかかるので女子サッカーでも応援して待ってください

ではお待たせしました>>171の続きです。



女子の入浴時間が終わって、自習時間。勉強を教えるという名目で見崎の部屋へ向かった。


鳴ちゃんルーム



鳴「……そう。杉浦さんに追い返されたんだ。まあ、当然か……」

恒一「……ごめん」

鳴「……」

鳴「……あの場は私が謝れば解決したのに」

恒一「……それは違うだろ、確かに赤沢さんには悪いことをしたと思うけど、でも違うものは違うんだ」

鳴「……本当は榊原君と話してる場合じゃないけど」

鳴「……今は、そのことは置いておこう。榊原君をここに呼んだ理由。わかってるよね」

恒一「……26年前の写真について、だろ?」

鳴「この写真」ピラッ

鳴「榊原君、夜見山岬が誰かわかる?」パッ

恒一「……この、少しぼやけている人だよね。他の人とはちょっと違う。でもそれがどうかしたの?」

鳴「色々驚くかもしれないことだけど……」



見崎が話したことは以下の事だ。

見崎のその義眼———左目は、死の色が見えること。この『死』とは、文字通り死んだ人だ。『色』は赤とも青ともつかない色に見え、右目では決して見えない色だという。

また、これまで何度か眼帯を取って誰かを見ると、その人は死んでもいないのに『死の色』が見えたことがあり、その『見えた人』は

近いうちにヨミヤマミサキと遭遇して廃人と化すことがわかったという。

『死の色』が見えているのに死亡せずにゲーム廃人になっている事に対して見崎は

死んだ人間である夜見山岬の念がその人のゲームボーイに入り込むことで『死の色』が見えたのではないかという仮説を立てた。

その証明のため僕に夜見山岬が写った写真を探させ、本当にこの眼が『死の色』が見える目かどうかを確かめたかったという。

仮説は正しかった。

今までその色———夜見山岬の色と同じ色が見えた人は廃人化したという。

またもうひとつ、見崎の従姉妹の藤岡未咲ちゃんについて。

見崎と藤岡未咲ちゃんは実の双子の姉妹なこと。そして自分はその未咲とポケモン勝負で一度も勝てなかったと言った。

『つよいもの』トーナメントで小椋さんに勝ってベスト4に残った日の事。未咲ちゃんと見崎はポケモン勝負をしたそうだ。

結果は見崎の負け。

そしてこの勝負の一週間後に見崎は『つよいもの』となり、未咲ちゃんは廃人と化し、そのあまりの廃れ具合に病院にぶち込まれてしまったらしい。






鳴「あの時赤沢さんが『つよいもの』の資格があるのかと言ったのはあながち間違いじゃないの」

鳴「『つよいもの』でない期間とはいえ未咲に負けた私が、負けてはいけない『つよいもの』になって本当に良かったのか」

鳴「今までのも私のせいだったんじゃないのかって思うときがある」

鳴「だから、赤沢さんと戦う前に謝った。だけど」

鳴「榊原君が私の味方をしてくれたこと。言うべきじゃないかもしれないけど……嬉しかった」

鳴「でも『上には上がいることを忘れていい気になった』なんて言っちゃ駄目。そんなこと言ったら赤沢さんは怒るに決まってる」

恒一「……僕も言い過ぎたと思ってる。ごめん」

鳴「みんな榊原君の言葉を聞いたんだから、謝るならみんなに言って」

恒一「……」

鳴「……それで、この眼のことをもう少し続けるけど」スッ




そして僕はさらに驚愕の事実を知らされた。


恒一「……えっと、見崎。それ本気で言ってる?」

鳴「やっぱり信じられないよね。でも……事実なの」


見崎の義眼。見崎が眼帯を外した状態でポケモンをやると以下のことがわかるという。

・相手のポケモンの確定数が見ただけで一発でわかる
・絶対に相手に技が当たる

この二つだ。


曰く、確定数がわかるのは『死の色』を見る力がポケモン相手にも働いていることでだいたいの確定数がわかる、とのことだ。

それは相手の個体値と努力値の数値がある程度わかることにつながり、対戦を有利に持ち運ぶことも可能になる。

曰く、絶対に相手に技が当たるのもこの力の及ぶ範囲らしく、死者の存在を見破る眼ならどれだけ命中が下がろうとも回避率が上がろうとも

それに惑わされず『4つの技のうち選択すれば相手に必ず当たる』技を見つけられるというトンデモ理屈によるものだという。


つまり見崎の義眼は見ただけで相手の能力がある程度わかるうえ、ポケモンは対人戦でも常時ヨクアタールがかかっている状態という

まさしくリアルチートを地で行く代物だった。

特にこの『相手に当る技がわかる』力は影分身ゲーな環境に深々とぶっ刺さるであろうことは容易に想像がついた。


恒一「」

恒一「こっ、高性能すぎだろ……」

鳴「霧果もさすがに自分の作った義眼がここまでピンポイントな力を得ていたなんて予想外でしょうね」

恒一「いくらなんでも都合よすぎない?」

鳴「でも見えているものは仕方ないから」

恒一「……えーとつまり見崎が眼帯をしている理由はつまり」

鳴「単純にあまり人に見せたくないのもあるけど……眼帯をはずしてプレイしていたら、さっきの運ゲーはあんなに泥沼化しなかった」

鳴「高林君じゃないけど、これはフェアじゃない」

恒一「ってことは、きみは常時リミッターがかかっているから本気で戦えてなかったってことか……」

鳴「ううん。私はいつでも本気。————と言っても説得力なさそうね」



恒一「まあね……よかったら明日僕と対戦してくれないかな?眼帯とって」

鳴「いいよ———あ、明日はだめ。用事があるから」

恒一「用事———そういえば見崎は管理人からポケスタの使用許可を取ってたけど、その関係?」

鳴「あれには97年度の全国大会上位入賞者のデータがあるの。それに」

恒一「それに?」

鳴「……デマかもしれないけど。ポケスタをある条件でクリアするとあるポケモンが入手できるみたいのなの。それを確かめたくて」

恒一「ああ……あれか。僕もまだあの噂が本当かどうかわからない。確かめてもらってもいい?」

鳴「もとからそのつもり」

鳴「意外性があるしもしかしたら対ヨミヤマミサキのポケモンとして使えるかもしれない。デマじゃなければ、だけど」





鳴「榊原君……未咲の話、もう少し続けていいかな?」


見崎の話は続いた。自分にポケモンについて教えてくれたのは未咲ちゃんだったこと。

未咲ちゃんは自力で三値の存在を発見したり、カウンターフーディンなどの戦術自分の力でを考え出して見崎に教え込んでいたらしい。

三年三組のみんなより先だって未咲ちゃんから三値など本格的な対戦のいろはを教え込まされていなければ『つよいもの』は今頃

お兄さんからコーチを受けていた小椋さんか赤沢さんになってたと見崎は言った。

また見崎曰く未咲ちゃんは「ゲームの申し子」であり、眼帯を外した自分でも未咲ちゃんには勝てなかったという。


鳴「そんな未咲も、ヨミヤマミサキには敵わなかった」


鳴「『つよいもの』にはなったけど、正直実際ヨミヤマミサキと戦っても勝てる自信はどこにもなかった」

鳴「私よりずっと強い未咲が負けて廃人になった姿を見たからね」

鳴「だから私は眼帯をして、もっともっと強くなろうって思ったの」

鳴「この眼に頼らない強さが欲しかった」

鳴「だけどそれでも勝てる気がしなかった。あの未咲を倒した相手にはとても」

鳴「でも」

鳴「榊原君が今日、言ってくれたよね」

鳴「あの言葉を聞いて———はじめてヨミヤマミサキと戦えるって思ったの」

鳴「だから、私からも言わせて、榊原君—————————」





合宿所の夜は更けていく。

自室にいないことが怜子さんと千曳先生にばれないうちに、見崎の部屋を後にした。


はいっさんざん引っ張って投稿できたのはこれだけです
書きだめ消失と全修正によって負ったダメージは思った以上に大きかったようです

原作アニメ漫画では存在しない幻の合宿二日目に突入します。ここで勅使河原の乱入を期待していた人ごめんなさい
彼の突撃から物語は変わるのでそう簡単にてっしーを突撃させるわけにはいかんのです

あと意図的に原作アニメ漫画にはあった部分を省いていますのでそこは後々に。それでは突っ込みどころを再びお待ちします



合宿二日目は以下のような予定になっている。

午前6時半に起床。すぐに全員ジャージに着替えて中庭に集合し、朝の体操も兼ねて夜見山神社にお参りする。

お参りした後は清掃を行って合宿所に戻り、朝食をとる。

朝食をとった後は各自ポケモンの育成を行ったり対戦する時間だ。しかし朝からぶっ通しでゲームをしては

眼に負担がかかるので、怜子さんと千曳先生が定めた時間に全員休憩をとる形だ。

昼食後も同じような流れで、夕食後は一日目と違い入浴後もポケモンの育成ができるようになっている。

現在僕たち三年三組は夜見山神社から帰ってきて朝食を取り終え、ポケモン育成の時間を過ごしている。

僕はというと、見崎の部屋でポケモンバトルをしている。

少々実験的なパーティを組んでみて、見崎が義眼について言っていたことがどこまで本当かどうか確かめるためだ。

結果は————



恒一「」チーン

鳴「………そのパーティだったらそうなるよ、榊原君」

恒一「本当のことだったのか……」

鳴「これでやっと信じたでしょ」

恒一「回避率+6に命中率-6にしても技がことごとく当たるからね。影分身ゲーが崩壊した瞬間を見たよ」

恒一「その状態でメガトンキックが当たるかフツー」

鳴「計算してみたけど単純計算でも当たりようがないね。つくづく封印していてよかった代物だと思うよ」


この戦いで見崎が使用したポケモンはチャンピオンロードで捕まえたゴーリキーに"メガトンキック"、"メガトンパンチ"、"じごくぐるま"、"きあいだめ"という技構成。

対する僕の手持ちはハナダのどうくつで捕まえたユンゲラー2匹。フラッシュと影分身を覚えさせ、後の二つはリフレクターと自己再生と

攻める気がまるでない技構成にして、本当に技が当たる技のか見せてもらった。

レベル差がありユンゲラーにリフレクターとじこさいせいがある分昨日のペルシアン戦より状況は悪いはずなのだが

見崎はこれら命中率に難ありの3つの技をランダムに使ってきてそれらがすべて命中しているという嘘みたいな状況を作り上げていた。

そして見崎が『ユンゲラーにあと何回技を当てれば勝てるか』宣言し、その宣言通りにユンゲラーは倒れたのだ。

義眼の力は本当だったのである。


恒一「ねえ見崎。これならケンタロスに角ドリルと地割れを覚えさせてあとは影分身とふぶきにしたら無敵なんじゃないの?」

鳴「試したことあるけど、一撃技を撃てって義眼が教えてくれることは少ないの」

恒一「そうなんだ。まあ、もしそうなら反則ってレベルじゃないよね」

鳴「当たるときは当たるんだけど、ね」

鳴「そういえばあれから赤沢さんとちゃんと話はできたの?

恒一「それが……」


あれから赤沢さんに避けられているらしく近づくとすぐ離れて行ってしまう。

和久井君は赤沢さんと話ができたようだが、僕は赤沢さんと気まずい雰囲気になってしまっている。



鳴(……赤沢さん、ちょっと気の毒かも)

鳴「仕方ないよね」

恒一「和久井君はよくて僕はダメなんだ。まあ僕は和久井君と違って対立してたんだから仕方ないんだけど」

鳴(それだけじゃないのに榊原君は気付かないんだ)

鳴(鋭いんだか鈍いんだか)

恒一「これからどうしたらいいと思う?」

鳴「自分で考えて。……と言っても、私にもこうなった責任はあるわけだし」

鳴「それに私もどうすればいいかなんてわからない」

鳴「こんなことってあまりなかったから」

恒一「……そっか。じゃあ二人で……」

鳴「ごめん榊原君、私これからポケスタやらないといけないの。それじゃ」ガタッ

恒一「……」

恒一「僕は見崎にも嫌われているのかな…?」




恒一「……なんてことがあったんだ。どうすればいいんだ勅使河原」

勅使河原「知るか自業自得だ」

望月「勅使河原に同じ」

恒一「僕としても赤沢さんと仲悪いまま合宿終わるのってよくないと思う。それにこういう状況あまり慣れてないし……」

望月「とにかくまず赤沢さんと話をするところから始めないと」

恒一「……なかなか難しくて」

勅使河原「……っはあ、仕方ねーなあ。手伝ってやるよ」

恒一「本当か?」

勅使河原「赤沢がああだと女子の雰囲気も暗くなるんだよ。全く」

望月「何か考えがあるの?」

勅使河原「一応赤沢と話ができる状況ぐらい取り計らってみる。これがダメならもうあきらめろ」

恒一「わかった。頼んでいいか?」

勅使河原「ああ」

恒一「ありがとう勅使河原」

勅使河原「あーあここに中尾がいたらなんて言うか……ところでサカキ、お前もうポケモンの育成は終わってるのか?」

恒一「あらかたね。何匹か育ててみたい個体はあるけど、ベストメンバーはほぼ完成したってところかな」

勅使河原「サカキのスタメンか。一度見て見たいぜ」

恒一「だめだ。綾野さんがヨミヤマミサキに遭遇した時の話から考えたら勅使河原にガチパを見せるのはちょっと」

勅使河原「……確かにな。ボックスにいたポケモンが手持ちに加わってるなんてこともあったし」

望月「だからみんな手持ちを各自ロムに分散しているんだよね」


綾野さんの一件が知れ渡ったことで、パーティを形成したら2匹以上は別のロムに移すことで

ヨミヤマミサキ出現を封じるという対策を取っている。この対策は杉浦さんと風見君が考えたものだ。

この対策がうまくいっているのか、綾野さんの廃人化から今日にいたるまで廃人化した生徒は出ていない。


望月「この対策なら卒業まで行けそうだと思うんだけど、二人ともどう思う?」



恒一「ガチパを用意しないっていう条件的に見れば現段階で打てる最高の対策だろうね」

勅使河原「俺もいい線いってると思う。これゲームの種類によっては来年もこの対策で行けるんじゃね?『つよいもの』対策と合わせて」

恒一「さすがにデータが分散されていたらヨミヤマミサキも手が出せないはずだ。この対策と三年三組の強化合宿はうまいシナジーだと思う」

恒一「だけど、それじゃ綾野さん達廃人が元に戻らないんだよね」

勅使河原「……俺今からひどいこと言うけど」

勅使河原「それでいいんじゃねえ?綾野達は犠牲になったけど俺たちはその犠牲でようやく有効な対策が見つかったんだ」

勅使河原「これで俺たちはヨミヤマミサキに遭遇する確率は減ったんだ」

勅使河原「仕方ねえよ……」

恒一「勅使河原の言うことも一理ある……僕はこれから理想的なことを言うけど」

恒一「この対策を講じてまだ1か月も経っていない。対策が破られていない今のうちにヨミヤマミサキを倒せたら」

恒一「そしてできればこの禍根を断ち切りたいと思ってる。今はまたとないチャンスだと思うんだ」

望月「どっちにしても廃人は出る」

望月「ありがとう。杉浦さんから二人がこの対策をどう思っているか聞いてきてほしいって言われてたんだ」

勅使河原「杉浦から?」

望月「うん。僕から二人に言えばあとは勝手に伝播すると思って。特に榊原君からは見崎さんの意見を聞けるし」

恒一「直接聞けばいいのに」

望月「事情があるんだよ」

勅使河原「望月。俺はさっき言ったようにいい線言ってるって杉浦に言っといてくれ」

恒一「僕も同じだ、現段階で打てる対策としては最高だって言ってくれないか」

望月「わかった。じゃあ伝えておくね」

望月「榊原君はこれからどう過ごすの?もうパーティもほぼ完成してるんでしょ?」

恒一「他のみんなのパーティを見たり人と対戦してパーティの穴を見つける作業をするよ」

恒一「使ってみたいポケモンもいるし。あと赤沢さんの件もあるし。勅使河原本当に頼む」

勅使河原「任せろって」





一方、食堂では


鳴「………なるほど、だいたいの仕様はつかめた」

鳴「技の仕様がいくつか変わっていて、CPUのAIは大したことはない。初手破壊光線もあまり脅威に思わない」

鳴「ただスターミーに関しては相性悪くても出してくる場合があるから、変な手を撃たれて負けないように気を付けないと」

鳴「……さて」

鳴「あと1週ぐらい回ったらこの子を投入して噂を確かめてみるか」



鳴(問題はポケスタでもガチパ投入してヨミヤマミサキが出現する可能性)

鳴(出すポケモンは3匹だからどこかでうっかりガチ構成になって不意打ち出で来る可能性……あるかもね)

鳴(と、なるとパーティ構成は3匹ちょいガチ、3匹お遊びがよさそう)

鳴(スピアーとピカチュウ、あとイワークを遊びに。あとの3匹はケンタロスとスターミーとナッシー。どれもテンプレ構成)

鳴(選出はちょいガチ2匹+遊び1匹の構成でいくか。これならヨミヤマミサキは出現しないはず)

鳴(………)

鳴(なんでヨミヤマミサキは相手が精神的にもデータ的にも最高の状態の時にだけ現れるんだろう)

鳴(自分が最強ということをアピールするため?)

鳴(………)

鳴(……戦う機会があればその時に考えるか)



ガチャ


鳴「……?」

赤沢「……」

赤沢(ああ、そういえば昨日ポケスタやらせてって管理人さんに言ってたっけ)

赤沢(私に勝つのが条件だったか)

赤沢(ちっ)

鳴「……」

鳴「……榊原君、赤沢さんと話したいことがあるんだって」

鳴「聞いてあげないの?」

赤沢「………どうせあなたに責任を押し付けたことを言われるにきまってる」

赤沢「勝ったのはあなたんだから」

鳴「……言っておくけど、私が戦ったのはあくまでポケスタの使用権がほしかったのと、ミュウを実戦で使ってみたかったから」

鳴「あれこれ考えて戦った気はない」

赤沢「あなたがそう思っていても私は違うのよ!」




赤沢「だから私は関係ない、そう言いたいの?恒一君はあなたのために立ち上がって、その恒一君のために戦ったんじゃないの?」

鳴「……」

赤沢「何か言いなさいよ」

鳴「……どうして和久井君の話は聞いて、榊原君の話を聞かないのか。教えてくれない?」

赤沢「はぐらかさないで。あなたは恒一君のために戦ったんじゃ」

鳴「戦ったよ」

鳴「戦った。榊原君を———私と一緒に戦ってくれる人にこんなことで心配をかけさせたくなかったから」

鳴「……答えたよ。次は赤沢さんが質問に答えて」

赤沢「わ、私は……」

鳴「……」

赤沢「私は……」

鳴「……」

鳴「扉の外、赤沢さん以外に誰かいた?」

赤沢「何のつもり?ここにいるのも、ここに来たのも私一人だけ」

赤沢「食堂の使用許可を取っていることは周知のことだし、あなたの邪魔をしに来る人はいない」

鳴「そう……よかった」

鳴「私の話を———していいかな?」



・・・・・・・・ごめんなさい力尽きてしまいました今日はここまで
予想以上に難航しています・・・・・・ちゃんと完結させますのでみすてないでください・・・・・・では質問があれば次回お答えします





結局、夕食まで赤沢さんとは一言も口をきけなかった。

昼食後に勅使河原が便宜を図って一度赤沢さんと話す機会が生まれたが、赤沢さんは一言も口をきいてくれなかったので無意味な時間となった。

勅使河原にそのことを話すと「ま、赤沢も気まずいままなのはヤバいのはわかってるし」と特に気にした様子はなかった。

仕方がないので僕もポケモンの育成や対戦に精を出し、ポケモン合宿らしくポケモン漬けになった。

見崎はというと、午前中はずっと食堂に引きこもってポケスタをプレイしており話を聞くと「最早ヌルゲー」と言っていたので心配はなさそうだ。

あと少しやり込める時間があればレンタルポケモンだけでトーナメント完全制覇もできるかもだと。

見崎が気にかけていた噂の事について聞いてみると、もう検証は済んでいて噂は本当だったからまた昨日と同じ時間に部屋に来てと言われた。

他にも望月が杉浦さんから僕と勅使河原の『対策』についての見解の返答を聞いたということで教えてもらった。

これを受けた杉浦さんの考えは『対策が破られる前に更なる対策をしなければ』だということらしい。

更なる対策がどんな対策なのかはまだわからないが。

そんなことがあって、時は流れて夕食の時間。

再び赤沢さんが席を立ちあがった———かと思うと見崎と杉浦さん、風見君を連れて食堂から抜け出した。

それからしばらくして三人が戻ってきたとき、赤沢さんが言葉を発した。



赤沢「これから新しい対策……いいえ、ヨミヤマミサキを倒す方法を発表します」


宣戦布告だった。


赤沢「この方法は見崎さん発案のもと、対策係で検討した方法です」

赤沢「そのために……みんなに残酷なお願いをすることになるけど、聞いてくれるかしら」

勅使河原「ちょっ、ちょと待った」

赤沢「何?」

勅使河原「ヨミヤマミサキを倒すって言ったって、今こうやってガチパ分離の対策がちゃんと効いてんだぜ?」

勅使河原「この対策が効いているんだからわざわざ自分からヨミヤマミサキと戦いに行くことはねーだろ。おい見崎、いったいどういう———」

鳴「三対三」

鳴「三対三でもその三匹がパーティの主力を担えるなら、それだけでヨミヤマミサキが現れる条件は満たされている」

鳴「条件さえ満ちていれば、あとは自信をつけた瞬間にボックスから手持ちにポケモンが移動して強制的に戦闘が行われてしまう」

鳴「綾野さんがそうなったようにね」

勅使河原「ならパーティの主力を分散させてしまえば」

鳴「現環境だと自分のガチのパーティがどう分散させて組んでも互いの穴を補えるポケモンと技構成になる。ふたつのロムにガチパを三匹ずつ分離させても」

鳴「組んだパーティに致命的な弱点がない限りその三匹は十分三対三で戦えるだけのポテンシャルなの」

鳴「ポケスタを使ってガチパの一つ手前のパーティでほぼすべての組み合わせを試してみたけどどれも十分な活躍を見せてくれたし」

勅使河原「だとしてもヨミヤマミサキがこれまで現れたのは全員フルバトルの時なんだろ?三対三で現れたことなんか」

鳴「ある。……一度だけ」

赤沢「このあたり詳しい話ははしょるけど、見崎さんの言うように三対三でも出現する可能性があるってことはわかってほしいの」

赤沢「このことを踏まえて、みんなにお願いがあるの」

恒一「……どんな話かだけは聞かせてもらえないかな」

赤沢「………」

赤沢「それは——————」


>>131の者だが、初代だとゲンガーの技構成って何がオススメ?

知識は小学生で止まってる。このスレで結構学んだけどw
今の構成は催眠術、怪しい光、サイコキネシス、10万ボルトなんだけど

三日ほどお待たせしましたようやく続きを投下できる状態になりました。

>>228さん
特殊130なのでミュウツーに次いで高威力の不一致10万が放てるのはひそかな魅力かもしれません
この技構成でポケスタ2をやって使いやすいと思ったらその技構成で正解です
ただ地味に火力が足りない時があるのですが催眠や怪しい光でカバーできる範囲内。ナッシーにあたったら即催眠か退散推奨です




昼食前、食堂でのこと


赤沢「見崎さん!それ本気で言ってるの!?」

鳴「正気の沙汰じゃない、と思うでしょ」

赤沢「ふざけてるとしか思えないわ」

赤沢「あなたの従姉妹のことはともかく、その眼のことといい、今言ったことといい———三組を全滅させるつもりなのあなたは!」

鳴「……そうだね」

鳴「そう、なるかもしれない」

赤沢「冗談じゃない!やっぱりあなたは『つよいもの』の資格なんかないのよ!そんなことをしようとするあなた自体が災厄よ、見崎鳴」

鳴「だけど、いざヨミヤマミサキと戦って勝つとなるとそれしか道はない」

赤沢「……私に勝って、あなたの従姉妹も、由美のお兄さんも負けたからって現夜見山最強のつもりで言ってるの?どこまで浮かれていれば…!」

鳴「あなたがどう思おうか勝手だけど、その二人が負けているから私だけで戦うのは無理なの」

赤沢「だからって」

赤沢「『全員ガチパを手持ちに加えてヨミヤマミサキを呼び寄せ、全員であらゆる戦術を投入してヨミヤマミサキの弱点を露呈させる』なんて」

赤沢「……みんなに捨て石になってくれ、の間違いでしょう」

鳴「ざっくり言うと、そうなるね」

赤沢「論外だわ。百歩譲っていくら眼帯をとったあなたが昨日の私を瞬殺する力があるといっても危険すぎる」

赤沢「それでもなお、今の対策をやめてまでヨミヤマミサキと戦うリスクを冒す価値はあるかしら?」

鳴「価値は———」

赤沢「ないでしょう?」

鳴「聞いて」

赤沢「聞きたくもない」

鳴「今の対策が意味をなさなくても?」

赤沢「!?」

鳴「自分のパーティを二つのソフトに分割する、その方法だとだめだとしたら?」

赤沢「……話を聞かせてもらおうかしら」

鳴「これまで対策係が調べてきたのは全員フルバトルで戦ったときの話。でも未咲だけは三対三で戦って敗北した」

鳴「この時点でパーティを三匹に分けるという対策は通じない」

鳴「今のポケモン環境のトップメタはわかるよね。それらを分割したところで自分の力を存分に出す三匹はそろうことになる」

鳴「夜見山じゃ対人戦は3対3が主流になってるから、パーティを平等に分散しても、その3匹だけでも十分戦える力がある」

鳴「そして、綾野さんのようにボックスから手持ちに引きずり出されるケースから考えて、この対策もそろそろ意味がなくなる」

鳴「そう簡単にソフトを三つ所有できる環境はない。主に金銭面の問題でね。他の人のカートリッジに移しても、自慢のポケモンを借りるってことだからなお危険につながる」

赤沢「確かにそうだけど、それで現象を回避できるなら」

鳴「でも非現実的で事故も発生しやすくなる」

赤沢「……」



赤沢「……それで、それがどうヨミヤマミサキを倒した方がいいという結論にたどりつくの?」

鳴「……ヨミヤマミサキはこれまで戦ってきた相手に印象に残ることをいくつか行っている」

鳴「音源にない自分専用の戦闘BGMを持っている。また、ポケモンマスターとゲームの中で名乗っている」

鳴「それに相手が最高の状態になったときに現れる———別格の存在として現れたい、自分は最強だ、という意思がここに感じられる」

赤沢「……ヨミヤマミサキに意思があるとでも」

鳴「私はそう考える」

鳴(あの松永さんのテープに残された『自分が知られたくない』と思った部分を取り除いたであろうことも類推して、その結論)

赤沢「……仮に」

赤沢「ヨミヤマミサキに意思があるとして、それがどうしたの」

鳴「私の予想だと、今のヨミヤマミサキは私達三年三組の実力を測りかねていて、余裕のない状態の可能性がある」

赤沢「……?」

鳴「ヨミヤマミサキと戦った順番はわかる?」

赤沢「当然よ。最初にあなたの従姉妹、次にゆかり、次に高林君、水野君のお姉さんと久保寺先生、中尾、由美のお兄さん、そして彩」

鳴「強い順番で並び替えると?」

赤沢「……あなたの従姉妹と由美のお兄さん、ゆかりと彩、久保寺先生、中尾、高林君、水野君のお姉さん。これがどうかしたの?」

鳴「おそらく、ヨミヤマミサキは最初に未咲と戦ったことで強さの基準が狂いだしたんだと思う」

鳴「人は何かと何かを比べる時、最初に出てきたものを基準にするの。で、基準を未咲としてヨミヤマミサキは現象を開始した」

鳴「夜見山最強の未咲を倒してポケモンの実力のアベレージの高さを感じて、次に桜木さんで下方修正」

鳴「クラスで最も下に位置する高林君と、ほぼ一般人の水野君のお姉さん。この二人で大幅な下方修正を行い」

鳴「それから久保寺先生と中尾君と戦って上方修正、次にまた夜見山最強クラスの小椋さんのお兄さんと戦い、綾野さんと戦い———」

赤沢「何が言いたいの?」

鳴「これまでヨミヤマミサキが戦った人物の中で中間に位置する実力者がいないってこと」

赤沢「いるじゃない中尾と久保寺先生が」

鳴「中尾君は確かにこのメンバーの中で見れば真ん中に位置しているけれど、中尾君はあれでもトーナメントベスト8に残る実力者」

鳴「三値を熟知しあらゆる考えに基づいて環境を作る、たぶん全国的に見ても修羅の国のようなこのクラスのベスト8ときたら相当な実力なの」

鳴「水野さんのお姉さんは三値とかポケモンの育成もあまり考えていないことを考えたら、その辺のずぶの素人と中尾君を比べたら相当な差がつく」

鳴「強さを折れ線グラフにするとわかりやすいけど、Vの字で実力が推移しているのがわかる?」



 強い  l未咲     小椋兄
l
l    桜木       綾野
l
l 久保寺 中尾
l
l     
l     高林
l
l
 弱い  l 沙苗さん
-----------------------------------------------------
    4月  5月



※ずれていたらごめんなさい


赤沢「由美のお兄さんと彩でちょっと下がったってところか」


やはりずれたし


 強い  l未咲      小椋兄
     l
     l    桜木        綾野
     l
     l 久保寺 中尾
     l
     l     
     l     高林
     l
     l
 弱い  l 沙苗さん
-----------------------------------------------------

    4月  5月


これでずれたら現象さんのせい



赤沢「見崎さんあなたもう少しうまくグラフを描いてくれない?わかりにくいわ」

鳴「私のせいじゃない」

鳴「……まあ、グラフの表示はともかく」

赤沢(誤魔化しやがった)

鳴「それだけ実力に落差があるデータじゃクラス全体の力量は図れないのはわかってくれた?」

赤沢「……とりあえず」

赤沢「データを取って、クラス全体の力量を図ることに何の意味があるの?」

鳴「夜見山岬はゲームの名手なのは知ってるよね。もし、これをゲームの中の世界と考えてみて」

鳴「『夜見山』というステージに『三年三組』というダンジョンがあって、それを攻略するRPGゲームをヨミヤマミサキがプレイしているとすると」

鳴「このクラスをヨミヤマミサキが『攻略』するつもりでいるなら、三年三組というダンジョンに潜む『敵』の強さがピンキリだと」

鳴「雑魚だと思っていた敵が思わぬ強さだったりでうっかりミスの危険があるから『攻略』は難航する」

鳴「そして今、私達はこのパーティ分離策である程度凌ぎダンジョンの『攻略』難易度を上げている中で実力アップの合宿に挑んでいる」

鳴「どういうことだかわかるかしら」

赤沢「ダンジョン攻略が難航していると敵が全体的に強くなってやってきた」

赤沢「また攻略が難航して、相手の全貌が見えない今こそヨミヤマミサキを倒すチャンスがある。というわけ?」

鳴「……」コクリ

赤沢「ならなぜみんなを捨て石にするような真似をするの」

赤沢「その理屈だとヨミヤマミサキは戦えば戦うほど私たち『敵』の力量を正確に測れてくるってことにならない?」

鳴「ヨミヤマミサキには意思があるかもしれない———もしヨミヤマミサキが私達と同じように『疲弊』するとしたらどう?」

赤沢「ありえないわ。相手は怨霊のようなものでしょう」

鳴「私もそう考えていた。だから調べてみたの」

鳴「これまでヨミヤマミサキが現れたという年度を調べると、ヨミヤマミサキが一日に出現した回数で最も多いのは3回」

鳴「その年はこの3回出現した日の次にヨミヤマミサキが現れたのはその約一ヶ月半後」

鳴「これはヨミヤマミサキが出現しなかった期間としては最長になる」

鳴「その間に行われた対策で有用と思われるものはなかったと千曳先生は言っていた」

赤沢「えーと、この一か月半の間に体を休めていたってこと?ヨミヤマミサキが?」

鳴「また、未咲が倒された後桜木さんがヨミヤマミサキに負けるまでのスパンなんだけど」

鳴「私が『つよいもの』になった一週間後に倒され、桜木さんは五月の中ごろに倒された。その期間は現在最長」

鳴「また桜木さんの直後立て続けに高林君がやられたことを考えると」

鳴「ヨミヤマミサキは戦った相手のに見合った休息を必要としていると予測できる」

鳴「そして今、ヨミヤマミサキは小椋さんのお兄さんと綾野さんという二人の強敵と戦った後の期間にいる」

鳴「ヨミヤマミサキが疲弊し、私達の実力が確実に上がっているこの今しか私達が勝てるタイミングはない」

赤沢「……なるほど。ようやくわかったわ」

>233
おお、なんと!ありがとうございます!
時系列的には綾野さん→小椋兄の順ですがまあグラフ的には誤差の範囲内




赤沢「……なるほど。ようやくわかったわ」

赤沢「ヨミヤマミサキが、最高の状態でポケモンバトルに臨める相手がいると戦いを挑む性質を利用して」

赤沢「最高の状態をみんなが保っていることでヨミヤマミサキをわざと引き込み」

赤沢「休息を取らせず次々と戦わせるという人海戦術をとるつもりなのね」

赤沢「私達『敵』の全貌がつかめないのにその『敵』が向こうからやってきて、休む間もなく次々と『敵』が現れて」

赤沢「体力をそぎ落とされていずれ力尽きる———と」

赤沢「あなたの言ったことはある程度筋は通っている———でもこれが失敗したら?」

鳴「文字通り終わり————だけど、これだけ短期間に一気に戦ったらもう当分は現れないと思っていい」

鳴「1日3回出現すると、次に現れたのが一か月半後という長いスパン」

鳴「その時に強者と戦ったらヨミヤマミサキの休息期間はかなり引き伸ばされる」

鳴「負けても私達の廃人化と引き換えに現象は『止まった』と言えるぐらいの空白期間を得られるはず」

鳴「これならこの合宿に来ていない人達だけは守れるようになる」

鳴「勝ったらそのまま現象は止まる。負けても形の上では現象は止まる。払う犠牲はほぼ同じ」

鳴「———以上が私の提案。これをどう扱うかは赤沢さんたち対策係に任せたい」

赤沢「———わかった。考えておくわ。あと見崎さん、ひとつ疑問があるのだけど」

鳴「何?」

赤沢「みんなをどうやって『最高の状態』にさせるつもり?」

赤沢「私とあなたの対戦で、あなたがいまだ健在ということが明らかになった。」

赤沢「ヨミヤマミサキを出現させるには『最高の状態』を作る———実力に高い自信を持たせることが必要なのに」

赤沢「あなたは私との戦いで実力を見せつけたことで何人かの自信を折っている可能性がある」

赤沢「そうなるとあなたがいう理想の状態は難しいわよ———どうするつもり?」

鳴「簡単」

鳴「それは——————」





食堂。



赤沢「————皆さん全員見崎さんと戦ってもらいます」



赤沢「見崎さん」

鳴「……」スッ

恒一「ゲームボーイが二つ……?」

赤沢「夜見山ローカルルールのもと三対三。二人一組で戦ってもらいます。何か意見は」

勅使河原「はいはいはい!」

赤沢「どうぞ」

勅使河原「ヨミヤマミサキを倒すのに見崎と戦ってどうすんだ?さっきの答えになってねーじゃん」

赤沢「私達は短い期間ながらもこの合宿で力が付いたかと思う。その確認のため、見崎さんが全員を相手にして成長度合いを測るの」

赤沢「和久井君の言うとおりここまで廃人が出た今『つよいもの』対策の機能も失われてきている今、仮に見崎さんが負けても現状は変わらないと考えました」

赤沢「これには見崎さんも同じ考えです」

鳴「……」

恒一「見崎、本当?」

鳴「……赤沢さんが今言った通り」

鳴「私もそう思っている」

恒一「……」

赤沢「成長度合いを測った後は、私達対策係が集めたデータと各自の戦術を組み合わせてヨミヤマミサキに対抗できるようにします」

赤沢「そう、全員が今の見崎さんと同じくらいのレベルに引き上げられるぐらいの力に————」

望月「ちょっと待って」

望月「そんな方法で本当にヨミヤマミサキに対抗できるの?」

赤沢「……それは、わからない」

赤沢「けれど、そいつに勝つには全員の力を底上げして、全員で何か策を練っていかないとヨミヤマミサキとは戦えない。私はそう思う」

望月「風見君と杉浦さんも同じ?」

風見「……うん」

杉浦「そうね」

赤沢「もともとそのための合宿でもあるし……あと、私達が力をつけることにはヨミヤマミサキの出現にも大きく関与するの」



あかざーさん説明中・・・・・・


小椋「————そんな行動パターンがあったなんて」

恒一「戦った相手の実力や戦闘回数でヨミヤマミサキが出現する期間が違う———なんて考えたこともなかった」

赤沢「……だから、残酷なお願いになるかもしれないって言ったの」

赤沢「みんなの実力が上がれば、たとえ負けても次出現するまでに長期間の時間稼ぎが可能となる———なんて、残酷よね」

恒一「……」

金木「いいわ、それでいかない?」

松井「いいんじゃない、それで」

川堀「…ま、今やってる対策がずっと続くわけじゃないもんな。ガチパ分離策もいい線言ってると思うしそれから派生した対策が出ることを期待してもいいよな」

有田「遭遇しなければただ実力が上がったってことで終わるし」

望月「僕も……今この時期がその休息の期間だとしても、今の対策が本当に効果がないのかまではわからないしね」

勅使河原「……ってかまた見崎と戦うのかよ……」


ワーワー


鳴「……榊原君は納得した?」

恒一「あまり」

鳴「……だと思った」

恒一「見崎、なんか隠してない?」

鳴「………それより、赤沢さんと話せたね」

恒一「話を……っ、あれで話せたっていえるかな?」

鳴「大丈夫、もう榊原君の事は怒ってないと思うから」

鳴「あと、私が全員と対戦して終わった後でいいから、また私の部屋に来て」

恒一「てことはやっぱり何かあるんだね」

鳴「……榊原君に言わないままだと、約束破っちゃうことになっちゃうから。もう約束は破らない」

鳴「だから、ね」

恒一「……わかった。じゃあ、それまで今の事は何も質問しないでおくよ」

鳴「ありがとう」


杉浦「最初は榊原君と由美から見崎さんと戦って」

恒一「二対一だけど手加減はしないよ」スッ

小椋「『つよいもの』トーナメントで戦って以来ね。手、抜かないでよ」スッ

鳴「わかってる」

恒一・小椋「それじゃ通信ケーブルを繋いで、と……」






—————————————





鳴「簡単」

鳴「パーティを二分割して、三対三のポケモンバトルを二人同時に相手して行って」

鳴「私が全勝負ギリギリのところで負ければいい」


バトルなし&また短い内容で申し訳ございません!
こっから先はごたごたするのでまた次回に回します!たぶん次々回が最終回になるかと思います!
それではこの内容に突っ込みがある方はいらっしゃると思うのでお待ちしています!

なんじゃぁこりゃぁ…3値だの種族値だの個体値だのFだの全然分からない…
でもこのスレの閲覧者は皆当たり前のように語れるってどうなってるの…
ポケモンバトルってここまで奥深いものだったのか…


とりあえず>>138で藤巻さんが登場してるのは単なるミスでしょうか?

>>239
王子「僕があのときはぶられたのは藤巻さんのせいだったのか……でも今更合宿所から出ていけなんて言えないし……」


王子「ん?なんだこれ。なになにー……」

王子「『本編の書きだめが一向にたまらずストーリーが進まないので小休止を挟みます』」

王子「『今回は>>239さんのようについてこれない方がいらっしゃるので、初代の対戦について描こうと思います』」

王子「『このスレで小休止と言えばまたまたあの子が出張るのでそれで本編遅延のことは許してください』」

王子「『あ、ちなみに藤巻さんはそのまま合宿参加ってことにしてください』」

王子「『本編はこれから24時間以内に投下できるようにがんばりますのでどうか支援よろしくお願いします』」

王子「……メタ的な意味で見てはいけないものを見た気がする」



小休止 〜三値と当時の厨ポケ達〜



多々良さんとは勉強を見つつポケモン勝負も時々やるような間柄になった。

今回も例によって図書室で勉強———とはいかず、どうせポケモン勝負もやるんだから別の場所で勉強しよう、と多々良さんが提案してきた。

僕が知る中で、勉強もゲームもできる場所といったら真っ先に思い付いたのがイノヤだったので、学校が終わるとイノヤへと向かった。




恒一「———これでxの長さは出たでしょ?」

多々良「えっ、榊原君ここはこの計算じゃなくて————」

恒一「———あっ、本当だ……てことは———なるほど、じゃあ答えはx=4y+2でいいんだ」

多々良「教えてるつもりが教えられちゃったわね」

恒一「ほんとだね」

恒一「じゃあ今日はここまでかな」

多々良「榊原君。最近勉強時間の切り上げ早めてない?」

恒一「そう?」

恒一「早く多々良さんと戦いたくてうずうずしてるのかな」

多々良「榊原君ったら……。今日は、ポケモンの授業もお願いできるかな。実戦じゃなくて講義で」

恒一「ああ、ポケモンの……でも多々良さんは何回か上位の成績を出してるよね」

多々良「あれはたまたま。実のところ私あまり三値のこととかわかってないの。知識としてはわかるけど、いざ実際にやるとなると」

恒一「時間かかるからね」

多々良「だから、もう基礎から教えてくれない?」

恒一「いいよ。じゃあまず三値からね」

多々良「三値……種族値、個体値、努力値の三つね。どれも公式発表された名前じゃなくてプレイヤーが勝手につけた名前なのよね」

恒一「うん。どれも隠し要素として存在してるけど、努力値に関しては作中で言及されている」

恒一「サイクリングロードの真ん中あたりにあるおとくなけいじばんでね」

恒一「では、残りの三値はいったいなにか、といわれると普通にゲームをプレイしてるだけじゃわからない」

恒一「どうやって見つけたのかと聞かれるとまた別の話になってくるからここでは言及しないけど」

恒一「とりあえず、まずは三値をひとつずつ例を挙げて解説していこうか」






多々良「最初は種族値がいいなあ」

恒一「種族値か」

恒一「種族値とは各ポケモンの種類ごとに決められた『HP』『攻撃』『防御』『素早さ』『特殊』の値のことだね」

恒一「たとえば、ラッキーのように何もしなくても他とは飛びぬけてHPが高いポケモンはHPの種族値の数値が非常に高かったり」

恒一「逆にラッキーの防御がやけに低いのも、防御の種族値の数値が非常に低かったりするためにそうなる」

恒一「となると、それぞれの種族値の数値が高ければそれだけ能力が高くいいポケモンということになる」

恒一「また、各ポケモンの種類ごとにその種族値の数値は決められているので、何匹ラッキーを捕まえても似たような数値になる」

多々良「チーターは人間より早い、ゴリラは人間より怪力、みたいな考えなの?」

恒一「そうなるね」

多々良「じゃあ次は個体値。実は個体値と種族値の違いってよくわからないの」

恒一「ありがちだね。じゃあ答えさせてもらうよ」

恒一「ここに5匹の捕まえたてのラッキーがいます。それぞれがそれぞれの数値のステータスを持っています」

恒一「さて、その5匹を全員同じ条件で育成してみました。すると、それぞればらばらにステータスの数値が異なってきました」

恒一「あるラッキーはHPが他の4匹より高くなり、あるラッキーは攻撃が他の4匹より高くなり、そのようなことが5匹ともにありました」

恒一「なぜでしょう」

多々良「それが個体値なの?」

恒一「そう。この個体値の数値は先天的に決定されているから今後何をしてもその数値の変更はない」

恒一「いわば才能のようなものさ」

多々良「種族値との違いは?」

恒一「種族・人間では種族・チーターの速さや種族・ゴリラの怪力に匹敵する力はないけど」

恒一「人間同士なら特にスポーツをしていなくても足が速い人とか力自慢の人っているよね。そういう違い」

恒一「同じ人間でもAさんよりBさんのほうが走りの才能がある、みたいなものさ」

多々良「ふうん」

多々良「じゃあよく個体値の話題の時に出てくるAとかFとかあれは何?」

恒一「個体値は16進数で表記することができるんだ」

多々良「16進数?」

恒一「0から9までの数字と、AからFまでの数値で表現される数字のことだよ。ちなみにAは10進数で言えば10、Bは11、Fは15と」

恒一「0〜Fまでの16の数字のことを言うんだ」

恒一「言うまでもなく最高はF、最低は0」

恒一「さっきAさんよりBさんのほうが走りの才能があるって言ったよね。でも、走りの才能があったって誰もがみんな100mで9秒台をたたき出せるってわけじゃない」

恒一「だけど、走りの才能に非常に恵まれている人はその9秒台をたたきだせる」

恒一「そういう人を個体値で表すと最高のFにあたるんだ」

多々良「最高に才能のある人はFってこと?」

恒一「そう」

恒一「このFが全ステータス……HP攻撃防御素早さ特殊ともに個体値Fのポケモンは5Fと呼ばれる」

恒一「5Fだけど階層じゃないからね」







恒一「そしてこの個体値が高いポケモンを———才能あふれるポケモンを探す作業のことを『厳選』というんだ」

多々良「あ、あの榊原君」

多々良「ポケモンの個体値ってHP・攻撃・防御・素早さ・特殊それぞれに0からF、つまり0から15にあたる数値がそれぞれ割り振られるってことよね」

多々良「だけどその5F、オールFをたたき出せるのはまず無理なんじゃないの?」

多々良「あまりにパターンが多すぎるからどこかで挫折しちゃう」

恒一「うん」

恒一「だからある程度自分でポケモンの能力を妥協できる基準と条件を作って、それに見合ったポケモンを採用するのが厳選なんだ」

恒一「というのもポケモンを厳選してある程度高い数値を持つポケモンを採用しないと使えない戦術があったりするんだ」

恒一「その一例がカウンターフーディン」

恒一「フーディンは防御の種族値がとても低いから、攻撃種族値の高いポケモンの高威力技を食らうと一発でやられる危険性がある」

恒一「だけど、この高威力技を耐えきって、その技をカウンターで返せることができれば、相手のポケモンは間違いなく倒すことができる」

恒一「そのためには、元からある程度のHPと防御の才能が必要になる———HPと防御が高個体値のポケモンを選出する必要があるんだ」

多々良「戦術に見合った能力を持った選手を探すようなものね」

恒一「うん」

恒一「だけどどれだけあふれんばかりの才能があっても、努力しないとその才能は開花しない」

恒一「その努力のことをそのまま努力値と呼ぶんだ。この努力値は正式にはきそポイントと呼ばれているもので」

恒一「数値の調整ができない種族値と個体値とは違い唯一自分で調整ができるものなんだ」

恒一「努力値を得ることを努力値を稼ぐともいうけど、努力値を稼ぐ方法としては二つあって」

恒一「ポケモンバトルを行って稼ぐ方法と、マックスアップなどで稼ぐ方法がある」

恒一「ポケモンバトルでは倒したポケモンの種族値ぶんの努力値が加算され、アイテムを使うと自分で好きなステータスに努力値を与えることができる」

恒一「お得な掲示板でもあったけど、レベルが低いうちから育てたポケモンは、レベルが高い状態で捕獲した同じポケモンと比較すると大きな差がある」

恒一「これはこの努力値の加算によって起きるんだ」

恒一「小学生の時は足が遅かったけど、いっぱい練習したおかげで高校生になったら他の人より足が速くなった、みたいな理屈だ」

恒一「才能はなくても努力次第でどうにかなる、ということをポケモンが実践しているんだ」

多々良「ちょっ、ちょっと待って」

多々良「えーと、うん。最後の理屈でなんとなくわかったんだけど、倒したポケモンの種族地分の努力値が加算されるっていうのはどういうこと?」

恒一「これはね————」









恒一「さっき種族値の説明はしたよね」

恒一「たとえば、早さで有名なマルマインをただひたすら倒しまくったとしよう」

恒一「これでどんな努力値が得られると思う?」

多々良「……『素早さ』があがる種族値……じゃなくて努力値?」

恒一「うん。マルマインをただひたすら倒し続けると、素早さの数値が他のステータスよりも高い伸びを見せるんだ」

恒一「このように、あるステータスを伸ばすためにそのステータスに努力値を与えることを努力値振りという」

多々良「走り込みみたいなものね」

恒一「……ただこの努力には上限があって。努力値には『努力レベル』というものが存在する」

恒一「その『努力レベル』とは各ステータスごとに設定されていて、それぞれ上限レベルが63まである」

恒一「このレベルに達するまでに要する努力値は63002。これ以上はその努力値を獲得しても加算されない」

恒一「ポケモンをレベル100まで育てるつもりなら特に気にせずポケモンを倒しまくればいいけれど」

恒一「97年の全国大会のようにレベル制限が設けられている場合は、いち早くこの上限レベル63まで努力値を貯めないといけない」

恒一「なるべくポケモンのレベルを上げずに努力値レベルの上限63まで上げるには」

恒一「低レベルのポケモンをせっせと狩る必要があるんだ。その時は種族値的にバランスが取れてかつ低レベルな二ドランが使われる」

多々良「二ドランかわいそう」

恒一「二ドラン千人切りという言葉があるぐらいだしね…」

多々良「マックスアップとかでその努力値レベルっていうのをマックスまで引き上げることはできないの?」

恒一「ドーピングアイテムで加算される努力値は一個につき2560。これが最大10個まで投入できるから」

恒一「ドーピングアイテムで加算できる努力値の最大値は25600まで。この後はポケモンバトルを行っていくしかない」

多々良「結局二ドランは斬られるんだ」

恒一「残念ながら」

恒一「ちなみに、この努力値と個体値の数値が判明すれば、相手のポケモンの技をどれだけ受けきることができて」

恒一「逆にこちらが何発撃てば相手のポケモンを倒せるかという計算が可能となる」

恒一「ここは多々良さんに説明はいらないよね。ここからは数字の問題だし」

多々良「そうね。もしかしてカウンターフーディンは個体値だけじゃなくて努力値もある程度振っていないとできないの?」

恒一「それはもちろん」

恒一「ポケモンが努力してやっとカウンターという戦術を取り入れることができるんだからね」

恒一「ちなみに、HPと防御、特殊の個体値Fで努力値レベルが63のポケモンがタイプ一致弱点を食らっても」

恒一「大体のポケモンは一発耐えることができるんだ」

恒一「HP防御個体値Fのサンダースなら、攻撃個体値Fのゴローニャのじしんを乱数で耐えてまうことだってできる」

多々良「ええっ!?」

恒一「後で計算してみるといいよ」

多々良「は、はい……」










恒一「というわけだから、厳選と努力値振りはポケモン対戦においてものすごく重要なんだ」

多々良「……ちょっと頭痛い」

恒一「その気持ちわかるよ。僕も頭痛くなったから」

多々良「でも、だいたいわかった」

恒一「多々良さんは本当に理解が速いね」

多々良「一応勉強はしてた。けどどうもこのあたりが苦手だったの。榊原君、ありがと」

恒一「ほかに何か聞きたいこととかある?」

多々良「うーん……」

多々良「一般的なガチパってどんなパーティになるのかな」

恒一「ガチパね……」

多々良「ケンタロスの強さは種族値表とか覚える技の範囲を見てすぐわかったけど」

多々良「今環境を支配しているポケモンって把握したほうがいいのかな」

恒一「多々良さんはどこまで把握できてるの?」

多々良「ある程度は」

多々良「紙に書いていい?」



投入確実→ケンタロス、スターミー
投入ほぼ確実→サンダース、マルマイン、ナッシー、ダグトリオ、フリーザー
投入率高し→ゲンガー、フーディン、ゴローニャ、ヤドラン、ルージュラ、ラプラス、ラッキー
たまに見る→ガルーラ、カビゴン、ペルシアン、サンダー、パルシェン、スリーパー、ギャラドス、エレブー
見たことある→ドードリオ、フシギバナ、カイリキー、カメックス、ファイヤー、ドククラゲ、カイリュー、ウツボット


恒一「……こうしてみると本当に閉ざされた世界を感じるね」

多々良「タイプ格差がすごいね」

恒一「カイリューとかドククラゲとかファイヤーとかカイリキーとか」

恒一「能力値は高いけどタイプや技で損してる感じは否めないよね」

多々良「せめて氷→炎がいまひとつだったらファイヤーが活躍する機会あったと思うのに、もったいないと思わない?」

恒一「でも炎自体が不遇の時代だしな……この中で上がっている炎タイプはファイヤーだけだし曲がりなりにも伝説のポケモンだよね」

多々良「にらみつけるなんていってごめんなさい」

多々良「それにしても、上位陣を見てみると、電磁波って実はすごい有効な技なんじゃない?榊原君」

恒一「多々良さんも思う?」

多々良「すごい勢いで刺さると思う」

恒一「補助技が軽視されがちな環境だけど、補助技が使いこなせたらものすごいことになりそうだよね」

恒一「……こうしてみると、ケンタロスとスターミーの優秀さが光るね」

多々良「そうね、なんでもござれって感じ」

恒一「……この面子だとどれをとってもガチパになるように見えるね」

多々良「……ポケモンの選択が楽になるのはいいんだけど、この環境ってはっきり言って偏りすぎよね」

恒一「次回作に期待しよう」

多々良「次回作はどんなポケモンが出るのかしら。楽しみね」

恒一「そうだね」



小休止はここまでです。

……24時間以内に投稿できるかどうか祈っててください
質問があればたぶん多々良さんが答えてくれると思うのでそれではまた次回

なるほど、かなり分かりやすかった、説明有難うです!
妙にファイヤーが登場しないと思ったらやっぱり伝説ポケモンの中でも浮いた存在だったのね、合掌…
そして今の時代はさらにややこしいと…ポケモンにハマらなくて良かった…

というか致命的なミスがあっても一日以内にしっかり矛盾点解消した訂正版を投下できる作者さんって…
他にも即興で作った文章があるけどとても即興とは思えない、自分が慣れてないだけなのかな…

あと、乱数ってのは威力100の技でも威力が90〜110にランダムに変動するそんな数値、ということで認識しておけばいい?

>>250
多々良「乱数……ね」

多々良「乱数というのはその名の通りランダムな数値のことですね」

多々良「ポケットモンスターのある意味根幹をなす仕組みといっても過言じゃないかも、といえるぐらい重要なものです」

多々良「では説明させていただきます……こほん。」

多々良「ポケモンの技においては、ある技が相手に与えるダメージは必ずしも一定ではありません」

多々良「攻める側のポケモンのステータスと放つ技、その技を受けるポケモンのステータスを計算してダメージ量を出すのですが」

多々良「ダメージ計算においては1+1=2といったようなはっきりとした解が出ません」

多々良「というのもダメージ計算の乱数として0.85〜1までの数値が決められていて」

多々良「その数値のどれがダメージ計算に使われるのか決まっていないんです」

多々良「つまりこの範囲から適当に数値が選ばれ、それがダメージ計算式に使われるので」

多々良「相手ポケモンに与えるダメージ量に変化が生じるわけです」

多々良「たまにHPが1だけ残るシチュエーションってあるわよね」

多々良「あれもほぼ乱数によって引き起こされるものなの」

多々良「まあ要約すると」

多々良「0.85〜1の範囲の数値がダメージ計算式に組み込まれているので一つの技でも与えるダメージ量は変化する」

多々良「なので>>250さんのいうように威力が90~110とランダムに変動する数値ではないのです」

多々良「ちなみになんだかんだ言って乱数は確率なので、技の試行回数が多くなればその確率は真ん中に近づきます」

多々良「0.925が0.85〜1の真ん中の数値なので、まあそれに近づいていくということです」

多々良「>>250さんに対する回答は以上です。ここ間違ってるよーってところがあったら教えてくださいね」


多々良「……あら、手紙かしら?」

多々良「私宛?えーと、なになに……『まだ本編が完成してないから多々良さんお願いします』」

多々良「『確定一発とか乱数一発とかも説明してくれーていうような要望があったら極力答えてください。HAIJINより』

多々良「……『追伸。多々良さんは俺の嫁』……」

多々良「筆折っちゃえばいいのに」


……と、いうわけでまだ申し訳ないところ本編投稿できるだけの余裕がないのですごめんなさい
次々回で最終回を考えているのでそれに合わせているのですがどうもなかなかバトルの組み立てに手間取っています
ちょっと猶予ください

という事は最大ダメが100なら最小が85って事か

>>255
多々良「カメックスの吹雪→フシギバナのダメージ量がだいたいそのぐらいですね」

多々良「ダメージ量-2ぐらい違ってますけどまそんなとこですちなみに確定二発です」

なるほど、似てるようでこんなに違うものだったのか…

確定一発と乱数一発は、予想だと相手の残りHPに関する用語かな?
確一は技一発で確実に倒せる範囲、乱一は乱数次第でほぼ確実に倒せる範囲?
それとも確一はHPフルから倒せる攻撃で、乱一はHPフルでも乱数次第でたまに倒せる攻撃?

>>257
多々良「一発の技で0.85〜1の範囲のどの数値を取ってダメージ計算しても『技のダメージ量>相手のHP』になるのが確定一発」

多々良「0.85〜1の範囲の中で『技のダメージ量<HP』になる範囲があるのと同時に『技のダメージ量>HP』になる範囲もある」

多々良「一発で倒せるかもしれないし、倒せないかもしれない。というのが乱数一発です」

多々良「これについては某ポケモンサイトの知恵袋に同じような質問があったのでそれをコピペします」


相手に与えるダメージが、最大ダメージと最小ダメージの中間だった場合倒せる確率は50%
つまり中乱数1です

それよりも若干ダメージが低い場合は中低乱数1、高い場合は中高乱数1です。

倒せる確率が25%に満たなくなると低乱数1、75%を超えると高乱数1です。

さらにきわどい確率で、ほとんど1に近い乱数を出さないと、倒せない場合は超低乱数1
最低乱数でもない限りは倒せるなら超高乱数1です。


多々良「ちなみに榊原君がサンダースがゴローニャの地震を乱数で耐える、と言いましたが正確に言うと」

多々良「サンダースが地震を耐えられる確率は20%以下になります」

多々良「少々メタ的なことを言えば、現在では速攻紙耐久アタッカーにこのような調整をする意味ははっきり言って皆無ですが初代ポケモンはご存じのとおり」

多々良「全ステータスを努力値レベル63にできることで全ポケモンがタイプ一致二倍弱点程度では落ちない驚異的な耐久を発揮していたので」

多々良「今では環境破壊も甚だしいようなことが平然と見受けられる事態になってしまっていました」

多々良「もし努力値を全ステに振れる仕様が復活したらラティオスとかどうやって止めればいいんでしょうか」


多々良「……また手紙だ」

多々良「『タタラッティもうちょっと出張って』だそうです」

多々良「こんな長ったらしく誤植たっぷりのスレなんて二日も投稿なかったら一発で見捨てられるのに」

多々良「……『こういっちゃんともうしばらくイチャイチャさせてあげるので許して』だって」

多々良「私はそんなにちょろい女じゃありません、残念でした」




今も努力値全部振れたらアルセウスがやばいな

>>259
とりあえずタイプ一致弱点一発じゃまず落ちないぐらい耐久が跳ね上がるから伝説系全部ヤバい
特にタイプ的にシンオウ伝説勢がマジキチ、レジワロスでさえ格闘タイプにぶち当たらなかったら余裕で5ターン持ちこたえてしまえそうなクソ耐久


多々良「……え?」

多々良「せっかく服も着替えてお出かけ準備万端だったのに本編に戻るの?」

多々良「えー……手紙ではああいってたくせに。ってまた手紙来てる」

多々良「『次々回で最終回になります、なんて言ってゴメンネ!実は今の投下のたぶん次々次回が最終回なんだ!』」

多々良「『クライマックスとエピローグまでもうちょっとだけ待って!……くださいお願いします』」

多々良「……そんなことだと思った」

多々良「『対戦における質問があればまた俺の嫁の多々良さんがお答えになるので遠慮なく質問してください』だって」

多々良「あの私合宿に参加してないんだけど」


プルルルルル


多々良「あ、電話だ。もしもーし」

有田『もしもし、恵?』

多々良「松子!どうしたの?」

有田『うーんなんか手紙が置かれてたんだけど』

多々良「手紙?もしかしてどこかの変態から届いたの?」

有田『「HAIJIN」ってあるけど』

多々良「ああやっぱり……手紙の内容を教えて」

有田『うーん……「本編に絡まなさそうなAritarさんへ。もしこれから合宿所で起こる展開で読者から質問があればあなたが答えてください」』

有田『「その他の質問は多々良さんが受け付けます。詳しいことはそこの電話を使って多々良さんに聞いてね。HAIJINより」だって』

有田『気になることだらけだから恵に電話したんだけど、HAIJINて誰?読者ってなんのこと?』

多々良「……」

多々良「……松子、がんばって」

有田『ちょっと恵!恵は何か知ってるんでしょ!?』

多々良「たぶんそのうちわかると思うから、がんばって」

有田『め、恵———!?』


ブツッ ツー、ツー、ツー


有田「……私って本編に絡まないんだ……そっちのほうがショックな気が……」



というわけで投下します



食堂。



赤沢(見崎さんが全員に負ける)

赤沢(『つよいもの』である見崎さんに勝つことで精神的な充足感をもたらすことで、自分のパーティに自信を持たせることもできる)

赤沢(そうやって最高の状態を作り出し、ヨミヤマミサキを誘い込む隙を作る)

赤沢(という予定なのに)


恒一「ふう、さすがは見崎。強いな」

小椋「前に戦ったときよりもますます強くなってない?」

鳴「疲れた……」


赤沢(勝ってどうするのよ……)


恒一「大丈夫?」

鳴「大丈夫。私はまだまだやれるから心配しないで」

恒一「これから全員を相手するんだろ?心配するなって方が心配だよ」

鳴「本当に大丈夫。ポケスタで何度もトーナメント8連戦したからスタミナはついてる」

恒一「ってことはノーミスでクリアしまくってたのか……だったらなおさらだ。あまり無理をしないでほしい」

鳴「ありがとう」

小椋「はいそこまで二人ともイチャつかない!見崎さん次の人は?」

鳴「望月君と猿田君の二人。こっち来て」

望月「パーティは変更しないの?」

鳴「面倒だし、やらない。今持ってる手持ち6匹でいく。だから戦った後私のパーティをネタバレしないでね」

望月「うん、わかった」

猿田「お手柔らかにぞな」

三神「三人とも、少し待ちなさい」


三神先生の介入により、時間効率の問題で見崎がみんなと戦うのは入浴時間後となった。

質問は後で戦う時に受け付けるとのことなのでこの場は食事に戻り、望月と猿田のいったん持ち越しとなった。

入浴は男子が先で女子が後だったので、入浴時間の終了時を見計らって見崎の部屋へと向かった。

食堂での一軒は、普段の見崎なら考えられない行動なうえにいつのまにか赤沢さんと話をつけていたにこともあって

一刻も早くいろいろと洗いざらい話を聞きたかったからだ。




鳴「……榊原君、早すぎ」ホカホカ

恒一(ふ、風呂上がりの見崎、風呂上がりの見崎……なんか甘い匂いがする)

鳴「私からもいろいろと話しておきたいことはあるけど、その様子だと榊原君も私に話があるみたいね」ホカホカ

恒一「そそ、そう。僕も話しておきたいことがあってね」

恒一「ところで見崎、見崎はお風呂にも眼帯を付けて入ったの?」

鳴「……そこ聞くところ?」

恒一「えっと……」

鳴「……ふーん。榊原君ってそういう……」

恒一「」

鳴「外さないと顔洗えないから」

恒一「そ、そうだね……」

鳴「本題に入って」

恒一「はい」



と、いうわけで食堂の一件について洗いざらい聞いてみた。

赤沢さんとは昼食前に会って、見崎が全員と戦うことを赤沢さんに提案したらしい。

話を聞いてみると、どうやら夕食の時に赤沢さんが言った言葉には裏があり、見崎が全員と戦う目的はクラス全体のレベル確認ではなく

自分がわざとまけることでヨミヤマミサキを呼び込ませることにあるという。

他にもこの見崎の作戦を考えるに至ったプロセスや赤沢さんもこれに協力してくれていることなどを聞いた。



鳴「———理解できた?」

恒一「……ヨミヤマミサキに意思がある、そして疲弊している可能性がある、そんな奴を引きずり出すためにみんなに負けてもらう———か。見崎」

恒一「この話を聞いていくつか突っ込みたいところがあるけど」

鳴「何?」

恒一「ヨミヤマミサキに意思がある、疲弊する———もしこのふたつが違っていたらどうするつもりなんだ?」

恒一「ヨミヤマミサキは意思もなく疲弊もしない。ただ突然に表れて突然に消えるだけで、今の空白期間も奴の気まぐれだったとしたら?」

鳴「———質問攻めは嫌い……って言ってる場合じゃないか……」



鳴「……小椋さんのお兄さんの親友———あるゲームで全国5指に入る人が負けた後のことなんだけど」

鳴「その人が負けた日から一か月、ヨミヤマミサキは出現しなかったと千曳先生から聞いたことがあってね」

鳴「未咲のときととても状況が似ているの。ヨミヤマミサキが一人と戦って一か月以上の空白期間があったのは未咲とその人だけ。逆に言えば」

鳴「一人だけを相手にして一か月以上の空白期間があったのは25年間に2回だけ……そして」

鳴「松永さんがヨミヤマミサキを倒した翌年は、ヨミヤマミサキが現れなかったとも聞いた事も考えると」

恒一「……そう判断したってわけか」

恒一「その情報は確かなの?」

鳴「合宿前に千曳先生に記録の確認をしてもらったから間違いないと思う」

恒一「……それでも、これが間違いだったとしたら?」

鳴「パーティ分離策もどこまで通じるかわからない以上、『つよいもの』がひっきりなしにクラスメイト全員と戦い勝ち続け、且つ絶対の自信を持たない以外の対策はない」

鳴「それも、私のように上に未咲という絶対的な実力者がいてこそ成り立つ策だから来年以降はとても———正直これがだめなら、もうお手上げね」

鳴「もし私の考えがすべて間違いで、ただ廃人を生み出すだけの結果になったら———」

鳴「その時はもうヨミヤマミサキに勝つことをやめて『つよいもの』として残ったクラスメイトを卒業まで倒し続けて守る」

鳴「それしかその責任はとれないと思う」

恒一「……確実に、そうなると君はみんなに恨まれるよ」

鳴「仕方ないよ。私が言い出したことなんだから」

鳴「そのつもりで赤沢さんには"発案者は見崎鳴"って言ってもらったんだから」

恒一「……君のその、方法だとさ。誰か一人は確実に犠牲になるってことだよね、ヨミヤマミサキの」

鳴「ヨミヤマミサキを消耗させないといけないからね」

恒一「あと、これから戦う人全員に負ける———と言ったけど、僕と小椋さんは見崎に負けた。これはどんな意図があるんだ?」

鳴「負けるつもりで戦っても、あなたたち二人のことだから一発で見抜かれちゃうと思って。あと」

鳴「赤沢さん、榊原君、小椋さんの三人に勝った私がその直後に負けるようなことがあれば、勝った人は調子付きやすいでしょ」

恒一「僕と小椋さんはデモンストレーションだったってことか……」

鳴「ごめんなさい」

恒一「謝らなくていいよ。小椋さんにはこのこと話した?」

鳴「話さなくてもいいと思った」

鳴「……小椋さん、きっと私が何もしなくてもヨミヤマミサキと戦うことになると思ったから」

恒一「———まさか『色』が———」

鳴「ううん、見えなかった。でも昨日榊原君に話したことから考えて、身近なところでヨミヤマミサキが出現したらきっと小椋さんは自分から戦いに赴くはず」

鳴「だけど小椋さんは実力あるから———止めるつもりで戦った。言葉でいうより、力で語ったほうがいいと思って」

恒一「それは、いざというとき小椋さんに自分の代わりをしてもらうためかい」

鳴「……見損なった?」







恒一「……見崎ってさ、冷たいところあるよね」

恒一「けど、せめて自分に何かあったら頼むぐらいは言っておかないと」

鳴「……うん」

恒一「……ところでその方法さ」

恒一「本当はヨミヤマミサキが弱ったところで倒すだけじゃなくて」

恒一「ヨミヤマミサキに何連戦もさせて疲れさせて、疲弊と連戦によるストレスで冷静な状況判断をさせないようにするのが目的だね」

恒一「松永さんの言う『夜見山砲』が冷静な判断と先読みに基づくもので、ヨミヤマミサキに『意思』または『感情』があるとすると」

恒一「連戦による消耗でストレスを溜めこませて、感情に余裕をなくし冷静さを失わせることで『夜見山砲』の威力を殺げると考えた」

恒一「そして、みんなに戦ってもらって本当に冷静さを欠いたプレイングをしてくるかどうかを観察する」

恒一「違う?」

鳴「……本当に榊原君には隠し事ができないね」

鳴「赤沢さんに私の作戦を話した時、『みんなに捨て石になってくれ、の間違いでしょう』って言われて、私もそれを肯定したけど」

鳴「正直私もこの作戦が本当にうまくいくかわからない」

鳴「それを話してしまったのは申し訳ないと思ってる」

鳴「……言い訳だよね」

鳴「人を戦力としてしか看做していないような私は……」

恒一「……正直なところ」

恒一「僕も、ヨミヤマミサキと戦うなら見崎のように自分たちの『戦力』を『戦力』として使うだけの覚悟が必要だと思っている」

恒一「だから、僕も見崎のその考えは否定できない。それに」

恒一「……ここまできたら、僕も見崎の考えを信じてみるよ」

恒一「見崎と戦って、見崎の戦いを何回か見て思ったんだ」

恒一「分の悪い賭けでも、君はそこに自分の流れを一気につくる活路を見出したら実行するんだ。そして必ず生き残り、賭けに勝つ」

恒一「そんな君のギャンブラーとしての実力に、僕は賭ける」

鳴「……」

鳴「榊原君、そろそろ私行かなきゃ」

恒一「……いいけど」

恒一「僕も一緒についてもいい?」

鳴「どうして?」

恒一「僕との約束、忘れてないよね」

鳴「……」

鳴「……いいよ。ついてきて。最初は望月君と猿田君相手に戦うから」



望月の部屋


望月「来たね、見崎さん。……あれ?なんで榊原君まで」

恒一「ちょっと気になってね」

望月「はあ……ま、二人が一緒にいるのはもう慣れたし、別にいいけど」

鳴「用意はできてる?」

望月「それはもちろん」

猿田「久しぶりにやるぞな」



かくして、見崎鳴の連敗劇が幕を開けた。   ————かに思えた。



望月「やっぱり見崎さんは強いよ。僕じゃ全然相手にならない」

猿田「やっぱり二日三日じゃ見崎に勝てないぞな」

恒一(……おいおい)

鳴(いいから見てて)


全員に負ければいい、と言っていた見崎だったが僕と小椋さんに続いて望月と猿田の二人にも勝ってしまった。

さらに見崎の快進撃は続く。


恒一「」

鳴(……前言撤回していい?)

勅使河原「くっそー、やっぱ見崎はつえーぜ」

有田「ふええ、やっぱ勝てないよお」

勅使河原「つかサカキは何しに来たんだよ。おまえは見崎の親か」

恒一「あ、あはは……見崎、次行こう次」


勅使河原と有田さんにも勝利した見崎にそろそろ不安を覚えてきた。


恒一「見崎、手加減とかしないの?」

鳴「……加減の仕方がわからない」

恒一「だからって圧勝しすぎだよ。僕と小椋さんを含めてもう3連勝。赤沢さんになんて言うつもりだよ」

鳴「ちょっと言い逃れできないかも」

鳴「あえて言うなら」

鳴「私がわざと負けたと思われないように何戦か勝っておく必要があった————みたいな」

鳴「さすがに勅使河原君に負けたら不自然だし」

恒一「ま、確かに見崎が負けまくったらみんな不信感を持つと思うし仕方ないかもしれないけど」

恒一「せめて有田さんには勝っておくべきだったんじゃないかな」

恒一「それで、次は?」

鳴「藤巻さんと渡辺さん」

恒一「……ってことは、次からはヨミヤマミサキの出現もありうる人ってことか……」

鳴「……行こう、榊原君」

>×恒一「せめて有田さんには勝っておくべきだったんじゃないかな」
 〇恒一「せめて有田さんには負けておくべきだったんじゃないかな」




見崎の作戦通りなら、次のペアからヨミヤマミサキが出現する可能性のある人物ということになる。

さすがにここにきて見崎も手加減の仕方がわかってきたのか、ギリギリ怪しまれないかのラインで渡辺&藤巻ペアと戦っていた。そして。


藤巻「……うっそお」

渡辺「………あの見崎さん、手加減とかしてないよね」

鳴「ううん」

鳴「私の全力を二人が上回っただけ」


4月に『つよいもの』になって以後、クラスで無敗を誇っていた見崎がついに敗れた。


藤巻「素直に喜べねえ……なあ榊原、見崎さん手加減した?」

恒一「い、いや?僕の目から見ても見崎はいつも通りの見崎だったよ」

藤巻「……」じーっ

鳴「ゴローニャでゲンガーの大爆発を流されたのが痛かった。あれを読んでの交代?」

藤巻「いやいやあれは……あーでもゲンガーが10万持ってるのはなんとなく予想ついたから交代したんだけど、結果オーライってかんじ」

鳴「そう」

鳴「じゃあ私、まだ戦う相手がいるから」


さらに。


川堀「……おいおい」

風見「………なんだよこれ」

鳴「………二人とも、強かった。私の完敗」


風見&川堀ペアにも見事(?)敗北することに成功した。


風見「……」

恒一「風見君、大丈夫?」

風見「榊原、見崎さんに僕は勝ったんだよな?」

恒一「あ、ああ……僕も見崎が負けたとこは初めて見たし」

恒一「正直僕も驚いてる」

風見「そ、そうか……僕が見崎さんに……」

恒一(見崎、風見君には何も話してないの?)

鳴(あれを伝えるかどうかは赤沢さんに任せてたけど、この様子だと何も聞いてなさそう)

恒一(下手に何か追求したらボロ出そうだし、ここは退散しよう)

鳴(そうね)



さすがに対策係の風見君相手にギリギリで負けるのは難しかったのか釈然としない様子だった。




それから。


和久井「……」

前島「おいおい……俺が?いいのか?これで」

鳴「……さすがに、連戦はきつかった」

鳴「でも私は手抜きしていないから。二人ともちゃんと自分の実力で私に勝ってる」

前島「……」

恒一「前島君はもっと誇っていいよ」



さらにそれから。


金木「風見君の言った通り」

松井「二人で戦う形式のほうが私達には向いているのかも」

鳴(……ヤバいこの二人一緒に戦わせるとホントに強い)

鳴(こんなときじゃなかったらもっかいガチでやってみたいな)



それからそれから。


杉浦「……これ、対策として本当に大丈夫なの?」

王子「嬉しいと言えば嬉しいけど、杉浦さんの言うとおり『つよいもの』に勝っちゃってもいいのかな」

鳴「もういいんじゃない?」

鳴「それにしても、杉浦さんとは久しぶりに戦ったけど、やっぱり杉浦さんが対策係の中では一番強い気がする」

杉浦「買いかぶり過ぎよ。私と泉美じゃまだ泉美の方が……いやその泉美に勝ったあなたの方が……うーん」

王子「僕が勝てたのはまぐれだよね」

鳴「ううん、実力」

王子「だって僕ひとりだけハブられたし……」

鳴(まだ気にしていたのか……)



と、さすがにみんな見崎に勝ったことに戸惑っていたが、5戦たてつづけに順当に敗北していった。

これで赤沢さんを除く全員と戦い終え、対戦成績は3勝5敗。見崎のゲームプレイもあってギリギリ手抜きかどうかバレないラインで負け越した。

見崎の負け戦の試合運びは非常に見事で、一日目にやったパーティ鑑定で指示されたパーティ構成や戦術の持ち味を引き出せるような負け方を次々と行っていた。

渡辺さんの一撃パには一撃必殺しか撃破手段がないような状況をうまく作り出し、渡辺さんの運もあって見事一撃技を当てさせたり。

風見君の速攻アタッカーパには同じく速攻アタッカーをぶつけ速攻対決を演じ勝利させ。

和久井君の状態異常パには状態異常をここぞという時だけに決めさせて。

金木さんと松井さんにはそれぞれ攻撃的なパーティと防御に特化したパーティを差し向けてそれぞれ撃破させたり。

杉浦さんのほぼ特殊技パには特殊技を撃ちにくくさせる状況を作り上げて補助技を有効活用させて一体一体ずつポケモンを倒させたり。

出来うる限りギリギリの方法で見崎は負けていったのだった。


見崎の部屋。



鳴「さすがに疲れた」ストン

恒一「7戦連続、しかも二人を相手にだからね。疲れないほうがおかしいよ」ストン

鳴「二対一と連戦のおかげで負けやすかった」

恒一「少し休もう」

鳴「そうね」バフッ

恒一「それで、今まで戦った相手の中に『死の色』は見えた?」

鳴「……はぁ。榊原君ちょっと目ざとい」

恒一「そりゃ何度も何度も対戦が終わるたびに対戦相手のすきを見て眼帯めくってたら想像つくよ」

恒一「ヨミヤマミサキの出現条件を満たしたかどうか、その眼で見たんだろ?」

鳴「……うん」

鳴「……見たけど……無駄だったみたい」セノビー

鳴「私に勝った衝撃で出現条件を満たすだけの精神状態をすぐ得られてないだけだろうけど」

鳴「もう一度私に勝った人と顔を合わせて確認しないと」枕ギュッ

恒一「でもまた戦うと不自然だと思われない?」

鳴「それなんだけど————」



ガチャガタガチャガチャ ギィィ



勅使河原「さ、サカキぃ!」バタバタ

勅使河原「……あ」


鳴「」←枕を抱いて恒一のほうを向いてベッドに寝転がってる

恒一「」←鳴ちゃんが寝てるベッドに座ってる。鳴ちゃんの右手まであと数センチの距離に左手が


勅使河原「……お、お邪魔しましたぁ……」スタコラサッサ


キィー バタン


恒一「待て勅使河原!」ガチャ

勅使河原「サカキおめーお前部屋にいないからどうせ見崎んとこ行ってんだろうって思っていたらお前ってやつはこんな非常時に」

勅使河原「いいよもうおれのことは放っといてサカキは見崎とよろしくヤッてろ」グズッ

恒一「誤解だバカまだ僕は見崎に何もしちゃいない!」ガシッ

勅使河原「今お前まだって言ったな!?これからナニするつもりだったんだよ」

恒一「何もしないよ!」

鳴「それで、勅使河原君は何しに来たの」

勅使河原「ああそうだったつい忘れるとこだったぜ……」

勅使河原「……なあサカキ、おれ——————」


勅使河原のセリフが途中で止まっちゃいましたがとりあえずここまでです。
このあたりが非常に悩みどころなのでまた本編進行が止まると思いますがそのときは多々良さんが頑張ってくれると思うので
申し訳ないですが多々良さんで我慢をお願いします

質問があれば有田さんか多々良さんのどちらかがお答えになるので遠慮なくお願いします。


多々良「……また手紙が」

多々良「『読者のみなさん……すまぬ……すまぬ……続きが難航してどうしようも……投下できねえ……』」

多々良「……これはまた私の出番か」

多々良「といっても、私が出張るときってだいたい即興で話作られてるからまた進行が遅れるのよね」

多々良「というわけで、続きはもう少し待ってください」




勅使河原「—————風見に」


バタン


赤沢「見崎さん、首尾は—————」

勅使河原「」

恒一「」

鳴「こんばんは、赤沢さん」

赤沢「……あの、あなたたちここ見崎さんの部屋よ」

勅使河原「サカキが自室にいなかったからここにいるだろって思って俺は」

赤沢「勅使河原あんた見崎さんが同室の子がいないからって押し掛けるなんて男の風上にも置けないわ」

勅使河原「ひ、ひでえ!それを言うならサカキだろ!?俺が来る前からいたんだから!つか俺が来なかったらこいつら絶対ヤッ」

鳴「私は嫌って言ったのに無理やり……」

恒一「勅使河原お前黙ってろ!見崎も冗談言わない!あ、赤沢さん誤解だからね誤解」

鳴「私が風呂上りの時を見計らってきたくせに」

恒一「」

勅使河原「サカキ、お前ってやつはそうやってウチの女子を食い漁ってんのか……」

鳴「そういえば榊原君って女の子の友達の方が多いよね。最近多々良さんとすごく仲好さそう」

勅使河原「なっ、多々良はサカキ的に接点なさそうだから無いなって思ってたのにサカキお前」

恒一「人聞きの悪いことを言うな。あ、赤沢さん今の全部てしがわらのでまかせだから」

赤沢「その割に動揺してない恒一君?」

鳴・赤沢「「じっくり話を訊かせてもらおうかしら」」

恒一「」

勅使河原(あれなんでこの二人仲良くなってんだ?)




間。




恒一「————というわけで、誤解なんだよ」

赤沢「……」

鳴「榊原君って、からかいがいがあるね」

勅使河原「軽くキャラ崩壊起こしたからな」



赤沢「……まあ、それはいいとして。見崎さんはうまくいった?」

鳴「順調」

赤沢「……とりあえずこれで第一段階は終了ね。次は第二段階だけど、あなたこれからみんなにまた会いに行くの?」

鳴「そうしようと思ってる」

赤沢「じゃあ私が場を取り繕うわ。できれば恒一君、あなたもいて」

恒一「僕も?」

赤沢「見崎さんに呼ばれてここに来たってことは、あなたもだいたいわかっているんでしょ。分析は多い方がいい」

恒一「そうだね」

勅使河原「おいおい何の話をしてんだ?つかお前ら昨日あんだけ喧嘩したくせにいつ仲直りした」

恒一「……(そういえばそうだった)」

赤沢「……(ついつい普通に話してしまったわ)」

勅使河原(あ、やべ、なんか地雷踏んだ気が)

鳴(バカね)

恒一「……えーと、赤沢さん?あの時は、その……赤沢さんをあんな目にあわすつもりはなかったんだ」

赤沢「……私の方こそ……あの時は、その……あれは私の自爆だから」

恒一「……」

赤沢「……」

鳴「…………」

勅使河原「はいそこまで!なんか辛気臭いし、うやむやにできるならその方がいいだろお前ら的にも」

恒一「……」

勅使河原「お前ら三人がこうしてちゃんと話ができる状態になってんだからもういいだろ。つかさっきの話一体何のことだよ」

恒一「それは、えーと」

赤沢(恒一君には話しているのよね)ヒソヒソ

鳴(全部話した)ゴニョゴニョ

赤沢(勅使河原に話しても大丈夫かしら)ヒソヒソ

鳴(無理ね。うっかり口を滑らすタイプだから)ゴニョニョ

恒一「見崎がさっきクラス全員と戦っただろ?その反省会さ」

勅使河原「ま、そんなとこだろーな。それで、何かつかめたか?」

恒一「これからつかみに行くところかな。ところで勅使河原、確か風見君と同室だったよな。風見君に何か変わったこととかなかったか?」

勅使河原「そーそーそれそれ。俺がさっき今まさに話そうとしていたの風見のことなんだよ!」

恒一「さっきか今かどっちだよ……」

勅使河原「なんかよー、釈然としない顔で部屋に戻ってきたと思ったら『見崎さんに勝ってしまった』って言ってたんだが、本当か?」

恒一「本当だよ」

勅使河原「あーやっぱりかー……てことはやっぱ俺って……」

赤沢「あんたがどうしたわけ?」

勅使河原「俺が見崎に勝ったって言ったら風見の奴んなわけねえなんて言って、俺とバトルしたんだが、そのバトルがな、なんと、なんと!」

赤沢「もったいづけずに早く言いなさい」




勅使河原「————勝っちまったんだよ、俺。風見に」

恒一「」

鳴「」

赤沢「……はぁ?冗談もたいがいにしてよ」

勅使河原「いやマジマジだって!で、この感動をサカキにいっちまおうと思って」

恒一「何で僕に?」

勅使河原「お前どうせ見崎のバトルをずっと横で見てたんだろ?だからお前に言うんだよ」

赤沢「ちょっ、ちょっと待って。本当に風見君に勝ったの?あんたが」

勅使河原「マジだってマジ!風見本人に聞いてみろよ!」

鳴「風見君、勅使河原君に負けた時に何か言ってなかった?」

勅使河原「たまにはこんなこともあるさって言ってたけどありゃ俺の実力に負け惜しみを言ってただけだな」

鳴「あ、そう」

勅使河原「いやあ、今の俺ならヨミヤマミサキにだって勝てるかもしれねえ!そう思うだろサカキ!」

恒一「お、おいおい……」

赤沢(見崎さん)

鳴(わかってる。今視る)チラッ

勅使河原「でも風見の言うとおり俺の運かもしれねーから、サカキ俺とバトルしてくんね?」

恒一「い、いいけど……」

勅使河原「よっしゃわかった今から通信ケーブルとゲームボーイ持ってくるからそこでまっとけ!」ダッ


バタン


恒一「……なんだったんだあいつ」

赤沢「見崎さん、どう?」

鳴「………ヨミヤマミサキに勝てるかもっていったとき、ちらっと見えた」

恒一・赤沢「!」


鳴「でも、すぐに見えなくなった」

恒一「……そうか。この場合、僕はわざと負けるべきかな」

鳴「その方がいいと思う」

恒一「……僕の手で勅使河原を廃人に落とすみたいだな」

鳴「……私がかわりに戦う?」

恒一「いいや、僕がやる。見崎の計画を聞いた以上、誰か一人をヨミヤマミサキ相手に戦わせないといけないんだろ。もし勅使河原が「一人目」ならせめて僕の手で」

赤沢「恒一君……」

鳴「榊原君も人のことを言えないよ」

鳴「私もたまに榊原君がひどく冷徹な人にみえる時があるから」

赤沢「……」ギロッ

恒一「……否定はしない。でも僕がそうなれるのは信じているから。絶対に勝つって」

鳴「………そうね」

恒一「僕もゲームボーイをとってくるよ。勅使河原にせめてもの餞をしてやらないと」ガチャ


ダダダダダダダッ ドンッ


恒一「」ベターン

恒一「っ痛ってて……誰だよったく————って、勅使河原!?」

赤沢「ずいぶんと早かったわね」

恒一「勅使河原ちょっと待っててくれないか?今からゲームボーイ取って来るから」ガシッ

恒一「……勅使河原?」

勅使河原「」

赤沢「ちょっと勅使河原!?」

勅使河原「……風見が……」

勅使河原「……風見が、ヨミヤマミサキと戦ってやがった……!」ガクブル

恒一「……なっ」

赤沢「なんですって—————」

鳴(……ついに来たか)

恒一「案内しろ勅使河原!」

勅使河原「お、おう!」

鳴「待って榊原君」

恒一「見崎?」

鳴「……私と赤沢さんは勅使河原君についていくけど、榊原君はゲームボーイを部屋から持ってきて」

恒一「いや、今は風見君の事を優先した方が———」

鳴「風見君ならすぐやられることはないから大丈夫、それより榊原君はゲームボーイを持ってくることを優先して」

恒一「そういうからには何か考えがあるんだね」

鳴「早く」

恒一「……わかったよ!じゃあ三人とも、あとで行くから」ダッ

赤沢「さ、早くいきましょう。風見君が心配だわ」

勅使河原「お、おう!」




恒一「まさか風見君が———でも勅使河原の言ってたことが本当だったら風見君は勅使河原に負けたのにヨミヤマミサキに遭遇したってことだよな」

恒一「勅使河原にマグレ負けしたからって自棄になったとか……ありえなくはないか」

小椋「あっ榊原君!」

恒一「小椋さん!ごめん今急いで」

小椋「ちょっとどういうこと!?多佳子から聞いたけど見崎さんが負けたって何それ!?」

恒一「あー……」

小椋「何か知ってるみたいね。教えてもらうわ」

恒一「ごめん小椋さん本当に今それどころじゃ」

小椋「ふうん」ダキッ ギュッ

恒一「!?」

小椋「私も今それどころじゃないの。ちゃんと答えて」

恒一「……わかったよ。人に聞かれるわけにはいかないから僕の部屋に来て」

小椋「変なことする気じゃないよね」

恒一「そんなことをやってる場合じゃない。こっちも深刻なんだ」

小椋「わかったわ。その話も含めて榊原君の部屋で話しましょ」



勢いに押されて僕の部屋で情報交換することになったが、小椋さんは杉浦さんが見崎に勝ったことについて僕に聞いてきた。

話を聞いてみると、彼女は見崎の考えを半分以上見抜いていた。見崎が誰かに手加減してわざと負けることで、ヨミヤマミサキを呼び出す状態を作り出させる、というところまで。

その『誰か』を杉浦さんにしたと小椋さんは考えていたみたいだったが、もうここまで察している以上隠し通しても疑いが深まるだけなので

風見君が今まさにヨミヤマミサキと戦っていることと、見崎に何かあったとき『つよいもの』を継いでくれという伝言も含めてすべて話した。



小椋「————バカじゃないの?」

恒一「小椋さんはやっぱり認められないんだね」

小椋「当り前よ!そんな方法危険すぎる。リスクが大きすぎる。もしヨミヤマミサキが1日3人の縛りを破ってこなかったらどうするつもり!?」

小椋「下手しなくても廃人を増やすだけになる!」

恒一「……この作戦、たぶん最後は見崎本人が戦うことになると思う。それで、見崎から小椋さんに伝言があるんだけど」

小椋「私に?」

恒一「自分がもしヨミヤマミサキに負けることがあれば、小椋さんが『つよいもの』を継いでくれ。って」

小椋「いや」

小椋「何のために私がゆかりと中尾君の席が空いた対策係を蹴ってると思ってんの」

小椋「とにかく私は嫌。というより、もう遅いよ、榊原君」

恒一「どうして—————まさか小椋さん君は」

小椋「今の話、丁度このタイミングで聞けて良かったわ————榊原君、ありがとう」





恒一「だめだ小椋さん!そんなことをしたら見崎が君に勝った意味がなくなる!伝言の意味も!」

小椋「『つよいもの』なんていらないし、そんな計算で私が廃人化を免れるだなんて我慢できないから」

小椋「兄貴の仇は私が討つ。見崎さんの言うことを信じるなら、私が今日ここでヨミヤマミサキを倒す」

小椋「———あ、そうだ。身勝手なお願いで悪いけど、榊原君。もう一度私と戦ってくれない?」

恒一「でも風見君が……」

小椋「泉美と見崎さんの二人がついているんでしょ?一応勅使河原も。だったら私と戦ってもいいでしょ」

小椋「今ヨミヤマミサキは風見君と戦ってるんでしょ?なら今ガチパで榊原君と戦っても問題ないよね」

恒一「そういう問題じゃない。それに僕には戦う意味がない」

小椋「最後の調整よ、調整。言っておくけどわざと負けるのはいくら榊原君でも許さないから」

恒一「断ると言ったら?」

小椋「今ここで榊原君を襲って体に訴えてもいいよ?私が負けたらの話だけど、処女のまま廃人化しちゃうのは正直勘弁」ズイッ

小椋「榊原君のテク次第で私も考え直すかもしれないけど、榊原君は急ぎだから私とシてる場合じゃないわよね」

恒一「ひっ、人前でそんなことを言わないほうがいいよ」

小椋「じゃあ私と戦って」

恒一「……小椋さんとはやっぱり戦え」

小椋「わかった。ま、顔も頭も性格もいい感じの榊原君が私の最初で最後の相手になるかもってなら別に」

恒一「あの、小椋さんキャラ変わってない?」

小椋「こうでもしないと榊原君は私と戦わないでしょ。お願い、私と戦って。榊原君を倒してヨミヤマミサキにきちんと挑める状態を作っておきたいの」

恒一「……わかったよ。でもそれ見崎じゃだめ?今の見崎なら」

小椋「見崎さん相手にしたら全力でいかなきゃいけないでしょ?それじゃ調整にならないわ」

恒一「僕は調整か……仕方ない。じゃあ僕は小椋さんに勝つよ。勝ってヨミヤマミサキと戦う気力を奪ってみせる」

小椋「記録を奪うなんて『つよいもの』のつもり? ……私より榊原君の方が見崎さんの後釜としてふさわしいんじゃない?」

恒一「まだまだだよ。僕はまだ見崎に及ばない」

小椋「過小評価もいい所ね。榊原君はもう見崎さんの次ぐらいに強いはずなのに。————勝負よ、榊原君」




ポケモントレーナーの ゆみが しょうぶを しかけてきた!

ポケモントレーナーの ゆみは ゲンガーを くりだした!


恒一(ここで取れる方法はひとつしかない。ただひたすら時間を稼いで勝つ)


ゆけっ、フーディン!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


ポケモントレーナーの ゆみは ゲンガーを ひっこめた!

ポケモントレーナーの ゆみは ナッシーを くりだした!

フーディンの サイコキネシス! 

こうかは いまひとつの ようだ……


つうしんたいきちゅう・・・・・・



中途半端になりましたがいったんここまでです
小椋さんスキーな方こんな小椋さんにしてすみませんテメェ投下遅え絶許の方ごめんなさいゆるしてください

そしておいポケモンスレなのにもうかれこれ>>198以降から全くバトルしてねーじゃねーかって方申し訳ございません
次の投下はもう勘弁してほしいぐらい戦いまくっているのであとは修正だけです
では質問があればあの子たちが答えてくれるのでまだ後程


田井中家

律「ヤバいヤバいぃ〜完全に遅刻だぁ〜」

聡「あれ、姉ちゃんまだ行ってなかったの?」

律「弟よ、姉ちゃんは今1秒がおしくて話をしている暇はないんだ・・・」

聡「分かったけど早くしないとタヒぬよ」

律「分かってるよもう!!」

律「てかマジで行ってくるからな」

聡「ん、行ってら〜・・・っつ!!

聡(今なにか・・・嫌な予感が・・・)ザワザワ

律「そんじゃ〜な」

聡「ちょ、まっ、おま」

ガチャ

聡「行ってしまったようだ・・・」

聡「しかし、さっきのは一体・・・」




律「急げ急げぇ〜、あ〜結果が楽しみだぞ!」

律「また大学でもしょうがないから部長をやってあげるかぁ〜」

律「大学入ったらまた澪もいじれるしなぁ」

律「とりあえず急げぇ〜」






つうしんたいきちゅう・・・・・・



恒一(風見君のところに行くのはもう諦めよう)

恒一(なるべく時間をかけて、小椋さんが調整どころじゃなくなる気分にさせてやる)

恒一(負け戦になるかもしれないけど、負け戦なら僕はここにきて何度もやってきた)

恒一(試合に負けても、勝負には勝つ)



フーディンの リフレクター! フーディンは打撃攻撃に強くなった!

あいての ナッシーの やどりぎのたね! フーディンに たねを うえつけた!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


もどれ、フーディン!

ゆけっ、ファイヤー!

ナッシーの サイコキネシス!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


ファイヤーの こうそくいどう! ファイヤーの すばやさが ぐーんと あがった!

あいての ナッシーの しびれごな! ファイヤーは からだが しびれて わざが でにくくなった!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


あいての ナッシーの サイコキネシス! ファイヤーの とくしゅのうりょくが さがった!

ファイヤーの だいもんじ! こうかは ばつぐんだ!

あいての ナッシーは やけどをおった!

あいての ナッシーは やけどの ダメージを うけている!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


あいての ナッシーの サイコキネシス!

ファイヤーは たおれた!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


ゆけっ、ケンタロス!

ポケモントレーナーの ゆみは ナッシーを ひっこめた!

ポケモントレーナーの ゆみは ゲンガーを くりだした!

ケンタロスの ふぶき! きゅうしょに あたった!

あいての ゲンガーは こおりづけに なった!


小椋「ッ!」

恒一(ふぶきは連打できなくなったけど、これでゲンガーは倒されたも同然だ)


ポケモントレーナーの ゆみは ゲンガーを ひっこめた!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


ポケモントレーナーの ゆみは ケンタロスを くりだした!

ケンタロスの はかいこうせん!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


あいての ケンタロスの みがわり!

じぶんの たいりょくを けずって ぶんしんを つくりだした!

こうげきの はんどうで ケンタロスは うごけない!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


あいての ケンタロスの じわれ!

いちげき ひっさつ!

ケンタロスは たおれた!


恒一「っ!」

恒一(身代わりを残されたままケンタロスを……!それにしても一撃技を当てるなんて考えられない悪運だ)

恒一(同じケンタロス同士で一撃技が当たったってことは、まだ僕のケンタロスは努力値をふり切れていないってことか……)


つうしんたいきちゅう・・・・・・


ゆけっ、フーディン!


フーディンの リフレクター!

フーディンは だげきこうげきに つよくなった!

あいての ケンタロスの ものまね!


フーディンの サイコキネシス!

きゅうしょに あたった! あいての ケンタロスの みがわりは きえてしまった……

あいての ケンタロスの じこさいせい!

あいての ケンタロスの たいりょくが かいふくした!


ポケモントレーナーの ゆみは ケンタロスを ひっこめた!

ポケモントレーナーの ゆみは ゲンガーを くりだした!

フーディンの でんじは!

しかし、うまくきまらなかった!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


ポケモントレーナーの ゆみは ゲンガーを ひっこめた!

ポケモントレーナーの ゆみは ナッシーを くりだした!

ケンタロスの ふぶき!

こうかは ばつぐんだ! あいての ナッシーは たおれた!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


ポケモントレーナーの ゆみは ケンタロスを くりだした!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


ポケモントレーナーの ゆみは ケンタロスを ひっこめた!

ポケモントレーナーの ゆみは ゲンガーを くりだした!

フーディンの でんじは!

しかし、うまくきまらなかった!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


フーディンの でんじは! しかし、うまくきまらなかった!

あいての ゲンガーは こおって しまって うごかない!


フーディンの でんじは! しかし、うまくきまらなかった!

あいての ゲンガーは こおって しまって うごかない!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


フーディンの サイコキネシス!

こうかは ばつぐんだ! あいての ゲンガーは たおれた!

ポケモントレーナーの ゆみは ケンタロスを くりだした!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


フーディンの でんじは!

あいての ケンタロスは からだが しびれて わざが でにくくなった!

あいての ケンタロスの のしかかり!

フーディンは からだが しびれて わざが でにくくなった!


つうしんたいきちゅう・・・・・・


フーディンの リフレクター! フーディンは だげきこうげきに つよくなった!

あいての ケンタロスの ものまね! 


フーディンの サイコキネシス!

あいての ケンタロスの じこさいせい! ケンタロスの たいりょくが かいふくした!


フーディンの じこさいせい! フーディンの たいりょくが かいふくした!

あいての ケンタロスは からだが しびれて うごけない!



つうしんたいきちゅう・・・・・・



フーディンの サイコキネシス!

あいての ケンタロスの とくしゅのうりょくが さがった!

あいての ケンタロスの じこさいせい! あいての ケンタロスの たいりょくが かいふくした!


フーディンの じこさいせい! フーディンの たいりょくが かいふくした!

あいての ケンタロスの のしかかり!

きゅうしょに あたった!


フーディンは からだが しびれて うごけない!

あいての ケンタロスの のしかかり!

きゅうしょに あたった!

フーディンは たおれた!


たいせんがしゅうりょうしました





小椋「……負けると思ってた」

恒一「あと少しで勝てそうだったのに」

小椋「しびれごなと、のしかかりの麻痺の影響がなかったら負けていたわ。私のゲームができなかった」

恒一「ファイヤーを出した時すぐに高速移動させたのは間違いだった。無理やりにでも炎の渦を撃つべきだった。ハメさせすればだいもんじで焼けるところまで行けたのに」

恒一「それにしても、リフレクターを張っていたのに急所のしかかり2確……個体値と努力値が足りてなかったのか…?」

小椋「……とても勝てた気がしないわ」

小椋「手持ちを有効に使ったバトルとは言えなかった。もし、ここでスターミーが投入されていたらどうなっていたか。もし、ファイヤーを軽視していたら」

小椋「二匹ともふぶきで倒されて、ファイヤーの炎の渦でハメ技をくらう可能性もあったのに。極めつけは最後の勝負。今はもう運を使い果たしたような気分よ」

恒一「結果は僕の負けだけど」

恒一「———これでもヨミヤマミサキと戦うつもり?」

小椋「……もちろん。今負けかけたおかげで私のパーティの問題っていうか、どういう構築でいけばいいのかようやくわかったわ」

小椋「やっぱり私が普段使いなれたパーティで戦うしかない」

恒一「……使い慣れたパーティ?」

小椋「"あの"パーティが一番みたい。兄貴相手にも一本とれるパーティはあれしかなかったから」

恒一「———まさか、爆発パーティで」

小椋「今回は『つよいもの』トーナメントで見崎さんと戦ったときに使ったパーティを使ったけど、やっぱり榊原君と最初に戦ったときの爆発パの方が私の力は発揮されやすいみたい」

小椋「兄貴と同じようにね」

恒一「お兄さんと、同じ……」

恒一「……断言してもいい、小椋さん。君は負ける」

恒一「お兄さんがどれだけの強さなのか、実際に戦っていない僕は知らない。だけど、今の小椋さんじゃ勝てないことは分かってる。だから」





小椋「……わかった」スタスタ


ガチャッ


恒一「ちょっ、何を!?」

小椋「何って見てわからない?」ヌギヌギ

恒一「見てって……!」

小椋「どうせもう何を言っても無駄でしょ?だから体でわからせるしかないでしょ。ほらほら」ヌギヌギ

恒一「ちょっ、あっ」ヌガサレヌガサレ

小椋「ドアの鍵閉めたし誰も入ってこないけど、泉美と見崎さんが見たらなんて思うだろうね?」ヌガシヌガシ

小椋「ま、どうせ私はヨミヤマミサキに勝てないんでしょ?だったらせめて一人前の女の子になってから廃人になっておくべきだよね」ヌギヌギ

恒一「(やばいこのままだと本当に行為に走られる!)おっ、小椋さん!」ヌガサレヌガサレ

小椋「んー?」ヌギヌギ

恒一「前にも思ったけどブラくらいつけようよ!もう中3なんだから!」アタフタ

小椋「」パッ

恒一「さっきも言ったけど女の子がそうあっさりとその、えーと、無駄にしちゃだめだって」ワタワタ

小椋「………」

恒一「だいたいそんなことしてたら何かあったときいったいどうす————小椋さん?」

小椋「………いつから?」

恒一「え」

小椋「なんで私がその……つけてないのを知ってるわけ?」

恒一「えーとそのあの。あの時えーと、旧校舎にテープ探しに行ったときに……」

恒一「小椋さん抱えていったときに……その」

恒一「胸元がその、えーと、見えてないし、その、悪気はなかったっていうか」

小椋「へー。榊原君って意外と……いやこれはある意味イメージ通りな……いかにも泉美が喜びそうな……」

小椋「うん気が変わった。榊原君、私多佳子のとこ行っていい?今の私達のシチュエーションとか、榊原君が私の大事なところを盗み見たとか色々言いたくなっちゃった」

恒一「」

小椋「あ、でもやっぱり処女のまんま廃人化するのはいやだし、榊原君にはもう半分見られてるようなものだし」



小椋「それじゃ榊原君つづきしよっか」ボタンプチプチ

恒一「わかったわかったよ小椋さん!もう口出ししない!しないから!だから服着て!」

小椋「えー、せっかく気分乗ってきたのに」

恒一「とにかくだめなものはだめなんだ!それに僕は———」

小椋「それに?」

恒一「………」

小椋「………ま、いいけどね」

小椋「そういうわけだから榊原君。ここからは私の戦いだから。最後の戦いになるかもしれないならせっかくだしポケスタ使って戦いたいし、食堂に行くわ」

小椋「榊原君はどうするの」

恒一「……僕はこれから風見君の様子を見に行くけど、その時は僕もいていいかな」

小椋「負ける時はちゃんと看取ってね」

恒一「もちろん」

小椋「勝つけど」

恒一「僕は止めたからね」

小椋「今からでも止められるわよ?私まだ服ぜんぶ着てないし脱がすの簡単でしょ?カモン」

恒一「……それじゃ、僕は行くよ」

小椋「はあ。あんた仙人か何かか……榊原君。また」

恒一「うん。また。あ、ちゃんと服着てから出てね」ガチャッ

小椋「あたりまえよ!」


キィィ バタン



小椋「……まったく、榊原君にあれだけ想われてる誰かさんは幸せなことで……」

小椋「……待ってろよ、兄貴の仇」


だいぶ引き伸ばしてしまいましたが今日はここまでです。
また次々次回最終回の言葉をぶち破ってしまいました。
もう最終回予告なんかしません本当に最終回が来た時だけ最終回予告します
そして読み直して気づくおぐおぐのヒロイン度数。必死に死亡フラグ乱立してるだけ悲しいもんです
あとまた小椋さんをこんな娘にしちゃって……

こちらの書きだめ進捗具合としてはもう最終戦を残すのみとなったのでしばらくは1日1,2回投稿になります
ではまた質問があればみんなの嫁が受け付けてくれると思うのでそれでは



某イノヤ



多々良「お待たせ」カランカラン

恒一「こんにちは、多々良さん」

多々良「あっ、それ」

恒一「そろそろ来る頃かなと思って望月の義姉さんに飲み物を用意してもらったんだ。紅茶でよかった?」

多々良「コーヒーじゃないんだ」

恒一「僕の財布じゃ、二人分のコーヒーを用意できないからね。代わりに智香さん———望月の義姉さんに頼んでそれなりの茶を用意してもらったから」

多々良「しかもこれ温かい……淹れたてでしょ?もし時間通りに私が来なかったら……」

恒一「多々良さんって時間10分前には必ず待ち合わせ場所にいるから、遅れても茶は冷めないから大丈夫。現にほら、時間ぴったり」

多々良「……」

多々良(淹れたてだと少し熱くて飲みにくいから、飲みやすい温度に下がるまでの時間も考慮済みか……そりゃモテるわ)

恒一「もしかして嫌いだった?紅茶」

多々良「ううん。ありがとう」

多々良「あの、榊原君。合宿……参加、するんだよね」

恒一「多々良さんは参加しないんだよね」

多々良「うん」

恒一「あと2日後か……。クラスの3分の2が参加するんだよな……」



そう。夜見山北中学校三年三組は、夏休みの期間を利用してポケモン合宿を開催することとなった。目的は当然対ヨミヤマミサキのための実力を養成することにある。

———というのは建前。

この合宿の企画者、つまり僕の、この合宿の本当の目的は別にある。

松永さんのテープに残されていたように、合宿を行ってヨミヤマミサキを倒すことが目的だ。

しかし、ヨミヤマミサキと戦い負けると文字通り廃人化するという今後の人生において大きなリスクを負うことにもなるので

今回の合宿は自由参加とし、参加したい人とそうでない人に分けられることとなった。

僕はもちろん言いだしっぺなので参加するのだが、多々良さんは参加しない。



恒一「どうして参加しないの?」




多々良「逆に私が聞きたいよ。どうして榊原君は合宿に参加するの?」

恒一「……」

恒一「倒すため、かな。ヨミヤマミサキを」

多々良「……でも、負けたら……」

恒一「わかってる。負けたら廃人になる、それぐらいわかってるよ。だけど、桜木さん、高林君、久保寺先生、中尾君、綾野さんのことを考えたら何かしなくちゃいられないんだ」

恒一「確かに廃人化するのは怖いよ。多々良さんの思っているように、今の時期に廃人化したら高校受験どころか人生の大事な時期も失うだろうし」

多々良「……どうして参加しないの、って言ったよね。私の場合はまさにそれ。人生の大事な時期を失うかもと思うと怖くて仕方ないの」

多々良「確かにポケモンは好きだけど、合宿してまで強さを求めるのは私には合わないから。それに」

恒一「それに?」

多々良「バナナの皮に足を滑らせて死ぬようなお間抜けさんがどうして私の人生を狂わせに来るのかって考えたくないの」

恒一「ぷっ」

多々良「わ、笑わないで!」

恒一「そ、そういえばそうだったね。僕も見崎からその話を聞いたときは何かのギャグかと思ったよ。まさかそんなことが実際にあったなんて誰が思う?」

多々良「思わないわよねふつう」

恒一「まだ車にはねられたとか、階段から転げ落ちるとかならわかるけど、バナナの皮って」

多々良「今思い出したけど、夜見山市って自治体がやけに掃除がんばってるよね。それってもしかしてこれが原因だったりして」

恒一「バナナの皮で滑って頭撃って死ぬ人がもう出ないように?」

多々良「だってゴミひとつ見かけないのよ」

恒一「あー、確かにこっちに転校してきた時も思ったけど、やけにきれいな街だなーって思ったよ。でもさすがにそれは関係ないんじゃないかな?」


未咲ちゃんを忘れちゃ嫌よ。



恒一「と、ところで多々良さん、今回は何の用事?」

多々良「これを渡そうと思って」

恒一「これは……青バージョン?よく持ってたねこんなの。いいの?」

多々良「どうせ私は合宿に参加しないし。あ、そうそうブルーバージョンってケンタロスの厳選が少し楽になってるけど、知ってた?」

恒一「最近ポケモン育成で手いっぱいだったからその辺のことはわからないな。どう楽になったの?」

多々良「ゲーム内の通信交換で手に入れられるようになりました」

恒一「え、そうなの?」

多々良「ええ。だからもうサファリを延々と歩き回るなんてことをしなくてもよくなったのよ。あ、もちろんまだ交換完了してないから好きに使って」

恒一「ありがとう、多々良さん。と、言ってももう厳選は終えてるんだけどね」

多々良「誰かに頼まれるかもしれないし、持っていても損はないともうけど。それに三神先生からも言われたことだし」


合宿参加を呼び掛けた日、対策係が合宿を迎えるにあたって取った対策は『合宿中にヨミヤマミサキと戦っても被害を抑えられるように

せめて合宿に参加しない人のソフトを合宿期間中にあずかり、保護する』というものだった。

その日は誰もソフトを持ってきていなかったので、必然的に後日回収する手はずなのだが、多々良さんはここでソフトを渡してきた。


恒一「じゃ、遠慮なく使わせてもらうよ」

多々良「………」

恒一「どうしたの?」

多々良「……本題、いっていい?」

恒一「えっソフトを渡すのが本題じゃなかったの?」

多々良「こっちはついでなの。本題は……なんか私だけの力じゃどうにもできそうにないと思ったから。とりあえずこれを見て」スッ

恒一「………手紙?」

多々良「差出人不明。でもなぜか従わないといけないようなそんな気がする不思議な手紙なの」



>>305
多々良さんは未咲ちゃんのことを知らないのでこういっちゃんは名前を出しませんでした。



恒一「差出人不明って……まさかストーカーとか」

多々良「似ているような、違っているような……とにかくこれ読んで」

恒一「えーと、なになに……」

恒一「『こーいちくんへ。今後の合宿のために、今まで習った戦術やパーティ構成のコツとかいろいろ復習してください。できれば俺の嫁と一緒に』 ———俺の嫁って」

多々良「……」

恒一「多々良さんこれストーカーだよ警察に言おう」

多々良「そうしたいのはやまやまだけれど、なぜか不思議に実行したくなるような、しなくちゃいけない強制力の働く手紙なのよ」

多々良「今のところ私に直接的な危害はないし、手紙の内容もハラスメント行為を誘発するような内容でもないし」

恒一「もしかして、これ以外にも何通かもらってた?」

多々良「どれも似たような内容だったわ」

恒一「なるほど、まあ、確かにこれは多々良さん一人じゃ解決できないね。どういうわけか僕も名指しで書かれてるし。手紙の内容もそういう下心はなさそうだ」

恒一「合宿に備えて復習しておくのもいいかもしれない」

多々良「ね、不思議な力があるでしょ」

恒一「誘導された気がするけど……ま、いいか。じゃ、始めるよ」

多々良「なんだか榊原君、三神先生みたい。顔が似てるから雰囲気もなんだかそれっぽい。今度ウィッグ用意しよっか、きっと似合うよ」

恒一「」

多々良「さかきばらせんせ、授業授業」

恒一「……といってもテキストに書かれてる内容だし、多々良さんもある程度知ってる内容だと思うけど、ぼくの知識が間違っていたら指摘してね」

多々良「はぁーい」


恒一「じゃあ、まずは現在の対戦界……全国的に見たポケモン対戦の環境について語ろうかな」







※お忘れがちですが現在この作品は1998年8月中旬、ポケスタ1が発売されニンテンドウカップ98のルールが発表された頃を想定して話を展開します。
2012年現在の環境ではないので誤解なきよう



恒一「対戦において、三種の神器と呼ばれているものがある。それらはどのパーティにも組み込みやすく、どのパーティにも有効な働きを見せる性能を持つ」

恒一「一応聞くけど、多々良さんは知ってるよね」

多々良「『影分身』『吹雪』『ケンタロス』の三つね」

多々良「影分身は一回積むだけで異常なまでに回避率が上昇し、攻撃を当てるのが難しくなり、戦闘が長期化する」

多々良「吹雪は120という威力もさることながら実質戦闘不能の氷状態が3割の確率で引き起こされ、その上命中率が90と高い」

多々良「ケンタロスは無駄のないステータスと、覚えてくれる技の範囲の広さ。そして素早さ110攻撃100から放たれるタイプ一致破壊光線」

多々良「影分身と吹雪は多くのポケモンに搭載でき、ケンタロスは安全に受けきれるポケモンが理論上はいない。破壊光線で一撃KOにすれば反動なしなのも大きいわ」

恒一「そう。実際ニンテンドウカップ97でも上位入賞者は全員この3種の神器を携えたパーティを構築していた。一人例外はいたけど、それ以外は」

多々良「吹雪の性能は本当におかしいと思わない?吹雪だけは命中率そのままでも凍結率0、せめて1割に下げてほしいな」

恒一「そう考えると夜見山市ローカルルールは吹雪に厳しいルールだよね。こうでもしないとバランスとれないと思うけど」

多々良「このルールなかったら催眠と吹雪が猛威を振るう、駄目なゲームになっちゃうからこれでいいと思うの」

恒一「ポケモンの新作が出たらたぶんこの3種の神器の性能が下方修正されると思うけど、このルールは正直ありがたいよね」

恒一「さて、このニンテンドウカップ97が終わりニンテンドウカップ98のルールが公表された現在だけど」

恒一「この前説明した3値———種族値、個体値、努力値の存在が———この名前は正式な名前じゃないけど———判明して全国的に広まっているんだよね」

恒一「全国的に見てもまだあちこちで研究がすすめられてるところだと思うけど、たぶん一番正確にこの3値を把握できているのは三年三組ぐらいだと思う」

多々良「ねえ榊原君」

恒一「何?」

多々良「……実は三神先生ってものすごくすごい人なんじゃないかしら。間違いなく三年三組の中で一番の知識人って三神先生よね」

多々良「あのテキストをほぼ一人で作り上げたようなものだし」

恒一「……ふつう、三値とか努力値レベルとか、それどころか乱数によるダメージ計算とか……いやそこまでは解析とかでなんとかなるとしていても……」

多々良「あれだけの数の戦術を発見したのは……他にいないでしょ。……あの人私たちより強いよね、絶対」

恒一「僕たちどころか日本で一番強い気がするよ。あのテキストを作り上げた人に勝てる気がしない。うっかりヨミヤマミサキにも勝つんじゃないのかと思う時があるよ」

多々良「でも戦わないのよね」

恒一「あの人は自分の実力を過小評価するところがあるからね。ま、だからこそ安心できるんだけどね、いろいろと」

多々良「——3値が全国に広まった後はどうなると思う?」

恒一「これも前に話した気がするけど————」











恒一「まず、3種の神器の対策から始まったね」

恒一「毒毒を入れたり、速攻アタッカーで積まれる前にカタをつけるといった影分身対策は97年の時点であったけど今は全国的に広まっている」

恒一「分身対策にシャワーズを用意して黒い霧を使うこともまれにあるぐらいだ。でも対策されるほうももちろんその対策のための対策はあって」

恒一「高耐久ポケモンが回避率を一定まで上げて眠ることで状態異常を回復させ、運次第だけど攻撃をよけ続けて安全にターンを稼いだり」

恒一「いっそ積んだ分を放棄して相性のいいポケモンに交代したり、繰り出しやすいポケモンで積んだりとあらゆる手を撃つことでその対策を対策した」

恒一「ふぶきは相変わらず鬼畜な性能だけど、氷タイプは凍らない特性やルールに制限がかかったことを生かして少しだけ鳴りを潜めた」

恒一「ふぶき読み交代でラプラスやルージュラに交代させたりとか」

多々良「でも、基本的にふぶき受けには眠る以外の回復手段がないから、根本的な解決にはなってないのよね」

多々良「ケンタロスに関しては、3値が判明したことで対策の幅が広がったって考えでいいかしら」

恒一「そうだね」

恒一「全ステータスの努力レベルを63まで上げて、個体値をちゃんと選べばケンタロスの攻撃一発で落ちることはないからね。もちろんポケモンによるけど」

恒一「それによってカウンターフーディンでケンタロスを返り討ちにしたり、マルマインが地震を耐えて爆発で反撃も可能になったし」

恒一「少しでも早いゲンガーを育成して個体値と努力レベルの差でケンタロスを抜いて、破壊光線を流して催眠術を撃つとかできるようになった」

恒一「これまで破壊光線をはじめとした高威力の技で相手をねじ伏せてきたケンタロスだったけど、それを耐えられることで十分対策がとれるようになった」

恒一「それでも抜き性能は断トツだけど」

多々良「3値の存在が明るみになって一番変わったのは、やっぱりポケモンの耐久力よね」

多々良「全体的に耐久力が上がって、タイプ不一致弱点では落ちないし、タイプ一致弱点でも育て方や能力によっては耐えきれるほどに硬くなった」

多々良「そこで目を付けられたのが、補助技ね」

多々良「それまで影分身やどくどく、回復ぐらいしか注目されてなかった補助技だけど、一撃で倒せない敵が次々と出てきて」

多々良「確実に相手を倒せるだけの手段を各プレイヤーが考えるようになり、採用率がぐんと上がったらしいわね」

恒一「ニンテンドウカップ97の加藤氏はフーディンに電磁波を覚えさせていたり、ある人はどくどくをほぼ全ポケモンに覚えさせていたりと先見の明があった人はいたけど」

恒一「補助技を入れるより高火力技を優先するほうがメリットのある環境だったから、全体的に採用率は低かったね」

恒一「今では身代わり、二枚壁、ステータス上下技といった補助技も使われて、耐久型スターミーや嫌音光線ペルシアンなんて型も生まれた」

恒一「すばやさを調整してまきつくといった拘束技で相手をハメ殺す手段も考え出された———ま、まだマイナーだけどね」

多々良「少なくとももう三種の神器を搭載していればいいっていう考えの環境じゃなくなったけど、それでもこの3つは驚異ね」

多々良「対策は取られたけど単純に強いし、この対策とか3値の研究も発展途上。まだまだ新しい戦術が出るかも」









多々良「3値の説明は>>244でやりましたのでそちらを参照していただければ。あ、現在と今の努力地システムは全く違うのでうのみにしないほうがいいです」




恒一「ここからマニアックなとこに入るね」

多々良「……面倒なところね」

恒一「僕もこのあたりからポケモンって実は奥深いものじゃないかって思い始めた」

多々良「私も」

恒一「何から話したらいいと思う?」

多々良「何でもいいと思うけど……戦術、って観点から話を進めるのはどう?交代読み、受け、流し、ポケモンが持つ役割とか」

多々良「せっかくだし、受けについて復習しない?」

恒一「受けか……役割理論のほうに入るのかな?」

多々良「そうね……じゃ、まず受けループから入りますか」

恒一「だね」

多々良「で、では———」


多々良「ここに二つのパーティがあります。サンダーとダグトリオ、ギャラドスとゴローニャ。どちらもレベルは同じですがさて勝つのはどちらでしょうか、榊原君」

恒一「ギャラドスとゴローニャ」

多々良「即答ですね。なぜですか?」

恒一「サンダーはギャラドスを見るなり10万ボルトを撃ってくるだろうと予測できる。なので、ゴローニャに変えて無効化する」

恒一「サンダーではゴローニャにどうあがいても勝てないので、ダグトリオに交換する」

恒一「ダグトリオはゴローニャの弱点を突くことができ、素早さが上回っているのでじしんで確定2発になります」

恒一「またダグトリオは一撃技使いとしては最速にして最高の命中率を持っているので、ギャラドスに交代するのが無難です」

恒一「ギャラドスに交換することで地面技を回避できますし、タイプ相性で有利な状態を作ることができます」

恒一「しかし、相手もそれはわかっているのですぐサンダーに交換するでしょうが、サンダーが出てくるなりこっちもゴローニャに交換します」

多々良「そうですね。でもそれだと交代ばかりで決着がつかないのでは?」

恒一「この場合、交代する際にギャラドス&ゴローニャ側がほぼ一方的な攻撃をすることが可能になる」

恒一「サンダーからダグトリオに交換するとき。ゴローニャはサンダーに利く技、ノーマルまたは岩技を撃つことで交代で出てきたダグトリオにダメージが入ります」

恒一「しかし、ダグトリオを見てすぐ交代することでゴローニャにはダメージなし、さっき言ったように地面技は回避できるのでギャラドスは無償降臨可能」

恒一「ダグトリオからサンダーに交代するときも同様、ギャラドスの攻撃でサンダーにダメージが与えられます」

恒一「これを繰り返すとサンダーとダグトリオは交代するたびにダメージが蓄積され続け、やがてHPが0になるので、負ける」

恒一「つまり、この二匹はどちらも相手の弱点を付けるのにその攻撃は相手に届かない。よってギャラドス&ゴローニャが勝つ」

多々良「はい、よくできました」

多々良「かなり極端な例ですが、まあそんなところです。タイプ相性でサンダーの10まんボルトはギャラドスに、ダグの地震はゴローニャに届きません」

多々良「極端ですが、原始的な受けループです。(メタ的な意味ですがここから役割理論が発展していきます)」




多々良「まあこれはあくまで極端な例で、パターン化される前に手をうつのでそううまくいくとは限らないけど、それでも高確率で後者が勝つわ」

多々良「さて、もうひとつ例を挙げます」

多々良「フーディンと眠るを覚えたラッキーが戦うとどちらが勝つでしょうか……ま、これも言うまでもなくラッキーが勝ちます」

多々良「なぜでしょうか?」

恒一「フーディンのサイコキネシスでラッキーを倒すには、最低でも4発入れないといけない。この4発の内訳は」

恒一「フーディンの特殊個体値がF、ラッキーはHPと特殊の個体値が0、努力値無振りのときに発生するけど、そんな状況はまずない」

恒一「ちゃんと厳選して、ちゃんと努力値を振っていれば超低乱数5。急所にあたったり、特殊能力の下降がなければ確実に回復できる余裕がある」

恒一「これを繰り返すと次第にフーディンのPPはなくなる。フーディンはラッキーに無力化されるわけだ」

恒一「ちなみにフーディンは特殊技を主に使って戦うポケモンの中ではミュウツーに次ぐ特殊の高さなので、その方面ではトップクラスのポケモンだ」

恒一「そんなポケモンをラッキーは無力化できる。つまり、急所とか技の特殊効果、そしてPPを考えなければラッキーはほぼ永久的に特殊技を受けきれる」

恒一「つまりラッキーは特殊技を『受け』られるポケモン。そう、『受け』だ」

多々良「ああっ私の説明が…もう榊原君、先取りしないでよ」

恒一「あはは、ごめんごめん」

多々良「もう……。じゃ、もうひとつ。電気タイプはゴローニャに勝てますか?」

恒一「多少の例外はあるけど……まあ無理だろうね」

恒一「電気タイプは全体的にゴローニャにまともにダメージを与える技がない」

恒一「たとえダメージを与えても、ゴローニャを倒すより自分が倒れるほうが速いからだ」

恒一「この組み合わせの場合、同時にポケモンを繰り出しても、ゴローニャを後出ししても、ゴローニャのHPが3分の2以上ならば」

恒一「サブウェポンに乏しい電気タイプではゴローニャに完封されてしまう」

多々良「そう。この場合ゴローニャは電気タイプをつぶせる———『潰し』、そして後出しからでも技を受けられ、HP差をひっくり返す『流し』が成立するの」

多々良「そういうポケモンは『封じ』と呼ばれるわ」

多々良「ちなみに電気タイプに関しての『流し』は電気タイプを半減できる草ポケモン、主にナッシーでも電気タイプの『流し』ができるわ」

多々良「パーティに地面タイプがおらず、ナッシーがいる場合はナッシーが電気タイプ対策を受け持っていると考えてだいたい間違いないわ」



多々良「………榊原君」

恒一「どうしたの?」

多々良「……ちょっと一息入れない?ちょっと疲れちゃった」

恒一「結構時間経ってるしね。いいよ。少しお茶しよう」






はい、ここまで長引かせていったんここまでです。
とりあえずこの時間まで起きていると頭が働かなくなりちゃんとした情報提供ができなくなり
最悪また合宿一日目の夜みたいな悲劇が起こりかねないのでここでいったん止めます。
質問がある方、明日必ず受け付けますのでそれでは見捨てないでよろしくおねがいします。

乙!
とりあえずピカチュウをどんなに必死に育てても無駄だということは把握した……

多大なバグについてはどう思ってるんだろ

格闘とドラゴンが跋扈する世界だけど、マイナーがメジャー所を喰えたり変態型で奇襲しかけたりレベル1戦法とか
世代を重ねるごとにバランスが調整されている点は本当に素晴らしい。埋葬組みたいなのもいるけどそんなのはどの世代にもいたわけで………
だけど対面構築とか見てると戦術は一周まわって初代ポケモン対戦の考えに近くなっている気がしないでもない

>>314
ピカチュウてかライチュウは素の火力がない分補助技が非常に充実しているのでそこでがんばろう。なんで電気玉没収したのか

というわけで小休止はもう最後ですが投下します


多々良「………でね、松子があの時無理しちゃって風邪引いたのよ」

恒一「い、いいのかな?有田さんの知らないところでこんなこと聞いて」

多々良「いいのいいの。榊原君なら教えても松子に何かするってわけじゃないでしょ?」

恒一「だからって教えていいことと悪いことはあるよ……」


もうどれぐらいの時間が経過したかわからないが、ぼくと多々良さんの二人はいったんポケモン対戦の復習をやめ談笑していた。

その様子を見て呆れたように望月の義姉さん———智香さんが紅茶のお代わりをいれ、たまに智香さんも話に参加して話に花を咲かせていた。



恒一「とにかく、人の秘密をそうあっさり話しちゃだめだよ」

多々良「先生みたいだなぁ……」

恒一「従姉妹に先生がいるからね。ところでそろそろ話を戻そうか」

多々良「それもそうね。もう数日は話しっぱなしな気分。……見崎さんや赤沢さんに怒られそうだ」

恒一「見崎と赤沢さんがどうしたの?」

多々良「ううん別になんでも。よく気が回る男の子の相手は面倒なんだなってだけ」

恒一「えっ……た、多々良さんごめん。目ざとかったらもうここは……」

多々良「ええああいやいや、そんな意味じゃなくって。気が利くのはすごくありがたいけど、なんていうか、私はその……」

恒一「……ひょっとして多々良さんって勅使河原みたいなのがタイプだったりするのかな」

多々良「榊原君、それ本気で言ってる?」

恒一「………ちょっとは」

多々良「勅使河原君は少し黙って落ち着けばまだ考えていたかもしれないけど、ないわー」

恒一(哀れ勅使河原)

恒一「あいつは黙っていればな……でも実は勅使河原って女子人気あることは知ってた?主に後輩の女子から」

多々良「そんな話聞いたことがあるような。なんていうか、まさに『中3!』ってイメージぴったりだもんね。そこそこお兄さんでヤンキーな風貌は」

恒一「高校行ったら勅使河原みたいなタイプって真っ先にモテそうだな……」

恒一「実はまんざらでもないんじゃないの?」

多々良「だからないってば」

多々良「もし私がその、ちょっとでも勅使河原君に気があるならこうやって榊原君と何度もお茶できるわけないでしょう」

恒一「それも………え?」

多々良「………うんごめん今の忘れてね。そ、そろそろ本当に話を戻そうよ。えーと前はどこまで話したっけあっそうそう受けループに対する役割ねって役割って言っちゃった」

恒一「」






望月姉(青春しやがってるなあ。……あ、お客さんだ)



多々良「後出しでも技を十分受けられ、タイプ相性や技でHP差をひっくり返せるポケモンの事を『流し』」

多々良「で、『流し』ほどタイプ相性等でHPをひっくり返す可能性が高いわけじゃないけど、特定のポケモンに対してめっぽう強いのが『潰し』」

多々良「そしてこの『流し』と『潰し』の両方の特性を持ったポケモンの事を『封じ』という」

多々良「じゃあこのポケモンたちでパーティを組むとどうなるでしょうか」

恒一「……うまくこのポケモンたちの特性———受けまくることで勝利を目指すパーティができる」

恒一「さっきの例のように、交代間際にダメージを蓄積させたり、状態異常などで体力を削り取るダメージレースを展開していくことで相手を倒す」

恒一「小さなダメージを積み重ねて勝利を得る、というコンセプトでパーティはできあがる」

恒一「そしてこの『受け』『流し』『潰し』『封じ』といったようにそれぞれのポケモンが受け持つ役割によって基づくそのパーティは」

恒一「『役割理論』というネタパと呼ばれている」

多々良「……うん、あたり」

多々良「ネタパって言ったけど、それはどういうことか教えて欲しいわ。一見十分戦術として成り立っている気がするけど」

恒一「うん、そうなんだ。僕もこれは戦術的見ればパーティ構築の考えとしては悪くないものだと思う」

恒一「ただどうやっても現環境、現ポケモン環境じゃネタパに過ぎないんだ。多々良さん。今から言う条件に合うポケモンを言ってくれないかな」

多々良「どんなポケモンを?」

恒一「回復技を覚えているポケモンを」

多々良「えーと、まず回復技は…どこまで含めたらいいの?」

恒一「とりあえずHP回復が可能な技が使えるポケモンかな。思いつく分だけで良いから」

多々良「最終進化形だけで絞るわね。自己再生、卵産み、眠る……眠るまで扱ったらかなりのポケモンが含まれるけどどうするの?」

恒一「じゃあ眠るは後回しにしよう。そこの紙に書いてもらえるかな」ペラッ

多々良「……っと、じゃあこんなものかしら」カキカキ


自己再生→フーディン、スターミー、ミュウツー
卵産み→ラッキー、ミュウ
眠る→カビゴンその他
宿木のタネ→フシギバナ、ナッシー等
メガドレイン→草ポケモン全般とその他数匹
夢くい→ゲンガー、スリーパーとその他数匹
きゅうけつ→ゴルバットとか
すいとる→ラフレシアとか


恒一「何か見えてこない?」

多々良「……氷に弱すぎるし、回復技の選択範囲が狭すぎる」

多々良「ミュウツーは使えないし、ミュウは改造以外じゃお目に係れないわ。必然的にパーティにはフーディン、スターミー、ラッキーの三匹が入るけど」

多々良「これじゃ氷状態を回避することはできないし、何より物理技……特にケンタロスがこの三匹にはよく刺さるわ」

恒一「そう」

恒一「この三匹は通常のパーティにも組み込みやすいけどケンタロスに非常に脆い」

恒一「また地震や破壊光線といった使い勝手のいい物理技を受け続けることもできない。壁張りや能力上昇で確実に受けることができる体制は作り出せるけど」

恒一「急所率は素早さ依存———素早さ種族値110のケンタロスの急所率は約2割。つまり壁を張っても急所に当たって突破される可能性は十分にある」

恒一「見崎のようなにらみつけるケンタロスとかだと壁張りや能力上昇が行われてもそのまま突破される可能性は高い」



恒一「じゃあ眠るを使えば?と言いたいところだけど……」

多々良「あれって相当に欠陥のある技だと思わない?榊原君。状態異常も含め全快する性能は本当に嬉しいけど、数ターン行動不可になるのは痛過ぎるわ」

恒一「やっぱ多々良さんもそう思う?」

多々良「次回作で仕様変更しないとただの残念技に終わっちゃうじゃない。せめて寝ている時のアクションとか、寝起き直後に技を繰り出せられればいいんだけど」

多々良「眠るを有効活用できるポケモンってミュウツーぐらいしかいないのは、ちょっとね……」

恒一「あれも種族値の暴力とバリアーor度忘れがあっての能力だしな……。それ以外だと、寝ている間にボコボコにされて起きた時にはもう既に手遅れなパターンが多すぎる」

多々良「影分身で安全圏まで回避率を上げて、眠るって戦法はどう?」

恒一「その前に弱点の技が飛んでくると思う。眠ったらそれだけで無防備に技をくらいつづけるし、眠るタイミングを間違えたりしたらそれこそおしまいだ」

恒一「それだけ影分身を積ませたポケモンをHP全快だからって交換させるのも手間だ」

恒一「そして他の回復技は論外だね」

多々良「きゅうけつ、すいとる、メガドレインは一撃あたりの回復量が少なすぎるわ。メガドレインはすいとるの上位互換技だけど、威力が、ね」

恒一「使いどころが大きく限られるのもマイナスだね。ゲンガーに持たせればゴローニャあたりには一矢報いられるけど、あまりにピンポイントすぎてそれら交代したほうがマシだ」

恒一「急所なし葉っぱカッター程度の威力があれば採用を考えるけど……そもそも草技のあの不遇さはなんなんだ」

多々良「宿木もあれ交代されたら効果は消えちゃうのよね?」

恒一「どくどくと組み合わせたらバグで絶大な効果を発揮するけど、そもそも氷エスパー技が飛び交う中で満足に使えるのはナッシーだけっていうのがね」

恒一「そのナッシーも吹雪の被害を受けるし、何らかの工夫をしないと宿木のタネは相手に負荷をかけられない」

多々良「ダメージレースに勝つって目的においてやどりぎのたねはマッチしにくいのかしら」

恒一「いいや、電気タイプと相対したときとか、吹雪を覚えてないポケモンと当たったときは効果があるよ。ただその場合はダメージ回復より相手方への負荷をかけるのが目的になる」

恒一「ダメージはある程度与える、回復量は相手技の確定数がズレればそれでいい、って割り切った方が使えるね」

恒一「どのみち影分身は必須だけど」

多々良「夢くいは……うん、エスパー技としては威力100でサイコキネシスより上で、削り取ったダメージの半分のHP量だけ回復出来る。けど」

恒一「その前に眠らせて、なおかつ相手がポケモンを交代させない状況でなければ意味がない」

多々良「現環境だとスターミー、ナッシー、フーディンと相性の悪いポケモンがパーティには必ず一匹以上が組まれているから、眠らせたら他の技で攻めたほうがダメージは通る」

多々良「おまけにタイプ一致で放てるポケモンはスリーパーしかいないのも拍車をかけてるわ」

恒一「多々良さん、スリーパー使ってるのみたことある?」

多々良「確か中尾君が使っていたと思うけど、それ以外は。技の範囲はフーディンよりスリーパーの方が広いんだけど、どうしてかしら」

恒一「技の範囲が広くても、スリーパーの耐久だとヨガのポーズで攻撃力を上げても、素早さの問題でそれを生かせないまま沈んでしまうパターンがあるんだ」

恒一「逆に言えばスリーパーをうまく使いこなせる人の技量は確かなものともいえるね。中尾君が対策係に入るだけの実力があるのも納得だ」

恒一「ま、それでも夢くいを採用するメリットより普通にサイキネを採用するメリットの方が大きいんだけどね」

多々良「次回作出たら回復技の仕様がなんとかなるといいね」




多々良「話がだいぶ脱線したわね、元に戻そうか」

恒一「そうだね。まあ、これでわかったと思うけど、ダメージレースに勝つためには自分の体力を温存させるのが必要だけど、それがなかなか難しい」

恒一「また、電気タイプに対するゴローニャのように特定のポケモンに対して『封じ』が成立するポケモンは少ない」

恒一「そしてケンタロスを確実に『流し』たり『潰し』にいくことができるポケモンは理論上いない。いてもそれだけで数匹必要になる」

恒一「カウンターフーディンとかゴローニャの大爆発でケンタロス流しは可能だけど、前者はHP満タンか壁を張った状態、後者は破壊光線を一発食らうことが前提条件」

恒一「確実なタイミングで繰り出さないとこれらは威力を発揮しないからね」

恒一「なんとかパーティを組んでも、もし必要な役割を持ったポケモンが崩されたら、そのパーティは一気に崩壊する」

恒一「たとえ話だけど、ゴローニャは電気タイプに対して『封じ』が成立する。しかし、何らかの手段で電気タイプのポケモンがゴローニャをほぼ確実に仕留められる技を持っていたら」

恒一「その技は役割破壊と呼ばれる」

多々良「あの、それなんだけどこの手紙にも書いてあって」

恒一「え?」

多々良「『二刀流なんかが典型的な役割破壊の例。一昔前の猿とか。他にもガブの文字やめざ氷なんてまさに役割破壊。他にもいろいろあるから調べてね』だって」

多々良「一昔前の猿…?オコリザルが役割破壊っていったいどういう…?文字は大文字だと思うけど、ガブとめざ氷って一体…?」

恒一「オコリザルが活躍してるなんて話聞いたことがないな。クラスでも猿田ぐらいしか使ってなかったんじゃないのか?」

多々良「『メタ的な話だからあまり深く考えない方がいいよ、二人とも』だって。……なんのことかしら、まったく」

恒一「いろいろ気になることはあるけどいったんおいておこう。でも二刀流って言ってたよな……攻撃と特殊の技の両立ってところか?てことは……」

多々良「榊原君?」

恒一「ケンタロスが強いのは他と比べて二刀流構成がやりやすいからか……。役割理論的に言えば、つまりケンタロスは役割破壊の申し子ってところか」

多々良「うーん、何を納得してるのかさっぱりだけど」

多々良「ところでこのダメージレースに勝てばいい、っていう発想だけど。これただ相手の技を受けまくるだけだと勝てないわよね。だからネタパなんだし」

恒一「防御一辺倒だと勝てない。だから、相手に深く切り込めるポケモンが必要で、そのポケモンはパーティの『決定力』になりやすい」

恒一「例えばあるポケモンはひたすら毒をまきまくり、他はひたすら耐えるという戦法を摂るなら、『毒まき』がパーティの『決定力』になる。眠られたら終わりだけど」

恒一「また、こちらと同じように防御中心に組んだパーティ相手でもそれらに切り込めるようなポケモンが居ればそれが『決定力』になる」

恒一「ほぼどのポケモンも一撃死させる大爆発持ちのポケモンも『決定力』に………」

恒一「………」

恒一「……ねえ多々良さん、この説明してて思ったんだけど」

多々良「なぁに?」

恒一「これまでの情報を整理して、多々良さんならどのようなパーティを構成する?」

多々良「えーと、まず回復としてラッキー。サポート役としてスターミー、採用率の高い電気封じにゴローニャ、あとは適当に……あれっ?」

恒一「……気付いた?」

多々良「うん」

多々良「これって私たちが普段組んでるパーティと大きな変化はないんじゃないの?」

恒一「………」

多々良「………」

多々良「ど、どうやって見分けようか……?」

恒一「そ、それはもう相手の出方次第になるんじゃないかな……?」

多々良「初見じゃパーティ構成わかっても、そのコンセプトまで読み取るのはひょっとして難しいんじゃ……?」

恒一「………とっ、閉ざされた世界すぎるだろこれ……次回作出たらこの一極集中はどうなるんだ……」



「あるよ、見分け方」



僕の斜め後ろの席から聞き慣れた声がした。


鳴「教えてあげようか、役割パの見分け方」

恒一「み、見崎?なんでここに」

鳴「知りたくないの?見分け方」

恒一「あ、うん」

鳴「そうね……確かにパーティ構成が分かってもコンセプトはわからないのは仕方ないわね。けど、そんなのどのパーティでも同じこと」

鳴「でもその中でもパーティのコンセプトがわかる方法があるの。そのカギは、初手」

鳴「ダメージレースに勝つコンセプトを掲げたパーティは、相手の出方を確認するよりまず自分に保護をかけて次の技を確実に受けられる状態を作るの」

鳴「それがステータス上昇技だったり、相性のいいポケモンへの交代だったりするけど、とりあえず最初のターンは攻撃してこない傾向にある」

鳴「2ターン目で攻撃技を使ってこなければ、8割方相手はそういうパーティなのが判明する」

恒一「へえ」

鳴「そのセオリーを破って、最初に暴れるだけ暴れ、暴れ終わったらあとは籠城するように戦うパターンもあるけど」

鳴「氷状態や急所攻撃、思わぬ技を食らうことで役割が破壊されて瓦解することを考えると籠城には限界がある。最初に暴れられた場合、主力と補助役に被害が及ばないように善処」

鳴「相手は受けることを優先してバトルしてくる。だからこっちに主力が残っていた場合は有利に事を勧められる可能性が高い」

鳴「3対3のバトルでは出せるポケモンが限られ過ぎるからやっぱりネタの要素は大きいからね」

多々良「なるほど、初手ね」

恒一「『つよいもの』はやっぱり伊達じゃないね」

鳴「ありがとう」

鳴「ところで榊原君、多々良さん」

鳴「二人は毎回毎回毎回毎回毎回毎回こうして会ってるの?」

恒一・多々良「「へ?」」

鳴「榊原君……こっち来て」

恒一「な、なに見崎?」

鳴「どうして動揺しているの?何かみられてまずいことでもしてた?」

恒一「いやあの、多々良さんとはこうして話をしているだけで……」

鳴「鈍」

恒一「」

恒一(見崎の背後から何か黒いモノが出てる気がする)

鳴「榊原君、こっち座って」

恒一「は、はい」スッ

鳴「用意はいい?榊原君」

恒一「え今からバトルするの?」

鳴「早く」

恒一「ちょ、ちょっと待って見崎、あの僕……」

鳴「さ・か・き・ば・ら・くん?」

恒一「……はい」スッ



多々良(バトルは壮絶なものでした)

多々良(見崎さんの無言のプレッシャーが支配する店内で行われたバトルはまさに壮絶なものでした。大事なことなので二回言いました)

多々良(6対6のバトルでしたが、まるで鬼武者が乗り移ったような見崎さんの気迫と技で榊原君のポケモンは見るも無残に斬殺されていきました)

多々良(ばっさりぶった斬られるポケモンもいれば、じわじわと毒殺されるポケモンもいました。影分身や身代わり、どくどくで榊原君を仕留めていく見崎さんはまるで忍者のようで)

多々良(気が付けば見崎さんの完全勝利で幕を下ろしました。榊原君は机に臥していました)

多々良(見崎さんの気はすぐさま私に向けられました。私も同じように時にはスパッと、時にはじわじわと嬲り殺されました。でも榊原君の時の方がえげつなかった気がします)

多々良(どうやら年貢(榊原君)の納め時のようです)

多々良(でも、なんとか見崎さんの誤解を解いてから年貢を納めるとします)



多々良「………見崎さん」

鳴「何?」

多々良「あれほっとくと女子全員落としかねないと思わない?」

鳴「………」

鳴「……ほんと」

鳴「あの天然ジゴロの朴念人は」

多々良「色々骨が折れそうね」


>>316

多々良「見崎さん。榊原君と私の話、どこまで聞いていたの?」

鳴「ポケモンの役割について知識を整理していたあたりから」

多々良「じゃあちょうどいいかな」

多々良「このゲームのバグ、どれだけあるのかな?」

鳴「20ぐらい判明しているみたい」

鳴「中でもセレクトバグが圧倒的に多い」

多々良「あれうっかり見つかるパターンが多かったわ。私でさえ自分でいくつか見つけたぐらいだから。デバッガー仕事しろー!って何回思ったか」

鳴「データ容量キツキツだし、いくつかの命令が被るのは仕方ないと思うけれど、セレクトは私もちょっとね」

多々良「オーキド先生とか没データあるのにね」

鳴「大人の事情ね」

多々良「要領の事情でもあるけど」

多々良「データ破損の危険はあるけど、いろいろ試したくなるわ」

多々良「マサラタウン隣の叢とかどうなってるのかな」

鳴「PAR使わないの?」

多々良「え、あっち行ったの?」

鳴「すぐにバグった」

多々良「……あそこで野生のミュウが出てくるって噂があったけど、野生のミュウが出るのはデパートだけなのか……でもなんであっちミュウが出るようになったのかしら」

多々良「サントアンヌのトラックも謎のままだし」

多々良「ワタルの部屋ではなみのりができるし……ほんと、デバッガーなにやってんの」

鳴「次回作はもうこんなバグはないと思うから、次回作に期待しましょう」

多々良「そうね」



と、いうわけで多々良さん主演の小休止はここまでとなります。
これ以上多々良さんを出すと本編に過干渉してくるところまで来ていますので、彼女の出番はとりあえず終了です。

本編投下については近日中に投下します。
なんか風見君が絡むと投下スペースがガクッと落ちるのは気のせいでしょうかそうです

もうマジで旬すぎてるしそもそも夏休みも終わってるからこんな深夜の投稿なんか見ねえよって方もうしばしおつきあいくださいお願いします
役割理論に関してはしっかりとした知識がないので「こんなの役割理論じゃねー!」っていう方もいるかと思いますのでこの手の話は
ちゃんとしたサイトを見たほうが参考になりますので、この小休止もとい作中で語られた理論は『初代環境だからってことで勘弁してください
もちろん質問があればお答えします。それでは

構わないから終わらせて下さい

待ってるから
ずっと

まだか

いつまで全裸待機させるつもりだよ
そろそろ寒いわ

放置して正直すみませんでした
ようやく一人分書き上げたので投下します



小椋さんによる足止めがあったものの、なんとか見崎と赤沢さんがいる風見君の部屋へと向かうことができた。



恒一「みさ————」ガチャ

風見「くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!」ポチポチポチポチ

恒一「か、風見君!?」

風見「くそくそくそっ!」

恒一「風見く————」

風見「黙れ!静かにしろ!」ドッ

恒一「ちょっ」

赤沢「無駄よ。さっきからこんな調子だから」

風見「くそ!くそ!ゆかりの仇!ゆかりの仇!かたきいいいいいいいいいいいい!!」

恒一「いったい何が……」

赤沢「部屋を出ましょう。それから話すわ」



風見君があまりに異常だったので、赤沢さんから話を聞いてみた。



赤沢「恒一君。フーディン、スターミー、ラッキーの組み合わせを聞いて恒一君ならどんな戦い方を考えるのか聞かせてもらえないかしら」

恒一「どういうこと?」

赤沢「ヨミヤマミサキが使ってきたパーティの中の三匹よ。今回もヨミヤマミサキは6対6を仕掛けてきたの。このことも考えて聞かせてくれない?」

恒一「う、うん」

恒一「えーと、三匹とも特殊が高く、技の範囲はそこそこ広いし回復技も持っている。あとスターミーとフーディンは素早い。補助技も豊富だ」

恒一「残りの三匹は知らないけど、6匹いてこの3匹か……。まずは、フーディンとスターミーを特殊アタッカーに据えラッキーを特殊アタッカー受けに回す」

恒一「それか、二匹はそのままにスターミーの特殊技を削ってアタッカーもサポーターも可能な構成にする。と、ラッキーも高い特殊を使ったアタッカーにする」

赤沢「他には?」

恒一「三匹とも受けに回して対特殊回復ループを形成する。主な物理技の破壊光線と地震を撃ってくるポケモンより特殊技を扱うポケモンの数の方が多いことを考えると」

恒一「パーティ構成もおのずと特殊技を使うポケモンに数が偏りやすい。だからループは機能するはずだ」

恒一「強力な物理技を食らってもカウンターが可能で地震を使う相手はフーディンとスターミーで対応可能、氷技があればラッキーも」

赤沢「おおむねそのとおりね」

恒一「まさか、特殊受けの方が?」

赤沢「察しがいいわね」

見崎「本来なら受けループは回復ができていて、ケンタロスを受けきれるだけのポケモンが限られているせいで」

見崎「ちょっと観察すればパーティ構成予想が容易でそこまで強くないけど」

見崎「風見君のパーティと夜見山市ローカルルールがその構成を強化させてるの」

恒一「……確か、風見君のパーティは素早さ重視の速攻パーティだよね。素早さの高いポケモンは高火力も多いからコンセプトは単純だけど強い。ローカルルールが絡むのは?」

赤沢「ふぶきの制限」

恒一「ああ……」

恒一「そういえば、ここじゃ吹雪が使えるポケモンが限られているんだっけ。吹雪そのものは強力だけど、搭載されているポケモンが限られているから」

恒一「いかに吹雪が三割氷の壊れ技でも凍らせられるポケモンは一匹だけと決められている以上、氷状態にして役割を破壊する回数やその行動の幅に制限がかかるのか」

恒一「凍結による役割破壊がしにくくなるってわけか」

赤沢「もともと、速攻アタッカーは受けループみたいな構成には弱いところがあるけどその仕様のおかげでネタのような理論になってる」

赤沢「けれど、これを使いこなせるだけのポケモンやトレーナーが現れたらと考えるとね」

赤沢「とにかくまずは何があったか言わないといけないわね」




回想。



勅使河原「風見!」

風見「あ、ああ勅使河原か……なんで赤沢さんと見崎さんまで?」

勅使河原「お前もうヨミヤマミサキと戦ってんだろ!?だったらこの二人にも戦いを見てもらったほうが」

風見「勅使河原、僕が負けると思っているのか?」

勅使河原「い、いやそうじゃねーけどさ。三人寄れば何とやらっていうじゃねーか?」

風見「……ま、『三人』寄れば確かにそうだね」

勅使河原「おいこら」

赤沢「風見君、状況は?」

風見「後手後手だ」




回想の回想。



風見「っ…!ヨミヤマミサキっ……!」

風見「忘れたとは言わさないぞ、ゆかりをあんな姿にしたことを!お前は必ず僕が倒すと決めたんだ!覚悟しろ!」


ポケモンマスターの ヨミヤマミサキが しょうぶを しかけてきた!

ポケモンマスターの ヨミヤマミサキは フーディンを くりだした!


ゆけっ、ゲンガー!


風見「しょっぱなからフーディン……相性悪いな。仕方ない交代を……」

風見「———いや待て、こんな状況だと相手もこっちが交代することぐらい読まれる。となると奴がやる方法は二つだ。そのままサイキネを撃つか、電磁波を撃つ」

風見「ゲンガーの特殊ならフーディンのサイキネ一発ぐらい耐えきれる。ここで僕ができるのは」


あいての フーディンの リフレクター!フーディンは だげきこうげきに つよくなった!


風見「ゲンガーの大爆発での強……え、リフレクター?」


ゲンガーの だいばくはつ!

ゲンガーは たおれた!


風見「……なんで?」

風見「そんなバカな話があるか」

風見「ここで僕が交換すれば奴は1ターンを無駄にするうえ交換先によってはフーディンに不利なポケモンが繰り出される。それを考えたらサイキネか電磁波を撃つはずだ」

風見「まさか僕がだいばくはつを指示してくると読んだのか!?」



回想の回想ここまで。以下、鳴ちゃん一行が部屋に突入するまであと1匹やられる。



風見「今、フーディンとスターミーとラッキーの回復ループが厄介だ。特にフーディン。こっちがケンタロスに換えて攻撃したくてもカウンターがいつ飛んでくるか」

勅使河原「その間に倒したポケモンはいるか?風見」

風見「ああ。とりあえずゴローニャは落としておいたが、残りが」

勅使河原「じゃあさっさとケンタロスで受けを崩せよ。いくら破壊光線でも確定2発だからってそんなことしてたら突破は無理だぜ」

風見「わかっているさ。だけど、どういうわけかこっちがケンタロスを見せるのとほぼ同じタイミングであっちもフーディンに交換してくるんだ」

風見「のしかかりを織り交ぜてもリフレクターが最初に張られるからろくにダメージにならないし、破壊光線だと自己再生→反動カウンターで僕が自滅する」

風見「しかも、僕がケンタロスを繰り出すとき毎回毎回フーディンのHPは図ったように破壊光線をリフレクなしでもギリギリ耐えられそうな範囲まで回復した状態でね」

鳴「風見君、サンダース持ってたよね。電磁波は使わないの?」

風見「さっきフーディンに電磁波をかけようとしたんだけど、読まれたのか知らないがゴローニャに交換された。でもさっき倒したから電磁波は通るんだけど……うまくいかない」

赤沢「……開幕直後と言い、風見君の考えは完全に読まれているわけね」

風見「……悔しいけど、そうだ」

勅使河原「で、でもよぉ。今はお前だけじゃなくて俺もいるし見崎も赤沢もいるじゃねえか。三人寄れば何とかの知恵ってお前言ったろ?」

風見「そうだな、僕とこの二人が寄れば文殊の知恵かもしれないな」

勅使河原「……なあ、俺いま泣いていいよな」




鳴「……それで、今はこの4匹以外に見せたポケモンはいる?」

風見「一度だけカビゴンを見た。ダグトリオで何とかゴローニャを倒した直後に繰り出されたけど、ダグを捨て身タックルで倒されて交換されてからは一度も」

赤沢「完全に受けの構成ね。あと一匹は?」

風見「まだ見せていない。残りの一匹が何か知らないけど、今はこの面倒な壁たちを突破する手立てを考えないと」

勅使河原「見崎、何か考えはあるか?」

鳴「………」

鳴「今、風見君が使っているポケモンの詳しい技構成まではわからないけど———どくどくを使えるポケモンはいる?」

風見「フーディンと、サンダースが使える。サンダースは技スペが余ったからどくどくと電磁波を二つ乗っけてるけど、それがどうかした?」

鳴(……そのためにカビゴンか……だったら)

鳴「風見君、フーディンとスターミーは自己再生を覚えてるよね」

風見「勿論。でもそれが?」

鳴「これから私が言うことを実行してみて」

赤沢「……?」

鳴「とりあえず、今すぐサンダースに交代して。話はそれから」




回想中断。



恒一「……で、その作戦というのが」

恒一「この二匹をひたすら交換、回復を繰り返させて相手の補助技の影響、ループの影響、技のダメージのカバーを行ったってわけ?」

赤沢「効果てきめんだったわ」

赤沢「ヨミヤマミサキのフーディンの技構成はサイキネ・リフレクター・カウンター・自己再生。ラッキーはどくどくとたまごうみだけが判明していて」

赤沢「スターミーの攻撃技はなみのり・10まんボルト・自己再生・影分身」

赤沢「つまりこのループ内で風見君のHPに負荷をかけられる方法はサイキネ・波乗り・10万・どくどくの4つだけと考えて間違いないわ」

赤沢「そこで見崎さんは特殊の高さと二匹のタイプを利用して」

恒一「波乗りはスターミーに、10まんはフーディンに受けさせるようにして、回復。と同時に二匹とも毒状態にしてどくどくバグでどくどくの効果を消して」

恒一「どく以外の状態異常を防ぎつつ、自分もヨミヤマミサキと同じようにループを展開する」

恒一「同時にこっちもサンダースでラッキーを毒状態に、フーディンをまひ状態にして」

恒一「相手のPP切れを待つと同時にループに綻びが蓄積していくのを待つ戦法にしたってわけか」

勅使河原「これがうまくはまってな、長ぇ睨み合いの末になんとかスターミーを撃破するところまでいけたんだよ」

恒一「やるな、見崎」




恒一「でもさ」

恒一「これって相手がループを無視してカビゴンを投入して物理技で攻められたら…?」

鳴「榊原君、私がその対策を講じないと思う?」

恒一「」

鳴「私の予想だと、カビゴンはまだ出せないと踏んだの。カビゴンの火力でもどく状態のスターミーとフーディンを安全に落とすことはできない」

鳴「仮にじばくを撃っても、カビゴンを繰り出すタイミング的に相手はダメージ回復する機会を1ターン逃すことになるから後続で出しても狩られるだけ」

鳴「こっちが構築したループは崩壊するけど、その代りあとは相手のダメージ残量や技の相性的にケンタロスとサンダースの独壇場」

鳴「もしカビゴンがゴローニャを失った際のケンタロスキラーとして用意されているなら、結果的に状況を悪くするカビゴンの投入は考えられない………」

鳴「………」

赤沢「………」

勅使河原「………」

恒一「……ど、どうしたの三人とも。黙ったりなんかして」

鳴「………はず、だったの」

鳴「………榊原君、前に私がヨミヤマミサキのパーティを分析した時があったでしょう」

恒一「なんだかずいぶん昔の事のように思えるよ」

鳴「その中で、ヨミヤマミサキは過去の戦いでマイナーなポケモンをパーティに組み込んでいるって話、したよね」

恒一「あ、ああ」

鳴「まさか、あんな使い方があるなんて」

恒一「………まさか、見崎」

鳴「ええ」

鳴「スターミーを倒して、今わたしがした説明をしたそのあと。予想だにしないことが起こったわ」




回想再開。



勅使河原「よっしゃあスターミーを倒したぜ!これで奴のループは崩壊だ!」

風見「いや、まだだ!まだフーディンとラッキーがいる。それにまだ奴は残りの一匹を見せていないんだ、油断しちゃいけない」

赤沢「風見君の言うとおりよ、勅使河原」

勅使河原「ちぇ、もうちょっと喜んでもいいんじゃねーの。なあ見崎」

勅使河原「……見崎?」

鳴(………これでいい?本当に)

鳴(今の様子を見るに、わざと受けループを崩壊させたようにも見えなくもない。けどあのループの中でカビゴンを投入するメリットはない)

鳴(6匹目が仮にケンタロスだったとしても、風見君の手持ちなら十分に対応が可能な相手……)




勅使河原「おい聞いてんのか見崎!」

鳴「なに?」

勅使河原「もっと喜べよ見崎も!」

鳴「……そう、だね」

勅使河原「ほらな、見崎も喜んでんだからおまえらも喜べよ」

鳴「風見君、6匹目は何だと思う?」

風見「うーん。ヨミヤマミサキはこのループ合戦に負けたわけだから、このループを打ち破るだけのポケモンを投入すると思うけど」

赤沢「私も同意見だわ。ループを破るだけの手持ちを投入してくるでしょうね。おそらく6匹目は」

赤沢「だけど、カビゴン以上にこのループを突破できるポケモンっているかしら。さすがにこれはミュウを投入してもどうにかなる問題じゃなさそうよ」

鳴「……私も次はカビゴンが来る可能性が高いと思う。風見君、ここで捨ててもいいポケモンって何かいる?」

風見「うーん。これ以上の出番がなさそうなポケモンは……サンダース、かな」

鳴「悪くない、かな。サンダースでも耐久次第でカビゴンの地震は耐えられるし。風見君ならその程度の厳選はしてるよね」

風見「当然だよ。てことは後出しから攻めるってことか」

風見「さて、次のポケモンは………」



ポケモンマスターの ヨミヤマミサキは ベロリンガを くりだした!



風見・赤沢・鳴・勅使河原「「「「!?」」」」



風見「ベ、ベロリンガ!?」

赤沢「何でそんなポケモンを!?」

勅使河原「わけわかんねえ!俺でもベロリンガなんて使う気起きねえポケモンだぞ!何考えてんだこいつ」

鳴「……対人戦で使ってるの、初めて見たかも」

赤沢「風見君!確か三神先生のテキスト持ってきてるわよね!勅使河原、それ引いてベロリンガの種族値教えなさい!」

勅使河原「お、おう!」

ペラペラペラ

勅使河原「えーと、ベロリンガは……H90A55B75S30C60………おいおい、こんなポケモンで何をしようってんだ、こいつ」

赤沢「……何でベロリンガ?」

風見「わからない……だけど、このぐらいなら効果抜群も痛くないし一撃技があっても当らない!このままごり押しでいく」




鳴(この局面でのベロリンガ……)

鳴(ヨミヤマミサキはこれまで何回かマイナーなポケモンを使用してきたって話があったけど)

鳴(マイナーなポケモンがどうしてマイナーと言われるか。それは、メジャーなポケモンやタイプとの相性が悪かったり、単純にその上位互換が存在するから)

鳴(カビゴンとベロリンガ、比較するまでもなくカビゴンの方が強い。なのにベロリンガが投入されてる)

鳴(つまり、カビゴンにはなくベロリンガにしかない何かがある……はっ!)

鳴(あれは未咲が廃人になる……ううん、私がまだ2年生だったころ。未咲が確か————)




未咲「ねえ鳴。種族値とか抜きで撃てる最高威力の技って何だか知ってる?」

鳴「種族値抜きで、ってこと?」

未咲「なんだと思う?」

鳴「ノーマルタイプが使う大爆発か、つるぎのまい3積みしたミュウのだいばくはつ」

鳴「だけど、ノーマルタイプで大爆発を使えるポケモンはいないから後者。でも補助技なしで放つ一番威力の高い技はカビゴンの自爆だと思うけど」

未咲「ぶっぶー。ざんねん、はずれです」

未咲「確かに威力だけならカビゴンのじばくがトップだけど、種族値抜きで考えるとノーマルタイプの大爆発が一番強烈なんだよね」

鳴「だからそれができるポケモンはいないから……」

未咲「ところが、いるのよ!一匹だけ」

鳴「一匹だけ?」

未咲「威力はカビゴンのじばくに劣るけど、それでも十分な威力が約束されているだいばくはつを使えるポケモンはね———」



鳴(————ベロリンガ!)

鳴(確かだいばくはつの威力は170、タイプ一致補正1.5を掛ければ威力255。相手の個体は最良のものと考えて、A55)

鳴(いま、風見君はスターミーが場に出ている。体力は全体の3分の2残ってる。けど、大爆発を食らったら一発で終わる)

鳴(フーディンだと……だめ、後出しだと……サンダースは?ううん、たぶんサンダースの耐久じゃ……ケンタロスでも———)

鳴(そして控えのカビゴン———どう考えてもこれじゃ風見君の———)

鳴(———まさか)

鳴(だとしたら、ヨミヤマミサキの恐ろしさはここから———!)



風見「なんのつもりか知らないけど、こんなポケモン瞬殺だ!」

鳴「待っ———」





スターミーの なみのり! きゅうしょに あたった!


風見「よしっ!次のターンで———」


あいての ベロリンガの だいばくはつ!

スターミーは たおれた!


風見「・・・・・・・な」

勅使河原「おい……」

赤沢「うそ……」

鳴(……最悪ね)

鳴(どのポケモンを繰り出しても致命傷は避けられなかった)

鳴(ケンタロスでも、個体値と努力レベル次第じゃ防げないような威力のだいばくはつを使ってくるか、ここで)

鳴(ヨミヤマミサキは最初からそのつもりで———!)

風見「ふっ・・・・・・・」


風見「ふっざっけるなああああああああああああああああああ!」ガシャン


赤沢「」ビクッ

勅使河原「お、おい風見!」

風見「黙れ! ふ、ふざけるなよ、ヨミヤマミサキ!こんな手が、こんな手が、ふざ、ふざけた手があるか!」壁ドン

風見「くそあああああああああああああ!」ドンドン

勅使河原「お、落ちつけよ風見! まだスターミーがやられただけで」

風見「これが落ち着いていられるか勅使河原!奴はあんなポケモンで僕たちが苦心したこのループに穴を開けたんだぞ!」

風見「これでもう、僕は技を受けて戦うこともできないし、ケンタロスをやられたらどうするつもりだ!」

勅使河原「そう悲観すんなよ!落ち着けっての!おい見崎と赤沢も何か言ってやれ!」

赤沢「」ビクビク

鳴「………ごめんなさい、風見君」

風見「……っ。いいよ。見崎さんが謝ることじゃない。気付かなかった僕に責任があるんだ」

風見「次の手を考えよう、見崎さん」

鳴「………」

風見「見崎さん?」

鳴「……」

鳴(これ以上はもう……)



回想終了。





鳴「……私のミスなの」

鳴「私が……」

恒一「……いや、見崎が責任に感じることはないよ。それに、その局面だと大ダメージはどうやっても避けられなかった」

鳴「榊原君……」

恒一「それから、どうなったの」

勅使河原「ベロリンガの大爆発でスターミーが倒された後、たてつづけにカビゴンでケンタロスをやられたよ。あと風見に残されたのはサンダースとフーディンだけだ」

恒一「でも、まだ」

勅使河原「それが奴のラッキーがひでえ仕様で、残った二つの技がねむるとがまんだったんだ」

恒一「ねむると……がまん?」

勅使河原「ああ」

恒一「回復技が二つ……と、がまん、か……なるほど、とことん特殊技使いと補助技使いを潰しに係る構成だな」

勅使河原「なあサカキ、なんでがまんなんだ?そんな技使うより……」

恒一「間違いなく特殊アタッカー用影分身対策だ。数あるポケモンの技で唯一、命中率と回避率の影響を受けない技がこのがまんなんだよ」

恒一「回復技を二つ用意して、どくどくとたまごうみで一見耐久型のように見せかける。うまく交換すればこの二つだけでしばらくの間戦える」

恒一「そんな中、特殊アタッカーがパーティを占める割合が多くなる終盤戦。そこでラッキーの残り二つのその技を解禁すれば」

恒一「影分身による運ゲも、急所狙いの攻撃もまったく通じない。相手が状態異常でもラッキーの耐久と、それに応じた我慢の威力があれば大抵の敵は倒せる」

恒一「ねむるとがまんを実装することでPP切れ狙いの勝負にも勝ちやすくなるからな」

勅使河原「じゃ、じゃあベロリンガを出された時点で、風見は……」

恒一「言いたくないけど……もう」

恒一(……と、なると、あのカビゴンの存在は……)

恒一(まさか、あれが、あれこそがヨミヤマミサキの———!)

勅使河原「く、くそっ……じゃあ、あいつを止めないと!」

鳴「言っても無駄だと思う」

勅使河原「なんでだよ!」

鳴「廃人化が始まってる」

勅使河原「」

勅使河原「そ、そんな……風見ー!」




しばらくすると、風見くんの部屋からぱたりと物音が消えた。

ドアを開けて見ると、ベランダにうつろな目をして据わっている風見君の姿があった。ゲームボーイはもう、その手にはない。

まるで死んだような姿の風見君を勅使河原に預け、僕と見崎と赤沢さんは作戦会議を行った。



恒一「……見崎」

鳴「わかってる。これは私がやったこと」

鳴「行こう、榊原君」

赤沢「待って」

赤沢「ここからは別行動にしましょう」

恒一「別行動?」

赤沢「私達三人で、見崎さんに勝った人を見張るの。いつヨミヤマミサキが出ても、その、事の顛末を見ることができるように」

恒一「でも」

赤沢「……私も、ちょっと危なかったから」

赤沢「それに、ひとりひとりあたるのは時間的に効率が悪いわ」

鳴「わかった」

恒一「見崎?」

鳴「榊原君。あとでまた会いましょう」

赤沢「恒一君。また会うまで廃人にならないで」

恒一「……わかった。でも二人とも。今言ったことを僕とも約束してくれないか」

鳴「……」

赤沢「もちろん」



こうして僕と見崎と赤沢さんは、それぞれ別行動をとることになった。

そして僕は。


恒一「……小椋さん、大丈夫かな……」


風見君と同じく仇討に燃える彼女のもとに向かった。

以上、>>335からヨミヤマミサキvs風見戦でした。

ここまでこのスレを支えてくださった>>330さん>>331さん>>332さん>>333さんさん本当にありがとうございます。
こんな私ですが感謝の気持ちがいっぱいです。待ってくださってありがとうございました。

今回のバトルは久しぶりに投稿したため+ヨミヤマミサキ戦をいかに書くかという試行錯誤のもとにつくったものなので
もう少し簡略化できそうです。解説のほうが多かったですね、今回も。
では、今後共々がんばって書き上げていきますので質問がある方、ぜひぜひよろしくお願いします。では。



恒一「小椋さんどこ行ったんだ…食堂にいたのは新島君だけだったし、杉浦さんのとこにもいなかったし」スタスタ

恒一「まさかまだ僕に部屋にいるなんてことは……」トコトコ



———食堂。


前島「あ、なんだ小椋か。榊原が探してたぞ」

小椋「榊原君が?ああそういえば食堂行くって言ったっけ、まあいいや。前島なにやってんの?」

前島「見崎がここでこれやってんの見たからさ、俺もやってんだけど……」

小椋「ポケスタ?」

前島「んー、やり方はあってると思うんだけど、接触不良が出まくってさ。あ、まただ」カチッ


ロクヨン!! デン! デーン


前島「こんな感じになるんだよ」

小椋「……これ、もう一つのコントローラーから別のコントローラ操作できない?」

前島「え、できんの?」

小椋「前にトランセル種市がポケスタの宣伝の時にそう言ってた気がするけど」

前島「んなこと言ってたっけ?覚えてねーけどやってみるか」カチッ


ロクヨン!! デン!


小椋・前島「「あ、できた」」

前島「サンキュ。ところでなんで小椋はこっち来たんだよ」

小椋「アンタと同じで私もポケスタしにきたのよ。でもそっちがもうやってるみたいだから水でも飲んで部屋に戻るわ」

前島「なんだか悪いな」

小椋「別に。それじゃ」


バタン


小椋「戻るか…」


ドア「よっしゃせっかくだからガチでいくか誰だ最初の敵は————は?ヨミヤマミサキ!?」


小椋「!?」


ドア「………ちっ、しょうがねえ!やってやる!うおおおおおおおおおおお」


小椋「前島君がヨミヤマミサキと戦っている……? そういえばさっき榊原君がきたって言ってたわね、榊原君は風見君のところに向かったけどこっち来てて」

小椋「で、ヨミヤマミサキがこっちにきてるってことは、風見君負けたのか」

小椋「………」ガチャ

小椋「……」チラッ


新島「………」


実況「トレーナーの指示がありません! どうしたトレーナー!?」


小椋「……観察するか」


小椋(まだお互い何もしてないみたいね)

小椋(使用ポケモンは……三対三!? ………あー……対策ほんとに意味ないじゃん……ガチパそのまま使っちゃうから……)

小椋(一回戦の相手ってさっき前島君言ってたから、トーナメントの一回戦で早速ヨミヤマミサキとぶちあたったって感じね)

小椋(さて、使用ポケモンは……前島君はケンタロス、ヨミヤマミサキもケンタロス。……てか、前々から思ってたけどヨミヤマミサキ何文字数オーバーして平気なわけ?)

小椋(どっちも同じポケモン、前島君がケンタロスをどれだけしっかり育成してるかどうかで決まるわね)

小椋(てかポケスタってこうやって自分のポケモンの技構成を見るんだ……あー迷ってる迷ってる)

小椋(私なら無難にのしかかりで行くわね。ケンタロス相手だと麻痺の追加効果は狙えないけど、どうせ交代で出た相手は破壊光線一発じゃ落ちないし)

小椋(あ、動いた。ヨミヤマミサキが先手とったってことは……ケンタロス育ててないってことか)

小椋(……おいおい、ケンタロス育成しきれてないじゃん……ケンタロスの耐久で破壊光線一発KOって普通はありえないんだけど)

小椋(もしかしてあの見崎仕様ケンタロスと同じで防御下げての一撃なら……でも向こうのケンタロスはノーダメってことは)

小椋(前島君の最初のポケモンはケンタロスじゃなかったってことよね。二匹目でケンタロスってどんな思惑よ)

小椋(でもどーすんだろ。これケンタロスをとめないとこれ勝ち目ないよね)

小椋(確か前にパーティを見たことがあるけど、構成は風見君寄り……至って普通のテンプレパーティ。だけど前島君はどのポケモンにも何か一つ変わった技を使わせている)

小椋(次のポケモンは……スターミーか。これもまたテンプレよね。スターミーは型が豊富だからなんでもできるけど)

小椋(技は……ふぶき、サイキネ、10万、電磁波。なるほど電磁波はあっちも読めないかも。スターミーに対して地面タイプ交換はありえないから100%刺さるし)


スターミーの でんじは!

あいての ケンタロスは からだが しびれて わざが でにくくなった!


ヨーシ、キイテイルゾー!


あいての ケンタロスは からだが しびれて うごけない!


ココハ ウゴケマセン!


小椋(ケンタロスを落とすのにスターミーの火力だと急所に入らない限り確定3発。だけど私はここでまた一発電磁波を撃つ)


ココデ ポケモンヲ チェンジダアッー!



小椋(ヨミヤマミサキはサンダース交換してきたわね。でも)


スターミーの でんじは!

あいての サンダースは からだが しびれて わざが でにくくなった!


小椋(ほらね)

小椋(どのみちスターミーの火力だとサンダースも確定3発。前島君にも何か考えはあるはず)


ココデ ポケモンヲ チェンジダァッー!


小椋(また交換してきた。でも、ケンタロス……)


スターミーの サイコキネシス!


小椋(うんうん)


ハゲシイバトルデス!

アーット! ココデ ポケモンヲ チェンジダァッー!


小椋(このタイミングで前島君が交代、出してくるポケモンは……ナッシーか)

小椋(ヨミヤマミサキはふぶきを撃ったか。スターミーの交代先に負担をかけるつもりだったようね)

小椋(でもナッシーの耐久だとケンタロスの吹雪も乱数3発。もちろん育成の仕方にもよるけど。ナッシーの技構成は……)

小椋(サイキネ、大爆発、宿木、眠り粉。ケンタロスは麻痺ってるから先手は取れる。実質攻撃手段は宿木かサイキネしかないけどそれでも十分)

小椋(さすがにヨミヤマミサキでもこの展開となるともう一匹を引っ張り出して応戦するか、ケンタロスを捨てるしかないわ。対する前島君はどの技を使っても有効打になる)


ココデドノヨウナ コウゲキニ デルカアッー!?

アーット! ココデ ポケモンヲ チェンジダアッー!


小椋(換えてきたか。じゃあ奴の三匹目は……ファイヤー?)


小椋(なんでまたファイヤーなんか……。そりゃ、ナッシー相手に弱点突けるから選出は正しいと思うけど……普通、ファイヤーをパーティメンバーに選出しないわ)

小椋(どこかの誰かはさっきファイヤー使ってきたけど返り討ちだったし)

小椋(……ん?でも待てよ、確か榊原君はファイヤー使ってきたとき確か最初に……で、命中率の計算は……)


前島「ファイヤー?んだよ雑魚じゃねーか。これは勝ったな」

前島「ファイヤー相手にナッシーで立ち向かうほど俺も馬鹿じゃねーし、ここは交代させるか」

小椋「あっバカ」


もどれ、ナッシー! ココデ ポケモンヲ チェンジダアッー!

ゆけっ、スターミー!


ファイヤーの こうそくいどう! ファイヤーの すばやさが ぐーんと あがった!


小椋「あっちゃー……」

小椋(どうせ1ターン目は高速移動してくるんだから眠り粉でも打てばいいのに)

小椋(ファイヤーは本当にスペックの割に軽視されがちね。軽視したら6縦だってありうる危険性があるのに)


ファイヤーの ほのおのうず!

スターミーは ほのおに つつまれた!

スターミーは ほのおの ダメージを うけている! ココハ ウゴケマセン!


前島「ふん、これぐらい俺だってわかってたさ。でも所詮は命中率75の技、電磁波さえ当たれば後は適当に戦っても勝てる」


オーット、コウゲキハマダ ツヅイテイルゾー!



小椋「……パターン入った」




それから数ターン後……


アッート! チカラツキタカー! ココデ ポケモンヲ チェンジダアッー!


前島「くそっ!くそっ!くそっ!なんで外れねえんだよ炎の渦!くそっ!」

小椋(あーあ)

小椋(うん、炎の渦が外れなかったのは残念だけど、その後の破壊光線が急所に当ったのはご愁傷様としか)

小椋(これで残りはナッシー一匹だけど、これは無理か……)



そして数分後………



前島「「」「」「」「」「」「」」

小椋「前島が壊れた」

小椋「おーい、前島くーん? ……ああもうダメか……」

小椋「私も一緒に戦ってたらまだわからなかった……こうなることを防げたかもしれなかったけど……」

小椋(でも、ヨミヤマミサキと私が戦う時の対策を立てるためにはこれしかなかった)

小椋(……参考になったのは、ヨミヤマミサキはや鋭い読みを持っていて、命中率75の技が数回連続で当たるほど運が強い)

小椋(前島君ごめん、こんなことして。でも)


バンッ!


恒一「やっぱりここにいた。探したよ小椋さん」

小椋「……榊原君。前島君をお願いできる?」

恒一「前島君?まさか」

前島「」ガクブルガクブル

恒一「……わかった。僕が部屋に連れて行くよ。小椋さん君はどうする?」

小椋「ここでヨミヤマミサキを待つわ」

恒一「………」

小椋「それじゃ、前島君をお願い」

恒一「……気を付けて、小椋さん。僕の予想だとヨミヤマミサキはフルバトルだと必ずバトルの行方を左右する、ノーマークな一匹がパーティに組み込まれている」

恒一「もしパーティメンバーがわかったら、使ってくる戦法をいくつか想定して、そのポケモンの役割を見極めてほしい」

恒一「君ならできるだろ?」

小椋「もちろん」

恒一「……行こう、前島君」



キィィー バタン



小椋「………ポケスタのデータは消えてないみたいね」

小椋「……ちょっと操作覚えるか……」

4時間後に投下するつもりがその3倍時間がかかってしまったでござった申し訳ありませぬ
とりあえず現状ここまでです。もちろん質問は随時受け付けます。
あ、今になって思うこの役は前島君じゃなくて原作にならってバックドラフトでおっちんだ王子様にさせるべきだった
前島君ごめんなさい



ロクヨン!!

デン!




一時間後。


小椋「操作は覚えた。バトルも何回かこなしてみたけど感触よし。データそのままならAI抜きで考えても去年の全国区も大したことなかったわね」

小椋「ま、三値を知らない頃だし仕方ないか」

小椋「あの分だとレンタルポケモンの使い方次第じゃ余裕で突破できるかも」





シアイシュウリョーーーーー!! デーンデレデテテテテテテテテー

デーンデレテテデッテッテテー だーん ジャキンジャキンジャキン!!

テテレテテレテ〜

グリーンバッヂ ゲェット!


小椋「……」



ED〜


小椋「そういえばこのポケスタなんで出場ポケモンに制限かかってるのかしら」

小椋「環境トップクラスのポケモンはほぼ全員制限されてないから使い勝手はともかくとして」

小椋「こんなんでヨミヤマミサキはしっかり戦術組めるのかしら…まあ、私の場合もレンタルポケモンが一匹代わりに入ってるんだけど」

小椋「データ容量の問題とか…まあ、そんなことどうでもいいわね……」


小椋「………」



デーン!


小椋「!」


デテデーデテテーデテテー

デテテー テン!



 ポケモンマスター 
 ヨミヤマミサキ



ブッバァ

ダン、ダン、ダン、ダン ダーンダダーン ダダー ダダダーン


小椋「来た。本当に音楽違うんだ、トーナメントの最後の曲とも違う。威厳が増したというか」

小椋(ポケスタはパーティ見せ合い形式のバトル。パーティがわかれば、戦術もある程度見えてくる。えーと、相手のパーティは)

小椋(ケンタロス、ルージュラ、スターミー、ゲンガー、サンダース、ラッキー………ちょっといくらなんでも普通すぎないかしら)

小椋(マイナーポケモン一匹ぶち込んでくる話はどこ行ったのよ)

小椋(ちょっと変な構成だけど、クラスでもこの構成で戦ってくる人はいたし、やりやすい。この面子だと補助技を中心に攻めてきそう)

小椋(さっきまでやってたトーナメントは三対三、だけどここは6対6……。全員主力級の奴と比べて、私の場合は誰かひとり無駄に欠いたらそれだけで致命傷になる)

小椋(ローカルルールによる吹雪の制限、三割から一割の確率で凍結と弱体化補正がかかっているこのポケスタなら)

小椋(たんなる威力120命中90凍結1割の技。三割凍結じゃないのって本当に助かるわ。こればっかはシステムの問題だし)

小椋(きっちり育て上げた私のポケモン相手にごり押しは通じないわ)

小椋(けど吹雪が放てるポケモンが二匹いるわね……ルージュラは確定として、もう一匹は何だろう)




デンデンデンデーデー

デデン デデン デデン デデン デデ テー


小椋(……今度は実況なし、のようね)




※小椋さんとヨミヤマミサキのポケモンの区別をつけるために、私の方でポケスタの表記仕様を一部変更しているため実在するものと表記が異なる場合があります。



ゆみは ケンタロスを くりだした!

ヨミヤマミサキは マルマインを くりだした!


小椋(ここは無難に地面タイプを投入したい。けどあのテープにはヨミヤマミサキの初手に気を付けろみたいなことが吹き込まれてた)

小椋(だから)


もどれ、マルマイン!

ゆけっ、ルージュラ!

ケンタロスの ものまね!


小椋(こちらの6匹のうち1匹を初手の段階で潰す方法は二つ)

小椋(先鋒のポケモンで1〜2ターンの間に叩くか、交代して3ターン内で叩くか。それを決める手立てがあるとしたら)

小椋(奴の先鋒が私の先鋒と戦って勝つ確率が高いか、低いか。高ければそのまま攻め込み、低ければ何を出せば最も効果的か読み切って最適なポケモンを繰り出す)

小椋(このぐらいは基本だけど、ヨミヤマミサキの場合はこの勝率が低い方で確実な読みから得た最適解をもとに繰り出すポケモンで攻めてくる。だからむしろそっちの方が怖い)

小椋(けど、どちらの場合にしても勝率の高さ低さ関係なく、ヨミヤマミサキの初手は自分が優位に立つための様子見ということ)

小椋(その様子見を崩せる唯一のポケモンがこの子と、技を何か一つコピるものまね)

小椋(ケンタロスはその恵まれた種族値のおかげで大体の技を使いこなせるからありだと思って採用してたけど、悪魔のキッスをものまねすることができたのは超ラッキーね)


もどれ、ルージュラ!

ゆけっ、スターミー!


ケンタロスの あくまのキッス! スターミーは ねむってしまった!

スターミーは ぐうぐう ねむっている!


スターミーは ぐうぐう ねむっている!

ケンタロスの はかいこうせん! きゅうしょに あたった!

スターミーは たおれた!



小椋「っしゃあ!」



小椋「これはかなり大きいわよね!まさかまったくの無傷でスターミーが落せるなんて!」

小椋(破壊光線が急所じゃなくて通常ダメージでも、眠りから目が覚めた1ターンは行動不能。ケンタロスの耐久だとスターミーの攻撃では確定3)

小椋(たとえこの後目が覚めても、そのターンは反動で動けないケンタロスをスターミーは攻撃することはできないし、自己再生がないと次のターン返り討ち)

小椋(なら交代する。に、しても残り5匹の中にケンタロスの催眠より速く動けるのはマルマインとケンタロスだけ。でも実質マルマイン一匹)

小椋(この二匹のうちまた一匹が催眠くらったら元も子もなくなるし)


小椋「……確か、聞いた話だと」

小椋「アンタ前、ルージュラの催眠を利用して中尾君を6縦したのよね」

小椋「もっと強力なやり方で返してやるから覚悟しとけ」



小椋(ローカルルールとポケスタルールで、2匹を眠り・こおりにしたらアウト。だから、ケンタロスが使える催眠は実質次の一匹まで)

小椋(さて、ケンタロスにはまだやってもらいたいことがあるから催眠撃ったら戻すけど、スターミーの次に繰り出す確率が高いのは何かしら?)

小椋(ルージュラを下げてスターミーを繰り出した行動から考えて、スターミーは何かしら耐久面での調整が施されたポケモンのはず)

小椋(私がケンタロスを下げるのを狙ってスターミーに交換してきたとは思えない。それは私にメリットがないから)

小椋(何かしらの手でスターミーでケンタロスを倒すか、封じる作戦があったんだろうと思う。でもものまね催眠と光線急所で何もできずに落とされた)

小椋(催眠が使えるケンタロス相手にラッキーで耐久戦を仕掛けるのは無謀。仮にカウンターを持っていたとしてもタイミングは読みやすい。となるとやってきそうなのは)

小椋(1、ケンタロスの脅威を殺ぐ。2、ケンタロスを交換してもらう。3、相打ち以下の結果を狙ってケンタロスを倒す。この3つ。)

小椋(1なら、次に出すのはマルマインが有力ね。素早さと補助技で先制できるし。2も似たようなやり口で交代した時のメリットをちらつかせる方法をとるはず)

小椋(どちらも麻痺させることができれば十分な成果が上がるから手っ取り早い)

小椋(まあどっちにしても、眠らされるか命中率を下げられる以外は居座るつもりでいるけど。問題は3)

小椋(今のケンタロス相手だともともとの耐久に加えてS110からの催眠の脅威がある。だから相手は無傷ではケンタロスを倒せない)

小椋(だから何かしらの方法を取って、ケンタロスを相打ち以下の形で落とすとして)

小椋(私は残り5匹、ヨミヤマミサキは4匹以下。スターミーともう一匹を欠いてさらに手負いになるかもしれないポケモンを一匹抱えることになる)

小椋(このヨミヤマミサキがそんな数の上で圧倒的不利になる状態に、そう簡単になるかしら?)



ゆけっ、ゲンガー!


小椋(ゲンガーできたか)

小椋(ケンタロスとゲンガーは同じS110。先手をどっちが取るか)

小椋(……十中八九、最初の一手は怪しい光でしょうね。催眠じゃ外した時のリスクが大きすぎるし)


ゲンガーの あやしいひかり! ケンタロスは こんらんした!

ケンタロスは こんらんしている!

ケンタロスは わけも わからず じぶんで じぶんを こうげきした!


小椋(あっちが早いか?ううん違う、同速の場合はどっちが早く動けるかまではわからないから)

小椋(だけどこれは面倒ね、このままじゃ嵌められるパターンに陥る気がする。催眠ケンタロスを手放すのは惜しいけど交換しかないか……)


もどれ、ケンタロス!

ゆけっ、ナッシー!

あいての ゲンガーの どくどく! ナッシーは もうどくをあびた!


小椋(どくどく?)

小椋(てことは催眠は技にない…?催眠を手放してまでゲンガーに毒毒を覚えさせてるなんて一体どういう……)

小椋(確かに混乱ダメージと毒のダメージを得られるのは美味しいけど、単体の能力を落としてまで選択すべき技かしら?)

小椋(じゃあこのゲンガー、ひょっとして影分身+どくどく+怪光の毒殺タイプかしら?これまたずいぶんと手間と運のかかる構成ね)

小椋(といってもゲンガーはナッシーに対して撃てるのはこれぐらいしか手がないし、ナッシーのサイキネだと確定2。交換するならルージュラを出す確率が高いわ)



ゲンガーの あやしいひかり! ナッシーは こんらんした!

ナッシーは こんらんしている!

ナッシーは わけも わからず じぶんで じぶんを こうげきした!

ナッシーは どくの ダメージを うけている!


小椋(居座るのか……。これホントに毒殺型なの?ナッシー相手に毒殺型しかける意味って一体……)

小椋(あ、こいつケンタロス相手に繰り出したんだし、相打ち以下の形でケンタロスを倒すのが目的だったかも。初手怪光だから居座るのはともかく毒も考えられない手ではないわ)

小椋(こっちが交換することを読んだ上でのどくどくかもしれないし)

小椋(しかし毒殺か……ん?)

小椋(……いや待って。確か毒殺型の他にもこれに近いコンボが何かあったはず。……えっと、なんだっけアレ)


もどれ、ゲンガー!


小椋「あ下げやがった」


いってこい、ルージュラ!

ナッシーの こんらんが とけた! 

ナッシーの サイコキネシス! こうかはいまひとつのようだ・・・

ナッシーは どくの ダメージを うけている!



小椋「何だったんだろ、あのゲンガー……」

小椋「ルージュラに交換するなら混乱はともかく毒状態にしなくてもいいじゃない。ふぶき一発食らえば毒か混乱ダメで終わるよう調整したかったとか」

小椋「でも正直この程度のダメージ量じゃ吹雪一発でKOは無理でしょ、吹雪で減らせるのはせいぜいHPの6割から7割」

小椋「さっきの混乱ダメと毒ダメをくらってもHPはまだ8割がた残ってるから、高乱数以上で耐えられるわ」

小椋(まあどうせ私は大爆発で相打ちに持ち込むつもりでいるけど……。ゲンガーにまた換えられないか不安ね)

小椋(いっぺん顔見せて吹雪で攻めると思わせて大爆発できるだけのHP残させて爆発してもらう。けど、その瞬間ゲンガーに交換して流す線は十分考えられるか)

小椋(その場合、別の技を繰り出せばゲンガーにダメージは通るけどルージュラが攻撃してきたらナッシーは生ける屍と化す)

小椋(ナッシーを生かしたければ交換すべきだけど、次に繰り出すポケモンに何かしらのリスクを負わせてしまう。しかもナッシーはサンダース受けと爆弾以外の機能が失われる)

小椋(十分それでも働けるんだけど……私のポケモンの中でサンダースを出されても問題ないポケモンはまだいる)

小椋(逆に、私の手持ちの中でも特にルージュラに弱いナッシーでルージュラを撃破できたなら勝てる見込みがありそう。催眠使いはたぶんこいつだけだろうし)

小椋(もともと一匹ぶんのアドバンテージがこっちにあるから、ナッシーを失うぐらいなら条件は五分のまま)

小椋(爆発するか)


ルージュラの リフレクター! ルージュラは だげきこうげきに つよくなった!

ナッシーの だいばくはつ!

ナッシーは たおれた!


小椋(あっちもただでは落ちないってか)

小椋(確かにリフレクターを張れば少しは防御力の低さをカバーできるわね。でもそれだけ)

小椋(その残りHPではケンタロスの破壊光線を食らったら耐えきることは不可能)

小椋(でもリフレクターを張ったってことはつまり大爆発が読めてたってことよね、どうしてゲンガーに交代しなかったのかしら?)

小椋(これじゃあルージュラを私にわざと落とさせたとしか)

小椋(メリットないでしょそれ。なんのつもり?)



つぎの ポケモンを えらんで ください

すまない急用が
今日中に続きを上げますのでヨミヤマミサキが何考えているか考えながらお待ちください

初代は廃人プレーしやすくていいね
30分粘って攻撃以外個体値MAXのミュウツーゲットしてウキウキだ


小椋(もし奴にルージュラを残しておきたい理由があるなら、さっさとここで排除しておかなくちゃ)

小椋(となると、ルージュラのHPを削りきれる技を持って、ルージュラより早いポケモンと言えば……ううん、ここは)


ゆけっ、マルマイン!


小椋(これで攻めるのが一番。こいつならルージュラ倒した後も電磁波で全ポケモンの牽制が可能になる。サンダースにも、ゲンガーにも、ケンタロスにも有効)

小椋(嫌音爆発ならラッキー相手でもゲンガー交換かリフレクター張ってこない限りほぼ全員確定一発)

小椋(残り4匹でスターミーなしなら、さっさと片を付けたくなるんじゃないかしら)


もどれ、ルージュラ!

ゆけっ、ラッキー!

マルマインの 10まんボルト! 


小椋(ルージュラ下げ、ってことはやっぱルージュラにはまだ仕事があるんだ)

小椋(といっても私の手持ちの中でルージュラの素早さを下回るポケモンは一匹だけ。けどそいつに勝つにはあくまのキッスを確実に当てるか吹雪で凍結させるしかない)

小椋(だからここでラッキーに交換して電磁波受けても戦えるようにしたってことかしら)

小椋(幸い私のポケモンはだいたいラッキーに先手を取れる。だからここで私ができることは一つだけね)


マルマインの いやなおと! ラッキーの ぼうぎょが がくんと さがった!

ラッキーの でんじは!

マルマインは からだが しびれて わざが でにくくなった!




小椋(予想通り。ゲンガー警戒の麻痺まきだったけど換えてきたのはルージュラか……。これでルージュラは素早さも失われて完全に機能を喪失したわ)

小椋(マルマインが麻痺ってるから悪魔のキッスも吹雪の凍結もきかないからサイキネ打つしかない。けど2発は確実に耐えきれる耐久がこっちにはある)

小椋(こっちも麻痺ってるけど元の素早さの関係上ルージュラは次10まん打てばそこで完全終了。後はマルマインは電気玉化するのみね)


マルマインは からだが しびれて うごけない!

ルージュラの サイコキネシス! 


マルマインの 10まんボルト!

ルージュラは たおれた!


ゆけっ、ケンタロス!


もどれ、マルマイン! ゆけっ、スターミー!

ケンタロスの じしん!


小椋(うう、後一撃ってとこで麻痺るだなんて)

小椋(ここで行動不能にならないでルージュラを無事に倒せてたらマルマイン捨ててもよかったんだけど、サイキネくらっちゃったから地震に耐えられないのよねえ)

小椋(理論上は耐えられるけど確率低いし。こんなとこで貴重な麻痺まきを手放せないわね。マルマイン失ったらサンダースが暴れるかもしれないしなあ)

小椋(いまケンタロスの地震でスターミーが食らったダメージは全体の4分の1よりちょっと多め。破壊光線を食らえば全部削られる)

小椋(ここは回復でしのぐか)




スターミーの じこさいせい! スターミーの たいりょくが かいふくした!

ケンタロスの のしかかり!


スターミーの じこさいせい! スターミーの たいりょくが かいふくした!

ケンタロスの ものまね!



小椋「!?」



ケンタロスは ちいさくなるを コピーした!


小椋「あっちもものまねケンタロス!?」

小椋「そんな、てことはあのスターミー……いや、ゲンガーを出してきたのは……私が最初にケンタロスを出してものまねを選んだ時、すでにその対策が講じてあった?」

小椋(いやそんなバカな……。だとしたら最悪ここまでの流れは全てヨミヤマミサキの想定通りってことになりかねない)

小椋「じゃなくて、問題はいまそこじゃなくて」フルフル

小椋(コピーされた技がちいさくなるでよかったわ。自己再生だととんでもなく厄介なことになってた)

小椋(のしかかりを撃ったのは麻痺狙いの他に私に回復してもらったのはものまねを決めやすくするのを狙ったのね。スターミー相手にものまねを撃ったってことは)

小椋(スターミーが覚える技の特性を考えたら、あのケンタロスには特殊技や補助技が搭載されてない可能性が高い)

小椋(泥仕合の予感がするわ)

回線の調子がまたおかしくなってしまっている
再び申し訳ありませんがいったん中断してしまいます申しあけありません

投下します



小椋(けど、長期戦に向かないケンタロスでは話は別よね)


スターミーの サイコキネシス!

ケンタロスの のしかかり!


小椋(思った通り攻めてきたわ)


スターミーの じこさいせい! スターミーの たいりょくが かいふくした!

ケンタロスの のしかかり!


スターミーの ちいさくなる! スターミーの かいひりつが あがった!

ケンタロスの のしかかり! しかし こうげきは はずれた!



小椋(奇跡的にこれだけのしかかりをくらって麻痺ってない状況は嬉しいけれど、麻痺なって破壊光線撃たれたらその時点でアウト)

小椋(かといってサイキネでケンタロスを仕留めるには確定3発。あと二発入れないといけないかわりにこっちはのしかかり一発で終了する)

小椋(けどここで回復しないで破壊光線がとんできたらそこでスターミー終了……あーこんなことなら私も手持ちにゲンガーを入れておくべきだったわ)

小椋(ここでスターミーは手放せないし、交換するか)

小椋(私の予想なら次は回避率を上げてくる)

小椋(このままケンタロスがのしかかりを撃ち続けると、回復を続けていてもいずれスターミーは麻痺状態になる。そうなればあとはケンタロスより速いポケモンが手持ちから消える)

小椋(奴の目的は)

小椋(私にスターミーを交換してもらって、次に私が出すであろうポケモンを狙い撃つこと)

小椋(そいつはのしかかりじゃ麻痺しないし、素早さ的な問題で先手を取れなくても十分な働きを見せてくれて、かつカウンターも取れる)

小椋(のしかかり連打のこの状況、私に交換してほしいなら麻痺のリスクが最大限に高まっている今が狙い時)

小椋(私の交換に合わせて小さくなるを撃てば、後々の戦いで受ける回避率の恩恵は交換読みの狙い撃ちよりも大きくなるはず)

小椋(となると突破できるチャンスは……)




スターミーの サイコキネシス!

ケンタロスの ちいさくなる! ケンタロスの かいひりつが あがった!


スターミーの サイコキネシス! しかし こうげきは はずれた!

ケンタロスの のしかかり!

スターミーは たおれた!


小椋(……一回の回避率上昇で回避ってなんて悪運の強い奴)

小椋(まあ、いいわ。手持ちの数では私がまだ優位。ここは予定通りにこの子に処分をお願いするか)


いってこい、カビゴン!


もういい、ケンタロス!

ゆけっ、ゲンガー!


小椋(ここでゲンガー……)

小椋(てっきり死にっ屁の破壊光線でも思ったのにここでゲンガー……カビゴンの地震で確定2発なのにどんな意図が)



ゲンガーの あやしいひかり! カビゴンは こんらんした!

カビゴンは こんらんしている!

カビゴンは わけもわからず じぶんで じぶんを こうげきした!


ゲンガーの かげぶんしん! ゲンガーの かいひりつが あがった!

カビゴンは こんらんしている!

カビゴンの じしん! こうかはばつぐんだ!


小椋(思った通り毒殺型か。こんなの毒毒怪光分身眠るの構成のラプラス……ものすごくネタすぎるけど耐性的に一番安定だし……何で弱点だらけのゲンガーでなんか)

小椋(一応大爆発も警戒しておいた方がいいかしら、これ。でも混乱と毒のダメージに大爆発のダメージを加えるなら相当削っておかないといけないんじゃない?)


ゲンガーの かげぶんしん! ゲンガーの かいひりつが あがった!

カビゴンの こんらんが とけた!

カビゴンの じしん! しかし こうげきは はずれた!


ゲンガーの あやしいひかり! カビゴンは こんらんした!

カビゴンは こんらんしている!

カビゴンの じしん! しかし こうげきは はずれた!


ゲンガーの かげぶんしん! ゲンガーの かいひりつが あがった!

カビゴンは こんらんしている!

カビゴンは わけもわからず じぶんで じぶんを こうげきした!


ゲンガーの かげぶんしん! ゲンガーの かいひりつが あがった!

カビゴンの こんらんが とけた!

カビゴンの じしん! しかし ゲンガーには きかなかった!


ゲンガーの あやしいひかり! カビゴンは こんらんした!

カビゴンは こんらんしている!

カビゴンの じしん! しかし ゲンガーには きかなかった!


小椋(ああもううざったい! 当たりそうで当たらないわねこれ!)

小椋(そろそろうざくなってきたわ、どうしてしまおうかしら。といってもゲンガーに対する有効打は地震打つしかないし、カビゴンフルアタ型だし)

小椋(眠るいれとくべきだったかしら、この状況だと)


ゲンガーの がまん!


小椋「は?」


カビゴンは こんらんしている!

カビゴンは わけもわからず じぶんで じぶんを こうげきした!


小椋「何、この技構成」

小椋「回避率を上げて置いて我慢って矛盾してない?てか効果抜群の技撃って後一撃で死ぬってところで我慢って何よそれ」


ゲンガーはがまんしている。

カビゴンは こんらんしている!

カビゴンは わけもわからず じぶんで じぶんを こうげきした!


小椋「……待てよ、確かこれって……」

小椋「!」


小椋(怪しい光からの回避率上昇、催眠術じゃなくてどくどくの採用、そしてがまん……)

小椋「や、ヤバい!ゲンガーの相手なんかしてる場合じゃないわ!がまんの時点で……いや、どくどくを採用していた時点でこれに気づくべきだった!」

小椋「無傷我慢コンボ……三神先生のテキストにはそう書いてあったっけ」

小椋(相手の混乱ダメージの計算と我慢のダメージ計算がごっちゃになる現象によって引き起こされるバグ技……)

小椋(相手が混乱状態で、自分が我慢状態の時。まさしく今みたいな状況で)

小椋(我慢状態だと、相手の混乱ダメージが、がまんのダメージ計算に加算されるバグか仕様か———があって、それを利用することで)

小椋(上手くいけばこっちは無傷のまま、相手が自分で自分に与えたダメージが倍加して帰ってくるコンボ)

小椋(これが無傷我慢コンボ……確かにこれができるのはゲンガーくらいか……。ああ、さてはさっき繰り出した時にも同じことをするつもりで)

小椋(でもそうとわかれば対策は簡単。交換すればいいだけ)

小椋(どくどくの影響を受けず、捨てても構わないポケモンで、ゲンガーにも一矢報いることができる奴は……)



もどれ、カビゴン!

ゆけっ、マルマイン!

ゲンガーはがまんしている。


小椋「マルマインなら」


ゲンガーはがまんしている。

マルマインは からだが しびれて うごけない!


小椋「ああっ、もう!」

あ、>>374>>375の間に一コ抜け落ちてたのに今気づいたごめんなさい
ルージュラさげてラッキー投入したのになぜかルージュラがまたバトルしている矛盾を発見したので
すっとばされた部分を入れます。

>>375>>376の間でした
以下修正



小椋(電磁波か、これは予想外)

小椋(確かに電磁波ならマルマインの素早さは失われてほぼ完封だろうけど)

小椋(耐久狙いのどくどくではなく電磁波を入れてきたってことは、奴のラッキーの構成は電磁波/たまごうみ/ちきゅうなげ/ちいさくなる、こんなとこかしら)

小椋(この構成ならラッキーの役割は速攻アタッカーの攻撃を一発受けて速さを削ることにあるわね。ケンタロスの破壊光線程度のダメージは回復できる範囲内)

小椋(ここでラッキーが居座って攻めるなら、防御が二段階下がったラッキーがマルマインと戦うには小さくなるに頼るしかない)

小椋(だけど一回の回避率上昇によるこちらの技の命中率は約7割弱。ポケスタは多少補正入ってるっぽい感じするし、一回積んだからって安心はできない)

小椋(このラッキーの構成が私の予想通りなら、こいつにはまだ仕事が残っているはず。こんなところでリスクのある大爆発をくらっても意味はない)

小椋(マルマインの爆発警戒なら)

小椋(爆発食らっても問題になりにくいポケモン、死に体のルージュラか、流すためにゲンガーを選ぶ可能性が高い)


もどれ、ラッキー!

ゆけっ、ルージュラ!

マルマインの でんじは! ルージュラは からだが しびれて わざが でにくくなった!



これでつながります

>>388から続き


ゲンガーの がまんが とかれた!

マルマインの でんじは! しかし ゲンガーには きかなかった!


ゲンガーの あやしいひかり! マルマインは こんらんした!

マルマインは こんらんしている! マルマインの 10まんボルト!


小椋「……耐えた!?」


ゲンガーは からだが しびれて わざが でにくくなった!


小椋「やった!交換もできない今、あっちにできることは怪しい光連打しかない」


マルマインは こんらんしている! 

マルマインは からだが しびれて うごけない!

ゲンガーの かげぶんしん! ゲンガーの かいひりつが あがった!


マルマインの こんらんが とけた!

マルマインの 10まんボルト! しかし こうげきは はずれた!

ゲンガーの あやしいひかり! マルマインは こんらんした!


小椋(何でこんなタイミングばっちしな訳……?)


マルマインはこんらんしている!

マルマインは わけも わからず じぶんで じぶんを こうげきした!

マルマインは たおれた!


小椋「……一気に二匹もか……手持ちの優位が……」

小椋「奴の手持ちで倒せたのはスターミーとルージュラ……。手負いがケンタロス、ゲンガー。ほぼ無傷がサンダース、ラッキー」

小椋「私の手持ちはスターミー、マルマイン、ナッシーがやられて残るは手負いのカビゴンとケンタロス。そして無傷なのが……」

小椋「……いや、あれはまだよ。まだ兄貴の形見を使うのは早すぎる。まだサンダースも、ラッキーも残っているんだから」





ゆけっ、カビゴン!


小椋(麻痺したゲンガーなら先手が取れる。それに今のカビゴンのHP残量なら地震か吹雪か、とにかく打ちまくればなんとかなる)


カビゴンの じしん! しかし こうげきは はずれた!

ゲンガーの あやしいひかり!

カビゴンは こんらんした!


カビゴンは こんらんしている!

カビゴンの ふぶき! しかし こうげきは はずれた!

ゲンガーの どくどく! カビゴンはもうどくをあびた!


カビゴンは こんらんしている!

カビゴンの じしん! きゅうしょに あたった! こうかは ばつぐんだ!

ゲンガーは たおれた!


小椋(次に来るのはもうわかってる。ラッキーは私の最後の一匹を警戒して出すことができない。サンダースの10まんでは残りのHPを削り切れない)

小椋(確実に攻めてくるとしたら……)


ゆけっ、ケンタロス!


小椋(来たわねケンタロス。ここまで想定通り)

小椋(カビゴンの残りHPはまだ緑。ケンタロスの破壊光線では私のカビゴンのHPを削り切ることはできない。奴が私ならどうするか)

小椋(破壊光線でHPを削るだけ削って、サンダースにつないで確実に倒すか。それとものしかかりや地震でHPを半分以下に削って次のターンで破壊光線か)

小椋(どちらにせよ最速で2ターンかかるうえ破壊光線を撃つことになるわね。急所に当たらない限りは)

小椋(そこで本来私が取るべき最善手はカビゴンで攻撃、ではないわ。最後の一匹に交換してケンタロスから受けた技のダメージを回復すること)

小椋(破壊光線なら反動ターンに回復して攻めることができるし、別の技ならカビゴンに戻してヨミヤマミサキに破壊光線かのしかかりを撃たせて、逆襲)

小椋(もしヨミヤマミサキがここまで私の考えを読めているなら。最小のリスクで私に最大のダメージを負わせる方法はもうひとつしかない)

小椋(次のターンは、私が交換した先にも負荷がかかる可能性があるのしかかりだけ!私の最善手は、カビゴンのじばく!)


ケンタロスの のしかかり! 

カビゴンの じばく!

ケンタロスは たおれた! カビゴンは たおれた!



修正


ケンタロスの のしかかり! 

>カビゴンは こんらんしている!

カビゴンの じばく!

ケンタロスは たおれた! カビゴンは たおれた!




小椋(……互いに二匹。けど私の方が圧倒的に有利な状態。次に繰り出してくるとしたらサンダースしかない。ラッキーは素早さの関係で繰り出すことができない)


いってこい、サンダース!

ゆけっ、ケンタロス!


小椋(この選出でたぶん私の最後の一匹の技構成がバレた……と考えていいわよね)

小椋(けど、ここまできたらもうサンダースに打つ手はない!地震確定二発、サンダースはケンタロスの残りHP的に確3か超低乱数2のはず!)

小椋(勝てる!)


サンダースの リフレクター! サンダースは だげきこうげきに つよくなった!

ケンタロスの じしん! こうかは ばつぐんだ!


小椋(悪あがきを…!)


サンダースの なきごえ! ケンタロスの こうげきりょくが さがった!


小椋「なっ……!」


ケンタロスの じしん! こうかは ばつぐんだ!


小椋「何、このダメージの少なさ……!サンダースのHP全体の4分の1ぐらいしか減ってないじゃない!」

小椋(けど、10まんボルトの威力は変わらないしあっちはあと1発で倒せるHP残量……)


サンダースの なきごえ! ケンタロスの こうげきりょくが さがった!

ケンタロスの じしん! こうかは ばつぐんだ!


小椋(なんのつもり?勝てないから自棄を起こしたとか……ううん、そんなはずはない、これは何かの前触れ)


サンダースの でんじは! ケンタロスは からだが しびれて わざが でにくくなった!

ケンタロスの じしん! こうかは ばうぐんだ!


小椋「まだ倒れない!? だったら!」


もどれ、サンダース!

たのんだぞ、ラッキー!

ケンタロスの じしん!


小椋「7分の1…!」ギリッ

小椋「このまま戦ってもケンタロスに勝ち目はないわ。まだケンタロスに大きなダメージがない間にこのラッキーを片付けないと…!」

小椋「兄貴」

小椋「兄貴、見てて。私勝つから、絶対。兄貴からもらったこいつで!」


もどれ、ケンタロス!

たのむぞ、ミュウ!

ラッキーの でんじは!

ミュウは からだが しびれて わざが でにくくなった!



小椋(最後の最後まで温存しておいた、ミュウ)

小椋(ミュウの利点はその種族値配分によって可能な膨大な型のバリエーション、これだけは他の追随を許さないのは昨日の見崎さんと泉美のバトルで証明済み)

小椋(私のミュウは剣の舞で攻撃力を上げて攻める、特殊技が一切ない完全な脳筋型、こいつで)

小椋(ケンタロスのHP的にサンダースの10万が急所に当たっても死なないなら、ミュウの剣舞物理でラッキーを殴り倒す!)

小椋(麻痺らないでよ……)グッ




ラッキーの リフレクター! ラッキーは だげきこうげきに つよくなった!

ミュウの つるぎのまい! ミュウの こうげきりょくが ぐーんと あがった!


小椋(……フフ、勝った。間違いなく勝った!リフレクター?今となってはもう意味はないわね)

小椋(いいや、ちいさくなるか影分身で回避率を上昇させておいた方がよかったんじゃないかしら)

小椋(次のターン、もし仮にヨミヤマミサキがラッキーにちいさくなるか影分身を指示していても)

小椋(剣の舞によるステータス上昇によって命中率がほんのわずかに上昇した今、回避率一回の上昇ではリフレクターの上昇では大爆発を防ぐに至らない!)

小椋(剣の舞で破壊光線を上げたところをカウンター……これ以外に、奴が私に仕掛けられる術はない)

小椋(本来なら剣の舞を積むだけ積んでカウンターできない地震でカタをつけるのが一番だけど、相手はあのヨミヤマミサキ……)

小椋(私が剣の舞を積んでいる間に何をしでかしてくるか……だったら)

小椋(ラッキーの虚をつく一撃をここで浴びせて戦闘不能にさせる!)

小椋「……長かったわ」

小椋「これで……!」

小椋「兄貴……彩……もう、終わらせるから……!」




小椋(勝てる……!)

小椋(今度こそ兄貴を……私が、超える!)



ラッキーの みがわり!


小椋「………え」


ラッキーは たいりょくを けずって じぶんの ぶんしんを つくりだした!


小椋「待って……」


小椋「みがわりって……なにそれ」


小椋「待って、お願い、待って……」



ミュウの だいばくはつ!


ラッキーの みがわりは きえてしまった……。


ミュウは たおれた!



小椋「……あ」

小椋「ああああっ」


小椋「ああああああああああああああっ!!!」ガンッ!

小椋「ふざけんなよ……!なんで、なんで身代わりなのよ!なんで、さっきといい、今といい、狙いすましたタイミングで攻撃を……!」

小椋「最高のタイミングだったと思ったのに……!なんであんなクソ技なんかに……!」

小椋「身代わりなんかに……」

小椋「身代わり………え」

小椋「………ちょっと、待って。みが、わり?」

小椋「身代わりで………だいばくはつを、かわされた?そんな、なんで?」

小椋「だって、みがわりって、対人戦だと、みがわりで、だいばくはつ、不発するんじゃなかったっけ……?」

小椋「でも、現にこうして身代わりでだいばくはつを流されたってことは……」

小椋「まさかヨミヤマミサキは都合よくゲームの設定を変化することができるんじゃ………」

小椋「………ううん違う………兄貴が確か……ヨミヤマミサキは、与えられたルールを守ってフェアネスを貫いているって………」

小椋「……じゃあ、まさか………吹雪の凍結率といったもののほかにも私の知らない仕様変更が、ポケスタにあったってこと……!?」

小椋「そん……な……そんなことで……そんなことで・・・・・・・」

小椋「そんなことでええええええええええええっ!!!」ガシャアァン!!



つぎの ポケモンを えらんで ください


小椋「………あのとき、剣の舞を積んでいれば……」


たのむぞ、ケンタロス!

ケンタロスの ものまね! ケンタロスは ちきゅうなげを コピーした!


小椋「……ちきゅうなげ………じゃあ、回復技、なかったんだ……」


ラッキーの でんじは! ケンタロスは からだが しびれて わざが でにくくなった!


小椋「せめて身代わりだったら、破壊光線の反動位なんとかなったのかな……」


ラッキーの ちきゅうなげ!

ケンタロスは からだが しびれて うごけない!


小椋「……電磁波だったらよかったのに……」


ラッキーの ちきゅうなげ!

ケンタロスの はかいこうせん!

きゅうしょに あたった!ラッキーは たおれた!


小椋「……ごめん、兄貴、彩、みんな……」


いってこい、サンダース!



 ———断言してもいい、小椋さん。君は負ける。



小椋「……榊原君」



サンダースの 10まんボルト!

きゅうしょに あたった!

ケンタロスは たおれた!



試合終了——————!!!


ダーン

ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン!!

ダーン


 ゆみ 

   ポケモンマスター
   ヨミヤマミサキ 


 まけ

    かち





恒一「………小椋さん」


気絶していた小椋さんを発見したのは、前島君が廃人化してから約1時間後———また、金木さんと松井さん、そしてあの杉浦さんまでもが廃人と化した後だった。

一目見ただけで一瞬でヨミヤマミサキに敗れたのだと悟った。

小椋さんはよほど泣いていたのか、腫れた眼と、頬には涙の跡がついていた。

ヨミヤマミサキに敗れた者は例外なく自身のゲームデータがすべて消去される目に遭う。小椋さんのソフトを確認してみたところ、データがすべて消えていた。

ポケスタに登録していたであろう自身のコピーデータまでも消えるという徹底ぶりだ。

そんな中、誰よりも泣いていたのが赤沢さんだ。

仕方のないことだろう、赤沢さんは桜木さん、綾野さんに続いて杉浦さん、小椋さんと親しい友人が皆ヨミヤマミサキの犠牲となったのだ。

対策係もとうとう残すところ赤沢さんだけとなってしまったことも追い打ちだろう。

やがて目が覚めた小椋さんは赤沢さんの静止も聞かず、ふらふらとどこかに出て行ってしまった。


鳴「……榊原君」

恒一「何?」

鳴「彼女を追いましょう。少しでも情報を集めないと」

恒一「………見崎」

鳴「?」

恒一「………いや、いい。言っても仕方のないことだから」

鳴「……わかってるなら、いい」

鳴「絶対に勝とう」

恒一「……ああ、もちろん」


僕は少々見崎に怒りを覚えながら、食堂を後にした。

とりあえず以上です。
今回は小椋さんの全身全霊をかけた勝負でしたのでとにもかくにもものすごく大変なバトルでした。
実のところを言いますと、書いている最中「あれこれ小椋さんひょっとして勝てるんじゃね?」みたいな点が数多くあったので
その修正に手間取りました。ごめんなさい小椋さん
>>365から>>398までずっと小椋由美vsヨミヤマミサキっつーあほみたいな長さだったので非常に疲れました。
質問のある方、どうぞどんどんお願いします。


つぎの ポケモンを えらんで ください


小椋「………あのとき、剣の舞を積んでいれば……」


たのむぞ、ケンタロス!

ラッキーの ちきゅうなげ!

ケンタロスの ものまね! ケンタロスは ちきゅうなげを コピーした!


小椋「……ちきゅうなげ………じゃあ、回復技、なかったんだ……」

小椋「せめて身代わりだったら、破壊光線の反動位なんとかなったのかな……」

小椋「……電磁波だったらよかったのに……」


ラッキーの ちきゅうなげ!

ケンタロスの はかいこうせん!

きゅうしょに あたった!ラッキーは たおれた!


小椋「……ごめん、兄貴、彩、みんな……」


いってこい、サンダース!



 ———断言してもいい、小椋さん。君は負ける。



小椋「……榊原君」



サンダースの 10まんボルト!

きゅうしょに あたった!

ケンタロスは たおれた!



試合終了——————!!!


ダーン

ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン ジャキン!!

ダーン


 ゆみ 

   ポケモンマスター
   ヨミヤマミサキ 


 まけ

    かち




ケンタロスが二度麻痺していたので修正

や、あの、ごめんなさい
もう投下しますはい今夜は眠りません

投稿間隔があきまくったので文体から感じ取るものが違うかもしれません




小椋さんから話を聞きだすのは困難を極めた。僕らはこれまで金木さんと松井さん、杉浦さんの三人から対戦の様子を聞きだしていたが、どれも数分か、長くて20分で終了した。

しかし、小椋さんの場合はまずまともに話をしてくれない。一言聞きだすのがやっとの状況が数十分続き、ヨミヤマミサキとの戦いの様子を聞き終わる頃にはすでに一時間が経過。

その間にも現象は続き、今度は王子君がその犠牲となってしまっていた。

現象に遭ってしまった人の監督をしている望月と千曳先生の報告を受け、見崎が王子君のもとに急行したことで、食堂には僕と赤沢さんの二人が残った。


赤沢「次は私が出るわ」

恒一「!」

赤沢「由美のおかげでヨミヤマミサキとの戦いの勝機が見えた気がするの」

赤沢「いいでしょ?」

恒一「……けど、そう都合よく赤沢さんの前にヨミヤマミサキが出てくるとは限らない」

赤沢「出るわよ!」

恒一「!」

赤沢「多佳子も、由美も、彩もみんな廃人にされた! 対策係ももう私だけ! これ以上もう誰も失くしたくないのよ!」

恒一「……」

赤沢「……ねえ恒一君」

赤沢「あんな策を、いいえあの女を信じた私がバカだったわ」

恒一「赤沢さん?」

赤沢「ヨミヤマミサキが疲労する?相手の実力に合わせた休息が必要?」

赤沢「本当にそうなら、ヨミヤマミサキは風見君と多佳子の二人と戦って、前島君、金木さん、松井さんとも戦って、由美で6連戦よ?」

赤沢「もし由美が私と恒一君より強かったら、もし連戦でヨミヤマミサキが疲弊していて———この惨状!」

赤沢「私達はあの眼帯女のせいで廃人が増えただけだった! 対策係は私だけになって、由美も敗れて、策は失敗!」

赤沢「恒一君はこのバカげた失敗策をまだ続けるつもり?」



恒一「……けど見崎は」

赤沢「また見崎さんの味方?今度ばかりは恒一君でも許さないわよ。それともこの機能していない策に秘策でもあるのかしら?」

恒一「秘策なんてないよ。……かといって、効果が表れてないわけじゃないんだ」

赤沢「なんですって?」

恒一「ヨミヤマミサキは一戦一戦、戦う時間が長くなっているんだ」

赤沢「どういうこと?」

恒一「勅使河原が、僕たちに風見君とヨミヤマミサキが戦っていることを告げた後なんだけど」

恒一「僕が確認できた限り、風見君との戦いから数分ずつ、戦いを経るごとにヨミヤマミサキが勝つまでの時間がかかってる」

恒一「風見君との戦いが10分程度、前島君以降は10分と少しの時間をかけながら、ヨミヤマミサキは戦ってる」

赤沢「時間を計測していたの?」

恒一「いや、僕も時間なんか計測してないよ。ただ、風見君のとこに行くまでに10分弱、部屋で一悶着あって」

赤沢「……そういえば、遅かったわね。何してたの?」

恒一「少しその、調整を」

赤沢「……まあいいわ。それで、」どうやってわかったの? 時間」

恒一「うん」

恒一「風見君が現象された直後に、食堂で前島君と会ったんだけど」

恒一「前島君はそれから間もなく廃人化して、直後に小椋さんと再会したんだ。前島君の面倒を見てくれって言われて」

赤沢「……再会?」

恒一「ああいやその」

恒一「そ、それでその一時間ちょっとした後に小椋さんを見つけたわけだけど、そのときたまたま時計を見て、時間を計測してみようと思ったんだ」

赤沢「けど、それだけだと時間は分かっても対戦時間の割り出しまではできないんじゃない?」

恒一「正確な時間じゃないけど、ある程度の予想は立てられるよ」

恒一「話を聞きだした限りだと、金木さんと松井さんは3対3の対戦×2人。前島君を保護した時間とこの二人を見つけた時間から戦闘時間を逆算」

恒一「一応、あっという間に戦ってあっという間に負けたっていう線もあるにはある」

恒一「けど負けた後の具合から見て、時間経過がだいたいどのぐらいなのかはある程度はわかるよ」

恒一「経過時間の予測と、対戦状況。そして小椋さんのポケスタ使用時間とヨミヤマミサキとの対戦時間を割り出して逆算すると」

恒一「金木さんと松井さんは二人合わせて20分弱、杉浦さんは20分前後。けど、前者は二人合わせて20分に対し後者は一人で20分」

恒一「だけど、後者はともかく前者は一人10分としても戦闘に時間がかかりすぎている。3対3だと長くて5分か7分。ふつう、10分もかけない」

恒一「かといって瞬殺もない。三人共、ヨミヤマミサキのポケモンを1匹は倒せていたからそれはない」

赤沢「由美の場合は?」

恒一「対戦時の話を聞きだし終えるまでだいぶかかったから、話の内容から考えて戦闘時間は少なくとも20分以上」

恒一「あれだけ高度な戦いなら、読みの時間を含めたらもっと戦っていたと考えていいかもね」



赤沢「どうして戦いが長引くの。ポケモンならゲーム時間はこちらの長考があればその分伸びてしまうのに」

恒一「ヨミヤマミサキは確実にこっちの手に対して最高の一手を打ってくるから、特に引っかかりもなくテンポよく相手を倒してしまう。つまり、早くカタがつきやすいんだ」

恒一「けど何かしらの要因でテンポよく展開をリードできない状態があれば、こちらにも反撃する余裕が生まれ、勝負が長引く」

恒一「ターン制ゲームで時間がかかるってことは、サクサク進まないってことだから」

赤沢「……けど、確かめようがないわ。話だけ聞いても実際どんなペースで対戦が進んでいたのかわからないのよ」

赤沢「恒一君の話でわかったのは、連戦だと対戦時間が延びるかもって憶測だけ。結果ではないわ。バトルの検証はする価値あるけど」

恒一「わかってるよ」

恒一「今確認されてるのは三つ。一つ。パーティ分断策は無意味。一つ。ヨミヤマミサキは1日3人以上の相手と戦える。一つ。連戦になると戦う時間が長引く」

恒一「あっちの疲労とかそういうのを抜きにして考えても、このみっつは証明されている」

恒一「判明したのがひとつ。ヨミヤマミサキは時間をあまり置かずに連戦が可能で、やろうと思えばこのまま連戦を続けさせることが可能なこと」

恒一「ヨミヤマミサキはもう僕らを瞬殺できないんだから、疲労はともかく、僕らのレベルが彼に近づいてきているのは明らかだ」



というものの、僕の予想としてはヨミヤマミサキは疲労はもちろん、ここまで情報を得た今なら見崎の策が効果を発揮していると考えている。

小椋さんから聞き出せた話から推測すると、彼女はヨミヤマミサキを本当にあと一歩のところまで追いつめていたことになる。

何故なら、三年三組のクラスメイトの中でヨミヤマミサキの手持ちをあと一匹、あと1、2撃で倒せるところまで追いつめていたのは小椋さんただ一人しかいないのだ。


赤沢「……希望はある、ってことね」



赤沢「さっきも言ったけど、次は私が出るわ」

恒一「……どうやって、ヨミヤマミサキを出すの?」

赤沢「ヨミヤマミサキは自分が最強だと思ったときにのみ出現する。わかってるわよね」

恒一「だけど赤沢さんは」

赤沢「恒一君、勝負よ」

恒一「え」

赤沢「あなたを目も当てられないぐらいコテンパンに倒す。その後に見崎鳴も倒す。そうすれば出てくるわよ」

恒一「けどそれで出てくるなんて」

恒一「……調整、てこと?」

赤沢「そうね」

恒一(えー……。またこんな流れか……)

恒一「僕と見崎は手加減するかもしれないよ?」

赤沢「手加減する間があると思う?」

恒一「……いいよ。ケーブル用意するから待っ」

赤沢「せっかくだからポケスタで勝負しましょう。恒一君、何度か操作を見てるわよね。じゃあ大丈夫でしょう」

恒一「……わかったよ、やるよ」サッ






ポケモーン!

デン!



———シアイシュウリョー!!  デーレレッテテテテテ デテテテテー

ダーン 

デンデンデーン! ドドーン テテテテー!
 


————赤沢さんは僕とのバトルの結果は赤沢さんが宣言したとおりのものとなった。僕は赤沢さんの手持ちを一匹も倒せない完璧な負けを演じてしまった。

当然、手加減しようとやってみたのだがこれもまた彼女が宣言したように手抜きする間もなく瞬殺されてしまった。

その時の彼女の様子は、戦場に降臨した修羅と言っていいほどだった。

僕たちのバトルの気配に気づいたのか見崎もやってきて、二人でバトルを始めたのだが、こちらは見崎が眼帯を外したことによって勝利を収めた。


赤沢「眼帯はノーカンでしょ。影分身5積み、命中率1段ダウンしておいてかみなりが急所に当たるなんて、いくらなんでもおかしいわよ」

鳴「……」


見崎曰く、「あのタイミングで眼帯を外さなければ負けていた」とのことだった。


赤沢「これで文句はないでしょ?恒一君」

恒一「……うん」

鳴「……」

赤沢(これであとはヨミヤマミサキが私のところにやって来るのを待つだけ……)

恒一「赤沢さん」

赤沢「何?」

恒一「お願いがある」

赤沢「今更何の冗談? 私はこれから———」

恒一「僕と、見崎。と、赤沢さん。この三人ならヨミヤマミサキを倒せるかもしれない」

鳴「榊原君」

赤沢「三人で戦うってことかしら」

恒一「そう。三人で」

赤沢「あなた、あの二人を見たでしょ? 金木さんと松井さんの二人を。彼女たちはほぼ同時に廃人と化したのを。私たち三人がもし——」

恒一「わかってる。だけど、勝てる気がする」



鳴「理由は?」

恒一「役割を分けて戦うべきだと思ったんだ。戦うのは赤沢さん。いざというときの技の選択は見崎が、全体的な判断を僕がやる」

赤沢「全体的な判断を、恒一君が?」

恒一「夜見山砲のかわし方がわかったんだ」

鳴「!」

赤沢「よ……夜見山砲?」

恒一「ヨミヤマミサキが異常な読みを発揮するときの呼称だよ。詳しくは後で話すけど。とりあえず赤沢さん。まずは僕の指示通りに技構成を———」


デーン!


三人「「「!」」」


デテデーデテテーデテテー

デテテー テン!




 ポケモンマスター 
 ヨミヤマミサキ





———ブッバァ

………ダン、ダン、ダン、ダン

  ダーンダダーン ダダー ダダダーン


赤沢「……来たわね」

恒一「ああ、来た……」

鳴「……」

恒一「あれが、ヨミヤマミサキか……」


僕はすぐに見崎の元、ルールを確認する。

レベルは全員65で統一されている。レベル65。これはいわゆる夜見山ローカルルールの一つで、三年三組は対人戦の場合はこのレベルのポケモンで

バトルすることになっている。

理由は、努力値の稼ぎ方が浸透してきていちいちレベル100まで育てる必要がなくなったのと、時間の問題があったからだ。

レベル65ならほぼすべてのポケモンがレベル技を覚えきるし、ミュウツーを投入できない。すべてのポケモンが投入可能になる。

つまり育成と対戦ルール・バランスの観点からレベル65でストップさせているのだ。


恒一「ルールに変更はなさそう?」

鳴「うん」





鳴「どうする気、榊原君」

恒一「どうもこうも……このまま戦うよ」


ヨミヤマミサキは、お互いのポケモンが明かされてから数秒後にもかかわらず、手持ちの準備を完了させていた。


恒一「ポケスタだと相手のポケモンが見えるのが幸いだな……えーと……これはマズイ……」

鳴「……確かにそうかも」

赤沢「えっえっ何二人で勝手に納得して」

恒一「いやその、赤沢さんの手持ちも十分奴を出し抜く力があるんだけど……」

鳴「……チャンスかもしれない」

恒一「え」

鳴「タイミングが良すぎる」

赤沢「タイミング?」

鳴「もしかしたら、この手持ちを変えられたら不都合かもしれない」

赤沢「不都合?」

恒一「不都合———え、あ、じゃあ———でもそれじゃ———まさか——」

赤沢「恒一君、どういう———」

恒一「———うーん、でもそれ、ありえないんじゃない?見崎」

鳴「あくまで可能性の範囲内。もし本当ならもっと厄介なことになる」

恒一「いや、そんなことは———」

鳴「可能性は0じゃない」

恒一「———わかった。どっちにしても、このパーティで奴と戦わないといけないことには変わりないし……」

赤沢(あのー私にもわかるように説明してくださいあの)


恒一「赤沢さん。一番手は僕に決めさせてもらってもいいかな」

赤沢(はあ……)


ちょっとだけヨミヤマミサキ戦練ります。
一時間半、時間をください



ポケモーン!

デン!



———シアイシュウリョー!!  デーレレッテテテテテ デテテテテー

ダーン 

デンデンデーン! ドドーン テテテテー!
 


————赤沢さんは僕とのバトルの結果は赤沢さんが宣言したとおりのものとなった。僕は赤沢さんの手持ちを一匹も倒せない完璧な負けを演じてしまった。

当然、手加減しようとやってみたのだがこれもまた彼女が宣言したように手抜きする間もなく瞬殺されてしまった。

その時の彼女の様子は、戦場に降臨した修羅と言っていいほどだった。

僕たちのバトルの気配に気づいたのか見崎もやってきて、二人でバトルを始めたのだが、こちらは見崎が眼帯を外したことによって勝利を収めた。


赤沢「眼帯はノーカンでしょ。影分身5積み、命中率1段ダウンしておいてかみなりが急所に当たるなんて、いくらなんでもおかしいわよ」

鳴「……」


見崎曰く、「あのタイミングで眼帯を外さなければ負けていた」とのことだった。


赤沢「これで文句はないでしょ?恒一君」

恒一「……うん」

鳴「……」

赤沢(これであとはヨミヤマミサキが私のところにやって来るのを待つだけ……)

恒一「赤沢さん」

赤沢「何?」

恒一「お願いがある」

赤沢「今更何の冗談? 私はこれから———」

恒一「僕と、見崎。と、赤沢さん。この三人ならヨミヤマミサキを倒せるかもしれない」

鳴「榊原君」

赤沢「三人で戦うってことかしら」

恒一「そう。三人で」

ってこれ一時間じゃ無理だ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年05月22日 (木) 03:10:43   ID: ChFBvi23

終わったんかい

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