二人を照らす道標 (134)

「いらっしゃいませ 店内でお召し上がりになりますかそれともお持ち帰りですか?
 ええ、確かにそのようなサービスも行っていますが…… 少々お待ち下さい」 

美穂子「お待たせしました、私が担当の福路美穂子です」

美穂子「いえ、そんな照れてしまいます」

美穂子「東京からですか、遠路はるばるご苦労様です」

美穂子「確かにその話を聞きつけて来て下さる方もいますが」

美穂子「それはプライバシーにかかわる事ですので、私の一存ではちょっと……」

美穂子「えっ、そうなんですか」

美穂子「でしたらお話させていただきますわね。少し長い話になりますが それでもよろしいでしょうか?」

美穂子「それではお話する前に注意事項をお伝えします」

美穂子「まず、本編の季節は春です
    卒業・進学・大会など多くの喜びと悲しみが生まれる季節
    長野のとある洋菓子店で物語が繰り広げられます」

    一部カップリングに異論が出そうなものもありますが、寛容な心でご覧いただければ幸いです

美穂子「第二にほのぼのを期待されている方には申し訳ありませんが、基本的にシリアス展開中心です

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美穂子「それでは本編に入りたいと思います」


美穂子「最初のお客さまは宮永照さんでした……」

美穂子「よいしょ よいしょ ふぅ これで準備万端かしら……」

福路ママ「美穂子 クローズからオープンにしといて」

美穂子「はーい」

・・・・・・・・・・・・

『パティスリーFUKUJI』 OPEN
営業時間 10:00−22:00(ラストオーダー21:30)

・・・・・・・・・・・・

福路ママ「大会終わったばっかりなのに手伝わせちゃってごめんね 美穂子」

美穂子「アルバイトの人が急に入れなくなってしまったのだから仕方ないわ 休みの日位は手伝わせて下さい」

福路ママ「そう? じゃあ私は裏で仕込みがあるから、ホール頼むわよ」

美穂子「お任せて下さい」

    私が入っている部活の大会が長野で行われていて、昨日閉幕しました
    私達の学校は途中で敗退してしまい、開催地の面目を保つことができませんでした

美穂子「昨日の対局、もう少し粘ることができれば……
    風越に入学してそろそろ一年、久保コーチに認められて副将に抜擢されてすごく嬉しかったのだけれど
    先輩の足を引っ張ってしまったわ」

美穂子「優勝したのは同じ一年生で既に注目を浴びている宮永照さん率いる白糸台高校」

美穂子「夏の大会では宮永さん達を倒して風越を優勝に導いてみせるわ
    そのためにも雑用は私が引き受けてみんなの練習時間を増やしてあげないといけないわね」

    でも……またあなたに会えなかったわ
    今回こそ出場してくれると思ったのに……
    上埜さん、何故途中であの大会を棄権してしまったの?

    左右の瞳の色が違う事
    子供の時からすごくコンプレックスでこんな瞳嫌いだったのに貴女は綺麗だって褒めてくれたわ
    もう一度貴女とお話がしたいの……

カラン コロン

美穂子「(あら客様だわ)いらっしゃいませ」

照「お久しぶりです 福路さん 冬休みに会ったから三カ月ぶりかな」

美穂子「久しぶりね、宮永さん」

彼女が宮永照さん、3年生の春に長野から東京に引っ越して、そのまま白糸台高校に通っています
彼女の通っている白糸台は近年力を伸ばしている新興勢力で私の通っている風越高校とも夏・春の団体戦で対戦しました

結果は二度とも風越の敗北
大会で彼女と当たる事はなかったけど先輩がかなりの苦戦を強いられているのを控室で見ました

美穂子「最初に咲ちゃんと一緒に来てくれたのがちょうど去年の今頃ね」

美穂子「考えてみるとまだ一年位しか付き合いがないのに宮永さんとはしょっちゅう顔を合わせている気がするわね」

美穂子「あと、個人・団体の二冠おめでとう 宮永さん」

照「そんな……団体戦は先輩達がリードを守ってくれたから 個人戦もたまたま勝てただけだよ
  それでもありがとね 福路さん」モジモジ

美穂子「それで、今日はどうする? お店?それともお持ち帰り?」

照「今日は違う用事があるんだ、福路さんに頼みたい事があるの」

美穂子「私にお願い? 何かしらね」

照「わ、私にスポンジケーキの作り方を教えてください お願いします」ペコリ

照「教えてくれるなら私何でもするから あっ、やっぱりこういうときは土下座だよね」ドゲザー

美穂子「ああ、宮永さんどうか顔をあげてください 土下座なんてしなくても教えてあげますから」オロオロ

照「ホントに!? ありがと福路さん」ギュッ

美穂子「ああ もう宮永さんったら、すぐ人に抱きつく癖は治した方が良いわね」グイグイ

美穂子「でもごめんなさい 今バイト中だから詳しい話はまた後にしましょう」

福路ママ「美穂子、話は聞かせてもらったわ 宮永照さんだったかしら 貴女接客の経験は?」

照「ありません でも、営業スマイルなら ニコニコ」

福路ママ「仕事はやっている間に自然に覚えるわ じゃあ早速入ってもらえる?」

照「仕事? 入る?」

照「えっと、もしかして 私ここで働く事になったんですか」

福路ママ「ええ、そうよ ちょうどバイト募集してた所だし、しばらくこっちに居るんでしょ」

照「新学期まで実家に居るつもりなので……」

福路ママ「だったら問題ないわ それにさっき何でもするって言ったわよね?

福路ママ「美穂子、決心が変わらないうちに連れて行きなさい」

美穂子「はい、お母さん」

照「え……嘘、嘘だって言ってよ 人前なんてむr……」もごもご

美穂子「宮永さん、こっちよ」ズルズル

照「二人とも強引……」

美穂子「それにしても 宮永さんは身体が細いからすごく似合うのね つい見とれてしまうわ
    ただ、胸元がその……ごめんなさい 何でもありません」

照「そうかな えへへ ありがと それと、よろしくね 福路さん」


そんなこんなで宮永照さんはウチのお店で働き始めました

正直宮永さんは接客業にはむいていませんでしたが、彼女なりに一生懸命頑張っているので誰も責めようとはしません

自分から仕事を見つけて、せっせと働く所はさすが大所帯の白糸台に通っているだけあって流石です
4月から私も上級生になるので見習わなければなりません

照「お疲れさまー 福路さん」グデー

美穂子「おつかれさま どう? 働いてみた感想は やっぱり大変かしら」

照「慣れない事するとすごく疲れる あとスマイルのしすぎで顔が痙攣起こしそう」ヒクヒク

美穂子「じゃあ、今日のケーキ作りはお休みかしら」

照「それとこれとは話が別 頑張って作る」

美穂子「じゃあ宮永さんついて来て 私の家で練習するわよ」

照「店の二階だっけ お邪魔しまーす」

美穂子「宮永さん わざわざ私の所に来なくても咲ちゃんに教えてもらえば良かったんじゃないかしら」

照「それは絶対だめ 咲には内緒なの」

美穂子「じゃあ、なんでウチに?」

照「話を聞いたのが昨日だったから……」

美穂子「聞かせてくれるかしら」

照「福路さんは覚えてるかな 去年、咲が東京に来た時怪我しちゃったでしょ」

美穂子「ええ、覚えているわ 確か一か月ほど東京の病院に入院したんだったかしらね」

照「じゃあその時、咲の付き添いで煌が付いて来てくれたのも知ってるよね」

美穂子「確か花田さんの事ね。とっても礼儀正しい子で時々咲ちゃんと一緒にお店に来てくれる常連さんだわ」

照「うん、その花田煌さん」

照「あの、その 煌が 何だけどね……今度福岡の高校に進学するみたいなの
  だから知り合いを集めてお茶会をやろうって話を咲としていて……」
 
照「ついでに、私の優勝をお祝いしてくれるって……」

照「だから、私も何かしてあげられること無いかと思って、それで手作りのケーキが作りたいなーと」

美穂子「つまり手作りケーキでお祝いしてあげたいと、そういう訳ね」

照「うん 煌は私が東京に行っちゃって心細かくて壊れそうだった咲と友達になって
  わざわざ東京まで付いて来てくれた子」

照「煌が居なければ、咲と仲直り出来なかったかもしれないもん」

照「この機会を逃したら 煌が福岡に行っちゃったら……もう会えないかもしれないから……」

照「煌に気持ちを伝えてからじゃないと東京には帰れない」

照「だからこそ、二人の手を借りずに気持ちを伝えたくて……」

美穂子「分かったわ、私が精いっぱい宮永さんのサポートをするから」


 まずは宮永さんがどのくらい料理ができるかチェックしなければなりません。
 結果は……彼女の名誉のために口をつぐむことにします。
 いえ、壊滅的ではないんですよ でもどこかずれていると言いますか……


照「あのさ 福路さん」

美穂子「何かしら宮永さん」


 フライパンと包丁を片付けながら、準備をしていると宮永さんが話しかけてきました


照「その……呼び方なんだけど、私達同い年だし名字だと咲と紛らわしいから名前で呼んでほしな」

美穂子「名前ですか 宮永さんじゃなくて、照って呼べば良いのかしら」

照「うん、私は福路さんのこと美穂子って呼ぶからよろしくね 美穂子」

美穂子「照…… うん、まだしっくりこないけど段々慣れていく事にするわね」

美穂子「照 最初はレシピどおりにキッチリ計ってください」

照「お母さんはいつも目分量でやってるよ」

美穂子「目分量でやった結果、ちゃんと出来ましたか?」

照「たまごの殻は入ってないもん」

美穂子「それは基本以前の問題ですから」

宮永さん いいえ 照とケーキづくりを始めたのは良いのですが、
こんなありさまなので初日は分量をきっちり計る所から始まりました。正直前途多難です。
なにせ、約束の日は来週の木曜日、日曜日には花田さんは福岡に行ってしまいます。

それまでに、照ひとりで作れるようになるのか私は不安な気持ちで一杯です。

—あくる日—

美穂子「何故スポンジが膨らまなかったか理由が分かりますか」

照「えっと……順番が違ったからかな」

美穂子「正解です。まず、お湯の温度を確かめましたか?
    大体50〜60℃くらいの温度泡立てて下さい 何のために温度計があるんですか」

美穂子「次に一度に全部砂糖を入れてはいけません、
    かならず複数回に分けて入れてください。これは初めに言ったはずですよ」

美穂子「でも、泡立ては問題無かったわ それだけ力を持続できるなら後はやり方と泡立てすぎなければ大丈夫」

美穂子「目安はメレンゲを泡立て器で持ちあげてみて、跡が残るくらいでいいわ。
    あんまり混ぜ過ぎても良くないしこの辺りは回数をこなせば大丈夫」

照「今回の場合、全部の材料を一度で入れてひたすら泡立てていたわね それだとうまくいかないわ」

照「美穂子もう一回言って」メモメモ

美穂子「じゃあ最初から説明するわよ まず————」

美穂子「じゃあ復習よ、次は何をすればいいかしら」

照「えっと、次は……薄力粉を入れる もちろん一度ふるいで振るっておいたやつだよ」

照「ここで気をつけるのは練って混ぜるんじゃなくて、さっくり混ぜる事、
  目安は粉が完全に混ざって、もっさりしてたのが膜状になって表面につやが出てくるくらい」

美穂子「良く出来ました。えらいわね、照」

美穂子「お菓子作りの基本は混ぜずに空気を入れる事 あとはちゃんと計量して作ることです。
    まあ、実際に作ってみると上手くいかないこともあると思うから やっぱり数をこなさないといけないわ」

 今日、照はお休み 何でも咲ちゃんの定期検診について行くとお店に連絡がありました。


 カラン コロン


美穂子「いらっしゃいませ」

煌「福路さん こんにちは 今日はこっちにいらっしゃるんですね
  いつ来てもすばらなケーキが並んでますねー」

美穂子「花田さん こんにちは うふふ 今日は新作があるわ 試食どうかしら」

煌「私が、試食しても宜しいんですか」

美穂子「もちろん、でも母さんには秘密よ」シー
 
煌「それではばれない間に……うん、やはり春はイチゴですね いくつ食べても飽きのこない味ですね」スバラ

煌「おっと、本題を忘れるところでしたね。
  福路さん、このたび私、花田煌は福岡に行く事になりました」

美穂子「ええ、宮永さんから聞いたわ 貴女の事だから高校もこっちにすると思っていたのだけど」

煌「そのつもりだったのですが家庭の事情で……正式に決まるまでは黙っていたんです」

美穂子「そればっかりは仕方ないわね でも麻雀は続けるんでしょ」

煌「もちろんです 福岡に行っても福路さんや宮永照さんのように全国で活躍できるよう精進するつもりですよ」

美穂子「その意気よ 頑張ってね」

美穂子「ところで、進学先に麻雀部はあるのかしら」

煌「福路さん驚かないで下さいよ 何と、私が4月から通うのは新道寺高校なのです」

美穂子「え、新道寺って言ったら北九州最強の高校よね だったら団体戦で顔を合わせる事がありそうだわ」

煌「風越と言えば、長野の中では頭一つ出ている高校ですからね 是非お相手したいと思います」

煌「でも、その時は容赦しませんよー」

美穂子「こっちこそ、望むところだわ」


煌「さて、試食だけで帰るのも悪いのでお持ち帰りお願いします」

美穂子「はい、どれにしますか」

煌「そうですね、後輩にいくつかゼリーを、あと宮永さんの所にはプリンですかね。
  咲ちゃんは甘いもの特にプリンが大好物ですから」

美穂子「あら、照もプリン好きよ」

煌「お姉さんもそうでしたか、これは不覚です。 それではプリンは……5つにしましょう」

美穂子「かしこまりました(照と咲ちゃんが2個で自分が1つかしら?)

照「美穂子、昨日煌がお店に来たの? 私の事バレてないよね?」

美穂子「大丈夫、バイトの子にもお願いしたし私が接客しました。
    来月から福岡に行きますってわざわざ挨拶に来てくれたわ それだけよ」

照「そっか…… ホントに行っちゃうんだ、煌」

美穂子「家の都合なら仕方ないわ 照もお母さんについていったから高校は東京なんでしょ」

照「仕方ない……か、近くに居るのと居ないのでは全然違うよねー
  ねぇ、東京から福岡って何時間くらいかかるのかな」

美穂子「新幹線だと昼に出て夜に着けば良いかしら その位、遠い距離ね」

照「福岡ってそんなに遠いんだ 今までみたいに気軽に会えなくなるね」

照「咲、花田さんが居なくなって大丈夫かな」

美穂子「大丈夫よ 時々花田さんの後輩さんと遊んでるみたいだし」

美穂子「それに、花田さん言ってたわよ。高校でも部活を続けるって、必ず大会で会えるはずよ。
    信じてあげなくちゃダメでしょ」

照「そうだね…… 信じて努力を続けていれば、願いは叶うものだよね」

美穂子「でもホントもったいないわ、風越に来てくれたら良かったのに」

照「煌は聞き上手で、私の愚痴に嫌な顔一つしないでちゃんと話を聞いてくれるし、
  一度決めた事は最後までやり通す強い所もあるから、一緒のチームに居てほしい存在」

美穂子「でも白糸台にだって愚痴を聞いてくれる人くらい居るんでしょ 確か……弘世さんだったかしら」

照「菫はただのクラスメート 確かにいろいろお世話になっているけど 煌と違って世話焼き女房タイプ」

美穂子「照の周りにはお世話してくれる人がたくさんいるわね 咲ちゃんしかり花田さんしかり うふふ」

照「そんなこと……あれ? あるのかな」ウムム

美穂子「羨ましいわ。先輩にはかわいがられているけど、同級生とは壁を感じているし……」

照「風越とか常連校だと勝利至上主義なところがあるのかな」

美穂子「ごめんなさい、すこし愚痴っぽくなったわね 忘れて」

照「うん、分かった」

照「美穂子 正直な所を聞きたいんだけど、私一人で作れるようになると思う?」

美穂子「大丈夫 私が何とかするわ。その代わり、ビシビシ教えて行きますからね」

照(煌、喜んでくれるかな)

照「上手く作る事が出来たら、勇気を出して煌に想いを伝えられるかも」

美穂子「花田さんに想いを伝える? どういうこと」

照「はぅぅ ノ—カン 今のなし 何でもないんだからね」プイ

美穂子「……」ジ—

照「うー」チラリ

美穂子「こほん、私の一人ごとだから聞き流しても構わないから聞いてもらえるかしら」

美穂子「宮永さんは今まで花田さんに何もしてあげられなかったせめて長野に居る間に何かしてあげたい、
    だから私の所に来た」

照「うん」

美穂子「でも、それは感謝だけじゃなく照自身が彼女へ想いを伝えたかったからなのね」

照「初めに会った時は、咲にも年上のお友達が出来た位にしか思ってなかったんだ。
  でも、長期休暇が来るのを指折り数えるようになったの」

照「最初は早く咲の顔を見たい、いろいろあって短くなった髪のお手入れちゃんとしてるかな? って思ってたの」

照「実際、咲の顔を見るとそれだけで安心するし、一緒に寝たりするとすごく安心するけどそれだけじゃないって気付いたの」

照「本当に楽しみだったのは花田さんと会って、話して、笑って、打って、そんな何気ない一日待ち遠しかったんだって」

照「この前、菫に指摘されたんだ。」

菫『お前は妹とその花田煌の話ばかりしてるな、もしかしてお前もそっちの気があるのか。あいつといいお前といい私の周りには……』

照「その後、自分なりに考えて出した答え」

照「一緒に街を歩きたいし、デートもしたい 手をつなぎたい アーンしてほしい 髪の毛の匂いを嗅ぎたい」

美穂子「照、貴女は間違いなく花田さんに恋してる 間違いないわ」


美穂子(私の上埜さんに対する思いも恋なのかしら、会えない時間が長ければ長いほど募る思い)

美穂子(世間ではタブー視されているけど、一度好きになってしまったものをおさえる事なんてできないわ)


美穂子「照の告白を成功させるためにも今は作り方を覚えることが先決よ さあ、始めるわ」


照(美穂子が私のために時間を割いて教えてくれる。
  風越は長野の強豪校、練習だって人一倍厳しいはずなのに疲れ一つ見せないで)

照(美穂子の期待を裏切らないよう頑張らなくちゃ)

美穂子「前回の続きから始めるわ、あれから照も大分上達したみたいだし今日からは実際に焼いてみましょう」

照「はーい」ドクドク

美穂子「ちょっと照、型に直に生地を入れちゃダメ クッキングシートを敷かないとくっ付いちゃうわ」

照「ごめんなさい 福路センセイ」

美穂子「実際には、照が流し込む前に全力で阻止したので生地は無事です。」

照「流石に、私もそこまではしないよ」(危なかった、もう少しでやっちゃうところだった)

美穂子「型に生地を流し入れたら、たいらになるようゴムべらでならして下さい」

美穂子「これをオーブンに入れて焼きます。温度は200℃で10〜15分程焼いて下さい。
    焼きムラがある時は延長機能を使うと便利です」

照「これで完成?」

美穂子「まだよ、この後2〜3時間冷ましてしぼまなければ成功よ」

照「じゃあ、焼きあがるまで暇だね」

美穂子「じゃあ次にデコレーション講座よ こっちは基本的に自由だけれどホイップクリームを使う場合の注意事項があるから説明するわ」

美穂子「メレンゲを泡立てる時は左右に動かしていたけど、ホイップクリームの時は円を描くように泡立てるのが基本よ」

美穂子「あと、場合に応じて使い分けたほうが良いわ。
    例えばスポンジに塗る時は7分立て、絞り出すときは8分立てといった感じ」

照「ホイップクリーム一つとっても奥が深いんだね、もぐもぐ」

美穂子「後はチョコレートを使ったりデコレーションの種類は無限にあるからベストの解答はないわ」

美穂子「ウチのお店の場合はフルーツたっぷりのケーキが人気だけど……って何食べてるの?」

照「ん……」(美穂子の作った生クリーム)

美穂子「口の周りべとべとにして、まったく手のかかる子どもね」

 それから私は照と二人三脚でくる日もくる日もお菓子作りを続けました。
 目標達成のため心を鬼にして厳しく指導したおかげというより、
 今まで家族に頼りきりでやろうとしなかっただけで照は結構器用でした。

 新しい発見です。

照「美穂子、今度こそ これでどうかな……」ドキドキ

美穂子「もぐもぐ…… これは…… なるほど」

照「また、ダメ?」

美穂子「残念ながら合格よ もっと時間がかかると思ったけど」フキフキ

美穂子「もう私が教える事は何もないわ」

照「よかったー 今日合格がもらえなかったらどうしようかと思ってたんだ」

照「菫に画像送ろうかな 帰ったら自慢しなくっちゃ 美人のお姉さんに教えてもらったんだよーって」

美穂子「美人のお姉さんだなんて照れるわ もう」

照「美穂子が綺麗なのはホントだよ」

美穂子「お世辞でも嬉しいわ」

照「もー その顔は信じてないね」ポカポカ

福路ママ「アンタラ台所で何やってるの 二人とも粉だらけになってるじゃない」

美穂照「あ、ホントだ」マッシロ

美穂子「ところで、一つ残念な話があるんだけど聞いてくれる?」

照「なにかな」

美穂子「実は花田さんって生クリームがちょっと苦手なのよ」

照「えっ、嘘、なんで言ってくれなかったの」ズイズイ

照「美穂子酷いよ 今まで騙してたんだね」プンスカ

美穂子「まだ話の途中よ それで今から教えるのがシュフォンケーキの作り方よ」

照「シュフォンケーキ?」ピタッ

美穂子「ええ、花田さんが言っていたのよ」

煌『私は生クリームがちょっと苦手なんですよね 食べられないわけではないのですがお腹にたまるというか……』

煌『やはり、素材の味が感じられて、甘すぎないモノの方が私は好きです』

美穂子「どう? 作り方は殆どスポンジケーキと同じだから今までの作業が無駄にならないのよ」

照「ホントに? ホントに一から覚えなくていいんだよね?」

美穂子「そこまで意地悪じゃないわ メレンゲとかスポンジケーキは基本を覚えるにはもってこいだし、
    そもそも最初から花田さんの為に作るって言ってくれたら良かったのに」

照「そうだね 美穂子……そこまで考えてくれていたんだ」

美穂子「あたりまえよ これで咲ちゃんにも作ってあげられるわね」

照「失敗作もなかなかイケル」モグモグ

美穂子「良い機会だわ、他にもいくつか教えてあげるから ちょっと待ってて———」

 今日は照が咲ちゃんとプレゼントを買いに行くというので私もついて行くことになりました。

 あと会場がウチのお店に変更になりました。あいかわらずお母さんは無茶な事をします。


咲「お待たせしましたー」ゼーハー

美穂子「私も今来たところだから、全然待ってないわ ところで照はどこに行ったの?」

咲「さっきまで一緒に居たんですよ あっ、こっちだよ お姉ちゃん」

照「咲が私を置いて行った」ブーブー

咲「さっきまで横で歩いてたのに?」

照「急に走りだす方が悪い!」

咲「お姉ちゃんが寝坊して送れそうだからでしょ」

照「そういう咲だってギリギリまで着る服迷ってた」

咲「だって……だってせっかくお姉ちゃんとお出かけなんだもん 仕方ないもーん」

咲(この日の為に新しい服準備していたのに……全然気付かないしお姉ちゃんのバカ)」(小声)

照「変な咲」

美穂子「なるほど」

 咲ちゃんは照が服をほめてくれないのが気にいらないみたいです。
 ここは照に助け舟を出してあげる事にします

美穂子「お二人は花田さんに贈るプレゼントもう決めてます?
    私はこの辺りをぶらぶら歩きながら決めようと思っているんです」

美穂子「咲ちゃん、その服似合ってますよ」

咲「福路さんに褒めてもらえるなんて……少し元気出てきました。 ありがとうございます」

 照もこれで気付いたみたいです
 ほら、他にもあるはずです さあ さあ


照(何かないかな……あれ? 咲の付けてる時計って小さい時にあげたやつだー)

照「咲 その時計まだ付けてくれてくれてたんだ。嬉しいな」チラ

咲「!」

咲「うん……これはお姉ちゃんにもらった大切な時計だもん。
  なくさないように大切な時にしか付けないんだ」チラチラ

照「そっか 嬉しいな」

咲「覚えてくれていたんだ。お姉ちゃん」

 一気に咲ちゃんの機嫌も治りました。
 まったく、次は自分で気づいて下さいね お願いしますよ、照

 それにしても……二人の関係は姉妹のそれなのでしょうか
 私の眼には照を見る咲ちゃんの眼が尋常じゃない位真剣なのが伝わってきます

照「美穂子はどんなのが良いと思う?」

美穂子「まず自分で考えてみなさい 照がもらって嬉しいものを贈ればいいと思うから」

照「私がもらって嬉しいもの……分かった、いろいろ見てみる」

美穂子「それでも決められないな、アドバイス位はするわよ」

美穂子「さてとじゃあ、私は咲ちゃんの様子を見てくるから 変な所に行っちゃダメよ」

照「はーい」ゴソゴソ

美穂子(頑張ってね、照)

美穂子「咲ちゃんはどこかしら」キョロキョロ

店員「こちらの品でしたら、色が二色ありますがどちらになさいますか?」

咲「えっと、確か……うん、こっちの色でお願いします」

店員「では少々お待ち下さい」テクテク

美穂子「咲ちゃんはもう決めたの?」

咲「はい、このまえ花田さんと遊びに行った時在庫切れで一度あきらめたんですけど、
  お母さんに聞いたらこの店ならあるかもしれないって言っていたので」

美穂子「さすが、咲ちゃんね」

照「美穂子 ちょっとコッチ来て—」

美穂子「ごめんね、照が呼んでるから言ってくるわね」

咲「あ、はい(そういえば福路さんお姉ちゃんのこと名前で呼んでたっけ?)」

照「こっちだよー」フリフリ

美穂子「今行きますから、待っていて下さい」

照「二つに絞ったんだけど、どっちがいいかな」

美穂子「ちょっと見せて下さい……ふむふむ、なるほどそう来ましたか」

照「ドキドキ、ワクワク」

美穂子「そんなに高いものでもありませんし、両方買ってみてはいかがでしょう」

照「美穂子がそう言うなら……」

シメテ ○○エンデス アレ サイフドコダロ チョットマッテクダサイ


美穂子「如何したんですか?」

照「財布がない」シュン

照「昨日入ってたのに、不思議!」

美穂子「ちゃんと探しましたか? もしかしてどこかに落としたとか?」

照「今日はまだ財布出してないから、それは無いと思うけど……」

照「美穂子、お金借りても良い?」

美穂子「ふぅ、仕方ありませんね 店員さんいくらですか? はい、これで」

照「ありがと、必ず明日返すから」

美穂子「じゃあ、咲ちゃんの所に行きますよ 照と違ってどこかにも行かないと思いますけど」

照「待ってよー」


煌「今日は私のために集まっていただきありがとうございます」

 センパイノタメデスカラ ハナダサン・・・


煌「去年センパイの後を継いだ時は、優希しか部員が居ませんでした。
  でも春に咲ちゃんに出会って、時々遊びに来てくれるようになり、今年はマホとムロの二人が入部してくれた。

煌「残念ながら、人数不足で団体戦に出ることはできませんでしたが、このメンバーで打つのすごく楽しくて、
  本当にすばらな出来事でイッパイでした」

煌「来年は新入部員が入って団体戦出場できると良いですね」

優希「そんなことないじぇ こっちこそお礼を言いたいくらい」

煌「ありがとう、優希には持ち前の明るさで和や後輩達を引っ張っていってほしいと思っています」


煌「私から貴女達へ 貴女達から大切な人へ 下の世代へ伝えていってほしい言葉があります。
  それは、素直にありがとうと言えることです」

煌「みんな心の中では思っているけどそれだけじゃ伝わらないこともたくさんあるでしょう。
  でも勇気を出して伝えないといけない場面では躊躇せず言葉に出して伝えなければなりません」

煌「そして、それを伝えたい人が居るのはとてもすばらな関係だと思います」

和「花田先輩の言葉、よくよく胸に刻んでおきますね」

照「煌、私にもお礼をいわせてほしいな」

照「私が東京に行って、咲がこっちに残って、私のせいで咲があんなことになって煌には沢山迷惑かけたと思う
  でもこれだけは言えるんだ、咲を外の世界に連れ出してくれてありがとう。
  これから煌は遠くに行っちゃうけど、それは輝かしい未来の為に一歩踏み出しただけ」

照「どんなに離れていても、困ったことがあったらすぐ駆けつけるよ」

優希「東京と福岡じゃすぐには着かないと思う」

和「もう、優希今はそういう話ではありませんよ」

照「ともかく、私達はみんな煌の味方だから、それだけは忘れないで」

煌「宮永さん、福路さん、優希、和 そして……咲ちゃん」

煌「皆さん、ありがとうございます」


美穂子「さてとじゃあ、挨拶もおわったところで始めましょうか 照手伝って」

照「うん、みんなちょっと待っててね」

………
……



咲「花田さん、お姉ちゃんがここでバイトをしていたこと知ってました?」

煌「それは初耳です。宮永さんの制服姿を一目見てみたかったです。 
  宮永さんはお綺麗ですから、すばらに着こなしていたでしょうね」

咲「それなら写真ありますよ、えっとどこに入れたかな……」ゴソゴソ

咲「ありました。これです」

煌「これは、また」スバラ

和「咲さんのお姉さんはいつも素敵な服を着てますけど、どこのお店で服買ってるのか気になりますね」

咲(お姉ちゃんはあんまりこだわりないんだよなー 
  弘世さんとか、中学の時の友達さんに見繕ってもらってる なんて言えないよ)

咲「家の手伝いは全然しないのに急に福路さんのお店で働くっていうんですよ 私びっくりしちゃいました。
  やっぱり東京は物価が高いからお小遣いのやりくりとか……」

煌「それだけですか? 実は咲ちゃんちょっとうらやましかったりしたのでは?」

咲「実はちょっぴり、福路さんはお姉ちゃんと同い年だし優しく綺麗だし、
  バイト中ずっと一緒にいるかと思ったら嫉妬しちゃいました。」テヘ

煌「咲ちゃんはお姉ちゃんが大好きなんですねぇ 私一人っ子なので羨ましいです」

煌(はぁ、やっぱり咲ちゃんの眼にはお姉さんしか入っていないみたいです。
  宮永さんは全然気づいてないようですが……)ヤレヤレ

煌(これは完全に脈なしですかね)

美穂子「お待たせしました。シフォンケーキよ」

煌「すばらー もしかして私の好みに合わせてくれたんですか」

美穂子「花田さんはあまり生クリームが得意じゃないって聞いていたからこっちにしたのよ 花田さん、どうぞ」

煌「あ、これはどうも それでは遠慮なく」モグモグ

煌「うん 口当たりが軽くて、上に塗られたシロップも甘すぎずシンプルですがとってもおいしいです」スバラ

煌「福路さんのお店はフルーツを使ったモノが多かったので、この組み合わせはドストライクです」スバラー

美穂子「うふふ 良かったわね 照」

照「美穂子が教えた通りに作っただけ、でも煌の笑顔が見られたから満足」

煌「えっ、これ宮永さんが作ったんですか? すごいです。お店で売ってるものみたいです」

咲「嘘、おいしい ホントにこれお姉ちゃんが作ったの? 時々料理してるとは聞いてたけど」

咲「あ、もしかしてそのために福路さんのお店でアルバイトしてたの?
  私てっきり……」

照「最初は美穂子に教えてもらおうと思ったんだけど、
  店長が『ギブアンドテイクよね』ってものすごく笑顔で迫ってきてその流れで働くことになった」

照「おかげで、人前に出ても緊張しなくなった」フンス

美穂子「照はしっかり働いてくれたわ ちゃんとバイト代も出すって言っていたし良かったわね」ポンポン

咲「私に言ってくれれば、教えたのに(まあ福路さんには負けるかもしれないけどさ)」モゴモゴ

咲(だったら、お姉ちゃんはバイト中だけじゃなくてお家でも福路さんの側にずっと居たってことだよね、
  羨ましすぎるよー)モンモン

美穂子「照は二人を驚かせたかったのよ さあ、私達もいただきましょう」

優希「いただきまーす 咲ちゃんのお姉さんなかなかの腕前だじぇ」

和「確かに、これはなかなか真似できる味ではありませんね」

照「満足してもらえたらな嬉しい」

煌「あの……お代わりしても良いですか?」チラチラ

美穂子「ええ、早い者勝ちよ」

咲(今度、作ってもらおうかな…… どうせならお姉ちゃんと共同作業、
  あんなことや、こんなことまで)キュフ

………
……



咲「これ、私からです」

煌「あれま、これ私がほしかったやつです」

咲「これを贈るのが一番確実だと思ったので」//

煌「わざわざ探してくれたんですか?」

咲「お母さんに聞いたら、そのお店だったら扱ってるかもしれないって」//

煌「咲ちゃんありがと 大切にします」

美穂子「じゃあ、最後は照の番ね」

照「うん……」ギクシャク

美穂子「ここで伝えないと一生後悔するんじゃないかしら、ほら勇気出してぶつかって来なさい」(小声)

美穂子「骨は拾ってあげるから、さあ行ってらっしゃい」ドン

照「ちょっと痛いよ でもありがと、行ってくるね」

照「煌、プレゼントを渡す前に聞いてほしい事があるの」

煌「はい、良いですよー」

照「私は煌の事が好き」

咲「なっ」ガタ

美穂子「はい、咲ちゃん座っててねー」ガシッ

照「こほん、一番初めに煌と会ったときの事覚えてるかな?
  咲が病院に運ばれたって会場から連絡を受けて駆け付けたとき私ってばすごく動揺してて……
  そんな時、私を落ち着かせてくれたよね。


煌『あっ、宮永さんのお姉さん こっちです』

照『咲は、咲は大丈夫なの?』

煌『お姉さん、落ちついて下さい さっき集中治療室に入ったところです』

照『どうしよ、もしもの事があったら、わたし わたし』オロオロ

煌『咲ちゃんは大丈夫です。もしものことなんてありえません』

照『でも、でも』

煌『いい加減にしてください』バチン

煌『わたしたちが信じなくてどうするんですか!』

照『ごめん』

照(花田さん……)

照「煌は気配りが出来て、年下にも優しくていつも私を助けてくれた」

照「思えば、そのときからだと思う。花田の事が気になりだしたのは」

照「私は煌に出会って無かったら今こうやって咲に顔向けできずに長野には二度と帰ってきてないかもしれない
  煌にはすごく感謝してる」

照「でも最近ね 煌の事を考えていると……夜も眠れないの」

煌(え、宮永さんが私の事が好き? そんな事があるわけないじゃないですか!
  そもそも……)チラ

照「煌、返事を聞かせてほしいな」

煌(全てを知っているのは私だけ…… いえ、勘の良い福路さんの事です。
  返事に窮している私の表情を見れば助け船を出してくれるはず)

美穂子(これはもしかしてそういうことなのかしら……仕方ないわね。
    一度二人を外に連れ出してその隙に……)

美穂子「照、花田さんも急な事でびっくりしてるのよ。
    それに、ここじゃみんなが見てるし話しづらいでしょ 場所を変えたらどうかしら」

照「あっ、そうだよね、ごめん気がきかなかったね。じゃあちょっと外出てきます」

煌「はい……」

 二人が出て行ってしばらく沈黙が私達を支配していましたが、その沈黙を破ったのはやはり片岡さんでした。

優希「いやー、驚いた まさか咲ちゃんのお姉さんが花田先輩に告白するなんて」

和「そうですね、花田先輩の表情を見る限りお姉さんは表立ってアプローチをしていなかったようですし、
  先輩にしてみれば青天の霹靂といったところでしょうか」

咲「福路さんは、知っていたんですか?」

美穂子「ええ、少し前に照から相談されたのよ」

咲「そうですか…… あはは、煌さんならお姉ちゃんを任せてもいいかな
  だってお姉ちゃんは勇気を出して告白したんだもん それに比べて私は……」

咲(花田さんが相手なら、私も安心だよ お姉ちゃんの事しっかり守ってくれるはずだもん)

咲「二人が付き合うのなら、祝福してあげなくちゃだよね……」

美穂子「ごめんなさい 二人が戻るまでしばらく時間がかかるでしょうし、紅茶のおかわりもってくるわね」

咲「お姉ちゃん……(煌さんお姉ちゃんを悲しませたら絶対許さないんだからね)」

咲「でも、嫌だよ……」ボロ ボロ


………
……

照「座ろっか」

煌「あ、はい」

照「」

煌「」

照「———ごめんね 煌 びっくりさせちゃったかな」モジモジ

煌「いえ、もう大分落ち着きましたので」

照「…」

煌「確認なのですが、先ほどの告白は友達とかではなく交際という意味ですよね」

照「もちろんそのつもりだよ」

煌「そうですか うん、そうかー 東京と福岡ですか 頻繁には会えませんよ」

照「会えないのは今に限った事じゃない」

煌「そうですね 遠距離には慣れていますもんね」タメイキ

煌「ホントに私でいいんですか?」

照「むしろ、煌じゃないと嫌」

煌「ごめんなさい」ペッコリン

照「それがお返事なのかな やっぱりそうだよね あはは」

煌「やはり今の私では宮永さんの告白を受け入れることはできません。
  でも宮永さんのお気持ちはよく分かりました」

煌「じっくり考えてみます」

照「可能性はゼロじゃない?」

煌「ええ、人の気持ちはうつろい易いものです。
  それに、本当に嫌ならあの場で断っていますよ」

照「その言葉を聞いてちょっと安心した」

煌「私も、考えておきます……」

煌「宮永さんポケットから何か落ちましたよ」

照「あっ、それ煌へのプレゼント 渡しそびれちゃってごめんね 開けて良いよ」

煌「はい……えっと、携帯のストラップとこれは髪留めですか」

照「そのストラップは私とおそろいのやつ、ほらコレだよ」

照「二人の歩む道を照らせるように……」

煌「名前に掛けたんですか? ちょっとわざとらし過ぎる気もしますが、
  大切に……使わせていただきますね」

照「ありがと 煌 真剣に答えてくれて期待してるね」

煌「じゃあ戻りましょうか? それと手を繋いでいきますか?」

照「面白そう」ギュ

煌「宮永さんの手大きくてあったかいです」//

煌(いつか宮永さんの気持ちが私に届く日が来るんですかね。
  今の私はまだまだ未熟です。隣にいても恥ずかしくない人間にならなくては)

美穂子「あら、戻って来たわね 手なんて繋いできちゃって」ウフフ

咲「・・・」チラチラ

照「ご期待に添えなくて悪いけど、煌にフラレちゃった。
  でも、可能性はゼロじゃないって言っていたから、私は諦めないよ」ニギニギ

煌「今の私では、宮永の隣にいることはできませんから」

照「いいの、煌が私の事を好きになるまでアタックし続けるから」

優希「咲ちゃんのお姉さん、花田先輩はなかなか手ごわい相手だし」

和「貴女はどっちの味方なんですか?」

優希「もちろん、二人の味方だじぇ」

和「まったく……優希らしい答えですね」ヤレヤレ

煌「あはは」(苦笑い)

美穂子(咲ちゃんには悪い事しちゃったかな? でも私は照の味方だもの、ごめんね 咲ちゃん)

美穂子「さて、そろそろ手伝いに戻らないといけない時間だわ」

照「もうそんな時間なんだ 美穂子 何から何まで手伝ってもらったのに片付けの手伝いできなくてごめんね」

美穂子「いいのよ、今日はアルバイト入ってないし 今日は咲ちゃんと一緒に帰りなさい すごく楽しかったわ」

照「あ、そうだ これ美穂子に」

照「お金を借りたお詫びと今までのお礼だよ」

美穂子「ポーチかしら?」

照「美穂子って普段あんまり化粧しないでしょ やっぱりもったいないなって、
  これなら他のモノを入れても良さそうだから」

美穂子「照ったら、最後にこんなサプライズを隠していたなんて、やるわね」

 原村さんと片岡さんは別の用事ができたとかで二人で駅前の方に行ってしまったので三人で帰ることになりました。


煌「それでは、私はこっちなので、
  お二人とも今日は楽しい会を開いていただきありがとうございました」ペコリ

照「煌とはしばらく会えなくなっちゃうのか……でも携帯電話でいつでも連絡取れるから寂しくないもん」

咲「お姉ちゃん……花田さんを一人で帰しちゃっていいの?」

咲「ホントに全力を尽くしたって言える? やり残した事があるならこれが最後のチャンスだよ」

咲(お姉ちゃんが本当に好きなのは花田さん、やっぱり好きな人同士が結ばれるのが一番良いはず、
  ここは、私が二人を後押ししてあげなくちゃ)

咲(お姉ちゃんの事を一番よく知っているのは私なんだから……)


照「でも……言えることは全部言ったつもりだよ 後は何を伝えればいいのか分からないよ」

咲「私なら、さよならじゃなくてまた会いたいって言うよ。
  どれだけ遠く離れて居たって、気持ちは伝わるもん」

咲「それにお姉ちゃんいったよね、アタック続けるって」

照(そうだよね、私達はまだスタートラインにたったばかり、失敗を恐れて逃げちゃダメ)

咲「でも、花田さんモテるだろうなー お姉ちゃん大丈夫かなー」チラチラ


照「——ごめん、先に帰ってて 今から煌を追いかける」ダッシュ

咲「それでこそお姉ちゃんだよ。頑張ってファイトだよ お姉ちゃん」

咲「…」

咲「お姉ちゃんの……バカ……」


………
……



煌「これからどうしましょうかね…… あの場は何とか切り抜けましたが、気になりだしているのは事実です」

煌「よく考えてみると、宮永さんは優良株ですし…… いえ、こと恋愛事に優良株とか関係ありませんし」

煌「ふう、何だか宮永さんの事を考えていたら疲れて来ました」


照「きらめー」

煌(おや、この声は宮永さん?)

照「はあ、はあ やっと追い付いた」

煌「宮永さんどうしたんですか そんなに慌てて、咲ちゃんは?」

照「咲は先に返したの、煌を追いかけてきた」

照「咲に背中押されちゃったの、お姉ちゃんはまだ全力を出し切ってないでしょって
  私、煌と約束がしたい」

煌「約束ですか?」

照「うん約束、4月から長野を離れなくちゃいけない二人の約束」


照「私はこれからも勝ち続ける、そして負けない」

照「でも、もし負けちゃったらその時は長野に帰る」

照「その代わり、卒業するまで無敗だったらその時は煌にプロポーズする」

煌「なるほど、高校生活の残り2年、宮永さんは一度も負けるつもりはないと……」

煌「面白いです。その勝負受けましょう」

煌「必ずレギュラーに選ばれて、白糸台を倒して優勝してみせます!」

照「臨むところ じゃあ、さよならは言わないよ また」

煌「はい、またお会いしましょう」


 宮永さんの告白は一応成功で良いのでしょうか? ともかく思いは伝わったようです。
 あくる日、花田さんは後輩達に見送られ福岡に旅立っていかれました。
 
 照は決心が揺らぎそうだから見送りにはいかないと言って、普段通りバイトに出ていました。
 それでも一日中元気が無かったのを覚えています……
 
 照の初恋が成就することを切に願った高校一年の春でした。

 おしまい

………
……



 えっ、続きが気になる?
 ここが一番区切りが良いと思うのですが、仕方ありませんね。
 では少しだけ

   〜一年後〜


福与「全国大会も大詰め、今日から準決勝です」

福与「解説はおなじみ福与恒子と」

健夜「小鍛治健夜が務めさせていただきます」

福与「小鍛治プロ、いよいよ準決勝がはじまりますが、プロはどの高校に注目していますか」

健夜「私はやはり優勝候補の大本命白糸台高校に期待しています」

健夜「特に連覇の掛かった白糸台のエース宮永照が先鋒戦でどこまで稼ぐ事が出来るか、
   また彼女に待ったをかけるものが出てくるのか非常に興味があります」

福与「さすが小鍛治プロ、経験豊富な小鍛治プロは白糸台に注目しています」

健夜「経験豊富って……」

福与「さて、最初に入場してくるのは大本命白糸台虎姫のエースと言えば彼女、宮永照」

健夜「流石、大舞台になれていますね 調子も良さそうです」

福与「二回戦でも二位以下に大差をつけて次鋒に繋いでいます」

健夜「今までで一番大きな失点は二年前の夏に受けた跳満です。
   それ以来、相手を寄せ付けぬ完璧な打ち回し」

福与「えっと、当時のデータによると宮永選手は副将を務めプラス収支で大将に繋いでいます」

健夜「多分、公式戦では一度もマイナス収支になったことないと思うよ」

福与「補足ありがとうございます。さあ、次にやって来たのは阿知賀女子の松実玄だー!
   2回戦では初めリードしたものの、チャンプの力を前に完敗、
   何とか3位で次鋒に繋いでいます」

健夜「彼女はちょっと特殊な切り方をするからそこを狙われちゃったね」

福与「それでも、大将戦で剱谷をかわし2位に滑り込みました」

福与「次は千里山女子の園城寺怜です 2回戦から登場した千里山は危なげない戦いを終始みせ準決勝まで上がってきました」

健夜「私もリーチ棒立ててみたいなぁ」

福与「最後に登場するのは新道寺の花田煌です 園城寺怜の連荘を止めたのは彼女だー」

健夜「私の予想だと、千里山は先鋒である程度二位と得点差を広げて逃げ切りたかったと思うけど、
   見事にそれを阻止して、2万点差で後続に繋いでみせました」


健夜「今回の大会はこの一年で急成長した選手の活躍が目につきます。
   特に、園城寺選手と花田選手は過去の実勢はほとんどありませんが先鋒に抜擢されています」

怜「どうも」

玄「今度こそ、おまかせあれ!」

照「よろしくお願いします」チラ

煌「2回戦では園城寺さんにぼっこぼこにやられてしまいましたが、負けませんよ」チラ
  
煌(宮永さん 一年待たせてしまいましたね)ペッコリン

照(煌、約束覚えてるかな まだ私に土を付けた娘はいないよ 今日も勝つからね)ゴッ


煌(あれからもう一年以上経つんですね……)

照(私が福岡に行ったり、煌が東京とか長野に来たりしてるけど、相変わらずの関係)

煌(私の心はもう決まりました。 優勝してプロポーズされるのも一興ですね)

照(公式戦で煌と戦えるのは恐らく今回が最初で最後になると思う)

煌(地力で劣っているのは覚悟していますが、私には大切な仲間が居ます!)

煌(安河内先輩、江崎先輩、姫子、白水先輩 頼りになる方ばかりです)

煌(それでも宮永さんを倒すのは新道寺です!)


煌照(この勝負絶対負けられない!)

福与「席決めも終わりいよいよ対局開始です!」

「お願いします!」

To be continued......

美穂子「結果は、貴女もご存じの通りです。」


美穂子「どうでした? 参考になったかしら」

美穂子「それからですわ、麻雀ファンが時々訪れてくれるようになり、時々恋愛相談なども受け付けるようになって」

美穂子「その中にはあの大会で活躍した選手も居ますわ」

美穂子「そうですね…… そろそろ閉店の時間ですので、また後日いらしてください、
    次はある夏の日に起こった出来事でもお話させていただきますわ」


カン

投下中にもアドバイスありがとうございました。
タイトルに【咲】やキャラの名前を入れなかったのは、今日中に全て投下するつもりだったのと、
珍しい組み合わせなので、その点を心配したからです

続くとすれば夏編のストーリーは大阪勢です
多分愛宕姉妹・江口・船久保さん辺りかな

こっそり投稿

番外編
「もしも照と煌が付き合っていたら」

姫子「花田、前から気になっとったんやけど、聞いてもよか?」

煌「どうぞ。姫ちゃんが気になっている事とは何でしょうねー」

姫子「その(携帯)ストラップな、誰かにもろうたと?」

姫子「花田は気付いやないかもしれんけんばってん、時々さわっちょるけん」

煌「ふふっ、それは秘密です。」

姫子「怪しか。そんなに嫌なんか?」

煌「いえ、そういう訳ではないのですが……(姫ちゃんは協力してくれるかもしれないけど、先輩方にバレルのは嫌です)」

煌「(とりあえずこの場は)わ、私急用を思い出したので帰りますねー」スバラ

姫子「逃がしとらん。まだ花田と打ってなか」

煌「むぅ、確かに今日は一度も姫ちゃんと打ってませんね

姫子「うちが勝ったら、話してもらうけん」

煌「交換条件ですか……仕方ありませんね。もちろん私が勝ったら一つ聞いてくくれるんですよね」

姫子「望むところたい」

姫子「うちの勝ちたい」

煌「姫ちゃん、今リザベーション使いましたね!」

姫子「リザベーションは部長との二人の和了になるとやけん!」

煌「姫ちゃんにリザーベーション使わせる程私も上達したってことですかね」

姫子「そーやね。こん一年で一番上達したんは間違いなく花田やね」

煌「姫ちゃんに誉めてもらえると、喜びもひとしおです」

姫子「さりげなく、話題ばそらそうとしとらん?」

煌「あちゃーバレてしまいましたか。 分かりました。話せば良いんですよね。話せば」

姫子「ドキドキ」

煌「これは、友人にもらったものです」

姫子「ふむふむ友人ねぇ、時々、花田が話題に出す後輩んこと?」

煌「ええ、そうです(嘘は言ってませんよ)」

仁美「そいにしても、さっきの反応はおかしか」

煌「うわっ、江崎先輩、聞いてたんですか!」

仁美「面白そうな話やけんな そいで?」

煌「緊張してる時なんかに、触ると不思議と落ち着くので」

仁美「そうと? うちん調査によると、花田には好いとぉ人がおる」

煌「セ、センパイ どこでその話を」

仁美「うちん調査ばなめてもろうてはいかんな」

姫子「花田、その話詳しく聞かせてもろてよか?」

煌「そのうち姫ちゃんには全てお話しますから、今日の所は勘弁して下さい」

煌「今日は酷い目に遭いました。やれやれ」

煌「姫ちゃんは部長との関係もあって、この手の話をするには適任ですけど、まさか江崎先輩にまで聞かれているとは」

煌「あとで江崎先輩がどこまで知ってるのか確かめないといけませんねー」

煌「とりあえず、メールしておきましょうかね」ポチポチ


『姫ちゃん、部活の時に出た話題ですが、一度二人でお話したいので休みの日にどこかで待ち合わせしませんか』

 
煌「これでよしっと。他には照さんからメールが一通来てますね」

煌「ふむふむ、あいかわらず照さんは元気みたいですね。 なになに、後輩が入って来て引っ張りだこ」

煌(以前のように気軽に照さんと会うことはできなくなりましたが、毎日メールを送って下さいますし、心強い味方が沢山います)

煌「それでも、会いたいと思うのはなんだかんだ私も照さんに惚れている証拠でしょうね」

煌「いよいよ照さんも最上級生、夏の大会が最後のチャンス、今度こそ団体メンバーに選ばれて同じ卓で打ちたいものです」ブーブー

煌「ふふふ。噂をすればなんとやらですね」

煌『もしもし』

照『もしもし、花田さんのお宅でしょうか?』

煌『私ですよ照さん』

照『その声は煌だね。こんばんは ああ。一週間ぶりに煌の声が聞けた』

煌『もぅ、毎日メールのやりとりしてるじゃないですか』

照『それだけじゃ全然足りないんだもん』

煌『照さんは相変わらず甘えん坊ですね。わたしも同じですけどね(小声)』

照『今、何か言った?』

煌『いえ、何も。まあ電話は同室の弘世さんにご迷惑を掛けない範囲にすると三人で決めたことですから仕方ありませんよ』

照『今、菫がものすごく苦い顔でコッチ見てる』

煌『あはは、ところで今日の御用はなんでしょう?』

照『煌の声が聞きたかったからじゃ駄目なの?』シュン

煌「嘘でも嬉しいです」スバラ

菫「おい照、二人の惚気話を毎回横で聞かされる私の事のこと忘れてないだろうな」

照「菫だってモテるんだから、誰かと付き合っちゃえば? ほら、新入生の大星さんとかどうかな? 菫と相性良さそうだし」

煌『それが今日の御用ですか。なるほどなるほど、今度は私達がサポートする番ですね』

菫「なんでそういう話になるんだ。あと、二人で勝手に盛り上がるんじゃない」

菫「私は普通に恋愛して幸せな家庭をだな…… はっ、しまった」

煌『今の発言は聞き捨てなりませんね今日は二時間コース決定です! 根掘り葉掘り聞き出しますよー』

照『私も、菫の結婚願望聞いてみたい』

菫「黙秘権を行使する!」

照「菫には散々お世話になった。だから今度は私が手伝う番だよ」

照「それとも、私に隠れて誰かと交際してるとか?」

菫「いや、それはないから」ペシ

照「あう…… だったら、話して? 話すまでご飯抜きだよ」ポチ

煌「私達で良ければ相談に乗りますよ」

菫「花田さんは良識のある人だと思っていたのに……」

菫「……」

照煌「……」

菫「話さないとダメなのか」ナミダメ

照「いつも菫に迷惑ばっかりかけてるから、何かしたいんだ」


菫(コイツと初めて会ったのは3年前の春だったな。道に迷っているコイツを学校に案内して、白糸台の麻雀部に入って、ルームメイトになって)

菫(あーあ、やっぱり二人の仲を取り持つんじゃなかったな 妹を嫁に出すのってこんな感じなのかもしれんな)

菫(照と私の関係は仲の良い姉妹、一度も照をそういう目で見たことなんてないけど、照がどんどん綺麗になっていくのを見ていると案外恋愛も悪くないな)

菫(なーんてな、それにしても大星かアイツは照に憧れてウチに入って来てるクチだから、この事を知ったらどう思うんだろうな)


菫「別に、恋愛に興味がないわけじゃないんだが、今気になっている人はいないな」

菫「しいてあげるとすれば……咲ちゃんかな」

照「咲はダメ!」

菫「おいおい、照が恋愛の話が聞きたいと言ったんだろ。それに誰も居ないと言えば、変に勘ぐらるだろ」

照「それは確かに…… でも咲の相手は私が認めた人しかダメだもん!」

菫(このシスコンが)

照「今、過保護だと思ったでしょ」ジー

菫「お前、また照魔鏡使ったな。汎用性高すぎだろ」

照「えへへ、あれだけ白糸台で経験積んだし、このくらいはできなきゃねー」

煌「むー 相変わらずお二人は 仲 良 し なんですね」

菫「花田さん怒らないでくれ、そんなつもりじゃ」

煌「いえ、良いんですよー 私は信じてますから」

照「菫が余計の事考えてるから、煌の機嫌が悪くなった」

煌「でも照さんには世界がどんな風に見えているんでしょうね」

煌「もしかしたら私の考えている事なんて照さんには見透かされているんでしょうか」


照「———ない」

煌「えっ……」

照「他の人の事は何となく分かっても、煌の事になると見えなくちゃうの」

照「どうすれば喜んでくれるか、今連絡取っても大丈夫かな? いつも不安な気持ちでいっぱい」

照「だからこそ、煌に会える時間を大切にしてるの」

煌「照さん…… 私の事そんな風に思っていてくれたんですね。嬉しいです」

照「煌」

煌「照さん」

 ・・・・・・

菫「二人とも落ちついたか」

煌照『はい「うん」』

菫「いちゃつくのはほどほどにしてくれよ、じゃあ私はシャワー浴びてくるから」バタン

煌『———また菫さんに気を遣わせてしまいましたね』

照『また借りができちゃったかな……』

煌『心配しなくても、なるようになりますよ』

照『そうだね、うん信じてみるよ』


煌『そういえば、そろそろGWですが休みの日決まりました?』

照『多分土曜と月曜が休みだと思う』

煌『それは良かったです。こちらも月曜まで練習なしなので2日の夜行バスでそちらに行けそうです』

照『じゃあ、咲達も東京に呼んでこっち案内しようかな』

煌『では私も予定聞いてみますね 決まり次第メールでご連絡します』

照『楽しみだなー』


煌『さて、そろそろご飯の時間なので切りますね』

照『そっか……』シュン

煌『すみません、今日は課題が沢山出ているもので』

照『うん……じゃあ、またね』プッ


ツー ツー ツー


菫「電話もういいのか?」

照「元気満タン補充できたから、大丈夫」

照「私もシャワー浴びてくるから、準備してて」バタン

菫「了解ー 今日の献立は……っと、ふむふむ」

菫(GWに咲ちゃん達来るのか…… 実家に連絡しておかんとな)

菫(あとはめぼしいスポットをピックアップしておくぐらいだな)


トントン ザクザク ジュワー

>>1は別にメインのスレがあるので、この番外編で菫さんの恋路が描かれる事は恐らくないと思います
ここは花田さんと照さんの話なのです。

菫さんの相手は淡かな(まとめる気になればですが)

せっかく伏線も貼ったので回収しない手はありませんし

ああプラマイゼロを書かれてる方でしたか
恥ずかしながら今まで気づいていませんでした
こちらもあちらも楽しませてもらっています

ー休日ー

姫子「ごめん、ちょっと遅れたー」

煌「いえ、こっちも今来たところですから では行きましょうか」

姫子「うん、行こうか でも、うちん用に付き合わせちゃってごめんね」

煌「私こそ貴重な休日を頂いてしまって…… 姫ちゃんこそ良かったんですか?」

姫子「一回二人で遊びに行きたかったんだ。ほら、うちいつも部長にべったりやけん」

煌「そういえば、二人っきりで会うのは初めてですね。いつもは誰かしら居ますし」

煌「それで、どんな感じなんですか」

姫子「相変わらずたい」ポッ

煌「確かお二人は中学の時から活躍されてますよね」

煌「私から見ると二人は深い絆で結ばれていて、理想的な関係を築いているように思うのですが」

姫子「うちは部長に頼りきりばい…… そいが悔しか」

煌(姫ちゃんなりに悩んでいるんですね 困った時に頼りになる人がいるのはとてもすばらな事ですが、いつまでも頼ってばかりではいられません)

煌(私ではその悩みを解消することはできませんが今日一日くらいは忘れさせてあげたいですね)

煌「———今日は思う存分遊び倒しましょう 姫ちゃん」

姫子「うん、そーやね  うん 今日は遊び倒すばい」

姫子「そうと決まれば、さっそく行こう」

>>63
今はこっちでリハビリ中ですね 
設定を弄っているので、プラマイの方がそのままこちらに繋がるわけではないけど、
一歩間違えるとこういう話になったかもしれないSSです。

こっちは込み合った事情とかまったくないので割と自由に書かせてもらってます

煌「二人で遊ぶとなるとやっぱりココになっちゃいますかね」

姫子「そう? うちは普段駅前ん方で遊んでるけん、商店街の事はあんまり知らんのよ」

煌「そう言えば姫ちゃんはこっちが地元ではありませんでしたね」

姫子「そやね、ウチがこっちに来たのは高校から。花田はこっち良く利用しとる?」

煌「私は家がこっちなので、帰り道なんかに時々通るので……」


「いらっしゃい きらめちゃん 今日は制服じゃないねー」

煌「ええ、今日は学校がお休みなので」

「隣の娘はきらめちゃんのお友達かな? 最近の高校生はみんなべっぴんさんだね がっはっは」

煌「もう、あんまりからかってると奥さんに怒られますよ」

「おお、怖い怖い それじゃあ、今度は何か買っていってくれよー」

煌「分かってますよー」


姫子「———花田は人気者やね、こっちに来たのはウチとさほど変わらないのに」

煌「別に大したことはしてませんよ。しいて言うなら中学生の時からこういった雰囲気になれているだけですよ」

姫子「なるほどね」

煌「さて、姫ちゃんは見たいところあります?」

姫子「そーやね 新しい服ほしかね、花田はお薦めんお店ある?」

煌「私が普段買っているお店がいくつかあるので案内しますねー」

姫子「うん、おまかせすっとよ」


姫子「花田はこういうのが好いとぉか……」

煌「安くてかわいいものが沢山ありますし、結構掘り出し物あるんですよ これなんて如何でしょう」ズイッ

姫子「これ、ちょっと派手すぎやせん? うちはもっと落ち着いたものででよかよ」

煌「いえいえ、姫ちゃんはもっと冒険すべきです 今日も極力肌を出さない服を着てますけど、せっかくの素材がもったいないです!」

姫子「これは……うちはあまり肌が強くなかね」

煌「では、これいやこっちも……」ブツブツ

姫子(まずは外見からアピール…… 部長はどんな服が好みなのかな もしかしたら花田の言う通りにすれば……)モンモン


姫子『はぁ、はぁ…… ぶちょー 遅れてすみません』

哩『良かよ、今日は初デートやけん うちは約束の時間の30分前には来とったから』

姫子『ぶちょー デート楽しみにしとってくれたんですね』

哩『うん……じゃあ行こっか』

姫子『待って下さいよー』テヲニギル

哩『姫子…… 私から握ろうと思ったのに先ば越されたばい』

姫子『///』

哩『///』

哩『ひ、姫子、そん服すごく似合うとるよ』

姫子『ちょっと冒険してみたんです』クルクル

哩『(やっば……姫子が可愛過ぎばい)』

姫子『ぶちょーが照れとう、かわいい』


姫子「えへ、えへへへへ」

煌「姫ちゃん、どうしたんです? いきなり笑い出したりして 大丈夫ですかー」ユサユサ

姫子「ぶちょー えへへ ぶちょー ぶちょー」

煌(これは完全にトリップしてますね 暫く戻ってこないかなー)イソイソ

姫子「ほーんとにごめんなさい」ペコリ

煌「大丈夫ですよ、全然気にしていませんから」

姫子「ホントに?」

煌「ええ、もちろんです」

姫子「そー? それは良か、部活ん時は我慢できるんだけど時々ね……」

煌(その気持ち良く分かりますよ。私だって照さんの事を考えている時はついついひとりごと呟いちゃいますもの)

煌「とりあえずは部長が近くに居る時は気を付けましょうね」

姫子「もちろんばい。今はまだこん気持ちば大切にしたいと思ってる」

姫子「今ん関係ば崩したくなかね」

煌(おや? お二人はそういう関係ではなかったのですか。遠距離のセンパイとしてアドバイスをいただこうと思っていたのですが……)

煌(とはいえ同性に好意を持っていることは事実です。あとは部長が姫ちゃんの事をどう思っているかですよね)

姫子「花田、次はどこ行く?」

煌「次はそうですね…… あちらのお店に行きましょう」

その後も姫ちゃんと一緒に商店街を案内して回りました。
次に入った雑貨店では……

姫子「そういえば花田はアロマに興味あっと?」クンクン

煌「アロマですか? 興味はありますけど、いろいろ試してみたくなっちゃいそうなのでまだ持っていませんね」

姫子「そーなん? だけん、そん日の気分によって、いろいろなかおりば試すのも結構楽しかよ」

姫子「花田はどんかおりの好いとう?」


 なーんて感じで、プチアロマ体験をしたり、


姫子「最近んUFOキャッチャーは難しくて全然取れんけん……」ポトッ

姫子「ほしいなー」

煌「子供のころはもっとアームが強いイメージでしたね。いつからこんなに弱くなったんでしょうねー」

姫子「花田も、こうゆうん苦手なんや。残念」

煌「お店で買った方が安上がりだと思いますよ。(そういえば優希は和の為にぬいぐるみ取ってあげてましたね)」

姫子「そーだ! 縛ば入れて達成すれば、取れるはずばい!」

煌「それは無理かと……」

姫子「やっぱり?」

姫子「そうなると、うちは格闘ゲームは苦手やし、他にほしいもんもないし…… じゃあ花田、記念に一枚プリクラ撮らん?」チラチラ

煌「良いですねー」スバラッ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

煌「どれにします?」カチカチ

姫子「は、花田が決めて良かよ」ドキドキ

煌「もしかして、プリクラ撮ったこと無いんですか?」

姫子「そげんことなかよ」

煌「じゃあ、これにしますね」

姫子「ドキドキ ワクワク」

煌「もう少し私の方に来てください」

姫子「こう?」

煌「もっとです」グイッ

姫子「花田の顔がこげん近くに……」ポッ

煌「何で頬染めてるんですか? このくらい普通ですよ はい、撮りますよ 3、2、1 はい」カシャ

姫子「これで終わり?」

煌「ええ、これで撮影終了ですよ それとも文字とか入れます?」

姫子「このままで良かよ。せっかくの記念やし」

煌「はい、どうぞ 次は部長と一緒に撮れると良いですね」

姫子「そやねー♪」ウットリ

煌(今日は姫ちゃんに驚かされてばっかりです。この笑顔を見せていただけるなら何度でもお誘いしたくなりますよ)

煌(———照さんもまだ私に見せたことない表情が沢山あるんだろうな……)

煌(私なんかより弘世さんの方が一緒におられる時間も、麻雀の腕もずっと上ですし)

煌(未だにレギュラーになれない私がはたして照さんの横にいても良いのでしょうか)

姫子「ふぅ……」

煌「はぁ……」
お昼に待ち合わせして一通りショッピングも終わり、今はカフェに入って一休みしているところです。


煌「楽しんでいただけましたか?」

姫子「うん、すっごく楽しかったよ。ありがと、花田」

煌「いえいえ、最近姫ちゃんの元気がなかったので少しでもお役にたてたのなら そんなスバラな事はありませんから」

姫子「うち、そげん元気がなさそうにしよった? 花田は優しかね」

姫子「」

姫子「少し悩んでたの、こんまま部長に頼ってばかりでよかんかいなって」

姫子「リザベーションは部長の地力があってこそ生きる能力やけんな」

煌(良くも悪くも姫ちゃんらしい考えですね。もう少し自信を持っても良いと思うのです)

煌(実際、レギュラー陣は姫ちゃんの力を認めていますよ)

煌「部長が姫ちゃんに大将を譲ったのは、充分任せられると判断したからだと思いますよ」

姫子「そうかなー 部長もそう言っていたけど……」

煌(姫ちゃんはずっと部長とコンビを組んでますからね)

姫子「花田な、こん人の為なら全て投げ出しても良かと思う人ば居る?」

煌「います」

姫子「そか、花田にも居るんやね」

姫子「どこん誰か聞いてもよか?」

煌「こちらに来る前に付き合っていた方です」

煌「私が新道寺に進学することになったので、離れてしまいましたが、その方の為ならどんな苦労も厭わないつもりです」

姫子「やっぱり、煌は強かね。うちにもそーゆう選択肢があったのに結局部長ん後ば追って新道寺に入ってるんやもん」

煌「こっちに来てからいつも不安ですよ。ふとした時に相手の事を考えているのに気付くんです。でもすぐ連絡が取れるわけではありません」

煌「だからこそ、直接会える時は会えない時間を取り戻すつもりで一日中そばにいます」

姫子「そっか…… うん、ありがと『きらめ』」

煌「何だか恥ずかしいです。私ってばどうしたんでしょう」テヘッ

煌「あと、もしかして いま私のこと名前で呼びませんでしたか?」

姫子「あ、でも花田の方が良いなら、元に戻すよ」

煌「いえ、下の名前でお願いします。私なんて前から姫子のこと姫ちゃんって呼んでますから」

姫子「じゃあ、きらめ また今度部長ん事とかいろいろ相談に乗ってほしかね」

煌「もちろんです。私はいつでも姫ちゃんの味方ですよ」

その日を境にして私と姫子は何でも相談しあえる仲になりました。
最初は戸惑っていたクラスメートも、


『最近、鶴田さんの表情が柔らかくなった気がするね』

『難攻不落の鶴田さんを部長さんから奪うとはなかなかやるわね』


一部を除いて(?)は好意的に受け入れて下さり、今では姫子の惚気話を聞くのも楽しくなってきました。


今日の更新はここまでです。
途中で気付きましたが、原作だと煌さんは鶴田さんを「姫子」と呼んでますね。
まあ、今後に影響も無さそうなのでこのままいきます

5月2日(木)
 
キーンコーン カーンコーン

「じゃあ明日からGWに入るけど、みんなくれぐれもハメを外しすぎないように気をつけるんだぞ」

「日直、号令 さようならー」


姫子「煌、今日の部活でると?」

煌「姫ちゃんごめんね、今日は私部活に出られないんですよ」

姫子「煌が部活ば休むなんて珍しいね なんか用事でもあっと?」

煌「用事といえば用事なのですが……」キョロキョロ

煌「姫ちゃんはこのことはくれぐれも部長には秘密にしてくださいね」

姫子「煌が秘密にしてほしかなら誰にも言わないよ」コクコク

煌「実はですね、これから東京行きの夜行バスに乗らなくちゃいけないんです」

姫子「夜行バス? そ、それって休みば使って彼女さんに会いに行くってことだよね」

煌「そういうことになりますね」

姫子「なるほど、やけん部長にも秘密にしてほしかと…… なるほどー」

煌「もちろん姫ちゃんにもお土産買ってきますので、それで手を打っていただけるとありがたいのですが」

姫子「そいは友達として受け取るとして、やっぱ煌の好いとう人がどげん人かしりたいなー」

姫子「ばってん、煌は具体的な事しゃべっちくれんけんもん 写メ位見しぇてもらう権利あっけんね」

煌「それは…… 分かりました。2ショットで良いですよね」

姫子「よしよし、やっと素直になりよったね」

姫子「ありがと煌 大好き」

煌「で、ですから、教室では自重していただきたいと何度も…… うわっ」

姫子「分かってるって それじゃあ、煌 写メ楽しみにしとるねー ばいばーい」

煌(まあ、姫ちゃんは約束は守る方ですし大丈夫だと思いますが 他の方からバレないか心配です)

煌「さて、そろそろ家に帰って準備しなくてはいけない時間ですね それでは皆様 ごきげんよう」

「花田さん、頑張ってねー」

煌「ですから、そういう目で見ないでくださいよー」

ー駅前ー

 バスがまもなく出発します バスがまもなく出発します


煌「ふう、何とか間に合いましたね 席はここしましょう」ヨイショ

煌「夜行バスの中ってこうなってるんですね。バスと言えば窮屈なイメージでしたが案外快適に過ごせそうです」

煌「それにしてもつくづく福岡と東京の距離が離れている事が恨めしいですよ。
  新幹線なら今日中に東京に到着しますが夜も深い時間になってしまいますし……」

煌(とはいえ少しでも照さんと一緒にいる時間を作る為です。それに帰りの新幹線のチケットは確保済です)

煌(あー明日のことを考えるとしっかり眠れる自信ありませんよ……)

煌「でもでもせっかく会えるのに隈があったら恥ずかしいし、もー どうすれば良いんですか」

煌「おっと、いけない いけない 私とした事が照さんにメールするの忘れてました」カチカチ


『照さん、先程無事夜行バスに乗りました。到着時刻はこのまえお知らせした時間なので、9時頃いつもの場所でいかがでしょう。
今からお会いできるのが楽しみです。もちろんお口に合いそうなお土産を沢山用意していくのでそちらも楽しみにしてください』


煌「これで良し…っと おや、もう返信が来ましたね」


『わかった まってるね』


煌「ふふ、急いで打ったのが丸分かりですね でも十分気持ちは伝わってきましたよ」

煌「きっとお二人でこんな会話があったのでしょうね」

〜〜〜〜〜〜〜

照「やっと煌と会える えへへ、春休みは取材ばっかりであんまり話せなかったもんね ってお返事しないとだめだよね  待ち合わせの時間厳守っと(わかった)」

照「うー 話したいことは一杯あるのにいざ文章にしようとすると全然浮かばないよ— どうしよう、菫 ねえTV見てないでさ」

菫「何で私が考えなくちゃいけないんだ。今私は忙しいんだ」

照「むぅ、昨日私が楽しみにしてたデザート勝手に食べたの知ってるんだよ ぷぅー」

菫「冷蔵庫に入ってるものは共有だろ。食べられたくないなら名前でも書いておけ」

菫「ところで、デートプランは決まったのか?」

照「えっ、どこ案内するか? そんなの……すっかり忘れてた どうしよう、ちょっとコンビニで立ち読みしてくる!」

菫「ちょっと待て、まさか考えて無かった なんてことは無いよな。さすがの宮永照でもそこまで抜けてないよな」

照「…」

菫「———嘘だろ。ホントに何にも考えて無かったのか。あきれてものも言えないな」

菫「とりあえず、これでも見て研究しろ。ああ、その前にちゃんと花田さんにメール返しておくんだぞ」

照「———ごめんなさい 反省しています。うん、分かった。とりあえず煌に返信するね (まってるね)」

「送信」

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


煌「ちょっと抜けてる照さんもかわいいです。口いっぱいにお菓子をほおばって幸せそうにしている顔」

煌「一つの事に一生懸命取り組んでいる凛々しい顔」

煌「どちらの照さんもすごく魅力的なんですよね」


 煌は傍らに置いてある鞄から手帳を取り出すと、そこには何枚か写真が挟んである。
 春休みに福路さんのお店で撮った記念写真、照が恥ずかしそうに制服(夏服・冬服)を着ている写真(撮影者 菫)など照との思い出が詰まった煌だけの宝物

 インタビューでは絶対に見る事ができないような素晴らしい笑顔がそこにはあった。

 行数制限に引っ掛かると考慮しとらんよ……


煌「どうせSAまで特にすることもありませんし、姫子にメールしてみましょう」カチカチ

煌「姫子ってば部長の事になると途端に尻込みしてしまいますし、気を使って二人きりにしてもダメ。横で見てる私のほうがハラハラしちゃいます」


『姫ちゃん、部長は何か言ってませんでした? それと、何か買ってきてほしいものってあります? 特にご希望が無ければこちらで勝手に選ばせていただきます』


『特に希望は無いかなー 大丈夫だよ 煌のセンスに期待してるから☆ あと、煌のことは適当にごまかしといたから大丈夫 楽しんできてね』


煌「何でも良いが一番困るんですが…… まあ良いでしょう」カチカチ


『では適当に見繕っておきます それはそうと、姫ちゃんも部長を誘ってお出かけしてみてはいかがですか?
 GW中は概ねお天気も良いみたいなので、きっと喜んでいただけますよ』


『今から部長に聞いてみる……』


『ファイトです 姫ちゃん』


 それから暫く経って、無事部長とデートの約束を取りつけた姫子に再度励ましのメールを送ったり、優希や和と夜通しメールをしていると時間は間もなく日の出の時間です。


煌「んー もうこんな時間ですか」

煌(途中何度かPAでお土産を買いましたが…… ふふっ、これだけ有ってもあっという間に無くなっちゃいますからねー 皆さん、お菓子が大好きですもん)」

煌(欲を言えば私も和みたいにもう少しココが大きくなれば良いのに……」(ストーン)

煌(何だか自分で言っていて悲しくなってきました)シュン


煌(バスの旅もそろそろ終わりですね……あと数時間後には照さんに東京を案内してもらって夜はお部屋にお邪魔して……)ゴクリ

煌(あんなことやこんなことを)ポワポワ

煌「ま、まあ弘世さんの事です。二人きりにはなかなかしていただけないでしょうし、学生のうちは清い交際を心がけることにしましょう」

煌「それにGWは今日だけじゃありませんよね チャンスだってありますよね」

一方その頃、照と菫はというと——————


菫「照、まだ起きてるのか そろそろ5時だぞ」

照「だって、まだデートコース決まってないもん」

菫「明日は私も付いて行くことにするからな。本当は二人にさせるつもりだったが、このままお前を送り出して一日モヤモヤするより近くで監視していた方がずっとましだ!」

照「でも、明日は咲たちがこっちに来るから無理だし……」

菫「安心しろ。日曜日は私が3人を責任持って案内するから、それで良いだろ」

照「ホントに邪魔しない? 物陰からこっそり覗いたりとか尾行するとかしないよね」ジー

菫「それは振りか? いや冗談だ。(まあ、彼女達も行きたい場所があるはずだし、その辺りは承知してくれるはずだ。)」

菫(あと……まあこれはサプライズプレゼントという事で二人にはまだ黙っておくことにするか。きっと喜んでくれるだろう)

菫「お前は私が邪魔をすると思うのか?」

照「そうだね。うん、菫は優しい子やさしい子」

菫「じゃあ私は少し仮眠取るから。照も決まったら寝ておけよ デート中に体調崩して中止とか目も当てられないぞ」

照「はーい」

菫(いつぶりかな、こんな時間まで二人とも起きてるなんて…… 
  入試の前 いや、照と暮らし始めたころに一度だけあったっけ)

菫(やめやめ、今はしっかり睡眠をとるべきだ)

菫「おやすみ てるてる」

照「おやすみ、菫(ごめんねいつもいつも迷惑ばっかり掛けて 面と向かって言うのは恥ずかしいけど、すごく感謝してるんだよ」

菫「そういうことは〜 わたしがおきてるときに〜 しろ〜」ムニャムニャ


〜5月3日に続く〜

5月3日(金)憲法記念日

 ー白糸台前ー

煌「もう少し駅でゆっくりしたほうが良かったかなー 約束の時間までもう少しありますね」チラッ

 ー現在の時刻 AM8:50なり ー

煌「雲ひとつない絶好のお出かけ日和です。今回の旅が楽しいものになりそうな気がしますね」

煌(それにしても……連休の初日だというのに、今日も登校される方がいらっしゃるようですね)

煌(御苦労さまです)


「あそこで儚げな表情をされているかた、あまりお見かけしない方ですが、誰かと待ち合わせをしているのかしら」

「そうですわね はっ、もしかして見学の方かしら? 今度こちらに転校されるかたとか」

「それは気になりますわね。ですがそろそろ部活の始まる時間ですわ。
 部長におもいっきり叱られたい気も致しますが、今日の所は急ぎましょう」

「ええ、そう致しましょう」チラチラ


煌(ただ、私が私服を着ているからでしょうか、さきほどからすれ違う方全員私をジロジロ見ているような気がします)

煌(やはり待ち合わせ場所を学校の前にしたのは少しばかり不味かったのでしょうか)ウズウズ

煌(でもせっかくの機会です。リアル白糸台生を目に焼き付けて頭の中で照さんが制服を着て登校する姿を想像してもばちは当たらないはずです。可愛い制服×照さん=至高!)

煌「いつか照さんに頼んで制服デートをするというのも す、すばらです!」キャー

菫「あー 花田さんお取り込み中すまないが…… 迎えに来たぞ」

煌「はぅっ すみません すみません」

煌「って、弘世さんでしたか お見苦しいところを見せてしまいましたね」ペコリ

菫「私は何も見ていないぞ なーんにも見てない 花田さんが路上であんなことを口走っていたとかは全然ないぞ」

煌「どこから見られていたのか……お互いの為にも知らない方が良さそうですね。ところで照さんはどちらに?」

菫「ああ、そうだった。すまない、照は少し遅れる」

煌「そうですか」シュン

菫(夜遅くまで起きていたから、まだ寝てたというのは秘密にしておこう 目覚ましも掛けておいたし そう遅くはならないだろう)

菫「一度花田さんと二人で話してみたいと思ってたからね」

煌「実は私もなんです」

菫「そうだったのか た———」

「センパイ こんなところでなにしてるんですか」タッタッタ

菫「ああ、大星かどうしたこんなところで? 今日から部活休みだぞ」

淡「覚えてますよ。今日は渋谷先輩達に誘われたので、今から駅に行くところです。」

淡「ところでそちらの方はセンパイのお知り合いの方ですか?」

菫「(うーん まあいいか そんなに会うこともないだろうし)こちらは私の友人で花田さんだ。照が来るのをまって三人で遊びに行くところだな」

淡「そうなんですか。あっ、すみません先に私が自己紹介するべきでしたね。私は大星淡一年生です。菫先輩と同じ部活の先輩後輩なんですよ」

煌「初めまして、花田煌です」

淡「花田きらめさん? 最近その名前を部活で聞いたような…… まあいっか、花田さんよろしくお願いします」ペコリ

淡「センパイって普段そういう服着てるんですね ちょっと意外です」

菫「花田さん この通り、おとなしそうな顔して平気で毒舌吐くんだよ」

淡「もう、ちょっとしたスキンシップじゃないですか」

菫「急いでるんじゃないのか?」

淡「ああ、本当ですね それではセンパイ方、私は約束があるので失礼しますね。菫センパイもそのうち遊びに連れて行って下さい」

菫「ああ、都合があえばな」

淡「楽しみにしてますね ではー」

菫「——悪いね。花田さん こんなところで後輩と会うなんて思わなかったから」

煌「いえ、待ち合わせ場所をここに指定したのは私ですから。お知り合いに会っても不思議じゃありませんよ」

煌「それになかなか礼儀正しい方でしたね やはり白糸台は育ちの良い方が沢山通ってらっしゃるんですねー」

菫「確かにそういう人も居るが、あくまで一部だな。麻雀部も私達の代から有力な選手を集めだしたみたいだし」


菫「それで、照が来るまで暫く掛かると思うけど、近くの喫茶店で時間でも潰そうか」

煌「そうですねー それも良い考えですが、こんなこともあろうかと実は弘世さんに一つお願いしたいことがあります」

菫「私にお願い? 何だろうな」

菫「他ならぬ花田さんのお願いなら、できるだけ叶えてあげたいけど……」

煌「そんなに難しいものではありませんよ ちょっとだけ校内を案内していただきたいなと ダメですか?」

菫「そうだな… 本来なら部外者を入れるわけにはいかないんだが、まあ部活棟なら大丈夫だろう」

菫「流石に私達の教室まで見学させてあげる事はできないけど、それでも良ければ案内するよ 付いておいで」

煌「それで十分です。 ありがとうございます 弘世さん」


 そうして私は弘世さんに案内され校門を潜り学校の中に入りました。
 新道寺も白糸台と同じ女子校ですが、また違った趣がありますね。どちらかというと新道寺はスポーツに力を入れているので、グランドがいくつもあります。
 一方、白糸台は自然を上手く活かし落ち着いた雰囲気の校風だと聞いたことがあります。


菫「ここが麻雀部が入っている部活棟だ。今日は活動していないが華道部や茶道部も入ってるからあまりうるさく出来ないのが難点かな」

煌「なるほど、ふむふむ 弘世さんは着物が似合いそうですしおひとりで歩いていたらそちらに間違われても不思議ではありませんね」

菫「あはは、新入生の時誘われたが断ったよ。まあ時々お邪魔して仲良くさせてもらってるよ」

菫「今の話で思い出したけど、一年生の時は茶道部の子に着付けをお願いして麻雀部と合同で文化祭限定の喫茶を開いたりもしたな」

菫「もちろん、照に無理やり着せて客寄せをしてもらっってな」ニコニコ

煌「照さんの着物姿」ポワポワ

煌「……」ニヘラ

菫(予想通り、良い笑顔だ。もう少し踏み込んでみるか)


菫「いやー あのときは順番待ちが出る位大盛況だったな。こっそり盗撮してる人も居たし」

煌「弘世さん その時の写真って弘世さんが持っていたりとか…… ないですよねー」ショボン

菫「いや、持ってるよ 流石に2ショットじゃなくて部員全員で撮ったやつだけど」

煌「是非是非見せて下さい」

菫(なんだ、このかわいい生物は! 照が横に居たら間違いなく抱きついてるな)

煌「夜の楽しみが一つ増えました♪」

菫「それは良かった。さて、ここが部室だ。今日は私達以外だれも来ないと思うけど特別だよ」がちゃがちゃ

菫「ようこそ、白糸台高校麻雀部へ」

煌「——想像以上に広い部屋ですねー ここで照さん達が打ってるんですね」パチッ

菫「まあ大きすぎるのも考えモノだと思うがな。正直なところ100人も部員が居ると指導する時間も限られてくるし、
  レギュラーになれるのはほんの一握りだ。」

菫「もちろんかなり厳しい練習をしてるから途中でやめていく者も多い。弱肉強食の世界だ」

菫「部長になってから。何度この言葉が頭に浮かんだことか分からないよ。『貴女とはもっと違う出会い方をしたかった』ってね」

煌(白水センパイしかり弘世さんしかり強豪校の部長を務めるのは私が思っている以上に責任ある立場なんですね。顧問が上に居るとはいえ実際に試合に出場するのは部員なんですから)

煌(このまま行けば、次の部長は姫ちゃんになるはず。私では力不足なのは重々承知している事ですが……)

菫「部室なんて見ても面白くないと思うんだがな」

煌「そんなことありませんよ 照さんがどんな環境で練習をしているのか単純に興味がありましたので」

煌「弘世さんも聞いたことがあるんじゃないですか もし、私が照さんの告白を断っていた時のこと」

菫「確か、残りの高校生活で一度でも負ける事があったら、あきらめる
  でも無敗のまま王者に君臨し続けることが出来たときは もう一度考えてほしいだったかな」

煌「そこまで、言われたら断る事なんてできませんよ」

菫「私もその言葉で告白されたら気持ちが揺らぐだろうな」

煌「胸にガツンと来ましたよ これは中途半端な回答はできないって」

煌「それからの事は、まあご存じの通りです」


菫(照の気持ちは今更疑うつもりはない あれだけ相談に乗っていろいろアドバイスもしたからな)

菫(でも花田さんはどう思ってるんだろう それがあえて照に席を外させた理由だ)

菫「花田さん 一つ聞いてもいいかい」

煌「ええ、どうぞ」

菫「私が照のそばに居られるのは恐らく卒業までだ。その後は違う進路に進むだろう」

菫「出会ったころに比べればかなりマシになったとはいえ、あいつはかなり危なっかしい性格をしている」

菫「キミが近くに居れば何の問題もないがそうはいかないだろう」

菫「そこで聞きたい キミは照の為にどこまでできる?」

煌「———別に特別なことをするつもりはありませんよ?」

煌「弘世さんも気付かれていると思いますが私は、自分の事より相手の事を優先しがちです。
  でもそれは相手の事を信頼しているからこそなんです」

菫「そうなのか? 私は身近で二人の会話を聞いているから分かるんだが、照はかなり花田さんに依存している気がするんだ」

菫「確かに浮気とか後輩に手を出す心配はないし、二人の間を邪魔できる人は居ないとは思う」

菫「でも、花田さんは相手が照でなくても良いんじゃないかとどうしても勘ぐってしまうんだ」

煌「口で説明するのって難しいです」

煌「そりゃ、いつも照さんの近くに居られないのは寂しいです。でも私が照さんの事が好きである以上に照さんが私の事を想っていてくれるならそれに答えてあげたいと思うんです」

煌「気持ちが離れてしまうのであれば、私に惹きつける魅力が無かったのだと諦めるつもりです。もちろんあらゆる努力はするつもりですけどね」

菫(花田さんは強いな。それにとってもかしこい…… この質問が来ることを予期していたような回答と意志の強さ)

菫(このままこの関係を続けてもいつか無理が祟って、破綻を迎えてしまう。ならばいっそ……と思っていたがこれならやっと肩の荷が降りそうだ。彼女なら安心して照を任せることができる)

菫「今の言葉を聞いて、心のなかのもやもやは完全に晴れた。」

菫「照をよろしく頼む。あいつを幸せにしてやってくれ」

煌「そんな大仰なことしないでください 私の方こそ照さんのことよろしくお願いします」

菫「お互い照には苦労させられそうだな」アハハ

煌「そうですねー」


照「すみれー きらめー どこに居るのー」

菫「やっと照が着いたみたいだな。メール位寄こせばいいのに」

煌「照さんの事です。急いでこちらに向かって来られたのでしょう」

菫「それもそうか。まあ、通いなれた場所だから迷うことは無いと思うが」

照「どこー」

煌「こっちから行った方が早そうですね」

菫「そうだな 花田さん」スッ

煌「えっと、もしかして ふふ ちょっと意地悪しちゃいましょう」ギュッ

菫(つい癖で手を繋いでしまった。なんもかんも政治が悪い!)

菫(でもたまには誰かに引っ張ってもらうのも、悪くないかな……)

菫「花田さんがフリーならほっとかないのに(小声)」

煌「今何かおっしゃいました?」

菫「いや、何も 照を迎えに行こう」

菫「そんなに怒るなよ 照」

照「…」プイッ

煌「弘世さんも悪気があってしたわけじゃありませんよ機嫌直して下さい ねっ」

煌「私は嫌ですよ。こんな雰囲気で一日過ごすなんて」

照「でも……菫が私を置いて行ったのは本当だよ」チラ

煌「でも、じゃありません」メッ

照「煌がそう言うなら今日の所は許してあげる」

菫「帰りにアイス買ってやるからそれでチャラにしてくれ」

照「アイスかー 許してあげ げふんげふん 煌の分もだよ」キリッ

菫「分かってるよ。それで今日はどこを案内するんだ」

照「えっとね。せっかく咲達が来るんだし、スカイツリーとかは明日行こうと思うんだ」

菫「ふむふむ そうなると、他の名所も明日以降に案内するから近場で面白い所ってあったか?」

照「この辺りは競馬場とか自衛隊基地位しかないもんね」

菫「となると京王線で新宿か渋谷に出るか」


煌「あのー 確かお二人が出会ったのって照さんがこちらに来てからですよね」

菫「そうだね。こいつが道に迷ってるところに私が偶然出くわして学校まで案内したのが最初の出会いだ」

煌「それが運命の出会いになるとは思いもしなかったでしょうね ふふ」

菫「——なるほど、今度はこの辺りを案内してほしいんだね」

煌「私が知らない照さんのお話いろいろ聞きたいんです」

照「えっ えっ えええ」

菫「まあそんなに大きな町じゃないから一通り回ったら出ようか」

煌「おまかせします あー楽しみです♪」

ー白糸台駅ー

煌「今日はいろいろな場所を案内していただきありがとうございました」

菫「いや、お礼を言われる事でもないよ 久しぶりに地元の子にも会えたし」チラ

照「疲れた。もう歩けない 菫おぶってー」

菫「照の方向音痴に悩まされる事もなかったしな ああ、もうひっつくな」

煌「肩を貸してあげますから自分の足で歩きましょうねー ほら、もうすぐお家に着きますよ」

照「頑張る!」

菫「でも親の所に顔出さなくても良かったのか? せっかくの休みだろ」

照「お母さん今日は徹夜で仕事みたいなの どうも強引に有給をねじ込んだからそのツケが回ったみたい」

照「でも咲達があっちに泊まるから、少し顔を出すつもりだよ」

菫「流石に私達の部屋にあと3人泊めるのは無理だからなー まあ、宿泊代が丸丸浮くから呼びやすいってのもあるな」

照「私が家を出てから住んでるのお母さん一人だもん むしろ沢山人が来てくれるのは大歓迎だって言ってた」

菫「そうか、そうか よーし着いたぞ」

照「長い道のりだった……」

煌「えへへ」


照「ホントに私が先にお風呂に入っちゃって良いの?」

菫「今日は歩きづめで疲れたんだろ それにお前を後回しにしたら炬燵でそのまま熟睡してそうだからな」

煌「私は荷物の整理があるので、照さんお先にどうぞ」ガサゴソ

照「二人がそういうなら仕方ないなー」トテトテ

照「じゃあ、お先にお風呂いただきまーす」


照「カポーン」

菫「よしよし照は風呂に入ったな」ガサガサ

煌「おや、どうされたんですか? 鞄なんて引っ張り出して」

菫「ん? ああ、今から実家に行くんだよ 二人の邪魔をするわけにもいかんしな」

煌「そこまで、気を回して頂かなくて……」

菫「いや、良いんだ。元々顔を出すつもりだったし、むしろ離れていたほうが精神安定上良さそうだから」

煌「えっと、まあそうですねー(苦笑)」

菫「そういうわけだから、精々短い同棲生活楽しんでくれ」

菫「ああそうだ。花田さんなら大丈夫だと思うが節度は守ってくれよ まだ高校生だからな」

煌「善処します。もし襲われたら真っ先に相談しますよ」

菫「その時は咲ちゃんも巻き込んで三人で照を弄ろうと思う。さてと、それじゃあ私は行くから照には実家から呼ばれたとでも言っといてくれ」

煌「ええ、菫さんもお気を付けて」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

照「それで、今日は煌と二人でお泊りになったの?」

煌「はい。 もう、髪を乾かしてるんですから動かないでくださいよ」ブオー

照「だ、だってくすぐったいんだもん」ウズウズ

煌「それでも我慢です」クシクシ

照(他の人に髪を梳かしてもらうのっていつぶりだろ 確か)


ーーーーーーーーーーーーーーーーー
さき「おねえちゃん おねえちゃん かみのけ」グスン

てる「はいはい、ちょっとまっててね」トテトテ

てる「じゃあやるよー」

さき「わーい」ユラユラ


さき「こんどはおねえちゃんのかみ やってあげる」

てる「さきにはまだはやい!」ダメッ

さき「おねえちゃんよりわたしのほうがじょうずだもん」

てる「そんなにいうなら、じっけん」

さき「えへへ おねえちゃんのかみだー」クシクシ

てる「かみはおんなのこのぶきなんだよ」

さき「おねえちゃんのかみだいすきー」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

照(最初は私が咲にしてあげてたのに、いつか逆にしてもらうようになって こっちに来る頃には毎日身だしなみチェック受けてた気がする)

煌「どうです? 気持ち良いですか」

照「とっても」

煌「こうしてると、私達ってホントに付き合ってるんだなって思います」

照「確かに。私も身内以外に髪に触ったのは煌が初めてだよ」

煌「照さんの初めてもらっちゃいました」

照「きらめ、私!」

煌「はい、髪乾きましたよ」

照「うん、ありがと……じゃなくて!」

煌「では、私もお風呂いただきますね」


照「行っちゃった…… 絶対チャンスだと思ったのに」

照「ふんっだ。不貞寝しちゃうもん」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

煌「お風呂いただきましたー って照さん?」

照「スヤスヤ」

煌「ふふ、こんなところで寝てしまわれて 風邪をひいてしまいますよ」

照「むにゃむにゃ えへへ きらめー きらめー」

煌「はいはい、私はここに居ますよ」

煌「こ、これってもしかしなくてもチャンスですよね」キョロキョロ

煌「とりあえず、気持ちを落ちつかせるために一枚」パシャ

煌「良い笑顔です。これを待ち受けにしてっと…… これでも起きませんか」

照「プリンー アイスー 」

煌「どんな夢を見ておられるのか、願わくば私も夢の中に登場していると嬉しいのですが」

煌「さ、流石に唇はまずいので頬に」ドキドキ


 照さんの顔まであと50センチ 40センチ

 まだ起きる気配はありませんね もう少し近づいてみましょう

 30センチ 25センチ どんどん近づいて……

 15センチ これ以上は流石に




煌「ふう、頬にキスをしても気づかないとは この代償は高くつきます」

煌(せっかく、二人っきりなのに 先に寝ちゃうなんて…… でもこの寝顔を見られたので今日は良しとします)

煌「照さんを布団まで運んだら、私も寝てしまいましょう」

煌「流石に昨日はバスの中で少し寝ただけなので かなり瞼が重くなってきました」


5月4日に続く


次回、煌の手料理 咲ちゃん東京に降り立つ そして恋の行方は

最終回もお楽しみにー

5月4日(土)みどりの日

トントントン 

照「ん…… もう朝?」ゴシゴシ

照「この匂い(くんくん、お味噌汁の良い匂いだぁー 確か今日は菫の当番だったよね)

煌「ごめんなさい、起こしちゃいましたか?」パタパタ

照「大丈夫だよ。顔洗ってくるね……」ファー

照「うーん、まだ眠い」バシャバシャ

照「……って、煌!」

煌「はい、タオルどうぞ」ニコニコ

照「煌、ありがとね……じゃなくて、何してるの?」

煌「何って、朝ごはん作ってるんですよ。あ、冷蔵庫に有ったもの勝手に使わせていただきました」

照「好きに使っちゃって構わないよ」

照「そっかそっか、煌が私の為に朝ごはんを」

煌「ええ、後はお味噌汁で朝ごはんは完成なのでもう少しだけお待ちください」

照(そうだ。、菫は実家に帰ってるから今部屋に居るのは私達だけなんだよね)

照「二人だけ ふたり ふたり」ポン

照(もー 私のバカー なんで 何であそこで不貞寝しちゃったんだろ)ワナワナ

照(一緒の布団でぬくぬくしたり、煌の学校の話とかいろいろ話したかったのに)

煌「うん、こんなもんかな 完成です」スバラッ

sage入れ忘れるとか メゲルわ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 せめて食器の準備位はしなくちゃと思ったんだけど、煌が手伝わせてくれなくてちょっとさびしい。
 でもね、私はこの時気付くべきだったんだと思うの。
 
 いつもは、『働かざるもの食うべからずですよ。』とか言う煌がものすごい笑顔で、
 『女の子なら誰でも夢見るシチュレーションですよ。好きな人に料理を作ってあげるの』
 ここまで言われたら静かに待ってるしかないよね?

 そんなこんなで、あり合わせのモノで作ったとは思えない程豪華な朝食が運ばれてきました。


 いただきまーす

照「ねえ煌、質問があるんだけど聞いてもいい?」(照■煌)

煌「そんなことより、口あけてください あーん」

照「あーん もぐもぐ」

煌「お口に合いました」ウワメヅカイ

照「すっごく、おいしいよ」キリッ


 すごくおいしいです。私も中学時代に比べればかなり上達したとはいえ、やっぱり煌の方が上手
 それが悔しくもあり、嬉しくもあり。
 って、決して菫の料理が下手とかじゃないよ。私の料理の師匠は菫だもん。

 えへへ、毎日作ってほしいなー
 ———って、今考えるべきはそれじゃなくて……


照「でも……何で私の分しかよそってないの? 煌は食べないの」

煌「後で食べますよ。今は照さんに食べさせて あ げ る 時間です。はい、あーん」

照「あ、あーん もぐもぐ(煌、ちょっと怒ってる? 私が相手してあげなかったからかな」

煌「その笑顔が一番の栄養です」ボソッ

照「(まぶしい、その笑顔が眩しすぎるよ)そうかな えへへ」

照「でも、そろそろやめにしない? 一緒にご飯食べようよー」

煌「嫌です♪ 今日は一日、照さんに甘えるって決めたのでそのお願いは受け付けません」

照「もしかして怒ってる?」

煌「どうして、そう思うんですか。それとも心当たりがおありで?」

照(うー すごく嬉しい すごく嬉しいんだけど……)シュン

煌(貴女が悪いんですよ。でも、少し困った表情もまたかわいいです)

煌「(ただあまり追い詰め過ぎて、ヘソを曲げられても困りますし、この辺りが潮時ですかね)」

煌「私は幸せ者です。(すばらっ)さてと、じゃあ私もお茶碗持ってきますよ」

照「……」ホッ

煌「ではここに座りますね」(照煌)

照(なんでわざわざ横?)

煌「いただきます」

煌(ちゃんと味が染みているか心配でしたが、心配をしすぎたみたいです)

煌(まあ欲をいえば、もう少し味の好みが知りたいところですね…… はっ、私ってばどんどん欲張りになってる)

煌「それもこれも」チラッ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ピー ピー 6時です。

煌(———起こしちゃったかな)

照「……」スヤスヤ

煌「どうやらまだ寝てるみたいですね おはようございます 照さん(小声)」

煌「反応なしっと」

煌「ん? 姫ちゃんからメールが届いてますね と、とりあえず移動しましょう な、なにかあったんですかね」


煌「ここなら、起こす心配はありません 最初に来たメールは これですね」


『煌、どげんゆうこつ? 横に居るのはチャンピオンやんにゃあ 煌の好いとぉ人ってまさか……
 ごめん、煌ちょー取り乱しちゃったとよ。だけん、びっくりしたよ。あんチャンピオンと煌ば知り合いやったなんて』

『これ見たら納得したとよ。完全に心をば許しとる顔なんやもん』


煌「帰ったら、覚えていて下さいよ デートの話を根掘り葉掘り聞いてやります」

煌「もう一通ありますね」


『よかなあー ぁ〜も〜 煌は宮永さんの部屋に泊まってるんだー 思いっきり甘えとう煌…… ごめん想像しきらんちゃ』

『だけん、普段見されん顔ば見せるとポイントが高いって雑誌にも書いてあったんよし積極的にアピールしてみるんもよかっちゃないかな』

煌「どうせ私は甘えていただく方ですよ。それと、その言葉はそっくりそのまま姫ちゃんに返します」

煌「(これって姫ちゃんを見返すチャンス? だとしたら)良いでしょう、受けて立ってやります あの子たちに見せつけてやろうじゃありませんか」

煌「まずは……朝ごはんを作りながらゆっくり考えるとしますね」

煌(それに、姫ちゃん 私にだって甘えたい夜くらいあるんですよ)

煌「ごちそうさまでした。お茶のお代わりいります?」

照「うん、ありがと」


 あれから、煌はずっと私の横で朝ごはんを食べてた。
 私が、料理の事を褒めると『もう…照さんったら はい私のおかずあげますね』なんて上目遣いで返事してくれるし、
 さりげなく左腕に胸を当ててくるわで全然心が休まらない朝ご飯だったよ まる

 でも、煌の左手人差し指にはバンドエイドが…… 昨日はあんなの貼ってなかったし指切っちゃったのかな?
 あの短時間でこれだけおかずが作れる(そういえば煌は何時に起きたんだろ)煌でも切っちゃう事ってあるんだなー
 なんてね、かわいい部分みーつけた。


照「後片付け位手伝うのに」

煌「いえいえ、照さんはそこで座っててください すぐ終わりますから」

照(煌がさっき言ってたこと本気みたいだなー)

煌「てーるさん」ギュ

照「はわわ(柔らかくて、あったか〜い)」ヌクヌク

煌(ああ、もう どうにでもな〜れです)スリスリ

照「だ、だめだよ煌 これから咲達を———」

煌「まだあの子達を迎えに行く時間まで余裕があります! もうすこし もう少しだけこのままでいさせてください」

照(どうしたんだろ? 最初は怒ってるもんだと思ってたんだけど、今度は抱きついてくるなんて煌らしくないな)

煌(最初は姫ちゃんのメールに感化されて、始めたものの…… やはりどこかでストッパーが掛かってしまいますね)

煌(こればかりは、段々慣れていくしかありませんか)

照「どう、私の胸なんてたいしたことないけど 少しは落ち着けたかな」

煌「はい、急に抱きついたりしてすみませんでした」

照「無問題、無問題」

照「あ、うん じゃあ 出掛ける準備しよっか」

煌「そうですね」モジモジ

照「」

煌「」

照「さっきの、全然嫌じゃなかったよ」

煌「」ビクン

照「私は、煌の全部受け入れてみせるから、心配しないで 絶対嫌いになったりしないから」

煌「はい!」


 まだまだ煌の事で知らない事って沢山あるのだと思う。
 でも、急いで知ろうとしなくても良いかなって、私は不器用だから、一度に沢山の問題を抱えていられる性格じゃないもん
 今は煌の事、それから麻雀の事。この二つだけ考えていられたらそれだけで良い。

ー東京駅ー

菫(まだ来ないのかあの二人は)イライラ

菫(花田さんが付いてるから送れるはずがないとタカを括っていたがむしろ逆効果だったかもしれんな もしや、朝まで二人で)

菫「いかん、また良からぬ想像をしてしまった」

煌「弘世さーん 遅れてしまいすみません」ハア ハア

照「煌、あんまり手引っ張らないでよー」

菫「まったく、お前ら朝から見せつけてくれるな」

煌「照さんが迷子にならないようにですよ ねぇ照さん」

照「え、私のせいなの? だって煌が」ムニャムニャ

菫「昨日はお楽しみでしたか? なんてね」

照「す、すみれナニイッテルノ そんなことあるわけ ないよ はわわ」

菫「それで、ホントの所はどうだった? 花田さん」

煌「照さんったら、私がお風呂に入っている間に寝ちゃったんですよー おかげで、一人さびしく」ヨヨヨ

煌「何度、襲ってしまおうかと思った位ですね」

菫「それはまた、予想通りの展開だな。せっかく私が気を使って…… おっとこれは失敬 初夜はお預けか」

照「初夜……」


煌「まったくですよ。ただでさえ私達はめったに会えないというのに。二人っきりの時位は思いっきり甘えないと照さんはこの通り ですから!」

菫「それもそうだな。心中お察しするよ」

煌「まあ、布団に運ぶ時に少し体を触ったり、頬におやすみの口づけしちゃいました(小声)」

菫(付き合っている期間は長いのに、何だろう 体全体から発せられるアツアツっぷり)

菫「照が鈍いというのもあるが、当人がそれで良いなら周りは暖かく見守ってやればよかろう」

照「あー 二人で内緒話してる。私も混ぜてよー」

 あれからしつこく食い下がったけど二人ははぐらかしてばかりで全然教えてくれない
 酷いよ……

 でも
 二人の事だから
 悪口なんて言うわけないもんね

 それに、煌の顔を見たら怒る気なんて失せちゃった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

咲「原村さん、優希ちゃん こっちこっち」ブンブン

優希「咲ちゃんはもうすっかり元気だじぇ。まあ何もないところで転ぶところも咲ちゃんらしいけど。のどちゃんもそう思わない?」

和「はぁ はぁ 宮永さんは余程二人に会うのが楽しみだったようですね」

咲「はやく はやくー」

優希「のどちゃん、ちょっと急ごう」

和「そうですね、急ぎましょう」


優希「あ、いたいた。 花田せんぱーい 久しぶり だ じぇ?」

和「優希、ちゃんと挨拶しないといけませんよ。 ですよね、花田先輩って あらあら」


 『照煌恋人繋ぎ』(照ー煌)


咲『ちょっとお姉ちゃん 白昼堂々いちゃいちゃしちゃダメだよ。もう恥ずかしいな』

優「いきなり先制パンチだね。のどちゃん」

和「ええ、でも宮永さんは基本的にお二人の交際を認めてますし、ちょっと嬉しそうな顔をされてますから心配ありませんよ」

咲「私の眼の届くところでいちゃいちゃするの禁止なのー」

照「咲、落ちついてこれはね」

咲「往生際が悪いよ。お姉ちゃん」グイグイ

照「あっ、煌の手が」(照ー咲ー煌)

咲「どうしても手をつなぎたいなら、私が真ん中ね」

煌「おやおや、ふふ」ニギニギ

咲「ほら、煌さんは繋いでくれたよ お姉ちゃんは?」スッ

照「ちらちら うーん でも……」

咲「お姉ちゃんは私と一緒に歩きたくないみたいなので行きましょう 煌さん」

照「分かったよ」ニギ

咲「ニヤリ(作戦成功だね。実は一度三人で歩いてみたかったんだよね。頼りになる長女の煌お姉ちゃんとおっちょこちょいだけどすごく優しい照お姉ちゃん、末っ子の私ってシチュレーション)」


煌「こうして歩いていると、私達って姉妹みたいですね」

照「元から、咲とは仲良しだけどね」キリッ

咲「同じお姉ちゃんなら私は、煌さんの方が好きかな」

照「咲のイジワル」

咲煌「あはははは」

 
 少し前までは『お姉ちゃん、お姉ちゃん』ってずっと後ろについて来たのに……
 でも、嬉しいな。
 これも、原村さんと片岡さんが一緒の部活で面倒見てくれてるからだよね。
 
 でも、麻雀部の部長さんがイタズラ好き、おまけに罰ゲームで咲にメイド服着せるなんて、
 ずるい! 私も見たかったのに……

 咲に頼んでみたけど、『煌さんが横に居るのにそれ言う?』ってやんわり断られちゃった。
 煌、お願いだからそんな慈愛に満ちた目で私を見ないで、お願い


 ースカイツリー前ー


照「ここが、スカイツリーだよ」

咲「実物はやっぱり大きいねぇ。確かお姉ちゃんって一回来たことあるんだよね」

照「開業してすぐだったかな? その時は麻雀部の子達と一緒だったような」

菫「私も照と一緒に来たんだが、お前ときたら ぷぷっ」

照「何で笑うの? 菫」

菫「いや、お前は覚えてないかもしれないんだが、エレベーターでしがみ付いてきたんだよ」


照『こんなに早く動いて、壊れたりしないよね。私ニュースで見たもん 強風で停まる事もあるって』ブルブル

照『大丈夫かな。停まったらどうしよう 菫』グイグイ


照「私、そんなこと言ったかな?」

菫「確かに言ったぞ。何なら今度渋谷達に聞いてみろ」

照「菫だって、高い所だよね」

菫「それとこれとは話が別だ。それに、あのときは照のおかげで怖がる暇が全然なかったからすごく楽しめたぞ」

菫「ありがとな。でも今日は大丈夫かな」

優希「もしものときは、私が励ましてやるじぇ。ねぇ、のどちゃん」

和「高いところが怖いとかそんなオカルトありえません」ガクブル

煌「お二人も、怖くなったら頼ってくださいね」

咲照「うん」チラチラ

菫(流石、花田さんだな)優希(さすが、センパイだじぇ)和(ブルブル)


菫「組みわけも終わったところで、順番どうする?」

煌「このままのテンションで上に行っちゃいましょう。たぶんダウンする方がいるので、そこで二手に分かれれば良いでしょう」

菫「それもそうだな。じゃあ、私はチケット買ってくる(やっぱり花田さんは頼りになるな。あと言葉の節々に楽しみにしていたのがありありと感じるな)」

てるてるをシスコンにするくらいならぐう畜はいらないよ

>>114
そう受け取られても仕方ない表現なのか
本編で咲→照の矢印を示してあるから、それが落ちついて今は他の人にも目を向けるようになったと言いたかったんだが

煌「うん、今日は雲も少なくて遠くまでよく見渡せますね」

煌「菫さん、あちらに見える建物は何でしょう」

菫「どれどれ、あれは皇居かな。そんでもって左の方には———あれが東京タワーだな」

煌「なるほどなるほど、あれがそうなんですか」キャッキャ

照「うー、怖かったよ。何でそんなに元気なの」

咲「お、お姉ちゃんは怖がりだよね(苦笑い)」ガクブル

煌「二人ともだらしないですよ。せっかく来たんですから楽しまないとです」

優希「センパイの言う通りだじぇ。ほらほら咲ちゃん、遠くの方まで良く見えるよ」

咲「怖くない、怖くない 下がガラス張りでも壊れない壊れない」ブツブツ

和「思ったより、怖くありませんよ 宮永さん」

和「一緒について行ってあげますから」

咲「ありがとう、原村さん じゃあお言葉に甘えて(目をつぶる)」

和「あらあら、しっかり握っていてくださいよ」

咲「こくこく」


菫「お前はどうする? 妹さんは行ったぞ」

照「もう少し休憩してからにする。煌は咲達と回ってきても良いんだよ」

煌「私は照さんと一緒の方が楽しいのでここに居ますよ」

菫「では、私はここで二人を見張るとするか」

照「流石にこんなところじゃ——— ねぇ、煌」

煌「座る場所があれば膝枕位ならしても良いですよ」ボソッ

菫「やはり、一緒に居た方が良さそうだ」

和『もう眼を開けても良いですよ』

咲『うん、絶対手を話しちゃダメだよ。絶対だからね』ドキドキ

咲『ホントだ。優希ちゃんの言った通りこんなに高いところから街を見下ろしたことなんてないから何だか新鮮だなー』

優希『わっはっは、人がごみのようだじぇ』

和『もう、優希ったら それは悪役が言うセリフですよ』

咲『優希ちゃんらしいね』

優希『むぅ、じゃあ二人はどう思う?』

和『そうですね、ビルが沢山建っていて、ごみごみしてますね』

咲『そうかな? ほら、あの辺りなんていかにも地元って感じのお家が沢山あるし』

和『人それぞれ、感じ方が違うということですね』

優希『上手くまとめられた気がするじぇ』


煌「あちらは三人で楽しんでますね」

煌「足の震えも止まったようですし、私達も行きますよ」

照「まだ心の準備がー」

煌「何のために来たんですか、さあ行きますよ」



照「やっと戻ってこれた」ゲンナリ

煌「せっかく、上まで行ったのに ホントに良かったんですか」

照「あんな高い所から外を見て喜ぶなんてありえない」

煌「長野だってかなり標高があると思いますけど」

照「全然違うよ、ほら空気とか綺麗だし周りも同じくらい高いから怖くないの」

菫「思ったより元気そうだな。じゃあ適当に売店でお土産でも覗いて行くか」

煌「そうでした。友達にお土産頼まれていたのをすっかり忘れてました。」

照「わたしも付いてく……(煌の友達、どんな娘だろ?)」

菫「そっちは ってもう居ないのか」

照「さっき、片岡さんが引っ張っていったよ」

煌「では、照さん」スッ

照「うん」ギュ

 タッタッタ


菫「(また私だけ一人か やれやれ) 二人とも私を置いていくな!」


 一通りお土産を買った後、近くのファミレスで昼食タイム
 三人に行ってみたい場所を聞いて、返って来た答えは意外なモノだったけど……

 
ー某湾岸地区の放送局ー

優希「ほんとに、あの部分丸くなってる」

照「私も初めて来たとき、びっくりした。あれってどうやって建てたのかな?」

煌「確かに、それは気になりますね」

菫「最初の感想がそれか…… 照、そろそろ約束の時間じゃないのか」

照「えっ、もうそんな時間なの? ホントだ」


 ファミレスで三人がここに行ってみたいと言ったので、
 伝手を使って(こんなところで現チャンプが役に立つとは私も思わなかったよ)中の見学をさせてもらえないか頼んでみました。

 急な話なのに、快くOKを出してくれたってことは何か裏があるような気がしないでもないけど、
 今は考えないことにするね。


?「宮永ちゃーん こっちこっち」

照「お忙しいのにすみません」ペコリ

?「大丈夫だよん 他ならぬ宮永ちゃんの頼みだもんね」


 この人が、私達の案内をしてくれる人、何故この人と私が知り合いなのかと言われると困るな。
 まあその辺りは、また別の機会に話すとするね。

照「三尋木プロもお元気そうで、何よりです」

咏「いやぁ、びっくりだねー いきなり宮永ちゃんから電話がかかって来て頼み事があるって言うんだもん」

咏「ここのTV局にはちょっとしたコネもあるし、今日は収録もあったから別に良いよ」

菫「お前が、言ってた伝手って三尋木プロの事だったのか」

咏「菫ちゃんも来てたのか、そんでもって後ろに居るのが?」

照「妹達がGWを利用してこっちに来たんです」

咏「なるほどね、 えっと、キミが宮永ちゃんの妹さん?」

咲「はい、宮永咲です お姉ちゃんがお世話になってます」ペコリ

咏「確かに似てるね。このアホ毛なんてそっくり」

咲「よく言われます」


和「三尋木プロ 横浜のチームに在籍し、チームを優勝に導いた立役者……」

優希「そんな人と、咲ちゃんのお姉ちゃんは知り合いなのかー」


咏「へぇー 去年のインターミドルで優勝した原村和と同じ学校なのか」

咏「今年の大会は面白くなるねー」

咏「それで…… さっきからずっと宮永ちゃんの横に居るのが噂の彼女かな」

照「えっ……」ビク

煌(照さん)

咏「その反応は図星みたいだねー かわいい娘だね」

煌「」ギュッ

咏「いやぁー この光景が見られただけども今日来た甲斐があったってもんだよ」

照「あう……」


咏「じゃあ、案内するよん」

 三尋木プロに案内され、普段は入ることができないような場所も見学することが出来たのは良かったんだけど……


ー休憩所ー

咏「ふくよんもそう思わない」ケラケラ

恒子「チャンプの意外な一面! これはスクープだよ」

恒子「今度の特集に何とかねじ込めないかな」


 いつのまにか合流した福与アナに根掘り葉掘りインタビューされて、皆お疲れモード
 って、さすがにそれはやめてほしいんだけど、この人を止められる人っているのかな


煌「照さん、大丈夫ですか」ヨイショ

照(もう、外面も気にせず煌が自然に横に居てくれる)

照(この2〜3日で二人の距離がぐっと縮まった気がする)ホッコリ

照「煌こそ大丈夫? 流石に、名前までは出ないと思うけどあの福与アナだからさ……」

煌「大丈夫だと思いたいですが まあ、諦める事にします」

照「ごめんね」

煌「謝る必要なんてありませんよ。照さんのおかげで今こうして見学させていただいているわけですし」

照「そう、なのかな」

煌「照さん……」グイッ

照「煌……」


恒子「ドキドキ」ジー

咏「ふくよん、静かに」


照「咏さん!? な、なにやってるですか! あと、福与アナも」

咏「ちっ、もう少しで貴重なシーンが撮れたのに」

恒子「私達の事は気にせず♪」

照「あ、煌が居ない……」


 私を励まそうと思ってくれたの、二人に見られてると分かると煌が私を置いて逃げちゃった……
 相当恥ずかしかったんだろうなー   なんもかんも政治が悪い!

風のように現れて、その場をめちゃくちゃにした福与アナはこれから咏さんと麻雀番組をやるためどこかへ行ってしまい、
咏さんも、『そろそろ時間だから、ごめんねー 警備員さんにはお願いしてあるからねー』と言い残してスタジオへ向かってしまいました。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



優希「もうこんな時間なのか、夜ごはんを食べてたら流石に遊ぶ時間はなさそうだじぇ」

和「優希、明日もあるんですからね」

優希「のどちゃんは、夜の町にくり出したいと思わないの?」

和「思いませんよ」

咲「それに、お母さんが一緒にご飯食べようって言ってくれたんだから」

優希「咲ちゃんのお母さん…… 確か雑誌の記者さんだったっけ」

照「そうだよ片岡さん。今は麻雀雑誌の担当だったはず」

煌「時々、名前をお見かけしますよ 全体的に辛口評価ですけど(苦笑)」

照「何てったって、身内にも容赦ないんだから」

宮永母「誰が、鬼畜ですって?」ゴゴゴ


照「無駄に、大物っぽく振る舞わないくても良いよ」

宮永母「あら、そうかしら」

咲「お母さん久しぶりだね」

宮永母「あまり見ないうちに大きくなったわね」

煌「いえ、娘さんはそちらですよ」

宮永母「あらごめんなさい、通りであほ毛がないはずだわ」

宮永母「えっと、ストップ その顔は知ってるわ 確か貴女は———花田さんね」

煌「はい、花田煌といいます。娘さんとは清い交際をさせていただいてます」ペコリ

宮永母「娘は貴女にはあげないわ!」

咲「ちょっとお母さん」ペシ

宮永母「ごめんごめん、一回やってみたかったのよ 本当に大きくなったわね」ナデナデ

咲「まったく、おかあさんったら」ムニャムニャ

照「(もぐもぐ)お母さん、今度はいつ休みが取れそう?」

宮永母「貴女達が頑張れば頑張るほど私の仕事が増えるわ。良いのよ、予選で負けちゃっても」

咲「冗談キツイよ お母さん。出場するからには一番を目指さないとだよ。そうだよね原村さん」

和「その通りですよ。白糸台や千里山もちろん新道寺にも負ける気なんてありません」

煌「私はまず代表選手に選ばれないといけませんね……」

煌「ですが、後輩に先を越されるわけにはまいりません!」

宮永母「その意気よ。やっぱり青春って良いわね 私の頃と全然変わらないわー」

優希「うまうまー 皆食べないなら全部私が食べちゃうよ」

和「優希ったら まったくもう」

優希「花田先輩も緊張してるのは分かるけど、ちゃんと食べないとダメ」

宮永母「私も、おいしそうにご飯を食べてる娘は好きよ ねぇ、照」

煌「そうなんですか」キラキラ

照「まあ、少食よりはね」

照「でも、無理しちゃだめだよ」

煌「流石に照さんの食欲について行く自信はありませんよ(もぐもぐ)」

宮永母「うん、合格! うちの嫁に来ない?」

照「お母さん、何言って————」

宮永母「だってこんなに可愛くて、けなげで貴女のことを想ってくれる娘が他にも居るっていうの?」

宮永母「これだけの優良物件、逃しちゃだめよ」

宮永母「安心してね。煌ちゃん、いつでも遊びに来ていいのよ。思いっきり歓迎してあげるわ」

咲「あちゃー、こうなったらお母さんは酔いつぶすしか手がないよ すいません 水割り一つ下さい」

今日の投下終了

原作で智葉が活躍してるのが嬉しい。
おかげで、創作意欲が湧いてくるけどうまく文章にできないジレンマ


宮永母「う゛ー 頭痛いー 咲、悪いんだけど家まで うっぷ」

咲「飲み過ぎだよ お母さん。 いくら花田さんが気にいったからって まったくもう」

宮永母「私の記憶が正しければ、いつの間にか飲み物がお酒に替わってたんだけど 犯人って咲よね」

咲「気のせいだよ」

宮永母「煌ちゃん、悪いんだけど照のこと頼めるかしら この娘ったら、誰に似たのか方向音痴なの。うっかり目を離すとあらぬ方向に歩いて行っちゃうから気を付けてね」

宮永母「ちゃんと手綱を掴んでないとダメよ♪」

照「お母さんは私を猫か何かと勘違いしてるんじゃないの?」

煌「その点はご心配なく 照さんのお母さん」

煌「既に、娘さんと私はこのように繋がってますから」

照「煌、こんなところで恥ずかしいよ」

煌「朝伝えたはずですよ。 今日は照さんに思いっきり甘えるつもりですよって♪(小声)」

照「でも、お母さんが見てるのにー」

宮永母「久しぶりね 照ちゃんの慌てている顔を見るなんて」

宮永母「さっそく旦那にも教えてあげないと うふふ」

宮永母「さてと、お邪魔虫は、この辺りで失礼するわ」

宮永母「ああ、それと煌ちゃん 照がかわいいのは良く分かるけどやり過ぎはダメよ くれぐれも節度を守ってね」


 最後に爆弾を投下すると、お母さんは咲に支えられて実家へ帰って行きました。
 何でも今日は実家に泊まって、明日は咲達と千葉のテーマパークに行く予定だと聞きました。

 皆にちょっと気を使わせちゃったかな? 
 でも、明日は誰にも邪魔されず煌と一日のんびりできる貴重な日、この日のために練りに練ったプラン! 喜んでくれると良いな

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

照「じゃあ、電気消すよ」カチッ

煌「はい」モゾモゾ

照「……」モゾモゾ

煌「———照さんのお母様って面白い方ですね」

照「お母さん、すごく煌のこと褒めてた。 私の事はちっとも褒めてくれないのに」ムスー

煌「そういうものですよ。でも緊張しました。話に聞いていたとはいえ親との対面ですから」

照「私もちょっとほっとしたよ。付き合い始めたってお母さんには言ってあったんだけど、やっぱり直接会ってみないと分からないから」

煌「これで一歩前進……ですね」


煌「あの…… 照さんそちらの布団にお邪魔しても良いですか」モジモジ

照「ごめん、お布団小さかったかな 私のと交換する?」

煌(相変わらず、照は鈍感さんなんですね どれだけ私が勇気を出して言ってると思ってるんですか)

煌(でも、こういうところが憎めないというか)

煌「こういうことですよ」ヨイショ

照(煌の顔をこんな近くで見るの初めてかも)ドキドキ

煌(いざ、一緒の布団に入ったのは良かったのですが、これは)ドキドキ

照煌(どうしよう)

照(や、やっぱり年上の私がどうにかするべきだよね)

煌(ここは、私がどうにかすべきです)

照「煌!」 煌「照さん!」

照「煌が先で良いよ」

煌「あ、はい(全然しゃべる内容考えてませんでしたー どうすれば……)」

煌「(ここはとりあえず……)照さんと同じ布団で寝たかったんです」

煌(私は、何て事を! ああ、照さんの顔が茹でダコのように赤く……)

照(この至近距離でその言葉は反則だよ そんなの断れるわけないじゃない)

照「——煌が側に居るとあったかいな」

照「心がぽかぽかして、幸せな気持ちになるの」

照「ごめんね、いろいろ無理させちゃって」

煌「いえいえ、私こそ 今日はいろいろご迷惑をおかけしたのではないかと」

照「そんなことないよ すごく嬉しかった」


照「ねえ、今何時か分かる」

煌「えっと、12時を少し回ったところですね」

照「そう、だから今日は私が煌に甘える番だよ」

照「絶対動いちゃダメだからね」


 そうして 私と煌を隔てる隙間はドンドン小さくなって……私達は口づけを交わした。
 
 ふん、私だって、女の子向けの雑誌くらい読んだことあるからこのくらいできて当然だもん


照「んっ……ん、ふぅ……ん」

煌「ふぁ……んっ!」

照(これ…… んっ、病みつきに なりそう)

煌「(この勝負…… 負けるわけには)ん……ちゅ!」

照「ふぅ…… ぷはっ」

煌「はぁ……はぁ……」

煌「なに するんですか てるさん」

照「きらめがこんなにちかくにいるのに てをださないなんて もったいないから」

煌「照さん…… もう一度お願いできますか」ニコ


 それからの事はあんまり覚えてないけど、すごく幸せな時間が二人の間に流れたのは事実だと思うんだ。

5月6日(月)

えっ、一日飛んでるんじゃないかって?
そ、そんなこと無いよ。

イチャコラしてる描写って他の人に見られるのって恥ずかしいもん

簡単にまとめると、朝食は私が腕によりを掛けて作ったご飯を食べさせあいっこ、
その後は神保町に電車で移動して古本屋街をぶらぶらだったかな。
私が読むのに夢中になって、煌を置いてけぼりにしちゃったのは秘密だよ。

それでも、一番の思い出はやっぱり最後に行った場所かな


煌『照さん、今日一日すごく楽しい時間をありがとうございました』

煌『それでですね…… お礼に一つプレゼントがあるんです』

煌『もう少しだけ、待ってくださいね』


 そのプレゼントってのが また、ロマンチックで……
 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

照「きらめー、なんでもう帰っちゃうのー」

煌「明日から、授業があるのでこれを逃すと今日中に帰れませんから」

煌「そんなに泣かないで下さいよ こっちだって離れたくないんですから」ヨシヨシ

菫「最後までしまらない奴だな まあ、それだけ離れるのが嫌なんだろう」

淡「宮永センパイ……」

照「ぐすっ、次はいつ会えそう?」

煌「そうですねー 夏には必ずこちらに来ます」

煌「そして、必ず白糸台を倒してみせます!」

咲「花田さん……」

優希「咲ちゃんのお姉さんを倒すのは私だじぇ」

淡「私の事も忘れないでほしいよ」

優希「なにを〜」


煌「優希ったら、相変わらず何ですから」

照「大星さんもちょっと打ち解けたみたい」

煌(もっと、そばに居たいのに……時間はあっというですね)

煌「そろそろ時間です」

煌「照さん さよならは言いません。またお会いしましょう 次会うときは敵同士ですよ」

照「分かった。待ってるね」


 煌は時間ぎりぎりまで私を慰めてくれるんだけど、それが私には逆効果でまた涙があふれちゃって……
 最後は、菫に説得される形で煌とさよならをすることになっちゃった。
 
 笑顔で送ってあげたかったな


ー麻雀部ー

姫子「今日は調子良さそうだね。チャンプに元気を分けてもらったのかな」

煌「姫ちゃんこそ、部長と遊びに行ったみたいじゃないですか」

姫子「煌、聞いてよ。部長ったら酷いんだよ」

煌(姫子と話していると、ようやく日常に戻ってきた感じがします)

煌(でも、携帯の中には…… ふふっ、GWの思い出が沢山詰まってます)

姫子「もー ちゃんと話聞いてよ。 なにさ 携帯のメモリー見ちゃってさ」

姫子「もう叶っちゃった人は良いよね」

煌「からかわないで下さいよ!」

仁美「また二人でヒミツの話か? ところで花田、小耳にはさんだんだけど———」

煌「江崎先輩、これお土産です」

仁美「悪いね。花田 じゃあこれはもらっていくね」


煌「心臓に悪いです。江崎先輩はとこまで知ってるんでしょうか」

姫子「それはうちにも分からん。それが無ければ良い先輩なんだけど」

姫子「考えてみると、うちの3年は結構良いバランスだよね」

煌「部長の眼の届かない所では安河内先輩がしっかり指導してますもの」

哩「花田! 姫子! 早く卓に入れ」

姫子「叱られちゃったね煌。」

煌「続きはまた後ほどという事で」

 
それから、少しばかり時が流れ新道寺ではレギュラーとベンチ入り選手発表の日を迎えました。
 そこで、思いもしない出来事が起きてしまったんです。

煌「……」フラ フラ

煌(はぁ…… 本当に私が選ばれて良かったんでしょうか)

煌(メンバーに選ばれるための努力はしてきたつもりですが よりによって先鋒に抜擢されるとは……)

煌(私にその資格があるんでしょうかね)

煌「——少し時間を潰してから帰ることにしましょうか」テクテク

 外はあいにくの雨模様、幸い折り畳み傘を持ってきているので万が一雨が降り出しても濡れて帰る心配はありませんが、
 わたしの心を映したような黒雲が空を覆っています。


煌「ご報告すべきなんでしょうけどね……」

煌「はぁ……」

 自分でも分かっています。
 団体戦のセオリーは先行逃げ切りで、例年ならエースの部長が務める場所です。

 それが、私に回って来たということは……


煌「オーダーを見る限り今年は後半にで稼ぐ戦略のようですから、私の役目はいかに失点しないか」

煌「やはり、素直に喜べません」


 その時、携帯がメールの受信を知らせました。差出人は『宮永照』


 煌、今日大事な日なんだよね
 私は煌が選ばれるって信じてるからね。


煌「照さん……」


 わずか二行の短いメールですが、とても心強い味方を得た気がしました。


煌「そうですよね。私選ばれたということは、落ちた方も沢山いるんです」

煌「その方達の為にも、こんなところでへこたれている暇はありません」


煌「とりあえず、ご報告を…… ってアメ?」

姫子「部長帰り良かですか」

哩「姫子か……」

姫子「部長 IHのレギュラー なんで花田が先鋒とですかねー」

姫子「他のメンツも去年までとは違う感じですし」

姫子「部長?」

哩「———先鋒は捨てるんやてさ」

哩「ここ数年我が校は全国でよか成績残せとらん」

哩「そいはエースが他校のエースに負けとっけん」

哩「やけど、普通は伝統くらいくそくらえでエースば先鋒に持ってくる」

哩「いつでん、いつもそこで打ち負ける」

哩「去年は私がダメやった」

哩「ゆえの方針転換 悔しかよ」

姫子「部長……」


ポツ ポツ

哩「雨、降って来たな」

姫子「私、傘もってます」

哩「悪い、姫子」

哩「……」

姫子「——部長は花田の事嫌いとですか」

哩「それはなか、あいつはなかなかの努力しとるし、後輩からの評判も良かよ」

哩「やけん、今回の配置は悪かと思う。うちが至らんけんばっかりに……」

姫子「花田は、賢いけん…… 部長の落ち込んでるけん励ましてあげてと言ってましたよ」

哩「そーか、花田がそげん事を…… 絶対勝とう」

姫子(私はまだまだだな 煌だってつらいだろうに自分の事より部長の事を心配するなんて)

煌(二人で一つの傘ですか、姫ちゃんもやるじゃないですか)

煌(私も勇気を出して照さんに連絡することにします)

煌(だって、進まなければ道は開きません)

煌(どれだけ、険しい道でも二人なら乗り越える事が出来るはずです)

 
 そう、私と照さんを優しく見守ってくれている彼女達

 姫子と白水部長、そして部員の方々

 皆それぞれ苦悩して、何とか答えを出している

 私に出来るのは、先頭に立って道筋を立てる位だけどそれでも良いと思ってます

 だって、大切な仲間達の為ですから


                    カン

次回予告

季節は巡り巡る

幸せな人生を歩むことになった宮永照には実は辛い過去があった。

それを、乗り越え彼女は白糸台の門を叩く

沢山の出会いと別れの果てに彼女は高校生でも随一の力を身につけた。

たが、それはギリギリのバランスの上に成り立っているに過ぎないのであった……


とまあ、嘘80%の予告はさておきまして、次のお話は同じ時間軸の大星淡さんのお話となります
当初の予定だと、淡菫の予定でしたが別に恋愛感情を持たせる必要はないや という結論に至ったりました。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<再会>

菫『そうか、お前も白糸台を受験していたのか』

照『弘世さんも、白糸台なんだ』


<出会い>
轟『まあな、万が一照ねぇが落ちた時は私が慰めなければならないからのぅ』ギギギ

菫『そういえば、キミは一年遅れてるんだっけ』


尭深『渋谷尭深です』ズズズ

誠子『亦野誠子です』


そして時間は現代へと戻る

?『なるほど、白糸台の人は連荘優先かな? ここなら私を受け入れてくれるかも』



これにて投下終了です。
再開から二カ月弱 もう少しスピーディーにできた気もしますが、何とか最後までたどり着いたので良しとします

次も、分かり辛いタイトルにするかもしれませんが最低でも『淡』か『菫』の字はどこかに入れるつもりです。

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